会議資料・開催案内等



郵政行政審議会総会議事次第



開催日時 平成19年7月30日(月)
午後3時00分から午後4時40分まで

開催場所 総務省 第1特別会議室(8階)



議事次第

  1.  開会

  2.  分科会及び部会報告

  3.  日本郵政公社の平成18年度財務諸表の承認について〔総務大臣諮問第288号〕

  4.  日本郵政公社の業績評価(第1期中期経営目標期間及び平成18年度)について〔総務大臣諮問第289号〕

  5.  郵政行政審議会議事規則及び公開に関する細則の一部改正について

  6.  日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画について

  7.  閉会


* 配布資料一覧

資料1−1 日本郵政公社経営・評価分科会報告
資料1−2 郵便・信書便サービス部会報告
資料1−3 貯金・保険サービス部会報告
資料2−1 日本郵政公社の平成18年度財務諸表の承認及び業績評価について
資料2−2 日本郵政公社の平成18年度の財務諸表等の概要について
資料2−3 諮問書(総務大臣諮問第288号)
資料2−4 諮問書(総務大臣諮問第289号)
資料3 郵政行政審議会議事規則及び郵政行政審議会の公開に関する細則の一部改正について
資料4 日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画について
参考資料 郵政行政審議会議事規則及び郵政行政審議会の公開に関する細則の一部改正について





出席委員の氏名及び出席委員数



会長 森下 洋一
会長代理             田尻 嗣夫
委員 井手 秀樹
委員 大田黒 昔生
委員 梶川
委員 國井 秀子
委員 古賀 伸明
委員 斎藤 聖美
委員 佐野 真理子
委員 下和田
委員 野並 直文
委員 針ヶ谷 照夫
委員 樋口 公啓
委員 松ア 陽子
委員 三宅 純一
委員 村本
委員 吉永 みち子
委員 吉野 直行

出席委員数 18





出席した関係職員の所属・氏名



 事務次官 瀧野 欣彌
 総務審議官 鈴木 康雄
 官房総括審議官 桜井
 郵政行政局長 橋口 典央
 郵政行政局総務課総合企画室長 鈴木 信也
 郵政行政局郵便企画課長 後藤 篤二
 郵政行政局貯金企画課長(併)保険企画課長          淵江
 郵政行政局信書便事業課長 佐藤 克彦
 郵政行政局検査監理官 大高 光三
(事務局)    
 郵政行政局総務課長 原口 亮介





