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会見発言記事

野田総務大臣閣議後記者会見の概要

平成30年9月11日

冒頭発言

ふるさと納税に係る制度見直しの検討

 9月1日現在のふるさと納税の返礼品の見直し状況を取りまとめました。
 全国的な見直しが進んでいる一方で、一部の地方団体では依然として必要な見直しが行われていないことが判明いたしました。
 これまで、制度の趣旨に沿わない返礼品を送付する地方団体については、昨年4月と本年4月の2度にわたって、総務大臣名での通知を発出するとともに、あらゆる機会を通じて必要な見直しを要請し、市町村長お一人お一人の責任と良識ある対応をお願いしてまいりました。
 しかしながら、依然として一部の地方団体において通知に沿った対応が行われていない実態があります。大変残念なことではありますが、これまでと同様に見直し要請を行うだけでは自発的な見直しが期待できない状況です。
 その一方で、通知に従って返礼品の見直しを行った団体からは、「正直者が馬鹿を見ないようにしてほしい」との切実な声をいただいております。
 また、先日の山形県への出張においては、ふるさと納税を有効に活用し、具体的な成果を上げている団体の取組を視察させていただきました。この制度を健全に発展させていくために、良い取組を伸ばしつつ、問題のある事例については、しっかりと正していく必要があるとの想いを強くしたところです。
 そこで、過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討することといたしました。
 総務省において、見直し案を取りまとめ、与党の税制調査会においてご議論いただきたいと思います。
このような制度見直しにより、制度本来の趣旨を取り戻せると考えています。
 また、一定のルールの中で地方団体同士が切磋琢磨することにより、全国各地の地域活性化に繋がるとともに、優れた地域資源が発掘されることも期待されます。
 現在、ふるさと納税制度は存続の危機にあります。
 このまま一部の地方団体による突出した対応が続けば、ふるさと納税に対するイメージが傷ついて、制度そのものが否定されるという不幸な結果を招くことになりかねません。
 制度の趣旨に沿わない返礼品を送付している地方団体の首長におかれては、今回、制度の見直しの検討をせざるを得なくなったという現状を真摯に受け止めていただき、1日も早く必要な見直しを行っていただきたいと思います。

【「電気通信分野における競争ルール等の包括的検証」に関する審議会への諮問】

 先月23日の情報通信審議会において、私から「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」について諮問をさせていただきました。
 検討事項も6項目と多岐にわたることから、万全の検討体制を構築することといたしました。
 具体的には、包括的検証の前提となる、(1)「通信ネットワーク全体に関するビジョン」、及び、(2)「基盤整備等の在り方」について、新たに「特別委員会」を設置して集中的な審議を行っていただくこととしております。
 一方、その他の課題については、専門的な検討を要するため、新たに研究会を立ち上げます。
 まず、モバイル分野の競争を更に推し進め、多様なサービスが低廉に利用できる環境を構築するため、(3)「モバイル市場の競争環境に関する研究会」を設置いたします。
 次に、トラフィックの急増や多様なビジネス・モデルの登場などに対応して、ネットワーク利用及びコスト負担の公平性や透明性確保等について検討するため、(4)「ネットワーク中立性の在り方に関する研究会」を設置します。
 また、プラットフォーム事業者が大量の利用者情報を活用してサービスを提供していることを踏まえ、利用者情報の適切な取扱の確保の在り方等について検討するため、(5)「プラットフォームサービスに関する研究会」を設置します。
 最後に、サービスの多様化や消費者トラブルの現状等を踏まえ、今後の消費者保護の在り方について検討するため、(6)「消費者保護ルールに関するワーキング・グループ」を設置します。
 以上、6つのテーマについて、5つの会議体を準備が整い次第、速やかに立ち上げ、相互に連携・協調しながら検討を進めてまいります。
 詳細については、事業政策課にお尋ねください。

【次期万国郵便連合(UPU)国際事務局長選挙】

 この度、日本政府は、2020年に予定される万国郵便連合(UPU)国際事務局長選挙において、日本郵便株式会社執行役員の目時政彦氏を擁立することを決定いたしました。
 選出されれば、アジア太平洋地域で初の事務局長となります。
 先週、エチオピアで開催されたUPU臨時大会議の場においても、これまでUPUで大きな役割を果たしている我が国の今後の対応について、大きな期待が寄せられたところです。
 日本は、質の高い郵便サービスを提供しており、日本人がUPUの事務局長としてリーダーシップを発揮することにより、世界的に郵便のネットワークを充実させ、郵便サービスの質を向上させることが期待されます。
 目時氏の当選に向け、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 詳細は、郵便課国際企画室にお問い合わせください。

