総務省トップ > 組織案内 > 研究会等 > 地域力創造に関する有識者会議 > 地域力創造に関する有識者会議(第6回)

地域力創造に関する有識者会議(第6回)

日時

平成21年9月17日(木) 14:00〜16:00

場所

三田共用会議所 第3特別会議室

議事次第

1.開会

2.議事
  関係府省庁ヒアリングについて
   ・観光庁 観光地域振興課長 笹森 秀樹 様
   ・国土交通省 地方振興課長 坂本 努 様

3.閉会

配布資料

議事録

平成21年9月17日

【月尾座長】  第6回地域力創造に関する有識者会議を始めさせていただきます。
本日も、前回に引き続いて、この会議の目的に関連する各省庁の事業についてご説明をしていただきますが、最初に観光庁の観光地域振興課長の笹森様、その後、国土交通省の地方振興課長の坂本様からご説明いただく予定です。その前に、前回の会議で厚生労働省からの説明の後に、地方公共団体から民生委員などへの個人情報提供についてご質問がありましたので、それについて総務省から報告していただきます。

【地域情報政策室長】  それでは、ご報告させていただきます。地域情報政策室長の高地でございます。4ページの資料に従いましてご説明いたします。
まず前回の話ですが、第5回の会議において、厚生労働省が平成21年度の新規予算で一人暮らし世帯等への基盤支援を実施し、これは見守り支援とか買い物支援が中心であると伺いましたが、「安心生活創造事業」の実施を行っているということでした。現在、全国54市区町村で、これは後で聞くと53になったという話でしたが、モデル事業を実施しているということです。この支援に使うために一人暮らし世帯のマップをつくりたいということですが、このとき、本人の個人情報も取り扱うということで、条例上は本人の承諾を得ることとなっており、この承諾をもらうのが事業で非常に苦労するところであるというご報告がございました。これに関して、委員から個人情報の取り扱いについては、条例の取り扱いを緩めるなどの特例的な方針を国が示すなどの措置を行ってはどうかという発言もあったところでございます。

まず制度の全体のつくりですが、4ページの資料の最後のページにピラミッドのような絵をつけてあります。個人情報保護に関する法体系ですが、基本法制として個人情報の保護に関する法律があります。これは理念を定めている部分と、民間事業者における義務について規定している部分に分かれています。これと並立して国の行政機関における義務、独立行政法人等を対象とした法律があります。さらにこれに並立する存在で、地方公共団体は、その部分を条例で定めるというつくりになっているわけです。

1ページ目に戻って、まず関連する国の制度でございます。今回この事業のために一人暮らしのマップをつくるということで、個人情報を取り扱いたいということで、これに関連する国の制度としましては、行政機関個人情報保護法における規定というものがございまして、原則個人情報の取得に関しては利用目的を明示するとなっております。また、目的外の利用とか提供というものが制限されているということでございます。ただし、こういった利用目的の明示あるいは利用目的以外の利用・提供ができるという例外も設けられてございまして、この可否は実施機関の判断でできるということになっております。法律上利用目的の明示が不要な場合には、イ)にございますように生命、身体、財産の保護のために緊急に必要な場合等々が定められているということでございます。それから利用目的以外の利用・提供ができる場合に関しましては、本人の同意がある場合等々と定められているところでございます。

2ページ目に参りまして、関連する地方公共団体の制度、先ほど個人情報保護に関しては条例で定められているということを申し上げましたが、この条例に関しても基本的原則としましては本人から利用目的を明示して取得する、あるいは目的外の利用または提供が制限されているというのが一般的な内容でございます。ただし、ほとんどの場合例外規定が設けられているということで、典型的にはそこの下の四角に囲ったような例外規定が設けられているということでございます。まず目的の明示が不要な場合でございますが、イ)にございますように本人の同意がある場合、このほか、ハ)にありますような生命、身体、財産の保護のために緊急を要する場合、それからへ)でございますけれども、個人情報保護審査会の意見を聴いて公益上特に必要があると認められる場合というようなものが定められているところでございます。利用目的以外の利用・提供ができる場合にもほぼ同じような例外規定があるということでございます。

こういった個人情報の取り扱いにつきましては、これまで災害時における要援護者情報の共有という文脈でいろいろな議論があったと承知しております。特に例としましては4.にございますように、例えば厚生労働省で災害時における要援護者情報共有に関して、地方公共団体に対して既に通知を出したような例がございます。その内容でございますけれども、ポツで3つほどポイントをまとめさせていただきましたが、基本的に災害時での利用というものに限定して個人情報の取り扱いに配慮したものとなっているということがございます。例えば一番下のポツにありますように、要援護者情報を提供する側については取り扱い上の留意点等を示した誓約書等を作成し、要援護者名簿の提供を受ける者と取り交わすなど、守秘義務の確保のための適切な措置を講じることというようなことが通達されているわけでございます。

それから、今回の「安心生活創造事業」の実施団体においてどうお考えかということもヒアリングを行いました。例えばA市としましたけれども、ここは既に事業に着手しているということでございまして、社会福祉協議会に委託を行っているようでございます。A市では市役所の持っている災害時要援護者情報というのは既にリストになっているようでございますけれども、これをこの事業の目的のために社会福祉協議会に提供するということは、条例の規定上難しいのではないかと考えているということでございます。具体的には、例えば個人情報保護審査会にかけて了解をいただくということは、この案件では難しいのではないかと考えているというお話でございました。

3ページ目に参りますけれども、A市は災害時要援護者情報というのは民生委員の方には既に提供を行っているということで、「安心生活創造事業」は今回平成21年度から始める事業ですが、これを実施するに当たっては、その情報をもとに戸別に訪問して、本人から事業実施の承諾を得ておられるというやり方をとっているということでございました。

それからもう一つ団体からヒアリングしまして、こちらはこれからこの事業を実施するB団体さんというところがございましたけれども、ここもやはり社会福祉協議会さんにこの事業の委託を考えているというお話でございました。ここでもやはり市役所とか民生委員さんは、災害時の要援護者情報について情報共有を既に行っているということはあるようでございまして、この情報をこの新しい事業で使用してもいいものかどうか検討を行っていると伺いました。ただし、前提としまして、この事業を推進する上では、やはり事業の対象者のご本人の承諾が必要なのではないかとお考えになっているということでございました。

最後、まとめの部分でございますけれども、今回の事業に関しましては見守り支援とか買い物支援というものが目的でございまして、要支援者の範囲というのは非常に幅広いということでございます。このマップの作成につきましては、地方団体、民生委員に加えまして、社会福祉協議会あるいは地球のNPOといったような団体も含めた幅広い民間団体の協力が必要なのではなかろうかと思われるところでございます。

こうした平時の支援を目的とする事業の実施ということでございますので、A団体さんとかB団体さんが考えられているような民生委員との連携、あるいは社会福祉協議会さんとの連携のもと、基本的には対象となる方にやはり当たっていただくということでマップづくりを進めるという取り組みが、参考になるほどのではなかろうかと思われるところでございます。

この点につきまして、実は今週の月曜日に厚労省さんの担当の地域福祉課さんともちょっとお話をさせていただいて、今後横断的に実施自治体についてこの点について調査して、各団体さんがどういうことをやってこの点をクリアしていっているのかということの情報共有を図っていく方向で検討されると、我々のほうでは伺っております。

【月尾座長】  ありがとうございました。
それでは各省庁からのヒアリングに移り、最初に観光庁からお願いします。

【観光地域振興課長】  観光庁の観光地域振興課長、笹森でございますが、観光による地域振興という資料に基づいてご説明させていただきたいと思います。
表紙をおめくりいただきまして、我が国の大きな課題としてあることですが、2004年をピークに人口が減り始めているということがございます。1ページ目でございますけれども、これは全国が均一的に減っていくわけではなくて、地域に偏りがあるということでございまして、右側の表を見ていただきますと、特に東北とか北陸とか中国、四国というあたりで極めて多く減っていくということであります。首都圏は増えるということになるわけですが、2010年、2020年というところを見ていただくとそういうことでございます。人口が減るだけではなくて、地域格差が広がっているということがこれで挙げられるわけであります。

【月尾座長】  途中ですが、北海道は東北圏に入っているということですか。

【観光地域振興課長】  北海道が入っていない資料を持ってきてしまいましたので数字がございません。
地域格差が広がるということでございます。それでどういうことが起きるかということでありますが、人口が減少していくということと格差が広がっていくということで、地方が極めて厳しい状況になりますので、地方の活力を拡大するという意味では観光地づくりというようなことが必要になってきているということでございます。しかし、新しくいろいろなものをつくるということではなくて、今あるものを生かして観光客に来て喜んでいただくということを考えますと、まず左側として社会的側面でありますけれども、「住んでよし」ということでまちづくりをきちんとするということ、地域コミュニティが活性化して受入体制ができるということが1つありますし、経済的側面でいきますと、「訪れてよし」ということで観光客が来ていただいて、交流してお金を落としていただくということがあるのではないかなということでございます。

3ページ目でございますが、国内における旅行消費額というのを調べてございまして、平成19年度でございますけれども、全体としては国内で旅行で23.5兆円のお金が使われているということになります。このうち3分の2、65.1%が宿泊旅行でお金が出ているということでございます。日帰り旅行のほうは人数は多いわけですが、21.1%ということで4.9兆円ということであります。また、海外からのお客様と、日本の国民が海外旅行するときに出発前と後、帰ってきてから使う海外旅行の分というのがまた1.8兆ほどあるということで、トータルで23.5兆円が旅行で消費されているということでございますが、これが我が国経済へどのように貢献しているかということになりますと、生産波及効果としては53.1兆円ということでありますし、GDPということでありますと28.5兆円ということになります。これで雇用が441万人発生しているということでありますが、これが全国津々浦々で発生するということと、あとは観光の特徴的な雇用の発生の仕方としては、男女の別なく、年齢の差がなく雇用が生まれるという特徴がございますので、非常に地方にとっては経済的にも雇用的にも助かる産業であるということが挙げられるわけであります。

