1. | 日時 平成16年9月13日(月)13時00分から16時10分 |
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2. | 場所 中央合同庁舎第2号館 第1特別会議室 |
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3. | 出席者 | ||
( | 分科会所属委員) 村松岐夫委員長、富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫委員 縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、河村小百合、黒川行治、鈴木豊、 松田美幸、丸島儀一、山本清、山谷清志の各臨時委員 |
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( | 総務省) 田村行政評価局長、福井官房審議官、伊藤行政評価局総務課長、 若生評価監視官、山下評価監視官、榎本調査官、岩田調査官、加瀬調査官 |
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4. | 議題 | ||
(1 | ) 見直し素案に関する府省ヒアリング(文部科学省) | ||
(2 | ) 報告事項 |
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5. | 配付資料(PDF)
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6. | 参考資料 | ||
文部科学省作成資料 |
○ | 樫谷委員(分科会長代理) 時間になりましたので、ただ今から、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開催いたします。 本日は、富田分科会長が、急きょ、この時間に他のご予定が入ってしまい、途中からのご出席になりますので、あらかじめご報告させていただきます。また、その間の議事 進行につきましては、私が務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。 さて、本日の分科会は、前2回に引き続き、17年度末までに中期目標期間が終了する56法人の見直し素案に関する各府省ヒアリングの一環といたしまして、文部科学省所管14法人の見直し素案に関するヒアリングを行います。 このヒアリングは、今後、当分科会として、主要な事務・事業の改廃に関する勧告の方向性の検討を行っていく上で、非常に重要な意味合いを持つものと考えておりますので、委員の皆様のご協力を何とぞよろしくお願いいたします。 では、初めに、事務局からご説明をお願いいたします。 | ||
○ | 若生評価監視官 お手元の資料を簡単にご説明いたします。 中央に文科省所管独立行政法人の見直し素案、資料1がございます。これが本日のメインの資料でございますけれども、時間の都合上、短時間で説明していただくために、席上左の方に文部科学省作成資料がございます。本日、文科省の説明は、この作成資料を中心に行われるということでございます。 文科省関係の法人の前倒しの状況ですけれども、今回、見直しの関係は14法人ということですが、その中で、前倒しを予定している法人は9法人ということでございます。 考え方としましては、宿泊訓練関係のオリンピック記念青少年総合センター、国立青年の家、国立少年自然の家、国立女性教育会館の4法人と、旧科学技術庁系の研究開発法人の物質・材料研究機構、放射線医学総合研究所、防災科学技術研究所、それに国立科学博物館、これは博物館という名称ですけれども、業務としては研究関係がメインであるということで、研究開発法人として前倒しで審議をするということでございます。それから、大学入試センター、これは国立大学法人との関係もありまして、非公務員化について前倒しで議論していただきたいと、こういうこともありまして、前倒しのグループに入っているものでございます。 文科省関係、この14法人のうち、国立青年の家と国立少年自然の家、これは既に非公務員化されておりまして、それを除きます12法人すべてについて見直し素案の段階で非公務員化という方向が出されております。また、個別の事務・事業の見直しの中でも、他省に比べますと割と積極的にその廃止等について、素案の段階で盛り込まれているということで、各省に比べれば、かなり検討が進んだ形で見直し素案が出されてきております。以上でございます。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) それでは、文部科学省所管14法人の見直し素案につきましてヒアリングを行いたいと思います。 本日は、文部科学省所管法人を三つのグループに分けまして、説明及び質疑応答を行 うという形で進めていきたいと思います。 説明者が入場されますので、しばらくお待ちください。 | ||
(文部科学省説明者入場) | |||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) それでは、ただ今より、国立科学博物館及び大学入試センター、研修・受入事業等関係法人の国立オリンピック記念青少年総合センター、国立青年の家、国立少年自然の家及び国立女性教育会館の6法人の見直し素案につきまして、文部科学省からご説明していただきます。 本日は、文部科学省藤田生涯学習政策局審議官、徳永高等教育局審議官、尾山スポーツ・青少年局総括官はじめ、ご担当の皆様にお越しいただきました。 それでは、順を追ってご説明をいただきます。説明の時間は、6法人合わせて30分、1法人約5分ぐらいにしていただいて、質疑の時間を長くしたいと思いますので、時間厳守でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 文部科学省の生涯学習政策局の藤田でございます。私の方から、まず、国立科学博物館につきましてご説明をさせていただきます。お手元には見直しの素案、分厚い資料があるわけでございますけれども、時間の関係で横長のカラー刷りの資料を使い、ご説明をさせていただきたいと思います。お手元にございますでしょうか。 国立科学博物館についてでございますけれども、まず法人の使命と国の政策との関連でございます。1ページ目のところに科学技術創造立国の実現、生物多様性保全、そのような観点からの国の重要な施策との関係が記されてございますが、これについては1枚めくっていただいて、2枚目をご覧いただきたいと思います。科学技術創造立国実現という観点からは、科学技術基本法及びこれに基づく基本計画におきまして、基礎研究の推進とともに科学技術創造立国実現のために国民の科学リテラシーの向上が必要であると。そして、それにおきまして、科学系博物館の役割が極めて重要であるということ等が指摘されております。また、平成14年、政府によって策定されました生物多様性国家戦略におきまして、生態学や分類学を中心とした基礎的研究の推進と、これに果たします自然史系博物館の役割の重要性等が指摘されているところでございます。国立科学博物館は、我が国唯一の総合的な自然科学系の博物館でございます。そういった観点から、この科学技術創造立国、生物多様性を実現するための施策の中核的な役割を担う機関でございます。 業務につきましては、真ん中のところに三つありますが、標本資料の収集・保管事業ということで、自然史及び科学技術史におきます重要な資料・標本類を今現在約330万点収集を行っております。そして、その右側の調査・研究は、これらの標本資料を基にいたしまして、科学技術史、自然史についての体系的・戦略的な総合的研究を進めています。この標本類と調査・研究結果の成果を基にいたしまして、国民に対しての展示・教育普及活動を実施しています。この三つが三位一体となって実施されているということでございます。そして、左側に国内のナショナルセンター機能ということで、三つの成果を基にいたしまして、地域の科学系の博物館に対して支援・助言を行うということと、それから標本の収集の構築、後継者育成としての連携大学院の活動と大学等の機関と連携・協力をしているということでございます。