昭和60年版 通信白書 資料編

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第4 国際機関及び国際協力

 1 国際機関

(1)万国郵便連合(UPU)

ア.概要
 UPUは,国際連合の専門機関の一つで,郵便業務の効果的運営によって諸国民間の通信連絡を推進し,文化,社会及び経済の分野における国際協力に寄与することを目的とする政府間国際機関であり,1874年に設立された。我が国は,1877年にこれに加盟した。
イ.組織

資料4-1 UPUの構成(1985年3月末現在)

ウ.活動状況

資料4-2 UPUの活動状況(59年度)

エ.アジア=太平洋郵便連合(APPU)
 APPUは,UPU憲章に基づき設立されている九つの限定郵便連合(地域的な郵便連合)の一つで,アジア・太平洋地域内における郵便業務の改善及び協力関係の緊密化をその目的としている。
現在,域内のUPU加盟国中19か国が加盟しており,我が国は1968年にこれに加盟した。

(2)国際電気通信連合(ITU)

ア.概要
 ITUは,国際連合の専門機関の一つで,電気通信の分野において広く国際的責任を有する政府間国際機関である。1865年に万国電信連合として発足し,本年は創立120周年にあたる。我が国は,1879年にこれに加盟した。
イ.組織

資料4-3 ITUの構成(1983年3月末現在)

ウ.活動状況
 59年度においては,第39会期管理理事会が1984年4月2日から4月19日までの間,スイスのジュネーヴ(ITU本部)で開催され,会議・会合計画の策定,1985年予算案,技術協力関係諸決議の実施等について討議が行われた。
 また,1982年の全権委員会議で設立された「電気通信の世界的発展のための独立国際委員会」は,1985年1月に報告書「失われた輪」を取りまとめ,公表した。本報告書の中では,開発途上国に対する援助を目的とする「電気通信開発センター」の設立等が提案されている。

資料4-4 「電気通信の世界的発展のための独立国際委員会」の活動状況

エ.国際無線通信諮問委員会(CCIR)

資料4-5 CCIRの活動状況(59年度)

オ.国際電信電話諮問委員会(CCITT)
 1984年10月の第8回総会において,CCITTの研究委員会等として新たにSGX(電気通信のための言語),SSGS(CCITT組織検討特別委員会),PC/WATTC(世界電信電話主管庁会議準備委員会),GAS10(プランニングデータと予測方法)及びGAS11(公衆データ網)が設置された。

資料4-6 CCITTの活動状況(59年度)

カ.国際周波数登録委員会(IFRB)

資料4-7 IFRBの活動状況(59年度)

(3)国際電気通信衛星機構(INTELSAT)

ア.概要
 インテルサットは,国際公衆電気通信業務に必要な宇宙部分(衛星及びその管制等に必要な関連地上設備)を加盟国,非加盟国を問わず世界のすべての地域の政府,又は政府が指定した電気通信事業体に提供することを主たる目的とする国際機関であり,1985年3月末現在の加盟国数は109か国である。
 1964年8月に暫定的制度として発足した後,1973年2月,「国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関する協定」及び「国際電気通信衛星機構(インテルサット)に関する運用協定」が発効して恒久的制度となっている。
 両協定のうち,前者は,インテルサットに加盟する国の政府が署名する政府間協定で,機構の組織等の基本的事項を規定するものであり,後者は,インテルサットに出資してその運営に参画する国の政府,又は政府が指定した電気通信事業体が署名する協定で,機構の財政・運用に関する事項を規定するものである。我が国は,この電気通信事業体としてKDDを指定している。
 インテルサットに対する我が国の出資率は,1985年3月末現在,最も多い米国(22.462815%)から数えて5番目の3.330332%となっている。
イ.組織

資料4-8 インテルサット機成構関の概要

ウ.システム構成
 インテルサット・システムは,インテルサットが所有する宇宙部門と各国の政府又は政府が指定した電気通信事業体が所有する地球局とで構成される。
 インテルサット衛星にアクセスする地球局の数は,1985年3月末現在,163の国及び属領内に702か所あり,その通信アンテナ総数は843基である。

