昭和49年版 通信白書

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2 電電公社の情報通信事業

(1) データ通信設備サービスの種類
 データ通信設備サービスは,電電公社が電気通信回線及びこれに接続する電子計算機等からなる電気通信設備を一体として設置し,利用者にサービスを提供するもので,この種類は第2-4-18表のとおりである。
 公衆データ通信サービスは,電電公社があらかじめ用意したサービスを共同利用する,いわばレディーメイド型サービスであり,「販売在庫管理システムサービス」及び「科学技術計算システムサービス」がある。
 各種データ通信サービスは,電電公社がユーザの求めによりその対象業務に応じたサービスを提供するいわばオーダーメイド型サービスであり,「運輸省自動車検査登録データ通信システム」,「全国銀行データ通信システム」等がその例である。
 なお,プッシュホン(押しボタンダイヤル電話機)で簡易な計算を行う「電話計算サービス」は,試行サービスであってデータ通信設備使用契約に基づくサービスではないが,便宜上公衆データ通信サービスの中で取り上げることとした。
(2) 公衆データ通信サービス
ア.販売在庫管理システムサービス(DRESS)
 販売在庫管理システムサービスは,45年9月東京でサービスが開始されて以来,順調な伸びを示し,48年度末現在においてユーザ数364,端末数1,375となっている。
 販売在庫管理システムサービスは,今までサービスを拡大していく場合には当該地域にセンターが設置されてきたが,増大する需要に対応するため,48年度においてはサブセンター方式により,新たに横浜,神戸,広島,仙台,松山,金沢等12都市においてサービスが開始された結果,48年度末現在におけるサービスの提供地域は第2-4-19表のとおり拡大された。
 なお,サブセンター方式のシステム構成は第2-4-20図のとおりである。
 48年度末現在における販売在庫管理システムサービスの利用状況をユーザ数,端末数及び1ユーザ当たりの平均端末数でみると第2-4-21表及び第2-4-22図のとおりであり,ユーザ数,端末数とも対前年度比それぞれ210%と増加しており,1ユーザ当たりの平均端末数は3.8台で,前年度と比較してほとんど同じである。
 次に地域的にみると,前述したように横浜,神戸等12都市において新しくサービスが開始されたので,全国的にサービス提供が可能となったが,東京においてはユーザ数,端末数とも対前年度比それぞれ215.2%,243.2%と増加しており,依然としてその需要は高い。
 このサービスのユーザの業種別構成の概略は,第2-4-23図のとおりであり,商業57.5%,製造業・建設業37.7%とこれらで全体の95%を占めている。
 次に,ユーザの資本金,従業員別事業規模についてみると,資本金においては5千万円以下の企業が約3分の2を占め,従業員数においては100人未満のそれが過半数を占めており,販売在庫管理システムサービスのユーザの大部分は中小企業である。
イ.科学技術計算システムサービス(DEMOS)
 科学技術計算システムサービスは,46年3月に東京でサービスが開始されて以来,順調な伸びを示し48年度においては従来の科学技術計算システムサービスのほか,新たに高性能の超大型電子計算機であるDIPS-1を利用した科学技術計算システムサービス(DEMOS-E)が開始され,48年度末現在においてユーザ数458,端末数520となっている。
 DEMOS-Eサービスにおいては,従来のDEMOSに対し演算速度や記憶装置の飛躍的向上が図られるほか,使用言語としてCOBOLを加え,1,200b/sの高速データ宅内装置やCRTディスプレイの接続も可能となるなど,ユーザに対するサービスは一段と向上した。
 また,科学技術計算システムサービスは,従来のシステムによりサービスを提供している東京,大阪,名古屋のほか,サブセンター方式により新たに全国主要13都市において実施された結果,48年度末現在におけるサービスの提供地域は第2-4-2表のとおり拡大された。
 48年度末現在における科学技術計算システムサービスの利用状況をユーザ数,端末数及び1ユーザ当たりの平均端末数でみると第2-4-25表及び第2-4-26図のとおりであり,ユーザ数,端末数とも対前年度比それぞれ約160%と増加している。1ユーザ当たりの平均端末数は,47年度と同じく1.1台となっている。
 このサービスのユーザの業種別構成の概略は第2-4-27図のとおりであり,製造業・建設業が85.4%と非常に高い割合を占めている。
 また,ユーザの資本金,従業員別事業規模についてみると,資本金においては1,000万円未満の企業が約40%を占める一方,1億円以上のそれも約40%とかなりの部分を占めている。
 同様に従業員数においても,100人未満の企業が約50%を占めているが,
 1,000人以上のそれも約20%を占めており,科学技術計算システムサービスのユーザの両極化現象がみられ,販売在庫管理システムサービスのユーザの大部分が中小企業であるのに比して著しい対照をなしている。
ウ.電話計算サービス(DIALS)
 電話計算サービスのセンターは東京及び大阪に設置されており,このサービスを利用できる地域は,センターあるいはサブセンターの設置された単位料金区域及びその隣接単位料金区域である。48年度においては,新たに松山,金沢,広島,札幌,新潟,福岡,北九州,仙台の8都市及びその周辺地域でサービスが開始された結果,48年度末現在においてサービスを提供しているのは第2-4-28表のとおり55単位料金区域となっている。
 また,48年度末現在においてこれらの地域におけるプッシュホンの加入数は第2-4-28表のとおり,53万3千台で47年度末の26万5千台に比べ101.1%増となっている。
 なお,東京及び大阪両センターにおけるライブラリー別の利用状況は第2-4-29表のとおりであり,両センターともバイオリズム,日数計算等がよく利用されている。
(3) 各種データ通信サービス
 48年度において新たにサービスが開始されたのは第2-4-30図のとおり10システムであリ,一方既設システムを統合したものが2件あったため,48年度末現在におけるシステム数は25システムとなっている。
 各種データ通信サービスの利用状況を44年度以降の推移でみると,第2-4-31表のとおりであり,システム数の増加とともにシステムの規模が年々拡大している。
 また,48年度末現在におけるシステムを対象業務別にみると第2-4-32表のとおりであり,税務会計業務を対象とするものが新たに開始されたが,預金・貸付・為替等の銀行業務が依然として多く20システムとなっている。

第2-4-18表 データ通信設備サービスの種類

第2-4-19表 販売在庫管理システムサービスの提供地域(48年度末現在)

第2-4-20図 サブセンター方式のシステム構成図(概要)

第2-4-21表 販売在庫管理システムサービスの利用状況

第2-4-22図 販売在庫管理システムサービスの利用状況(各年度末)

第2-4-23図 販売在庫管理システムサービスのユーザの業種別内訳(概略)(48年度末現在)

第2-4-24表 科学技術計算システムサービスの提供地域(48年度末現在)

第2-4-25表 科学技術計算システムサービスの利用状況

第2-4-26図 科学技術計算システムサービスの地域別利用状況(各年度末)

第2-4-27図 科学技術計算システムサービスのユーザの業種別内訳(概略)(48年度末現在)

第2-4-28表 電話計算サービスの提供状況(48年度末現在)

第2-4-29表 電話計算サービスのライブラリー別利用状況(48年度末現在)

第2-4-30図 各種システムサービスの年度別開始状況

第2-4-31表 各種データ通信サービスの推移

第2-4-32表 各種システムサービスの対象業務別内訳

 

 

 

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