採択事業 徳島県

戦略的災害医療“G空間”プロジェクト

新たな「災害情報共有基盤」を創出し、将来にわたって活用できる、情報活用技術の標準的なモデル・仕様を策定することを目指す。

実証地域

徳島県、美馬市

担当局

四国総合通信局

実現するモデル

  • (1)世界最先端のG空間防災モデルの確立に関する実証事業
  • 3.山間部や過疎地等における豪雨・洪水の迅速把握及び情報伝達の実証事業

構築したシステムの説明

本事業では、徳島県が全県的な災害時情報共有基盤として整備を進めてきた「災害時情報共有システム」に改良を加えました。本システムは、県庁のほか、約140機関(市町村・医療機関・ライフライン機関)が活用し、さらに平成26 年度は自衛隊・消防・警察、各種施設等も参加しています。様々な立場からの入力情報を蓄積し地図上で可視化できるようになっていますが、さらに本事業により、安否確認サービス「すだちくんメール」の地域SNS化による地域住民からの被災情報収集体制、豪雨・洪水災害を予測するため「雨雲レーダー」を活用した降雨データの収集・分析体制の構築を行いました。また、避難所での長期生活を想定し「薬剤出荷実績」データ分析による薬剤需要予測や、アマゾン「ほしいものリスト」を活用した支援物資調達体制構築の検証も実施しました。また、「災害時情報共有システム」により収集・分析された情報を、徳島県の「総合地図提供システム」に実装し、さらに国のLアラートと連携し住民の位置・場所に応じ適切に伝達を実現しています。

災害時情報共有システムを基盤とした関係機関及び住民による情報受発信の仕組み

県、市町村、医療機関、ライフライン事業者等関係機関による災害時情報共有システムに、住民発の被災情報や雨雲レーダーを用いた土砂災害警戒情報等が重層される。

高齢化率56%の中山間地(美馬市木屋平地区)での実証実験の様子

地域SNS(すだちくんメール)による情報収集の有効性や、通販システムを活用した被災者の「きめ細かいニーズ把握」等の検証を目的に、地域住民60名の参加を得て実施した。

活用するG空間技術、G空間情報

  • 地域SNSによる投稿情報の分析
  • 雨量・水位の予測
  • 住民向けにGISを用いた情報表示

実施団体

  • 徳島県
  • 美馬市
  • 徳島大学
  • 徳島文理大学
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ四国

関係資料

「総合地図提供システム」
http://maps.pref.tokushima.jp/別ウィンドウで開きます

インタビュー

徳島県庁危機管理部危機管理政策課
坂東淳さんに聞きました

1988年3月、熊本大学法学部法律学科卒業、同年4月徳島県庁入庁。保健福祉部等を経て、2007年より危機管理局企画課に配属。2014年より危機管理部危機管理政策課政策調査幹。


今回、G 空間シティ構築事業に提案した背景を教えて下さい。
徳島県の場合、防災を考える上で避けて通れない大きな課題として、南海トラフ巨大地震があります。我々は過去十年、二十年という単位でこの課題に取り組んできました。徳島県は平成21・22年の総務省事業を活用させていただき、情報共有基盤の構築を行ってまいりました。その後発生した東日本大震災では、色々と課題もありましたが、インターネットが思ったよりも利活用できてきており、今まで取り組んできた方向性は間違っていないと感じています。そうした中で、今回のG空間シティ構築事業に応募させていただきました。
事業におけるアピールポイントをお教え下さい。
全国規模に整備が進む静的な情報の一方で、実際の災害時には被災地ごと動的に出てくる情報があります。これら個別の情報はセンサーでは取ることが難しく、人間が情報発信していく必要があります。通信インフラに関しては、幸いにして徳島の場合はWi-Fiも含め光ファイバー網が広く敷設されており、全国的にみても整備が進んでいるので、かなり有利な面があると思います。一方、高齢化率が高く、都会のように皆さんがスマートフォンを持っている状態ではなく、従来型の携帯電話がまだまだ主流の土地柄です。このような環境下で個人の方から情報を出していただくためには、色々な工夫をしなければいけないと考えております。災害時の情報共有システムについても、地域住民の方が近所で見た情報をいち早く共有いただくことが基本となります。そのため今回の基盤構築においてはICTだけでなく、その間を繋ぐもっと優しい、人間が使いやすいような仕組み作りも併せて実証実験をしていきたいと考えています。
実証内容についてご説明下さい。
平成27年3月の実証事業は、徳島県美馬市木屋平地区で行いました。この地区は約400世帯が住んでいるのですが、市の方策によりケーブル網の敷設は全世帯で済んでおり環境が整っています。今回の実証で確認すべき重要なポイントは3つあります。一つ目は、地域SNSです。まずは平時から、危険箇所がどこにあるのか、一人暮らしの高齢者や避難時に助けが必要な高齢者がどこにいるのか、といった情報をSNSの中で共有していきます。例えば避難勧告や避難指示が出た時には、いま外がどうなっているのかという情報や、避難所に着いた後で避難途中の道がこんな風になっていたという情報を入れていただくと、後から来る方にも伝わる形となります。二つ目の実証は、避難所に到着した後の対応についてです。高齢者が多く、高血圧や糖尿病といった慢性疾患を抱えた方がたくさんいらっしゃいますが、そういった方々が避難時に毎日服薬している薬を忘れてくる場合が考えられます。その場合、避難の長期化は健康面の不安要素となるので、地域においてどういう方がどういう薬を使っているのか、という情報を掴む方策を今回の実証実験の中で確認しようとしています。また、土砂災害等で家を失われた方の場合、健康面の課題に加え、避難所での長期間の生活では、行政が思っている以上に多様なニーズが出てくると思われます。そういった中でも、きめ細かい対応体制を民間のサービスを活用しながら作っていきたいと考えています。
今後の取組予定や期待を教えてください。
今回の検証の中で有効性が確認されたものについては、平成27年度以降に我々の共有システム上で全県展開を図っていき市や町だけではなく全県的に統一した体制を組めるものが必要となってきます。県内共通基盤は作れているので、その中で全県展開をしていきたいと考えています。

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