4ページ目でございますが、ほかの産業と比べても23.5兆円というのはこういう大きい数字ということでございまして、外食産業に匹敵するような産業であるということでございます。

5ページ目でございますが、それが53.1兆円にどう波及しているかということを挙げますと、狭義の旅行関係で回っているお金というのが16.5兆円ということで、交通・宿泊・飲食という狭い意味での観光産業の中で回っているお金ということになりますが、それが町の中にお金が落ちていきますので、波及するお金としてはそれ以外のところというのが倍以上の36.6兆円ということでございまして、波及先もここに挙げたようにすごく幅広い産業のお金が回っていくという特徴があるということでございます。これは製造業なんかに比べると、すそ野の非常に広い産業であるということが挙げられるわけであります。

今度は地域的にどうお金が回っているかという話でございますが、6ページ目をごらんください。これはどこで消費してこの23.5兆円が成り立っているかということを調べたものでございます。そのうちの宿泊旅行の15.3兆円について調べたものでございまして、三大都市圏を含む関東、東海、近畿のエリアで生じている消費というのが7.1兆円ということであります。ですから、これは東京の人が東京周辺で旅行でお金を使われているというものとか、名古屋とか大阪のあたりということでございますが、そういうことであるということであります。その他の残りの地域で発生しておりますのが3.7兆円ということでございます。ですが、三大都市圏の方が日本全国に旅行に行かれますので、それ以外の地域ということで見ますと、右向きの矢印ということで、三大都市圏にお住まいの方が北海道とか沖縄とかという地域で使われるお金というのが3.1兆円ということでございますし、逆にその他の地域の方が三大都市圏を含むこの3つの圏域で使われているのが1.4兆円ということでございます。こうなりますと、差し引きとして宿泊旅行で1.7兆円が地方に移転されているということでございまして、消費の移転効果があるというのも、観光という産業の特徴的なものでございます。

もう1枚おめくりいただきまして7ページ目でございます。定住人口が1億2,800万人ほどということでありますが、年間1人当たりどれぐらいのお金を使っていらっしゃるかと計算いたしますと、大体1人当たりの年間消費額というのは120万円ほどということになります。これを非常に荒っぽい計算でございますが、旅行でどれぐらいのお金を使うのだろうかということで割り算をしてみるということでございます。外国の方が日本に来て使われるお金というのは1回の旅行で18万円ぐらいということでありますし、国民1人当たりということになりますと、宿泊旅行では、旅行の前から終わった後まで含めると大体5万4,000円ぐらいのお金を使われていると、日帰りですと1万6,000円ぐらいという単価が出ておりますので、これで荒っぽく121万円を割ってみると、外国のお客様ですと、7人日本に来ると1人分の消費額というのが出てくると。全部この地域に落ちるわけではないので、交通機関とかに落ちるものもありますので、それを除くともっと増えるわけではありますけれども、この18万という単価で割るとそうなるということですし、5万4,000円という単価で割りますと、22人お客様が来ると定住人口1人分に相当するということになります。また、国内の日帰りの旅行ですと、77人の方が来られると、1万6,000円ということでありますと120万が出てくるということでありますので、観光で交流人口が増えていくと、たくさんの人に訪れていただく、泊まっていただくということは、人口減少に耐え得る効果があると思うわけであります。

そんな中、8ページでありますけれども、平成18年に観光立国推進基本法を制定いたしまして、19年6月に観光立国推進基本計画というものを閣議決定させていただいております。この中に目標というのが5つございまして、それを順にお話しいたしますと、まず1つ目でありますが、訪日外国人旅行者数を平成22年度までに1,000万人にするということであります。2番目でありますが、日本人の海外旅行者数を2,000万人にするということであります。3番目が国内における観光旅行消費額、先ほど23.5兆円というのが出ておりましたけれども、これを平成22年度までに30兆円にするということであります。4番目が国内の旅行に関する1人当たりの宿泊数を、2.77泊というものを4泊まで引き上げるというようなことでありまして、5番目といたしまして、我が国における国際会議の開催件数を5割以上増やすということでございます。これは平成22年が目標年になっておりますが、いずれも極めて厳しい状況にありまして、なかなかインフルエンザとかリーマンショックによる景気の落ち込みとか、為替レートの変動ということがあって円が独歩高となっておりますので非常に厳しい状況でありますけれども、こういう目標に基づいて、我々は毎日の仕事をさせていただいているということであります。

9ページ目が観光庁の主要課題といたしまして、国を挙げて観光立国の実現に取り組むということであります。これには民間の方々のお力、地方の方のお力ということと、あとは国の力というのを連携させていただくという発想があるわけでありますが、この中で3つ課題と考えております。まずは内外における旅行需要の拡大ということでありまして、まず丸の1つ目でございますが、日本ブランドというものの発信を強化して需要を拡大していくということでございます。先ほど1,000万人という目標をお話ししましたけれども、その次には10年先に2,000万人というのがあるんだろうということを想定いたしまして、プレミアム・ディスティネーションということで日本の魅力を発信していこうということを考えているわけでありまして、来年2010年をVisit Japan Yearと設定してプロモーションを強化しているということであります。これは従来観光という狭い産業分野でプロモーションをやってきたわけでありますけれども、日本ブランドといった場合にはいろいろな産業が海外に出て行って闘っているということもありますので、メーカーとか通信業とか金融業とかいろいろな産業とタイアップして日本を売り込んでいくということが1つ挙げられるわけであります。この中で先ほど国際会議というのもありましたけれども、日本に誘致するということであります。2番目が旅行を促す環境の整備ということでありますが、お金があっても休みがないと旅行に行きにくいということでありますので、有給休暇の取得促進、休暇の分散化というものを目指しているということもあります。また、国内観光の振興のための官民の協力というものも必要であります。さらには、特に修学旅行なんかがインフルエンザとかが発生しますと中止になってしまうということがございますので、危機管理というものも非常に重要であるということになります。こういうことをあわせて、内外における旅行需要の拡大ということを対応させていただいているということが1点目でございます。

2点目といたしましては受入体制の整備ということでございまして、これは将来2,000万人の外国の方を受け入れるというのにふさわしい体制の整備とか諸制度が必要であるということでございまして、まず1点目といたしましては、特に中国でございますけれども、個人の観光ビザというものをこの7月から出せるようにいたしまして発給を開始しているということですが、これも中国全土に出しているわけではなくて、上海とか北京とか大きな都市で領事館、大使館のあるところからスタートしているということでありまして、全土に広げるためにはそういうビザ発給の大使館、領事館の組織拡充ということも必要になってまいりますので、そういうことも含めて対応しているということであります。また、よく成田で外国の方が待たされてしまうと、1時間、2時間かかってしまうというお話がございますので、入国審査を迅速化して、早急に成田の障害を減らしていくというようなことをさせていただいております。また羽田もD滑走路をつくっているところでございまして、そうなりますと羽田の受入キャパシティが増えてまいりますというようなことをやっております。また受入体制の整備という意味では、民間のホスピタリティに関して人材が育成されてこないと、きちんとした観光産業が育っていかないということもありますので、産官学の連携によって観光産業や観光地づくりを担う人材の育成というものに努めているというようなことであります。

また、魅力ある観光地づくり・磨き上げと、特に地方に関してはこういうことが大事でありますけれども、地域の連携による取り組みの強化ということで、後ほど詳しくご説明させていただきたいと思っておりますが、従来のスポットの観光地ということではなくて、広がりを持った観光圏というような2泊3日できるようなエリアを設定して、それで連携して売り込んでいただくというようなことをさせていただいております。また社会資本の整備というようなことも必要になってまいりますので、そういうものもあわせてやるということになりますと、省内各局と協力していかなくてはいけないということが重要になってくるということであります。

それでは、こういう概念に基づいてどのように仕事をしているかということについて、以下ご説明を申し上げたいと思います。10ページ目でございますが、お客様の距離感から見た場合の旅行の考え方というのを3角形の絵にさせていただいたわけであります。まずお住まいの周辺の地域、ローカル(周辺都市圏)ということがございます。その周りにブロックの都市圏というのがあって、その先に全国で三大都市圏というようなものがあると。こういうことを考えていきますと、まず周辺のところは日帰りの観光客を受け入れていただくというところから始まりまして、全国を対象にいたします外国人も含めてということになりますと、宿泊観光旅行というものが考えられるということでございます。こういう距離感に合わせて政策を打っていくということであります。

また次の11ページ目、ピラミッドの2つ目ございますけれども、身近なことから制度なんかも必要とするようなものまでということでありますが、まずは観光に関してどういうことをやっていくかということでありますが、普及・啓発というようなことがあります。地域の弱み、強みというものを分析して知恵を出していくと、観光の魅力の把握や掘り起こしをするというようなことがありますので、それに関しましては後ろのほうに1つ1つシートがついておりますのでそれでご説明いたしますが、まず普及・啓発としては観光地域プロデューサーということでプロデュースできる人間を育てるということ、外国人による「ひとり歩き点検隊」ということで、交通機関とか観光地の案内表示とかが間違っていないかをチェックすると、また頑張っている事例を全国に紹介するというような『地域いきいき観光まちづくり』という事例集をつくっているというようなことがございます。

また、基礎的な調査というのが次にございまして、ビジョンをつくっていただくとか主体となるべき組織をつくっていただくという意味で、観光圏整備事業等の基礎調査というのがございます。

さらに基礎調査を踏まえて実証実験ということがございますが、地域ぐるみでトライアルをしていただくということでございますので、観光産業のイノベーション促進事業ということをさせていただいて、ビジネスモデルの構築というようなことをやっていただくということであります。

最後は制度事業といたしまして、明確なターゲットと中長期ビジョンに基づいて観光地域をつくっていくという観光圏整備事業、地域の一体性と関係者の役割分担の確立をした上で、外国からお客を呼ぶというビジット・ジャパン・キャンペーンというのを地方で連携してやっていただくというようなことがあります。こういうことを積み重ねながら観光を全国で支援しているということでございます。

