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報道資料

平成22年2月4日

西日本電信電話株式会社に対する業務改善命令等

 総務省は、本日、電気通信事業紛争処理委員会(委員長 龍岡 資晃 学習院大学専門職大学院法務研究科(法科大学院)教授)からの答申を受け、西日本電信電話株式会社(代表取締役社長 大竹 伸一)に対し、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)に基づき、他の電気通信事業者等に関する情報の取扱いについて業務の改善等を命じました。
 また、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成16年総務省告示第695号)に違反する行為が行われたと認められることから、同社に対し、文書による厳重注意を行いました。
 なお、東日本電信電話株式会社(代表取締役社長 江部 努)に対し、他の電気通信事業者等に関する情報の取扱いについて業務の運営の在り方の改善を要請しました。

1 事案の概要

 平成21年8月から10月にかけて、西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」)の従業員が、同社が他の電気通信事業者(以下「他の事業者」)の電気通信設備との接続の業務に関して入手した他の事業者への電話番号移転に関する情報を株式会社NTT西日本−兵庫(以下「NTT西日本−兵庫」)の従業員に提供し、次いで、NTT西日本−兵庫の従業員が販売代理店に提供した等の事実が判明しました。

2 電気通信事業法に基づく措置

 NTT西日本の従業員による提供行為は、電気通信事業法(以下「事業法」)第30条第3項第1号に抵触するものと認められるところです。当該提供行為等は、顧客情報管理システムにおいて、他の事業者等に関する情報を取り出す権限の付与が業務上当該情報を必要とする者に限定されておらず、また、自社が提供する役務の営業活動を行う部署において、他の事業者等に関する情報が取り扱われる等の要因によるものと認められます。
 NTT西日本からは、改善措置を講ずる旨報告がなされていますが、依然として、今回の事案と同様の事案が発生し、電気通信事業者間の公正な競争が阻害され、電気通信の健全な発達に支障を生ずるおそれがあり、事業法第29条第1項第12号に抵触するものと認められることから、同号の規定に基づき、業務の方法の改善その他の措置をとるとともに、その取組状況について報告することを命じました。
 命令の内容は別紙のとおりです。
 

3 個人情報の保護に関する法律及び電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインに基づく措置

 NTT西日本、NTT西日本−兵庫及び株式会社NTT西日本−北陸(以下「NTT西日本−北陸」)の従業員が、NTT西日本の顧客管理システムから、他社のDSL役務利用に関する情報等を利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り出し可能であったこと並びに個人情報の提供の手段及び方法に関する内部規程の運用及びチェック体制が不十分であったことは、個人情報の保護に関する法律(以下「保護法」)第20条及び電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(以下「ガイドライン」)第11条第1項に規定する安全管理措置義務に違反するものであると認められます。NTT西日本の従業員が、他社への電話番号移転に関する情報を取り出し、同情報をNTT西日本−兵庫の従業員に利用目的の達成に必要な範囲を超えて提供したことは、保護法第21条並びにガイドライン第12条第1項、第2項及び第5項に規定する従業者の監督義務に違反するものと認められます。さらにNTT西日本−兵庫及びNTT西日本−北陸の従業員による個人情報の不適切な取扱いがあったことは、保護法第22条並びにガイドライン第12条第3項及び第4項に規定する委託先の監督義務に違反するものであったことが認められます。したがってNTT西日本に対し文書による厳重注意を行うとともに、再発防止策及びその取組状況について報告を求めました。

4 これまでの経緯

 平成21年11月18日 NTT西日本に対する報告の要請
 平成21年12月17日 NTT西日本からの報告の受領
 平成22年 1月22日  NTT西日本を当事者とする聴聞の開催(上記2の措置に係る)
 平成22年 1月28日  電気通信事業紛争処理委員会への諮問(同上)
 平成22年 2月 4日  電気通信事業紛争処理委員会からの答申(同上)
 

5 その他

 上記事案を受け、東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」)に対して、同社が保有する利用者のサービス情報の取扱いについて報告を求めたところ、同社における他の事業者等に関する情報の取扱いについてNTT西日本における運営と類似する点が認められました。これらの点について改善がなされない場合には、他の事業者等に関する情報が、当該業務の用に供する目的以外の目的のために利用又は提供されるがい然性が高いと認められることから、電気通信事業の公正な競争を確保するため、NTT東日本に対し、業務の運営の在り方について改善を要請しました。
 
