総務省は、(株)三菱総合研究所に委託し、東日本大震災の発災時から平成23年4月末頃までにおける被災者の方々の情報行動やICTの活用状況についてインタビュー調査を実施し、その結果を取りまとめましたので、公表します。 |
1 調査の概要
(1) 調査対象者
岩手県宮古市・大槌町・釜石市・大船渡市・陸前高田市、宮城県気仙沼市・南三陸町・石巻市・仙台市・名取市及び福島県南相馬市・いわき市で被災された方・ボランティア等の活動をされている方:306件
(2) 調査方法
フェースシートを事前配布し基本属性などを記入・回収。その上で各人へのインタビュー調査を実施。
(3) 調査期間
平成23年9月〜平成24年1月
2 公表資料
災害時における情報通信の在り方に関する調査結果(概要)(別添1)
災害時における情報通信の在り方に関する調査結果((株)三菱総合研究所報告資料)(別添2)
3 調査結果のポイント
災害時における情報通信の在り方に関する調査結果の主なポイントは以下のとおり。
(1)震災時に利用したメディアの評価(概要P4) 震災発生時は即時性の高いラジオが評価。震災直後には双方向性を有する携帯電話・メールと、地上テレビの評価が高まる。その後はインターネットの評価が高まる。 (2)情報収集手段の変化(概要P5) 発災直後や津波情報の収集では放送型ツール(ラジオ、テレビ)の利用率が高い。一方、被災地でのインターネット利用は限定的であるが、先進ユーザの中では、Twitter等を活用して、生活情報収集など即時性・地域性の高い情報収集を実現しているとの指摘。 (3)メディア毎の傾向(概要P6〜P9) ・防災無線:防災無線が聞こえたとの回答は41%。そのうち津波の到来について防災無線から情報を得たとする回答が66%に達しており、被災者の意識を避難行動へと切り替える(初動を促す)重要な役割との指摘。 ・携帯電話:携帯電話を身近に持っていた情報端末とする回答が95%に達しているが、震災直後以降、輻輳と物理的な損壊で長期間使用不能となり、安否確認も取れず、孤立状態になってしまったことの影響が指摘。 ・放送:ラジオやテレビ等の放送メディアへの依存は高く、L字画面・データ放送やコミュニティ放送を用いた地域情報の提供についても評価。一方、生活情報など地域の細かい情報については限界も指摘。 ・インターネット:被災地でのインターネット利用は全体としては限定的であったが、震災直後から避難後にかけて、先進ユーザを中心にインターネットを活用した安否確認や地域に密着した情報収集等が行われており、有効活用した回答者の評価は高い。 (4)事業継続(概要P11〜P13) ・ICT環境については、業務システムに被害との回答が37%に対し、ネットワークに被害との回答が71%に達する。また、ASP・クラウドの導入については、自治体では検討中との回答が50%であったのに対し、企業は、主にセキュリティ面の懸念から21%にとどまる。 ・データ損失(一部ないし全部)に至ったとの回答が、病院、学校においてはそれぞれ27%、40%に達する。 (5)個人情報の取り扱い・高齢者配慮(概要P14〜P15) ・個人情報の取り扱いについては、住民側では特に問題を感じなかったとの回答が87%に達する一方、自治体側では具体的な運用で苦労したとの回答が46%と、意識に違いがみられる。 ・情報伝達等に関する高齢者配慮については、特に工夫していないとの回答が68%に達する。 |