我が国の行政において政策評価を導入する目的とその具体的な内容に関する主な意見は、以下のとおりである。
[国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)の徹底]
[国民本位で効率的な質の高い行政の実現]
[国民的視点に立った成果重視の行政への転換]
(注)政策評価に関連して、中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)及び総務省設置法において、「行政評価」(行政機関の業務の実施状況の評価)という用語が用いられているが、これについては、政策評価と政策評価を除く狭義の行政評価の両者を併せたものと解されている。
「政策」 | 行政課題に対する基本的な方針。 |
「施策」 | 上記方針を実現するための具体的方策や対策。 なお、「施策」は、下位のレベルである事務事業を束ね、その目的を示したものと捉えることもできる。 |
「事務事業」 | 上記方策や対策を具体的に実現するための個々の行政手段。 なお、「事務事業」によっては、主として特定の地域、個人・団体等に一定の効果を及ぼすことを目的とした個別事務事業とそれらを束ねた事務事業とがある場合がある。 |
※現実には、一つの施策や事務事業が複数の政策体系に属する場合もあり、個々の政策体系は必ずしも上記イメージ図のように完全に独立したピラミッド状に整理できないものもあると考えられる。また、政策体系によっては、施策が複数の階層から成る場合や事務事業レベルに相当するものが存在しない場合もあり得ると考えられる。
〔「必要性」の観点〕
〔「効率性」の観点〕
〔「有効性」の観点〕
〔「公平性」の観点〕
(2) 事業評価(仮称)(事務事業レベルを対象とした評価方式)
ア 施策実績評価(仮称)(施策レベルを対象として目標に対する実績を評価する方式)
イ 政策体系評価(仮称)(政策体系の全てのレベルを視野に入れて総合的に評価する方式)
事業評価 (仮称) | 施策実施評価 (仮称) | 政策体系評価 (仮称) |
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概要 | ・事務事業レベルを対象とした評価方式 (事前にどの事務事業を実施するかを選択決定するための情報を得ることが比較的可能) | ・施策レベルを対象として目標に対する実績を評価する方式 (政府全体としての実績を一覧的に把握することが可能) | ・政策体系の全てのレベルを視野に入れて総合的に評価する方式 (政策目的が実現される因果関係や波及効果のプロセスを解明し、問題を解決するための情報などを得ることが可能) |
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評価対象 | レベル | ・事務事業レベルに焦点を当てる | ・施策レベルに焦点を当てる (事務事業レベルに焦点を当てるとの意見あり) | ・(政策の目的等を所与のものとせずに)「政策-施策-事務事業」という政策体系の全てのレベルを視野に入れる |
分野 | ・当初は、評価の必要性が特に強く指摘され、ある程度一定の評価手法が確立した分野(公共事業、研究開発、ODA(政府開発援助)など)を中心として実施するとの意見 ・当初からできるだけ全ての事務事業を対象として実施するとの意見 | ・行政分野全般を対象として実施する | ・概ねあらゆる行政分野において実施可能 ・実際には重要政策課題について重点的に実施する |
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評価時点 | ・事前、途中、事後に実施する (選択決定のための情報を得ようとする評価は、事前に実施した上で途中・事後に検証) | ・継続的に実施する (予め目標を設定し、定期的にその目標に対する実績を測定) | ・事後に実施することが中心 | |
評価手法 | ・評価対象の分野の性質や評価を行う時点等に応じた適切な評価手法を適用する ・ある程度一定の評価手法が確立している分野においては基本的には当該評価手法を適用する | ・目標を設定し、その目標に対する実績を測定する手法を適用する | ・個々の評価対象の性質等に応じて各種の定量的・定性的な評価手法を適切に適用する |
我が国への施策実績評価(仮称)の導入を検討するに当たっては、例えば、次のようなメリットや課題を十分に踏まえる必要がある。
[施策実績評価(仮称)の導入のメリット]
[施策実績評価(仮称)の導入に当たっての課題]