それで、次からのシートはおのおのの事業についてご説明させていただくためのシートでございまして、観光地域プロデューサー事業ということでございますが、これはねらいといたしまして、観光地域づくりにおける外部人材の紹介・マッチングによって人材の登用を支援するということでございます。これは地域側としては、地域内の人だけでは新しい発想が出てこないという閉塞的な状況になるということでありますし、いろいろなコンサルティングサービスがありますのでアドバイスをしてくれる方はいらっしゃるわけですが、それから一歩踏み込んで地域のまとめ役とかリーダー役という方がなかなかいないという現実がございます。全国的に見ますと、ずっと旅行会社に勤められていて旅行商品をつくったりすることをとかをやって来られた方で、退職後自分の知識・経験を生かしたいと地域に入っていただいている方がいらっしゃるということがございますが、そういう方がなかなか仕事が得にくいということがございますので、これをマッチングさせて観光地域プロデューサーとして登録して、地域にご紹介申し上げているということでございます。平成19年、20年と実施させていただいておりまして、このような8つの地域でプロデューサーを派遣することを実施させていただいております。また、そういうデータベースをつくって公開させていただいているということでございます。

13ページ目でありますが、外国人によるひとり歩き点検隊ということでございまして、空港とか鉄道駅というようなところに関しましては、大分外国語表示というのがピクトグラムも含めまして出てきているんですが、やはりひとりよがりなピクトグラムとか随分あってわかりにくいということがございますので、それを実際に外国の方に使う立場で見ていただいてチェックしていただいているということでございまして、訳がインターネットの機械で訳したりということで言葉が間違っているというものが見つかったり、同じ駅なのに途中からピクトグラムの絵が変わってしまっていたりということが発見されて、改善につながっているということがございます。

14ページ目、15ページ目でございますが、地域いきいき観光まちづくりということで、各地域で地域づくりというのは進んでいるわけでありますけれども、なかなか独自のものをやるというのは難しいということでありますので、どこかうまくいったところの例を調べたいというニーズが相当ありますので、それを毎年1冊ずつ『まちづくり集』というのをつくって先行事例をご紹介申し上げているということでございまして、14ページ目の18年8月に公表したほうは、例えばこういう歴史的な町並みとか、体験交流を活かした取り組みとか、小説、映画を活かした取り組みとか、温泉地再生に向けた取り組みというようなことをテーマにしてまとめさせていただきましたし、20年1月に公表したものは滞在力のあるまちと外国人で賑わうまちということで、各地域の中で進んだ事例を紹介させていただいております。

また16ページ目でございますが、観光産業のイノベーション促進事業ということで、いろいろな新しい形の仕事を始めたいということですが、リスクがあってなかなかうまくいかないというところに関して、多少の応援をさせていただいているということであります。ビジネスモデルの構築を支援するとともに、そのノウハウの普及・啓発ということでさせていいただいているということであります。例えば左側の四角でありますけれども、客室稼働率の向上というのが旅館としてはまた1つの課題でありますが、なかなかできないということでありましたので、これは連携・共同によるブランド戦略の取り組みということでありまして、一定地域の旅館が複数で役割分担をして、お客をその役割に沿った形で募集するというようなことがうまくいっているという事例が左側でございます。また右側のほうでございますが、宿泊産業・旅行産業のデータ処理の効率化、共通化ということがございます。これは各社でつくっているデータ処理のシステムがあるわけでありますが、複数の旅行会社がばらばらになっているということがございますので、そういうこともさせていただいているということであります。全体の事業としては、実施事業を公募するところから、実証事業をやって結果を分析して、うまくいったものについて公表、普及・啓発しているというようなことが挙げられるわけであります。

17ページ目以降が最後の観光圏整備事業ということでございまして、これは従来スポットといたしまして観光開発が進んでいたところを、周辺の複数の地域がまとまって、全体としていろいろなサービスがフルでセットされるように広がりを持って対応していただくということでございまして、18ページ目を見ていただきますとその概念がわかるかと思います。従来A市というところに滞在促進地区というのがありますが、例えばここが温泉街であって、そこでお客を集めていたということでありますが、旅行の形態が大分変わってきたということもあって、いろいろな観光の資源が周りにないとお客様を満足させられないということでございますので、その周辺のB市、C町、D町と連携していただいて、それが一体として滞在型の観光客を受け入れられるようにするということでございます。このためのいろいろなメニューづくりであるといったものに対して支援を行わせていただいております。

もう1枚おめくりいただきまして19ページ目でありますが、これは全国で30の観光圏まででき上がってまいりまして、こちらが1カ所、1カ所が2泊3日できるような形で観光地づくりが始まっているということでございます。こういうところではありますが、有名観光地は実は抜けておりまして、長野県でありますとか岐阜県とかが抜けていたり、鹿児島県、宮崎県、京都もほとんど抜けていたりというようなことがあって、実はそういう独立でブランドとして成り立つというところはこういう形でない形で観光地づくりが進められているわけでありますが、弱小の集まりという言い方もできるかもしれませんが、そういうところはまとまって闘っていただいているというようなことであります。これを積極的に支援しているということでございます。

20ページ目以降がビジット・ジャパン・キャンペーンということで外国からのお客様ということでありまして、これを全体といたしましては12の国・地域というところに絞ってビジット・ジャパン・キャンペーンということをさせていただいておりますが、有望新興市場というのがまたありまして、インドですとかロシアですとかマレーシアという経済発展の進んでいるようなところのお客様も来ていただきたいということで、拡大の方向で進んでおります。

また地方といたしましては、21ページ目に例がございますけれども、地域として観光の魅力に特化したお客様を呼ぶということで、北海道でスキーのお客様を呼んでいるということでございますが、これにさらに北海道のスキーだけでは呼べないということで、冬の京都というのとくっつけてスキーと京都ということで、イギリスとかオーストラリアのお客様を誘客しているということであります。下の四角でございますけれども、こういうことをいたしますと外国人の旅行者が大分増えておりまして、06/07シーズンが5万5,000人だったのが、07/08シーズンで8万2,000人ということで149%に増えてございますし、ニセコ、留寿都、倶知安、富良野というようなところのイギリスのお客様は290%に増えたというようなことが挙げられるわけであります。これもこういう活動をしてお客を呼ぶということは、外国からのお客様というのは純粋にパイが増えるということでございますので、これはこれからもやっていかなくてはいけないことだろうと思います。

最後、22ページ目でございますけれども、今まで基本計画では1,000万人ということでありましたが、さらにその先も成長を求めるということでありまして、計画を10年延長して2,000万人を目指していきたいというようなことが挙げられるわけであります。こうなりますと、2,000万人になったらどうなるのかということでありますが、宿泊客のおよそ6人に1人が外国人になるというぐらい増えるということでございますし、現在の旅行消費額の外国人割合というのが5.8%ということでございますが、それが16%まで増えるということで、パイの拡大につながるということが期待できるということでこちらも進めさせていただくと。各地、各地でこういうことを進めさせていただいて観光立国を実現したいというのが現在の観光庁の考え方でございまして、先ほど1時過ぎから前原大臣が就任のごあいさつをされていたんですが、その中でも、国土交通大臣としてというあいさつの1番目に観光で地域を元気にしたいというお話をしていただいていたということで、これは多分方針も変わらないでさらにアクセルが踏まれるのではないかなと期待しているところでございます。
説明は以上にさせていただきたいと思います。

【月尾座長】  ありがとうございました。それでは、質問に移ります

【小田切委員】  観光圏整備事業について以前から注目させていただいたのですが、総務省を中心として進めております定住自立圏構想との関係もあって少しお尋ねしたいのですが、この協議会の実質的なプロモーター、中心的なプロモーターは、この30の事例の場合どういうところが多いでしょうか。という質問をするのは、この30の圏域の中でも都道府県を越えているところが幾つかございますね。従来のやり方であれば、おそらく都道府県がプロモーターとして位置づくということだと思うのですが、多分都道府県域を越えているようなところでは都道府県がなかなか動かないという実態があった場合に、どういう仕組みをつくったらいいのだろうかという問題意識を私は持っております。その場合、例えば国交省の出先が何らかの形でプロモーターとして位置づけを持っていたりするのか、あるいは観光の場合にはむしろ事業者のほうが先に動いているのか、そのあたりの実態をご説明していただければありがたいと思います。

【観光地域振興課長】  この協議会はだれが回しているのかというご質問だろうと思いますが、各30地域みんなばらばらでございまして、特定の市長さんが頑張ってらっしゃるところもございます。例えば19ページ目を見ていただくといいと思いますが、びわ湖・近江路観光圏というのは彦根の市長さんが周りを取り込んで頑張っていらっしゃるということでございます。あとは経済界がもともと広域の経済同友会というようなものをつくられて動かれているというのが山陰文化観光圏ということでありまして、鳥取の西半分と島根の東半分が入ってしまっているんですが、これは30年来経済同友会が一緒に活動されているということで、最初はばらばらで2つ出そうとされていたらしいんですが、一緒にやろうよという話になったというようなことでございます。また、観光の事業者が独自に広域観光ということでお客様を誘客していらっしゃったというところで、例えば富良野・美瑛というあたりは10年以上広域観光ということで活動されておりまして、それが主体になっているというようなところもございます。あとは伊勢志摩なんかもそういう広域観光の組織が既にできているというようなぐあいであります。

ですから、ばらばらでありましていろいろなパターンがあるわけですが、どちらかというと、経済界とか観光の事業者が主体になって動かれているところのほうが実際の地域のまとまりが強いようでありまして、行政が主導でやっているというところはいま一つ動きが鈍いように見えます。すいません、関係者がいたら申しわけないですけれども。

【小田切委員】  いわんや地方整備局が動いているところはほとんどない?

