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平成31年版
地方財政白書
(平成29年度決算)

6 地方行政サービス改革の推進等

(1)地方行政サービス改革の推進

ア 地方行政サービス改革の動向

地方公共団体においては、人口減少・高齢化の進行、行政需要の多様化など社会経済情勢の変化に一層適切に対応することが求められており、国・地方を通じた厳しい財政状況下においても、質の高い行政サービスを引き続き効率的・効果的に提供する必要がある。

そのためには、地方公共団体において、窓口業務を含む定型的業務を中心とした事務・事業の民間委託の推進、指定管理者制度等の活用、給与・旅費等に関する庶務業務の集約化、自治体クラウドの導入、多様なPPP/PFIの活用を優先的に検討する仕組みの構築などPPP/PFIの推進等の積極的な業務改革の推進に努めることが必要である。

こうした観点から、「基本方針2015」等を踏まえ、「地方行政サービス改革の推進に関する留意事項について」(平成27年8月28日付け総務大臣通知)等により、各地方公共団体に対し、より積極的な業務改革の推進に努めるよう要請している。

今後も、業務改革を推進するため、民間委託やクラウド化等の各地方公共団体における取組状況・方針の見える化や比較可能な形での公表を実施することとしており、総務省においても、これらの推進状況について毎年度フォローアップし、その結果を広く公表することとしている。

イ 業務改革モデルプロジェクトから自治体行政スマートプロジェクトへ

総務省では、住民サービスに直結する「窓口業務」や業務効率化に直結する「庶務業務等の内部管理業務」の改革を推進するため、平成28年度より「業務改革モデルプロジェクト」を実施している(平成29年4月1日現在の市区町村の窓口業務の民間委託実施率は19.2%、庶務業務の集約化実施率は24.2%)。同プロジェクトでは、選定した地方公共団体において、モデル的に、「窓口業務」及び「庶務業務等の内部管理業務」のICT化・オープン化・アウトソーシングを一体的に実施している。これにより、改革の手法を確立し、その手法の横展開を図っている。

なお、平成28年度は、総合窓口化、電子申請・郵送申請の拡大、本庁と支所の窓口業務の同時改革等を実施する7団体、29年度は、広域による窓口業務改革、ICTを用いた窓口業務改革等を実施する7団体、30年度は、AIやRPA等の新技術による業務改革、地方独立行政法人制度を活用した窓口業務改革等を実施する7団体を選定し、改革手法のモデル事例を構築しており、引き続き、これまで確立したモデル事例の横展開を図っていくこととしている。

また、平成31年度からは、スマート自治体への転換を図るため、自治体行政の様々な分野で、複数団体による団体間比較を行いつつ、AI・ロボティクス等を活用した標準的かつ効率的な業務プロセスを構築する「自治体行政スマートプロジェクト」を実施する予定である。

ウ 自治体クラウド

地方公共団体の基幹系の情報システム等について、<1>情報システムコストの削減、<2>情報セキュリティ水準の向上、<3>災害時の業務継続体制の強化、<4>参加団体間における業務の共通化・標準化等を進める観点から、複数の地方公共団体が共同でサービス調達を行う「自治体クラウド」の導入を積極的に推進している。

地方公共団体におけるクラウド導入を促進するため、各地方公共団体が「官民データ活用推進基本法」(平成28年法律第103号)に基づき策定した「クラウド導入等に関する計画」の策定状況等の公表を引き続き行い、計画の進捗管理を行うこととしている。また、引き続き、各市区町村の情報システム経費を調査・公表することを通じて、コストの見える化にも取り組むこととしている。

(2)給与の適正化及び適正な定員管理の推進

地方公共団体においては、現下の厳しい財政状況において、計画的に行政改革を推進するとともに住民への説明責任を果たす見地から、目標の数値化や分かりやすい指標の活用を図りつつ、給与情報等公表システムにより給与及び定員の公表を行うなど、給与の適正化や適正な定員管理などの取組を行っている。

平成29年4月1日時点のラスパイレス指数は、全地方公共団体平均で99.2となっており、平成24年、25年の国家公務員の給与減額支給措置の影響を除き、平成16年以降、14年連続で100を下回っている。