審議内容
開会

○原口総務課長 定刻になりました。事務局のほうから2点お願いしたいと思います。
 まず1点でございますが、ごらんのとおり冒頭カメラ撮りが入っております。審議に入る前にはご退出いただくことになっておりますので、ご了承いただきたく思います。
 次に、去る7月6日及び10日、当省の人事異動がございました。この異動により交代した者につきまして、順次自己紹介をさせていただきたいと思います。
○瀧野事務次官 先般の異動で次官を拝命いたしました瀧野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。郵政行政審議会の諸先生には日ごろからいろいろとご指導いただいているわけでございますが、郵政民営化もいよいよあと2カ月という時期になってまいりました。引き続きどうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
○鈴木総務審議官 総務審議官になりました鈴木でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○橋口郵政行政局長 郵政行政局長を拝命いたしました橋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○桜井官房総括審議官 官房総括審議官を拝命いたしました桜井でございます。よろしくお願いいたします。
○後藤郵便企画課長 郵便企画課長を拝命しました後藤でございます。よろしくお願いいたします。
○佐藤信書便事業課長 信書便事業課長になりました佐藤でございます。これまで2年間、郵便企画課長をやらせていただきました。引き続きよろしくお願いいたします。
○原口総務課長 ここで瀧野事務次官は所用により退室させていただきます。
○瀧野事務次官 申しわけございません。どうぞよろしくお願いいたします。
(瀧野次官退室)
○原口総務課長 カメラも退室をよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○原口総務課長 では、会長、よろしくお願いいたします。
○森下会長 森下でございます。ただいまから郵政行政審議会第10回総会を開催いたします。本日は皆さん方大変お忙しいところをご出席いただきまして、ありがとうございます。
 最初に、会議の定足数でございますが、本日は、委員総数30名中、現在17名のご出席でございまして、2名の方がいま少し渋滞で遅れられるようでございますので、いずれにいたしましても定足数を満たしておりますので、審議に入りたいと思います。
 前回の総会、4月でございましたけれども、以降、分科会及び部会が開催されておりますので、その審議概要等につきまして、それぞれご報告をいただきたいと存じます。
 まず、日本郵政公社経営・評価分科会につきまして、樋口分科会長からご報告をお願いいたします。
○樋口委員 樋口でございます。4月24日及び7月26日に、それぞれ第13回と第14回の日本郵政公社経営・評価分科会を開催いたしました。
 第13回の分科会では、委員の改選後初めての開催でございましたので、まず初めに、分科会会長の互選及び分科会長代理の指名を行いました。分科会長の選出でございますが、私、樋口が引き続き分科会長を務めさせていただくこととなり、分科会長代理につきましては、若杉委員に引き続きお引き受けいただくこととなりました。
 次に、「日本郵政公社重要な財産の譲り渡しの認可」につきまして審議いたしました。これは、施設の廃止、利用計画の中止等により未利用となった土地及び建物14件について、譲り渡しをしようというものであります。このうちの1件、浦安簡易保険加入者ホームにつきましては、介護型有料老人ホームでありますことから、譲渡に当たっては既入居者の利益の保護を十分に確保する必要があります。このため、既入居者が譲り渡し前と同等以上のサービスを継続して受けることができますよう、条件を付した上で認可しようとするものであります。審議した結果、諮問のとおり答申することが適当といたしました。
 また、「日本郵政公社の業績評価の考え方」について総務省から説明があり、議論をいたしました。
 続きまして、7月26日の第14回の審議事項等についてでありますが、まず初めに、日本郵政公社西川総裁から「日本郵政公社における中期経営目標の達成に向けた取り組みに対する評価」について説明を受けました。
 次に、「日本郵政公社の平成18年度財務諸表の承認」及び「日本郵政公社の業績評価」について審議した結果、当分科会としては、諮問のとおり答申することが適当といたしました。なお、この2件につきましては、後ほど本総会におきまして審議の際に、分科会での審議の内容をご報告させていただきます。
 次に、「簡易生命保険責任準備金の算出方法書の変更の認可」につきまして審議しました結果、諮問のとおり答申することが適当といたしました。
 最後に「日本郵政公社の重要な財産(浦安簡易保険加入者ホーム)処分の状況」につきまして、総務省から説明がありました。
 以上でございます。
○森下会長 ありがとうございました。
 次に、郵便・信書便サービス部会につきまして、田尻部会長からご報告をお願いいたします。
○田尻会長代理 田尻でございます。4月26日に、第22回の郵便・信書便サービス部会を開催させていただきました。
 委員の改選に伴う、まず部会長の選出でございますが、私、田尻が引き続き部会長を務めさせていただくこととなりました。また、部会長代理につきましては、大田黒委員に引き続きお引き受けいただくことになりましたことをご報告申し上げます。
 次に、審議事項でございますが、日本郵政公社関係としまして、平成19年用寄附金付きお年玉付き郵便はがきなどに付加された寄附金の配分団体などについての認可」という案件でございます。今回の配分団体数は347団体であり、配分総額は約6億7,000万円に上りました。
 次に、信書便事業関係でございますが、5社の特定信書便事業の許可並びに「信書便約款」及び「信書便管理規程」の認可についてでございます。3月末に1社の事業廃止がございましたけれども、今回の5社を加えますと、特定信書便の参入事業者の合計は218社を数えることとなりました。それぞれの審議事項につきまして慎重に審議させていただきました結果、いずれもこれらは適当と認め、諮問のとおり答申をさせていただきました。
 以上でございます。
○森下会長 ありがとうございました。
 続きまして、貯金・保険サービス部会につきまして、村本部会長からご報告をお願いいたします。
○村本委員 村本でございます。第9回の貯金・保険サービス部会報告でございますが、資料1−3をごらんいただければと思います。
 審議を開始いたしましたのは6月25日でございましたが、そこにありますように、議決日は6月27日になっております。これは、当日急にご出席がかなわなかった委員がございまして、当日は定足数割れになってしまいました。審議の性格上やむを得ないということになりましたものですから、本委員会の議事規則にのっとりまして、「緊急その他やむを得ない事情のある場合」ということで、持ち回り審議にさせていただいたということでございます。
 諮問事項は3点ございまして、1点は、保険料の算出方法書につきまして、平成18年度決算の状況に基づいて、19年度に分配する契約者配当に関し変更を行うものでございます。これは、現在の算出方法書では、死差配当、利差配当などに係る分配基準について、ゼロと記載しておりますところ、それぞれの保険契約と最新の保険契約の保険料の計算基礎の差を基に一定の加算をした基準に変更するというものでございます。
 2番目に、簡易生命保険約款及び保険料の算出方法書につきまして、本年10月の郵政民営化に伴い、現在の簡易生命保険契約が、新たに設立される独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に承継されることなどから、所要の改正を行うということでございます。
 最後に、国際ボランティア貯金に係る配分団体及び配分額を決定し、また、配分団体が守らなければいけない事項について定めることを内容とする「国政ボランティア貯金に係る配分団体等の認可」でございます。今回は、金利の上昇局面にあったということで、従来と少し局面が変わりましたけれども、配分団体、配分総額が大幅に増えまして、昨年度の7,000万円に対して配分総額は4億8,000万円になりまして、配分する団体も38団体から81団体になりました。配分地域はアジア15カ国、アフリカ11カ国など計36カ国でございました。
 それぞれの審議内容につきまして審議した結果、いずれも適当と認め、諮問のとおり答申をしておるところでございます。
 なお、委員の改選に伴う部会長の選出でございますけれども、私、村本が引き続き部会長を務めさせていただくことになりまして、また、部会長代理につきましては、下和田委員に引き続きお引き受けいただくことになりました。
 以上でございます。
○森下会長 ありがとうございました。ただいま3部会からご報告がございましたけれども、きょうは総会でございますので、各委員の方々から、何かご質問なりご発言がございましたら、どうぞお願いいたします。特にございませんでしょうか。
 それでは、3部会の報告は以上で終わらせていただきます。
 続きまして、本日の審議事項である諮問第288号「日本郵政公社の平成18年度財務諸表の承認」及び諮問第289号「日本郵政公社の業績評価」についての審議に入りたいと存じます。この2つの審議事項は密接にかかわりがございますので、まとめて審議することといたしたいと思います。なお、2つの審議事項につきましては、7月26日に開催されました分科会でのご審議を踏まえ、本総会で最終的な結論を得るというものでございます。
 まず、省側から諮問事項の概要をご説明いただき、次に樋口分科会長より、分科会での審議の内容等についてご報告をいただいた後に質疑を行いたいと存じます。
 それでは、鈴木総合企画室長よりご説明をお願いいたします。
○鈴木総合企画室長 総合企画室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 財務諸表の承認と業績評価の2件をあわせまして、お手元の資料2によりましてご説明させていただきたいと思います。資料2は大部になってございますので、その概要を申し上げますと、資料2−1が説明資料、資料2−2が参考資料、そして資料2−3が財務諸表承認の諮問書と財務諸表の本体でございます。そして資料2−4が業績評価の諮問書と業績評価書の本文となってございます。諮問書の読み上げについては省略させていただきまして、資料2−1の説明資料によりまして、ポイントを絞ってご説明させていただきたいと思います。