それから、国立科学博物館は、日本を代表する自然科学系の博物館といたしまして、世界の枢要な自然史・科学技術史系の博物館と協力関係にあると同時に、特にアジア地域の博物館に対する技術支援が、最近大きく貢献が求められるという状況でございます。恐縮でございますが、1枚戻っていただきまして、そういうふうな国の施策との密接な関係の中で、左の真ん中でございますけれども、ナショナルコレクションの構築、自然史・科学技術史について総合的な観点から研究を行うというような、他の機関や民間等では成し得ない事業を進めているということで、引き続き独立行政法人として事業を進めさせていただきたいと思っております。 今期の中期目標、17年度末まででございますけれども、現時点では、文部科学省の評価委員会においては、高い評価を受けているところでございますけれども、特に欧米諸国の科学系博物館と比べまして、ナショナルコレクションともいうべき標本資料の収集件数が、一桁低いとのことでございます。この貧弱な状況を改善する必要があるということと、全国の大学等の自然史研究、博物研究は衰退の一途をたどっているということから、調査・研究及び後継者育成の面での、科学博物館の役割の強化が強く求められているところでございます。そういったことで、次期中期目標におきましては、ナショナルコレクションの格段の充実を図る。それから、調査・研究におきまして、特に現代的・総合的な研究課題に対応するため、組織的な研究活動を実施する、より一層の国民の科学リテラシー向上等を図るということ等を目標として、重点的に進めていきたいと思っております。 事務・事業等の見直しにつきましては3枚目をご覧いただきたいと思います。事務・事業につきましては、その次のページで後ほどご説明をいたしますけれども、組織運営につきまして、3ページ目の一番下のところでございますけれども、研究活動の活性化、民間のノウハウ等を極力積極的に取り入れる等の観点から、非公務員化へ移行をしたいと思っております。それから、研究体制につきましては、時代に即応して現代的視点に立った研究、分野融合型の研究等を強力に進めるという観点から、機動的な研究の体制を整えたいと思っております。次のページ、事務・事業の関係でございますけれども、先ほど述べました三つの三位一体の事業、国内、国際的なナショナルセンター事業でございますけれども、標本資料につきましてのナショナルコレクションの収集については、これまでのような形と異なって、できる限り組織的に効率的な収集が図られるよう、現在日本学術会議と相談をしているところでございます。そういった形で、より効率的・戦略的な収集体制を整えたいと思っております。調査・研究につきましては、分野の横断的な総合研究をより一層強化するために機動的な組織体制にいたしたいと思っております。展示・教育普及機能につきましては、より効率的な実施の観点から、研究者・ボランティアが直接入館者へ働きかけの強化をするとか、企業・大学等の人的資源・物的資源をできる限り活用させていただくということで、共催による特別展を行って参りたいと思います。国内ナショナルセンター事業につきましては、特に研修事業について、真にナショナルセンターとして、必要な事業に特化を図っていくということでございます。それから、国際ナショナルセンター事業につきましては、特にアジア諸国の博物館への技術支援の強化を図ってまいりたいと思います。そういった事業を進めるに当たりまして、一番下のところでございますけれども、これまで以上に人件費を含む諸経費の節減を図る。調査・研究費について競争的資金を多く取ってくる。それから特別展等を開催することによりまして、企業・大学等の物的資源や人的資源の積極的活用を図る。それから、入館料の適正な見直しを行う等々いたしまして、外部資金の拡充と自己収入の増を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。 | ||
○ | 徳永高等教育局審議官 次に高等教育局審議官の徳永でございます。大学入試センターにつきましてご説明申します。資料は素案の26ページをお開きいただきたいと思います。また、併せまして、私どもの方から配布いたしました色刷りの資料、「大学入試センターの見直しの概要」というものをご覧いただければと思います。時間の関係で、この色刷りの方でご説明をさせていただきます。 大学入試センターは、昭和52年に設立をされまして、当時は国立大学の共通1次試験を実施するための機関、それから、昭和63年に法律を改正いたしまして、国公私立大学共通の現在の大学入試センター試験をするということが、一番基本でございまして、その他に調査研究事業と情報提供事業を行っているわけでございます。現在行っております大学入試センター試験の主体者は大学入試センターではございませんで、法律上も明確に書かれておりますように、この試験に参画をする国公私立大学が共同して実施をする、そういう強い意思の下に大学入試センター試験が行われているわけでございます。その統一的な業務を処理するというところに特色があるわけでございます。すなわち、大学の入試と言いますのは、大学の自治の一環である教育作用の一つとして行われているものでございまして、本来、大学の自治に任せるべきものでございますけれども、初等・中等教育に対する影響でございますとか、あるいは大学改革の一環として国としても関与し、その上で適正な試験が行われますよう、国公私立大学が新しい試験をするという意思に着目をして、国としてもそのことについて法律をもって関与して、大学入試センターが共通事務を処理しているということになっているわけでございます。したがって、この事務につきましては、いわば通常よくありますように、予備校が同じような試験をやっているのではないか、あるいはどこかの会社でもできるではないかということではございませんので、あくまでも各国公私立大学、現在では全部で約700のうち約550の大学が参加をし、大学受験者59万人のうち55万人が参画をしているという試験でございますが、そのような国公私立大学の一致した意思、そしてまた、国としても入試を適正に行っていくという観点から関与をしているものでございます。これにつきましては、今後とも基本的には継続したいと思っているわけでございます。また、調査研究事業、情報提供事業につきましても併せて行っておりますが、これについては次の2ページ目以下の見直しを考えております。 3ページ目に具体的な見直しの内容がございますが、先ほど申しましたように、大学入試センター試験はこれからも継続してやっていく必要があると思っておりますけれど、これにつきましては、現在712会場でやっておりますが、少し試験会場を集約できないか。あるいは全部の印刷経費が21億円もかかっておりますので、これを少し削減するといったことに努力をしたいと思っております。また、調査研究につきましては、大学入試センター試験に関連をいたしまして、幅広く研究をやっておりますけれど、大学入試センター試験は統一的な処理を要するためマークシート方式でやっています。マークシート方式で本当に考える力が判定できるのかどうか、そういった観点の調査研究に特化をしていきたいと思っております。また、情報提供事業につきましては、昭和63年に法律を改正した時に、幅広く参加をする私立大学等の情報を受験生に対して正しく提供するという観点から始まりまして、当初は、キャプテンシステムを使ってやっておりましたけれど、現在ではご承知のように、各大学がホームページを作りまして、それぞれの大学の情報等を提供しております。したがって、そういう情報提供事業につきましては、当然これは大幅な見直しとして縮小をするということでございます。ただ、大学入試センターとして各大学共通に提供すべき情報提供事業に特化をしていきたいこういうふうに考えているところでございます。 また、資料の2枚目に戻っていただきまして、組織形態の見直しという観点からも、非公務員型の法人に移行いたしまして、様々な業務の効率化、あるいは国公私立大学との人事交流その他を図っていきたいと思っておりますし、また、多様な人材を確保するということで、それぞれの専門性を高めていきたいと思っておるわけでございます。大変簡略でございますが、以上でございます。 | ||
