各府省等において取り交わされた文書

海上における捜索救助に関する協定

海上における捜索救助に関する協定(昭和60年3月13日協定)

 
最終改正 平成19年2月16日

(目的)
第1条 この協定は、関係機関の合意により、千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約(以下「SAR条約」という。)に準拠して、海上における捜索救助を迅速、かつ、的確に実施するための手続等を定めることを目的とする。

(関係機関の協力)
第2条 警察庁、総務省、消防庁、法務省、外務省、財務省、厚生労働省、水産庁、国土交通省、気象庁、海上保安庁及び防衛省は海上における捜索救助に関する関係機関(以下「関係機関」という。)として、その実施のため相互に密接に協力する。

(捜索救助に関する手続等)
第3条 海上における捜索救助に関する手続等については、この協定及び別に定めるところによるほか、SAR条約附属書の規定による。

(連絡調整本部)
第4条 海上における捜索救助業務を総合的に連絡・調整するために、関係機関で構成する連絡調整本部を海上保安庁に設置する。
2  連絡調整本部においては、次の場合に関係機関が協議を行う。
(1) 救助調整本部が調整する捜索救助活動の基本的な事項について取決めを行う必要があるとき。
(2) 救助調整本部による捜索救助活動の実施に当たり、外国の救助隊が我が国の領海、領土又は領空へ立ち入ることの許可を求めたときなど特に連絡・調整を行う必要があるとき。
3  外国機関に対し援助を要請する必要があるとき又は外国機関から援助の要請があつたときは、外務省その他の関係機関は、所要の措置をとるものとする。
4  第2項の協議は、海上保安庁長官又はその指名する職員が議事を進行する。
5  関係機関は、第2項の協議を行う必要があると認めるときは、海上保安庁長官に議題を示して協議を求めることができる。
6  海上保安庁長官は、前項の要求があつたときは、速やかに会議を招集する。
7  関係機関は、第2項の協議の結果に基づき、所要の措置をとるものとする。
8  連絡調整本部の庶務は、海上保安庁において処理する。

(救助調整本部)
第5条 捜索救助区域において、捜索救助業務の効率的な組織化を促進し、かつ捜索救助活動の実施を調整するために、協定実施細目で定める関係機関の地方機関等(以下「地方機関等」という。)で構成する救助調整本部を海上保安庁の各管区海上保安本部に設置する。

(活動方針)
第6条 救助調整本部においては、地方機関等が協議して海上における捜索救助活動を効率的に実施するための活動方針を策定する。
2  地方機関等の船舶又は航空機の現場における捜索救助活動は、それぞれの指揮命令系統の下に実施されるものとし、指揮命令系統の異なる船舶又は航空機が協力して当該捜索救助活動を行う必要があると認められる場合には、相互に所要の調整を行うものとする。
3  地方機関等の船舶又は航空機が捜索救助活動に従事する場合にあっては、SAR条約附属書4.7.2及び4.7.3でいう「現場調整者」の指定は行わないこととする。
4  地方機関等は、第1項の活動方針に基づき、海上における捜索救助活動の実施に必要な活動計画又は活動指針を作成する。

(通報)
第7条 外国の救助隊が我が国の領海、領土又は領空へ立ち入ることの許可を求めてきたときは、救助調整本部は直ちに外務省及び地方機関等にその旨を通報するものとする。
2  外国機関に対し救助隊の出動等の援助を要請する必要があるとき及び外国機関からかかる援助の要請があつたときは、救助調整本部は外務省にその旨を通報するものとする。

(協議)
第8条 救助調整本部においては、次の場合に地方機関等が連絡・調整のための必要な協議を行う。
(1)  地方機関等が相互に特別な協力をして捜索救助活動を実施する必要があるとき。
(2)  外国の救助隊が我が国の領海、領土又は領空へ立ち入ることの許可を求めてきたとき。
2  前項の場合において、救助調整本部は、必要があると認めるときは、関係地方公共団体及びその他の機関に対し、あらかじめ遭難情報等を提供しておくとともに、その参加を求めることができる。

(議事の進行及び庶務)
第9条 第6条第1項及び前条第1項の協議は、管区海上保安本部の長又はその指名する職員が議事を進行する。
2 地方機関等は第6条第1項及び前条第1項の協議を行う必要があると認めるときは、管区海上保安本部の長に議題を示して協議を求めることができる。
3 管区海上保安本部の長は、前項の要求があつたときは、速やかに会議を招集する。
4 救助調整本部の庶務は、管区海上保安本部において処理する。

(自衛隊の派遣の要請)
第10条 海上における捜索救助のため、自衛隊法第83条第2項の規定に基づく自衛隊の派遣を要請する必要があると認められたときは、海上保安庁又は救助調整本部の協議に参加した都道府県は、同条第1項の規定による所要の手続をとるものとする。