地方公共団体の総職員数については、第53表のとおり、平成29年4月1日の対前年比で、都道府県7.5%減、政令指定都市49.0%増、政令指定都市を除く市区町村0.3%増となっており、全地方公共団体では0.2%の増加となった。なお、都道府県で減少、政令指定都市で増加となっているが、これは主に平成29年4月1日に、県費負担教職員に係る権限が都道府県から政令指定都市に移譲されたことによるものである。

(3)マイナンバーシステムの積極的な活用

ア マイナンバー制度の意義

マイナンバー制度は、平成25年5月に成立した関連4法(「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年法律第27号。以下「マイナンバー法」という。)、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成25年法律第28号)、「地方公共団体情報システム機構法」(平成25年法律第29号)及び「内閣法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第22号))により導入され、平成27年10月5日に施行された。この制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤となるものであるとともに、安心・安全な情報社会のインフラとして国民の利便性の向上や行政の効率化に資するものである。すなわち、所得把握の精度が向上し、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障の充実、負担・分担の公平性がより一層確保されることや、行政の効率化が図られ、限られた行政資源を住民サービスの充実のために、より重点的に配分することが可能になる(第129図第130図)。

第129図 マイナンバー制度の意義について
第130図 マイナンバー制度における「情報連携」

今後、各地方公共団体において業務のICT化などを進め、質の高い行政サービスを効率的・効果的に提供する業務改革に取り組んでいくに当たっては、マイナンバーシステム(マイナンバー制度と関連の各システム)が提供する様々な機能を積極的に活用していくことが不可欠である。

イ マイナンバーを活用した情報連携の円滑な運用

マイナンバー制度の重要な根幹が情報連携である。マイナンバー法に基づき総務省が設置・管理する情報提供ネットワークシステムを用いて、機関を超えた情報のバックヤード連携、すなわち、国の行政機関や地方公共団体がそれぞれ管理している同一個人の情報をオンラインで情報連携し、相互に活用することが可能となった。これにより、各種行政手続を行う際、行政機関等に提出する必要があった住民票の写しや課税証明書等の書類の省略が可能となり、また、そのために複数の行政機関に出向く手間が不要となるなど、行政手続のペーパレス化やワンストップ化が進展することが期待される。

平成29年11月から本格運用が開始され、平成30年10月時点で児童手当の申請など1,221の事務手続で情報連携による提出書類等の削減が実現しており、今後も順次、対象事務が増えていくことが予定されている。

ウ マイナポータルの利用拡大

政府が運営するオンラインサービスとして、国民一人一人に用意されたポータルサイトがマイナポータルである。自身のマイナンバー付きの個人情報が情報連携された履歴を確認する「情報提供等記録表示」機能のほか、運用開始以降、利用可能なサービスが着実に拡大している。

市区町村の子育て関係手続について、サービス検索やオンライン申請を可能とするワンストップサービス(ぴったりサービス)が提供可能となっており、行政機関からのお知らせ(プッシュ型)サービスの活用も含め、手続のオンライン化による行政サービスの効率的・効果的な提供に向けて、各地方公共団体の積極的な利用が期待される。

エ マイナンバーカード(公的個人認証サービス)の利用拡大

マイナンバーカードは、券面による身分証明機能に加え、ICチップに標準搭載された公的個人認証サービスによってオンラインでの確実な本人確認を可能とすることから、各種オンラインサービスを安心・安全に利用又は提供するために重要な役割を果たすものである。

このため、従来行政機関に限られていた公的個人認証サービスの利用が、マイナンバー制度の施行に併せて民間事業者にも開放され、ICT社会の基盤としてマイナンバーカード(公的個人認証サービス)が広く普及することが期待されている(平成30年12月末現在、約1,584万枚交付)。マイナポータル、コンビニ交付サービス、マイキープラットフォームなど公的分野のほか、オンラインでの口座開設や住宅ローン契約締結など民間部門でも利用が拡大されつつある。また、平成32年度にマイナンバーカードの健康保険証としての活用が本格運用される予定である。引き続き、官民における積極的な利活用や取得促進に向けた取組を促していくこととしている。

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