○ | 尾山スポーツ・青少年総括官 文部科学省スポーツ・青少年総括官の尾山と申します。私の方からは、独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター、独立行政法人国立青年の家、独立行政法人国立少年自然の家、三つの法人につきましてご説明をさせていただきたいと存じます。お手元の色刷りの資料でご説明をさせていただきたいと思います。 まず、独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターでございます。そこに使命と書いてございますけれども、心身ともに健全で社会性を有する青少年を育成いたしますためには、学校教育の充実のみならず、学校外におきまして、青少年に成長の糧となるような、様々な体験が得られる機会を提供していく青少年教育の充実を図ることが重要でございます。政府におきましても、青少年の健全育成を国の最重要課題の一つとして位置付けまして、平成15年の6月に、内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚を構成員といたします、青少年育成推進本部を設置いたしまして、その年の12月には、青少年育成施策大綱を決定しているところでございます。この大綱におきましては、重点課題の第1に、社会的自立の支援を掲げまして、そのための施策の基本的な方向といたしまして、ボランティアなど社会奉仕体験活動の振興、地域等での多様な活動の支援、国際交流活動の機会等々に取り組むことにいたしているところでございます。また、青少年の体験活動を促進することは、法律においても規定されておるところでございまして、平成13年に社会教育法が改正され、ボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動等の体験活動の促進が、教育委員会の事務として明記されますとともに、独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター法が改正されまして、子どもゆめ基金を設置し、子どもの自然体験活動、奉仕体験活動等の体験活動に対して、助成金を交付することとされたところでございます。このように青少年教育の振興は、国の重要施策となっているところでございます。 独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターでございますけれども、我が国の青少年教育のナショナルセンターといたしまして、大学等研究機関、外国の青少年教育機関・団体、青少年教育関係機関、青少年健全育成関係機関等と連携しながら、指導者の養成、青少年教育に関するプログラムの開発、国際交流活動の実施、活動の場の提供、関係団体等のネットワークの形成、専門的な調査研究、情報提供、そして団体の助成など総合的な施策を展開しているところでございます。そして、その成果を、青少年教育を担う主体でございます地方公共団体をはじめといたしまして、青少年団体、 2ページへまいります。今後の見直しの方向でございますけれども、基本的な考え方といたしましては、青少年教育のナショナルセンターとしてふさわしい事業に重点化・戦略化を図ること。主催事業、受入れ事業、連携・協力事業、調査研究事業、助成事業の各事業を一層有機的に連携させ、総合的に推進すること。そして、青少年教育の情報提供機能を、各事業において一層充実することといたしております。具体的な事務・事業の見直しでございますけれども、3ページをご覧いただきますと、国の政策課題に対応した研修事業に重点化を図る。青少年健全育成に関する幅広い関係者の研究教育の充実を図り、そのネットワーク化を進める。そして、アジアなど国際交流活動の充実を図ることなど、青少年教育のナショナルセンターとしてふさわしい事業に重点化・戦略化を図ることとしております。また、プログラムの事例を紹介いたしますデータベースの整備・拡充を図りまして、地方公共団体等への成果の普及を充実させることといたしております。受入れ事業につきましては、国の政策課題に合致したプログラムを行う団体の利用を優先いたします他に、モデルプログラムの作成・提供を国際交流事業、芸術文化事業、ボランティア事業等にも拡充し、利用団体の指導・助言を充実したいと考えているところでございます。この他、青少年団体のネットワーク化を一層推進いたしますとともに、青少年の体験活動の効果に関する測定につきましても、一層改良を進め、実践的な調査研究事業の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。 2ページに戻っていただきまして、組織等の見直しでございます。青少年教育のナショナルセンターといたしまして、国内外の青少年機関等と緊密に連携し、我が国の青少年教育を総合的に推進いたしますためには、その機能は国の独立行政法人において行うことが適当と考えているところでございます。今後、国としてふさわしい事業にさらに重点化・戦略化することに伴いまして、組織体制を必要に応じて見直しますとともに、事務の集中・一元化や業務の外部委託の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。また、国立大学法人等との人事交流や幅広い青少年教育の専門家の採用を可能にいたしますため、非公務員化を実施することといたしたいと考えているところでございます。 続きまして、国立青年の家・国立少年自然の家でございます。 国立青年の家は、高校生や大学生、勤労青年の団体宿泊訓練の場として設置されまして、特に共同生活を通じた交流体験や社会体験を得る場として運営されてきているところでございます。近年、青年の交流体験、社会体験が不足していることが指摘されているところでございますけれども、文部科学省の中央教育審議会も指摘いたしていますように、交流体験は一つの関係を築く力を身につけ、社会体験は今後の自分の生き方を切り開く力を身に付けるなど、共に視野を広げ、人間力の向上を図る上で欠くことのできない体験でございます。このような体験をする場としての青年の家の役割は極めて大切でございますけれども、加えて、近年教育改革国民会議が思いやりの心を育てるためにも奉仕学習を進めることが必要という報告をまとめておりますし、また、いわゆる骨太の方針2004におきましても、宿泊を伴った共同生活を通じた体験活動等を推進するということが定められておりますなど、青年の家には国の施策として新たな使命が付加されるに至っているところでございます。国立青年の家は、公立青年教育施設のモデルとしての役割や各ブロックにおける公立施設のリーダーとしての役割を果たしているところでございます。具体的には、中ほどにございますように、青年のリーダー養成、青年教育のモデル的なプログラムの開発、団体での宿泊を伴う交流体験等の体験活動の機会の提供、青年団体の交流の場の提供、ブロック内の公立青年の家及び青年団体との連携の推進などを行い、これらの主催事業、受入れ事業を通じてモデル的なプログラムを開発いたしまして、公立青年教育施設への普及を図っているところでございます。 こうした国立青年の家の取り組みの評価でございますけれども、文部科学省独立行政法人評価委員会からは、下にございますように、喫緊の政策課題に対応した多彩な主催活動を展開し、効果を上げていることや、サービスの向上等により、稼働数を3年連続で大幅に伸ばしたこと等について評価をいただいておるところでございます。 2ページをご覧いただきまして、今後の見直しでございますけれども、まず基本的な考え方といたしましては、ブロック内の青年教育の拠点としてふさわしい事業に重点化・戦略化いたしまして、国の施策や喫緊の青年教育の課題に対応した先導的・モデル的なプログラムを主催事業及び受入れ事業を通じて開発し、公立の青年の家等の一層の普及を図ることといたしております。この考え方を踏まえまして、主催事業につきましては、左側にございますように、国の政策課題や喫緊の青年教育の課題、具体的には社会奉仕体験、キャリア教育・職業観の涵養、困難を抱える青年の支援、青年のリーダー養成などに対応した事業に重点化・戦略化いたしまして、例えば学校週5日制対応事業など、公立の青年教育施設等で実施、定着した事業は廃止することを考えているところでございます。また、成果の普及の充実を図りますために、公立青年教育施設職員の事業参画による研修の機会の提供を図ることも考えているところでございます。受入れ事業につきましては、主催事業で示した課題に合致したプログラムを行う団体の利用を優先いたしますとともに、プログラムメニューの充実などプログラム等に対する指導・助言機能の充実を図っていきたいと考えているところでございます。 