(実施細目)
第11条 この協定の実施に必要な細目は、連絡調整本部が別に定めるものとする。
附 則
第1条 この協定は、我が国についてSAR条約の効力が発生する日から施行する。
第2条 この協定(救助調整本部の設置を含む。)は、関係機関の従来の権限及び現行法に基づく他の諸制度に影響を与えるものと解してはならない。




 
海上における捜索救助に関する協定実施細目(昭和60年6月22日連絡調整本部決定)
 

最終改正 令和元年9月18日

(関係機関の連絡調整担当者)
1 (1)  海上における捜索救助に関する協定(以下「協定」という。)第4条の連絡調整本部における関係機関相互の連絡を密にするため、連絡調整担当者を置くものとする。
(2)  (1)の連絡調整担当者は、次のとおりとする。
〔関係機関担当部担当課長名等〕
警察庁生活安全局生活安全企画課長及び警備局警備運用部警備第二課長
総務省総合通信基盤局電波部基幹・衛星移動通信課長
消防庁国民保護・防災部参事官
出入国在留管理庁出入国管理部出入国管理課長
外務省領事局海外邦人安全課長及び各地域課長
財務省関税局監視課長
厚生労働省健康局結核感染症課長及び医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課検疫所業務管理室長
水産庁漁政部漁政課長
国土交通省海事局外航課長及び航空局航空ネットワーク部国際航空課長
気象庁予報部業務課長
海上保安庁警備救難部救難課長
防衛省統合幕僚監部参事官

(捜索救助区域)
2 協定第5条の各救助調整本部の捜索救助区域は、我が国の捜索救助区域のうち次のとおりとする。(別図参照)
〔救助調整本部名及び捜索救助区域〕
小樽救助調整本部 北海道の沿岸水域
塩釜救助調整本部 宮城県、福島県、岩手県、青森県、秋田県及び山形県の沿岸水域
横浜救助調整本部 東京都、千葉県、茨城県、神奈川県及び静岡県の沿岸水域
名古屋救助調整本部 愛知県及び三重県の沿岸水域
神戸救助調整本部 大阪府、和歌山県、兵庫県(豊岡市及び美方郡を除く。)、徳島県及び高知県の沿岸水域
広島救助調整本部 広島県、岡山県、山口県(下関市、山陽小野田市、萩市、宇部市、長門市及び阿武郡を除く。)、香川県及び愛媛県の沿岸水域
北九州救助調整本部 福岡県、山口県(下関市、山陽小野田市、萩市、宇部市、長門市及び阿武郡に限る。)、大分県、佐賀県及び長崎県の沿岸水域
舞鶴救助調整本部 京都府、福井県、兵庫県(豊岡市及び美方郡に限る。)、島根県及び鳥取県の沿岸水域
新潟救助調整本部 新潟県、富山県及び石川県の沿岸水域
鹿児島救助調整本部 熊本県、宮崎県及び鹿児島県の沿岸水域
那覇救助調整本部 沖縄県の沿岸水域

(関係機関の地方機関等)
3 協定第5条の救助調整本部を構成する関係機関の地方機関等は、次に掲げる機関のうち関係機関において適当と認め、連絡調整本部に通知したものとする。
〔関係機関の地方機関等の名称〕
管区警察局、警視庁及び道府県警察本部
総合通信局及び沖縄総合通信事務所
都道府県の消防防災担当部局並びに市町村の消防機関及び消防防災担当部局
地方出入国在留管理局、支局及び出張所
税関及び地区税関
検疫所、支所及び出張所
水産庁本庁及び漁業調整事務所
地方運輸局(運輸監理部を含む。)及び沖縄総合事務局運輸部
気象庁本庁、管区気象台、沖縄気象台及び地方気象台
管区海上保安本部
地方総監部

(連絡調整本部及び救助調整本部の運営要領)
4 (1)  協定第4条第2項第2号の協議は、緊急その他やむを得ない場合は、関係機関相互の電話等による連絡をもって行うことができる。
 (2)  協定第4条第2項の協議が行われる場合において、当該捜索救助活動に関与しない関係機関は、当該協議に参加しないことができる。
 (3)  (1)及び(2)の規定は、協定第8条の関係機関の地方機関等の相互の協議について準用するものとする。

(庶務)
5 (1)  協定第4条第8項の連絡調整本部の庶務は、海上保安庁警備救難部救難課において処理するものとする。
 (2)  協定第9条第4項の救助調整本部の庶務は、各管区海上保安本部警備救難部救難課(第十一管区海上保安本部にあつては救難課)において処理するものとする。
附 則
この実施細目は、昭和60年6月22日から施行する。
 
海上における捜索救助に関する協定実施細目別図1
海上における捜索救助に関する協定実施細目別図2
海上における捜索救助に関する協定実施細目別図3

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