【観光地域振興課長】  お話をして一緒になってもらったというのは、雲仙天草が2つばらばらに出てきそうになったときに、どう考えも1つじゃないですかというお話はして一緒になってもらいましたが、それ以外は圏域の皆さんが独自でつくられています。

【小田切委員】  ありがとうございました。

【観光地域振興課長】  あと会津なんかはうまくいき始めたので周りの市町がくっついてきたということで、途中で圏域が拡大されているところも二、三カ所ございます。

【西村委員】  3つほどあるんですけれども、1つは1000万人から2000万人ということで観光立国の目標の数値が大きく伸びているわけなんですけれども、数を伸ばすのもいいですが、ほんとうに数を伸ばすのだけでいいのかというのがすごく不安でして、ちょうど高度成長期に、まあバルブのときもそうですけれども、数をねらって旅館がホテルにしたり借金を抱えてやったところが今非常にまずいわけですよね。その意味で、あるところから数だけじゃなくて質を重視するような観光に変えていく必要があるんじゃないかと。特にミシュランの三つ星なんかをとっているところは欧米の観光客が長期滞在するところが増えてきますよね。ですから、そういう戦略というのがひとつ必要なんじゃないかなと、もちろん数も大事ですけれども、それが1点です。

それから2点目は、観光圏もいいんだけれども、私もいろいろなところを見ていますが、新しくゼロから観光を頑張っているところはそれなりにいいんですけれども、旧来型の観光地を新しくしていくというのがすごく大きな課題を背負っているんじゃないかなと思うんですね。例えば大きな観光資源があって、その周りに駐車場やお土産屋さんがあるという古い形の観光地とか、あとは旅館街、温泉街みたいなところでなかなか苦戦しているところが特に和風旅館で多い。こういうところを何とか支援していかないと、面で広げるのはいいけれども1個、1個の魅力が非常に危ういと。特に今言いましたように温泉街なんか特にその差が非常にはっきりしていて、非常に魅力的なところと難しいところに2極分解していますよね。これをどうするかというのは大きな課題じゃないかなと思うんですね。

それから3つ目は、今日はあまりお話の中に出てきませんでしたけれども統計の充実というのはすごく重要でして、今ももちろんやってらっしゃるわけなんだけれども、観光の統計というのは、例えば県も頑張っているけれども観光の定義がそれぞれの県によって違っていたり、ビジネス客の数え方とかダブルカウントをどうするかとかすごく分かれていて、今ようやくそれをまとめようという努力がやられていますけれども、これをなるべく早くやらないと、いろいろな数字を出していただきましたけれども、どこまでほんとうの数字になるのかというのは思いますので、ぜひその辺が、やってらっしゃるのはよく承知していますけれども、大きな課題としてこういうところも取り上げる必要があるんじゃないかと思いました。
まあ、意見なのであまり答えていただかなくてもいいんですけれども。

【観光地域振興課長】  3点ご指摘いただいたわけですが、1000万人から2000万人というところでございますが、この2000万人という議論をするときも何が数字なんだということがありまして、人の数なのか、宿泊数なのか、落とすお金なのかという議論が随分あったのは事実です。とりあえずというか、わかりやすさということで今2000万人というお話をさせていただいておりますが、それを進めるに当たっても、先ほどプレミアム・ディスティネーションという話をさせていただきましたけれども、魅力あるというかあこがれるような日本になろうという議論を進めておりまして、単に数を増やそうということではない、質も高めて喜んでいただこうと、あこがれの目的地になれるようになろうということが中で議論されているということでございます。その中で、例えば今まで名前が売れていなかった地域が観光圏という形で固まって滞在ができるような、その中でほんとうの日本とか、ほんとうの田舎を体験していただこうというメニューを組み込み始めているということでございます。

2番目でございますが、確かに1970年代、80年代、バブルのころまでに大きな旅館というのが建って、しかも借金まみれになっていて、例えば飯坂温泉というのが福島県にございますけれども、160軒のうち60軒ぐらいがもう営業していないと、夜になると真っ暗になってしまうということがございます。こういうところのリニューアルというのはやはり大きな問題でありまして、借金を肩代わりするというような形はなかなか難しいわけでありますが、放置された建物を、権利が放棄されていればそれをつぶすというようなことができるようになり始めておりまして、地方の努力ということではあるんですけれども、例えば建物の取り壊し費用を市が面倒を見るというような形で少しずつよくなり始めているということであります。また、これは例えばまちづくり交付金でありますとか、今年から始まりました地域活力基盤創造交付金の中で、本体事業の横で促進事業とか提案事業という形でいろいろなものができるようになっております。そういう中で景観整備という形で、営業していない、もう放棄されてしまって建物が残っちゃっているというものを取ったりとか、古い看板を外したりとか、営業をやめてしまったガソリンスタンドを更地の公園にしたりというようなことは徐々に始まってきているということであります。やはり自治体の負担は発生いたしますので徐々にということではありますけれども、でき始めているというのが2番目であります。

3番目が観光に関する統計というお話がございました。これは2年前から宿泊に関しては、宿泊統計という形できちんと従業員が10名以上いる旅館・ホテルを対象にして悉皆で調査させていただいておりますので、大分宿泊に関してははっきりしてまいりました。また、今のところ県別とか政令指定都市別ぐらいまでしか情報が細分化されておりませんけれども、市町村別にわかるようにより精緻な分析を加えていこうということを始めさせていただいております。あとは各県が行っております観光入込統計というのがあるわけでありますけれども、観光スポットで計測しているということですから重複があるわけですね。これに関しましても、22年度からは全国統一ルールで各県ともやっていただけないかということで現在ご提案申し上げております。何とかいきそうだということでありますが、これはその中の一部のアンケート調査を加えることによって何カ所回っているのかと、美術館も行っているし、公園も行っているし、お城の跡にも行っているみたいなことが、1日でどう回っているかというのまでわかるような形で統計をとろうと、実人数がわかるようにしようという努力を始めさせていただいておりますが、やはり来年くらいからでないとできないかなということでありまして、これも観光庁ができた1つの効果ではないかなと思っております。

【飯盛委員】  貴重なお話、ありがとうございました。私も全体の観光による地域振興という方向性は大賛成でございまして、ぜひ活発に進めていけば地域振興のほんとうに柱になるだろうなと思っております。

その中で、今西村委員がおっしゃったように、やはり戦略的なアプローチというんでしょうか、今日は国の政策としての大枠の話でしたが、各地の個別のいろいろな事例を見ますと多分セグメンテーションが随分違う、高齢者向けだったり、外国の方向けだったり、若者向けだったりということにおいてアプローチがまず全然違うだろう、やり方が違うだろうということ。あともう一つは、おそらくこれはいろいろな地域の観光イベントをやっても、いろいろなところに私も伺うと、結構そこの周りは盛り上がっているんですけれども、それ以外の例えば商店街とかホテルとかそういうところが意外と何のキャンペーンもやっていないとか、せっかくすごい数の人が集まるのにそこだけ盛り上がって、おっしゃったように波及効果が大きいとわかっていながら波及効果までつながっていない例というのは数多く見られると私は認識しております。

そうすると、これを進めていく上で非常に大事なポイントの1つは、やはり9ページに書いてございますように、観光まちづくりを担う人材育成というところは、こういううまく巻き込めていけるというんでしょうか、戦略的に攻めていきつついろいろな地域の方々を引き込んでいける人材を地域の中に育成していかないと、多分この目標を達成して地域振興までつなげていこうという場合には、ここは非常に重要な肝になるのではないかと考えております。

今のところ観光庁さんのほうで観光まちづくりと人材育成についてお考えになっているようなものがあれば教えていただきたいということが1つ。多分これは観光地域振興だけに限らず、いわゆるもっと幅広い地域振興にもつながる話だと思いますけれども、特に今観光庁が考えていらっしゃる人づくりの政策というか施策について教えていただきたいということが1つと、あと、それに関連することですけれども、最近各地の大学の中で観光学部とか観光学科というのが新しくたくさん設立されてきていると思います。こういう大学機関、教育機関との連携についても、今お考えになっていることがあればご教示いただければと思います。

【観光地域振興課長】  まず大学・教育機関ということでありますけれども、三十幾つかの大学が学部、学科として観光を標榜するものをお持ちでありまして、ただ、大学の種類もたくさんございますし、あと中身も、目標としてどういう人材をどう育てようとしているかというところも大分差があるというのがわかってまいりまして、せめてこういうカリキュラムは中に組み込んでほしいということで、カリキュラムに着目して、それを一定の水準以上にしていこうと今努力しているところでございまして、まだ完全に採用いただいているわけではなくて、カリキュラムの一部のみ採用しているというところはあるんですが、カリキュラムでございますので、できれば4年間で全部こういうことを勉強していただきたいということでありますのでそういうのが組み込まれるようにということでありますが、なかなかカリキュラムの変更というのも結構時間のかかる作業だそうでありまして、そういう努力をしております。

また、そこで育てられる人間というのはどういうところかということになるわけでありますが、どちらかというと観光産業の経営者になるような人を育てるというような形の教育プログラムになっているわけでありますが、もう一つまちづくりという意味で言いますと別の観点が必要なんだろうということでありますので、そういう部分についても、今度はカリキュラムとは別にスポット的にそういう人材育成をしていこうということをさせていただいております。ただ人材育成をすればいいということでもなくて、活躍の場が必要だということが1つあって、その場の中で育っていくということもあると思っておりまして、観光圏の作業というのはまさにそれでございまして、多種多様な産業の方に参加をいただいて、今まで観光資源ではなかったと思うようなところを楽しんでいただこうということでございますので、例えば古い工場を見ていただくとかというところを資源として人が訪ねられるようにしてやるということでありますので、交渉してこなくてはいけないわけですね。農業の体験というのもまた農家の皆さんを納得させて参加を求めるというようなことで、またいろいろな人とつき合わなくちゃいけないという場の提供ということも含めてさせていただいているということでありますが、なかなか観光まちづくりになりますと1つのルートで育つというものでもないのではないかなと思っておりまして、その場が人を育ててくれるではないかなということも考えていることであります。

