総務省関東総合通信局(局長:黒瀬 泰平)は、平成31年3月28日(木曜日)、「ワイヤレス電力伝送システムの利用に関する周波数共用条件の調査検討会(座長:藤野 義之(ふじの よしゆき)(東洋大学 理工学部 電気電子情報工学科 教授))」から検討結果の報告書を受領しました。
ワイヤレス電力伝送システムは、有線で接続することなく各種情報端末等への充電や給電を可能とすることから、今後幅広い分野での利用が期待されています。
日本国内においても、屋内で利用する「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」(以下、「空間伝送型WPT」という。)が、2020 年の商用化を目指して研究・開発が進められています。しかし、市場導入に向けた制度整備を行うためには、既存無線システムとの共用の可能性についての検討と確認を行う必要があります。
上記の「空間伝送型WPT」が使用する周波数帯と同一の周波数帯または近接周波数帯を使用する既存の無線システムへの影響の評価検討を行い、既存の無線システムと周波数を共用可能とする技術的条件の検討に資することを目的に「ワイヤレス電力伝送システムの利用に関する周波数共用条件の調査検討会」(以下、調査検討会という)を設置したものです。
調査検討会は、平成30年11月14日から2回の会合と3回のメール審議をとおして、「空間伝送型WPT」の利用ニーズと需要予測及び国際動向の調査を行うとともに、調査対象とする「空間伝送型WPT」を平成31年2月7日に情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会に提案された2020年の実用化を目指す第一ステップ(920MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯)のユースケースに設定し、携帯電話や無線LAN、移動衛星通信システムなどへの影響評価を行いました。
調査検討会では、「空間伝送型WPT」は、設置条件や周波数の調整、通信信号波の検出、干渉回避機能の高度化などにより既存無線システムとの共用の可能性があるとの検討結果を得ました。
また、試作開発中の「空間伝送型WPT」を用いてビームフォーミング技術(※)を活用した空中線指向特性の測定を行い、この技術を活用して空中線指向特性を制御することで共用の可能性を高めることが可能であることを確認しました。
(※)ビームフォーミング技術とは、アンテナで電波の方向性(指向性:ビーム)を電気的に制御して効率的に電波を送ることができる技術。
氏名 | 所属 | |
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座長 | 藤野 義之 | 東洋大学 理工学部電気電子情報工学科 教授 |
委員 | 庄木 裕樹 | ブロードバンドワイヤレスフォーラム ワイヤレス電力伝送ワーキンググループリーダ |
委員 | 八木 宏樹 | 株式会社 NTTドコモ 電波部電波技術担当 担当課長 |
委員 | 井上 統之 | KDDI株式会社 技術企画本部 電波部企画・制度グループ マネージャー |
委員 | 藤沢 和弘 | ソフトバンク株式会社 モバイルネットワーク本部 電波部企画調整課 担当課長 |
委員 | 角埜 勝明 | 一般社団法人電波産業会 研究開発本部周波数資源グループ 主任研究員 |
委員 | 後藤 雅生 | 一般社団法人日本自動認識システム協会 研究開発センター 主任研究員 |
委員 | 井 正興 | 一般社団法人日本アマチュア無線連盟 電磁環境委員会 委員長 |
委員 | 児島 史秀 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 ワイヤレスネットワーク総合研究センター ワイヤレスシステム研究室 室長 |
委員 | 佐野 康二 | 一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター 電磁環境試験部 部長 |
オブザーバ | ||
石黒 丈博 | 総務省総合通信基盤局 電波部 移動通信課 課長補佐 | |
谷口 智哉 | 総務省総合通信基盤局 電波部 電波環境課 電波監視官 | |
星野 哲雄 | 総務省関東総合通信局 無線通信部長 | |
二宮 哲夫 | 総務省関東総合通信局 無線通信部 陸上第三課長 | |
田中 純一 | 総務省関東総合通信局 電波監理部長 | |
渡辺 貴之 | 総務省関東総合通信局 電波監理部 電波利用環境課長(平成30年12月迄) | |
狩野 成明 | 総務省関東総合通信局 電波監理部 電波利用環境課長(平成31年1月以降) |
《事務局》