組織等の見直しでございますけれども、各ブロック内における公立青年教育施設が行う事業に国の施策を反映することでございますとか、ブロック内の公立青年教育施設や青年団体とのネットワーク化を推進するためには、公立青年の家の機能は独立行政法人において行うことが適当と考えているところでございます。 この法人につきましても、国として真に実施すべき事業に重点化・戦略化することに伴いまして、組織体制を必要に応じて見直しますとともに、業務の実施を踏まえた職員の機動的な配置の実施、事務の集中・一元化や業務の外部委託の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 最後に、国立少年自然の家でございます。 少年自然の家は、小中学生に豊かな自然環境の中で宿泊しながら自然体験活動を行わせる場として設置され運営されているところでございます。中央教育審議会も指摘しておりますように、自然体験活動は、思いやり、自主性、協調性、忍耐力、社会性を養いますとともに、体力向上のための方策としても有効でございます。また、知的好奇心や豊かな感性、道徳観、正義感を育むということも指摘されているところでございます。このようなことから、平成10年に告示されました小学校学習指導要領、中学校学習指導要領におきまして、総合的な学習の時間に自然体験を積極的に取り入れるべきこととされまして、小・中学校が少年自然の家をより活用することが必要になってまいってきております。また、次世代育成支援、あるいは環境教育の推進を図る上でも重要な役割を果たすこととされておりまして、国の施策として新たな使命も付加されているところでございます。国立少年自然の家は、公立の少年教育施設のモデルとしての役割や、各ブロックにおける公立施設のリーダーとしての役割を果たしているところでございます。具体的には、自然体験活動の指導者の養成、自然体験活動のモデル的なプログラムの開発、団体での宿泊を伴う自然体験活動の機会の提供、大自然の中での多様な体験の機会の提供、少年教育団体の活動の場の提供、ブロック内の公立少年自然の家及び小・中学校のネットワーク化の推進などを行い、これらの主催事業、受入れ事業を通じましてモデル的なプログラムを開発し、公立少年教育施設への普及を図っているところでございます。なお、国立少年自然の家と国立青年の家でございますけれども、それぞれ少年期と青年期の発達課題が異なりますことから、少年自然の家が自然体験を中心にしているのに対しまして、青年の家は交流体験、社会体験を中心にしているということでございまして、このようなことから国立少年自然の家、国立青年の家の施設なども異なった整備がなされているところでございます。 国立少年自然の家の評価でございますけれども、一番下のところにございますように、文科省の評価委員会による評価では、少年の現代的課題に対応した先導的な事業や事業の成果の発信・普及に努めたこと、専門性の高い広域的指導者研修事業等の新たな取組を行ったことなどについて評価をいただいているところでございます。今後の見直しでございますけれども、2ページご覧いただきますと、基本的な考え方としては、国としてふさわしい事業に重点化・戦略化いたしまして、国の施策や喫緊の少年教育の課題に対応した先導的・モデル的なプログラムを開発し、国立の少年自然の家への一層の普及を図るということでございます。この考え方を踏まえまして、主催事業につきましては、左側にございますように、具体的には、長期の自然体験活動に対応した事業、総合的な学習の時間に対応した事業、環境教育・環境学習に対応した事業、不登校児童・生徒を対象とした事業、家庭教育の支援を目的とした事業に重点化・戦略化をして、短期の自然体験活動など、公立の少年教育施設で実施・定着した事業は廃止することを考えているところでございます。受入れ事業につきましては、主催事業で示させていただきました課題に合致したプログラムを行う団体の利用を優先いたしますとともに、事前指導、直接指導、事後指導の一層の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。 最後に組織等の見直しでございますけれども、やはり各ブロック内における公立少年教育施設が行う事業に国の施策を反映することでございますとか、ブロック内の公立少年教育施設等とのネットワーク化を推進するためには、国立少年自然の家の機能は、国の独立行政法人において行うことが適当と考えているところでございます。今後、国として、真に実施すべき事業に重点化・戦略化することに伴いまして、組織体制を必要に応じて見直しますとともに、業務の実施を踏まえた職員の機動的な配置の実施や、事務の集中化・一元化、業務の外部委託の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 国立女性教育会館でございますが、横長の色刷りの資料でご説明申し上げます。 国立女性教育会館の使命と国の施策との関係でございますが、1枚目の一番上にございますように、男女共同参画社会の実現というのが、21世紀の我が国の最重要課題の一つとして政府全体で取り組みを進めているところで、具体的には、男女共同参画社会基本法及びその基本計画に基づきまして、男女共同参画を進める上での様々な施策が指摘されているわけでございますが、その中で女性教育の推進も極めて重要ということでございまして、国立女性教育会館の活動を一層充実すべきというふうなこととされているところでございます。国立女性教育会館におきましては、この主な事務・事業と書いてございますが、先駆的・モデル的研修の実施でございますとか、女性教育に関わります専門的な調査、学習プログラムの教材の開発、国内外の情報の収集・提供、ネットワーク形成と交流促進、こういった四つの機能を有機的に連携させて女性教育の振興を図るという役割を担っているところでございます。 中期目標期間の評価におきましては、特に改善のポイントといたしまして、国として実施すべき事業に重点化を図る。それから実践的研修の充実を図るための研修方法等をさらに改善するなどの指摘がなされているところでございます。 男女共同参画社会につきましては、我が国は先進国の中でも一番遅れている方でござ いまして、そういう意味で引き続き国立女性教育会館の果たすべき役割は重要であると いうようなことでございます。特に喫緊の課題を踏まえまして、効率的かつ効果的に業務を推進していきたいと思っております。 2枚目のところにございます事務・事業の見直しでございますが、基本的な考え方といたしましては、会館が主催をして実施いたします先ほど申し上げました研修、調査・ 研究、情報、交流、この事業についてナショナルセンターとして真に必要な事業に重点化を図る。それから、女性団体等が自主的に研修を行います際に女性教育会館を使用し ます受入れ事業につきましては、満足度の高い研修プログラムを提供する、相談体制を充実する等を行いまして、全体として効率的・効果的な業務運営を進めてまいりたいと思っております。具体的な見直しの視点としまして、研修事業については、事業の対象・課題等を厳選するということで重要性の高い事業に重点化を図る。調査・研究につきましては、テーマにすべて時限を設けるということと、その成果が研修等に幅広く使われる調査・研究に重点化を図る。情報の収集・提供事業につきましても、広域的・専門的な情報に重点化を図るとともに、できる限りデータベースについては、関係いたします女性団体等と共同構築を推進するということで効率化を図るというようなことを進めてまいりたいと思います。また、受入れ事業につきましては、先ほど申し上げましたように相談体制の充実等を図るとともに、受入れ事務について民間委託を極力拡大するというような方向でやっていきたいと思っております。 組織運営につきましては、他の法人でも同様でございますが、より民間等との人事交流の促進を図るという観点から非公務員型に移行させていただきたいということと、自己収入の増加について、料金体系の見直しや宿泊者率を大幅に引き上げる等、努力をさせていただきたいというふうに考えております。3枚目は、事務・事業の見直しの具体的な内容でございますが、説明は省略させていただきます。以上でございます。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) どうもありがとうございました。統一した資料を作っていただきまして、大変ありがとうございました。 それでは、ただ今の見直し素案のご説明に関しまして、ご質問などがございましたら、どなたからでもご発言願います。どうかよろしくお願いいたします。 | ||