【月尾座長】  ありがとうございました。 次に国土交通省地方振興課長の坂本様から、国土交通省の地域振興政策に関連することについて、ご説明をお願いします。

【地方振興課長】  国土交通省地方振興課長の坂本でございます。
お手元に資料をお配りしていただいていると思いますが、第6回地域力創造に関する有識者会議説明資料と書いてあるほうをまずご説明させていただきます。
説明内容といたしましては、その次のページに目次がついてございますけれども、1枚としまして重点施策という形で条件不利地域関係の見取り図的なものが1枚、そのあと2つ説明のご指示がございまして、条件不利地域対策ということで離島、豪雪、半島それぞれにつきまして、それからもう一つがアドバイザー等の地域活性化対策ということなので、大きく2つの部分を構成させていただいております。資料的にちょっとボリュームが多くなってしまいましたので、30分という時間の中で少し走りながら、はしょりながらご説明することにつき、ご容赦いただきたいと思います。

目次の次でございますけれども、横に使っております過疎・集落・条件不利地域の振興というのがございます。国土交通省では予算の前に重点政策を8月にまとめておりますので、その段階でまとめられております政策の見取り図というか位置図でございます。これにつきましては、また施策内容の変更等によりまして変わってくることがございますので、8月の段階で国土交通省でやっております施策はこんな感じで考えていたとご理解いただければと思います。

左側に人口減少・高齢化への対策ということで、社会的状況が変化してくる中で住宅などの住まい、あるいはインフラなどの支援というようなもの、それから下の左側におりてまいりますと集落地域の生活を安定していくための仕組み、それから地域資源の活用による持続的な産業創出という分野が1つあろうと。それから右側でございますが、生活サービス機能は、かなりサービス内容のほうが高度化する一方で提供が薄れていくという現状がございますので、そうした生活サービス拠点の形成支援、あるいは下の段にございますように交通、特に公共交通の活性化等による足の確保への支援というあたりが、国土交通省の特にやるべき領域ではないかと考えているということでございます。

次に各条件不利地域に関する対策についてご説明いたします。ここでは離島、豪雪、半島と3つ並んでございますが、それぞれに法律がございますので、並んでおります順番は法律がつくられた順番でございます。

まず一番最初に離島振興対策であります。ページ3というところに離島振興対策と書いてございます。まず島とか離島と呼ぶのに特に定義があるわけではございませんが、大体のイメージを持っていただくために数字をつけてございます。ここでは0.1キロ、100メートル周囲があるもの以上を仮に島といってみると、それが大体7,000弱、数字では6,852ございまして、そのあと幾つかの分類がでてきていますが、真ん中当たりにございますように何らかの法によって対応が打たれているものが312、その後に右側に赤でくくったものがございますが離島振興法、これからご説明する離島の対策としてカバーしているものが261ございます。予算の枠の関係で一般と北海道に分けてございますがそういう分布でございます。具体的には下に一覧表になって、都道県名と島あるいは諸島の名前が76書いてございます。図のとおりでございます。

次、4ページをごらんください。それでは離島は今どんな状態になっているのかという実情でございますが、離島では全体は76の地域と申し上げましたが面積で5,255平方キロメートル全国の面積の1.4%ぐらい、総人口は43万4,000人、人口にして0.3%でございますが、下にグラフが並んでおりますけれども、人口は一番左のグラフでございます。定住人口が一貫して減っていっていると。日本の人口は近年、減少の傾向に向かい出しましたが、離島につきましては既に昭和35年ぐらいから一貫して減少に向かっていると。人口の内訳ですけれども、その右隣に高齢化が非常に進んでいるというグラフが並んでおります。一番右に平成17年の数字が並んでおりますけれども、一番左側が離島でございまして33%、白抜きの20%が全国でございますが、これに比べますと1.5倍以上の割合ということでございます。なお、これから後ご説明します半島の数字がその2つ右側の紫色でございますけれども、同じように27.5%、その隣に奄美がございますが、これにつきましても27.7%という形で高齢化が進んでいるという同じ現象が起こっております。これはまた後ほどご説明します。

次、5ページでございます。それではその離島というものの位置づけでございますが、この離島振興法は、この後出てまいりますけれども昭和28年に制定されております。議員立法でございます。現在は昭和で言いますと84年でございますので、その後5回の延長が10年ごとにございまして、平成14年に現在の法律となっております。その中で離島の役割もだんだん変わってきておりますが、まず第一に5ページの(1)でございますが、我が国の領域・領海、それから排他的経済水域、200海里でございますが、こうしたものを離島というのをベースに見ますと、そこの図にございます白抜きのように非常に大きなエリアになってございますので、我が国の排他的経済水域の確保という役割がまず第一にございます。2番目に(2)でございますが、同様に国境に関する沿岸の管理等の意味で重要な役割を持っています。次、6ページでございますけれども、その他海洋資源の活用、それから歴史的にも国際交流の拠点になってきたと、自然としても恵まれており、(6)でございますけれども「癒しの空間」の提供などの国民に対する空間の確保、提供という意味を持ってございます。

あらあら離島につきましては以上の状況でございますが、そのための振興施策が7ページにございます。離島振興法の概要がございますが、これは14年に改正されましたので、改正のポイントがこのページに書いてございます。14年に改正を議員立法としてなされ、平成15年から施行されておりまして、10年間でございますので24年末ということになります。改正のポイントの1.のところにございますが、先ほど言いましたように排他的経済水域の問題がございまして、7ページの一番下に箱囲いにしてございますが、法律改正の中でもそのことを第一条の目的で14年のときに書き込んでいるということでございます。8ページが離島振興法全体の体系でございますが、国土審議会で意見を聞いた後、主務大臣が地域を指定し、方針を策定し施策を遂行していくという体系になっておりまして、真ん中より下に黄色いところで書いてございますが、予算の計上あるいは補助率のかさ上げ、地方債への配慮その他の措置を講じることによりまして振興を進めているという現状でございます。

次、9ページでございますが、離島につきましては離島関係予算、公共事業予算を全部取りまとめまして国土交通省に一括計上するという扱いになっておりまして、計上されている公共事業費が9ページの真ん中ぐらいのところに治水から始まりまして森林整備までの事業が並べてございます。そのボリュームは10ページでございますけれども上の段、左から2つ目の数字、これは平成21年度の予算でございますが治水・治山から一番下の段まで含めまして712億円の予算が計上されております。また真ん中ぐらいに非公共事業と書いてございますが、ソフト経費、調査経費等で2億円余りの事業を展開しておりまして、その中身は下に書いてございます箱の中に並んでおりますけれども、島づくりのための再生のための検討を調査する、あるいは真ん中にありますようにアイランダーの開催、あるいはフーデックスと書いてございますけれども、離島の方々が東京に集まって会議をしたり、あるいは食文化などについてのPRをするというようなソフト的な事業展開も図っているというところでございます。

また、11ページにございますように、この離島振興法の施行に対してまして税制上の特例、例えばこの中での事業を展開するためのものについての特別な償却や買換の特例、あるいは固定資産税等の不均一課税の対応などがなされており、また下の段にございますように政策金融公庫によりまして、雇用創出等に関係するものにつきましての特別な政策融資がなされているということでございます。

12ページに海洋基本法の概要というのを参考までつけさせていただきましたが、真ん中の箱囲いに書いてございますように、19年につくられました海洋基本法におきましても、離島が我が国の領海及び排他的経済水域等の保全等に役に立つということを法文上規定しているところでございます。

次に豪雪対策が13ページからでございます。豪雪対策につきましても同様に法律がつくられております。これは昭和37年に最初につくられた法律でございます。豪雪地域の分布についてのイメージを見ていただくのが、ちょっと飛ぶので恐縮ですが、下に16ページと振ってあるページをごらんください。日本地図が出ておりますが、豪雪法の中で対策を打つべき地域として豪雪それから特別豪雪という2つの分類を設けております。この色がついているところが豪雪地帯でございまして、これは5,000センチメートル日以上で、例えば50センチの積雪が100日間続きますと50掛ける100ということで5,000になるんですが、5,000センチメートル日以上という積雪が起こる状況の場所を豪雪地帯と、そしてその3倍の積雪量を持っている場所を特別豪雪地帯という形で色分けし、そこの部分に対して施策を講じているということでございます。

15ページでございますが、この豪雪につきましては都道府県が基本計画を策定いたしまして、具体的な施策といたしましては14ページ以降、先ほどの離島で講じられているのと同様の財政上の措置、金融上の措置、税制上の措置というものが行われておりますが、14ページのアのところのポツ1に書いてございますように、離島に加えましてこの豪雪地域では基幹的な市町村道の都道府県代行制度というものがございます。またその次にございますように、公立小中学校につきましては補助率をかさ上げるという形で財政上の一段の支援をしているところでございます。基幹的な市町村道の都道府県代行制度と申しますのは、財政力の低い市町村が大切な道路をつくる場合に、財政力が低いものですから、都道府県がつくることができるという法律上の規定でございます。

次、15ページに今の法律の体系が、ちょっと見にくい形でございますが並べさせていただいております。一番下のところに今申しました特別豪雪地帯に対してなされている特別な措置ということで、基幹的な市町村道の都道府県代行制度、それから右側にありますように、小学校、中学校につきましては補助率が通常50%のところを55%と5%かさ上げして整備の支援をしているというものでございます。