 私の方からは、以上です。

質疑応答

ふるさと納税の制度見直しの検討の理由

問:
 ふるさと納税についてなんですけれども、大臣から冒頭、制度を見直すという発言がありました。大臣の発言にもありましたが、これまで市町村長に対して良識ある対応を求める、自発的に直してほしいという対応だったんですけども、今回制度の改正を検討するという、国が強い立場で変えざるを得なくなった理由について教えてください。
答:
 何度も繰り返しになりますけれども、ふるさと納税そのものはすばらしい制度だと。これは、地方で生まれ、地方で育った方たちが、故あって地方を離れ、社会人として収入を得る中、それを直接今の制度では返すことができないという中で、ふるさとを思う気持ちを寄附という形で届け、そして、結果として、地方は人は育てるけれども、その果実を大都市に収奪されてしまって、非常に数も減っているし、人手不足によって地方の活性化がなかなか進まない。そういう中で非常にすばらしい、地方にとっても、地方を思う人材にとってもウィン・ウィンの関係であったと思います。
 そもそもこの制度ができた時には、返礼品という発想はありませんでした。寄附、そして、控除という関係性だけだったんですが、しばらくして、返礼品という形でより多くの人たちに、自分たちのふるさとを思い起こしてもらおうということで、地元の農産品であったり、地元で作られたものであったり、地元でやっていることだったり、そういうことについてアピールをするわけですね。
 ところが、私が大臣に就任したずいぶん以前から、それ自体が本来の趣旨とは違う、全く地元に関わりのない高額商品を提供することによって、多額の寄附を求めるというのが非常に顕著になってきていました。高市大臣の時から、高市大臣も既に懸念をされておられ、最初の通知を発出されたことはご存じだと思います。
 反対している人たちは、本来の趣旨とずれてきているじゃないかということで、ふるさと納税そのものをやめた方がいいんじゃないかという声も挙がってきていることはご承知のとおりです。
 しかし、せっかくの機会なので、私は、ふるさと納税の本来の趣旨をしっかりと存続させていきたいと願っていました。
 高市大臣が通知を出されて、結果として、心ある良識ある地方の首長さんたちが対応していただきまして、私は、引き続き相当数あるということを指摘されましたので、改めて、やんわりと指摘をさせていただきました。
 なぜ、やんわりかというと、私も地方議会出身です。地方自治というのは、極めて大切に思っている一人で、これはやはり、それぞれの地方のトップが長続きさせる。そして、本当の意味で実のある、ふるさと納税をもう1回レビューしてもらって、それぞれの個性に応じた取組を惹起させたいという思いがございましたが、幸いそういう方たちが多く、既に高市大臣当時で返礼品、割合だけでも3割を超えているところは1,156あったそうですが、今現在は246団体まで減っているわけですね。ただ、残りの人たちが頑としてご理解いただけていないということもあり、逆にその突出した団体によって、多くの良識ある人たちが不利益になってしまうということは、これはやはり避けたいという思いが強くございました。
 ある程度まで地方自治を尊重しまして、取り組んできましたけれども、耳を傾けてくれない団体もあることで、結果として、その人たちによって多くの人たちの取組が否定される。または、結果として最悪の事態、廃止に追い込まれるような事態になっては、私としても不本意です。そういうこともございましたので、こういう形でやむを得ず制度の見直しの検討を行わざるを得なくなったとご理解いただきたいと思います。
 やはり一生懸命取り組んで、持続可能なふるさと納税にしていこうというサイレント・マジョリティが否定されることは望ましくない。そんなふうに思っています。

ふるさと納税の総務省調査の未回答団体への対応

問:
 ふるさと納税についてなんですけれども、9月1日時点の調査に、大阪府の泉佐野市が回答していなくて、泉佐野市は返礼割合3割超えていて、地元産品以外を送っているということで、7月に12市町、総務省が公表したうちの1つなんですけれども、こうした未回答という対応について、大臣自身どのようにお感じなのかお願いします。
答:
 泉佐野市については、何度となく総務省から個別の要請を続けてきました。
 ぜひ泉佐野市においても、なぜ今回制度の見直しの検討を行わざるを得なくなったかということを理解いただきまして、真摯に受け止めていただいて、1日も早く必要な見直しをなさっていただきたいなと思います。