○ | 山谷臨時委員 山谷と申します。非常に野心的な改革で一種感動しておりますが、いくつか教えていただきたいところがございますのでお願いいたします。 まず、オリンピック記念青少年総合センター、国立青年の家、国立少年自然の家でございますけれども、国の持っている独立行政法人としてやらなければならない事務・事業を展開すると。書かれていたことは、中には地方ではできないことというふうに随分書かれてあったのですが、地方ではできないことで国がやらなければいけないということがちょっとイメージとしてつかめなくて、もう少し詳しくご説明していただければと思うのですが、例えば、先ほどの女性教育会館であれば、国として実施すべき重要性の高い事業に重点化する、地方や民間に定着した事業を廃止すると、非常に明確に書かれてあるのですが、そういうことなのでしょうか。それともそれではなくて、国として何かあるのかと、これが一つ目の質問でございます。 それから、二つ目でございますが、国立科学博物館を所管されているのが生涯学習政策局ということでございますけれども、これはつまり生涯学習政策という枠組みの中でこの国立科学博物館を位置付けられているのかどうかとそういう質問でございます。 それから、この国立科学博物館でございますが、大学との連携、先ほど、教育面やそのあたりでおっしゃっていたのですが、つまり教育や研究に特化していきますと、そちらの方は得意なのは大学でございまして、そうではない研究というのはどういうことをなさるのかということをちょっと教えていただきたい。それから、言葉のことなのですが、様々なところでプログラム、つまり国の政策の中でプログラムを何かやられるということをおっしゃっているのですが、どうも日本語としてプログラムというのはどの辺の何を意味されているのか分かりにくかったものですから、一般論として文部科学省でプログラムという概念をどういうふうにお使いなのかと。政策評価や独立行政法人評価や、その枠組みの中でこのプログラムというのはどういうふうにお使いになられるのか、その辺をちょっと教えていただきたい。以上でございます。 | ||
○ | 尾山スポーツ・青少年総括官 それでは、青少年教育関係法人につきまして、ご質問のあった点についてお答えさせていただきたいと思います。 まず国がやらなければできないような事務・事業があるのかということでございますけれども、例えば、オリンピック記念青少年総合センターの例で申し上げますと、この資料の具体的な見直しの内容の中では、上の箱の下から3番目のところに書かせていただいておりますけれども、アジアにおける青少年教育指導者の養成事業などを行っているところでございます。これはアジア各国の青少年教育の充実に資するために、各国の青少年教育指導者を招聘して研修を実施し、その指導者としての資質向上に貢献をするということでございますけれども、このことによって、招へい聘各国との海外連携も深められまして、パートナーシップを築き、各国が抱える様々な青少年教育の課題、施策等について国レベルの情報交換を行うことができるといったようなことがございます。また、最近力を入れて取り組んでおりますのは、例えば、教育相談で教育関係者だけではなくて、例えば警察、法務関係職員でございますとか、社会福祉児童相談所の職員でございますとか、そのような青少年を取り巻く様々な課題に関わる関係の方々に広く全国からお集まりいただきまして協議を深め、これらの関係者の連携、協議の在り方についても研究を深めているところでございまして、このような事業が一つ国の事業としてふさわしい例としてお示しできるのではないかと思っております。 また、これだけではなくて、オリンピック記念青少年総合センターは、その成果を地方公共団体等にも普及していくということが大きな役割の一つとしてあるわけですから、当然将来的には地方公共団体等ができるようなものも開発していかなければいけないということでございますが、それを先頭に立って開発していくという役割が、国立オリンピック記念青少年総合センターにあるのだろうというふうに思っております。それから、国立青年の家、国立少年自然の家は、基本的には公立の施設のモデルと言うことになるわけでございますので、先ほど、オリンピック記念青少年総合センターで申し上げました最後の方の機能が中心になるということでございますけれども、例えば国立であればいろんな県から、小学生、中学生あるいは高校生が参りますので、そういった府県を超えた交流ができるというのが国立施設の一つの特徴ではないかと思っておるところでございます。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 よろしゅうございますか。国立科学博物館の関係でございますけれども、生涯学習政策の中での位置付けということでございますけれども、生涯学習というのは、ご承知のように、いつでも、どこでも、国民が好きな時に勉強することができるというふうな社会を作るということでございます。その中には社会教育ということで、学校教育と対比をした形での教育体系というのがあるわけでございます。博物館は、その社会教育の中でも重要な拠点施設という位置付けになっているということ。そういったことで、国立科学博物館におきましては、自然科学の振興とともに社会教育の振興というのも大きな目的の一つとなっているというところでございます。そういったことで生涯学習政策の中でも重要な位置付けを占めているということでございます。 もう一つ、大学との関係でございますが、先ほど私の説明でもさせていただきましたが、最近、特に自然史ないし自然科学系の博物学の研究というのは大学は非常に衰退の一途をたどっているというところでございまして、例えば動物分類学の分野を例にとりますと、全国の大学で研究室を持っているところでも、一つの大学では研究者数が2名とか3名とか、せいぜいその程度でございまして、言ってみれば、動物であれば一つの動物について非常に限られた研究を深くやるというふうなことではなかろうかと思っております。科学博物館におきましては、動物分類学におきましては、約20人程度の研究者を抱えておるというところでございまして、総合的・体系的な研究をするという意味では科学博物館の方が本格的な研究拠点というふうな位置付けになっているということでございます。 先ほど申し上げましたように、研究者数が非常に少ないということから、大学ではなかなか後継者育成もしにくいということで、科学博物館と連携大学院の制度を設けて、科学博物館において後継者養成をやって欲しいというふうに言っている大学もたくさんあるというところでございます。以上でございます。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) プログラムの話はどなたから、プログラムの意味ですね。 | ||
○ | 尾山スポーツ・青少年総括官 青少年教育でプログラムと申し上げましたのは、児童・生徒あるいは青年という場合もございますけれども、どういう活動内容を行うことによって、どういう効果をねらうか。そして、その効果をねらうに当たって、どういう、例えば講義があったり、具体的な職場見学をしたりとか、そういったようなメニューを作っていくわけですけれども、全体を指してプログラムというふうにご説明させていただいたところでございます。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) 山谷委員、よろしゅうございますか。 | ||
○ | 山谷臨時委員 はい。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) それでは、松田委員、どうぞ。 | ||