 A4横の資料2−1、説明資料をごらんいただきたいと思います。まず1ページをごらんいただきたいと思います。
 中期経営目標等に係るスキームについてでございます。今回ご審議いただく事項につきましては、3)18年度の財務諸表承認、そして4)18年度の業績評価、そして6)平成15年度から18年度の第1期中期経営目標期間、この4年間の業績評価、これら3つにつきまして、公社法第66条に基づいて審議会に諮問させていただいているものでございます。位置づけをご確認いただければと思います。
 続いて3ページをごらんいただきたいと思います。決算に関します財務諸表の概要でございます。中期経営目標ということで4年間の目標を定めておりますが、郵便につきましては積立金500億円以上という目標でございました。これに対しまして、累計で592億円ということで、4年間の目標を達成できたということでございます。ただし、15年度263億円、16年度283億円ときて、17年度、18年度が26億円、18億円という利益でございましたので、後半は大きく落ち込んでいる状況にございます。
 続いて貯金でございます。貯金は4年間の目標3.9兆円以上に対しまして、累計6兆3,562億円ということですので、大幅に目標を達成できたという状況でございます。保険でございますが、同じように4年間の目標、内部留保の積増額が3,000億円以上に対しまして、累計が2兆5,128億円ということで、目標を大幅に超えた状況にございます。
 4ページは今の数字をグラフにまとめたものでございまして、5ページをごらんいただきたいと思います。中期経営計画と4年間の実績の比較についてでございます。3事業それぞれ今申し上げた利益につきまして、経営努力によるものなのか、あるいは株式市場の影響等外部要因によるものなのか、要因分析を行ったものでございます。
 まず、郵便についてでございますが、中期経営計画では500億円以上、これに対して4年間の累計は592億円ということでございましたが、4年前の計画策定時に見込んでいなかった事項といたしまして、民営・分社化経費、減損損失、ふみカード廃止に伴う特損等がございまして、合わせると約370億円ほどの影響がございましたが、こういった財務諸表上マイナスな影響、これも含めました上でも目標が達成できたということが言えようかと思います。
 続いて郵便貯金についてでございます。貯金については、公社ができたときの日経平均が7,900円台だった。それが18年度末で1万7,000円の水準になったということでございまして、運用益が大きく上がっております。これが、貯金について申し上げますと、金銭の信託運用益でございますが、2兆5,983億円ということで4年間の実績が出ております。ただ、この運用益を除いてみましても、3.9兆円以上の目標に対しまして、運用益以外ということで、3兆7,578億円、これに民営・分社化経費、減損損失の影響を織り込みますと、株価の影響を除きましても、実質的にも目標を超えて達成できているということが言えようかと思います。
 続いて保険についてでございます。保険についても、同じように運用益の影響が大きく出てございまして、キャピタル損益等からの繰入額ということで、内部留保のほうに1兆8,685億円を繰り入れてございます。この影響を除きましても、6,442億円の内部留保の積み増しができたということで、当初の計画の目標3,000億円に対して6,442億円ということで、キャピタル損益を除いても達成できているという状況にございます。
 続いて6ページをごらんいただきたいと思います。18年度経営計画と18年度実績の比較についてでございます。
 まず郵便についてでございますが、郵便の18年度計画は、当初よりマイナス56億円の赤字の計画でございました。これは民営・分社化の経費が356億円を要するということで、それを織り込んだ赤字の計画になっていたものでございます。これに対しまして、実績といたしましては、この民営・分社化経費について204億円に縮減できた効果というものもありまして、18億円という黒字になってございます。
 それから、郵便貯金についてでございますが、貯金については、18年度中は株価に大きな変動はございませんでしたので、金銭の信託運用益はそれほど大きなものではございませんでした。その結果、金銭の信託運用益以外の部分でございますけれども、年度計画では6,280億円を見込んでございましたけれども、18年度実績としまして、貯金のところの上から2段目でございますが、8,846億円ということで、運用益の影響を除いても目標が達成できている状況になってございます。
 保険についてでございます。保険についても、2,259億円に対して、実績として1兆250億円でございましたが、キャピタル損益等からの繰入額を除きましても3,414億円ということでございましたので、目標を達成できたという状況にございます。
 続いて8ページをごらんいただきたいと思います。民営・分社化経費についてでございます。17年度、18年度、19年度の半年で、民営・分社化の経費として総額で6,859億円を見込んでいるものでございます。ただし、そのうち、3,000億円につきましては、準備企画会社への出資分でございますので、具体的な施策に充てられた経費といたしましては、その3,000億円を除いた約4,000億円分が施策に充てられる経費でございます。具体的な経費の内容につきましては、下の枠内にございます主な施策に記載しているような、情報システムの構築ですとか、業務研修の実施、あるいは直営店設置関係の設備、本社・支社社屋模様替え等の施策に経費を見込んでいるものでございます。
 続いて9ページをごらんいただきたいと思います。利益関係の数値以外にも、効率性の数値等の目標を設定してございますので、その達成状況についてご説明させていただきたいと思います。
 まず郵便についてでございますが、郵便の事業経費率は、4年間の目標の98.5%以下に対しまして、4年間累計で98.3%ということでございましたので、分母となる営業収益が落ち込んだものの、分子となります営業原価等の経費、この全般の節減を行ったという結果で、中期経営目標である98.5%以下を達成できたという状況にございます。
 送達日数達成率につきましては、15年度から18年度の各年度、4年間とも97.0%以上の目標を達成できた状況にございます。
 続いて11ページをごらんいただきたいと思います。貯金関係の効率性の指標、経費率についてでございます。経費率について、0.52%以下の4年間の目標を設定してございまして、4年間累計で0.47%ということでございましたので、目標達成できたという状況でございます。
 経費率の内訳にございますように、分子である営業経費について削減を図り、また、分母の郵便貯金平均残高は230兆円から193兆円ということで、減少している中で営業経費の削減を図った結果、目標達成ができたものでございます。
 続いて13ページをごらんいただきたいと思います。保険関係の効率性の指標等でございます。事業費率につきましては、4年間の目標5.1%以下に対しまして、4年間累計で5.14%ということでございましたので、目標を達成できなかったという状況にございます。この要因といたしましては、18年度の年度計画値5.74%、この5.74%以下に抑えれば4年間の目標も達成できたのでございますが、この5.74%に対しまして年度計画が達成できず、大幅に下回った6.1%と18年度の数値が下回ったことによって4年間の数値も目標を達成できなかったという状況にございます。
 分子分母を見てまいりますと、事業費率の内訳表のところでございますが、分子のほうの事業費について一定の削減を図ったものの、分母の保険料収入につきまして大幅に減少した結果、達成ができなかったものでございます。失効解約率につきましては、保険・年金ともに設定いたしました目標以下に抑えられたということで、ともに目標達成ができたというものでございます。
 続いて15ページの人件費の支出額についてごらんいただきたいと思います。人件費につきましては、公社化以前については損益ベースでとらえられなかったために、支出額ベースで、中期経営計画の中では目標値ではございませんで、目安として参考値が記載されているものでございます。公社全体で見てまいりますと、18年度のところ、ここが特徴的でございまして、計画値を上回って決算値がかなり高くなってございます。この人件費増の主な要因といたしまして、退職手当の増加ということで、平成18年度は団塊の世代の退職等が影響いたしまして、支出ベースで見ますと支出額が増加したという状況にございます。これが、括弧内の損益ベースで見ていただきますと、その影響も緩和されているものでございます。
 こういった人件費増の要因もございましたが、一方で、人件費抑制の取組といたしまして、機械化・効率化による減員、それから、非常勤職員の活用等をこの4年間図ってきたということで、職員数については、公社設立時、平成15年4月には28789人でありましたのが、18年度末には254,177人ということで、2万6,612人の削減が図られたものでございます。
 続いて17ページをごらんいただきたいと思います。物件費についてでございます。公社全体について、17年度のところは、計画値に対しまして決算値が上回っております。これはどこの影響かと申しますと、郵便貯金業務のグラフも同じように17年度のところが上回った状況でございますが、この要因といたしましては、日本郵政への出資3,000億円、この部分がこの貯金の物件費の支出に影響を与えているということで、これを除けば削減が図られているということが言えようかと思います。物件費抑制の主な取組としては、競争契約の推進ですとか、あるいは本社一括の複数年契約による契約内容の見直しですとか、経費使用の効率化等を図っております。
 続いて18ページをごらんいただきたいと思います。中期経営目標の各指標の達成状況ということで、これまでご説明いたしましたとおり、公社は中期経営計画の中で9つの数値目標を設定しております。そのうち8つにつきましては目標達成できているのでございますけれども、唯一保険の事業費率につきまして、4年間の目標5.1%以下に対しまして5.14%、また、18年度計画5.74%に対しまして大幅に下回って6.1%ということで、9つの数値指標のうち、保険の事業費率についてのみ達成できなかったという状況にございました。
