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【関東総通】e−コムフォKANTO

令和6年1月18日
関東総合通信局

ICTコラボレーションセミナー2023
『地球サイズの電波望遠鏡がとらえた巨大ブラックホールの姿』
を開催

 総務省関東総合通信局(局長:高地 圭輔(たかち けいすけ))は、関東情報通信協力会(会長:吉村 和幸(よしむら かずゆき)KDDI株式会社 取締役執行役員専務 CTO 技術統括本部長)との共催により、令和5年12月6日(水曜日)に国立天文台 水沢VLBI観測所 所長 本間 希樹氏をお迎えし、「ICTコラボレーションセミナー2023 地球サイズの電波望遠鏡がとらえた巨大ブラックホールの姿」を開催しました。
 本セミナーはICTに関連する知識の普及、利用の発展を図ることを目的としてタイムリーなテーマを取り上げて開催しているもので、今回は、関東情報通信協力会会員及び一般参加者130名の方々にご聴講いただきました。

【講演:「地球サイズの電波望遠鏡がとらえた巨大ブラックホールの姿」

講師:国立天文台 水沢VLBI観測所 所長 本間 希樹 氏
 本間氏からは、VLBIの特徴と歴史、ブラックホールの特性とその写真の撮影方法、また今後の展望などについて、次のようなご講演をいただきました。

  国立天文台 水沢VLBI観測所 所長 本間 希樹 氏


 VLBIとは ”Very Long Baseline Interferometry”、日本語にすると「超長基線電波干渉計」であり、遠く離れた場所にあるパラボラアンテナを組み合わせ巨大な1つの望遠鏡としているものです。その長所は視力(どこまで細かいものが見えるか)の高さで、短所は感度(どこまで暗いものが見えるか)の低さです。
 日本におけるVLBIの技術開発は旧郵政省の電波研究所から始まっています。また、総務省には電波保護に協力いただいており、それらにより現在電波天文の観測ができています。

 ブラックホールとは重力が非常に強い、光さえ脱出できない天体であり、その本体は真ん中にある「特異点」です。特異点の周りを囲む球面は「事象の地平面」といって、外から中に通過することはできますが、一度入ったら中から外には二度と出られません。

 およそ100年前から人類は理論や観測により「ブラックホールが存在する」ことを検証してきましたが、「百聞は一見に如かず」ということで望遠鏡の視力をどんどん上げてその写真を撮るため、世界中の研究者が協力して作ったのが「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」であり、ブラックホールを見るための望遠鏡です。
 EHTはハワイ、アメリカ本土のアリゾナ、メキシコ、チリ、スペイン、南極点、この6箇所8台の望遠鏡を組み合わせた直径1万キロの地球サイズの電波望遠鏡です。
 このEHTでおとめ座銀河団の中心の一番大きな銀河「M87」をズームアップしていったところ、ドーナツのような輪が出てきました。日本チームの提案した方法を含めて3つの解析方法を平均して得られたのがこの写真です。

 これまで2つのブラックホールの写真を撮りましたが、現在の視力では3つ目を撮影することができませんので、もっと視力を上げるために人工衛星に電波望遠鏡を載せて地球の外から観測することや、さらにはブラックホールを動画にすることに取り組んでいきたいと考えています。

 講演会終了後には、聴講者から「VLBIは電波による観測ですが、ブラックホールが特定の色がついた写真として見えるのはなぜですか」と質問があり、本間所長から「観測された電波の強度を人間の目に見える色に変換し、電波の強さに応じて明るいところを白っぽく、暗いところを赤っぽく、という形で着色したものです」とご回答をいただくなど、多数の質問にお答えいただきました。

 本講演の聴講者からは、「非常にわかりやすく説明していただき、あっという間に時間が経過しました!」、「ブラックホールの撮影にいかにして成功したか、電波技術面からの切り口にて説明いただき、天文に親近感を持ちました」など、多くの感想が寄せられました。

 総務省関東総合通信局では、引き続き、関東情報通信協力会との共催により、ICTに関連した様々なテーマによる講演会やセミナーなどの企画を行って参ります。

連絡先
総務省関東総合通信局
企画課総合企画担当
担当:猪飼、相原
電話:03-6238-1633

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