画像:住民参画システム利用の手引き 〜地域SNS、公的認証対応アンケートシステム〜
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目次
座長あいさつ
総論
導入検討編
実践編 地域SNS

1. 導入の手順
2. 必要な体制

3. 地域SNSの運用ルール
3-1 地域SNSの利用規約
3-2 実名と匿名
3-3 利用規約における不適切行為の防止
3-4 利用規約における運用側のリスク管理
3-5 利用規約における個人情報保護への対応
3-6 地域外からの利用
3-7 企業等による営利目的利用

4. 参加者の募集
5. いよいよ運用開始
6. トラブル発生への対処方法
7. 災害発生時の活用
8. 終了


実践編 電子アンケートシステム
資料編
3-2 実名と匿名

地域SNSへの参加は実名ですか、匿名ですか?

キーワード
・実名か匿名か(藤沢市電子会議室での論議)
・地域SNSにおける実名と匿名(段階的プロフィール公開など)と本人確認方法

関連項目
【導入検討編】 3 地域SNSとは
【導入検討編】 4 SNSと地域SNSの違い


【電子会議室における発言】
電子会議室において、一般的には匿名の方が実名よりも発言が活発になりやすく、その分荒れやすいと言われています。しかし、実名でも荒れる場合もあれば、匿名でも発言が活発にならない場合もあり、一概には言えません。
・藤沢市市民電子会議室の場合、市役所エリア(市が開設する会議室)を含め原則は実名発言としています。ただし、市民エリア(市民が自由に開設できる会議室)については管理人である開設者が、個別の会議室ごとに設定できるルール(個別ルール)として、実名での発言かニックネームでの発言(市民電子会議室登録は実名に限る)かを選択できるようになっています。開設者がつくったコミュニティに、そのコミュニティのルールをお互いに納得したうえで自己責任で参加するという姿です。これは、ニックネームはあくまでも会議室というコミュニティ内でコミュニケーションを活発にしたり、ネットワーク上のコミュニティ形成を円滑に進める手段のひとつであるという考えであり、市民電子会議室の目的に叶うものです。つまり、ニックネームは匿名性を保証するものではないということです。そのため、開設者は自分の会議室に参加している人が誰なのか本名を確認することができるようになっています。

・地域SNSの場合、実名、匿名の2者択一ではなく、相手との親しさに応じて、プロフィールの公開範囲を段階的に自分で設定できる点が大きな特徴となっています。例えば、住所、年齢は友人まで公開、実名は友人の友人まで公開、その他の人にはニックネームのみといった設定が可能です。
・また、地域SNSではその人の友人や、参加しているコミュニティがわかることから、参加してコミュニケーションがある程度進まないと参加者がわかりにくい電子会議室よりは、人となりをある程度は判断することができます。日記を公開している場合は、その内容なども参考になります。招待制を採用する場合は招待した人がある程度の責任を負うことにもなります。これらの特徴から、地域SNSは電子会議室よりも荒れにくいといわれていますが、電子会議室同様、運営ルールやマナーの徹底は、コミュニティの管理人等が積極的に行う必要があります。

電子会議室における実名、匿名のメリット、デメリット(一般的傾向として)
項目 実名 匿名
メリット 荒れにくい 発言が活発になりやすい
デメリット 発言が活発になりにくい 荒れやすい

【名前の公開範囲の設定】
・今回の地域SNSの実証実験では、参加者の名前は実名による登録をルールとしていますが、実験開始時点では、名前の公開範囲を各参加者が決めることができるようにしていました。この結果、参加登録したけど、周りがよくわからないニックネームばかりで、誰とも「ともだち」になれなかったり、「ともだち」になってもニックネームだけで名前がわからないままなどの状態が生じました。また、「ともだち」にも名前を明かさないことができたため、本当に実名で登録されているかどうかは管理者側でチェックせざるを得ませんでした。
・地域SNSを詐欺等の犯罪の温床にしないためにも、虚偽登録は排除していく必要がありますが、これでは、管理者の負担が過重になり、また厳格すぎる本人確認は参加の敷居を高くすることになりかねません。
・このような状況を踏まえ、実際の地域社会と密接にかかわる利用を念頭に置いた地域SNSの場合、他の電子掲示板などのように匿名で誹謗中傷がおきやすい場を作るのではなく、「顔の見えるコミュニティサイト」づくりを目指す必要があることから、最低でも「ともだち」には名前を公開するよう、運用ルールを変更しました。
・このことにより、仮に偽名で登録がなされても「ともだち」が増えてくると偽名を通すことは難しくなり、ゆるやかな形で地域SNSの信頼性を高めることにつながると考えたものです。
・このルール変更に関しては、長岡の地域SNSで、名前の公開により果たしてどれだけ地域SNS内での信頼性や安全性確保につながるのか、本人確認しない実名登録・ともだちへの公開に意味があるのか、互いの実名を知らない場合でも地域SNS上での友達になることがあるのではないか、そもそもネット上の友達と実際の友達とでは概念が異なるのではないかといった疑問も提起されました。
・しかし、現実の地域社会との連携を重視し、地域コミュニティの活性化を目指す地域SNSではネット上の仮想空間における友達概念(ゲームの対戦相手など)とは一線を画すべきでしょう。
・都市部の千代田地域SNSでは、このような議論は特に起きなかったことを考えると、もともと都市部の生活には匿名性があり、地方都市では顔が見えやすいことから、ネット上では匿名で活動することにより、自由度を増したいといったニーズはあったのかもしれません。
・長岡の地域SNSでは、今後、このテーマについて実証実験終了後も議論を重ね、長岡地域SNS独自のルールを、みんなで作っていこうという方向になっています。
・なお、今回の地域SNSの実証実験においても、ごく少数ながら明らかに実名で登録していない利用者がいました。管理者側の対応としては、まずは実名で登録するように注意喚起し、従わない場合にも、いきなり除名するのではなく、コミュニティの開設、日記やコミュニティへの書き込みなどの一部の機能を使えないようにしていくなど段階的な対応を取る方法も考えられます。

総務省 | 財団法人地方自治情報センター