海外ニュース(2018年12月3日号)

■自動運転

[1]フォード、ウォルマートやポストメイツと自動運転車による配達サービスの開発で協力≪アメリカ≫

 フォード・モーターとウォルマート、配送サービス業者のポストメイツは、11月14日、自動運転車の利用を想定したウォルマート利用客向けの食料品・その他商品配達サービスの開発で協力することを発表しました。
 今回のパイロット事業では、人間が運転する自動車を利用する自動運転車によるサービスのシミュレーションをマイアミで実施する予定となっています。2021年には、自動運転車を用いた商用サービスの提供を開始する見込みで、それまでに、マイアミで自動運転車の技術や配達サービスのアイデアをテストする計画です。
 ウォルマートのトム・ワード上級副社長は、自動運転車が主流化する前に、人々がどのように利用するかを見極める必要があるとして、自動車の新しいデザインや機器が必要になってくるかもしれないとしています。フォードは、このような課題の一つとして、ピザや小包などの配達物を受領者が簡単に取り出せるような、車載ストレージ・システムの開発を進めていることも明らかにしました。
 自動運転車による配達サービスはラストマイル配達部分のコストを下げることが期待されていますが、自動運転技術自体は依然高額で、自動運転車の保有者や製造者の賠償責任にかかる当局の規制についても未定の部分が多い状況です。
 なお、フォードは、2018年7月、自動運転車事業を包括する事業部門「フォード・オートノマス・ビークル」を新設することを発表し、2023年までに同部門に40億ドルを投資する方針を明らかにしました。

■AI

[2]連邦政府がAI戦略を決定、2025年までに30億EURを支出≪ドイツ≫

 ドイツ連邦政府は11月15日、経済エネルギー省(BMWi)、教育研究省(BMBF)、労働社会省(BMAS)が共同で提案した人工知能(AI)戦略を承認しました。
 政府はこの戦略に従って、2025年までにAI分野の振興に向けて30億ユーロを財政から支出する計画です。また、政府は民間からの投資増大も期待していて、官民総額で60億ユーロがAI分野に投資されることを見込んでいます。
 また、メルケル首相は「ドイツはAI分野の研究クラスターを形成する」と述べ、フランスとの協力関係を構築する意向を示しました。
 なお、同戦略においては以下の3つを主要な目標とし、達成を目指すこととしています。
  • * ドイツ及び欧州をAI分野の発展と普及において主導的な地域とする。その上で、ドイツの産業競争力を確保する。
  • * AIの開発及び使用には責任が生じ、普遍的な利益のために行われることを保証する。
  • * 幅広い社会的議論や積極的な政策設計を踏まえた上で、AIを倫理的、法的、文化的、制度的に社会に組み込む。

[3]ビジネス・エネルギー・産業戦略省、デジタル病理学や放射線学を含む医学分野の画像化におけるAI技術の活用推進で国内5か所に新センターを設立≪イギリス≫

 ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は11月9日、デジタル病理学や放射線学を含む、医学分野の画像化におけるAI技術の活用を目的として、五つのセンターを国内に設立すると発表しました。
 AI技術を用いた先進的な医療技術により、早期の診断の改善と、診断の迅速化によるより良い回復が可能となり、患者に恩恵をもたらすことを目指しています。
 新センターは、ロンドン、オックスフォード、コベントリ、リーズ、グラスゴーに設置されます。各センターでは、医者、企業、研究者等が協力し、最新デジタル技術を用いて画像内の異常を検知することによって、がんを含む疾患の早期診断を改善する製品・サービスを開発することになります。これにより、よりパーソナライズされた治療が可能になるとともに、医師はより多くの時間を患者に対して費やすことが可能になるとのことです。
 英国では、2017年11月に、2030年までに世界最高のイノベーション国家となるための「産業戦略」が発表され、AI技術の開発・導入が重要な柱となりました。今回のセンターの設置・運営により、AI技術が医療に革命をもたらし、英国民の生活が向上していくことが期待されています。

■5G

[4]国内の複数都市が5G推進プロジェクト「5GKIRI」に参加≪フィンランド≫

 11月1日、監督機関のフィンランド通信規制庁(FICORA)は、革新的な5G試験を推進する5G Momentumプロジェクトの一環で、国内における5G網の構築を推進・支援するプロジェクト「5GKIRI」に、エスポー、ヘルシンキ、ユヴァスキュラ、クオピオ、ラハティ、オウル、トゥルク、ヴァンターといった複数の都市が参加することを公表しました。
 フィンランドでは5G用途の周波数オークションが実施され、3.5GHzの周波数帯免許が通信事業者のDNA、エリサ、テリアに付与されており、2019年には5Gサービスの商用展開が開始される見込みです。5G網の設計や構築においては、街灯等の都市インフラへ設置される小型無線基地局の数が増加するなど、これまでのモバイル技術よりも都市と通信事業者の密接な協力が必要となります。5GKIRIでは、5G網の構築における都市と通信事業者間の協力を促進し、建設許可手続きの調整や敷設におけるボトルネックの特定を進めていきます。
 なお、5G Momentumのエコシステムは、5G技術の専門知識を開発し、将来の機会を特定し、多様な関係者と協力して、フィンランドを5G技術の世界的リーダーにすることを目標として掲げています。プロジェクトには、FICORAのほか、フィンランド気象研究所、フィンランド移送局、フィンランド交通安全局などが関与しています。

■ロボティクス

[5]LG電子が大手スーパーと組んでリテールサービスロボット群開発へ≪韓国≫

 第四次産業革命推進を成長戦略に掲げ、幅広い分野でのICT先端技術活用を進めることで雇用創出や生活の質向上を目指す韓国では、ロボット技術開発と生活分野でのロボット導入が急速に進みつつあります。大手ITメーカーのLG電子が大手スーパーemart(イーマート)と組んで、ショッピングカートロボットなどのリテールサービスロボットの開発方針を11月5日に発表しました。第一弾で投入予定のショッピングカートロボットは、障害物を避けて自律走行で買い物をする顧客の後をついていきます。リテールサービスロボット開発は、LG電子のコンバージェンスセンター内に昨年設立したロボット先行研究所が担当します。LG電子は昨年から、AIや自律走行等の中核技術を基に、多様なロボット製品を投入しています。2018年初めに自社ロボット製品群のブランド名を「LG CLOi(クロイ)」に統一し、これまでに案内ロボット、掃除ロボット、芝刈りロボット等8種のロボットを披露しています。空港、製パン、流通などの業種との協業によるオープン戦略を通じてロボット事業の競争力強化を図っています。LG電子はロボット事業強化のため、投資や外部関連機関とのオープンな協力を拡大しています。その一環として、昨年はウェアラブル・スタートアップ企業Angel Roboticsをはじめ、今年はサービスロボット・ソリューション企業Robotis、AIスタートアップ企業Acryl、産業用ロボットメーカーRobostar、米ロボット開発企業BossaNova Roboticsへの投資を行っています。

問い合わせ先

情報流通行政局
情報通信政策課情報通信経済室
電話:03-5253-5720
Mail:mict-now★soumu.go.jp
(★をアットマークに変換の上、お問い合わせください)

ページトップへ戻る