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会見発言記事

新藤総務大臣臨時記者会見の概要

平成25年3月27日



冒頭発言

 それでは、成年被後見人選挙権訴訟への対応について、成年被後見人の選挙権付与を求める訴訟については、3月14日に東京地裁において、国側の主張が認められず、原告の主張を認める判決が出されたところであります。今般の東京地裁判決は、成年被後見人は、選挙権を有しないとする公職選挙法11条1項1号の規定は、憲法違反であるとし、原告が次回の衆議院議員選挙、参議院議員選挙において選挙権を有することを確認するものでありました。この判決の後、法務省とも協議をいたしまして、そして、政府内で検討を進めてきたところでありますが、この度、控訴するとしたところでございます。成年被後見人の選挙権の取扱いについては、今回の東京地裁判決で、勝訴された原告の方だけでなく、全国に約13万人の成年被後見人のすべての方々にもかかわる問題でございます。今回の判決は、原告が国政選挙で投票することができる地位を確認したものであり、原告の方以外の選挙権行使を望む成年被後見人の方々の選挙権の在り方について、新たな立法措置も含め、検討するためには、一定の時間が掛かると、このようなことが想定をされております。そのような中で、今回の違憲判決が確定するだけということになりますと、全国各地で毎週のように行われる地方選挙、例えば、4月では、157団体、そして、193の選挙、任期が来るわけであります。そういう全国各地で行われる選挙において、その地方の現場で直ちに成年被後見人の方々の取扱いに混乱が生じるおそれがございます。例えば、投票を求めてのそういった現場での混乱もあると思います。また、全国各地でですね、個別の選挙権を求める訴訟であるとか、それから、自分が選挙に参加できなかったことをして、選挙が無効ではないかと、こういう訴えが多発されると、こういった混乱を生じまして、むしろ、障害者や高齢者の方々の権利保護の観点からも大きな問題を引き起こすことを懸念しているわけであります。そのために、障害者、高齢者の財産権を保護する成年後見制度と、そして、選挙権の調整を図らなければならないと。そのためには、どのような立法措置を講じていけば良いのか、与党中心に早速検討を進めていただいておりますし、政府としても支援を行いたいと、このように考えております。一方で、今回のこの訴訟でございますが、今回の東京地裁のほか、同種の訴訟が現在3件、審理中であります。そして、その審理の最中にですね、新たな立法措置が検討されると、そういう間、直近の地方選挙における混乱を回避することと共に、立法府における検討、これを必要以上に制約することがないように、そうした様々の観点から、法務省と協議を行いまして、控訴をして対応することとしたものであります。また、最後にこれ私の思いでありますが、今回の事案における原告の方の投票したいという思い、これはノーマライゼーションの精神からしてですね、多いに私も共感できるところがございます。しかし、一方、民主主義の土台となる選挙制度に関すること、これにつきましては、無用な混乱を生じることなく、立法府において、障害者、高齢者の財産権を保護する成年後見制度と、そして、選挙権との調整を図る、こういった制度の在り方、これをですね、速やかに検討していかなくてはいけないと、こういう問題意識をもちながら、この度の対応とさせていただいた次第でございます。
 私からは、以上です。

