2 物価高等への対応

物価高が継続する中、地方公共団体においては、物価高の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援を実施しており、国においても、そうした取組に補正予算の編成により財政措置を講じてきた。また、地方公共団体の公共施設等における光熱費の高騰や委託料の増加、建設事業費の上昇を踏まえた対応や民間における賃上げ等を踏まえた給与改定等への対応も必要となっている。

(1)補正予算の対応

令和6年11月22日に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定され、国民生活・事業活動を守り抜くため、当面の対応として、物価高に伴う家計や事業者の負担を軽減することとし、令和6年度補正予算(第1号)において、「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」(低所得世帯支援枠0.5兆円、推奨事業メニュー分0.6兆円等)が計上されるとともに、電気料金及び都市ガス料金の値引き原資の支援を行うための「電気・ガス料金負担軽減支援事業」(0.3兆円)、燃料油の小売価格急騰の抑制を図るための「燃料油価格激変緩和対策事業」(1.0兆円)等が計上された。

(2)公共施設等の光熱費・施設管理の委託料等に関する対応

令和7年度の地方財政計画においては、学校、福祉施設、図書館、文化施設など地方公共団体の施設の光熱費の高騰や、ごみ収集、学校給食など地方公共団体のサービス・施設管理等の委託料の増加を踏まえ、一般行政経費(単独)に対前年度比300億円増の1,000億円を計上している。

また、資材価格等の高騰による建設事業費の上昇を踏まえ、病院事業債の公立病院等に係る新設・建替等事業と緊急防災・減災事業債の津波浸水想定区域からの庁舎移転事業における建築単価の上限を引き上げることとし、いずれも令和6年度事業債から新単価を適用することとしている。

(3)地方公務員の給与改定等

令和6年人事院勧告において、民間企業の賃上げの状況を反映して月例給は約30年ぶりとなる高水準のベースアップとなり、若年層に特に重点を置きつつ、全ての国家公務員を対象に平均2.76%の引上げ改定が行われ、特別給は3年連続で0.10月分引上げとなった。

地方公務員の給与改定については、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(令和6年11月29日閣議決定)において、地方公務員法の趣旨に沿って適切に対応することとされた。これを踏まえ、地方公務員の給与改定に要する経費の地方負担分として、令和6年度の給与改定所要額7,172億円について、令和6年度補正予算(第1号)に伴い、令和6年度地方財政計画上の追加財政需要額の一部及び地方交付税の増額交付の中で対応することとした。また、令和7年度の地方財政計画においては、令和7年度の給与改定所要額7,651億円を計上するとともに、年度途中の給与改定に対応できるよう、給与改善費として2,000億円を計上している。

公立学校の教師の処遇改善のため、教職調整額の率について、令和8年1月に5%とし、令和12年度までに10%への引上げを行うこととし、第217回通常国会に「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案」が提出されている。

教職調整額の引上げに必要な経費(令和7年度の地方負担113億円)については、全額を地方財政計画の歳出に計上し、地方交付税措置を講じることとしている。

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