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報道資料

平成21年2月25日

情報セキュリティ分野における日・ASEANの連携枠組みの合意について

平成21年2月24日(火)及び25日(水)、東京(京王プラザホテル)において開催された、「第1回日・ASEAN情報セキュリティ政策会議(全体議長:林良造東京大学大学院教授)」において、「情報セキュリティ分野における日・ASEANの連携枠組み」が合意されました(別添1PDF参照)。連携枠組みは、今後の情報セキュリティ分野における日・ASEAN間の連携の方向性を示す中長期的な戦略として位置付けられ、今後、我が国からの情報セキュリティガバナンス浸透に向けたセミナーの開催、技術開発に向けた協力、人材育成に関する連携などの取組が進められることとなります。また、取組の進捗状況は日・ASEAN経済大臣会合、日・ASEAN情報通信大臣会合の場でも報告されることとなります。

1 出席者

 日本並びにASEAN加盟国の経済・投資関係省庁及び情報通信省庁の高級事務レベル(局長・審議官クラス)(別添2PDF参照)、ASEAN事務局、日本経済団体連合会、電気通信事業者、情報セキュリティ関連機関及びその他の民間企業等

2 会合での概要

  1. セッション1「知識経済社会におけるセキュアなビジネス環境整備」
    議長:木村経済産業省審議官

    同セッションでは、我が国から、技術情報(製品に関する情報、知的財産等)、個人(顧客)情報の漏洩に関するリスクが高まってきており、情報セキュリティ対策の実効性を確保するためには、技術的な解決策に留まらず、企業のガバナンスを視野に入れた包括的な対策が必要であるとの認識が示された。加えて、我が国産業界からは、ASEAN各国での事業展開に際して、情報セキュリティが重要な要件の一つとなる旨の紹介があった。日本とASEAN諸国は、知識集約型産業、高付加価値産業の成長を通じて知識経済化が進むアジア諸国において、技術移転・知識移転の原動力となる情報セキュリティ対策を実施していくことの重要性を認識した。

  2. セッション2「セキュアな情報通信利用に向けた環境整備」
    議長:河内総務省総括審議官

    同セッションでは、各国からのプレゼンテーションを通じ、情報通信ネットワークの進展に伴い、脅威がグローバル化し、被害が深刻化している中で、情報セキュリティ対策が必要不可欠であることが明らかになった。今後、高度な情報通信インフラが普及していくアジア地域において、セキュアな利用環境を整備するため、日・ASEAN間のネットワーク事業者間の連携、先進的な研究開発の推進、技術人材や政策人材の育成における協力を行っていくことが提言された。

  3. セッション3「政府が主導する情報セキュリティ対策」
    議長:前野内閣審議官、情報セキュリティセンター副センター長

    同セッションでは、情報インフラがあらゆる社会・経済活動を支える国家基盤となっていることへの認識が確認され、個別の政策分野を担当する省庁を越えた横断的な取組の必要性が強調された。今後、横断的な取組を進めてきた日本とASEAN諸国の間で、事後的な対策の連携に留まらず、事前対策を推進するための政策的な連携の強化を行っていくことが提言された。

3 連携枠組みの概要

  1. 目的
      日本及びASEAN諸国は、経済連携を強化し、地域の経済を活性化して域内の競争力を得るとともに、国家の基盤を支える情報インフラの情報セキュリティ対策を向上させるため、以下を目的とした協力を促進する。
    >> セキュアなビジネス環境に支えられた質の高い直接投資が高付加価値及び知識集約型の経済を促進し、地域への技術移転を向上させることを理解し、
    >> 情報通信インフラが技術革新を支えるインフラであり、その信頼性の確立が様々な産業の事業継続性を確保するのに不可欠であることを認識し、
    >> 政府が情報セキュリティに関する政策を実施することが奨励されることを確信する。
  2. 具体的な施策
    1. 知識経済におけるセキュアなビジネス環境の構築
      日本政府は、昨年の日・ASEAN経済大臣会合で提唱された「アジア知識経済化イニシアティブ」に沿い、高度な情報セキュリティ対策が対外直接投資及びアウトソーシングを活性化するとの認識を高めるための取組を行う。
    1) ASEAN各国内の産業界における情報セキュリティ意識の向上のための取組、情報セキュリティ対策強化に向けた日ASEAN間の産業界の対話
    2) ERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)等を活用した政策研究の実施
    3) 技術的専門家の養成、人材育成の支援
    4) 継続的な政策的対話の枠組みの創設に向けた検討

    2. セキュアな情報通信利活用に向けた環境整備
      日本政府は、ASEAN諸国と連携して、地域の社会経済活動を更なる活性化のため、ASEAN及び日本は安全で信頼性の高い情報通信利用環境を実現する。 (1) サイバーセキュリティを確保するため、技術開発、オペレーション、人材育成に関する連携を通じた底力を醸成する。   1) ネットワーク事業者間のオペレーションにおける連携体制の構築   2) コンピュータセキュリティ緊急時対応チーム(CERT/CSIRT)間の協力関係の更なる強化   3) 人材育成(政策人材を含む)及び研究開発における連携の強化 (2) スパム等サイバー脅威への対応における連携の強化 (3) グローバルな製造センターであるアジア地域におけるセキュアなIT製品及びサービスの製造
    3. 政府が促進する情報セキュリティの国家戦略
      日本政府は、ASEAN諸国と連携して、政府、重要インフラの防護に焦点を当てた、包括的な国家戦略の立案を支援する。
    1) 国家戦略立案を行う専門家間の会合(作業部会)を開催し、意見交換を進める。 2) 域内の課題に連合して対応する一つのアジアとしての対応(One Asia)を目指し、事前・事後対策におけるアジア連携を強化する。

    4. 今後のプロセス
      当該枠組みは日・ASEAN間の情報セキュリティに関する連携を推進するための中長期的な戦略として位置付けられている。取組の成果は経済大臣会合(AEM)及び電気通信大臣会合(TELMIN)に報告されるとともに、今後とも日・ASEANで情報セキュリティ分野に関する連携を深めていくことになる。
連絡先
内閣官房情報セキュリティセンター
担 当:尾形参事官補佐、久米参事官補佐
電 話:03-3581−3768
FAX:03-3581−7652

総務省情報通信国際戦略局国際協力課
担 当:松尾課長補佐、松岡係長
電 話:03−5253−5935
FAX:03−5253−5937

経済産業省商務情報政策局情報セキュリティ政策室
担 当:井土課長補佐、金谷係長
電 話:03−3501−1253
FAX:03−3501−6639

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