資料4-9 インテルサット運用衛星の配置及び使用状況(1985年3月末現在)

エ.活動状況

資料4-10 インテルサットの活動状況(59年度)

(4)国際海事衛星機構(INMARSAT)

ア.概要
 インマルサットは,海事通信を改善するために必要な宇宙部分(衛星及びその管制等に必要な関連地上設備)をすべての国籍の船舶による使用のために開放し,これにより海上における遭難及び人命の安全に係る通信,船舶の効率及び管理,海事公衆通信並びに無線測位能力の改善に貢献することを目的とした国際機関であり,1985年3月末現在の加盟国は43か国である。
 1979年7月の「国際海事衛星機構(インマルサット)に関する条約」及び「国際海事衛星機構(インマルサット)に関する運用協定」の発効に伴い発足した。
 同条約は,インマルサットに加盟する国の政府が署名する政府間条約で,機構の組織等の基本的事項を規定しており,また,同運用協定は,インマルサットに出資してその運営に参画する国の政府,又はその国の政府が指定した権限ある事業体が署名する協定であり,機構の財務・運用に関する事項を規定している。我が国は,この権限ある事業体としてKDDを指定している。
 インマルサットに対する我が国の出資率は,1985年3月末現在,最も多い米国(30.73445%)から数えて4番目の6.95937%となっている。
イ.組織

資料4-11 インマルサット構成機関の概要(1) 資料4-11 インマルサット構成機関の概要(2)

ウ.システム構成
 インマルサット・システムは,太平洋及び大西洋海域を欧州宇宙機関(ESA)からリースしたマレックス衛星,インド洋海域をインテルサットからリースしたインテルサットV号衛星に搭載の海事通信サブシステム(MCS)で各々カバーしている。
 なお,インマルサット・システムを利用して海事通信を行っている船舶は,1985年3月末現在で,67か国の3,280隻である。

資料4-12 インマルサット運用衛星の配置(1985年3月末現在)

エ.活動状況

資料4-13 インマルサットの活動状況(59年度)

(5)アジア・太平洋電気通信共同体(APT)

ア.概要
 APTは,アジア・太平洋地域における地域電気通信網の整備・拡充を主たる目的としており,1976年3月の第32回ESCAP総会において設立憲章が採択された。我が国は1977年11月25日に同憲章の受託書を寄託した。同憲章は,APT本部所在国であるタイを含む7か国の批准書又は受託書が寄託されて1979年2月に発効した。
 APTは国際電気通信条約(1973年マラガ=トレモリノス)第32条の規定に合致する地域的電気通信機関でもあり,加盟国(1985年6月末現在20か国),準加盟国(2地域)及び賛助加盟員(11事業体)から構成されている。
イ.組織

資料4-14 APT構成機関の概要

ウ.活動状況

資料4-15 APTの活動状況(59年度)

(6)国際連合アジア・太平洋経済社会委員会(ESCAP)

ア.概要
 ESCAPは,国連経済社会理事会(ECOSOC)の監督下にある地域経済委員会の一つで,1947年3月に設立された国連アジア極東経済委員会(ECA-FE)の名称が変更され(1974年9月),現在に至っているものである。
 ESCAPの本部はタイのバンコクにあり,地域内各国の経済・社会開発のための協力をはじめ,これに関する調査・研究・情報収集等を行っている。1985年3月末現在加盟国は,域内国39,域外国5の計44か国(うち準加盟6か国)で,我が国は1952年に準加盟が認められ,次いで1954年に正式加盟が認められた。
イ.組織
 ESCAPには,総会の下部機構として,九つの常設委員会があり,その一つである海運・運輸通信委員会の運輸・通信・観光ウイングは,隔年ごとに開催されることになっているが,そこでは域内の電気通信及び郵便の開発に関する技術及び経済関係の諸問題の討議勧告を行い,その実施状況の検討がなされている。
ウ.活動状況
 59年度においては,第41回総会が1985年3月19日から3月29日までの間,タイのバンコクにおいて開催され,前回総会(東京)で採択された運輸・通信基盤の向上,実際的かつ効率的な運輸・通信網の開発促進等を目的とする決議「運輸・通信の10年(1985-1994)」の具体化に向けて討議が行われた。