 続いて19ページをごらんいただきたいと思います。コンプライアンスの徹底についてでございます。これは、昨年、一昨年の審議会の場でもご議論いただきまして、公社に対しましては、厳しく指摘・評価をしてまいった部分でございます。公社におきましても、コンプライアンスの徹底については問題意識を持っておりまして、公社設立以来、ここの公社全体の取組のところにございますが、体制強化ということでガバナンス/コンプライアンス委員会の設置、各局所に責任者を配置いたしましたり、また、レッドシートと呼ばれる防犯職務指針を設定いたしましたり、内部統制強化本部を設置いたしまして改善計画を策定し、予算、要員措置等を行ったり、個人情報保護シートを作成したりといった取組ですとか、行動憲章等の周知徹底等を図ってきていたところでございます。
 このように取組の強化については一定の評価ができると考えてございますが、その成果はどうであったかについて、例えば部内者犯罪の関係を見てまいりますと、長期・計画的犯罪というものは減少いたしましたけれども、衝動的犯罪が件数としては増加しておりまして、全体として減少傾向が見られないということで、取組姿勢については評価できる部分があるものの、成果としてなかなかあらわれていないということが言えようかと思います。
 各業務別に見てまいりますと、郵便については、昨年、経営改善命令を発出いたしまして、現在のところ、おおむねその予定に沿って施策が実施されておりますけれども、その効果については引き続き注視が必要な状況でございます。また、16年度以降、部内者犯罪は増加しているという状況でございます。
 貯金につきましては、部内者犯罪、預入度額超過、現金過不足事故等が依然として多発しているような状況にございます。
 それから、保険の取組についてでございます。保険も、郵便、貯金と同様に部内者犯罪が多数発生、多数の減給処分等にもかかわらず不適正募集が多数発生という状況に加えまして、無面接是正対策をほとんど未実施としたことにより、厳重注意(行政指導)を受けるなど、本社をはじめ態勢構築は不十分、システム障害を相次いで発生させ10万件を超える契約に影響を与えたということで、保険について申し上げますと、成果が出ていないということだけではなく、取組態勢についても不十分な面があるというふうに考えてございます。
 続いて20ページをごらんいただきたいと思います。部内者犯罪数につきましては、15年度公社が設立されまして、それ以降の部内者犯罪の件数は127件から140件あたりを推移しております。それ以前と比較いたしますと、それ以前は114件から162件の間で推移してございますので、公社になって15年度以降、部内者犯罪の件数が減ったかといいますと、公社化以前と比べても、必ずしも減少傾向が見られるとは言えないような状況にあろうかと思います。
 具体的に見てまいりますと、今の棒グラフの中で特徴的な点としましては、後半の17年度、18年度、非常勤職員の犯罪件数が、52件、50件ということで、非常勤職員による衝動的な犯罪が増えているということも見てとれますので、こういった点については、公社も問題意識を持って非常勤職員に現金を取り扱わせるときの習熟度チェック等、取組を強化しているところと聞いてございます。
 各業務別の犯罪の動向ですが、下のほうの表のところでございます。15年度公社設立時、初年度と18年度を比較しますと、郵便については63件が69件、貯金は37件が45件、保険については12件が17件ということで、3事業とも件数が増えている状況にあるということが言えるかと思います。
 続いて21ページをごらんいただきたいと思います。第一期国庫納付金について、ご参考までにご説明したいと思います。4年間を終えまして基準額を超える利益が積み立てられた場合につきましては、その超えた分の2分の1について国庫納付をする仕組みができてございまして、先般7月10日に国庫納付金として公社は9,625億円を納付してございます。この国庫納付につきましては、18年度までの財務諸表には影響がございませんで、19年度決算のキャッシュフロー計算書等に記載されるものでございます。
 続きまして、23ページから26ページまでにつきましては、今ほどご説明いたしました18年度の利益等の数値が入りましたP/L、B/S等でございます。27ページをごらんいただきたいと思います。財務諸表の承認に当たりましての法令上の提出書類及び記載事項といたしましては、まずB/S、P/L等の財務諸表、それから、添付書類としましての1)の事業報告書、それから、2)監事及び会計監査人の意見を提出することとされております。これらのものが定められた様式により必要な記載事項が記載されているかどうかが審査のポイントになるものでございます。
 続いて28ページをごらんいただきたいと思います。審査結果についてでございます。
 私ども事務方のほうで財務諸表についてはチェック確認をいたしまして、法令に定められた書類が省令で定められた様式により作成されていること、法令に定められた記載事項が記載された事業報告書が添付されていること、それから、監事及び会計監査人からの適正という意見が付されていること、以上のことから提出のあった財務諸表については承認することが適当であると考えてございます。
 続きまして、業績評価の関係についてご説明をしたいと思います。30ページをごらんいただきたいと思います。今回の評価のイメージ図についてでございます。今回は、4年目ということで、4年目の年度業績評価と、4年間の第1期中期経営目標、4年間の評価と18年度単年度の評価、この2つの評価を行うものでございます。
 続いて31ページをごらんいただきたいと思います。今回の4年間の業績評価の基本的考え方についてでございます。この考え方については、4月の分科会の場でもご審議、ご承認いただきまして、先週の分科会でこの基本的考え方に沿いまして評価書案をご説明させていただいたものであります。
 この基本的考え方といたしましては、過去の3年間の年度評価の考え方と基本的には同じ考え方に沿って評価をするという考え方でございます。1点特徴的な点をご説明させていただきたいと思います。32ページのところの評価結果イメージのところをごらんいただきたいと思います。今回4年間、結果が出て成果が出た結果をきめ細かく評価するということで、年度の評価はABCDEの5段階でございましたけれども、中期経営目標を大幅に上回って達成した場合を特Aとして6段階で評価を行うこととしたものでございます。
 続いて33ページをごらんいただきたいと思います。18年度の年度評価のほうにつきましては、継続性を重視いたしまして、過去3年間の評価と同様の形で、ABCDEの5段階、過去3年と同じ評価で実施してございます。
 続きまして、34ページをごらんいただきたいと思います。業績評価の概要についてでございます。
 まず表の見方からでございますけれども、この表の中で、四角の枠の中に入りました大きなアルファベット、この大きなアルファベットが4年間の評価結果でございます。そしてその横に、例えばB→A→B→Aとございますけれども、こちらの4つ並んだアルファベットが15年度、16年度、17年度、18年度と、順に各年度の評価でございます。今回はこの枠の中の大きなアルファベットの4年間の評価と、矢印の一番右側の18年度の評価、この2つの評価を実施したものでございます。特徴的な点について3点をご説明させていただきたいと思います。
 まず1点目としましては、利益関係の評価についてでございます。
 まず郵便業務関係についてでございますけれども、積立金500億円以上という目標に対しまして、592億円ということで目標が達成できておりますけれども、後半の2年間の利益が大幅に落ち込んだ状況にございました。こういったことも踏まえまして、4年間の評価がB、おおむね達成、単年度18年度の評価もB、おおむね達成ということにいたしてございます。
 続いてその右側の貯金と保険についてでございます。貯金・保険については、ともに3.9兆円以上、3,000億円以上というそれぞれの目標に対して大幅に超えて達成できた状況でございます。また、株価等の外部要因を除いても実質的に目標達成できているということを踏まえまして、4年間の評価としましては、貯金・保険ともに特A、大幅に上回って達成といたしました。また、年度評価についてもAということにいたしてございます。公社全体といたしましては、こういった郵便貯金・保険のそれぞれの達成状況を踏まえまして、4年間でA、また18年度もAという評価をいたしております。これが1点目でございます。
 続いて2点目といたしましては、コンプライアンスの徹底についてでございます。公社全体についてコンプライアンスの徹底ということで項目立てされておりますが、郵便貯金・保険の各業務については、お客様サービスの中の1項目としてコンプライアンスが含まれているものでございます。これは、これまでの審議会でもご議論いただいているところでございまして、取組については一定の評価ができるものの、まだまだ成果になってあらわれていないという点で、公社全体、郵便、貯金につきまして、4年間の評価がC、また18年度の評価がCということになってございます。
 保険のコンプライアンスの部分でございますが、保険につきましては、成果が出ていないだけでなく、取組体制も不十分ということでございますので、D、大幅に下回っているという厳しい評価しているところでございます。これが2点目の特徴的な点でございます。
 3点目でございます。3点目につきましては、公社が設定いたしました数値目標のうち、唯一目標が達成できなかった保険の効率性の指標についてでございます。ここにつきましては、18年度の事業費率が大幅に下回ったことによりまして、4年間でも目標が達成できなかったということでございますので、4年間の評価としてC、下回っている、そして18年度の評価としてD、大幅に下回っているという評価にしているものでございます。
 続いて35ページをごらんいただきたいと思います。評価結果の推移についてでございます。左側が4年間の評価の内訳でございまして、特Aが2項目、これは貯金と保険の利益関係でございます。それから、Aが3項目、Bが9項目とございまして、Cが4項目、Cの4項目は公社全体、郵便、貯金のコンプライアンスの関係、それから、保険の効率化の関係でございます。そして、Dの1項目が保険のコンプライアンスの徹底の関係でございます。
 15年度から18年度までの年度ごとの各項目の分布状況の円グラフでございますけれども、15年度から18年度の評価を見ていただきますと、年々厳しい評価結果になっているという状況でございます。