○ | 松田臨時委員 先ほどご指摘があったように、本当に国でなければいけないことは何なのかということをより明確にお考えになっていらっしゃいますし、それから組織の在り方も非公務員型を志向していらっしゃる非常に柔軟に運営していこうという前向きな姿勢がどこの法人からもうかがえるのですが、それを踏まえてあえてお尋ねしたい。本当に国でなければならないこと、あるいは独立行政法人がやらなければいけないコア業務なのかどうかということを言っていた時に、特に施設系のオリンピック記念青少年総合センターや国立青年の家、国立少年自然の家、国立女性教育会館も含めてお尋ねしたいのですが、施設を運営するという、いわゆる能力とそういう研修事業を企画したりする能力というのは、必要な能力とかスキルとか違うのではないかと思うのですね。本当に国でやらなければいけないことは企画する方であって、施設の運営の方は、別に公務員としてあるいは国の施設としてやる必要はないというふうに思います。 例えば、オリンピック記念青少年総合センターで、先ほど受入れ事業の参加者が非常に増えたので評価されているというお話がありましたけれども、電話やファックスで申込みができるようになったというのは、今までやっていなかったのがおかしいのであって、今までやってなかったことをやっと普通レベルでできるようになりましたというのが多分ここの2〜3年間だと思うのですね。ですから、施設運営については、それだけ遅れているわけで、国だから他のそういう施設運営しているところよりいいところがあるのであれば、そのままお続けいただいてもいいと思いますけれども、そうでないのであれば、むしろコアの部分以外は外して、もっと他の形態でやるということは考えられないか。そうすると四つ、それぞれ対象となるユーザーといいますか、顧客は違うのだけれども業態からいくと、そういう教育・研修、特にリーダーを育てたり、モデル事業を作ったりという事業としては同じ事業であって、四つの法人が持っている施設を運営するという意味でも同じですよね。そういう括り方もできるのではないか。これは、いわゆる民間経営で言いますと、一つは、コア業務以外はアウトソーシングしましょうという流れです。それから施設の共同利用という意味で、東京の真ん中に施設を持っていたり、全国の地方に持っていたり、あるいはすばらしい施設なのだけど、ちょっと埼玉で遠かったりという、いろいろでこぼこがある施設を共同で運営することによって、もっといい活用の仕方ができるかもしれません。三つ目に民間経営でいうと、できるだけ資産を持たずにオフバランス化していこうという考えの時に、施設があるから業務、事業をやらなければいけないような感じになってはいないかと。そのために、毎年青少年系三つ合わせて140億の予算が使われていますけれども、この施設のお守りをするためにひょっとしたら140億、あえて事業をやっているのではないかという、極論すればそういうことも言えるわけですね。ですから本質的に皆さんがやって成果を出せるということは何なのかということに、フォーカスしていくことが、多分今回お取り組みになっていらっしゃることで、まさしくその方向でいらっしゃると思うので、もう一歩二歩踏み込んだご検討がいただけるといいのではないかと思います。 | ||
○ | 尾山スポーツ・青少年総括官 ただ今のご質問に対する私の考え方でございますけれども、青少年教育関係施設について申し上げますと、そこで開発すべきプログラムというのは、実践的なものでなければならないというふうに考えているところでございます。その実践的なプログラムを開発するためにはどうするかということは、確かに企画力ということも非常に大事ではございますが、やはり実際にいろいろ受け入れて、活動者の様子を見ながら併せて考えていくということがやはり大事ではないかと思っているところでございまして、受入れ事業も最終的にプログラムを構築する上で非常に役立っている面があるということを申し上げさせていただきたいと思います。ただ、受入れ事業につきましては、かなり民間委託できるところは進めているというところは事実でございまして、この受入れ事業に携わるかなりの方は民間に委託されている方でございます。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) 松田委員、よろしゅうございますか。まだ全体の回答にはなってないような気がしま すが、施設の共同利用の話とか、あるいはコア事業以外のものをもっと他の民間形態で できないかとか、ご質問があったのですけれども。 | ||
○ | 松田臨時委員 各所管ごとにお答えにくいかもしれないのですけれども、今までのご説明だと、顧客別に一事業一法人という括りに何かとらわれすぎていらっしゃって、もっと業態別に法人の在り方を考えていくというような考え方も、そろそろご検討されてはどうかということです。今お答えできないかもしれませんが、またお持ち帰りいただいて、ご検討いただければ。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) 一緒にしたらいいのではないかということですね。 | ||
○ | 松田臨時委員 はい。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) そういうことだそうですので、そのような意見もあったということです。 | ||
○ | 縣臨時委員 同じ考えで、プログラムという概念を使えば、国立女性教育会館を含めて社会教育施設の場合、プログラムは違ということは分かりますけれども、それを他の4法人で別々に対応する必要は必ずしもないわけです。それぞれプログラム別に組織を構築すればいいことであって、統合という言葉を使ってよろしければ、はっきり組織的に統合してプログラムを分けて運営していくということが可能ではないか。いかがでしょうか。 | ||
○ | 尾山スポーツ・青少年総括官 青少年教育施設で申し上げますと、国立オリンピック記念青少年総合センターは、青少年計画のナショナルセンターという役割を持ちまして、国内外の様々な研究機関、教育関係者と連携をしながら、青少年教育全体の振興を図っているということと、先ほどお示ししました図にもございますように、その成果の普及を図る主体としては、青少年団体、 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 国立女性教育会館につきましてでございますけれども、先ほども申し上げましたように、男女共同参画社会の実現は極めて重要な政策課題で、その中心的役割を果たしているわけでございます。それで当然のことながら、国立オリンピック記念青少年総合センターと青少年の健全育成という大きな政策課題を抱えているわけでございますが、各々対象といたします分野、対象といたします女性関係施設と青少年施設、団体、そういったものすべて違うわけでございまして、統合してどれほどの事業の整理・統合が進められるのかということについては、必ずしも効果が期待されるのかどうかという点については疑問なしとしないというふうに考えているところでございます。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 今の四つの独立行政法人に関連しまして、より具体的なことで教えていただきたいと 思います。確かに対象が違うということで、おっしゃることは対象が違うと、ああ、そうかと思うのですけれども、施設を、先ほど松田委員からもあったのですけれども、施設を保有して、それを維持し、その施設を利用してそれぞれ違う対象に違うことをやっているということであれば、必ずしも施設の保有や維持・管理を別々にしなければいけないという理由にはならないのではないのかなと思います。具体的に言いますと、国立女性教育会館で、先ほど男女共同参画社会の実現というものが絶対に必要ですというようなお話だったのですけれども、この国立女性教育会館の場所、受入れ事業などの場所を見てみますと埼玉県の比企郡で、実際に1か所でやってらっしゃるということですけれども、もしも今後重点化を図る国として実施すべき重要性の高い事業というのが、日本全国若しくは国際的に開かれたということであれば、この比企郡に持っている施設1か所に限定することが却って、私、ちょっと具体的に国として実施すべき重要性の高い事業は何なのかというのはよく分かりませんけれども、それを国全体として、若しくは国際的にも実施するということであれば、1か所しかないというのは却って発展というか、実現に対してマイナスになる可能性もあるのではないか。実際に、この比企郡の施設・女性教育会館を利用されている方を見ますと関東圏に集中している。集中、何をもって集中かということはありますけれども、かなりの人が関東圏の方だというのは、それは場所からいって当然そうだろうと思うのですね。別にオリンピックセンターだけに固執するつもりありませんけれども、そうしたいろいろな施設と共同で利用できるようになれば、もう少しそのネットワークというか、広がりが出るのではないのかなというふうに考えてしまうのですけれども、その点はいかがなんでしょうか。