(7)国際海事機関(IMO)

ア.概要
 IMOは,海運に影響のあるすべての種類の技術的事項について国際協力を促進することを目的として設立された国際連合の専門機関である。
 無線通信に関する諸問題については,現在,1990年の導入を目途に「将来の全世界的な海上遭難安全制度」(FGMDSS)の審議に重点をおいている。
イ.組織
 IMOは,総会,理事会,海上安全委員会及び海洋環境保護委員会等の各種委員会,機関が必要と認める補助機関及び事務局で構成されており,無線通信に関する事項は,主として,海上安全委員会及びその補助機関である無線通信小委員会で審議されている。
ウ.活動状況

資料4-16 IMOの活動状況(59年度)

(8)国際民間航空機関(ICAO)

ア.概要
 ICAOは,国際民間航空の安全かつ秩序ある発展及び国際航空運送業務の健全かつ経済的な運営を目的に設立された国際連合の専門機関である。ICAOの主要な任務には,航空通信の要件,無線設備の技術基準,航空通信に分配された周波数の使用等について,国際的な統一基準を設定することが含まれている。
 航空分野における電気通信の課題としては,現在,宇宙通信技術の導入,電子技術を十分活用した通信自動化の促進,無線航行援助施設の性能向上等がある。
イ.組織
 ICAOの組織は,総会,理事会,事務局等のほか,それぞれの分野における専門的な活動を行う各種委員会や地域航空会議等の補助機関により構成されており,無線通信に関する事項は,主として,航空委員会及びその下部機関である通信部会等で審議され,その結果を理事会に勧告,助言することになっている。
ウ.活動状況

資料4-17 ICAOの活動状況(59年度)

(9)国際連合宇宙空間平和利用委員会

ア.概要
 国際連合宇宙空間平和利用委員会は,国際連合総会の下に宇宙空間の平和利用に関する問題を検討することを目的として設置された委員会であり,その下部機関として科学技術小委員会及び法律小委員会とがある。この委員会の主たる審議事項は,衛星による地球の遠隔探査(リモートセンシング),宇宙空間における原子力電源の使用,宇宙の定義及び静止衛星軌道並びに第2回国連宇宙会議の勧告の実施等である。
イ.活動状況

資料4-18 国際連合宇宙空間平和利用委員会の活動状況(59年度)

(10)経済協力開発機構(OECD)

ア.概要
 OECDは,1961年に欧州経済協力機構(OEEC)を発展的に改組して発足した国際機関であり,我が国(1964年加盟)を含む先進24か国が加盟している。OECDは,経済成長,開発援助,貿易拡大の最大目的を有しており,これを達成するため,加盟国相互の情報及び経験の交換,政策の調整,共同研究等を行っている。
イ.組織
 OECDの組織は,上部機構として全加盟国によって構成され,OECDの意見の正式決定機関である理事会,理事会の補佐機関である執行委員会等があり,下部機関として経済政策委員会,開発援助委員会及び貿易委員会等約30の各種委員会及び事務局がある。
 電気通信政策に関する諸問題は,情報・コンピュータ・通信政策委員会(ICCP)を中心に検討されている(1982年4月1日に作業部会から委員会に昇格)。
 ICCPの下には,TDF作業部会が設置されているほか,「プライバシー保護ガイドラインのフォロー・アップ」,「コンピュータ犯罪」,「ICC統計」,「情報技術と経済の見直し」等に関するアド・ホック会合が随時開催されている。また,特別のテーマが提起された場合,シンポジウムやセミナを含む特別会合が開催されることとなっており,1985年11月には「電気通信特別会合」が予定されている。
ウ.活動状況

資料4-19 OECDの活動状況(59年度)
 

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