17ページでございますが、こうした法律上の措置に加えまして、その他予算として現在行っております事業をご紹介させていただきます。豪雪地帯特別事業という形で行っておりますが、豪雪地帯におきましては雪がたくさん積もる中でいろいろな生活の不便が起こってまいります。典型的には雪おろしをしないと家がつぶれてしまうと。ところがその雪おろしをしますと、まず人手がないとできない、家がつぶれちゃうと。あるいはよくニュースで流れますが、雪おろしをしている最中に滑り落ちてけがをしたり、あるいは命を落とされるような方もいるという中で、安全安心な雪国の暮らしをつくっていくというものでございまして、この事業の中では、補助事業でございますけれども道路などの通行を確保するために融雪装置、水などを流しまして雪を溶かす装置、あるいは建物の融雪、屋根の雪を溶かしたり落とすような装置といったものを整備していくものに対しまして2分の1の補助を行っております。これによりまして財政力の小さい公共団体でも、例えば左にありますような道路の整備、あるいは右側にございますに高齢者の方々が雪がひどいときに住んでいただくというような場所についての整備というものを支援しているというところでございます。18ページにその続きでございますが、こうした物的な整備に加えまして、最近高齢化が進んでくる中でお年寄りの方々が雪が積もっているときにどう生活すればいいのかというのを前もって計画をつくっておこうというようなことにつきましてのソフト的な経費でございますが、こうした経費も追加して、きめ細かく対応するように展開しているところでございます。18ページの下ですが、こうした既に確立した融雪の技術に加えまして、例えば地熱を使ってできないかというような新しい提案を実際にやってみるという形での補助も、若干でございますがやらせていただいているというところでございます。

20ページのところに幾つか整備したものの例がございます。施設そのものが見えるわけではないんですが、例えば道路に融雪装置をつければ、左側のような状態になってしまうところを右側の状態にすることによって通行を確保できるということでございます。またこうした物的補助にあわせまして、20ページ下の段でございますが、豪雪地帯の個性ある活性化推進等の実証実験を現在手がけているところでございます。この実証実験の中では、具体的な解決策が求められております雪の中に閉ざされてしまうようなお年寄りの集落などについて、ひどい時期のときに一時的に集団的に移転していただいたらどうかとか、もう一つは雪おろしの人手等が足りないものですから、豪雪地帯の経験者の方のお力をかりて、非常に雪が降ってしまった地域のところの雪を何とかするようなことはできないかと、共助による解決と言っておりますが、こういったものにつきましてモデル的に実験的に取り組んでいただくということを今年度はやっていきたいと考えています。それから当然ながら、20ページの一番下でありますけれども、法施行に伴いまして現状がどうなっているかということでの基礎調査を展開しております。

3番目の法律に基づく施策が半島振興であります。半島振興法につきましては、昭和60年に初めて立法されました。これも議員立法でございます。この法律のスキームは23ページにありますが、構造的には離島、豪雪と似た構造を持っておりますので、半島はどういうところが指定されているかを見ていただくと24ページであります。色がついてございますように下北半島とか紀伊半島の一部などなどの地域でございます。21ページにお戻りいただきまして、半島というものの地理的特性は、離島と違いまして海に囲まれているわけではございませんが三方が海で、日本の地形の特性からしますと、海があって、そうなりますとすぐ山になってくると平地が少ない、あるいは交通が不便だというような不利益がございます。一方、最近現状を見てまいりますと、そういった特性の中から豊かな食文化などがあるというメリットもございます。こうした不利益を解消し、こうしたところでの振興を進めるものとして半島振興法が制定されておりますが、同様に半島振興計画を都道府県知事がつくりましてそれを応援していくと。

22ページに計画の内容、振興の基本的方向、基幹的道路、農産水などなどがございます。財政上の措置につきましても同様でございますけれども、22ページの真ん中、アの1ポツのところに書いてございますように、半島に特有のものといたしまして半島循環道路等の整備、半島の地理的特性を踏まえまして半島を循環する形の道路を整備しようということがございます。それから同様に道路の整備につきましては、財政力の弱い市町村にかわりまして都道府県がみずから行う代行制度というものが法に規定されております。この半島循環道路と申しますのは、書いてありますとおり半島を循環する、または半島の交通の便がよくない地域と一般の道路を接続して便がよくなるようにするという形でございまして、これにつきましては、これを受けた法律に基づきまして補助率のかさ上げもなされており、現在整備がかなり進んできているところでございます。全国の一般的な道路全体が74%程度の改修率と聞いておりますが、半島循環道路につきましては、おかげさまで90%を超えるぐらいのところまでたどり着いたというのが現在の状況でございます。同様に日本政策金融公庫による金融上の措置や、あるいは税制上の措置というものが講じられております。

この法律の全体の形は23ページにございます。大体同じようなスキームでございますので、時間の関係上説明は省略させていただきます。
25ページに、同様にこれにつきましてもソフト事業を展開しておりますので、モデル的に半島での産業創出、あるいは半島の方々が集まって会議を開いていろいろ同じような課題などを抽出していくという事業展開も行っておりまして、こうしたソフト的な展開も同時に進めているというところでございます。

次に、もう一ついただいております宿題でございます地域活性化対策が26ページ以降でございます。先ほど目次で見ていただきましたように、現在地域活性化対策として取り組んでおりますもののテーマといたしましては、交流それから人材、それからインターンのような交流の実施、そして専門家による知恵、アドバイザーというようなテーマで取り組んでおります。第1の交流につきましては27ページ、集落活性化推進事業と書いてございます。2.のところに対象地域がありますが、過疎、山村、半島、離島などの条件不利地域全体につきまして、交流あるいは散逸化してしまっているような公共施設の一体化という形での合理化を図るということをやっておりまして、具体的には28ページに簡単な図がかいてございますけれども、典型的には子供がいなくなって廃校舎になっている学校といったものを改修して、都会と地方との交流のための体験施設、交流施設、宿泊施設等にする。あるいは学校や高齢者施設などを統合化して合理的に運用するというような形の遊休公共施設の改修に対する支援を行っているところでございます。昨年20年の例でございますけれども、28ページ下に書いてございますように、例えば一番上の釧路などでは使わなくなった小学校の校舎で高齢者施設、障害者施設、子育て施設などをつくるといったことで、年間大体10から13ぐらい展開してきております。ちなみに今年のものにつきましては現在施行中でございますが、ちょうど挙がってきたものの中でおもしろい例がございましたので1つご報告しますと、これは新潟県妙高市の例なんですけれども、豪雪地帯でございまして旧町営のスキー場の管理所があったんですが、遊休施設になったので障害者の方の雇用の促進、それからそういった雇用の体験も含めまして、新潟県は米の産地でございますので、米粉のパン工場という地域の産業の施設にして体験施設にするというものが挙がってまいりまして、こういったものもやっていこうという形でやり方を発展させながら、使わなくなっている既存施設を活用して交流や産業の振興につなげていくということのお手伝いをさせていただいております。

30ページに同様の既存施設を活用したという似たタイトルの事業がございますが、こちらは今ご説明したような確立した事業ではなくて、既存施設というものをうまくソフト、ハード両方で使って集落の活性化に使えるという知恵を絞っていこうということで、調査として展開しているものもあわせて行っております。

31ページが第2番目のテーマで人づくりでございますが、地域の再生あるいは活性化については人づくりが根幹的に大切だという認識が共通化されているかと思いますけれども、こうした地域を担う人材を育成していくということで、2.のところにございますが21年度は7団体ほどでこうした人材づくりの応援をしております。(1)、(2)と2つ並んでおりますが、第1に地域を支えていくリーダーの方々に東京に集まっていただいて研修するという研修会、もう一つは(2)でございますが、地域のほうで現に関係する方々が集まっていただいて、車座研修会などを含め実証的にやっていただいているオン・ザ・ジョブ・トレーニング型の研修といったものを今展開しているところでございます。

第3番目のテーマが、交流と深くかかわりますけれども実際に経験していただくということで、32ページ、地域づくりインターン事業というのを展開してまいりました。大体30ぐらいの市町村に参画していただきまして、1団体2人ぐらいずつ、現に都会の人たちに住んでもらって、大体期間としましては真ん中ぐらいにありますけれども2週間から1カ月ぐらい夏場に住んでいただきまして、こういう交流を実際にやってもらうというものでございます。3のところに今年21年度の実施予定が書いてございますけれども、国の支援によって今年は大体8つ、それからそれは別にして自ら行う市町村が21ございまして、合計で30ぐらいでございますが、大体ある程度できてきたのかなということで、どうやればうまくいくのか、何が問題なのか、どういう情報が要るのかというような仕上げを今年やろうと考えておりまして、下側に今21を北海道紋別市以下書いてございますが、今後こうした取り組みを積極的にやっていかれる市町村に対しまして、この事業の結果を踏まえて情報やノウハウをきっちり提供する体制を組んでいきたいと今年は取り組んでおります。

それから最後のテーマ、33ページでございますが、地域おこし、人材、それからそうした実地体験にあわせまして、やはりいろいろなアドバイザーによる知恵やノウハウの導入が大切だということで、これにつきましても大分長らくの間事業展開を進めてきているところでございます。2のところに概要とございますけれども、いろいろな形での地域の振興、町おこし、発展などございますけれども、これにつきましては諸機能の郊外転出の中心市街地のやり方、高齢化などによる地域の活力の問題などなど幾つかのパターンがございましたので、現在はそうしたものを取りまとめてアドバイザー派遣制度という形で平成13年以降事業を展開しているところでございます。33ページの下の4にございますが、大体30地区ぐらいで、1地区3人ぐらいの専門家の方に行っていただいてアドバイスをしていただく。34ページにございますように、今までありました地域振興、昭和63年からのもの、それから中心市街地は10年から、それから山村三セクが8年からという形で、それぞれの領域を所管されているところでやられていたものを、省庁再編を機に一本化いたしまして、平成13年からと申しましたけれども、下の4つの欄にあります地域振興アドバイザー派遣制度として展開してまいりました。そこに書いてございますように、これまでに196の地方振興アドバイザー、あるいは山村で57、中心市街地で30、それから現在の地域振興アドバイザーは128という形で非常に多くの地区での実績が上がってまいりました。なお、この事業の展開の中では、本日委員でいらっしゃっております小田切先生に平成17年に熊本県にアドバイザーとして行っていただき、あと西村先生にも平成15年に岐阜県でアドバイスをやっていただき、ほんとうにありがとうございました。

