会議資料・開催案内等



政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会議事録



1. 日時  平成16年3月30日(火)15時30分から17時30分

2. 場所  中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室

3. 出席者
委員)   富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫の各委員
浅羽隆史、阿曽沼元博、稲継裕昭、梶川融、河村小百合、黒田玲子、
鈴木豊、武田尚仁、田渕雪子、新村保子、松田美幸、丸島儀一、
山本清の各臨時委員

事務局) 田村行政評価局長、関官房審議官、橋口総務課長、讃岐評価監視官、秦評価監視官 ほか

4. 議題
(1 ) 新設独立行政法人の概要等について(外務省、内閣府、文部科学省)
(2 ) 報告事項

5. 配付資料(PDF)
資料1   新設独立行政法人(外務省、内閣府、文部科学省)の概要
資料2   外務省所管の新設独立行政法人について
資料3   内閣府所管の新設独立行政法人について
(1)(2)
資料4   文部科学省所管の新設独立行政法人について
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)

6. 参考資料(PDF)
1  独立行政法人教員研修センター関係資料
2  独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率関係資料

 




○富田分科会長
  それでは、まだお見えになられていない先生もおいでですが、時間になりましたので始めさせていただきます。
  ただいまから、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。本日は、既にご案内させていただきましたように、外務省、内閣府、文部科学省から新設独立行政法人の概要等についてヒアリングを行いますが、それに先立ちまして事務局からこれらについての概要を簡単に伺いたいと思います。
  それでは事務局から説明をお願いします。

○讃岐評価監視官
  それでは、簡潔にご説明いたします。
  資料1の1ページ目でございますが、本日外務省のヒアリング対象となる法人は2法人です。国際協力機構は、特殊法人であった国際協力事業団を改組したもので、ODAの実施機関でありますし、また、国際交流基金はもともと特殊法人であったものをこの度の改革で独立行政法人にしたもので、国際文化交流の実施機関ということでございます。
  外務省につきましては、先行独法はございません。今回初めて独立行政法人ができたということで、評価委員会を昨年の10月に新たに立ち上げたということでございます。
  次のページですが、内閣府所管の新設独立行政法人は2法人ございます。国民生活センターにつきましては、もともと経済企画庁所管の国民生活センターでございました。北方領土問題対策協会は、これはもともとの総務庁所管の北方領土問題対策協会が、そのまま独立行政法人になったものでございます。比較的規模の小さい法人でございます。特に北方領土問題対策協会は職員が19人ということで、既存独法、先行独法を含めても、最小の規模のものでございます。
  次に、文部科学省所管法人ということで7法人新設の独立行政法人がございます。まず上からいきますが、科学技術振興機構につきましては、新技術の創出のための研究を研究総括研究官の下で研究員を公募して行うというような役割を担っているものでございます。日本学術振興会につきましては、科学研究費の審査・配分を行う機関でございます。この2つは国の研究開発に占める役割が非常に大きいわけですけれども、その中でも特に資金配分という色彩が非常に強い。特に日本学術振興会は純然たるファンディングエージェンシーですし、上の科学技術振興機構についても公募して、研究者にお金を交付して研究させるという機関であるということでございます。
  理化学研究所は、純然たる先端的な研究を総合的に実施する機関ということで、先行独法の中の研究開発法人に性格はかなり似通っていると思います。ただ、運営費交付金がおよそ690億円で、産業技術総合研究所と同じぐらいの大変規模の大きな法人でございます。
  4つ目は、宇宙航空研究開発機構は、旧法人が3つ並んでおります。宇宙科学研究所というのはもともと国立大学共同利用機関でございまして、2つ目の航空宇宙技術研究所は、先行独法として独法になっていて、既にこの委員会の評価も含めた2回の評価を経ているものでございます。3つ目が元の特殊法人の宇宙開発事業団です。この3法人を統合したものでございまして、航空技術のみならず人工衛星等、宇宙技術についての研究を総合的に推進する機関ということで、大変規模の大きな機関になっております。
  次の日本芸術文化振興会は、国立劇場とか能楽堂等の5つぐらいの伝統芸能を振興する劇場を備えた、またそれと併せて芸術文化の振興を行う特殊法人を改組したものでございます。
  日本スポーツ振興センターも国立競技場を設置して、管理運営するなど、スポーツの振興を行う法人でございます。
  最後に、日本私立学校振興・共済事業団とございますけれども、これにつきましてはやや特殊ですが、法人全体が評価の対象というわけではございません。特殊法人整理合理化計画において私立学校振興の部門の助成業務についてだけ、独法評価の仕組みに服するというような仕切りになって、法律上もそのようになっているわけでございます。どういうことかと言いますと、これは日本私学振興財団と私学共済事業団を統合したわけですが、共済業務については国家公務員共済その他認可法人がございますけれど、共済については自主的な性格の強い団体ということで、引き続き特殊法人なり認可法人なりに性格をとどめるという整理であります。しかし、前段の私学振興業務は私学助成金を交付する実施業務ということでございますので、独法と同じような評価に服せしめるのが適切であろうという考え方でございます。したがって、この6法人プラス1事業が新しい文部科学省所管法人として評価対象となって加わるものでございます。以上、簡単ですけれども説明を終わります。

○富田分科会長
  はい、ありがとうございました。
  これから各府省からヒアリングを行いますが、それに先立ってぜひとも事務局に質問したいという点について、どなたからでもご発言をお願いいたします。
  もしよろしければヒアリングに移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  それでは、まず外務省からのヒアリングを行いたいと思います。外務省の担当者が入室されますのでしばらくお待ちください。
  本日は、外務省の大臣官房総務課草賀総務課長にご出席をいただきました。同省所管の新設独立行政法人の概要等について説明を10分ほどでお願いしたうえで、ご質問等があればお伺いしたいと思います。
  それでは、説明をお願いいたします。

○草賀大臣官房総務課長
  大臣官房総務課長の草賀でございます。よろしくお願いいたします。私の右側が文化交流部政策課長星山、左側が経済協力局技術協力課の首席事務官山中でございます。よろしくお願いいたします。
  では、10分間いただきまして、私どもから新設独立行政法人の概要、それから中期目標あるいは中期計画等のポイントについて簡潔にご説明申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
  お手元に資料をお配りしております。これについて私の方から冒頭3分ぐらいで説明をしたいと思います。まず、外務省所管の新設独立行政法人は独立行政法人国際協力機構(JICA)、それから独立行政法人国際交流基金の2つでございます。
  国際協力機構(JICA)につきましては、お手元の紙にありますとおり昭和49年開発途上国に対する政府ベースの技術協力を一元的に行うことを目的として、国際協力事業団という特殊法人が設立されております。これが昨年10月から独立行政法人国際協力機構となっております。この目的は、国際協力機構法第13条に書いてありますとおり、開発途上にある海外の地域に対する技術協力の実施、無償資金協力の実施の促進に必要な業務、国民等の協力活動の促進、中南米地域等への移住者の定着に必要な支援業務、それから開発途上地域等における大規模災害に対する緊急援助といった項目が法律で明定されております。主要業務は、同じく国際協力機構法第13条にもう少し詳しくこの目的を受けて規定されてございます。ここにある6項目でございます。まず、技術協力の中では専門家派遣、研修員受入れ、機材供与、調査団派遣。無償資金協力の実施促進業務といたしましては、調査、斡旋、連絡等。国民等の協力活動で、青年海外協力隊、シニア海外ボランティアの派遣、草の根技術協力、NGO等の提案に基づく協力等。海外移住としては移住者の定着支援。それから、災害援助等で国際緊急援助隊というものを大規模災害がありましたら海外に派遣いたしております。その他人員の養成・確保、附帯業務といったことでございます。予算が1,612億円、職員数1,329名、在外事務所として56箇所ございます。
  それから、国際交流基金は昭和47年、JICAより2年前にわが国の国際文化交流を中核的に担う専門機関として設立されております。これの目的は、国際交流基金法第3条によりますと、国際文化交流事業を総合的かつ効率的に行うことにより、わが国に対する諸外国の理解を深め、国際相互理解を増進し、および文化その他の分野において世界に貢献し、もって良好な国際環境の整備、わが国の調和ある対外関係の維持発展に寄与するということでございます。主要業務は、同じく国際交流基金法第12条に書いてございますが、主にここにありますとおり、文化交流、芸術交流の促進、海外日本語教育学習への支援、海外日本研究の促進、知的交流の促進、それから国際交流情報の収集・情報提供、国際文化交流担い手への支援ということでございます。あと、平成16年度の特記すべき事項として日米交流150周年記念事業、中東交流事業、日韓友情年2005というもの。それから日EU市民交流年といったものが今年の特徴でございます。人員は233名、予算は137億円強ということでございます。
  次に、外務省独立行政法人評価委員会の組織を説明申し上げますと、オーバーオールの評価委員会として外務省独立行政法人評価委員会というのが上にございまして、その下にこの2つの独立行政法人を評価するための分科会が設けられております。そのメンバーにつきましては、5ページ、6ページにございます。全体の評価委員会としては、南直哉東京電力顧問に委員長を務めていただきまして、井口武雄三井住友海上火災保険取締役会長、以下こういう方々に全体を評価していただいております。それから分科会につきましては、国際交流基金のほうの分科会は東田教授に分科会長、国際協力機構分科会のほうは井口会長に分科会長をお願いして、以下、委員の方々には基金に詳しい方、評価に精通された方あるいはJICA事業に詳しい方といった方々にメンバーになっていただいております。
  それから、一言私の方から申し上げます。評価に当たりまして、ご承知のとおり外務省の外交政策につきましては、いろいろな意味で国内の行政と異なることがございます。私どもの大使館・総領事館は世界に189ございますが、それぞれの国、地域がそれぞれの特徴を持っておりまして、休日1つを取っても日曜日の休日の国もあれば金曜日の休日の国もあり、発展段階も大きく違っております。それから、インフラあるいは大きな社会慣習の相違といったこともございますので、相当程度その活動の土俵がそれぞれ異なるわけでございますが、その中において効率化を追求していくという難しさを抱えているわけでございます。
  それから、評価方式につきましては、最後のページに「外務省所管独立行政法人の評価に係る基本方針」というのがございまして、一言だけここで触れさせていただきたいと思います。2枚ちょっとですけれども、IIIに「評価方法と指標の設定」という部分がございます。事業年度評価につきましては、通則法で規定されております7つの項目に従いまして、それを大項目といたしまして、その下に「独立行政法人の中期目標等の作成指針」にある小項目に従いまして、これを評価の項目としております。その間にもう1つ、中項目というのも設けております。
  それで、項目別評定と総合的評価という2本立てでやる予定でございまして、その項目別評定のほうですけれども、これは、小項目及び中項目について、ABCDの4段階の評価・評定を行うことを基本といたしました。その際には、できるだけ客観的な評定基準を設定することを考えておりますが、先程申し上げましたようにそれが困難な場合があれば、これは委員の協議によって評定をいたします。それから4段階を基本といたしますけれども、法人業務の特性や評定項目の性質に応じてはAプラスだとか、あるいはABCDのBCがなくてAかDかといった評価を行うこともあり得ると思います。また、1つの評定項目に対して複数の指標を用いて評定を行う場合には、指標ごとの評定を総合して当該項目の評定とするということもございます。
  それから、評定に合わせて目標設定を行ったことが妥当かどうかや、あるいは法人の業務の特性や項目の性質に応じて評定に際して留意すべき事項がございましたら、これも記述することとしています。いずれにいたしましても、数値目標が定められました評定項目については定量的な指標を用いた客観的な評定基準を設定していくこととしています。また、定性的な目標が定められた評定項目についても、可能な場合には定量的な指標を用いるよう努めるということでございます。
  総合評定につきましては、7つの大項目及び法人業務全般につきまして、今申し上げました項目別評定の結果を踏まえまして、記述式によって評価するということにしてございます。私の方からは以上でございます。
  それでは、国際協力機構につきまして山中首席事務官からご説明します。