また、特にその施設を見ますとかなり立派な施設で、プールとか茶室などもあったりするのですけれども、こういったようなものを、例えば青少年の育成などに使うということだってあっても、当然おかしくないとも思うのですけれども、いかがなものなのでしょうか。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 1か所がいいのか複数箇所がいいのかというのは、いろいろご議論あろうかと思いますけれども、私どもとしては国としてやるべきことについて極力重点化を図るということですので、国でやるべき事業については1か所でやって、それでその成果は地域の女性センター等に波及をしていっていただくというふうなことではないかと思っております。それから、海外から来られる方については、日本国内どこであってもそれほど不便でないところであれば、集中的に研修が行われるということで、特に数か所要るという必要性はないのではないかと思っております。それからプール等につきましては、これはもちろん青少年の健全育成の観点から使っていただくということもいいかもしれないと思っています。もちろんそうでございますけれども、基本的には研修者のリフレッシュメント、茶室等については、国際的な研修をした時の日本文化を知っていただくというふうな意味で使っていただくということでございますが、余裕がある場合には地域の人たちを中心に、青少年、大人も含めて使っていただくというふうな方向で対応をしているところでございます。 | ||
○ | 縣臨時委員 今まで委員の方からおっしゃっておられることをもう少しまとめますと、今のお答えではなかなか分っていただけてないような気がするので発言させていただきます。つまり施設としては、多目的にそれぞれ共有したらいいではないかということを申し上げているわけです。四つの法人がそれぞればらばらに施設を持っていて、それぞれに特化した機能しか果たしてないのではないかというふうにとらえられている。ですから施設としては共通なのだから、共有して、そしてそこに多目的にそれぞれ対象分野や側面としていろいろ機能があるとすれば、それを統合した組織としての施設全体で果たしていく方がよいのではないかということを今議論されているのですが、その点はどうお考えになりますか。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) いかがでしょうか、施設を共同利用すればいいのではないかと、もっと幅広く。そのために一つの法人でいいのではないかということですが。 | ||
○ | 尾山スポーツ・青少年総括官 例えば、国立青年の家、国立少年自然の家で申し上げますと、それぞれ青年の家であれば青年、それから少年自然の家であれば小・中学生を対象にするということで、それぞれの施設のつくりが先ほど申し上げたように違っております。ベッドの大きさとか、そういったことも違っておりますし、少年自然の家であれば、少年を自然に親しませるという目的でございますので、セミナー室のようなものは持っておりません。そういったような施設の違いがあるということが一つ。それから、単にこれは寝泊まりをさせるだけの施設ということではなくて、その施設を活用した様々な教育活動が行われているところでございます。朝の挨拶から始まって、国旗の掲揚、国歌の斉唱といったようなこともございますし、掃除あるいは寝具の片付けといったようなこともさせているわけでございまして、そういった教育施設的な面をとらえますと、小・中学生、高校生それぞれに分けて使用させる方が適当ではないかと思っているところでございます。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 国立女性教育会館と国立オリンピック記念青少年総合センターとの関係を実態上申し上げますと、例えば、国立女性教育会館では女性教育に関して専門的な調査・研究をやり、それから女性教育に関係します情報を一元的に収集して提供するという業務を実施しております。それで研修業務というのは、まさにそういった成果を活用して行われるべきものでございますので、例えば別の施設でやる時に、すぐ身近に研究員であるとか、情報提供できる場があるというのは、利用者にとって非常に便利なことではないかなというふうに思っているところでございます。 | ||
○ | 阿曽沼臨時委員 少し感想を申し上げますと、学校の中には幼稚園から小・中・高まで一貫教育をして いて、その課外活動をする施設は共通に利用して、別に幼稚園生、小学生、中学生、高校生用に資材をそれぞれ別個に全部揃えられているわけではなくて、むしろハードウエアの中で革新的、野心的なプログラムを作って、そういったものをうまく活用して一貫教育をして、なおかつ、自分たちの年代だけではなくて、前後の年代との交流を通じて教育をしていこうということで、多くの私立の学校などが活動しているわけですね。 今の論理からいくと、それはよくないやり方なのだということですね。だから私立学校 も幼稚園用、小学校用、施設を全部作りかえなさい、ベッドの大きさもかえなさいと、 そういうような感じに聞こえますから、いわゆる教育ということを考えた時に、ハードというものにものすごくとらわれて議論していて、そこのところに何か大きな課題が あるのではないかなというふうに率直に思います。 それからもう一つは、これは各府省共通的に言えることなのだろうと思いますけれども、独立行政法人が抱えている課題の解決策として機能・サービスの強化・改善といったような、いわゆるどちらかといえば対症療法的なことについての野心的な取り組みというのはすごくあるのですけれども、組織論という根本的な問題についての検討がほとんど欠如しているのではないかというふうに思うのですね。 今の回答をずっと聞いていると、文科省の中で異質ないろんな部局があって、それは文科省の中で本当に一体的にうまく活動しているのかという疑問になってきますね。ですから、例えば独立行政法人への質問ではなくて、文科省の問題として、何でこの局は必要なのですか、やっていることがそれぞれ違い、専門性がある部局であるならば、部局ごとにどうして独立しないのですかという質問に対してはどういうふうにお答えなさるのか。それについてのお答えは要りませんが、むしろ組織論という問題についての何か革新的なご検討があるとさらに今革新的にいろいろやられていることが生きてくるのではないか。むしろ各府省の独立行政法人に対する一つの大きなモデルになるのではないかと思います。これは質問というよりも感想でございますけれども、何かそれについてもしお答えいただければと思います。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) ご回答ありますでしょうか。組織論の立場からもう少し議論するベきではないかと。もう少しちょっとマネジメントの観点を含めてだと思うのですが、それが適正に行われれば目的が若干違ったとしても、それぞれ別法人にする意味も薄れるのではないかということだと思うのですが、回答ないですか。 | ||
○ | 尾山スポーツ・青少年総括官 先ほど申し上げた点に若干補足させて申し上げたいと思いますが、要するに少年自然の家は、自然体験ということに焦点を絞って組織を作ってきている。それから青年の家は社会体験、交流体験といったようなところに焦点を絞って作っている。もちろんいろんな体験は必要なのですけれども、それぞれの発達段階で、青年期には交流体験、社会体験、学童期には自然体験ということで作ってきているものですから、やはりそういうところに焦点を合わせた運用というものがこの施設の場合は望まれるのではないかということを少し申し上げさせていただきたいと思います。 | ||
○ | 松田臨時委員 国立科学博物館の件でお尋ねしたいのですが、職員の数が146人でたしか博物館一つですよね。美術館は五つあって、123人いらして、国立博物館は三つ博物館があって217人なんですけど、この146人の方の中には研究される方がかなり多いということなんでしょうか。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 国立科学博物館は本館、上野にありますのが一番有名でございますけれども、分館が新宿にございます。それから筑波におきまして、研究資料センター、植物研究部、さらには附属の自然教育園、これは目黒にございます。五つの施設を抱えているということで、そういう意味で一般職も比較的多いのでございますけれども、研究職について83名ということでございますので、そういう意味では、先ほど申し上げましたような研究機能、大学で不十分な部分を科学博物館は補っているということではないのですけれども、総合的に推進をする体制を整えているということではないかと思っています。 | ||
