最近のマイカーは、カーナビゲーションシステム(以下「カーナビ」と言います。)が取り付けられていることが一般的になってきています。今回は、このシステムの高度化について説明します。
カーナビは、GPSシステム(Global Positioning System;全地球測位システム)を利用して、自車の緯度経度を計測し、その地点をディスプレイ上の地図に表示を行うものです。ほとんどの製品は、地図ソフトにガソリンスタンド、コンビニ、各種施設等のデータがあらかじめインストールされており、ランドマークや目的地までのルート案内が可能となっています。
カーナビの高度化利用システムとして、VICSシステム(Vehicle Information and Communication System;道路交通情報通信システム)があります。このシステムは、交通渋滞・規制情報、駐車場の満空状態等をカーナビを介してドライバーにリアルタイムに提供するものです。その運営主体として平成7年7月に財団法人道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター) が設立され、電波ビーコン、光ビーコン及びFM多重放送の3メディアでVICSサービスを提供しており、平成23年度末現在、VICSユニットの出荷台数は約3,367万台となっています。
図1:VICSシステムの概要のイメージ
図2:VICSシステムにおける情報の流れのイメージ
最近、カーナビへの情報提供に携帯電話回線を利用するサービスが実現しています。これは、専用の情報提供等を行うセンターとカーナビをネットワークし、ドライバーの要求により、センターからニュース、天気予報、道路交通情報等をカーナビに届けるだけでなく、Eメールも車内から送受信でき、さらには地図情報のダウンロードやEコマース(電子決済)も可能となっています。
当該システムとVICSシステムとの大きな違いは、携帯電話の回線使用料が発生することと、入手する情報によっては情報提供料が必要となることです。しかしながら、一般的なネットワークと車が接続されることは画期的なものであり、ユビキタスネットワーク社会実現には、なくてはならないシステムと期待されています。
図3:携帯電話回線を利用した情報提供システムのイメージ
昨年末から中京地域では地上デジタル放送が開始されていますが、その中のデータ放送を利用することによりカーナビへ様々な情報提供することが、技術的には可能です。今後、種々の問題点を解決して新たなシステムの実用化が期待されています。