○山中首席事務官
  それでは、国際協力機構、JICAの説明に移らせていただきたいと思います。まず、お手元の資料の7ページですが、「独立行政法人化後のJICA事業の位置づけ」と書かれている紙に沿ってご説明したいと思います。独立行政法人化に伴ってJICA事業がいかに変わったかということに関しては、まず特殊法人時代は開発投融資事業や海外移住事業も行っていましたが、これを、特殊法人等整理合理化計画を踏まえて、基本的に廃止していく方向でスリム化しました。
  また、国際協力機構法の目的としても新たに法律の改正の際に「復興」という文字を入れております。これは、今、日本に非常に期待が高まっている平和構築への取り組みを明確化すべくということで、例えば、JICAとしてアフガニスタン、イラク、スリランカ等の紛争後の復興支援に積極的に取り組んでいきたいという思いを表したものです。JICAとしては平和構築に取り組む際の必須条件として安全性を重視しているところです。
 加えて国民の皆さま方の草の根の協力活動に非常に熱い期待が高まっていることも踏まえて、国民等の協力活動、即ちシニアボランティア、青年海外協力隊、NGO事業等、もJICAとして重視していきたいと考えております。
  総じて言えば、独立行政法人化を受けて必要な業務はその質を落とさず、そして安全性にも十分配慮して、効率化できるものは効率化していくというのが基本的なコンセプトです。その基本的なコンセプトを具体的に、効率化、サービス・業務の質の向上という2本立てで中期目標、中期計画に整理をしており、その説明の資料が8ページにあります。まずは効率化でございますが、2本立てで、機動的な組織運営および業務運営全体の効率化という視点から目標を設定しております。機動的な組織運営としては在外事務所への権限委譲とか、JICA組織本部のフラット化を実施していきます。業務運営全体の効率化につきましては、JICAの事業で専門家派遣、研修員受入れ、機材供与、調査団派遣といった主な業務がありますが、これらの業務の単位当たりの経費について中期目標期間中に10%程度の効率化を目指します。また、人件費、事務所借料等も含めた一般管理費についても中期目標期間中10%程度の効率化を目指すという目標を掲げております。
 次に、サービス・業務の質の向上につきましては、案件の効果的・効率的実施という視点で、質の高い技術協力専門家等の選定、青年海外協力隊の人材確保、そして幅広い国民の参加による協力の実施を掲げております。また、評価を充実させていくため、事前から事後までの一貫した評価、外部評価の実施、評価内容の情報提供、評価内容の事業実施へのフィードバックを重視しております。特にこの評価については10ページにも評価の充実に焦点を当てた図を用意させていただいております。
  資料をご覧いただきますとは、まずは外部の専門家の方の視点をより入れていくということで、外部有識者評価委員会を設置しております。これは、独立行政法人化に先立つ平成10年6月に設置しまして、具体的には評価制度、評価手法等の改善にかかる提言や2次評価といったものに外部の有識者の皆様方のご意見をいただくということです。
  また、事前から事後に至る一貫した評価の体系を確立すべく、これまでも細々とはやっていたのですが、事前評価というものをより拡充していきたいと考えております。協力終了後に協力効果を最終的に評価する事後評価に関しましては、外部有識者や機関等による1次または2次評価件数を全評価件数の50%以上にするという数値目標も中期計画の本文では書かせていただいています。簡単ではありますが、国際協力機構についての説明を終わらせていただきます。

○草賀大臣官房総務課長
  それでは、文化交流部政策課星山課長お願いします。

○星山文化交流部政策課長
  星山でございます。資料は11ページから13ページでございます。まず、簡単に国際交流基金が何をやっているか、政府と国際交流基金のデマケーションは何かというかたちで11ページにおいて説明させていただきます。外務省の役割というのは、国際文化交流の大きな基本方針を立てるということが先にありまして、草賀からも説明がございましたが、そのあと、各国がいろいろ違いまして、日本に何を求めるのか、日本にどういうような魅力を感じているのか、それで我々に何をぶつけるのかというところは各国によって違います。一般論で言いますと、先進国は比較的日本の伝統ものを喜ぶ傾向がございますし、途上国は比較的新しいものを、これも非常にざくっとした言い方でして、いろいろなバリエーションがある中でその戦略を策定するわけですが、この基本方針戦略策定はこれまで必ずしも我々政府の方が十分でなかったということがございまして、この独法化の機会に我々としてもこういう戦略性を高める政策をしっかり持つということでやらせていただこうと思っております。
  この中で、今このとき、どの国が重要なのか。例えば、今年ですとイラクです。国際交流基金でいいますと、サッカーチームを招聘したり、「おしん」を流したり、イラクの国立博物館の館長を呼んだり、自衛隊が行く中でイラク人の日本に対する感情を何とか良く持ってもらいたいということを緊急にやるといったことをやっております。今、どういう事業がいいのか、受けるのか、大衆主義に陥る必要はありませんが、どういうようなものをやるのかというのは常に変わっているという中で、そういうものを見極める。
  それ以外に、首脳や外相もしくは我々の役人レベルで、いろいろな協議、合意等が行われている中で、それを常にフォローアップする。各国の政府要人を巻き込むような形でいろいろな文化事業をやっておりまして、その案件を常に選定して、外交上何が一番重要なのかというものを国際交流基金のほうに示し、その結果、国際交流基金は外交目的という中から事業の実施を任せるという形でやっております。
  草賀から説明がございましたが、我々国際文化交流基金がやっておりますのは、この3つ、一番下の文化芸術交流。これはいろいろあるのですけれども、お茶やお華、能、狂言の話から始まりまして、現代ダンスとか映画、美術、スポーツ、いろいろ幅広いのですが、これが1つ。もう1つは日本語の普及。その次に日本研究・知的交流、フェローシップを出したり、セミナー、シンポジウム的なもの。今は中東に関するシンポジウム、文明間対話というものを一生懸命やっている最中でございます。
  12ページでございますけれども、ここに書いてあるポイントが今日の会議の主題だと思いますが、今後、何を評価していただくかという3つのポイントでございます。我々は国際交流基金を「国際交流基金は優良な中小企業」と言っておりまして、そぐべき贅肉はそうないものと思っておりますが、まだいろいろ考えまして、こういう機会ですから更に1.で効率化を図る。2.でサービス・業務の質の向上。3.で評価の充実。これを年度ごとに、また3年半の期間をいただいていますけれども、この期間にこの3つをいかに今まで以上にうまくやれるかというところがポイントだと思っております。
  なお、簡単にご説明しますと、効率化に関しましては国際文化交流に対する事業の需要は非常に多く、その割に予算が少ない。かつ、国際交流基金の人が非常に少ないが、よりきめ細かくサービス業務をやる中で非常に厳しい状況にありますが、ここに書いてございますように、一般管理費の削減が至上命題になっておりますので、この3年半の間に1割削減する。国内事務所は4つございますけれども、場所を変えたり縮小したりすることで何とか削減する。海外事務所は19ございますが、これも若干場所を落としたり値下げ交渉等をしたりして、1割削減します。業務についても先程申し上げましたが、非常に需要の多い中で下げなくてはいけないので、選択と集中ということで毎年度1%以上削減するということで、いろいろな工夫をしようかと考えております。
  2.のサービス・業務の質の向上ですが、ここは閣議で外交上必要性の高い事業に限定して実施するということが至上命題として言われております。一言で言うと、いわゆる外交目的に資する事業のみを実施するという中で、外務省と国際交流基金の連携、連絡を密にする。特に、在外公館、各国のニーズが非常に重要であり、わが国が何を求められているか、一番よく把握している在外公館の意見等をよりうまく吸い上げて、これを基金にやってもらうということを我々としては考えております。
  3.の評価ですが、国際文化交流というのはご承知のとおり非常にソフトパワー、言葉は悪いのですが、相手国の日本に対するイメージをコントロールをすることですので、これをどうやるかというのは非常に簡単ではないということで、間接的、長期的効果を狙うということでございますので、簡単に数字で表すというのはなかなか困難という状況は前提としてございます。他方でこういう要請がございますので、いろいろ考えた結果、ここに書いてございますような、事業ごとにアンケート調査を行ったり、第三者の客観的な評価を行うことによって、何とか数量的な目標を掲げてそれを目指してやっていくということでございます。もちろん、いろいろな指標があり得るのですが、国立美術館等もございますが、この類のものは必ずしも良い評価指標がございません。今、マスメディアにどのくらい出るかというようなこともちょっと研究しておりますが、良い指標があればぜひ採用していくという方向で、今のところはこういう状況のものを試させていただこうと思っております。
  最後に13ページは、ちょっと時間がございませんので割愛させていただきますが、一番上に書いてあります外部評価、有識者委員会の設置というものを4月に発足させて5月末に会合を行うという方向で、事前および事後についてフォローアップを行い、それをフィードバックすることによって、もっていく事業をより良くし、日本の魅力、日本の外交に資するようなものに努力していくということを考えております。以上でございます。