情報通信審議会の具体的な検討スケジュール

問:
 情報通信審議会の検討についてなんですけど、こういった枠組みで検討を進めるというふうに決めた狙いをもう少しご説明いただきたいのと、それぞれ具体的な議論に入る時期、スケジュール感、あと、検討を終える時期というのが来年の末ということで、そこは変わりないでしょうか。
答:
 まず今現在、構成員の候補のお願いと、日程調整を進めているところです。
 特別委員会については10月の初めごろに開催すべく、準備を行っていただいているところでありまして、確定次第また改めてお伝えできると思います。
 特別委員会を開催された後に、各研究会やワーキング・グループにおける検討を開始することとしています。これについても日程が確定次第お伝えしたいと思います。
 それまでのことは、今までと変わりなく行ってまいります。

ふるさと納税を通じた災害支援の広がりの受け止め

問:
 ふるさと納税に関連してお伺いしたいんですが、一部要請を守らない自治体がある中、関連して、ふるさと納税を通じて災害支援をする動きも広がっています。北海道の地震でも、既に多くの寄附が集まっているんですが、このようにふるさと納税を通じて支援の輪が広がっているということは、ふるさと納税の本来の趣旨と照らし合わせていかがなのか、大臣はどのように受け止めているのか、お考えをお伺いします。
答:
 災害支援については返礼品はありません。
 寄附という形で、お困りになっている地方自治体に対して、地元出身者はもとより、全国津々浦々からそういう取組をしていただいていることは大変ありがたいことだと思います。まさに、ふるさと納税の趣旨の枠組みの中の1つ、良いお手本ではなかろうかと思っています。そういうものを続けていけるように、この国は民主主義ですから、支え合いというのはとても大事です。そういうことを形に表すことができる制度なんですね。
 それがきちっと続けていけるために、それ以外のことについては、きちっと検討していかなければならないということを改めて思っています。

ふるさと納税制度の見直し

問:
 ふるさと納税に関係してなんですけども、実質的に地方税法の法改正とかで、自治体に対しての返礼品を守ってもらえるように制度を見直すということだと思うんですが、実質的には、ふるさと納税する場合、ポータルサイトを使ってやる場合が多々あると思うんですけども、そういったサイトへの見直し要請とか法改正ですとか、そういったものの必要性とか今後のお考えについてはいかがでしょうか。
答:
 サイトに関しては、これまでも私の方から事業者の方たちに、ふるさと納税があたかもサイトを見るとショッピングのように見まがうことが多々あって、誤認することが消費者からするとありますので、そういう趣旨ではないということで、ポイントキャンペーンとか、そういうことは控えていただきたいということを申し上げてきて、その都度はご理解いただけるんですけど、気がつくとまた同じようなことが発生しているということがあります。これについても、検討の中の1つ、当然検討していかなければならない。
 国民・消費者の方に、ふるさと納税というのはショッピングではない、寄附なんだということをもう一度分かっていただいて、金額の多寡よりも継続性、さっき北海道新聞の方がおっしゃったように、そういう心根が長続きするような環境というのを、私たちは守っていかなきゃならないなって思っています。これからについては、今おっしゃっていたように法改正を伴うことになりますので、様々多角的に検討していただければと思っています。

長期化する通信障害の対応

問:
 北海道の地震について1件お伺いしたいんですけども、今回、長引く停電によって通信障害というのがだいぶ大きかったのかなというふうに思うんですけども、大臣の受け止めと、それから、今後ももしかしたら計画停電とか、何か余震によってとか、通信障害が続く可能性もあるやもしれないというところで、ひと言お願いします。
答:
 まず本日現在の話をしますと、携帯電話については最大障害時、今ご指摘がありましたが、129市町村でエリア支障が解消しましたが、42市町の一部地域でエリア支障が残っています。
 今ご指摘のとおり、エリア支障の原因としては、まず停電、設備の故障、伝送路支障などの報告がありました。停電が解消しても、設備故障や伝送路支障が原因とするエリア支障というのはまだ残っているところです。
 当時は非常電源もありましたし、それについては大変ご心配、北海道知事からもご連絡いただきましたので、それぞれの事業者の方たちとの連絡を密にとって、軽油による発電によって停電によるダメージを克服しようという取組がなされたことも、ぜひご理解いただきたいと思っています。
 引き続きこういうことも踏まえて、何をなすべきかについてはしっかり検討していきたいと思います。
問:
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
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