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会見発言記事

第180回国会(常会)総務委員会における総務大臣所信表明

平成24年2月28日

はじめに

 総務委員会の御審議に先立ち、一言御挨拶申し上げます。
 私は、東日本大震災からの復旧・復興に万全を期すとともに、地域主権改革、ICT施策、郵政改革、行政改革の推進など当面する諸課題に取り組んでまいります。
 以下、個別の重要課題について申し上げます。

I 東日本大震災からの復旧・復興等

 東日本大震災からの復旧・復興については、被災団体が復旧・復興事業に着実に取り組めるようにするとともに、被災団体以外の地方団体の財政運営に影響を及ぼすことがないよう、震災復興特別交付税六千八百五十五億円を、通常収支分とは別枠で確保します。
 また、継続審議となっております東日本大震災による被害を受けた合併市町村に係る地方債の特例に関する法律の改正案についても、できる限り早い成立をお願いいたします。
 さらに、被災地の未来に向けた「創造的」復興を果たすため、被災した地方自治体のICTを利活用した課題解決の取組を支援するとともに、災害に強いネットワークの構築などを積極的に推進してまいります。加えて、アナログ放送の終了を延期した岩手・宮城・福島の三県についても、本年三月三十一日に地上デジタル放送へ完全移行できるよう、所要の対策を徹底します。
 また、今冬の大雪による被害についても、被災団体の実情を十分にお伺いし、その財政運営に支障が生じることがないよう取り組んでまいります。

II 地域主権改革の推進

 地方自治体がこれまで以上に住民の負託に応えられるようにするための地方自治法の改正案を、昨年末に地方制度調査会において取りまとめられた意見を踏まえ、今国会に提出してまいります。
 地域主権改革については、義務付け・枠付けの見直しについて必要な法案を今国会に提出してまいります。また、来年度は、一括交付金の拡充を図ることとしています。さらに、国の出先機関の原則廃止に向けて、「アクション・プラン」に沿って精力的に取組を進めているところであり、今国会への必要な法案の提出に向けて最大限努力します。
 また、それぞれの地域資源を最大限活用し、域内循環を進める「緑の分権改革」を推進します。
 地方財政については、来年度の通常収支分に係る地方交付税総額を前年度比八百十一億円増の十七兆四千五百四十五億円とするなど、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額を適切に確保することとし、宝くじの活性化策等を含む、地方交付税法等の改正案を提出しています。来年度の地方税制改正については、現行の固定資産税等の負担調整措置を原則三年延長した上で、住宅用地に係る据置特例を見直し、また、自動車取得税における「エコカー減税」の重点化等を行うため、地方税法等の改正案を提出しています。
 これら地方税財政に関する二法案について、できる限り早い成立をお願いいたします。
 社会保障・税一体改革については、国の制度と地方単独事業の二つのセーフティネットが組み合わさることによって社会保障制度全体が持続可能なものになっていくという認識を国と地方で共有した上で、地方消費税を充実するなど、地方の社会保障給付に対する安定的な財源の確保に向け取り組みます。
 また、社会保障・税番号大綱に基づき、「マイナンバー」の生成等を行う地方共同法人の設置根拠に係る規定を整備するため、地方公共団体情報システム機構法案を提出しています。

III ICT施策の推進

 ICTは、全ての社会・経済活動の基盤であり、経済の持続的成長の鍵となる重要な戦略分野です。ICTによる日本再生を果たすため、スマートテレビ、ビッグデータなど重点成長分野と見込まれる分野について、二〇二〇年に向けたICT総合戦略を策定してまいります。
 あわせて、ICTの国際競争力強化に向けて地上デジタル放送日本方式等の国際展開を推進するとともに、国際標準化等のグローバルなルール作りへの参画、ICT基盤技術の研究開発、超高速ブロードバンド網の整備、電気通信市場における公正競争の促進などに引き続き取り組んでまいります。
 さらに、ワイヤレスブロードバンド環境の実現に向け、周波数の再編などを進めるとともに、電波の公平かつ能率的な利用の促進を図るため、周波数オークション制度の導入を内容とする電波法改正案を今国会に提出してまいります。
 また、ICTを活用した新たな街づくりなどICTの徹底的な利活用を推進するとともに、サイバー攻撃など情報セキュリティ上の脅威への対応や利用者利益の確保のためのルールの整備等を通じ、スマートフォン時代においても、誰もが安心してICTを利用できる環境を整備してまいります。
 地上デジタル放送については、本年三月三十一日で、全国のデジタル化が完了しますが、暫定的に衛星対策をした世帯に対しては、受信環境整備を着実に進めてまいります。
 さらに、政府共通プラットフォームの構築等による政府情報システムの刷新を進めるとともに、自治体クラウドの普及を一層促進し、国民一人一人が電子行政の利便性を実感できるよう、取り組んでまいります。

IV 郵政改革

 郵政民営化法が施行されて四年が経過し、現行法の評価すべき点、課題とすべき点が明らかになってきました。郵便・貯金・保険は、国民生活に不可欠なサービスであり、今後も、郵便局が国民生活の確保や地域社会の活性化等に貢献できるよう、見直しを行うことが必要であります。
 政府提出の郵政改革関連法案については、現在、与野党で精力的に協議を進めていただいているところでありますが、その成果を踏まえ、今後も郵便局が維持できるよう努めてまいります。

V 行政改革の推進

 この度、内閣に「行政改革実行本部」が設置されたところであり、私も副本部長として、行政改革に積極的に取り組んでまいります。
 国家公務員の給与については、昨年来、政党間で協議が行われ、今般成案を得て、法案が可決されたところです。これまで携わって来られた方々の御努力に敬意を表します。
 また、退職手当については、現在人事院に依頼している官民の水準比較調査の結果を踏まえ、支給水準の見直しに必要な法案の提出を目指し、検討を進めてまいります。
さらに、関係行政機関と連携し、本年一月に閣議決定された基本方針に基づく独立行政法人の改革を推進するとともに、行政不服審査法の改革に取り組んでまいります。
 行政評価・相談機能を活用し、行政の無駄や非効率の根絶を始め、安心・安全の確保など、聖域なく行政運営を見直してまいります。
 地方公務員制度の改革については、地方自治体の労使の関係者からの意見も伺いながら、新たな労使関係制度についての検討を進め、必要な法案の提出に向けて取りまとめを行ってまいります。
 東日本大震災からの復旧・復興にも正確な統計が欠かせません。公的統計の整備を進めるとともに、経済センサス活動調査や就業構造基本調査などの統計調査を確実に実施してまいります。

VI 国民の命を守る消防防災行政の推進

 消防行政については、ハード・ソフト両面からワンランク上の消防防災インフラの強化に、引き続き取り組んでまいります。具体的には、緊急消防援助隊や消防防災通信基盤の充実・強化、消防団等の安全対策などを推進するとともに、地方自治体における避難対策などの地域防災計画の見直しの支援にも取り組んでまいります。
 また、東日本大震災の教訓等を踏まえ、防火・防災管理体制の強化等を内容とする消防法の改正案を今国会に提出してまいります。

むすび

 以上、所管行政の一端を申し上げました。
 副大臣、大臣政務官と共に全力で取り組んでまいりますので、原口委員長を始め、理事、委員の皆様方の御指導を心からお願い申し上げます。

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