○富田分科会長
  はい、ありがとうございました。
  それでは、ただいまのご説明について質問などがありましたら、どなたからでもご発言願います。
  山本委員どうぞ。

○山本臨時委員
  国際協力機構と国際交流基金両方にまたがることですが、最初に、国際協力機構の中期目標・中期計画についてお尋ねしたいと思います。
  第1点は、他の独立行政法人と違う点だと思って感心したことなのですが、業務に関する効率化に関しては、総額で10%削減というアプローチではなくて、いわゆる単位当たり経費について10%の効率化をされるというわけですね。ところが、実質的な意味の効率化係数と申しますのは、限りなく年1%減に近いような格好の係数になっておりますから、そういうことは、国際協力機構においては中期目標終了期間までに、いわゆる投入なりアウトプットの量が増えるということになりますね。要するに、単位当たり経費は10%削減しても、総額はそれほど減らないわけですから。
  そうすると、むしろ中期目標とか中期計画で定めるべきことは、単位当たり経費の10%削減はあくまでも手段ですから、旧JICAのなさったような国際協力等を推進するということから言えば、むしろここではこの浮いた金を使ってより多くのアウトプットなり援助あるいは投入をなさるとか、一部経費をカットされるということですが、研修員の受け入れ人数が増えるとかいうことが、国民に対するサービスの質の提供等において上がってこないとせっかくのご苦労がうまく反映しなくて、結果的に評価も難しくなって、要するに削減しただけだということだけでもってその評価がなされる。ところが、他の国際協力基金等は業務経費について1%ずつの削減がかかってくるというアプローチですね。そういう意味においては、多分理事長に対するご配慮もあったのかもしれません。ここはある意味で非常に特色がある縛り方と申しますか、中期目標の設定をなさっているわけですので、そういうご議論が外務省における評価委員会においてなかったのかどうかということについて、お尋ねしたいと思います。

○富田分科会長
  いかがですか。

○山中首席事務官
  はい、お答えします。外務省評価委員会では、JICAとして引き続きやるべき業務があるので、むしろメリハリをつけてやるべきでしょうという議論がありました。7ページの案件の図で書かせていただいていますが、JICAの事業の基本的設計として、まず案件選定、国際約束の締結は政府の事業ですので、政府が決定して国際約束を締結して、それをJICAが効果的・効率的に実施する役割を担うということでございます。JICAとしては、例えば今まで100の単位で経費がかかっていた専門家派遣について、より効率的に実施することで単価を削減することになります。難しい課題ではあるのでしょうが、業務の質を犠牲にすることなくいろいろな手法で質を維持ないし向上させつつ業務コストを削減していくという趣旨でこういう書き方になっております。他方、JICAの交付金の予算自体が、毎年の財政状況で変わっていくこともありますので、全体としてどれだけ増えるかというところは必ずしも今の時点では分かりません。しかし、もし同じような交付金の額が続くのであれば、主要な投入の単位あたりの経費を10%削減した分、政府レベルでこういう業務をやるべきだということが10%増えれば、業務量としては増えるかもしれません。これがJICAの中期目標の基本的な考え方です。

○富田分科会長
  山本委員、よろしいですか。
  私の理解も、今ご説明があったように公共事業について設計だとか発注の仕方を変えることによって、結局、物価の下落以外に10%削減すると。それと同じようにここでも10%削減する。だから、運営費交付金が1割減っても同じ事業量は確保できるだろうという事前的な制約と、あとはその事後評価できちっと評価しようという枠組みで基本的にできているのだというふうに、私は理解しておりますけれども。

○山中首席事務官
  そのとおりでございます。

○富田分科会長
  どうぞ、松田委員。

○松田臨時委員
  それぞれの法人の活動内容というよりは、ちょっと素人の質問かもしれないのですが、今までも特殊法人としてある意味で独立した組織で運営していたわけですよね。それが今回独立行政法人という枠組みになったことで、より変わったこととか、変われたこととか、この枠組みがなかったら例えばできなかったこととか、あったからこそできたことというのが、もしあるとしたらどういうことなのか、両法人の方からお教えいただければありがたいのですが。

○富田分科会長
 お願いいたします。

○星山文化交流部政策課長
  国際交流基金の方から説明させていただきます。12ページで先程3つご説明させていただきまして、効率化、サービス・業務の質の向上、評価の充実ということを掲げさせていただきました。
  効率化につきましては、もちろん今までもこの数年ずっと努力してきましたけれども、更にこういう目標を掲げると。全体の中で努力すべしということで、このような目標を掲げて、贅肉をすべて取るということは、意味があることだと考えております。
  2番目は、今までやってきた中で、効果的・効率的な事業を実施するということで一番足りなかった部分、国民への情報提供をもっと強化するということでございます。今回、特に特殊法人から独立行政法人に変わったことによって、外交上必要性の高い事業に限定するという縛りを掛けました。掛けられましたと言うべきかもしれませんが、今まで国際交流基金は、海外でいろいろな事業や日本語をやるという中で、日本の魅力を海外で示すという中で、対日観を向上させてきました。そういう意味で、常に我々の外交をうまく実施するためのツールとして大きな役割を果たしてきました。しかし、外交上意味のあることをやってきたのではございますが、今後は必要性の高いことのみに限定するという中で、我々外務省としてもより重要なプライオリティーを絞り込む作業をする、それに当たって、単に意味があるというだけではなく、必要性の高いものを実施するという中で、我々の責任も非常に重くなっていると思います。まさに、独立行政法人がやるべき仕事という中で、ここは我々もしっかり政策を示すし、彼らも実施に全力を尽くしてもらうということかと思います。
  評価については、先程ちょっと申し上げましたが、こういうものの性質上、必ずしも十分にやってこなかった、やれなかったというところがありますが、やれるところからやるというところを示すことができたので、これも意味があるかなと思っております。この3点でございます。以上です。

○富田分科会長
  松田委員、よろしいでしょうか。

○松田臨時委員
  はい。

○富田分科会長
  非常に大事な点だと思うのです。やはり、事前に明確な目標を大臣との間できちんと示し合わせ、それをいかに効率的にやるかということが、独立行政法人の設立の趣旨の基本だろうと理解しておりますので、その点よろしくお願いいたします。
  他によろしいでしょうか。どうぞ、武田委員。

○武田臨時委員
  JICAについて基本的なところなのですけれども、緊急援助等、粛々と行っていく業務以外で突発的に発生したものの予算だとか、そのあたりの基本的なところをお教えいただけますでしょうか。

○山中首席事務官
  緊急援助隊につきましては、各年度必要な予算を大体見積もっておきまして、緊急事態、災害などが発生したときにそれに充てていくということです。運営費交付金になって、今までは緊急援助隊でこの額しか充てられていないので、その額を使い切ってしまうと増額するための手続きで不自由な面があったのですが、独立行政法人化に伴ってJICAの裁量による融通がある程度効くようになったという意味で、むしろその緊急援助隊に充てる費用についてはより柔軟度が高まったというのが、この独法化における1つの変化だとは思っています。
  あと、申し訳ありませんが、質問のご趣旨を確認させていただけますでしょうか。

○武田臨時委員
  予算が追加的に出るという形になっているのかどうかという点。それから、予算自体の使い方の自由度ですね。そういったところがどうなっているのかなというあたりをご確認させていただきたかったのです。

○山中首席事務官
  実は通常の技術協力の場合には年度当初に、被供与国、相手国に対してどういう案件をやっていくかを一斉に決めていくようなプロセスがあるのですが、その際も必ずしも予算の限界まで全部採択するわけではなくて、一部は年度の当初では見通しがつかないようなニーズがあるという見込みのもとで、採択しています。その意味で独立行政法人化した後も、年度当初にはすべて使い切らずにある程度残しておいて、その年に起こるニーズに応じて支出をしていくというメカニズムをとっております。

○富田分科会長
  大体よろしいでしょうか。時間の関係もありますので、更にご質問のある委員は事務局の方にメール等でご質問を送っていただき、それを後程事務局より外務省に事務的に質問させていただくことにより対応させていただきたいと思います。
  今日はお忙しい中、外務省の皆さまにはご説明ありがとうございました。これまで特殊法人にはいろいろな批判があり、そしてまた、独法化するといっても、それは看板の掛け替えに終わってしまうのではないかということも、国民は危惧し、懸念しているわけでございまして、この独立行政法人化を機に定期的な評価というものをきちんと実行していただいた上で、更にその評価の方法をよりレベルアップを図っていただけるよう、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

○草賀大臣官房総務課長
  どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○富田分科会長
  引き続き、内閣府からのヒアリングを行いたいと思います。事務局のスケジュールでは内閣府からの説明は15時55分からということになっていますが、20分遅れています。これは、今日中に消化できなかったらまた次でもよろしいですか。

○讃岐評価監視官
  ヒアリングだけは文部科学省までやっていただいて、あとの最後の報告事項で調整いたします。

○富田分科会長
 それでは、内閣府の方お入りください。
 本日は、内閣府国民生活局消費者調整課幸田課長と北方対策本部影山参事官にご出席をいただきましたので、所管の新設独立行政法人の概要等についての説明を10分ほどお願いした上で、ご質問があれば伺いたいと思います。
 それでは、説明をお願いいたします。

