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報道資料

平成22年10月12日
北陸総合通信局

北陸管内における平成22年度上期の電波監視の概要
〜依然として存在する不法無線局と重要無線通信妨害〜

 総務省北陸総合通信局(局長:斉藤 一雅)は、平成22年度上期における電波監視の概要を、次のとおり取りまとめました。

1 無線局等に対する混信妨害の申告と措置状況

(1)申告受付件数
 平成22年度上期の申告受付件数は45件で、昨年同時期(39件)から約15%増加しています。

(2)申告受付の内訳
 消防等の重要無線通信(※)に対する混信妨害が5件、一般無線局に対する混信妨害が24件、テレビ・ラジオ等に対する電磁環境障害が16件となっています。
 昨年度同期との比較では、「重要無線通信に対する混信妨害」と「テレビ・ラジオ等に対する電磁環境障害」は昨年同期並みとなっていますが、「一般無線に対する混信妨害」が約33%増加しています。
※「重要無線通信」とは、人命・財産の保護、治安の維持等のために、航空機、船舶、警察・消防等で使用される無線通信や社会経済活動に必要不可欠な携帯電話などの通信をいいます。
 
年度別申告件数の比較
  重要無線
通信妨害
一般無線 電磁環境 合計
平成21年度上期 6 18 15 39
平成22年度上期 5 24 16 45
※ 各県ごとの申告件数は別紙を参照

(3)重要無線通信妨害申告の内訳等
  申告の内訳は、消防用(1件)、携帯電話事業用(1件)、海上保安用(1件)、水防用(1件)、官公庁用(1件)となっています。

(4)申告の措置状況
  申告の64%(29件)については発信源を特定し、使用者に対し措置を求めたり、文書で指導等を行って解決しています。残りの36%(16件)は、現在調査を進めています。
  なお、このうち重要無線通信妨害であった4件については解決し、残りの1件は、現在調査を進めています。

2 最近の妨害事例と対応状況

 最近の特徴的な妨害と措置状況は次のとおりです。

(1)携帯電話等通話抑止装置による妨害
 携帯電話会社からの申告に基づき、混信障害調査を実施したところ、無線局の免許を受けずに設置された携帯電話等通話抑止装置が障害源であることを特定し、設置者(使用者)に対し、電波法上の免許の必要性と携帯電話基地局に障害を与えることを説明の上、撤去等の指導を行いました。
 当該妨害を防止するためには、現在、インターネット等により簡単に購入することができる環境となっている中で、携帯電話等通話抑止装置を設置するには無線局の免許が必要であること、携帯電話基地局に障害を与えること等について、一層の周知・広報が必要となっています。

※携帯電話等通話抑止装置とは、携帯電話やPHSが使用する周波数帯の同じ電波を発射することにより、装置を設置した場所で、携帯電話等が使えないようにする装置です。この装置が設置されると携帯電話等は”圏外”の状態になり、発信も着信もできなくなります。また、この装置を使用するためには無線局の免許が必要であり、一定の要件を満たす場所(コンサートホール等)であることや無線従事者の資格者の配置などが必要です。

※携帯電話の不法中継装置について
 携帯電話の電波の届かない地下やビル内に設置されている中継装置で、携帯電話事業者以外の設備は、近隣の携帯電話の使用に妨害を与え免許することができない不法無線局です。
 携帯電話の中継装置の設置・運用は、携帯電話事業者に限られています。携帯電話がつながらない場合は、携帯電話事業者へご相談ください。

(2)BS・CSブースターの不具合による妨害
 各携帯電話事業者からの障害申告に基づき、混信障害調査を実施したところBS・CSブースターの不具合や接続不良によることが原因であると判明したため、該当宅を訪問してブースターの調整や接続不良の修理指導、場合によっては取り替え依頼などを2世帯に行いました。

(3)船舶用無線機器の誤操作による妨害
 海上保安庁から、国際遭難通信用周波数(国際VHF)の電波が連続発射されている旨の申告があり、当局の電波監視システム(DEURAS)で確認した発射源と推定される場所を通知し、海上保安庁が該当する外国籍船舶を特定し、電波発射を停止させ注意しました。

3 不法無線局への取組状況

(1)電波監視による不法無線局の出現状況
 平成22年度上期に、電波監視によって出現を確認した不法無線局は、延べ158局(62局)あり、その内訳は、不法市民ラジオ84(8局)、不法パーソナル無線30局(32局)、不法アマチュア無線21局(11局)、その他(業務用無線・外国規格の無線機)23局(11局)となっています。
 なお、昨年同期に比べて、不法市民ラジオの出現局数が大幅に増加していますが、主に福井県内の不法無線局グループの探査を実施し、警告書を送付して措置したことによるものです。
※( )内の数字は、昨年度同期の出現状況

