1 公表の趣旨
国家公務員法(昭和22年法律第120号)第54条第1項の規定に基づき、職員の採用、昇任、降任及び転任に関する制度の適切かつ効率的な運用を確保するための基本的な方針として、採用昇任等基本方針(以下「基本方針」という。)が平成21年3月3日に閣議決定された。
基本方針においては、能力・実績に基づく人事管理の徹底を図るため、職員の採用年次及び合格した採用試験の種類にとらわれた運用を行ってはならないこと等が定められているところであり、基本方針に基づく任用の状況については、新たな任用制度の政府全体としての適切な運用を確保するとともに、国民の信頼を確保する観点から、任命権者及び内閣総理大臣において公表することとしている。
本公表は、基本方針に基づき、内閣総理大臣が平成22年度の政府全体の任用の状況についてフォローアップするものであり、能力・実績に基づく人事管理の徹底を図ることを目的としている。
2 採用昇任等基本方針に基づく任用の状況(平成22年度)の概要
(1) 多様な人材の採用について
ア 採用候補者名簿による採用の状況
- 出身大学・学部の総数はI種(事務系区分)で98(前年度93)、I種(技術系区分)で118(前年度122)、II種(行政)で470(前年度508)となっている。採用者の最も多かった出身大学・学部は、I種(事務系区分)では、東京大学法学部(16.7%)、I種(技術系区分)では、東京大学大学院工学系研究科(11.1%)、II種(行政)では、中央大学法学部(3.1%)となっている。
- I種(事務系区分)、I種(技術系区分)、II種(行政)ごとの採用者が3名以上ある府省等のうち、同一大学・学部の出身者が半数以上を占めた府省等は1(前年度0)であった。
- 採用者の多かった上位5大学の出身大学・学部の全体に占める割合は、I種(事務系区分)で43.9%(前年度40.3%)、I種(技術系区分)で26.7%(前年度26.4%)、II種(行政)で9.1%(前年度9.1%)であった。
イ 選考採用の状況
- 選考によって新たに採用した者1,898人のうち、公募手続を経て採用した者は1,709人であり、全体の90.0%(前年度94.4%)であった。
- 公募手続を経て採用した者のうち、公募期間が1か月以上であるものが最も多く、総数の約63.3%(前年度56.9%)、また2週間未満であるものは、総数の約15.0%(前年度30.0%)であった。
(2) 採用年次及び採用試験の種類にとらわれない人事管理について
ア 本府省室長等に初めて任用された職員の採用試験の種類及び勤続年数
- 本府省室長相当職以上の官職に任用されたことのない職員のうち、初めて本府省室長以上の官職に任用された職員について採用試験の種類ごとの人数と割合は、I種職員が240人(57.6%)[前年度55.3%]、II種職員が77人(18.5%)[前年度17.1%]、III種職員が77人(18.5%)[前年度20.2%]であった。
- 本府省課長以上・部長以上・局長以上の官職に初めて任用された職員のうち、I種職員以外の職員は、本府省課長以上で51人(前年度47人)、本府省部長以上で7人(前年度5人)、本府省局長以上で3人(前年度2人)であった。
- I種職員のうち同一年次の職員である同期全員が本府省室長以上の官職に初めて任用された府省等はなかった。
イ これまでの慣行にとらわれない人事運用について
- 多くの府省等において、従来恒常的にI種職員が就いていた官職にI種職員以外の職員を登用する等、これまでの慣行にとらわれない人事運用を行っていた。
- これまでの慣行にとらわれない二段階以上上位の官職への昇任事例はなかった。(前年度1事例)
ウ 多様な勤務機会の付与、同一官職在職期間の長期化等に伴う弊害の防止等について
- 全ての府省等において、多様な勤務機会の付与への措置が行われていた(24府省等)ほか、基本方針に沿って、多様な行政課題や業務の繁閑に的確に対応し得る事務処理体制の整備への措置(11府省等)、同一官職在職期間の長期化等に伴う弊害の防止への措置(14府省等)が行われていた。
※ 基本方針に基づく任用の状況(平成22年度)の詳細は、別添1
のとおり。
※ 特定独立行政法人の基本方針に基づく任用の状況(平成22年度)の概要は、別添2
のとおり。
3 参考