○幸田国民生活局消費者調整課長
  内閣府国民生活局消費者調整課長の幸田でございます。早速、お手元の資料3「内閣府所管の新設独立行政法人について」に沿いまして、まず独立行政法人国民生活センターの概要についてご説明申し上げます。
 1枚めくっていただきますと、独立行政法人国民生活センターの概要ということで、右下にページ数が振ってあります。この国民生活センターについては、昭和45年に特殊法人として設立されまして、昨年10月に独立行政法人化されたということでございまして、法人の目的は、国民の生活の安定向上に寄与するために総合的見地から国民生活に関する情報提供、調査研究を行うということでございます。業務については後程ご説明申し上げますが、主たる事務所は神奈川県にございまして、役員は独立行政法人化に際しまして9名から3名削減して6名という形になっております。職員は126名。資本金は91億円ということですが、全額政府出資でございます。これは土地・建物を政府が出資しているということでございます。予算的には平成16年度の予算を参考に掲げておりますが、約28億の予算規模のうち、政府からの運営費交付金が25億でございます。若干自己収入と申しますか、出版物の収入等がございますが、大半が政府からの交付金に頼っているという形になっております。
  2ページに、国民生活センターの中期目標の概要というものを掲げております。中期目標の期間は、平成19年度末までの4年6か月間ということでございます。その内容については、効率化に関する事項として、2(1)ですが、退職手当は除いておりますが、人件費も含めた一般管理費について、この計画期間中13%削減をするというのが1つ。それから、(2)その他の事業経費については、毎年度対前年度比1%を効率化していくという目標を掲げております。3.の業務の質の向上、サービスの向上に関する事項は、主な業務ごとにここに掲げております。まず、(1)消費者問題の関係。消費生活情報の収集に関する目標でございます。PIO-NETというシステムがございます。これは全国に都道府県、あるいは市町村が作ります消費生活センターというものが約500か所ほどございますが、そことオンラインでネットワークシステムを組んでおりまして、消費者からのさまざまな苦情相談、さまざまな悪質事業者に関する相談等々をこのネットワークで収集するとともに、各消費生活センターの相談員がそれを見られるようなシステムを作っております。平成14年度は85万件ほどの相談件数が全国の消費生活センターに寄せられておりまして、この規模は10年前の4.4倍でありまして、年々20−30%の規模で消費者問題は増加しております。このネットワークシステムの効率化を図るという目標でございます。相談の受付からPIO-NETに登録するまでの所要日数を15%以上短縮しようという目標がまず(1)でございます。それから、(2)が国民への情報提供ということでございます。消費者問題等々を中心にしたさまざまな深刻な被害事例等について報道機関を通じて提供していく。あるいは、ITを活用した提供を図るという目標を掲げております。(3)は、一般国民、消費者からの苦情相談に関する目標でございますが、1)は、最近、金融問題やITの関係など専門的な相談が増えておりますので、そういう専門的な相談を充実していく。2)は、個人情報保護法が来年4月から施行されますが、他の附帯決議におきましても、この国民生活センターが苦情相談に当たっていくというようなことも言われております。個人情報の取り扱いに関する苦情相談の機能も強化していく。3)は、地方センターとの役割分担ということでございます。国民生活センターが全国から直接受ける直接相談については、段階的に縮小していく。その代わり、地方センターから解決困難として挙がってくる経由相談の機能を強化していくということでございまして、センターの苦情相談にしめる経由相談の比率を中期目標期間中に半分以上にしようという目標を掲げるとともに、最終的には地方センターからの経由相談に特化していくという目標を掲げております。3ページですが、4)としまして、有識者で構成する苦情処理専門委員会というものも活用しながら、消費者の紛争解決に当たっていく。それから5)としまして、民間のPLセンターなど、他のさまざまな紛争解決期間との連係を図るということ。それから、(4)として、関係の行政機関、消費者団体等への情報提供。(5)として、例えば地方の消費生活センターの相談員に対する研修等に関する目標を掲げております。(6)については、商品テストでございまして、個別の事故に関する原因究明テストを実施すること。あるいは広く人の生命、身体などにかかわる重大な問題について問題提起型のテストを行うという目標を掲げております。あとは(7)の調査研究に関する目標でございます。これらの目標につきまして、4ページ以降では、内閣府の独立行政法人評価委員会国民生活センター分科会で先月評価基準を定めていただいておりまして、項目別評価として4段階の評価をすること。それから5ページにまいりまして、総合評価をやっていくという方針をお決めいただいたということになっております。
  今申し上げた評価体制でございますが、18ページをご覧いただきますと、内閣府の独立行政法人評価委員会の体制がございます。国民生活センターにつきましては、国民生活センター分科会という専門の分科会で評価をいただいていくという形になっております。あと、参考までに19ページ以降に中期目標・中期計画の全文、37ページ以降に平成15年度の年度計画を掲げてございます。簡単ではございますが、国民生活センターについての説明は以上とさせていただきます。

○影山北方対策本部参事官
  引き続き、独立行政法人北方領土問題対策協会の概要ということでご説明させていただきます。私は、内閣府の北方対策本部の参事官をやっております影山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  資料の45ページに独立行政法人化北方領土問題対策協会の概要ということで載っております。申すまでもなく、北方領土問題はわが国に残された最大の戦後処理問題といったことが言えようかと思います。お手元にございますが、前の特殊法人時代の概要ということで載っておりますけれども、南方問題、北方問題併せまして昭和44年に北方領土問題対策協会法が成立し、これをもってして昭和44年に特殊法人が設立されたということでございます。
  外務省の行う外交交渉の基盤を固めるという意味を含めまして、その基礎となる国内啓蒙・広報活動に専心しているのでございますけれども、それにつきまして簡単に言えば、私どもが企画し、実施する体制と言えるかと思います。ということでございまして、啓蒙、それから調査研究それから北方地域に生活の拠点を有していた者に対する援護等々の事業を行ってきたということでございます。こういう法人の性格上、若干、こういった国民運動・啓発といった観点からの協会でございましたので、いろいろ議論もあったわけでございますが、より効率化、透明化、公正化を図ろうといった趣旨で、昨年の10月1日に独法化されたということでございます。
  設立目的は以下のとおりでございまして、業務概要ということで簡単に説明させていただきますと、北方領土返還要求運動の推進および国民世論の啓発ということでございまして、毎年2月7日が北方領土の日ということでございまして、日露修好条約が150年前に結ばれた日でございます。これに総理以下関係閣僚等のご出席をいただく。その関連としまして、全国都道府県に置かれた県民会議でさまざまな共催・支援等を行っていると。それから民間団体が行う研修会、講演会の推進。それから、我々は特に重視しておりますが、次世代を担う若い世代に対して更に啓蒙・広報を行うということでございまして、研修会、ゼミナール等を開催しているということでございます。それから、北方4島交流推進事業ということでございまして、いわゆる「ビザなし訪問」と言われているものでございますが、ソ連時代からの転換を機に、ゴルバチョフ政権での雪解けの下でビザなし訪問というものが開始されたということでございます。これについて実施しているということでございます。
  それから、調査研究事業ということでございまして、日露関係の専門家、外交官といった方にご参集いただきまして、国際フォーラム等のその他さまざまな調査研究事業を行っているということでございます。
  それから、融資業務等の援護事業ということでございます。北方領土問題、他の戦後処理問題と違いましてわが国の一部といったようなことで、財産権それから復興支援に対する要望等々を元島民はじめとして非常に強いものがございます。そういったものに対する援護措置ということでございまして、旧漁業権に対する特別措置に対する法律、これが昭和36年等々はじめとして、元島民に対する事業資金・生活資金の融資、それから北方4島の自由訪問、これはビザなし訪問とはまた別の概念でございますけれども、元島民およびその家族による自由訪問といった援護事業を実施しているということでございます。
  主たる事務所、役職員についてはこの記載のとおりでございまして、非常に小さいものとなっております。役員が9名、職員が19名で、千代田区と札幌に事務所を設けているという体制で事業を実施しているということでございます。
  資本金ということでございまして、根室における啓蒙啓発施設といったもの3億弱。予算につきましては、交付金が6億6千万、それから補助金ということで利ざやの収支差補助が2億円で計8億6千百万といった体制で事業を実施するということでございます。
  次のページは中期目標等の概要でございます。中期目標期間が、昨年の10月からということでございまして、4年6か月です。
  それから、業務運営の効率化に関する事項ということでございまして、人件費を除くということで、なかなか私ども非常に小振りな団体でございまして、人件費を除く一般管理費につきまして13%の削減を達成する。それから、業務経費につきましては毎年度、前年度比1%の経費の効率化を図るということで、業務運営の効率化を図っているというふうなことでございます。
  それから、国民に対して提供するサービス・その他の業務の質の向上に関する事項等ということでございます。国民世論の啓発に関する事項ということで、アンダーラインを引いてございますが、各種活動につきまして毎年度100回以上の水準を保って、より精査した事業を、より数多く実施するという目標を掲げております。
  それから、2)の青少年や教育関係者に対する啓発の実施ということでございます。これも私どもの新たな目標といたしまして、アンケート調査を実施してより効率的な、より満足してもらえる事業を実施するということでございまして、80%以上の参加者から有意義だったという結果を得たいといった目標を設定しているということでございます。
  それから、先程申し上げましたように、次世代を担う若い世代へのこの問題に対する啓蒙・啓発といったことでございまして、インターネットをはじめとして新たな電子媒体で情報提供を試みるといったようなことを掲げております。
  それから、北方4島との交流事業の実施といったようなことがありまして、これも先程申しましたようなビザなし訪問につきまして、アンケート調査を必ず実施して、80%以上の参加者から非常に有意義だったといったような結果を得たいという目標を設定させていただいているところでございます。
  次のページは、北方領土問題に対する調査研究ということで、国民世論啓発等に役立てるための調査研究。より調査研究の成果を世間に発信しながら、こういったものをやっていくといったことでございます。
  それから、元島民に対する必要な援護等の実施ということでございまして、現在も実施していることでございますけれども、今までの各種記録でございますとかそういった元島民が行う資料収集の活動に対して支援を行わせていただく。
  それから、元島民等が自分のふるさとに帰っていくというのが自由訪問でございますが、ふるさと訪問等の事業をより充実させて実施していく。
  それから、貸付業務の円滑な実施ということで、援護措置の一環といたしまして、元島民に対して事業資金、生活資金の貸付業務を実施させていただきたい、きめ細かに実施させていきたいということでございます。
  それから、財務内容その他業務運営に関する重要事項ということで、より予算内での業務運営を図り、効率化を図るといった目標を立てているところでございます。
  49ページでございますが、評価基準等々につきましては先程国民センターのほうでご発言いただいたとほとんど同じでございまして、4段階に分けてご審議いただくということでございます。
  私ども、どうしても国民広報・啓発といったような業務の性格上、非常に評価が難しいといったようなことがございますが、先程申し上げましたように、できるだけ数値目標というものを掲げさせていただいたということで、そういったものを含めまして相対的な評価をいただけるのではないかというところでございます。以下のページは、評価項目等々が載っているところでございます。
  繰り返しでございますが、国民運動といったようなことでございます。来年は日露修好条約締結150年、サンフランシスコ平和条約から50年といったようなことでございます。1つの転換期にかかりまして、また、3月にはプーチン大統領が再選されたということで、より政権基盤の強いロシアの政権下で今後どういった外交交渉ができるかということだろうと思いますが、その基盤となる国民世論を充実強化させていくといったことは非常に重要なことであろうと思っています。今後とも委員の皆さまのご関心、ご理解を賜ればと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
  以上、簡単でございますが、説明とさせていただきます。ありがとうございました。

