採択事業 北九州市

災害時の「電力確保」まで想定した世界最先端のG空間防災モデルの構築

ビッグデータの活用、電力輸送システムの構築なども組み込んだ「世界最先端のG空間防災モデル」の構築を目指す。

実証地域

福岡県北九州市、直方市、行橋市、香春町、苅田町

担当局

九州総合通信局

実現するモデル

  • (1)世界最先端のG空間防災モデルの確立に関する実証事業
  • 3.山間部や過疎地等における豪雨・洪水の迅速把握及び情報伝達の実証事業

構築したシステムの説明

本事業では、災害時に必要な情報を収集し、災害対策本部で迅速な判断を行い、住民の皆様に様々な媒体を通じて災害情報を提供する仕組みを構築しました。その構築にあたっては、平成25年10月から開始した周辺自治体とのGISの共同利用の基盤である「地理空間情報プラットフォーム」を利活用しました。また、電気自動車(EV:ElectricVehicle)を用いた電力輸送システムも構築し、災害時に避難所で携帯電話の充電等を対象とした電力確保まで想定した実証を行いました。「地理空間情報プラットフォーム」には、各種センサ(河川水位、雨量等)、SNS等のビックデータと自治体職員向けの平常時/災害時の現地調査用モバイル端末アプリで収集したデータを新たに連携させました。また、住民に平常時/災害時の情報を提供するとともに最適な移動ルートを提示する「(仮称)地域情報発信ナビ」、主に災害対策本部で活用する「緊急輸送道路選定ツール」、「瓦礫運搬・処理費用算定ツール」を開発しました。「(仮称)地域情報発信ナビ」は「G-motty Mobile」の名称で商品化する検討を進めています。

実証事業の概要(全体構成図)

地理空間情報プラットフォームを活用・拡充した被災時の情報提供ツールの開発と、災害時の電力確保まで想定したモデルの構築。

(仮称)地域情報発信ナビ
・平常時から災害時まで様々な情報を見ることができる ・テキスト情報・地図情報だけでなく写真や現在地からの距離を確認できる ・徒歩または自動車でのルート案内をすることができる ・徒歩の場合は消費カロリーを表示し住民の興味を引く仕組みを取り入れている ・災害時も平常時と同様に避難所等の情報を見ることができる

『G-motty Mobile』の名前で商品化を検討。商品化後、FaceBook やTwitter等の標準アプリとして誰でも無償で利用可能、情報を掲載したい自治体などは、費用を払えばいつでも利用可能になる。

活用するG空間技術、G空間情報

  • 地理空間情報プラットフォーム(北九州市クラウドを利用した北九州市、直方市、行橋市、香春町、苅田町で共同利用しているGISと民間企業が民間クラウドで保有しているデータの重ね合わせを可能としたGIS基盤)
    • SNS・センサ情報
    • 現地調達用モバイル端末アプリ
  • 地域情報発信ナビ(地理空間情報プラットフォームの1つのコンテンツとして整備)
    • アンダーパスセンサ(警報情報、雨量情報、河川水位情報等)
    • 発電量センサ
    • プローブ情報
  • 緊急輸送道路選定ツール及び瓦礫運搬・処理費用算定ツール
  • GIS及びナビアプリと連携した電気自動車(蓄電・電力輸送)
  • 日射量(太陽光発電)シミュレータ(GIS及びDSMを利用)

実施団体

  • 北九州市
  • 直方市
  • 行橋市
  • 香春町
  • 苅田町
  • 兵庫県立大学
  • 九州工業大学
  • 株式会社ゼンリン
  • 株式会社ゼンリンデータコム
  • 株式会社パスコ
  • 北九州情報サービス産業振興協会(KIP)
  • ESRIジャパン株式会社

関係資料

地域情報ポータルサイト【G-motty:ジモッティ】(http://www.g-motty.com別ウィンドウで開きます)のG空間シティ構築事業テストサイト

インタビュー

北九州市総務企画局情報政策室
塩田淳さんに聞きました

北九州市役所において、企画局情報管理課、八幡西区役所総務課、総務市民局人事課を経て2011年より現職。


今回、G 空間シティ構築事業に提案した背景を教えて下さい。
私たちは平成25年10月から周辺の自治体とGISの共同利用を始めました。また、共同利用の開始に併せて、地元企業と共同で地図を利用した住民への情報発信を目的として地域情報ポータルサイト【G-motty:ジモッティ】を稼動させました。この取組のように、提案前から既に「地理空間情報プラットフォーム」などのシステム的な基盤や自治体間の連携といった人的基盤が出来上がっていました。この共同利用GIS及びG-mottyは、「平常時から災害時の連続性」を意識して、平常時に利用されるシステムを目指し、特に平常時から住民の皆様に興味を持っていただける取り組みを中心にコンテンツの充実を図ってきました。今回のG空間シティ構築事業では、地理空間情報とICTを利用して災害対応業務を行う仕組みを強化するために提案させていただきました。
事業におけるアピールポイントをお教え下さい。
今回の実証では、職員が現地調査用モバイル端末アプリを利用して、現地で入力した災害の状況、センサ、SNSなどの情報から、災害対策本部がリアルタイムに現状を把握できるようにすることにより、対応に必要な判断を迅速に行えること、また、住民の皆様に迅速な情報発信ができるようにすることを目的としています。情報を住民の方々にいち早く伝えるために、情報発信には多様な媒体を活用しています。具体的にはパソコン、電話、防災無線、ファックスなどの以前より活用されているツールに加え、ドライバー向けにルート案内機能を持った「(仮称)地域情報発信ナビ」に通行止め等の情報も反映できるようにしました。一方で、このようなICTを活用した新しい取組でも、電力を失った状況下では動きません。この問題に対し、素早く電力を確保する仕組みを構築するため、電気自動車を動く蓄電池に見立て、電気を輸送する実証に取り組みました。
実証内容についてご説明下さい。
今回、現地調査用モバイルアプリの実証を行いましたが、本アプリは災害時と平常時どちらにも利用可能なものであり、テスト運用という形ですが、平常時利用を開始しました。(仮称)地域情報発信ナビには、ロールケーキ屋さん等の情報も搭載しており、ルート案内を開始すると消費カロリーも表示されるため、若い女性にも好評でした。また電力確保の一環として、2つのシミュレーションを作成しました。1つは、太陽光発電に適した屋根や土地を把握する日射量マップです。住民の皆様に見ていただく際には、スパイグラスというアプリケーションを活用して、自分で指を動かし日射量が見られるようにしています。見た目のインパクトがあり、大変興味を集めていました。2つ目は、EVで電力を輸送する際に利用するEV消費電力量マップを作成です。このマップは、電力をどこからどこまで輸送することができるかを見ることができます。
今後の取組予定や期待を教えてください。
今回、北九州市で構築した仕組みは、全て今まで取り組んできた共同運用の枠組みの中で継続して運用していきます。また、普及展開についても私たちは力を入れています。現地調査用モバイル端末アプリは、項目を変えれば様々な調査に応用が可能な仕組みで構築しており、自治体、大学等の研究機関だけでなく民間企業にもサービス展開をしていきたいと考えています。そして、構築したコンテンツは、全て海外展開もしやすい作りになっていますので、お問い合わせがありましたら是非海外展開にも取り組んでみたいと考えています。今後も近年頻度が増している局地的大雨による豪雨災害などへの取り組みをしっかり継続していければと思います。

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