【成果の検証】
1.e−デモ会議室の目的と構成
この事業は、電子会議室を活用して、地域づくり等への積極的な住民参画や県政参画を進めることを目的にしています。構成は以下のとおりです。
(1)「県民発テーマ会議室」(20会議室)
県民が自由にテーマを提案し、県民どうしの議論を行う会議室です。
(2)「ネットで県民参画」(7会議室:他に行政発等会議室12会議室)
行政の課題について議論する会議室です。
(3)「e−デモ・ジュニア」会議室(320の話題)
主に青少年を対象とする、自由な意見交換の場として運営しています。
2.3年間の成果の検証結果
(1)成果と課題における全体的な評価
アクセス数など定量的な実績は、他府県との比較では高い水準にあり、また「目的に沿った成果」としても、住民主体の活動展開や団体の結成、行政への提言などにつながったものが3年間で16
件ありました。しかしながら一方で、成果につながらない会議室が大半を占めました。e−デモ会議室の持つ課題として
(1) 参加者が少なく固定化したり、意見がまとまらない、趣旨不明確な投稿を排除できないなど、議論が成立しにくいこと
(2) 行政批判や質問攻めを招くなどから、行政の積極的な参画が得られにくいこと
(3) 費用対効果の点からも成果に比して費用が割高とみられること
などがあり、全体として満足な事業成果を挙げたとはいいにくいと考えています。
(2)今後の望ましい見直し方向について
IT環境の進展からすれば、今後もITツール自体の可能性は評価し、活用のあり方を考えていく必要があります。
しかし電子会議室自体は、ネット上の特性などから制約が伴い、議論のツール、広聴のツールとしては限界があります。
一方、民間主体でSNS(※)等による安全・安心なコミュニケーションの場がすでに実現しており、県民どうしの意見交換の場は、民間の領域にその機会を譲っていくべきではないかと考えます。
なお、e−デモジュニアは、主に青少年のための意見交換の場でありながら、現実には成人の参加者も多く、参加者数も少ないことなど、当初の意図に沿った運営がなされていない実態にあります。
(※)SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
参加者が互いに友人を紹介しあって、新たな友人関係を広げることを目的に開設されたコミュニティ型のWebサイト
【e−デモ会議室の見直し案について】
1.e−デモ会議室の見直し方向について
(1)「ネットで県民参画」は、e−デモ会議室における制約や限界点を極力少なくしつつ、ITの特性を生かしたものとして発展的に見直します。具体的には「IT広聴事業」を創設し、議論を前提とせず、一定のテーマに幅広くご意見、ご提案をいただく、e−コメント(仮称)と、電子アンケートの機能を持つe−モニター(仮称)を実施します。
(2)県民どうしの議論の場(e−デモ会議室)は廃止します。
(3)e−デモジュニアについても、運営にあたっては、上記の課題やシステム上のセキュリティ確保に一定の負担もあることなどから同様に廃止します。
2.IT広聴事業の位置づけ・目的
(1)広く県民のご意見等をお聞きしたり、一定の課題に対して県民意向の傾向を把握する、広聴機能の一手段です。
(2)できるだけ意思形成過程の情報開示を進め、県民の県政参画を進めます。
(3)県の情報開示を進めることで県民と県との相互理解・信頼確保の向上を目指します。
3.IT広聴事業の概要について
以下のようなシステムを構築し、平成18 年度から事業を開始できるようにしたいと考えています。
(1)e−コメント〔仮称〕について
(1) 県民からの意見や提案等を求めたい案件がシステム上に提示されます。
(2) 県民にネット上で意見投稿いただきます。投稿された意見は原則公開されます。
(3) 公開された意見を参考に、誰もが自由に意見投稿できます。
(4) 意見募集が一定期間を超える場合には、県が中間見解を示し、途中時点で、県民は県の考え方を知ることができます。
(5) 県民は県の中間見解に対して更に意見投稿ができるので、県民と県との簡単なやり取りも可能となります。
(6) こうした過程を通じて幅広く県民の意見や提案を伺い、県はこれらを参考にしながら事業を進めていきます。
(2)e−モニター(仮称)について
(1) ネット上で県が各種アンケートを実施します。
(2) あらかじめ登録されたモニターのうち、アンケート実施部局が指定した属性を持つ対象者にメールで電子アンケートの依頼がなされます。
(3) 対象者は、メールを受けて回答をします。
(4) 回答結果は自動集計され、実施部局へ提供されます。
(5) 実施部局は集計結果を施策等事業運営に活用するとともに、簡単なコメントを付して集計結果をシステム上に公開し県民に周知します。
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