○富田分科会長
  それでは、ただいまのご説明についてご質問などありましたら、どなたからでもご発言をお願いいたします。

○阿曽沼臨時委員
  よろしいですか。

○富田分科会長
  どうぞ。阿曽沼委員。

○阿曽沼臨時委員
  国民生活センターですが、PIO-NETで、いわゆる苦情情報の登録で平均所要日数15%削減ということなのですが、これは登録項目がどのぐらいあって、今どのぐらいかかって何日にすると15%カットになるのかという点が1つ。剰余金の主要目的というのが1つ大きな目標になっていますが、基本的なことなのですが、剰余金の定義と剰余金がどのぐらい本当に出てくるかという想定の基に、どんな形でそれを使うという目標を立てられているのか少し具体的に教えていただきたい。それから、3点目は個人情報の保護ということで非常に重要なのですが、組織としてプライバシーマークなどをお取りになるというような目標は、平成15年度、16年度にありましたか。苦情を受け付ける組織としてはプライバシーマークを取っておいた方がいいのではないかなと単純に思うのですが、その辺についてのご計画がもしあれば教えていただきたい。

○富田分科会長
  はい、お願いいたします。

○幸田国民生活局消費者調整課長
  3点ほどご質問をいただきました。まず、全国500か所ほど消費生活センターがあって、そこでの消費者からの苦情相談を入力しているわけですが、今、入力項目が何項目というデータを持っていませんが、具体的に文章の部分と項目で入力する部分がございます。どういう業種であるかとか、どういうような契約内容であるか、人への危害が生じているのかどうかとか、そういった記号での分類の所が1つ。あるいは、具体的な事業者名、あるいはどういった契約でどういうトラブルが発生したのかというような文章の部分がございまして、そういうものを入力しているわけです。今、基本的には、各消費生活センターで相談員が相談カードというものを書きまして、それをそのまま外注、委託に出して入力をするというやり方をとっております。先程も申し上げましたが、この10年間で全体の相談件数が4.4倍ぐらいに増えているということもありまして、実は今、それを入力するまでに1か月から2か月ぐらいかかっております。そうなってまいりますと、例えば架空請求ですとか、大学の学生がマルチまがいのトラブルに遭うとか、新手の被害に対する対応がなかなかできないという部分がございます。そういったところから、今東京とか大阪では直接相談員がコンピュータに入力していくというような方法を徐々に取り始めております。できるだけ早く入力して、それを活用して、どんどん広報啓発活しながら被害を防ぐ手を打っていきたいと考えているというのが1つでございます。
  2点目、剰余金の話ですが、基本的には、ほぼ政府の交付金丸抱えということであり、収支差補助でやっておりまして、何か剰余金が出るという具体的な想定があるわけではございません。万一出たら、こういう商品テストにかかる機器の更新とかいったものに活用していこうということで書いてあるわけでして、何かこういうものが出てくるであろうと想定をしているわけでは全然ございません。
  3点目、個人情報の関係でございます。個人情報保護法の建前では基本的には各民間事業者がまず苦情を受け付ける。それから、各業界団体がそういう苦情を処理していく。それで駄目なら、また各所管省庁も対応していくということになっているわけですが、1つはそういう業界横断的に各都道府県が苦情相談に当たるということになっております。さらに、それらについて国民生活センターも統一的にその苦情相談に応じていく。さまざまな個人情報のトラブルに関する相談を受け付けていくというふうに国民生活センターが位置付けられておりまして、その関係の業務をやっていくということでございます。ご指摘のプライバシーマークみたいなものについては、現時点ではまだ何も国民生活センターの方では、採用は考えていないというのが現状でございます。

○富田分科会長
  阿曽沼委員、よろしゅうございますか。

○阿曽沼臨時委員
  私は、所要日数というのは所要時間だと思っていたのですが、少し驚いたのですが、今のおかげで所要月数だというのがよく分かりました。それは、いわゆる情報収集と管理の抜本的なワークフローを変えない限り、きっとうまくいかないのではないかと思います。本当に月数で何か月ということだと、やはりその情報の新鮮さが失われてしまうということであり、国民にフィードバックしても何か価値が下がっていくのではないかなという気が少しいたしました。
  それから剰余金に関しては、例えば、ないのであるとするとここの目標の中に老巧化対応のための修繕設備とか、すごく費用のかかるものが目標として掲げられているので、ここのあたりの目標との整合性というのはどうなのかなという感じがしました。
  それから、プライバシーマークはやはり個人情報保護法の中で5,000以上といいますか、相当の情報が扱われるということでありますので、民間もほとんどの組織はこのプライバシーマークを取っていく努力をしているわけですから、それを受ける組織としてプライバシーマークは取った方がいいのではないかと、個人的にはちょっと感じます。以上です。

○富田分科会長
  他にご質問は。どうぞ、河村委員。

○河村臨時委員
  北方領土問題対策協会の財源面などについて、今日直接ご説明がなかった細かい点で恐縮なのですが、ご質問させていただきたいと思います。
  独立行政法人の中では、こちらは例外的に資金調達の面で長期借入なさることがあり得るということを設立根拠法にお書きになっていらっしゃる独法であるというふうに思います。
  これについて、前身の特殊法人時代から何か過去の経緯等がおありになったのでしょうか。また、この長期借り入れは今日の予算のところにはお書きになっていらっしゃらなかったようですが、もし今後お使いになるとすればどういうような事業についてお使いになるお考えでいらっしゃるのか。それから、根拠法の方に特段、何か借入なさるときに政府保証をお付けになるという記述がないようでございますが、そのあたりについてどのようなお考えでいらっしゃるのかお伺いすることができればと思います。以上の3点でございます。

○影山北方対策本部参事官
  先程申し上げましたように、旧漁業権が消滅した補償措置といったような援護措置ということで、10億円の基金を積み立てているということでございまして、それを運用して、生活資金、住宅資金、漁業資金といったものに充てているということでございます。現在は、毎年14億円の借入限度額で、50億円余りの貸付残高で実施しております。それにつきましていろいろ議論あるわけでございますが、私どもとしては北方領土旧島民に対する援護措置として大きな意義を持っていると考えております。これにつきまして政府保証を付けるかという話でございますが、基本的には各個別法でその措置をしなくてはいけないということでございます。私どもは、現在、一般債権45億円が信用で借りているということでございますけれども、一般債権の残高だけでも50億円ということでございまして、財務内容から見て返済力は十分にある。それから個人向けであることからリスクも少ないということで財務内容が急激に悪化することもないだろう。非常にクローズな母体でございますので、そういった非常にリスクヘッジもしやすいといった状況でございまして、政府保証を付けるというのは基本的には非常に難しいといった状況の中、借入の際等そういった話もないわけではございませんが、現在順調に何とかやっているという実状でございます。

○富田分科会長
  では、浅羽委員。

○浅羽臨時委員
  私も北方領土問題対策協会の財務について教えていただきたいと思います。パンフレットを拝見させていただきますと、貸付の枠などは書かれているのですが、現在の貸付の残高がどれぐらいあるのかということと、どんな貸付でもリスクは全くないわけではないと思うのですけれども、いわゆるリスク管理債権の比率はどれぐらいになっているのか。この2点をお教えいただきたいと思います。

○影山北方対策本部参事官
  はい。今現在、55億円ほどといったことになっております。先程も申し上げましたが、母体が元島民関係で非常にクローズなことでございまして、通常の不良債権といったものの割合よりは大分低い。2%とかそういったところでリスクヘッジも十分に可能であるといったような状況でございます。他のよりは大分低いというふうに聞いています。

○富田分科会長
  大体よろしいでしょうか。時間の関係もありますので、更にご質問のある方は事務局の方にメール等でご連絡ください。本日はどうもありがとうございました。
  本日ご説明いただきました新たに独立行政法人に移行する法人につきまして、国民からすると単なる看板の掛け替えにすぎないのではないかという、そういう厳しい面もあるわけでございますので、評価を的確に行うこと、そして評価手法に磨きをかけていただくということを通じまして、独立行政法人の運営についてよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

○影山北方対策本部参事官
  私どもの北方領土問題につきましても、ぜひご理解とご声援を賜ればと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

○富田分科会長
  これも、やはり明確な評価を通じて、事前の目標とそれに対する評価ということを積み重ねていくことが重要だというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○影山北方対策本部参事官
  はい、わかりました。どうもありがとうございました。

○富田分科会長
  それでは、続きまして文部科学省からのヒアリングを行いたいと思います。
  時間も予定より随分押しておりますので、今日、ご説明受けたあと時間がある限りこの場で質問させていただきますが、残りはまた事務局を通じて質問をするという形になろうかと思います。
  文部科学省の大臣官房政策課和田課長にご出席いただきましたので、文部科学省所管の新設独立行政法人の概要等についての説明を30分ほどお願いしたうえで、ご質問があればお伺いしたいと存じます。
  それでは、説明をお願いいたします。