 続きまして、37ページをごらんいただきたいと思います。37ページから43ページまでにつきましては、先ほど特徴的な点をご説明いたしました評価結果の概要についてまとめたものでございます。評価結果とともに課題についても指摘してございます。特徴的な点だけ少しご説明させていただきますと、まず、37ページの財務内容の健全性のところでございます。公社全体につきましては、評価をAといたしておりまして、課題といたしましては、郵便取扱部数、保険契約数の継続的な減少等、依然として厳しい経営状況にあることから、今後の健全な事業運営に向け、恒常的に利益を生み出すことができる体質の確保に努めることが必要ということで指摘をしてございます。郵便、貯金、保険についても、それぞれ課題を指摘しているところでございます。
 続いて39ページをごらんいただきたいと思います。サービス水準の維持向上の部分で、上から2つ目、コンプライアンスの徹底は、公社全体でCとしてございます。部内者犯罪、個人情報、不適正事案の増加や、簡易保険の無面接契約が散見されるなど、コンプライアンス違反事案が多発しており、コンプライアンスの徹底が不十分。各施策に対しPDCAサイクルが十分に機能する推進体制と職員へのコンプライアンス意識の浸透・徹底が必要と指摘してございます。特に保険については、Dという評価とともに、コンプライアンスについて、依然として部内者犯罪や不適正募集、顧客情報の漏えい・紛失等の事例が多く発生。また、不祥事件等への対策の進捗管理態勢にあっては、無面接是正対策をほとんど未実施としたことにより厳重注意を受けたことなど、本社をはじめ態勢が不十分。経営陣を含む職員全体のコンプライアンス意識の徹底・浸透を万全のものとし、さらに改善するため、より一層の努力が必要と指摘しているところでございます。
 以下18年度業績評価結果も含めまして、43ページまで取りまとめているところでございます。
 財務諸表の承認と業績評価結果の概要につきましては、以上のとおりでございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○森下会長 ありがとうございました。それでは、続きまして、樋口分科会長からご報告をお願いします。
○樋口委員 ただいま説明されました内容をもとにして分科会で論議をしたわけでございますが、主な委員からの発言の内容をかいつまんでご報告しますと、全体に厳しい内容については、厳しめの評価がしてあるんですけれども、民営化という現在大きな節目にあるので、問題点を厳しく追及するのは結構ではないかという意見。それから、全体に見て利益は上がってはいるんだけれども、それを支える売り上げが減ってきていることは大きな課題ではないか。それから、コンプライアンスの徹底を追求する余り、現実に窓口の職員がしゃくし定規とならないようにすることが必要ではないか。それから、厳しい評価をつけたものについて、達成できなかった原因が内的な要因、つまり、当社の経営努力によるものなのか、外的な要因、つまり、制度とか外部環境によるものなのかをわかるような評価が重要だという点、それから、保険について、事業費率が18年度に高騰しているわけですけれども、これは大きな問題ではありますが、事業費が絶対額としてそのものが高くなっているということも問題である。それを支える分母になる保険料収入が下がっているということについての分析もさらに必要ではないか。それから、コンプライアンスの関係では、非常勤職員の犯罪が増えているが、要因の分析が必要ではないかというような意見が出されました。
 以上のような意見を総合的に勘案し、論議いたしました結果、経営・評価分科会としては、平成18年度の財務諸表及び業績評価に関する総務大臣の諮問内容については適当と判断し、総会へご報告するものであります。
 以上でございます。
○森下会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの2件の審議事項につきまして、皆様方のほうからご意見なりご質問をいただきたいと思います。どうぞご自由にご発言ください。
○斎藤委員 事前の説明では、19ページを拝見いたしますと、簡易生命保険の取り組みで、コンプライアンス統括部長が発足以来不在であったということがございまして、これはゆゆしきことかと思っておりましたら、きょういただいた資料にはそれが出ておりませんで、これはどういうことなのか、ちょっとご説明をいただけたらと思います。
○鈴木総合企画室長 お答え申し上げます。
 保険について、コンプライアンス統括部長の下の担当部長が部長を兼務するというような形で対応していたという状況にございましたので、それについては、部長が不在であり、確かに専任で1人部長が当てられていたわけではなかったというのは事実ですが、兼務で対応していたということでございますので、その事実は事実として間違いではございませんけれども、ここの中で特に強く指摘すべき事項としてはもっと課題がございますので、そちらの課題を記載させていただいたということでございます。
○森下会長 ほかにはございませんでしょうか。分科会のほうの報告もございましたが、何かございませんか。
○大田黒委員 今のコンプライアンスの徹底に関して感想を述べさせていただきたいと思うんですが、長年にわたってコンプライアンス徹底の努力をされてきたわけですが、なかなかそれの成果が上がらないという状況でありますけれども、それについて2点だけ、ちょっと考えました。
 1つは、各職員への浸透をいかに実施するかと。この方法に関して、もう少し検討すべきではないかというふうに思われます。資料を見ますと、管理者研修ですとか、あるいは会議を通じてのいろいろな徹底とか、あるいはマニュアルの整備ですとか、いろいろ行われているわけですが、それらとともに、やはり各職員に対する徹底という観点でいかにすべきかという点を十分に検討すべきで、例えば職場での上司による直接対話ですとか、そういう側面をもう少し繰り返し行うなど、増やすべきではないかという感じがいたします。資料の中でも局内のミーティングによる指導などが行われているわけですけれども、そのあたりの方法論に関して、場合によりましては、他の企業の例なども参考にしながら徹底していっていただきたいというふうに思われます。
 それから、2点目ですが、公社設立時に比べまして、先ほどのご説明ですと、2万6,000人あまりの常勤職員の数が削減されたというふうになっているわけですが、それによって非常勤職員が増加しているというような職場の状況の中におきまして、一方で収益増加の要請とか、あるいは経費削減というような要請の中で、職場への影響がどうなっているのかと。非常に大量の本務者の削減ということになりますので、その結果、職場での望ましいと思われますコンプライアンスの徹底といった点について、なかなかそういう方向がとれないのではないかという感じがいたします。
 そうしますと、このような人員の大幅削減が、管理者とか、あるいは職員への負担が非常に重なってきているということから考えますと、もちろん収益等の拡大の要請というものも非常に大切なんですが、コンプライアンスの徹底というのもそれとともに重大な要請でありますので、その両方の要請をバランスよく行っていくというようなことも必要になってくるのではないかと、こういう感じがいたします。
 結論から申し上げますと、このような大幅な常勤職員の削減に伴って、職場へのいろいろな影響、この点をコンプライアンスの徹底の観点で十分に対応策を考えていただきたいと思っております。以上です。
○森下会長 ありがとうございました。貴重なご意見として対応していただきたいと思います。何かコメントございましたらどうぞ。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 貯金企画課長・保険企画課長の淵江でございます。貴重なご意見ありがとうございます。公社のほうにきちんと伝えたいと思います。
 ここ何年か、貯金・保険のコンプライアンス対応を見ていまして、最初は規定をつくって、それを郵便局に出すだけから始まりまして、どうも出しただけではなかなか郵便局ではそのままじゃうまくいかない。管理者の研修をやったり、職員の研修をやって、今度は、研修をしなさいという指導で、ちゃんと研修をやったかどうかというのはどうも定かではないということで、その研修の中身について、今度はどういう研修をしたかというのは本社のほうでフォローするようになってきた。その後、最近聞いているのは、職員に対する、どの程度理解をしたかという、テストと言ってはおかしいですけど、そういう報告を求めることも始めたりしていると。
 それから、もう一つは、コンプライアンスのほうが非常に厳しくなったということで、できる局につきましては、例えば保険なんかでしたら、営業担当の課長と、それからコンプライアンスの課長と2人体制にするようなところもできてきまして、結果がまだまだ出てきてないのが実態かとは思いますけれども、公社のほうもそれなりにコンプライアンスの徹底について努力をしているんじゃないかなと思っております。民営化するに当たって、さらに一層の徹底がされるように注意して見ていきたいと思います。大変貴重なご意見だと思いますので、公社のほうにもまた伝えたいと思います。
○森下会長 ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、ただいまの議案につきまして、総務大臣諮問第288号の「日本郵政公社の平成18年度財務諸表の承認」及び第289条号「日本郵政公社の業績評価」につきまして、適当と認めて総務大臣の諮問どおり答申するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○森下会長 ありがとうございました。それでは、そのように決定をさせていただきまして、答申書の取り扱いにつきましては、事務局で所定の手続に従って運んでいただきたいと思います。大変貴重なご意見ありがとうございました。また、事務局を通じ、公社にお伝えをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次の審議事項でございますが、「郵政行政審議会議事規則及び公開に関する細則の一部改正」につきまして、審議に入りたいと思います。
 本議事規則は、当審議会の議事の手続など審議会の運営、また本細則は、審議会の公開の手続につきましても定めるものでございます。
 それでは、原口総務課長によりご説明を願います。
○原口総務課長 資料3をごらんいただきたいと思います。郵政行政審議会議事規則及び郵政行政審議会の公開に関する細則の一部改正についてでございます。
 郵政行政審議会議事規則は、郵政審議会令第10条により、また、公開に関する細則につきましては、郵政行政審議会議事規則第9条第3項により、ともに会長が審議会に諮って定めることとされております。
