海外ニュース 2018年10月1日号

■AI

[1]2018年度の科学技術部「次世代AI(人工知能)」重大プロジェクト、次世代AI基礎理論等3分野に重点≪中国≫

 科学技術部(省)は9月5日、「科学技術イノベーション2030−「次世代AI(人工知能)」重大プロジェクトの2018年度申請手引き」(案)の意見募集を開始しました。その中で、2018年度の同プロジェクトは、(1)次世代AI基礎理論、(2)重大ニーズに対応するコア技術、(3)AIチップ・システムの3分野に重点を置くとしています(実施期間3年)。
 3分野のうち、(1)については、七つの研究目標(目標ごとに1〜2のプロジェクト)が設定され、主としてAI重点科学のフロンティア問題に焦点をあて、AIの基礎メカニズム、モデル、アルゴリズムのボトルネックにおけるブレークスルーに重点を置いています。(2)についても七つの研究目標が設定され、主として中国のAI国際競争力向上という喫緊のニーズに関して、次世代AIの重要な共通技術でブレークスルーを遂げ、データとハードウェアを基礎に、センサー・識別、ナレッジコンピューティング、認知推理、協同制御・操作、人と機械とのインタラクション等の能力を引き上げることに重点が置かれています。(3)については、三つの研究目標が設定され、新型センシング・デバイスとシステム、人工神経ネットワークの重要技術標準及びAIオープンソース開放プラットフォームに重点をおいて研究が進められます。
 なお、科学技術部は今年4月に新世代AI発展研究センターを設置しました。具体的な業務は主に同部に直属する中国科学技術情報研究所、中国科学技術発展戦略研究院に委託し、AI産業の発展促進に向けての発展戦略及び最先端技術の発展方向を示すことを目的としています。

[2]BMW、2019年よりインテリジェント・パーソナル音声アシスタントを提供開始≪ドイツ≫

 自動車メーカーのBMWは9月6日、2019年3月から、インテリジェント・パーソナル音声アシスタントの提供を開始する計画を発表しました。
この音声アシスタントは、BMWのドライバーによる「ヘイ、BMW」の呼びかけで、名前をつけることができるインテリジェントなデジタル・キャラクターが応答するものとなっています。ドライバーは音声操作により、各種機能や情報にアクセスが可能となります。また、音声アシスタントには、スマートスピーカーやスマートフォン経由で、自宅など自動車以外からもアクセスが可能です。さらに、Amazonが開発した人工知能(AI)アシスタント「Alexa」などのデジタル音声操作との互換性も持つようになる予定です。
 BMWの音声アシスタントの機能は、同社のオープン・モビリティ・クラウドとAIを使用しており、機能やスキルは、通常のアップデートの一環として、遠隔ソフトウェアグレードにより、継続的に拡充されていきます。
 また、ルーチン動作や習慣を学習し、学習結果を適切な文脈において適用可能で、シートヒーターやナビ等のドライバーの好みに応じることができます。また、運転以外の会話もできるほか、車の機能の説明や、車の状態の確認や通知にも対応します。ドライバーのカレンダーと連絡先へのアクセスを許可すると、駐車場スペースの探察や渋滞情報の提供も実行されます。Microsoft Office 365とSkypeの統合により、モバイルオフィス化や電話会議への参加、電子メール読み上げも実行可能で、ラジオ放送局の特定も可能です。
 音声アシスタント機能は、米国、ドイツ、英国、イタリア、フランス、スペイン、スイス、オーストラリア、ブラジル、日本、中国(2019年5月から)などの国で提供される予定です。また、2018年11月から予約注文可能な新しいBMW 3シリーズに搭載され、3年間利用可能です。2019年3月からは、BMWオペレーティング・システム7.0を搭載する新しいBMW X5、Z4、8シリーズのモデルも、遠隔ソフトウェアグレードによるインストールで対応予定となっています。

■IoT

[3]英大手衛星移動体通信事業者インマルサット社、船舶内のデータを効率的にリアルタイムで把握・分析できる新IoTサービスの提供を開始≪イギリス≫

 英国ロンドンに本社を構える国際的な衛星移動体通信事業者インマルサット社は9月4日、船舶の所有者や管理者が船舶内のデータを効率的にリアルタイムで把握・分析できる新IoTサービス「フリート・データ」の提供を開始しました。
 新サービスは、デンマークの海事データソリューション企業デネリック・マリーン(Danelec Marine)社と共同で開発されたもので、船舶の航海データ記録装置やその他のセンサーから得られるデータに前処理を施した上で、ダッシュボードやアプリケーション・プロセス・インターフェース(API)を備えたクラウドベースの中央データベースにアップロードするサービスとなっています。
 これにより船舶管理者側は、船舶内の機器の不具合や問題をいち早く検知でき、シームレスに第三者アプリにリンクさせて船舶のパフォーマンスや燃料効率をモニタリングすることが可能となっています。
 インマルサット社による船舶輸送のデジタル化に関する調査では、データがリアルタイムに提供され、分析が可能になれば、海事セクターにおけるIoTベースのソリューションに対する需要は高い事が明らかになっています。
 同社は、新IoTサービス「フリート・データ」の開始を契機として、今後の海事産業界においてIoTサービスを普及促進させたいとしています。