○和田大臣官房政策課長
  文部科学省の政策課長の和田でございます。
  今日は、独立行政法人の概要ということで7法人分の資料を用意しております。それにつきまして、時間の関係もございますので順次資料に沿ってご説明をしたいと思っております。パンフレット等もお配りしておりますので、それを適宜参照していただきたいと思っております。
  資料4のページに書いてございますように、最初の4つは科学技術振興機構、日本学術振興会、理化学研究所、宇宙航空研究開発機構、これは科学技術の推進に係る独立行政法人でございます。それから日本芸術文化振興会、これは文化振興。それから日本スポーツ振興センター、スポーツ振興。それから私学の振興のための日本私立学校振興・共済事業団という順番になっております。
  1ページ目をお開きいただきますと、独立行政法人科学技術振興機構でございます。これは、ここの目的に書いてございますとおりに、新技術の創出に資することになる科学技術に関する基礎研究、それから基盤的研究開発、それから新技術の企業化開発の業務、それから科学技術情報に関する中枢的機関としての科学技術情報の流通に関する業務、それから科学技術振興の基盤の整備ということで、科学技術に関する議会の答申等も進めている団体でございます。予算的には平成16年度967億円、それから職員が478名となっております。
  事業概要は、1ページの下に書いてありますように5つに大別されますが、これをもう少し詳しくお示しをした資料が、2ページ目に中期目標・中期計画を書いてございますが、3ページ「5.主要事業」の所でこの事業についてご説明をしたいと思っております。(1)の新技術創出研究でございますが、まず1つ目は社会的経済的ニーズに基づき戦略目標を立てまして、競争的環境下で推進する基礎研究、私どもは戦略的創造研究と呼んでおりますが、平成16年度予算で463億円ほどございますけれども、いわゆる競争的研究資金として、公募の上で、研究開発目標のために研究費を交付していくというふうな事業をここの中でやっております。それから、自然科学と人文社会科学を統合して推進する社会技術研究というのが次の1つの柱でございまして、革新的な技術開発研究、それから最近では対人地雷の探知、除去技術の研究開発等も進めております。さらに、昨年からスタートしておりますが、先端計測分析技術機器開発というのも平成16年度予算で85億円ほど予定しておりますが、わが国の先端計測機は、実は外国にマーケットを押さえられている分野が多くて、その先端計測分析技術を国内の技術として開発していこうというプロジェクトを実施しているわけでございます。4ページの(2)新技術の企業化開発ということで、これは特に大学等における研究成果のものを企業化するということでありまして、例えば大学発ベンチャーの創出とか研究成果で企業化開発を推進するための経費はこの中で予定をしております。それから、大学等の海外特許の支援、人材の育成等を行う技術移転支援センター事業というのを実施しておりまして、技術移転を中心に大学等に対して支援をしていくということをこの中で推進をしております。(3)に書いてある科学技術の情報流通は、特に科学者向け研究者向けの科学技術の情報のデータベース化を進めまして、文献情報等も含めた科学技術に関する資料を網羅的に収集いたしまして、その電子化を進めるとともに文献抄録を付しました文献情報に関するデータベース、それからインターネットを介した提供ということで新しい特許の創造等に役立つようなデータベースを整備しておくわけでございます。(4)に書いてございますのは、地域の特に研究開発の共同研究の展開ということで、地域の科学技術振興という意味から地域の共同研究に対してお金を出すとか、それからコーディネーターの派遣によりまして地域研究開発促進拠点の支援を行う。地域独自の研究開発、例えば光科学であるとか、電子材料であるとか、テーマを決めまして地域の研究開発を支援しているわけでございます。その他国際交流といたしまして外国人研究者宿舎の運営であるとか、国際シンポジウムの開催等もこの中でやっております。
  それからもう一つの大きな柱は、(5)にあります科学技術の理解増進ということで、国民の科学技術に対するいわゆる理解を深めることが非常に重要ということで、我が国の場合、諸外国に比べて成人の科学に対する理解度がいささか低いという統計データもございますし、理科や数学について成績はいいのですがどちらかといえば教科としてはあまり好きでないという統計も諸外国に比べて出ております。そういう意味でスーパーサイエンスハイスクールの取り組みを支援していくとか、地域の科学館とかボランティアの活動、その他、お台場にある日本科学未来館を運営するような業務をやってございます。以上が科学技術振興機構の概要でございます。
  続きまして、5ページをお開きいただきたいと思います。日本学術振興会の業務が書いてございます。日本学術振興会も70年にわたる非常に歴史を持つ機構でございますけれども、昨年の10月から独立行政法人として新たにスタートしております。
  中身といたしましては、一番大きな業務は学術研究の助成でございます。それから研究者の養成、その他、学術の国際交流協力の諸事業を行っているわけでございまして、21世紀COEプログラムの審査・評価業務なども、日本学術振興会で審査をスタートしております。
  それから、平成15年度から新たに学術システム研究センターを設置いたしまして、大学等に所属する第一線の研究者の参画を得まして、学術振興に必要な調査・研究、審査・評価業務などを実施しているところでございます。
  予算は1,182億円、職員数99名でございます。事業概要は5ページに項目だけ書いておりますが、これも少し詳しい資料が7ページ、8ページにございます。これに基づいてご説明したいと思います。
  7ページでございますが、この中で一番大きいのは学術研究の助成、科学研究費補助事業でございまして、この科学研究費はわが国の科学技術分野での競争的研究資金の非常に中核をなす経費でございまして、第二期科学技術基本計画の中でこの競争的研究資金を倍増しようと、政府全体で平成10年度は3千億円ですが、平成17年度は6千億円に増やそうという計画がございます。その中でも中核的な経費となる科学研究費補助金は平成16年度予算1,830億ほどございますけれども、それにつきまして充実をしていきたいと今進めております。特に、研究者が自発的に計画するあらゆる分野の基礎研究のうち、特に優れたものを、最近は評価も非常に厳しくいたしまして、審査も厳正な評価の中で助成をしていくというシステムを組んでございます。
  研究者の援助事業は、特別研究員制度といたしまして、わが国の特に優れた若手研究者を特別研究員として採用する。例えば、ドクターコース、博士課程に属する者、それからポスドクいわゆる博士課程修了した者を中心にこういう特別研究員として採用しております。平成15年度で4,368人という実績がございます。それから、海外の特別研究員事業でございますけれども、これも優秀な若手の研究員を海外の優れた大学・研究機関に派遣する事業でございまして、これも平成15年度の実績で114人になっております。
  続きまして、学術の国際交流事業といたしまして7ページから8ページに書いてございますが、1つは先端研究グローバルネットワーク事業ということで大学・研究機関等の特に先端研究分野ごとに多国間のネットワークを形成いたしまして共同研究を実施する事業でございます。それから、研究者交流、共同研究、セミナーの実施を推進する2国間交流事業。さらに、若手研究者の国際交流促進事業ということで若手研究者主体の国際共同研究を支援する事業。拠点大学というのを特にアジア諸国、それから我が国に設けまして、学術交流を実施するということで2国間、多国間でのそういう拠点大学方式による交流をやっております。それから、外国人特別研究員につきましては、8ページにございます諸外国の優秀な若手研究者をわが国の大学に受け入れる事業を推進をしておりますし、外国人の研究者を招致事業ということで、外国人研究者からの申請に基づいて招聘して共同研究を行わせるということをやっております。
  4.の学術の応用研究事業、特に人文社会科学の振興ということで、学際的、学融合的に取り組む課題設定型のプロジェクト研究を推進しております。
  さらに、5、6、7は一括して申し上げますけれども、学術の社会的協力連携推進事業ということで、国内外の研究者を集めてのセミナー、シンポジウムを開催する事業等をやっておりますし、学術情報事業では情報のデータベース化の作成、それから先程冒頭に触れました学術システム研究センター事業ということで、日本学術振興会が行いますファンディング事業に対して評価・審査はやはり厳正に行われることが非常に重要ですし、これにはかなりの専門家の結集が必要でございます。そういう意味では、審査・評価体制を充実させまして必要な調査・研究を実施しているわけでございます。
  今度は独立行政法人理化学研究所のご説明に移りたいと思います。理化学研究所も実は戦前大正時代から存在をしているわが国の先端的研究の中核をなす機関でございまして、例えば湯川博士とか朝永博士とか仁科芳雄博士とか、それから鈴木梅太郎博士とか、この理研で研究をなさった方々でございます。昭和に入りまして特殊法人としてやっておりましたが、昨年の10月から独立行政法人として新たにスタートをしております。予算額といたしましては、平成16年度で749億円。それから職員数は定年制職員ということで685名。その他任期制の職員で2,000名ほど設けております。理事長は野依理事長でございます。事業の概要につきましては、そこにまた項目が書いてございますが、これももう少し詳しい資料がございますので、11ページ、12ページで説明をしたいと考えております。
  理化学研究所の1つの目的は、物理学、科学、工学、生物学、医科学という幅広い分野によって基礎研究から応用研究に至るまでの研究活動を展開する。さらに、実用化をかなり目指した研究活動を展開しております。基礎科学研究の中では特に環境分子科学研究。それから最近力を入れておりますのはナノテクノロジーで、特に次世代のナノサイエンステクノロジー研究等でございます。それから、加速器科学研究ということで重イオン科学加速器等使いました研究、それから播磨にございます放射光施設を使いました放射光科学研究等を展開しております。
  さらに、プロジェクト研究といたしましては、これはどちらかといえばバイオ系、ライフサイエンス系が多いわけですが、脳科学の研究、ゲノム科学の研究、それから再生医療等の科学総合研究、遺伝子多型の研究、免疫・アレルギーの研究等が最近目覚ましい成果を出している分野でございます。
  それから、成果の普及促進ということで、これも研究成果とか生物遺伝資源の知的財産について権利化を図りまして、特に理研発ベンチャーというのも最近多数存在、発生をしてきておりまして、そういう意味では、知的財産についての活用を促進しているというふうな状況でございます。
  施設及び設備の共用につきましては、これは特に重イオン加速器等を中心に共同研究を進めるということで、施設・設備を外部研究者と共用できるような体制をやっております。