 まず1点目の郵政行政審議会議事規則の一部改正でございますが、これは、郵政民営化法等の施行に伴いまして、審議事項の変更等を行うものでございます。後ろのほうに実際の条文、新旧をつけてございますが、多少わかりにくいので、2枚目、郵政行政審議会の構成という、ちょっと色のついた紙がございます。それによりましてご説明させていただきたいと思います。
 真ん中の段に日本郵政公社経営・評価分科会の審議事項が出ております。今回の郵政民営化法等の施行によりまして日本郵政公社法が廃止されることになりますので、基本的には評価分科会というのは、公社法に基づいてのさまざまな審議事項をご審議いただいておりましたので、ここにございますとおり、この赤の部分でございますが、基本的には審議事項がこの部分はなくなるということでございます。
 それで、黄色の部分でございますが、最後の半年間、この4月1日から9月30日までの中期経営計画目標についてご認可いただきましたけれども、それについての評価とか、最後の半年間の財務諸表等の承認というのは、これは残ってまいります。ですから、この2つの点につきましては、いわゆる平成19年度末までの審議事項として残るというような形の議事規則の改正でございます。
 それから、下に行きまして郵便・信書便サービス部会でございますが、こちらは郵便法は特に廃止はされませんが、若干の改正がございます。例えば民営化に伴いまして、これまで認可で行っておりました第1種、第2種の郵便料金、こういうものは届け出になりますので、そのような改正によりまして、若干でございますが、この赤い部分が審議事項から外れるということでございます。
 もう1点、郵便はこれまで郵便約款、それから、業務方法書によって業務が行われておりましたが、一番下の段にあります信書便、これは信書便約款及び信書便管理規程の認可という形になっておりますが、郵便も民営化するに当たりまして、これとあわせまして、つまり、業務方法書ではなくて、郵便業務管理規程というものをつくるようになっておりまして、その認可というのがこの青い部分ですが、新しく入ってくる部分でございます。
 それから、右に行きまして貯金・保険サービス部会でございますが、こちらにつきましても、郵政民営化法によりまして郵便貯金法、簡易生命保険法が廃止されております。そういう意味でこの赤の部分が審議事項から落ちているところでございます。ただ、例えば国際ボランティア貯金でございますと、この最後の半年にまた出た利子の配分というのがございますし、一たん配分した後も、いろいろな状況で使い残し等が戻ってきたりする場合、またそれを再配分するというようなこともございますので、貯金・保険の関係はこの赤の部分以外につきましては、いわゆる当分の間の経過措置の審議事項として残るというような形での規定の改正をさせていただくということでございます。
 今回の改正の内容は以上のとおりでございますが、郵政民営化法では郵政行政審議会そのものについては特に言及しておりませんので、審議会自体は残ると。例えば評価分科会ですと、19年末までの経過措置としての審議事項だけにはなりますけれども、例えば分科会所属の方々も、いわゆる郵政行政審議会の全体の総会の中での議論等にはまたご参加いただくと、そのような形としては続くものでございます。
 ただ、法律的にはそうでございますが、実際、これだけ審議事項が変わっていくということで、現在、郵政行政審議会はどのような形にしていったらいいのか、私ども検討させていただいているところでございまして、ある程度の一定の方向性が出た段階におきまして、また審議会等でご報告させていただければと思っております。それが1点でございます。
 もう1点、公開に関する細則につきましては、また1枚目の紙に戻っていただきまして、1枚目の紙の2でございます。ここにありますとおり、現在、審議会の資料の関係の公開は、閲覧という方法だけになっておりますが、時代に合わせまして、多少遅過ぎたのではないかというぐらいでございますが、資料につきましては、今後はホームページの掲載による公開という方法を追加させていただきたいと思います。この2点、以上でございます。
○森下会長 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問なりご意見がございますでしょうか。
 特にないようでございますので、ただいまの「郵政行政審議会議事規則及び公開に関する細則の一部改正」につきまして、ただいまのご説明にあったことで決定するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○森下会長 ありがとうございます。そのように決定をさせていただきます。
 次に、諮問事項ではございませんが、日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画につきまして、説明をお願いしたいと思います。原口総務課長よりお願いします。
○原口総務課長 資料4でございます。2枚紙をめくっていただきまして、1ページでございますが、実施計画の法的枠組みというのがございます。この実施計画といいますのは、今、会長さんからもお話がございましたように、あくまで公社の業務等の承継に関する実施計画というものでございます。
 これにつきましては、法律上、いわゆる内閣総理大臣及び総務大臣――この内閣総理大臣というのは、実際は金融庁長官に委任ということのようでございますが――が基本計画を定めることになっております。それで、その基本計画に基づきまして日本郵政株式会社のほうに実施計画の作成を指示するという形になっております。日本郵政公社はこの作成に協力するという形でございます。今回この指示に当たりまして、4月30日までに提出しろという指示をしておりましたので、去る4月27日、日本郵政株式会社から私どものほうに認可申請が上がってきているものでございます。認可申請が上がってまいりますと、私どもは郵政民営化委員会の意見を聴取した上で財務大臣とも協議をし、認可をするという段取りになっております。既に郵政民営化委員会に対して意見聴取の依頼をし、また郵政民営化委員会のほうは、去る6月8日、私どもに意見を言ってくれております。
 また、法律上、郵政民営化委員会が私どもに意見を言った場合には、その意見を国会に報告するということになっておりまして、これにつきましても、既に6月12日に報告されているところでございます。
 ただ、この意見の内容は、本実施計画は日本郵政公社の業務等の承継に関する基本計画、日本郵政公社の業務等の承継に係る実施計画に関する命令、付帯決議の尊重等の政府の方針に適合しているものと認められるという、意見としてはそれだけの意見でございました。今、私どもはその内容を精査しておりまして、財務大臣との協議が整えば、今のところの予定といたしましては、9月上旬には何とか認可したいと思っております。この実施計画の中では、職員一人一人がどこに配属されるかということも記載されているんですが、日本郵政株式会社は法律上、民営化の2週間前までには各職員に正式に配属を通知することとなっておりますので、民営化の2週間前までには私どもとして認可をする必要があるということでございます。
 1ページめくっていただきまして、実施計画とは何が書いてあるかということでございますが、あくまで先ほど申し上げたような趣旨ですので、まず1といたしまして、引き継がれる業務その他機能の種類及び範囲、2としまして、承継させる資産、債務、その他の権利及び義務、3といたしまして、引き継がせる職員、4として、適切かつ円滑な承継に関する事項、この4は、1から3のような分け方をしたときに、各会社がきちんと健全経営ができるかということを示すための経営の見通し等が出ている部分でございます。
 全体は、右上にございますように、40万枚ほどになっておりまして、実際、2トントラック2台で運ばれてきたんですけれども、ただ、圧倒的部分は簡易郵便局の関係でございまして、簡易郵便局が四千何局ございますが、それぞれごとに銀行代理店のみなし認可のための書類とか、それぞれごとに郵便局会社との契約書とかがございますので、その関係が圧倒的で9割ぐらいでございます。
 1ページめくっていただきますと、引き継がせる業務でございます。これは、あくまで基本的には引き継がせる業務でございますので、今、公社がやっているものを各民営化会社にどう引き継ぐかということでございます。ただ、日本郵政株式会社、郵便事業会社、郵便局株式会社につきましては、既にある程度具体的に検討しております新規業務につきましては、この実施計画に記載し、私どもが認可することによって、その新規業務もみなし認可、また日本郵便局会社の場合はみなし届け出されることになっているものでございます。
 ここの☆印のものが新規業務でございます。ただ、例えば日本郵政株式会社の人事・経理業務とか、郵便事業会社のロジスティクス業務とか、このあたりのものは、実は今、それぞれ公社の中でやっているものが、公社1社だったのが、例えば郵便局会社だとか、貯金銀行だとかに分かれる関係で別会社に対して業務をやることになるので、新規業務ということで出てきているものでございます。もちろんそれぞれの会社は、今回の民営化会社、グループ会社に対してのサービスを提供し、さらに余裕があれば、他の会社にもそういう業務は提供したいというふうに言っているところではございます。
 そういう中で多少なりとも実質的な新規としての意味があるものは、郵便局会社の右側にございます、1つは生保の受託販売、いわゆる簡保以外の生保について窓口で受託販売をしたい。それから、2が損保の受託販売、これは今、バイク自賠責だけは別の法律でできることになっておりますが、それ以外も含めて一般的に損保の受託販売をしたい。それから、一番下の承継会社が承継する不動産を活用取得するのは不動産業務、例えば東京中央郵便局はいい場所に建っているので、それを活用して不動産業務をしたいというような話でございますが、この3つがそういう意味では新しい業務でございます。
 それから、郵便局会社の右側の上から3つにありますカタログ販売、これはいわゆるふるさと小包の販売でございます。今、関係の財団がやっているんですけれども、郵便局会社に取り入れて、みずからの業務として行いたいということでございます。
 1ページめくっていただきますと、承継させる資産・債務でございます。一番大きいのは各会社の純資産がどうかということでございますが、ここにございますとおり郵便事業株式会社、郵便局株式会社は純資産2,000億円、郵便保険会社は純資産1兆円、貯金・保険管理機構は70億となっております。あと最終的に資産・債務が固まりますのは、最後の半年間の財務諸表が固まった後ですので、かなり先になりますが、今のところの見込みといたしましては、郵便貯金銀行が7兆6,670億円、それから、日本郵政株式会社はこれらのそれぞれ各社を合計した7兆9,390億円となっているところでございます。
