昭和49年版 通信白書

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3 国内データ通信システム

(1) 年度別設置状況
 自営システム及び公社システムの39年度以降における各年度末現在のシステム数は,第2-4-9表のとおりである。
 対前年度比では毎年度150%以上を示しており,対前年度増加数は46年度以降が特に急速な増加を示している。
 自営システムは,47年度末以前においては,すべて特定通信回線(46年9月1日前は専用回線)を利用するシステムであって,48年度に公衆通信回線を利用するシステムが出現した。48年度末現在706システムの内訳は,特定通信回線を利用しているものが671システム(このうち,公衆通信回線を併用しているものは13システム),公衆通信回線を利用しているものが35システム(特定通信回線を併用しているものを含めれば48システム)である。
 公社システムは,43年8月16日にサービスを開始し,48年度末現在のシステム数は38システムとなっている。
 私設システムは,制度的には有線電気通信法に基づき設置されているものであって,電力事業の自動給電システム,運輸業の座席予約システム,地方公共団体の大気汚染観測システム等がある。
(2) 対象業務別設置状況
 自営システムの対象業務別システム数は,第2-4-10表のとおりである。
 過去3年間を通じ,製造業者,商事会社等の事務管理を対象とするものが約40%を占めており,銀行,信用金庫等の預金・為替・信託業務を対象とするもの,官公庁関係の業務を対象とするもの及び株式取引,運送管理,その他を対象とするものが,それぞれ20%程度を占めている。このうち,官公庁関係の業務を対象とするものは,全体に占める割合が着実に伸びており,特に大気汚染観測システムの数は1年ごとに倍増している状況となっている。
 ちなみに,システム数の多い順から7位までの対象業務は,第2-4-11表のとおりであって,生産・在庫・販売管理システム及び預金・為替システムが常に上位にあることには変わりがないものの,大気汚染観測システム及び交通制御システムの躍進ぶりが注目される。
 このことは,データ通信の利用が企業等の事務管理にとどまらず,公害,環境破壊,交通混雑等の社会的な問題を解決するための手段としても広く利用されてきたことを示すものであり,今後のデータ通信の多彩な普及発展を期待させる一つの動向である。
 データ通信の利用は,企業内利用から社会利用へ,そして家庭利用へと範囲を広げていくであろうと予測されているが,48年度までの推移においては,企業内利用から社会利用へと拡大されつつある段階といえよう。
 なお,公衆通信回線を利用しているシステム(特定通信回線を併用しているシステムを含めて48システム)の対象業務別利用状況は,生産・在庫・販売管理システムが18システム,預金・為替システムが8システム,為替システム及び保険システムがそれぞれ3システム等となっている。
(3) 業種別設置状況
 自営システムの業種別システム数は,第2-4-12表のとおりである。
 システム数の多い業種は,製造業,建設業,金融業及び地方公共団体であって,これらのシステム数の合計は全システム数の約70%を占めている。しかし,製造業,建設業及び金融業のシステム数の合計が全システム数に占める割合は,46年度末が61.0%,47年度末が57.8%,48年度末が54.0%と年々低下している。他の業種の著しい伸長による相対的な低下もさることながら,企業内システムのレベルアップに伴う既存システムの統合,金融業においては47年度末に都市銀行は全行,地方銀行は約70%の銀行が主要業務のオンライン化を終了していることによるものとも考えられる。
 一方,地方公共団体のシステム数が全システム数に占める割合は,逐年順調な伸びを示している。これは,公害監視,交通信号制御,水質管理,水道テレメータ等のためのシステムが急速に増加したことによるものである。
 また,全システム数に占める割合は小さいものの,情報通信事業,ソフトウェア業,商業,通信・出版・サービス業のシステムも着実に増加していることも注目されるところである。
 なお,公衆通信回線を利用しているシステム(特定通信回線を併用しているシステムを含めて48システム)についてみると,14システムが製造業,建設業,11システムが金融業,8システムが情報通信事業,ソフトウェア業,その他のシステムは商業,保険業等となっている。
(4) 国産機・外国機別設置状況
 自営システムを主電子計算機により区別した国産機システム及び外国機システムの43年度以降におけるそれぞれのシステム数は,第2-4-13図のとおりである。
 従前は外国機システムが優位を占めていたが,46年度以降は国産機システムの割合が上昇し,48年度末に至って両システムの割合は逆転して53.4%(377システム)対46.6%(329システム)となり,国産機システムが優位を占めている。
 その背景としては,ソフトウェア技術を含めて国産電子計算機の性能が向上したこと,国産品の使用奨励に関する閣議決定が適用される政府及び政府関係機関のシステムが大幅に増加したこと,データ通信の普及に伴い低速,小容量の国産機の使用で達成される小規模のシステムも増加したこと等があげられる。

第2-4-9表 国内データ通信システムの年度別設置状況

第2-4-10表 国内自営システムの対象業務別設置状況(1)

第2-4-11表 国内自営システムの対象業務別設置状況(2)

第2-4-12表 国内自営システムの業種別設置状況

第2-4-13図 国内自営システムの国産機・外国機別設置状況

 

 

 

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