これは今展開しておりますけれども、こうしたものにつきまして大分長くやってまいりましたので、効果分析ということで、今年につきましては新しい村に新しい先生に行っていただくのではなくて、1回行っていただいた先生方にもう一度現場などについてその効果、やり方などについてのご検討をいただき、それらを取りまとめて、例えばこうしたアドバイザーにだれに来ていただければいいのか、どうすればうまく受け入れてアドバイスをもらえるのかというものにつきましての取りまとめを、今年度はやりたいと考えているところでございます。

非常にはしょってしまいまして申しわけございませんが、現在条件不利地域あるいは地域活性化施策として、私ども国土交通省都市地域整備局でやっております施策のあらあらをご説明させていただきました。よろしくお願いいたします。

【月尾座長】  もう一つの資料の説明は宜しいですか。

【地方振興課長】  もう一つ「新たな結」という形でカラーの横使いの資料がございます。あと二、三分いただけそうなのでご説明させていただきます。
表題、「新たな結」による地域の活性化と書いてございます、これは国土交通省の私どもの課で昨年1年間かけて勉強した中身でございます。幾つか説明がございますけれども、端的には下にページが3と振ってあります横使いの紙をごらんください。「新たな結」による総合的な取り組みと書いてございます。地域で起こっているいろいろな困難あるいは必要性につきましては、大体もうご説明するまでもないかと思いますが、右側の上、茶色でくくった2つの箱がございます。現在こうした条件不利地域あるいは人口減少のエリアにおいて起こっている課題として、まず真ん中の段でございますけれども、必要な福祉・介護、移送、子育てなどのサービスが的確に提供されない、こうしたものを提供できるような仕組みが要るということでございます。私どもが勉強した限り、残念ながら採算が取れませんので、商業ベースでやるというのはなかなか困難だということがございます。いずれ自分たちでやるにしてもやはりお金はかかります。右側でございますが、一方で離島にいたしましても半島にいたしましてもそれぞれの地域資源がございます。こうしたものもうまく使っていけば一定の収入も上げられる。そこでこうした収入を上げるということと、必要なサービス群をそうした収入の活用によって自分たちで提供していくような仕組みが必要なのではないかということで、これを「新たな結」と名づけて展開していったらどうかということを今提案しているわけであります。

ちなみに、その箱の左側に旧来の“結"的な取り組みというのがございます。ご存じのように、日本の農村集落におきましては結という形での地縁的結合体が協調的にやってきた歴史がございますので、それを今日的なニーズと今日的な資源、資金をつなぎ合わせて展開するような方向へ展開していったらどうだろうかということで、現在「新たな結」と申している次第でございます。なお、私どもが勉強した限りにおいては、この結というものの特性はやはりNPOのような結合とは違いまして、やっぱり地縁的なつながりが極めて重要というところがひとつ特徴なのではないかと。地縁的つながりの人たちが共同の目的、活動によりまして、結と名づけさせていただきましたがこうした展開をしていくことが大切なんじゃないかということでございます。もちろんその存在の形式がNPOその他の形であることは何ら問題はないんですが、一般的なNPOに比べますと地域的、地縁的というところがひとつポイントなのかなと考えております。なお、その際、これの勉強に当たりましてはうまくいっている例を幾つか見てつくっておりますので、その中の検討した例につきまして、6ページ以降に静岡県の例ですとか広島県の例などにつきまして簡単に紹介させていただいております。
簡単でございますがご紹介をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

【月尾座長】  ありがとうございました。それでは、ご質問をどうぞ。

【杉沢委員】  ご説明ありがとうございます。
まず廃校や廃止施設となったものをいかに活用するかということをご説明いただく前に、ぜひ今日はお願いしたいと思ってまいりまして、その中に集落活性化推進事業の中にこんな取り組みをしているというご説明をいただきました。やっぱり私たちが毎日生活する中で壊れたもの、使っていないもの、あるいは人がいなくなってしまったような施設というのが日本中に何千、何万とあちこちにあるというものをまずできればゼロにしていかなければならないと、そのままにしておいてはいけないんだという姿勢をまず持っていただきたいというお願いで、それを活用する方向でいろいろな支援策がとられていると思うんですが、どうしても場所があるから使いたい人は使いなさいという程度のことでしかないようなところが多くて有効に活用されていない。取り組みとして今新潟の大変新しい取り組みをお話しされましたけれども、産業振興していく、そして雇用につながるような形に変換していくという方向、あるいは新たな介護とか福祉のための施設に変換していく方向というのがいいのではないかと私は考えています。ただ、そういうふうに変換していくに当たって、どこの持ち物だから手が出せない、公的なものだからNPO法人には貸せないとか、企業さんには無理だというようなその辺の難しい縛りがかかっていて、やりたい人、使いたい人はいるけれども有効に活用できないというようなところが周りに随分見受けられるような気がしたので、そのあたりの有効な活用をするための枠組みづくりについてぜひ何か工夫が欲しいなと考えているところです。汚いもの、壊れたものは日本からなくしたいという思いと、せっかくあるんだからそれを活かして命を吹き込んで、人が賑わうような新たな地域の活性の中心になるような場所にしてほしいというための施策をぜひ続けてほしいということが1点目です。

それからもう一つですが、子供たちに対する国土交通省の取り組みといいますか、教育の中で日本がどう発展していくか、道をつくって山を削って自然を壊していくというような国の取り組みが子供たちに対する教育の中でマイナスイメージになっているという、ちょっと説明が難しいんですが。日本は開発して都市化していく、そして元気な日本になっていくというイメージが1つと、それから今まで持ってきた日本のすばらしい自然を大事にして、それをみんなで守りながら新たに日本の道をつくっていくという子供に対する教育のあり方というあたりを、少し国土交通省でもバックアップして進めていただきたいなという思いがありますので、それはお願いでございます。

【地方振興課長】  まさに最初におっしゃいました既存施設を活用するというところが、今現在取り組んでいるものの特徴的なところではございます。廃校舎から高齢者施設でございますので、いわゆる管理区分が完全に変わってくることになりますので、そういうものにとらわれずに、現にあるものをうまく使おうじゃないかというところを根っこでやらせていただいているのが、正直私どもの事業の特徴かなと思いますが、それをやっていく過程で先生ご指摘のような問題点、障害があるようであれば、それをどう乗り越えるかはまた勉強させていただきたいと思います。

それからインターンみたいなものについては時間がないから飛ばしちゃいましたけれども、実のところもはや田舎が故郷じゃない人がいっぱいでてきていると。私は今50ちょっとですけれども、我々のもう一世代上になりますと、都会に住んでいても必ず田舎出身だったんですけれども、だんだん都会生まれの都会育ちが増えちゃっている中で、田舎の経験というのは大切なんじゃないかというあたりが、インターン事業をそもそも進めている根っこにはもちろんございます。そのほか食の安全その他も含めまして、先生がおっしゃるような形の事業展開を私どもは心がけたいと思いますし、かつまたそれは可能なのかなと思いますので、よく吟味して取り入れさせていただければと思います。貴重なご意見、ありがとうございます。

【江尻委員】  お話、ありがとうございました。
私は離島の廃棄物に大変関心がありまして、幾つか島のごみ問題の取材に行ったことがありますが、その中で島の人とお話をしますと、島にもともと住んでいた人よりも島の外から来た人のほうが、島の美しさや自然というものを非常に強く実感しているという話をよく聞きます。もともとは今日最初にお話ししていただきました、観光で島に渡ったというのがきっかけになって、それで永住してしまったという話もよく聞きます。今日のお話の中で離島に対する対策というものはこれまでもいろいろとられてきているだろうと思いますが、私も島に行って一番困るのは、帰りに海が荒れたら戻れなくなってしまうということです。そこをどうクリアすればいいかというのはまた別の問題と考え、今日ちょうどお二方おいでなのでしみじみと思いましたのは、まさに離島をもっと観光化できないかということ。観光の島ということで独立させていけないかとたいへん強い思いをもちました。。例えば大分県の姫島ですと、ご存じのとおり日本で自治体がデポジットを実施しているのはあそこだけしかないという事例で、いまだにデポジットが魅力でいろいろな人が行っておもしろがっているという状況があったりしますが、実際に姫島に行ってみますと、なかなか泊まってくれる人はいないと。泊まってくれる人にだけ親切にして、泊まってくれない人には親切にしたくないなんて冗談を言ったりしながら、島の宿泊施設であるとかそれから魅力というものを、もっともっとPRしていきたいというような話をなさっていたことを思い出しました。宿泊してもらわなければ潤わないということです。

そんなことで、離島の対策の1つとしまして、外から来た人をどんどん取り込んでいくことも含めてもっと観光という部分でもう一回切り口をそろえていただけるような、対策を考えていただきたいなと思っております。これは意見として申し上げたいと思っております。
以上でございます。

【観光地域振興課長】  すべての離島というわけではございませんが、私の資料で19ページを見ていただきますと、観光圏の中でも離島を組み込み始めておりますということでございまして、山陰文化観光圏では追加で隠岐を入れていただいたりとか、また橋でつながっていますが淡路島も離島の扱いになっているとか、あと平戸・佐世保・西海ロングステイというところではやはり離島が組み込まれているというようなことがありまして、また日本海きらきらも粟島とか飛島が入っているということでございますが、離島だけで観光というのも難しいということでございますので、本土側とあわせて周遊というか滞在ということをしていただきたいなというところから始めたいということでございます。

また、観光圏ということにはなっておりませんけれども、沖縄も島ごとに勝ち組と負け組が――負け組というほどではありませんがあって、自然と増えている地域と、一回増えたけれども減ってしまった地域というところがございますので、その特性というか、どういうところだと魅力を出し続けられるのかというあたりを、今勉強させていただいているということでございます。