■キャッシュレス社会

[4]9月から郵便局とコンビニでQRコード決済サービス開始≪韓国≫

 9月3日から、郵便局窓口と全国チェーンのコンビニCUで、スマートフォンのQRコードとバーコードによるモバイル決済が利用できるようになりました。韓国はもともとクレジットカード利用率が高く、現金以外のいわゆるキャッシュレス決済比率が世界的に最も高い国の一つです。さらなるキャッシュレス化の進展に向けて、2015年の規制緩和以降に様々なモバイル決済サービスが登場しています。こうした中、中小・零細事業者向けの手数料負担無しのQRコード決済導入に向けた関心が高まっています。今回郵政事業本部が開始したQRコード決済は、利用者の郵便貯金口座からの引き落とし方式で、クレジットカードよりも手数料が割安に設定されています。特に、年間売上5億ウォン(約5,000万円)未満の小規模加盟店は決済手数料が無料になります。
 サービス利用の際はスマートフォンにアプリをダウンロードして簡単な認証プロセスを経て、郵便局口座を登録します。決済時はスマートフォンで決済用バーコードを選択して店舗に提示すれば、店舗側でバーコードを読み取ります(QRコード選択の場合は若干プロセスが異なります)。QRコード決済を利用する顧客には百貨店や郵便局の商品券などがあたるキャンペーンが11月まで展開されます。サービスは9月中の試験運用期間を経て、10月から加盟店申請を受けつけて本格化されます。
 一方、カードよりも割安な手数料をうたう金融口座引き落としのQRコード・バーコード方式モバイル決済は、郵便局以外にも、ソウル市など複数機関が導入を計画しています。カード決済が広く普及している韓国で、金融機関口座引き落とし式の決済がどれだけ活用されるようになるかが今後の普及のカギとなりそうです。

■子どもの携帯電話利用

[5]保護者の2/3が学校での携帯電話の使用禁止を支持≪チェコ≫

 移動体通信事業者Tモバイルチェコが、チェコ国内の6歳から18歳までの生徒525人の親権者を対象に実施した調査によれば、親権者の2/3は他の欧州諸国に倣って学校での携帯電話の使用を原則禁止することが好ましいと回答しています。
 欧州ではフランスで2018年9月より学校での携帯電話やタブレットの使用が原則禁止とされました。また、スカンジナビア諸国では学校での携帯電話の使用が制限されており、英国でも小学校での携帯電話の使用禁止が検討されています。
 ただし、若い世代の親権者は学校での携帯電話の使用に寛容な姿勢を示していて、彼らは携帯電話やタブレットは今日では日常生活の一部で、生徒たちは自然にそれらを使用しているのだから、学校側もこのような生活の準備を進めるべきと主張しています。
 他方、学校での携帯電話の使用について、教師の意見は賛否が半々となっています。年配の教師たちは原則禁止が好ましいとする傾向にあるのに対して、35歳未満の若い世代の教師は携帯電話やインターネットを教材として評価する傾向にあります。
 また、教師の3/4は積極的にインターネットを授業に取り入れ、彼らの1/3は携帯電話の使用が必要となる授業を行っていると回答しています。ただし、教師の40%は授業にインターネットを利用しているものの、授業中に生徒が自分の携帯電話を使用することを禁止しているとのことです。
 一方で、教師の1/4は休み時間中に生徒が携帯電話を使用することを問題視しています。彼らは休み時間に生徒が携帯電話に夢中になり、授業の準備がおろそかになることや、友達との会話をせず自分の世界に引きこもることを懸念しています。
 また、ほぼすべての教師が、学校での携帯電話の使用について特定のルールを設定するべきと回答しているものの、自分が勤務する学校にそのようなルールがあり、機能していると回答した教師は1/3に過ぎず、大部分の教師がルールはあるものの、遵守されていないと回答しています。

問い合わせ先

情報流通行政局
情報通信政策課情報通信系材質
電話:03-5253-5720
Mail:mict-now★soumu.go.jp
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