電気通信大学大学院情報理工学研究科 准教授 山本 佳世子氏 および 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 情報技術グループ 主任研究員 阿部 真也氏から「先端ICTの利活用による観光支援」と題した基調講演が行われました。
山本氏からは、今後増えつつある外国人観光客に向け、拡張現実(AR)を用いたナビゲーションシステムについての概要説明がありました。様々なソーシャルメディアから得られる情報をデータベース化し、解析したデータをマッピングするもので、災害時には緊急モードに切り替えることで、避難行動の支援も可能となるなど、システムの機能について説明されました。
阿部氏からは、観光情報システムの言語バリアフリー化に向けて、空間情報や地図、ピクトグラムを活用した、言語に頼らないシステムの構築についての説明がありました。観光産業を取り巻く背景として、オリパラを控え外国人観光客の大幅増が見込まれることにより多言語対応が必要になる中、主要な言語を知らなくても利用できるメリットがある旨の説明がありました。
ほか、講演1として、高円寺パル商店街振興組合 理事 上原 正氏より「商店街の多言語ホームページCMSとビーコンめぐり」という演題で、多言語機械翻訳機能を備えた商店街ホームページについて紹介がありました。商店街のように観光にはあまり関係ないエリアにも、インバウンドをリピーターとして呼ぶための仕組みが必要であるなど、住んでいるまちの価値の向上に向けての説明がありました。
講演2では、まち映画制作事務所代表 映画監督 藤橋 誠氏より「市民参加型の映画・映像制作でまちを元気に」という演題で、「まち映画」が「まち」にもたらした具体的事例について説明がありました。映画を観光PRに活用したり、まち映画づくりに関わることで、地域への愛着を深めるなど、まち映画づくりが「まちづくり」や「ひとづくり」に繋がっていく事例の紹介がありました。
講演3では、東京都産業労働局観光部受入環境課長 福田 厳氏より「東京都の観光施策について」という演題で、インバウンド向けサービス向上のためのサービスや補助金についての説明がありました。外国人観光客が増えるにつれ、多言語への対応はもちろん、ハラール食などの外国人観光客のニーズを踏まえたメニューづくりなど、宿泊施設や飲食店、免税店などには課題が多い点を指摘し、それらの対応に支援を行っていること、観光振興として建造物や桜などのライトアップへ補助を行うなど集客を図る取組について紹介がありました。
講演4では、調布市 市長(東京都市長会会長) 長友 貴樹氏より「多摩地域のオリンピック・パラリンピックへの取り組み」という演題で、東京オリパラやラグビーワールドカップ2019に向けた調布市での取組についての説明がありました。国宝指定されている深大寺の仏像が、ICTにより東日本最古のものであることが近年判明したこと、サウジアラビアとの友好関係が強まってきていること、武蔵野の森総合スポーツプラザなどの施設整備など、近年の調布市の状況も踏まえ、様々な取組についての紹介がありました。
講演
(左)藤橋 誠 氏 (中央)福田 厳 氏 (右)長友 貴樹 氏