  さらに、12ページに移っていただきまして、研究者および技術者の養成および資質向上ということで、博士研究員等の若手研究者、大学院生等を積極的に受け入れまして理化学研究所において研究を行わせるということで、次世代の研究者、技術者の養成を図っております。
  播磨にございます特定放射光施設は、電子を屈折させた場合に出る、極めて明るい放射光を多数の研究者が利用できるような設備を設けた施設でございまして、民間も含めて共用促進することで科学技術の研究基盤の強化を図っているという状況でございます。
  13ページに移りまして、独立行政法人の宇宙航空研究開発機構でございます。これも昨年10月からスタートをしておりますけれども、前身は3法人を統合いたしております。1つは大学共同利用機関の宇宙科学研究所。それから、以前から独立行政法人だった航空宇宙技術研究所。それから、いわゆるNASDA、宇宙開発事業団の3法人を統合した形で、この宇宙航空研究開発機構が誕生しております。
  やっております事業は、宇宙科学に関する学術研究、それから宇宙科学技術に関する基礎研究および宇宙科学に関する基盤的研究。いわゆるロケットの開発、それから人工衛星の開発等をこの中でやっております。それから打ち上げ、追跡、運用等。もう1つの柱といたしまして、航空科学技術に関する基礎研究、航空に関する基盤的研究開発ということで、航空分野での研究開発を推進しているわけでございます。平成16年度予算は1,792億円、職員数1,772名という形になっておりますけれども、事業概要は13ページに8つに大別されておりますが、もう少し詳しいものが15ページ、16ページにございますので、そこでご説明したいと思います。
  1つは大学との学術研究について、特に大学の中でも宇宙科学に関する学術研究を行うということで共同利用機関としての形態を維持しつつ、学術研究を行っていきたいと思っております。
  それから、宇宙科学技術・航空科学技術に関する基礎研究および宇宙科学技術・航空科学技術に関する基盤的研究開発ということで、この中でロケットの開発をやっているわけでございますが、ご承知のように昨年の12月にH2Aロケットにつきましては残念ながら打ち上げに失敗いたしまして、それに情報収集衛星を2基積んでおりましてけれども、それとも一緒に駄目になってしまったということで非常に残念な結果に終わっております。
  ただ、これにつきましては、科学的な原因究明はもうほぼ終了いたしておりまして、そういう意味で、これからロケットそれから部品の信頼性の向上を更に図りまして、次の打ち上げの準備に備えていきたいと考えております。一方、H2Aロケットはそういう意味ではある程度技術が確立された段階で民間に移転することを予定しておりまして、そういう意味ではこの宇宙航空研究開発機構としてはH2Aの次のタイプの、何と言いますか、より重いものを運べるようなロケットの開発に最終的には移行していくことを予定しております。
  人工衛星等の開発、それからこれに必要な施設の開発ということで、人工衛星の開発もやっております。打ち上げ、追跡、運用ということで設備の開発をやっております。そういう意味では、それに伴う成果の普及それから機構の施設・設備の学術研究、科学技術に関する研究開発および宇宙の開発利用を行うものの利用に供することもうたっております。
  さらに、宇宙科学および宇宙科学技術、航空科学技術および研究者、技術者の養成ということもやっておりますし、大学の要請に応じまして大学院における教育、その他大学における教育についても協力をしております。
  17ページに、この宇宙3機関の統合の図がございますが、先程申しましたように3機関の見直し合理化ということは、左に少し書いてございますようにH2Aロケットの標準型を民間移管したり、それからM5ロケットの研究開発をしたり、それから国際宇宙ステーション計画については大幅な見直しをやったりというふうに考えております。右側の四角の所に少し書いてございます、事業を重点化することが重要でございます。特にロケットの失敗を受けまして、特にロケットや部品の信頼性向上というのが一番重要なこれからのポイントでございます。1つ1つの部品がやはり信頼性を持って、打ち上げに対して用意されるということは非常に重要なことでございまして、そういうことに重点化をしていきたいというふうに考えております。宇宙科学研究の確実な推進、そしてオープンラボということで産学官連携の推進を図っていきたいと、も考えております。以上が宇宙関係でございます。
  続きまして、独立行政法人日本芸術文化振興会についてご説明をいたします。これはほぼ3つの事業に大別されますが、1つはわが国古来の伝統的な芸能の保存・振興、それから2番目が現代の舞台芸術の振興・普及、それから3つ目が広くわが国の芸術文化の振興・普及のための活動に対する援助ということを目的として活動をやっております。平成16年度予算127億円、職員数319名でございますが、今3つに大別いたしましたが、事業概要で4項目書かれておりますので、その内容は20ページ、21ページをちょっとご覧いただきたいと思います。
  1つは芸術文化活動に対する援助でございまして、芸術家、芸術団体が行う芸術の創造普及を高める活動、それから地域の文化振興を目的として行う活動、それから文化に関する団体が行う文化の振興・普及を図るための活動ということで、そういう舞台芸術の水準向上に優れて資する優れた講演や活動に対する援助ということで、芸術家、文化活動に対する援助を行っております。それから、伝統芸能の公開ということで、国立劇場それから国立演芸場等を使いまして、歌舞伎・能楽等につきまして自主公演を行うとともに歌舞伎の鑑賞教室等を実施するという事業も行っております。現代舞台芸術につきましては、新国立劇場におきましてオペラ、バレー等の自主公演、それからオペラ鑑賞教室等の実施によりまして青少年への機会の提供ということをやっております。
  21ページに行っていただきまして、もう1つ、伝統芸能伝承者の養成ということで歌舞伎の俳優それから歌舞伎音楽演奏者、能楽等につき伝承者の養成を行うとともに、現代舞台芸術につきましてはオペラ歌手、バレーダンサー等の研修を行っております。その他、伝統芸能、現代舞台芸術の調査研究も実施をしております。以上が日本芸術文化振興会でございます。
  続きまして、日本スポーツ振興センターのご説明でございます。特に、スポーツの振興それから児童、生徒の健康の保持・増進ということで、スポーツ施設の運営。それからスポーツ振興のために必要な援助、それから児童、生徒の災害に対する必要な給付、健康の維持・増進に関する調査研究等を行っております。平成16年度予算は83億円、職員数417名ということで、これもスポーツ施設の運営それから研究支援、助成等行っておりますが、少し詳しめの資料がございます。
  24ページ、25ページにございますように、先程法人の目的はご説明をいたしましたが、1つはスポーツ施設の運営ということで、国立の霞ヶ丘競技場や国立の代々木競技場、それから西が丘にある国立スポーツ科学センターでスポーツクリニックやトレーニングということで、トップレベルの競技者への支援という事業をこの中で行っておりますけれども、そういう施設の運営をやっております。
  それから、スポーツ活動に対する助成事業ということで、助成を行うための資金といたしましてスポーツ振興基金とそれからスポーツ振興くじが2つ使われております。スポーツ振興基金は約300億の基金でございますけれども、その運用益、それから平成13年度からスタートしておりますスポーツ振興くじtotoの収益を基にいたしまして、スポーツ活動に対する助成ということで、我が国の国際競争力の競技力の向上、それから、誰もがスポーツに親しめる環境作りを中心にやっております。
  (4)にあります災害給付事業でございますが、これは学校の管理下における児童生徒等の災害についての医療費の支給という事業をやっておりますし、それから学校における児童生徒の健康の保持・増進に関する調査研究も併せて実施をしている状況でございます。以上が日本スポーツ振興会でございます。
  26ページに行っていただきまして、日本私立学校振興・共済事業団でございます。この日本私立学校振興・共済事業団は大別しますと2つの事業に分かれておりまして、1つは私立学校に対する教育の充実という意味での補助金の交付、それから資金の貸付、それから私立学校教育に関する援助に必要な業務ということを総合的・効率的に行っております。もう1つは私立学校職員共済法の規定による共済制度の運営ということがございますが、この事業団につきましては10月1日から特に助成事業を対象といたしまして、独立行政法人に準じた管理手法が導入されたということで、助成業務について独立行政法人の管理手法を導入しているわけでございます。この事業団全体の予算は平成16年度で2,542億円、それから職員数は1,631名というかたちになっております。
  この助成業務についてご説明をしたいと思います。26ページの下に1から7まで書いてございますが、これももう少し詳しめの資料が28ページ、29ページに書いてございます。私立学校の特に教員の教育の充実という意味でそこの28ページの事業団の事業の「ア」の所に書いてあります私立大学等経常費補助金の交付事業というのをやっておりまして、これは国からそういう補助金の交付を含めまして財源として学校法人が設置する大学、短期大学、高専の教育研究に必要な経常的経費、人件費も含まれますが、補助金を交付する事業です。平成16年予算としては3,262億円という数字になっております。
  それから、施設・設備の整備等にかかる資金の貸付事業ということで、学校法人それから準学校法人が設置する私立学校、専修学校、各種学校の施設整備の経費。それから経営のために必要な資金の貸付事業ということで、実績としてはこれ平成15年度約800億円弱という形になっております。
  それから、助成金の交付事業につきましては、私立学校の共済、教育の振興上必要と認められる事業を行うものに対しまして事業費の一部として助成金の交付をしております。さらに、寄付金の受け入れおよび配付事業ということで、私立学校教育振興のための受配者指定寄付金ということで、寄付を受ける者の指定した寄付金を受け入れまして管理配付するということやっております。これは税制の関係上、この私立学校共済事業団を通しますと全額損金算入されるというメリットがございまして、そういう意味では非常に利用されているわけですが、一方、来年度4月から、さらにこれをもうちょっと使い勝手を良くするということで、手続きをより簡素化いたしまして、この受配者指定給付金制度の拡充を図りたいと考えております。
  それから、学術研究振興資金の交付事業ということで、いわゆる一般からの寄付金により設定いたしました学術研究振興資金の運用。運用益で、特に学術研究には必要な経費に対して資金を交付する事業をやっております。それから私立学校の教育条件や経営に関しまして調査、分析、情報の収集を行いまして、必要な情報の提供それから相談助言、相談指導等を行っている事業をやっております。
  その他、私立学校の共済法の規定に基づく共済事業をやっておりますが、これはそういう意味では共済事業でございまして、一般の短期給付、長期給付はこの中で含まれているわけでございます。以上で、簡単でございますが時間の関係上説明を終わらせていただきます。

