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会見発言記事

「G7香川・高松情報通信大臣会合」高市大臣記者会見の概要

平成28年4月29日

冒頭発言


 本日、「G7香川・高松情報通信大臣会合」の1日目が終了しました。
 香川県、高松市の多大なご協力をいただき、緑の美しい栗林公園で、各国代表をお迎えすることができました。改めて地元自治体の皆様に感謝申し上げます。
 会合は私が議長を務め、本日は、「新たなICTがもたらすイノベーションや経済成長」、「情報の自由な流通とサイバーセキュリティの確保」、「2030アジェンダなど地球規模課題への対応」の3つのセッションを行いました。
 まず、最初の「新たなICTがもたらすイノベーション」のセッションでは、ICTによるイノベーションを通じて経済成長を加速していく、また、現下の低迷する世界経済の下支えを図る、そのためにICTを積極的に活用する、そのことについて共通認識が得られました。
 また、我が国の取組として、我が国が昨年立ち上げた「IoT推進コンソーシアム」を紹介するとともに、各国のIoT推進組織の間で連携を進めることを提唱しました。
 なお、本日午前に英国のベイジー大臣と会談させていただきましたが、その中でも、日英のIoT推進組織の協力を後押しすることで一致しています。
 AIについては、私から、人間がAIを安心して安全に使いこなすことができるよう、AIの開発に当たり留意すべき事項をまとめた「AI開発原則」の考え方を示し、国際的議論を加速すべき事を提唱しました。幾つかの国から、日本の提案を歓迎するとともに、検討したいというコメントがございました。
 次に、2つ目の「情報の自由な流通とサイバーセキュリティの確保」のセッションでは、インターネット上における情報の自由な流通を確保することの重要性を確認するとともに、サイバーセキュリティやプライバシー保護の取組の強化について議論致しました。
 まず、世界の中で様々な議論がある中、「情報の自由な流通」という基本原則について、共通認識を持つことができた意義は大きいと思います。
 また、我が国の取組として、個人情報の保護と活用の両立に向けた取組の状況をご紹介するとともに、サイバーセキュリティに関し、NICT(情報通信研究機構)において推進しているトラフィック分析技術「NICTER(ニクター)」をご紹介し、すでに参加している米・仏に加え、各国の更なる参画を呼びかけました。
 さらに、オリンピックなど大きな国際イベントにおけるサイバーセキュリティ対策の重要性についても指摘致しました。
 最後に「2030アジェンダなど地球規模課題への対応」のセッションでは、まず、デジタルディバイドの解消について、米国の「グローバル・コネクト・イニシアチブ」など、G7各国の取組に基づき議論が行われました。
 我が国としても、アジア唯一のG7メンバーとして、特にアジア地域において質の高いICTインフラの整備に取り組み、デジタルディバイドの解消に積極的に取り組んでいることを紹介しました。
 また、貧困の撲滅や気候変動の緩和、防災など地球規模課題の解決についてICTは非常に高いポテンシャルを有していることを確認しました。
 特に高齢社会への対応などは、G7が世界に先駆けて経験する課題であり、これにつき、ICTを活用して解決することが重要であるとの認識を共有できたと思います。
 我が国からは、欧州委員会と共同で高齢者の介護に役立つコミュニケーションロボットの開発に取り組んでいることや、自然災害への対応にICTを様々な形で活用していることをご紹介しました。
 なお、本日午前中には欧州委員会のアンシップ副委員長とも会談しました。その中で、コミュニケーションロボットについての研究開発協力を更に進めることを合意しています。
 また、次世代の携帯技術であり、我が国が世界に先駆けて2020年の実用化を目指している5G技術についても、日欧で協力を推進することを確認しています。
 明日は、今日の議論を継続するとともに、成果文書のとりまとめを行ってまいります。
 なお、本日の会議の冒頭で、香川県立高松高等学校の石丸さんにご出席いただき、昨年12月に、ここ高松で開催された「G7学生ICTサミット」からの報告を受けました。
 今後の国際社会を担う若者たちが、自ら責任をもってICTを使いこなし、イノベーションと情報へのアクセスを促進し、様々な価値観が共存する社会を目指すとの宣言をお伺いし、大変感銘を受けました。会議の議論にも生かされています。

 私からは、以上です。

質疑応答

情報の自由な流通とセキュリティとの関係について

問:
 時事通信の石田です。初日はお疲れさまでした。情報の自由な流通とセキュリティとの関係についてですが、大臣はどのように考えていらっしゃるか。また、G7各国との間で考えの違いはあるのか教えていただけますでしょうか。
答:
 インターネットは、情報の自由な流通を促すことで、民主主義の発展に貢献するだけでなく、経済成長に欠かすことのできない基盤となっています。
 今回のG7の議論でも、まずは情報の流通は自由であるべきこと、この点については意見の一致がみられたと考えています。
 また、この自由なインターネット環境に関して、安全・安心の観点から、セキュリティの確保やプライバシーの保護などが重要であることも、今回、議論が行われました。
 例えば、一部の国において、セキュリティの確保のために、インターネットへの検閲やアクセス制限など、政府による規制が行われているという事例が見受けられます。
 そのような状況も踏まえながら、自由かつ安全・安心なインターネット環境をどのように実現していくかが重要であります。
 G7の中においては、その実現に向けて、基本的価値観は共有しております。今後もサイバーセキュリティの確保を含め、協働して取り組むことが確認できたと考えています。