質疑応答

問:
 幹事社の日本経済新聞の福冨です。今の、お話いただいたその経緯を踏まえますと、何らか、その、法改正になるのかどうかは政府・与党でも検討されているかと思うのですが、何らかの措置がされた後には、その控訴を、例えば取り下げるなりするようなことがあり得るという、そういうことでよろしいのでしょうか。
答:
 これはですね、成年被後見人に選挙権を与えるといった内容の立法措置がされた場合、これは、そうしたことによって原告にですね、そうした当該地位が与えられるならば、訴訟はおのずと意味を失われる訳であります。ですから、その時点において、この原告が訴えを取り下げる、もしくは、そうでない場合は、判決において訴えが却下されるということになると思います。ですから、きちんとした立法措置が図られるかどうかというのが重要なポイントになると思います。
問:
 朝日新聞の河口と申します。確認ですけれども、控訴については明日ということになるのでしょうか、手続上は。
答:
 控訴はですね、本日中に法務省において速やかに行われるものと考えております。
問:
 もう1点ですけれども、これも確認ですけれども、今おっしゃった、原告が訴えを取り下げるというのは、これは控訴人という意味ではなくて、要は、権利を求めて訴えた方が取り下げるということになるという御趣旨でよろしいでしょうか。
答:
 これは、原告が訴えを取り下げると、原告の訴えの利益が無くなるわけでありますので、取り下げられるであろうと。
問:
 そういうことですね。政府側がということではないですね。
答:
 仮にですね、立法措置が、この成年被後見人に選挙権を与える立法措置が図られた場合、その訴えの意味がなくなる訳であります。したがって、その時点で控訴は効力を失うということでございます。それは、手続はいくつかのやり方があるという意味だと御理解いただきたいと思います。
問:
 この件をめぐっては、公明党が控訴をしないようにという要請を政府側にしていたかと思うのですけれども、今回の対応を踏まえた公明党の考えに対する大臣のお考えというか、所感と、あと、この控訴を決めるに当たって、政府、もしくは自民党でもいいのですけれども、として、公明党と何らかやり取りをされているのでしょうか。
答:
 これは与党内の話合いが行われて、そして調整が図られた結果と、このように御理解いただきたいと思います。公明党の方からはですね、この控訴を断念すべきと、こういう主張がございました。政府内においても、そういった検討がなされたことも事実であります。様々な、この検討を行った結果、まず法律上の空白期間をつくらないということ、それから、現場における無用な混乱を招かないように配慮しなくてはならないと、そして、この障害者、高齢者の財産権を保護するという成年後見制度と、そして、この選挙権との調整、これを図るためには一定の、この調整する時間が必要であると、そこまでの間は、これは手続にのっとって控訴を進めていこうと、このような判断をしたということでございます。
問:
 NHKの伏見です。判決にもあるとおり、次の参議院選挙での選挙権ということですので、想定される7月までに、新たな立法措置、法改正というのを期待されているということでよろしいでしょうか。
答:
 私といたしましてはですね、民主主義の根幹にかかわる問題でありますし、しかも、司法の場において違憲という状態が示されたわけでありますから、一刻も早くですね、まず国民の代表である議会、与党内での御議論を進めていただきたい、このように思っておりますし、我々はそういった方針が定まれば、速やかに、適切に対処したいと、このように考えております。
問:
 読売新聞の八角と申します。立法府の方で議論がされて、それに従うという話でしたが、政府内の方でも、そういった措置を検討する余地とか可能性があれば教えていただきたいのですが。
答:
 これはですね、民主主義の根幹にかかわることであります。したがって、それについては、国民の代表たる議員の皆さんが、そして政党内での議論をまず速やかに行っていただく、その方針に沿って、我々も適切な対処をさせていただきたいと、このように考えております。
問:
 公選法を所管されている大臣ということでお伺いしたいのですけれども、実際の議論は与党内でやっているかと思うのですが、例えばですね、成年被後見人の方々に選挙権を与えるにしてもですね、例えば、どこまで線引きをするのかとか、あるいは公選法の11条に載っているそこを完全に削除してしまうとか、いろいろ考え方はあると思うのですけれども、大臣としてはどういった方向性で議論が進むのがいいと言うか、公選法を所管されているので、どういうふうにお考えなのかということをお聞かせいただけますか。
答:
 これはまず与党内の議論、これを注視していくわけでありますが、しかし諸外国の例というのもございます。そして今回のですね、禁治産者から成年後見人に替わるとき、そのときには、そもそも権利を有するかどうかというのは、各個別で法律上の、例えば選任だとか、それから、罷免であるとか、解任だとか、そういう個別的な手続があるものについては、欠格条項からはずされたのですね。で、一方で、個別的な能力の審査手続が定められていない、そういう法律については従来の禁治産のですね、考え方が残されたと、そういう整理でございました。しかし今回は、成年被後見人の方がですね、どのような状態であるかと、そして、その際に、財産を保護する観点と、それから選挙権を行使したいというものが、どのように判断、分類されるべきかという、新たな問題になっているわけでありまして、ここに正にこれから与党内の議論が集中していくことになると思うのです。したがって、そういったものをですね、踏まえながら、我々はそれに適切に対処したいと、このように考えております。
問:
 ほか、質問のある方はいらっしゃいますか、よろしいでしょうか。
答:
 はい、ありがとうございました。
問:
 ありがとうございました。

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