現地時間9月14日午前10時(日本時間14日午後11時)、チリ共和国バチェレ大統領は同国における地上デジタルテレビ放送方式の規格として日本方式(ISDB−T方式)の採用を決定し、これを公表しました。
海外でのISDB−T方式の採用は、ブラジル、ペルー、アルゼンチンに続いて4番目の国になります。
1 チリ政府によるISDB−T方式の採用
(1) 総務省は、関係省庁、放送事業者、メーカ、研究機関等と連携しつつ、専門家を派遣してのセミナー開催、送信機などを搬送しての試験放送の実施、日本の普及状況を把握してもらうためのチリ関係者の我が国への招聘などの働きかけを継続して行ってきたところです。
(2) この結果、ハイビジョン放送と同時にワンセグなどの移動端末向け放送サービスが提供可能であること、干渉に強く車内や山がちな場所においても良好に受信ができることなどが評価され、チリにおいてISDB−T方式の採用が決定されました。
2 総務省の今後の取組
(1) 総務省は、関係省庁及び関係機関と連携のうえ、チリにおけるISDB−T方式の円滑な導入に向けて、その必要な方策を協議する共同作業部会を設置し、技術協力、人材育成等の支援を実施していく予定です。
(2) 今後とも、ISDB−T方式を採用した国々と連携しつつISDB−T方式の更なる海外普及に努めていきます。
(参考資料)
1 日本方式(ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)
国際標準となっている地上デジタルテレビジョン放送の規格には、日本方式(ISDB−T方式)、欧州方式(DVB−T方式)、米国方式(ATSC方式)の3方式が存在します。ISDB−T方式は他の方式に比べて、電波障害や干渉に強く、移動時でも受信が良好であるといった技術的な優位性があること、また携帯端末向け放送(ワンセグ)とハイビジョン伝送が一つの送信機で伝送可能であり全体のコストが安くなり経済的であること等の優位性があります。
ブラジルでは2006年6月にISDB−T方式を採用し、2007年12月から放送開始しており、現在23都市(人口カバー率65%以上)で放送されています。
ペルーでは、2009年4月にISDB−T方式を採用し、2010年3月の放送開始を目指しています。
アルゼンチンでは、2009年8月末に採用が決定されたところであり、早期の放送開始を目指しています。
2 日本方式の海外展開の状況
日本は、既に採用しているブラジル、ペルー、アルゼンチン、チリと連携して、未だ方式決定をしていない南米諸国(ベネズエラ、エクアドル、ボリビア、パラグアイ等)に働きかけています。アジアではフィリピンに採用を働きかけています。