【飯盛委員】  貴重なお話、ありがとうございました。
地域づくりインターン事業に大変関心がありまして、中長期的に見たらとても効果があるのではないかと感じております。実は8月末に私どもの大学で1週間、上五島に私教員2名と学生が7名滞在しまして、地域のいろいろな観光地とか産業のところとかをめぐって、最後は町に提言するというようなフィールドワークの授業を大学としてやってまいりまして、そのときに気がついたことは、1つは初めて九州に入るような学生もたくさんいたんですね。いきなり今度上五島という離島に入りました。学生たちにとっての視野の広がりとか、いろいろな初めてする経験というものが教育的にとても効果が高かったと、町のいろいろな問題を見て、体験して、肌で感じてというのは、教員としてもとてもよかったと思っています。もう一つの効果は、やはり地域の方々が1週間10名の人間を受け入れて、あとはいろいろなコースを組んでくださって町のいろいろな方々との交流をしてという、多分大騒ぎだったと思うんですが、それをすることによってまず町の方々自体が町の魅力というものを、またみずから発見してくださるきっかけとなった可能性が高いということと、あとやはり皆さん口々におっしゃっていたのは、全く初めて来た若い人間が町の方々が全然気がつかなかったところを、「ここ、おもしろい」とか「ここ、いい」と指摘するわけですね。そうすると、これを核にじゃあいけるんじゃないかという元気にもつながっているんじゃないかと、私はお伺いをして大変ご迷惑をおかけした面もあったかもしれませんけれども、よかったと思っております。多分この地域づくりインターン事業も同じようなことが起こっているんだと私は感じておりまして、これは今まで500人という方々ご訪問されて、各地でいろいろなパターンがあると思うんですが、今のところわかっていることで結構ですから、行った方々もしくは受け入れた地域の方々の変化とか、何か関心とか、移住交流につながったとか、地域が若い人たちと一緒に新しいことを始めたとかそういったエピソードを、今まとめ中ということでしたけれども、もし何かわかっていることがあれば教えていただければと思います。

【地方振興課長】  まさにおっしゃるとおりのところでございます。受け入れ側の効果あるいは反応、それから行った方々がその後どうなったかというのをまさに知りたくて、それを今年調査しようとして今始めたばっかりなものですから、今の段階で具体的にアンケート結果あるいは数字的にこうですと申し上げる情報は実は今手元にないんですけれども、ただ、今先生がおっしゃったようなことがあってよかったというような話については、実は個別的には聞いております。特に若い人たち、これは正直申しまして時間の余裕があるというのは学生さんが夏休みとかが一番多いんですけれども、やはり現地の人では気がつかないなというような話をいろいろ聞けたという話は個別には聞いております。それが全体としてどうなんだろうという意味での効果測定、それともう一つは、これは今30公共団体ぐらいと申し上げました。そして1つが2ですから60人ぐらいなんですけれども、もっと幅広くやるためには、公共団体でやりたい方々がみずから簡易にというか円滑にできるようなための基盤、情報の提供とかができるように頑張っていきたいと思います。これにつきましては、またわかってまいりましたらご報告させていただきます。すいません、現時点でデータに基づくご回答ができないことをお許しください。

【小田切委員】  関連してなんですが、今の地域づくりインターン事業、それからその後のアドバイザー派遣事業、これはいずれも私自身がかかわったり、あるいは学生がお世話になったりして非常に関心があるんですが、坂本課長からご説明がありましたように、いずれも今年度ある種の再編期に入っていると認識しております。また各方面からそういう話も聞いているんですが、これは私の杞憂なのかもしれませんが、もしその理由が、こういった事業がいろいろな省庁で同じような事業が出てきているということが理由だとすれば、随分それは問題だろうなと思っています。むしろこちらのほうが元祖といいましょうか、地域マネジャー派遣に関しては非常に歴史があって実績もあると思うのですが、実績があるかどうかはともかくとして、私はこういう人材派遣にかかわるものはいろいろな主体がそれぞれの特色を生かしながらアプローチするべきで、これは一元的に対応しないほうがむしろいいのではないかと思っておりまして、そういう点では、これは私個人の杞憂に対する問いですのでお返しいただく必要はないんですが、そういうことが理由でこういった事業が切り捨てられるということがないようにしていただきたいと思います。あるいはそれに対して何かご見解があればぜひこの場でお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

【地方振興課長】  私、実は7月に来たので、過去の経緯まで正確にご説明できません。間違っていたらお許しいただきたいんですが、私の認識では非常に長いことやってきております。それから、今飯盛先生からもお話がございましたように、やってきたものが20とか30とかという単位で動いてきているんですけれども、こういういい事業であれば、より公共団体がやりたいときにうまくできるような仕組み、より効率的にできるような仕組みをつくっていくことが大切でございますので、切りかえという意味で言えば、これをやってきたことについてのいい面、悪い面をひっくるめて効果分析、それからそうしたものを自主的に取り組みたいと言われている若い人、あるいは公共団体がやりやすい仕組みをつくっていく、10人の人を派遣するために必ず国が何か調査費で補助しなきゃ動かないというのですと広がりも出てまいりませんから、むしろやってきたことをきちんと分析して、さらにこれを展開していくためにはどうすればいいのかを今年はよく考えると、私は受けとめております。

【名和田委員】  理屈っぽい話で恐縮ですけれども、国土交通省さんは新たな公というキーワードを最近お使いで、今日それと関連してかどうかわかりませんが、新たな公という言葉自体は今日の資料の中にも最初に出てまいりましたけれども、もう一つ新たな結という非常に興味深いお話も伺ったわけですけれども、細かく言うと質問は2つありまして、1つは新たな公という言葉をおおむね国土交通省としてはどのように定義し、お使いになっているかという、それはおまえが勉強してこいと言われそうですけれども、一応ここで簡単に承りたいのと、もう一つは、新たな結という考え方がこの新たな公という考え方とどのように関係しているかという2点について、簡単にご説明いただければと思います。

【地方振興課長】  すいません、ここも十分勉強していないので、私の考えを述べることをお許しいただきたいと思います。
まずは新たな公につきましては、国土形成計画をつくりました中でこうした新たな公、公共団体ではないという意味での公的な機能が必要であるということを位置づけてきていると理解しているんですが、新たな公というものと結がどう違うかというと、結自身は、先ほど1年間かけて勉強しましたように、こうした現に人口が減り出しただとか、あるいはサービスが足りない、あるいは高齢者ならサービスが要るという現状に対する対応策としてどういった仕組みがあるだろうかと調べていた結果、地域の地縁的つながりを中心とする協働的作業体ではないかと考えていると。それについて過去の例を、歴史的なそういう存在を見ると結というものが近いということで、新たな結という名前をつけさせていただきました。それで新たな公との関係でいうと、ある意味、新たな結は新たな公の一部でもあるんですが、同時に新たな結が立ち行くためにはそれをさらにサポートする、サポートを専門にするようなNPOのような力が要るんじゃないかと考えているんですけれども、そうしたものもまた新たな公なのかなということで、ちょっと新たな公自身は国土計画的な立場から提案されている概念なんで、私がうまくご説明することができないことは申しわけないんですけれども、そうしたこれまでの確立した行政機能を中心とする公に対する新たな公という概念と、地場に密着した地縁的関係における共助的、あるいは同時にみんなで資金を稼ぐような組織としての結という形で、役割は違うんじゃないかなと現在は理解しているということでございます。もし間違えていたらお許しください。

【月尾座長】  最後に私から意見を言わせていただきます。離島とか半島とか豪雪の振興は、そこで生活している人たちの要望で進めてこられたと思いますが、逆に失ったものもあると思います。例えば積丹半島の古平でトンネルの崩落があった後、西側の道路も一気に整備され、立派な道路になりました。しかし以前の道路はニセコ連峰を見ながら走る快適な道路でしたが、新しい道路はトンネルの中を延々と走るということになり、景観は失われてしまいました。また全国各地にあると思いますが、九州の離島に橋をかけたため、船に乗って離島へ行く楽しみがなくなり、そのために観光も下火になってしまいました。国土交通省の仕事の範囲だけでは、地域の要望に応えることは当然でしょうが、観光とか文化の問題を考えると失ったものも多い例があります。地元の人々から便利にしてほしいという要望があれば、不便でも我慢してほしいということはできないと思いますが、事業を進める立場でそういうところまで考えていただくことも必要ではないかと思います。何かお考えがあれば、一言で結構ですがお願いします。

【地方振興課長】  先生がおっしゃるとおりかと思います。まず事実関係だけ申し上げますと、離島に橋をかけて本土とつながりますと半島という扱いになります。
それから今言われたような地域資源の見方ですけれども、おそらく壊したものがその当時は地域資源として認知されていなかったということなのかなという気はします。ただ、何を資源として考えどう取り組むかは、やはり現場、地方の主体性というのが中心に当然あるわけですから、どういう形でやって、どううまくいったのかという例をいろいろ表彰したり情報提供していますけれども、最近の挙がってくるような例を見ますと、こういう建物を移築しましたという例が出てきて、よくよく調べてみますと、これは壊されそうになったんだけれども、目のある人が幸い保存していてくれたので、それを移築して直したんですという例が出てきた。幸い地域における資源というのが必ずしも農産物だけじゃなくて、歴史的資源あるいは無形の資源などについて大分目が向いてきているのかなという感じがございますので、そういう視点で見ていくということをバックアップしていく。事例の紹介ですとか、先ほど言いましたようにアドバイザーの方々の力、それからインターンなどによる外部の人々が来て新たに発見する、地元の人は要らないと思っていたものが実は大変な価値があるというようなことを認識することができる機会、基盤などがつくられていくことが大切なんじゃないかなと思っているところでございます。

【月尾座長】  お二人には、お忙しいところをお出でいただき、ありがとうございました。これでヒアリングを終わらせていただきます。
次回の予定についてのご説明をお願いします。

【地域政策課長】  次回も引き続き関係省庁のヒアリングをさせていただきたいと考えております。次回の日程につきましては現在調整中でございますので、詳細について決まり次第ご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。


速記担当:(株)大和速記情報センター

山口 眞澄

ページトップへ戻る

地域力創造に関する有識者会議
サイドナビここから
サイドナビここまで