高松の印象

問:
 OHK岡山放送の船曳と申します。今回、瀬戸内海を望む高松での会合となった訳ですが、風景や食など、あらゆる面で高松の印象について教えてください。
答:
 今日の昼食会でも「jewelry of the world」と私は紹介をさせていただきました。世界の宝物と言える瀬戸内海、そして、すばらしい自然環境、特に緑豊かな環境について、皆様にご紹介させていただき、また食べ物がとても美味しいということで、昨日のレセプションに引き続いて、うどんの宣伝をさせていただきました。
 今日の昼食はうどんではなくて桜ご飯でしたが、それでも地元の食材をふんだんに使った和食でして、とても皆さんに喜んでいただきました。
 また、大変温かいおもてなしをしていただきました知事、市長はじめ昨日のレセプションに集まっていただきました地域社会の皆様、推進協議会の皆様がどれ程この会合にためにご努力くださったかということに私は感銘を受けています。
 また、G7大臣会合ということで、セキュリティの面から県警本部の皆様にも多大なご苦労をおかけしたと思います。各閣僚が泊まるホテルや会場なども安全に皆さんが過ごせるように心を砕いていただいたということがよくわかりました。
 本当に温かいおもてなしに感謝していますし、閣僚達も喜んでおられました。

人工知能の開発原則の提唱

問:
 読売新聞の佐俣です。先程、人工知能の開発原則を提唱したという話がありましたけれども、提唱というのはどういった形で行われたかということと、検討したいといった前向きのコメントがあったとうことですけれども、もし可能であれば、具体的に国の名前を挙げていただければと思います。
答:
 皆様のお手元に8項目の研究開発の原則の資料が配られていると思います。「AI開発原則」の策定ということで、これは日本の有識者達による作業の結果、世界に先駆けて日本から提案をした1つの方向性です。
 「透明性の原則」、「利用者支援の原則」、「制御可能性の原則」、「セキュリティ確保の原則」、「安全保護の原則」、「プライバシー保護の原則」、「倫理の原則」、「アカウンタビリティの原則」というものです。これが1つのたたき台になっていくものと思います。
 朝から3人の方々とバイ会談を行いましたが、日本が各国に先駆けてこういう作業に入ったということに対して、大変高く評価していただいたと思います。各国でも、これからAIを開発していく上で、どのような注意が必要か、また利用する上でどのような注意が必要かという議論はなされていくと思いますが、情報通信大臣会合だけではなく、これから5月の伊勢志摩サミットでもICTは一つの大きなテーマになると思いますので、そちらの首脳会合の方にも、この原則も含めて今回の会合の成果を送っていきたいと思いますし、OECDでも取り上げていただけるように引き続き働きかけをしたいと思います。
 具体的に国名について今日の段階で申し上げていいかどうか確認できていませんが、高い評価をいただいたと思います。皆さんの空気として、こういう原則案を日本側からよそに先駆けて提示し、これは皆さんの議論のたたき台という形になっていくことになると思いますので、非常に好意的に受け止められたと感じています。

デジタルデバイド解消に向けたインフラ整備の取組

問:
 産経新聞の大坪です。デジタルデバイドの解消に向けて、アジア地域で質の高いインフラ整備に取り組まれるということですが、これは質の悪いインフラ整備をしようとしているような国があるということを念頭に置かれているということでしょうか。
答:
 ある国においては質の悪い、といっては語弊があるかもしれませんが。日本では、インターネット接続、強靱なネットワーク、なおかつ環境にも配慮した、質の高いICTのインフラやサービスが提供されています。
 皆さんもご承知のとおり、今、アジアの国を中心に防災ICTなどを日本からしっかりと売り込み、高い評価をいただいております。今朝のバイ会談でも話が出ましたが、日本は質の高いICTインフラを展開していくという、この基本方針の下に活動していることをご紹介しました。

共同宣言の採択に向けた感触等

問:
 NHKの木下です。初日を終えての率直なご感想と、明日、共同宣言を採択されることとなると思いますが、その辺りの大臣の感触等あれば教えていただけますでしょうか。
答:
 もう少し様々な激しい議論になるのかなと思いましたが、自由なインターネット環境は必要である、情報が自由に流通することでイノベーションが起きていくんだと、ここは大事にしよう、これは全員で一致できた点です。
 情報の自由な流通を確保するためにも、プライバシーやセキュリティの問題、これも技術的に難しいけれども、各国で共同しながらしっかりと確保していこうと、この辺りもしっかりと認識を共有できたと思います。
 また、これから非常に早いスピードでAIも進んでいくと思いますが、その中で人間に不安を与えない、そして、我々と共存できる素晴らしい技術であるべきAIでありますので、開発原則についても、概ね好意的なご意見が出たと思います。特に反対意見もなく、今日は無事に1日目の会合が終えることができました。
 なんといっても21年ぶりの情報通信大臣会合です。今日のセッションの中でも出席者から、まず21年ぶりに情報通信大臣会合を開いてくれた日本の貢献に対する感謝の言葉も述べられ、来年はイタリアで開催するということにしていますので、これからも継続的に情報通信に関わるリーダーが集まって議論する機会というのが必要だねという声が上がっており、これは複数の国からそういう意見がありました。
 そして、産学官やユーザーも含めたマルチステークホルダーの必要性、そこで同時に議論を進めていくことの必要性も強調されました。

答:
 (事務方)それでは、ここまでとさせていただきます。
答:
 皆様どうも、お疲れ様でございました。

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