 あと特徴的なことといたしましては、日本郵政株式会社は、現在の公社の本社とか、あと宿泊施設、いわゆる簡保の保養所とか、郵便貯金会館とか、それを保有する。それから、当然のことながら、資産の中心は4子会社の株式でございます。
 それから、郵便事業会社は、いわゆる郵便関係の集配拠点局とか郵便の専門局、このようなものが郵便事業会社になるというのが特徴でございます。
 郵便局会社は、今、全国にございます支社、昔の郵政局でございますが、これの建物、それから、社宅・研修所等は郵便局会社につくことになります。あと郵便局は、いわゆる集配にはかかわりない郵便局がつくのが原則でございますが、ここに例外的に東京中央郵便局、大阪中央郵便局、名古屋中央郵便局駅前分室、この3つは郵便局株式会社に所属することになっております。といいますのは、この3つにつきましては、先ほど申し上げました、活用した不動産事業、現在、具体的な計画ができつつあるということで、この3つの郵便局は、本来集配をやる郵便局でございますが、郵便局会社の所属になっております。
 それから、下に行きまして、郵便貯金銀行でございますが、当然のことながら貯金事務センターはここにつく。それから、資産の中心は郵貯資金に見合う運用資産でございます。
 それから、郵便保険会社でございますが、これは当然、簡保事務センター、それ以外は簡保資金に見合う運用資産が資産でございます。
 1ページめくっていただきまして、引き継がせる職員でございます。現在、実在員が公社は241,400名でございます。ここにありますとおり日本郵政株式会社3,600名、郵便事業会社10万名、郵便局会社12万名、郵便貯金銀行1万1,600名、郵便保険会社5,400名、このような形になっております。ただ、日本郵政株式会社、持株会社は本社は600名程度でございまして、残りは、先ほど申し上げた宿泊施設とか、あとは例えば逓信病院の運営とか、そのような要員が人数的には多くなっているところでございます。
 1ページめくっていただきまして、6ページでございます。組織体制でございます。これは先ほどの所有とは違って、組織体制としてはこのようになっていると。例えば郵便事業会社、支社13でございますが、支社の保有は郵便局会社ですので、これは借りてということでございます。この中で特徴的なことは、もともとの民営化の当初の方針では、いわゆる郵便貯金銀行、郵便保険会社、すべて郵便局会社に業務は委託するとなっていたところでございますが、これを見ていただきますとわかるとおり、郵便貯金銀行が直営店234、郵便保険会社は直営店が81ある。ここら辺が1つ特徴でございます。
 1ページめくっていただきまして、これらの分け方でほんとうに経営が成り立つのかという業務の運営の内容及び見通しでございますが、ここにありますとおり、とりあえず各社、当面黒字を続けられるというような形になっております。私どもは今、ここら辺の前提条件、その他いろいろ精査しているところでございまして、そういうものが終了し次第、財務大臣とも協議し、認可に向けての準備をしたいと思っております。
 実施計画の内容は以上でございます。
○森下会長 ありがとうございました。ただいまの説明で何かご質問なりご意見はございませんでしょうか。
○田尻会長代理 ただいまのご説明に関連いたしまして、この総会は、2カ月後に迫りました民営化目前の最後の総会ではないかと思いますので、これは郵政行政当局への要望として2つの点を申し上げたいと思います。
 先ほど来ご説明いただきました中期経営目標の評価に関する概要の34ページでございますが、この中身は極めて象徴的なものでございまして、1)の経営の健全性の確保に関する事項については、想定以上の大変よい成果を上げられたわけでございますけれども、肝心の利用者、お客様との関連における国民的サービスという点では、横ばいないし年々サービス水準が低下してきているという結果を示しておるわけであります。このことは、民営化論議の中で、庶民レベルで最も懸念いたしました問題点が、少なくともこの公社4年間の実績の中でその論拠を持ち始めているというふうに私は受けとめました。
 こうしたご説明の中で、成果が出ている、出てないの以前のところで、取り組みそのものがされていなかったという重要なご指摘がございましたけれども、これはまさにマネジメントレベル、組織レベルの体質の問題でございまして、このDNAは民営化後の日本郵政グループにそのまま承継されるものでございます。そうした観点から、郵政行政当局としては、民営化後の日本郵政グループのパフォーマンスに関して、大切なのは1)よりも2)のほうでございますので、こちらのほうのサイドからモニタリング機能をしっかり強めていただいて、その徹底した情報開示によって、国民的なプレッシャーの中できちんとした規律を実現していくという方向性をぜひ打ち出していただきたいなと思うわけでございます。
 そうした観点からお尋ねとお願いでございますが、民営化から株式上場前後の政策対応についてでございます。先般、評価分科会でヒアリングにおきまして、日本郵政のトップからは、市場にリンクした社会的企業としての経営理念をご説明いただきました。そのことは私も大賛成でございますけれども、少なくともこの承継されるDNAは、日本郵政グループ任せではそれが担保されないというふうに考えざるを得ないと思います。そういたしますと、日本郵政グループのご希望どおり、民営化後3年目に上場されて5年以内に完全売却ないし一定範囲で売却するというグループ内の3者の市場放出計画によれば、民営化から8年後には、日本郵政グループは郵便事業だけの事業体になるのでしょうか。そして、郵政行政はそれと連動して、郵政行政ではなくて郵便行政に撤退・縮小なさるというのでしょうか。つまり、政策対応については、民営化一括法の論議の中では何も示されていないわけですね。これは今後、総務省におかれては、郵政行政の根幹というのは一体何のか、その範囲とは何なのかということを、ぜひ中期的な姿勢として方向性を打ち出していただきたいというのが第1の質問とお願いでございます。
 第2は、市場の規律と申しましても、現実に上場会社の市場の規律は、大口株主ないし機関投資家の規律でございまして、大方の、3,000万人を超えたと言われております個人投資家による規律はほとんどそのパフォーマンスに反映されていないというのが、学術的な研究でも実証されています。つまり、今回の日本郵政グループの民営化は、NTTクラスの100万人規模の個人投資家を生むと思いますけれども、これはまさに声なき集団でございまして、市場の規律に対して直接的な影響力を持ち得るパワーには到底なりがたいと思います。そういたしますと、政策当局として株主権というものを通じてガバナビリティーを発揮するには、お国の持株シェアの問題だけではなくて、もう一つ、個人株主というものと日本郵政グループとの関係をどのようにつくっていくのかということについて、日本郵政グループの資本政策に任せ切りなんでしょうかということをお尋ねしたいと思います。
 従業員持株会を上場と同時に発足させるというのは私も大賛成でありますが、従業員持株会というのは、従業員の経営参画意識と資産形成を目指すものでありまして、これは、いわゆる市場の規律と呼ばれるものとは異質のものかと思います。しかも、日本郵政グループの従業員持株会というのは、一般事業会社が上場して後、その働いた成果を配分する仕組みというよりは、これまでの130年間の国民の共有資産をベースに発行される株式を公務員が先取りすることになるわけであります。親引けというのは、禁止の中でも従業員組合だけは例外的事項として認めております法の趣旨は、先ほど申し上げた2つにあろうかと思います。
 そうしますと、従業員持株会が社会性を持った行動をどうおとりになるのかによって、先ほど申し上げたような、公務員だけが日本郵政グループの株式を先取りするのかという批判にこたえられないということだろうと思います。そういう意味では、労使が従業員持株会というものをどう株主権の中で機能させていくのかということについての取り組みが必要だ。そういう面での行政指導が必要かと思います。
 もう一つは、法制度上の整備でございまして、日本郵政グループの個人株主が長く持てば、その株主権について優遇されるなどの株式の種類を増やすとか、あるいは県市町村といった地域の社会の声が直接株主総会を通じて反映できるような仕組み、すなわち第三者割当等の措置が当然私は必要だろうと思います。これを日本郵政グループの資本政策の範疇ですということで、行政当局は何もなさらないで今後いかれるのかどうかという点についても、今ご回答いただこうとは思いませんが、国民的な命題として政策当局に今お考えいただきたいということでございます。
 長くなりまして恐縮でございました。
○森下会長 非常に次元の高いお話なので、すぐに法整備の問題もあると思いますけれども、何かコメントがありますか。あと検討なら検討という形でも結構だと思いますが、当局のほうから。
○原口総務課長 貴重なご意見、ありがとうございます。多少公社の弁護になるのかもしれませんが、1点だけ申し上げますと、今、評価するに当たって、最初、1年目のときの評価分科会でもそういうご質問をいただいて、私、答えた記憶があるんですけれども、私ども、評価する基準は、1年目と4年目と同じ基準とは考えておりません。つまり、1年目はほんとうに初めて公社なって、今であればあと半年で民営化する、いわゆる銀行法、保険業法のもとで業務をしなければいけないと。そういう時期の違いがございますので、それぞれに応じて、私ども、もともとの評価の基準を上げてきてはおりますので、全体の点数が低くなってきているということが、ほんとうに絶対的に悪くなってきているということだけではなくて、本来、もうあと半年だから、これだけなきゃいけないんじゃないかという、そういう評価の基準との関係で言えば厳しくなっているということだということだけは1点ご理解をいただければと思います。
 あと、今お話を承りましたいわゆる貯金・保険の関係でございますが、法律的に言いますと、確かに移行期間が過ぎますと、郵貯銀行・簡保生命は商法上の会社になりますので、そういう意味では全く銀行法、保険法業の世界に行きますので、私どもには直接は関係ないということでございます。ただ、私どもといたしましては、1つもちろん郵便事業がございますが、基本的には全国にある郵便局、その郵便局において、それぞれの地域の方々が必要なサービス、それは郵便であり、また、場合によれば金融サービスかもしれませんし、また、その時々のご要望でもっとさらにいろいろな地域の方々のためにやるべきことがあるかもしれませんし、そのような機能もできる限り維持していって、国民の皆様に喜んでいただく、便利に使っていただく。そのようなことをずっと今後、維持発展していくのが私どもの基本的な考え方、仕事だというふうに思っております。それが1点でございます。
