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症状(2) 設置時に受信できていたが、その後受信できなくなった

 アンテナ工事時やテレビ設置時は良好に受信できていたが、その後受信できなくなった、または時々受信できなくなるといった症状の場合に想定される原因は以下が考えられます。

ブースター発振によるCN比劣化

 ある日突然、特定のチャンネルだけ受信できなくなったという場合はブースター発振の可能性があります。
 受信レベルが十分にあるにも関わらずCN比やBER(ビット誤り率)が低下している場合は、ブースター発振による妨害電波が原因となっている可能性が高くなります。
 ブースター発振は、自宅か近隣宅に設置されているブースターの施工不良や経年劣化により、電波の異常発信が起こり、特定チャンネルの周波数帯への妨害を与え、受信できなくなる障害です。
 多くの場合、一つのチャンネルだけ障害を受けます。
 屋外型のブースターによる発振の場合、接続されている同軸ケーブルが風で揺すられ、障害の強度や障害を受けるチャンネルが変化することがあります。

 

改善策

 設置されているブースターを確認してください。
 測定器で妨害波が確認できる場合は、ブースターの電源の入り切りで確認すると原因が判明することがあります。
 設置されているブースターが原因でない場合は、近所にお住いの方のブースターが原因となっている可能性があります。
 付近のお宅を訪問し、宅内に設置されているブースターの電源の入り切りで妨害波が消えるかどうか確認します。

 

 ※ ブースター発振とは、ブースターで増幅されたテレビ信号の一部が入力側に戻り、更に増幅され強力な妨害電波を発生する現象です。
    妨害電波は受信アンテナなどから放射されてしまうため広範囲に受信障害が発生する場合があります。
    (参考 : 受信ブースターの発振パンフレット PDF

フェージングによるCN比劣化、受信レベルの低下

 フェージングにより、CN比劣化、受信レベルが低下し、受信障害が発生する場合があります。
 海や湖を挟んだ対岸の局を受信している場合や、遠距離の送信所の電波を受信している場合は、フェージングにより希望波の受信電界が変動することがあります。
 また、隣接した他県の同じチャンネルを使用した送信所の電波がフェージングの効果により、到来すると混信障害の原因となる場合があります。
 ラジオダクトによる異常伝搬では、数百キロメートル以上も離れた送信所の電波が到来し、デジタル混信が発生した事例もあります。


改善策

 ○ 希望波が弱くなるフェージング
  希望波の受信レベルが強くなるよう高利得アンテナや指向性の鋭いアンテナに変更することで改善できる場合があります。
  また、設置位置が異なる複数アンテナを用いたスペースダイバシティ受信方式で改善される場合があります。
  他にもフェージングの影響が少ないデジタル局に受信変更するなどの改善策もあります。


 ○ 妨害波が強くなるフェージング
  妨害波の影響が小さくなるよう高利得アンテナ、指向性の鋭いアンテナに変更することで改善できる場合があります。
  また、妨害波の到来方向に対して遮蔽となる位置へアンテナ設置場所を変更することで改善できる場合があります。


  ≪解説≫
   電波は気象や地表の性質の変化に影響を受けて変動します。
   この時の電界強度の変動をフェージングといいます。 (参考 : フェージングによる受信障害

着雪・樹木の繁茂による受信レベルの低下

 豪雪地帯では、デジタル放送用のアンテナに着雪することにより、受信レベルが低下することがあります。
 また、アンテナの前方に樹木がある場合や、地形遮蔽により回析してくる電波を受信する場合は、草木の繁茂する夏場に受信レベルが低下する場合があります。


改善策

 着雪による受信障害は、アンテナを軒下へ移動させるなど、アンテナに雪が積もらないように工夫することで改善できます。
 または、電波の強さが十分ある地域では、平面型UHFアンテナに取り換えることで改善できる場合があります。
 樹木による障害は、電波到来方向に樹木がかからないようにアンテナを移動させるか、高利得アンテナ・高出力ブースターに交換することで改善することがあります。

新たな建造物の障害による受信レベルの低下

 地上デジタル放送は建造物障害に強い特徴がありますが、新しく建造物ができたことにより、希望波が遮蔽されて受信レベルが低下すると、潜在していたマルチパス(遅延波)の影響を受けやすくなります。
 到来するマルチパスが希望波と同程度の強さの場合、受信障害となる場合があります。


改善策

 アンテナの方向調整で改善できる場合もありますが、一定以上受信レベルが低下すると受信設備による改善は難しいため、建造物の所有者による受信障害解消の対策を実施することが望ましいです。
 建造物の所有者または管理会社にご相談ください。


遮蔽障害、マルチパス障害による複合障害例
遮蔽障害、マルチパス障害による複合障害例
「デジタル時代の放送受信技術―地上・BSデジタル放送受信 ノウハウ編― 2010」
テレビ受信向上委員会編より引用

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