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採択事業 公益財団法人京都高度技術研究所

多様なバリア情報のオープンデータ活用によるオープンイノベーションとシームレスな3次元バリアフリー ナビゲーションによって創造する新たな観光移動スタイル革新の実証

世代、国籍、身体的障害、移動の手段を問わず、円滑かつ快適な観光や日常移動を果たす事のできる街の実現に向け、観光移動スタイルを革新する。

実証地域

京都府京都市、滋賀県大津市

担当局

近畿総合通信局

実現するモデル

  • (2)先進的・先導的なG空間利活用モデルの確立に関する実証事業
  • 5.3次元地図等を利用したバリアフリーナビの実現に関する実証事業

構築したシステムの説明

本事業では、基盤データとして詳細な3D地図と歩行者ネットワークデータを整備するとともに、車いす利用の利用者の属性に応じた移動ナビゲーション機能を持つアプリを構築しています。ネットワークデータの作成には、官民が保有しているバリアフリー情報に加えて、京都市内、大津市内の1000以上の施設に関するバリア情報を取材・データベース化して活用しているほか、データの追加のため、市民にバリアのある場所の写真(情景画像)及びバリア属性を投稿してもらう仕組みも整備しました。さらに、渋滞解消のためパーク&ライド駐車場に誘導するエリアPUSH(=自動車狙い)機能の構築・検証や、災害時の商用電源喪失下でも稼働できるよう国際標準規格Wi-SUNを起用したシステムの検証を行うなど、街なかの様々な“バリア”を克服し、誰にでも分かりやすく、移動しやすい街づくりを目指した仕組みづくりを行いました。

実証事業の概要(全体構成図)

世代,国籍,身体的障害,移動の手段を問わず,円滑かつ快適な観光や日常移動を果たす事のできる街の実現に向け,G空間技術やICT技術を核としたバリアフリーナビ実証事業を行い,オリンピック・パラリンピックを見据えたパーソナル移動支援の革新的モデルと新たなビジネスの創造を目指す。

3Dナビゲーションの使用イメージとネットワークデータ整備範囲

実証では、車いす利用者や大学生に参加してもらい、京都市、大津市をアプリを用いながら実際に歩いて、アプリの使いやすさや提供するバリア情報の内容、提示する経路の通りやすさ、位置の精度等を評価した。

活用するG空間技術、G空間情報

  • みんなで作るバリアフリーマップ
    • バリアフリー情報共有ツール
    • 3次元地図
  • バリアフリー経路案内(ナビゲーション)、エリアPUSH機能
  • 交通系プローブ、パーソンプローブによる混雑把握
  • Wi-SUNを活用した災害時等、平時大容量通信が困難な環境下での情報送信

実施団体

  • 公益財団法人京都高度技術研究所
  • 三菱重工業株式会社
  • 株式会社ゼンリンデータコム
  • ジョルダン株式会社

インタビュー

京都市交通政策監(交通政策担当局長)
堀池雅彦さんに聞きました

京都市役所において、産業観光局観光振興課長、同伝統産業課長、同商工部長、都市計画局歩くまち京都推進室長等を歴任。2012年より現職。


今回、G 空間シティ構築事業に提案した背景を教えて下さい。
東京オリンピック・パラリンピックの開催により来日される外国人観光客や障碍者の方に、京都にも是非お越しいただきたいと考えていますが、ICTを活用して、京都滞在中ストレスを感じることなく、スムーズにまちの中を移動していただきたいという思いが本事業に提案した動機です。そして、そうした取組が京都だけではなく,全国に広がることを期待しています。これまでから、京都市では、駅や駅周辺の道路のバリアフリーに取り組んでおり、平成32年度までに乗降客数が3000人以上のすべての駅について、エレベーターの設置や段差の解消、多機能トイレの整備などのバリアフリー化を完了するという目標を掲げています。しかし、バリアフリーはハード整備だけでは必ずしも十分でなく、いかに情報を適切に提供するかが重要と考えています。また、訪日外国人観光客に関して、京都市が非常に特徴的なのは、アジアの方ばかりではなく、欧米をはじめ本当に全世界の様々な国から来ていただいている点です。観光資源という点では、お寺やお庭、自然、町並みなど京都は非常に恵まれていると思います。13か国語に対応したホームページの開設や、Wi-Fiのフリーアクセスポイントの1400箇所設置、バリアフリー観光の推奨ルートの提供などに取り組んでいますが、まだまだ情報が不足しているので、外国人観光客や障碍者の方に観光や移動など滞在中に必要な情報をきちんと提供することで満足してもらいたいと思います。こうしたことを背景として、G空間情報というICTを活用した「おもてなし」により、京都を訪れる多くの外国人や障碍者の方に、もっと京都のまちを楽しんでもらおう、もっとスムーズに移動してもらうと考え今回の提案を行いました。
事業におけるアピールポイントをお教え下さい。
本事業のキーワードは、「みんなで作る」3Dマップということです。行政や交通事業者が持っている情報だけではどうしても限界があります。市民や観光客、アプリの利用者など、京都にいらっしゃる様々な人に経験したことや知っていることを投稿いただき、それをG空間情報として3Dマップ上のナビゲーションに反映していきます。また、実際にご覧になるとお分かりいただけるのですが、3次元の地図はリアルです。紙の地図と違い方角を間違えにくいので、迷子になりにくくなると思います。このアプリは、利用者の特性に合わせた情報を提供できることも特徴です。多くの方に使っていただければいただくほど便利になっていくと思っています。一方、不適切な投稿の取扱についても、実験の中で検証しています。今回、大津市と協力して広域的な取組として事業を行っています。大津市とはこれまでから観光分野で官民の連携を進めていますが、特に外国人観光客は広域を周遊しますので、今回のような自治体間の連携は重要です。
実証内容についてご説明下さい。
実証のために用意したルートは、京都で最も観光客が多く、坂や段差が多い東山地域です。車いすの方と大学生に、実際に3次元ナビゲーションアプリを使用いただきながら、いくつかのコースを散策してもらいます。その中で、段差などの問題に対して適切なナビゲーションが行われているかを検証してもらうほか、気づいたことを情報として投稿してもらいます。準天頂衛星「みちびき」により京都でどれくらい精度が上がるかも検証します。将来、みちびきが本格稼働すれば、ナビゲーションも正確にできるようになります。これは、車いすの方にとって、安全という点で非常に期待できるものと考えています。
今後の取組予定や期待を教えてください。
実証を行ったあと、実用に耐えられるものにブラッシュアップしていかないとリリースできないと考えています。このアプリを継続していくためには、常に使い勝手を向上させることと、情報をどんどん充実させるということが大事です。また、ビジネススキームも必要です。実際に収入を上げられないと継続できないので、観光客の方に満足してもらうと同時に収益を上げるスキームを検討しているところです。京都市では、既に乗り換え案内アプリの提供を行っていますが、リリース後、1年半で約15万ダウンロードを数えており、今も継続していますので、そうしたノウハウも今回のアプリの運用に活かしていきたいと考えています。

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