 それから、2点目の資本の関係につきましては、法律的にいうと、基本的にはまずは会社のほうが考えることということではあるんですけれども、また今後、私どももいろいろ勉強させていただいて、国民にとってよりよい形というのはどういうものかというのは、また勉強させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
○森下会長 ぜひただいまのご意見、民営化後の法律に定められているものと、これから法律をどうこうするという問題もあろうかと思いますけれども、当局のほうでいろいろとただいまのご意見を取り入れていただいて、検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ほかにはございませんでしょうか。
○吉野委員 資料4で最後にご説明いただきました3ページのところで、実施計画で全部で5つの会社が書いてあるんですが、今の田尻先生とも少し関連するんですが、日本郵政株式会社は、一番上で4子会社の株式を保有されるわけですが、この配当というのは、最初のころ、どういう形で配分されるようになっているんでしょうか。
 それから、あと簡保とか郵貯が郵便局会社を使う場合に手数料というのがあると思うんですが、今までは全部内部でやっていたと思うんですけれども、どのように今後決められていくのか、教えていただければと思います。
○森下会長 ただいまのご質問に対して、当局のほう、お願いします。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 郵便貯金銀行と、郵便保険会社と、それから郵便局株式会社の間の手数料の関係でございますけれども、基本的には両者の間で手数料関係をどうするかということでやっていまして、聞いたところによりますと、それぞれのトランザクション、あるいは新規加入の関係、それから、契約とか何かを維持する関係ということで、それぞれについて幾らの手数料にするという形で当初設定をするというふうに聞いております。
 問題は、その設定基準といいますか、どの程度の割合でやるかということが今後非常に問題になってくるのかなと思っておりますけれども、当事者間の関係でございますけれども、今後、一般の銀行なり保険会社の商品を売ることになってくると思いますので、そのときには手数料関係が幾らになるかということで、自然に適正化されていくじゃないのかなと。適正な価格が出されているんだろうなというふうに思っておりますが。
○吉野委員 この設定が最初、割合重要だと思いまして、片一方としてはあまり払いたくないし、片方はすごく手数料をいただきたいという相互独占だと思いますので、ぜひ適切なところから始めていただければと思います。
 あと、先ほどの株式の保有の配当というのは、最初はないんでしょうか。それとも、これも最初から幾らかあって日本郵政株式会社のほうに配当が行くんでしょうか。
○鈴木総合企画室長 お答えさせていただきます。初年度である平成19年度については、持株会社の収益には、各子会社からの受取配当金は見込んでおりません。平成20年度以降は、各子会社の前年度の利益の一定割合が配当収入として持株会社に入ってくるというような形で、この利益見通しの中では見込んでおります。それぞれの子会社の前年度の利益の、この中ではひとまず4割ということで一定において、試算の中ではそういう形で持株会社に入るようにしていますので、1年ずつおくれて、各子会社の利益の一定割合が翌年度に持株会社に配当収入として入るような設定になってございます。
○森下会長 ほかにございませんでしょうか。
○針ヶ谷委員 先ほど田尻先生から話があったんですが、これから行政とのつながりの中で残ってくるのが郵便事業ぐらいかなという話があったんですが、そうなってくると、一番心配なのは、特に地方なんですけれども、やっぱり郵便局と行政というのは非常に密接な関係があるわけなんですが、それがだんだんとなくなってしまうのかなという心配があるんですが、その辺どうなんでしょうね。地方行政と地方の郵便局の関係なんですが。
○原口総務課長 法律的に言いますと、いわゆる郵便局会社としては、できる業務になっております。しなければならない業務ではないんですけれども、本来の郵便局会社の趣旨から考えれば、当然必要なそういう行政との連携というのは、私どもとしてはしていただけるというふうには思っております。
 あともう1点、いわゆる各地域の方々が郵便局会社に対して、こういうような業務をしてほしいと、そういうようなことがございまして、ただ、それは郵便局会社としてはなかなかペイしないので、単独ではできないというような場合は、実は郵便局会社が地域貢献計画という形の計画をつくりまして、それを私どもが認可しますと、いわゆる持株会社の中に積み上げられている地域社会貢献基金というのからお金が出て、一種の郵便局会社の補助金みたいなものなんですが、それによって地域の方々からご要望いただいているような業務を行うというような仕組みもございます。
○針ヶ谷委員 ちょっとその辺が心配だったものですからね。
○森下会長 いずれにしても、民営化後につきましては、ただ民営化委員会だけでなしに、何か行政のほうを含めて少しモニタリングをしておく必要があるというふうな、ちょっと不安のご意見だと思いますから、どうぞその点、行政の立場から、民営化した後のフォロー、モニタリングをする必要があるというふうなご意見だと思いますね。
○梶川委員 今、各先生から言われたことと重複になるのでございますけれども、先ほど言われた、各会社との手数料という部分というのは、郵便貯金・保険などはまさに市場の競争、金融サービスとある程度公的なサービスの切れ目の経済の分担ですし、郵便事業そのものの中でも、今後、国際物流と、例えば市場競争されるサービスと、信書便のようにある程度独占的なリザーブエリアのサービスと、この区分けみたいなものに対してのコストの配分、ですから、内部コスト管理及びそれが外部との手数料としてのコスト配分というのは、公的な経済と民間財とのまさに切れ目になるので、単に手数料の決定というだけではなく、非常に行政的には重要な監視項目になるのではないかということで、ある意味では公的なもので民間の競争を阻害する要素もありますし、反対にその逆という原理にもなると思いますので、単に手数料という意味だけではなく、非常にコストの管理的なものと、それから、それに対する対価収受が非常に重要なテーマになるのではないかという気がしておりますので、ぜひ行政的な基本方針というのも、まだ全部が純粋に民営化されるまでの過渡期の間は非常に重要な監視項目になるのではないかと思います。
○森下会長 ありがとうございました。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 梶川委員のおっしゃること、非常に身にしみて思っておりまして、行政としては、やっぱり郵便局のほうをきちっと維持していかなきゃいけないという側面もございますし、一方で、郵便貯金銀行、それから、郵便保険会社がやっぱり過度な負担になってしまうと、一人前の民間金融機関として生きていくには大変厳しくなるということで、どこで落とすのかなというのは非常に行政として関心を持っています。
 それから、もう一つ言われておりますのは、郵便貯金銀行と郵便保険会社を今度は上場しなければいけないということで、過度に一部に負担をかけていたり、そこに過度に寄りかかっていると上場ができないという話もございまして、その点からも、上場審査に当たってもご指摘を受けているところでございまして、どこでバランスをとるかというのは非常に難しいんですけれども、委員のおっしゃるとおり、行政としても高い関心を持って見ていきたと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○梶川委員 そういう意味で、今の公開のテーマなどは、まさに株主と取引業者の利益相反の典型みたいな話に兄弟会社といえどもなる部分を、これはあまりに話が大きいものですから、通常の審査テーマと少しずれるんでしょうけれども、まさに大きくクリアしていかなければならない観点になると思いますので、よろしくご指導のほどをお願いしたいと思います。
○淵江貯金企画課長(併)保険企画課長 ありがとうございます。今後ともご指導を賜りたいと思います。
○森下会長 数々のご意見、ご注文をいただきましてありがとうございました。どうぞ。
○國井委員 1つお尋ねしたいんですけれども、国の収支として、今は、国庫納付金として、平成19年7月は9,625億円ありますが、今後これは税金としての収入になるわけですね。利益次第だとは思いますが、国の収支としてこれはどのくらいになると予想されていますか。同じくらいと見ていらっしゃるんですか。それともかなり差が出そうだと思われているんですか。
○鈴木総合企画室長 国庫納付につきましては、一定の基準額を超えた分の50%の利益を納めるという形になっていますので、単純にぱっと民営化後の税と比較するのが難しい部分がございまして、一定の基準額までは100%公社のほうに内部に積み立てますけれども、その超えた分は50%であるというのに対しまして、民営化後は法人税の実効税率は4割程度ということになります。ただ、国庫納付という制度と税という制度はその趣旨も算出方法も別々になっていますので、納付率と税率のみを比較することは適当でないと思いますし、その額について正確に比較した数字はちょっと今は持ち合わせてございません。
○國井委員 難しいと思いますけれども、結構大きい金額ですので。
○鈴木総合企画室長 そうですね。前回の分科会の場でもちょっとご指摘をいただいたんですが、公社がこのような形で1兆円近くも国庫に納付し成果を上げているのであれば、公社においてもっとこれを積極的にアピールすべきではないかということを分科会の委員からもご指摘をいただいておりますことを、御紹介させていただきます。
 以上でございます。
○森下会長 よろしゅうございますでしょうか。所定の時間も少しオーバーしたようでございます。以上でご質問を終わりたいと思います。
 本日の予定いたしておりました議事がすべて終了いたしましたので、これをもちまして閉会とさせていただきます。
 この後、私がきょうの内容をまとめまして記者会見をいたしまして、議事の模様を公表したいと思います。委員の皆様方、大変お忙しい中をご出席くださいましてありがとうございました。
 
閉会



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