○富田分科会長
  はい、ありがとうございました。
  それでは、ただいまの説明についてご質問などありましたら、どなたからでもご発言をお願いします。
  今日は、主に業務の概要についてお話を伺った感じでして、独立行政法人としての運営方針なり、評価のやり方といったことについて時間の制約等があってお聞きしなかったのですけれども、和田課長、どれかピックアップしてでもよろしいですから、こういうことをやっているのだということをご紹介いただけませんか。

○和田大臣官房政策課長
  それでは、おそらく中期目標・中期計画のあたりでご説明した方がいいかと思いますけれども、事業の概要と重複する分野もございますが、例えば2ページの資料を使いましてご説明したいと思います。
  ここの中では、1つは新技術の創出に関する研究というのがございます。それで、先程の業務の内容は目的といたしましたが、特にそういう意味ではこういう研究を行う場合は、事前・中間評価それから事後評価が非常に重要でございまして、研究課題を採択する前の事前評価、それから中間・事後評価を、外部専門家を集めて実施していただきまして、その評価の結果、さらに次の年への資源配分の反映と評価、それから公表を行うということを重点的に進めたいと思っております。
  それから、新技術の企業化研究につきましては、特に研究開発の実用化という観点から数値目標を明確に設定する必要があるということでございまして、成果の育成プログラムにつきましては、例えば研究開発継続率を85%確保するとか、特許数、企業の開発斡旋、実施許諾の件数ということで特許の数で120件/年。それから、企業数で60件以上を実施したいという目標を設定しているわけでございます。
  産学官研究につきましても、研究終了後3年以内の企業化開発、企業化ということで、全体の20%をそういうふうにつなげていきまして、わが国の産業の新しい芽を作っていきたいということを目的としております。
  情報技術につきましても、同じ要するに135万件以上のアクセス数の確保ということで、このネットワーク事業を更に展開していきたいという形で独立行政法人としての数値目標を設定しております。
  その他、例えば、外国人研究者用宿舎を運営しておりますが、入居率が80%に達していないものですから80%にするとか、科学技術の理解増進に関しましてはスーパーサイエンスハイスクールの活動の支援、日本科学未来館については来館者数の目標を定めてそれを確保したいということです。
  先程はご説明いたしませんでしたが、こういう中期目標・中期計画は各法人の分を掲げております。特に、数値目標や具体的な目標については下線部で規定をいたしまして、そういう意味で独立行政法人として業務の効率化を図りつつ、一方でこういう目標も数値目標として明確に示して、今後各法人が努力して目標を達成していくという形を文部科学省としては取っているということでございます。

○富田分科会長
  どうぞ、松田委員。

○松田臨時委員
  日本学術振興会の件でお尋ねしますが、特殊法人等改革推進本部参与会議の指摘事項の資料の中に、参与会議から中期目標・中期計画に定量的な目標がほとんど認められず不適切ではないかというご指摘があって、それに対する対応としては、管理費の削減目標と事業費の削減目標が示されてはいますが、この種の目標というのはどの法人もある意味で平均的に掲げられているものですし、指標も、実はこれは厚生労働省でもそうだったのですが、ほとんどどこの法人も同じような一律目標に近いような感じで示されておりまして、実際にこのご指摘に対して、独立行政法人および評価委員会の皆さま方がどういう議論をなされたのか教えていただけますか。

○富田分科会長
  和田課長、お願いします。

○平野振興企画課長補佐
  今、具体的にとお尋ねがございましたので、ご指摘がありましたように、各独立行政法人の全体について参与会議からご指摘をいただきまして、基本的にそのことを私どもで議論いたしまして、平成14年度予算を基準として13%以上の削減を図るということと、事業費を毎事業年度対前年度比で1%以上効率化していくということでございます。具体的に効率化というのは、前年度の予算に対して1%減額をしていくということでございます。先程の13%以上の削減につきましても、14年度の一般管理費の内の該当部分を5年後の評価時に、全体の高さとして13%以上削減していくという目標を掲げているところでございます。

○松田臨時委員
  すみません、質問の趣旨は、それはもう既に書かれていらっしゃるし、他の法人でも皆さん、お取り組みの項目だと思いますが、それ以外にこの参与会議のご指摘に対してなんらかの対応をされていることはございますでしょうか。

○平野振興企画課長補佐
  それ以外には個別の事業。例えば、国際交流事業がございまして、国際化が相当進んでおりますので、時代の変化あるいは研究者のニーズに応じて事業を10%削減していくということですとか、人件費については職員の勤務評定を厳格に行いまして、連続する特別昇給等のメリットの方は促進する、あるいは逆に給与の減進をしていくとか、具体なことをかなり議論しまして中期計画の中に盛り込んでおります。

○松田臨時委員
  多分、ファンディングエージェンシーの評価そのものは非常に難しいと思うのです。ですから、業務の効率化等はおそらく他の法人でも皆さんいろいろ工夫をされて、定量化・指標化しやすいと思いますが、本来の目的であるエージェンシーのミッションをどう評価していくのかというのは非常に難しいので、例えば、今の時点でそのやり方がすぐ分からなくても、何かそこをもっと研究していこうとか、あるいは役員の先生方が皆さまと一緒に取り組んでいらっしゃるとか、あるいは他の、例えば海外のそういうファンディングエージェンシーの評価はどうなっているのか研究するとか、必ずしも正解や良い答えを今すぐに出すという意味ではなくて、この制度をどう運用していこうかと思っていらっしゃるのかという当たりももしあればお願いします。

○平野振興企画課長補佐
  その点に関しましては、ファンディングエージェンシーは非常に難しゅうございますので、先程和田の方からお話しいたしましたように、学術システム研究センターということで現役の先生方にご協力を得まして、今後ファンディングエージェンシーとしてどういう評価体制を組んでいくか。あるいは、NSFやマックスブランク等諸外国のファンディングエージェンシーの調査等も行いまして、今文部科学省の評価委員会の評価部会の先生方と相談を進めているところでございます。

○松田臨時委員
  そうすると、参与会議でそういうご指摘のあったものに対して、なんらかの具体的な指標なり、目標を提示できるのがいつごろだとか、そういうスケジュールのようなものは今後お示しいただけるということですか。

○平野振興企画課長補佐
  今後、評価部会の先生方とご相談しながら、私どもで対応してまいりたいと思っております。

○松田臨時委員
  ありがとうございました。

○富田分科会長
  今の松田委員の指摘は極めて本質的なところでして、ぜひとも早期に、まずはどういうふうに評価するか、これは事前にあらかじめ評価する方法を決めておきませんと、今度は科学研究費を受け取る側の先生方も困ってしまうわけです。したがって、その評価をどういう方法でやるかということは早期に明らかにしておく必要があるわけでして、これはやはり独法化において大きな役割を担うところですので、至急に検討をお願いしたく存じます。
  今日は、ご説明いただいたのですが、予定の時間がまいりまして、質問はたくさん残っていると思いますので、事務局に連絡していただいて、後日また文部科学省からご回答をいただきたいと存じます。
  今日は、お忙しい中、和田課長におかれましてはご説明ありがとうございました。特殊法人等改革に伴いまして、独立行政法人に移行する法人につきましては、定期的な評価等を通じて、これまで特殊法人時代に抱えていた問題が克服されるよう、評価手法の確立、そして厳しい、明確な目標の設定ときちんとした的確な評価ができるように、ぜひとも踏まえていただきまして、国民から単なる看板の掛け替えではないかという指摘をいろいろ受けておりますので、そういうことがないように評価手法のレベルアップを図っていただきたいと思います。ありがとうございました。
  時間も押しておりますが、引き続き報告事項を事務局からお願いいたします。

○讃岐評価監視官
  では、報告事項を2点まとめて簡単にご報告したいと思います。資料は一番下に参考資料1と参考資料2というものが付いていると思います。
  参考資料1は、これまで何回も議論していただいた教員研修センターでございます。これは今年度末で第1期中期目標期間が終了して4月1日から第2期が始まるということで、当委員会が出した勧告の方向性に沿って文部科学省で1から議論をすべて見直して新しい中期目標を立てているということでございます。その状況については前回ご説明いたしましたけれども、最近の動きといたしまして、新しい中期目標案について、先週3月24日自民党の行革本部に対して文部科学省から報告がなされました。そのときにあった議論といたしまして、1点だけでございますけれども、校長、教頭等の研修について、もともと22日の期間を19日に短縮するということですが、更に短縮を図るべきではないのかという議論が出ました。これにつきましては、文部科学省の対応といたしまして、新しくすべて研修を作り直して、講義をやめて演習形式だけにするということでカリキュラムを組み直したわけですが、ただし、今後地方でできるような研修というものが出てくると思われます。地方の指導者層を育成していくというプログラムを別途作っているものですから、次の3年間の中期目標期間中において、地方で研修ができるものも出てくるであろうということで、結論といたしましては、次の3年間の中期目標期間内に日数を減ずることについて検証していくということを明確に中期計画の中に書くとともに、どの程度の日数を減ずるかということについては、その場の口頭で1週間程度減ずるということについて説明がなされたところでございます。
  これにつきまして、これから当評価委員会あるいは文部科学省の評価委員会等でも評価をしながら推進を図っていく必要があろうということでございます。この教員研修センターにつきましては、新しい中期目標・中期計画の策定を受けて、次回4月23日のこの委員会あるいは分科会におきまして、最終的に審議を行っていただき、最終的に勧告の方向性を受けて取られた措置について確認をし、勧告を行うのか行わないのかという最終的な意志決定を行うこととなり、併せて、何らかのコメントするべき点があれば、どういうものがあるのかということについてご審議いただくことになると思います。
  2点目は、役員の業績勘案率についてです。前回、業績勘案率の考え方についてご審議いただきましたが、今後、既に新聞事例などで出ているものも含めて今年度末にお辞めになる役員の方も何人かいらっしゃるようですので、これらも含めて今後、ご審議いただくことになろうかと思います。資料は各省の評価委員会で今取りまとめている業績勘案率の決定に当たっての基準、あるいはその案ということでございます。お時間のあるときにご参照いただければと思います。以上、2点ご報告いたします。

○富田分科会長
  はい、ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は、ご多用中のところをご参集いただきましてありがとうございました。
  次回の日程につきましては4月23日ということであります。

○讃岐評価監視官
  4月23日には、最後に残った3省、財務省、国土交通省、農林水産省からヒアリングを行います。どうかよろしくお願いいたします。

○富田分科会長
  それでは、どうもありがとうございました。

(了)

  分科会終了後、松田臨時委員から内閣府所管独立行政法人の概要に関する追加の質問があり、その内容と内閣府からの回答を委員に報告したので、本議事録に掲載する。

(内閣府所管独立行政法人の概要等追加質問及び回答)→別添のPDFファイル参照



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