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報道資料

令和5年7月6日

我が国における青少年のインターネット利用に係る
ペアレンタルコントロールの効果的な啓発に関する調査結果の公表

 総務省では、「我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールの効果的な啓発に関する調査」を実施しました。当該調査結果の報告書をとりまとめました(委託先:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM))。
※ ペアレンタルコントロールとは、保護者が青少年のライフサイクルを見通して、その発達段階に応じてインターネット利用を適切に管理することをいい、フィルタリング(カスタマイズを含む)等の技術的措置及び家庭内ルール作り等の非技術的措置で構成。

1 経緯・内容

 近年、青少年のインターネット利用は、社会生活や学校生活を営む上で「必須(当然)のもの」となりつつあり、保護者が子供の成長や利用状況に即したペアレンタルコントロールを行えるようになることがますます重要となっています。

 総務省では、青少年がインターネットを利用することを前提としたペアレンタルコントロールの取組の促進を行うため、令和3年度に実施した関連調査の結果を踏まえて、令和4年度にも
 
 (1)ペアレンタルコントロールの取組に関心が無い保護者に対する効果的な啓発コンテンツ及びその伝達方法、
 (2)低年齢層の子供(未就学児)を持つ保護者に対する効果的な啓発コンテンツ及びその伝達方法
 
 についての調査並びに(1)及び(2)を踏まえた効果的な啓発方法について実証を行いました。
 
 具体的には、21名の青少年保護者に対するインタビュー調査、6,275名の青少年保護者を対象としたアンケート調査分析、624名の青少年保護者を対象とした実験的調査等を実施し、その結果をとりまとめました。なお、各調査においては、GIGAスクール構想に伴った学習用端末の利用率拡大を踏まえた定量的な分析(※)も実施しました(委託先:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM))。
 
 ※本調査における学習用端末に関する分析は、青少年保護者がペアレンタルコントロールにどういった認識・知識を持っているか等に基づいている箇所があります。こうした箇所については、各自治体等の実際の実施状況等と完全には一致しない場合があります。

2 公表資料

我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールの効果的な啓発に関する調査結果

3 調査結果のポイント

(1)主な知見
  • スマートフォンの利用率が高まる中、未就学児のスマートフォン利用率も既に約25%に達している。また、中学校入学や高等学校入学など、ライフステージが変わるタイミングで利用率が大幅に増える傾向にあり、中学1年生の利用率は75.4%、高校1年生での利用率は96.4%である。
  • ペアレンタルコントロールを実施していない・関心のない保護者は、ペアレンタルコントロールに関するリテラシーが低い傾向が顕著に見られ、青少年のスマートフォン利用に関するトラブル遭遇経験が不明(30.9%)、遭遇に気づいても特に対応しない割合(34.8%)が高い。
  • ペアレンタルコントロールについて知る手段として多くの保護者が期待しているのが、インターネット・テレビ・本・パンフレットである。また、未就学児や小学低学年の保護者に向けた啓発には、それらに追加して学校や保育園での説明が強く求められている。
  • 学習用端末の家庭内でのペアレンタルコントロールを実施していない理由としては、学校が管理・指導すべきだという考えと、そもそも強く制限されておりペアレンタルコントロールをする必要性を感じていないというものがある。また、学習用端末のフィルタリングサービスについて教えてもらった経験のない保護者が49.4%、家庭内ルールについて教えてもらった経験のない保護者が47.1%であり、これらの値はスマートフォンに関する類似質問よりもかなり高い数字である。
  • 学習用端末の家庭内でのペアレンタルコントロールについて読んだり教わったりした経験として、インターネット経由が14%と、私用スマートフォンに関する類似質問への回答(25%)に比べて低かった。特に、家庭内でのペアレンタルコントロールについて実施なし・関心なしの保護者では、インターネットを通じてフィルタリングサービスに関する情報を得た経験が1.3%、家庭内ルールに関する方法を得た経験が1.5%と、著しく低かった。これらの背景には、学習用端末の家庭内でのペアレンタルコントロールについてはインターネット上にコンテンツが少ないことが考えられる。
  • 青少年がスマートフォンや学習用端末を利用していて、かつ、ペアレンタルコントロールを実施していない保護者に対して、スマートフォン利用のペアレンタルコントロールに関する啓発資料を新たに作成して提示したところ、高い啓発効果が確認された。ペアレンタルコントロールに関心のない保護者に対しても、「さらに知りたくなった」、「現在のやり方では不足していると感じた」と回答した人の割合が、スマートフォン・学習用端末それぞれで5割を超えたり、少なくとも1つに該当した保護者が100%になるなど、大きな意識変化が見られた。
  • 作成した啓発資料に対しては、一部「あまり良くなかった」「良くなかった」という評価も見られた(スマートフォンで13.7%、学習用端末で5.5%。)その理由として、「知っている内容ばかりだった」「ほしい情報がなかった」というものが多かった。一方で、調査対象となったペアレンタルコントロールを実施していない保護者は、ペアレンタルコントロールに関するリテラシーが低く知識が少ない傾向にあることが分かっており、「知っている」といってペアレンタルコントロールの必要性を取り合わない、実施しない保護者に対しては、コンテンツ以外の方法での啓発も必要な可能性がある。
  
(2)主な示唆
  • 未就学児からペアレンタルコントロールの啓発を推進するとともに、特に中学1年生・高校1年生の保護者を対象に啓発を強化することが効果的
  • ペアレンタルコントロールの実施なし・関心なしの保護者の家庭では、青少年が高いリスクにさらされており、重点的な啓発が必要
  • ペアレンタルコントロールの啓発手段としては、インターネット、テレビ・本・パンフレットが有効であり、特に低年齢層には学校や保育園での説明も効果的
  • 学習用端末の家庭内でのペアレンタルコントロールの啓発を推進することが必要
  • 学習用端末の家庭内でのペアレンタルコントロールの啓発資料として、インターネットコンテンツを拡充することが必要
  • 啓発資料は手軽さ・分かりやすさを重視して作成することが効果的
  • ペアレンタルコントロールの実施なし・関心なしの保護者へは啓発コンテンツの提供だけではなく、強制参加の説明会などで丁寧なコミュニケーションが必要

4 参考

以下のウェブサイトにおいて、ペアレンタルコントロールの普及に係る総務省の具体的な取組について記載しております。
 
・我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールに関する調査結果
 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000375.html
・青少年のICT活用のためのリテラシー向上に関するワーキンググループ
 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_literacy/index.html
・上手にネットと付き合おう!〜安心・安全なインターネット利用ガイド〜
 https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/ 
・インターネットトラブル事例集(2023年版)
 https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/ 
連絡先
連絡先:総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第一課
    (担当:竹内課長補佐、清水係長、千葉官)
電話 :03-5253-5111(代表) 5488(直通)

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