 
 
 
(参考)
○電気通信事業法(昭和59年法律第86号)(抄)
(業務の改善命令)
第二十九条 総務大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、電気通信事業者に対し、
 利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の
 措置をとるべきことを命ずることができる。
 一〜十一 (略)
 十二 前各号に掲げるもののほか、電気通信事業者の事業の運営が適正かつ合理的でないため、
  電気通信の健全な発達又は国民の利便の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。
2 (略)
 
(禁止行為等)
第三十条 (略)
2 (略)
3 第一項の規定により指定された電気通信事業者及び第三十三条第二項に規定する第一種指定
 電気通信設備を設置する電気通信事業者は、次に掲げる行為をしてはならない。
  他の電気通信事業者の電気通信設備との接続の業務に関して知り得た当該他の電気通信
  事業者及びその利用者に関する情報を当該業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、
  又は提供すること。
 二・三 (略)
4〜5 (略)
 
(委員会への諮問)
第百六十条 総務大臣は、次に掲げる事項については、委員会に諮問しなければならない。ただし、
 委員会が軽微な事項と認めたものについては、この限りでない。
  (略)
  (略)第二十九条第一項の規定による業務の改善命令、(略)
 
(聴聞の特例)
第百六十一条 総務大臣は、(略)第二十九条第一項(略)の規定による処分をしようとするときは、
 行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見の陳述のための
 手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
2〜3 (略)
 
(報告及び検査)
第百六十六条 総務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、電気通信事業者等に対し、
 その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、電気通信事業者の営業所、事務所その他の事業場
 に立ち入り、電気通信設備、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2〜8 (略)
 
○個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(抄)
(安全管理措置)
第二十条  個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止
 その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
 
(従業者の監督)
第二十一条 個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、
 当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わ
 なければならない。
 
(委託先の監督)
第二十二条 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する
 場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する
 必要かつ適切な監督を行わなければならない。
 
○電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成16年総務省告示
第695号)(抄)
(安全管理措置)
第十一条 電気通信事業者は、個人情報へのアクセスの管理、個人情報の持出し手段の
 制限、外部からの不正なアクセスの防止のための措置その他の個人情報の漏えい、滅失又は
 き損(以下「漏えい等」という。)の防止その他の個人情報の安全管理のために必要かつ適切な
 措置(以下「安全管理措置」という。)を講ずるものとする。
2 (略)
 
(従業者及び委託先の監督)
第十二条 電気通信事業者は、その従業者(派遣労働者を含む。以下同じ。)に個人情報を
 取り扱わせるに当たっては、当該個人情報の安全管理が図られるよう、当該従業者に対する
 必要かつ適切な監督を行うものとする。
2 電気通信事業者は、安全管理措置の実施その他の個人情報の適正な取扱いの確保のため、
 その従業者に対し、必要な教育研修を実施するものとする。
3 電気通信事業者は、個人情報の取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを
 委託された個人情報の安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な
 監督を行うものとする。
4 電気通信事業者は、前項の場合は、個人情報を適正に取り扱うと認められる者を選定し、
 委託契約において、安全管理措置、秘密保持、再委託の条件(再委託を許すかどうか並びに
 再委託を許す場合は再委託先の選定及び再委託先の監督に関する事項等)その他の個人
 情報の取扱いに関する事項について適正に定めるものとする。
5 電気通信事業に従事する者及び電気通信事業者から委託された個人情報の取扱いに係る
 業務に従事する者は、その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせない
 ものとし、また、不当な目的に使用しないものとする。その職を退いた後においても同様とする。 

関連報道資料

連絡先
(電気通信事業法に基づくNTT西日本への業務改善命令及びNTT東日本への行政指導について)
総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課
 (担 当:大塚課長補佐、田中専門職、
      岩井官、人見官)
   電話:(代表)03-5253-5111
           (内線5837)
   FAX:03-5253-5838

(個人情報保護法及びガイドラインに基づくNTT西日本への行政指導について)
総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課
 (担 当:村田課長補佐、濱元係長、
      寺沢官)
   電話:(代表)03-5253-5111
           (内線5488)
   FAX:03-5253-5948

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