(2)不法無線局の措置状況
 平成22年度上期に、不法無線局を摘発又は使用者に警告文書等を送付したものは25件(31件)あり、その内訳は、不法市民ラジオ10局(7局)、不法パーソナル無線1局(5局)、不法アマチュア無線11局(11局)、その他(業務用無線局等)3局(8局)となっています。
※( )内の数字は、昨年度同期の措置状況

(3)捜査関係機関との共同による不法無線局の取締り結果
 平成22年度上期は、捜査関係機関と共同取締りを7回(路上取締り5回、海上取締り2回)行いました。
 共同取締りでは、電波法違反の疑いで調査を行ったもののうち、不法アマチュア無線2局を摘発しました。内訳は次のとおりです。

平成22年度上期
県名 実施回数 摘発内訳 指導局数
富山県 3回   0局 7局
石川県 1回   0局 3局
福井県 3回 不法アマチュア無線 2局 6局
 
平成21年度上期
県名 実施回数 摘発内訳 指導局数
富山県 1回 不法アマチュア無線 1局 1局
石川県 1回 不法アマチュア無線 1局 2局
福井県 6回 不法パーソナル無線 3局 7局
不法アマチュア無線 4局

(4)不法無線局対策について
 不法無線局の摘発局数は減少傾向にあるものの、依然として多くの不法無線局の存在が確認されていることから、当局では、引き続き、捜査関係機関と共同して不法無線局の取締りを実施するとともに、電波法令遵守のための周知啓発に努めていくこととしています。

4 電波利用環境保護周知啓発強化期間中の取組と申告受付窓口

(1)正しく運用している電波利用者を不法無線局による混信その他の妨害等から保護し、良好な電波利用環境の整備を推進することを目的として平成22年6月1日から6月10日までを電波利用環境保護周知啓発強化期間として、テレビのスポット放送をはじめ各種周知啓発活動に取り組みました。

(2)混信妨害及び電磁環境障害の申告や不法無線局の申告は、以下の窓口で受付を行っています。
 北陸総合通信局無線通信部監視調査課
 電話 076−233−4441
 (受付時間は、土曜日、日曜日、祝日を除く8時30分から17時まで)

連絡先
無線通信部監視調査課
(担当:徳留、大野)
電話:076−233−4440

別紙

21年度と22年度上期申告件数比較(県別)

(富山県)
  重要無線通信妨害 一般無線 電磁環境 合  計
平成21年度
上期
0 5 2 7
平成22年度
上期
3 8 3 14

(石川県)
  重要無線通信妨害 一般無線 電磁環境 合  計
平成21年度
上期
4 5 10 19
平成22年度
上期
1 3 7 11

(福井県)
  重要無線通信妨害 一般無線 電磁環境 合  計
平成21年度
上期
0 7 1 8
平成22年度
上期
1 10 2 13

(その他※)
  重要無線通信妨害 一般無線 電磁環境 合  計
平成21年度
上期
2 1 2 5
平成22年度
上期
0 3 4 7
申告内容が複数の県にまたがっているもの及び管内の無線局が管外の無線局に妨害を与えていると申告があったもの。


参考資料

【不法無線局の妨害事例】

1 不法市民ラジオ

 不法市民ラジオは、船舶海難救助用等の電波に妨害を与え、船舶の緊急通信や安全航行が困難となり人命に関わる場合もあります。
 また、不法無線機の出力が大きい場合は、テレビ・ラジオの受信に障害を与え画面に縞模様が出たり音声が入ったりして視聴が困難となります。近年は電話機・コンピュータ等の電子機器にも障害を与えています。

2 不法パーソナル無線

 改造したパーソナル無線は、携帯電話、地域防災行政無線、その他業務用無線に混信妨害を与えています。これらの無線は混信妨害を受けると、一度に多くの利用者が通信不能に陥る可能性もあり、社会的に大きな影響を与えています。

3 不法アマチュア無線

 アマチュア無線は、無線従事者の資格と、無線局の免許の両方が必要です。
 しかし、免許を取得せず、無資格で電波を発射している不法無線局が多く見られます。
 また、市販のアマチュア無線機を改造し、消防・救急・鉄道などの公共性の高い重要無線通信に妨害を与えています。

4 外国規格のトランシーバー

 近年「FRS(ファミリー・ラジオ・サービス)」「GMRS(ゼネラル・モバイル・ラジオ・サービス)」「UHF−CB(市民バンド)」等といった外国規格の無線機が流通しています。これらの無線機が使用する周波数は、国内の防災行政用無線や放送業務用無線等の重要無線に使われており、妨害を与えています。

 【参考】

 電波法関係条文抜粋
 第  4条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。
 第110条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
 一 第4条の規定による免許(中略)がないのに、無線局を開設した者
 二 第4条の規定による免許(中略)がないのに、かつ、(中略)無線局を運用した者
 三 (以下省略)

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