○ | 松田臨時委員 ということですと、先ほどのご説明では、これからの大きな課題としてナショナルコレクションの充実をもっとやっていかなければいけない。国際的に比べて一桁違うという話と、そちらの部分と研究をより充実していくというのは、確かに両方大事なのでしょうけれども、限られた資源をうまく使っていくと考えた時に、果たして両方にそれだけの資源を分散していくのか、それとももっと本当に研究をされているのがここの機関だけでなくて大学とかたくさんおありなのであれば、例えば大学の共同利用機関というのですか。そういうような位置付けでの国立科学博物館の生かし方というのは考えられないのでしょうか。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 一つ申し上げなければいけないのは、資料の収集といっても、単に集めてきてそのまま倉庫にしまっておくということではなくて、きちんと標本資料としてのラベリングをするなり、どういう位置付けのものであるかというのをきちんと評価をした上で、国際的にも登録をし、さらにきちんと保管をするということでございまして、研究的要素が非常にあるわけでございます。そういう意味で研究員の中でもそういった事業に関わっておられる方が相当程度おりますので、そういう意味では、両方を連携しながらやっていくということが重要ではないかというふうに思っています。それでナショナルコレクションについてはより効率的な収集ということで先ほど申し上げましたけれども、学術会議と相談しまして、何らかの形で全国の大学の研究者が、自分たちの研究で使ったものについて、あらかじめ科学博物館に登録をしていただいて、その研究が終わるなり、退官をされる際に、科学博物館にある程度自動的に寄贈していただくというような形でのより効率的、それから、あらかじめどういったものが重要なのかというのは全国的に把握ができるというような、そういう効率的な体制を図っていきたいと思っています。 それから、研究体制につきましても、今、80人おりますけれども、今の各研究部ごとの体制というよりも、むしろより機動的な形でのフレキシブルに組織改編等ができるような体制を構築して、もちろん研究資源、人も金もなかなか増えないという状況で、むしろ減っていくという状況なのかもしれませんけれども、その中でより効率的な運営ができるようにというふうに思っております。 | ||
○ | 松田臨時委員 ということであれば、なおのこと、それだけ展示と研究の一体性が強ければ強いほど、今のように展示の方を生涯学習の一般国民への普及という中途半端なテーマにしないで、もっと研究と展示の一体化を強化するというのであれば、先ほど申し上げたような単なる大学や大学院の連携というあいまいなものではなくて、本当に大学が共同で利用するような機関としての位置付けの方がより成果というのが現れやすいということはないのですか。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 位置付けからいたしますと、大学の共同利用機関というのは学術研究の推進の場なのです。国立科学博物館は、国の行政目的の下で、国民の科学リテラシーを向上させる、そのために体系的に自然史、科学史の資料を集めて、それを研究して展示に反映をさせるといった役割を持っているので、そういう意味で共同利用機関というのがふさわしいのかどうかというところについては少し違うのではないかなという感じはしています。もちろん大学の研究者、科学博物館にしかない資料がほとんどでございますから、そういう意味で積極的に使っていただく、共同研究を進める、そういった活動は積極的に進めていきたいというふうに思っていますけれど。 | ||
○ | 松田臨時委員 いわゆる生涯学習機関というか、一般に国民の科学リテラシーを上げるという目的と、そのために何か研究を深めなければいけないというのを一つの方針の中でやるということがテーマ上必要だというのは分らないわけではないのですが、その方がより、どちらも国民の科学リテラシーを上げるということと、そのための研究をしていくということの成果がより高まるのであれば、それはそれでいいのですけれども、もう一度、せっかくの機会ですので、こういう機会というのは、ミッションの見直しのいい機会ですので、そのあたりも再度ご検討されてはどうかなというふうに思っています。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 私どもとしては、展示そのものが独立してあるということではないというふうな位置付けでございますけれども、今いただきましたご意見は一つの意見といたしまして、私どもとしてもよくよく拳々服よう膺させていただきたいと思っておりますけれども。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 次は大学入試センターについて教えてください。大きく2点教えていただきたいことがございます。今日説明いただいた資料の中で、大きく三つの事業があるということですけれども、一つ目の質問は、2番目の入学者選抜方法の改善に関する調査研究の分野についての質問でございまして、この中のロースクールの適性試験についてなんですけれども、「調査研究の成果を最大限に反映する」という文言があるのですけれども、これは具体的にどうするおつもりなのかということを教えていただきたい。これがまず第1点目。 第2点目は、入学志願者の進路選択に資する大学に関する情報提供の事業についてなのですけれども、いわゆる「ハートシステム」のことだと思うのですけれども、そもそもこのハートシステム、「重点化」とか「縮小」というような言葉が盛り込まれていらっしゃいますけれども、もう一歩踏み込みまして、本当にこれが必要なのかというようなことについて、必要があるとしたらどういう部分なのか、これについて教えていただきたいのですけれども。 | ||
○ | 徳永高等教育局審議官 まずロースクール関係の適性試験でございますけれども、現在、大学入試センターでロースクールの適性試験について調査研究をしております。これはロースクール制度ができたばかりでございますし、適性試験については、国として共通の試験を用意することが必要だと考えておりますので、きちんと調査研究しておりますけれど、私どもとしましては、様々な選択肢があるということが一番いいと思っております。一つは既に法務研究財団の方でも適性試験を実施しています。また、別にロースクール関係者が集まりまして、適性試験の実施をする団体を作るというような動きもありまして、そういったこれから実施をしていく関係団体に、今までのノウハウというものをきちんと提供していこうと思っております。全部一遍に提供できるかどうかというのはありますけれど、時間をかけてきちんとやっていく。いずれにしましても、ロースクールというのは、国が司法制度改革ということで内閣を挙げて取り組んでいる課題でございますので、その定着ということについては、私どもとしてもロースクールを所管する立場、あるいはまた、そういう大学院の入学試験というものを踏まえまして、調査研究をやってまいりましたので、一遍になくなるかどうかはともかくとして、徐々に絞りつつ、これまでの成果を移転していきたいと思っています。 それから、情報提供事業ですが、始まりましたのは、国公立共通1次試験から私立大学も参加する大学入試センター試験として実施するのを機に、大学入試センターが国公私立の共通機関であることを少し明確にする観点から、私立大学の紹介をするようにという要請に対して応えたものです。それぞれの大学において、お金をかけましてキャプテンシステムを導入して情報を提供したというものでございます。現在はインターネットの普及によりそういった部分については当然各大学のホームページがございますので、個々の大学情報提供については、やめてもいいと思っております。しかし、一つのキーワードにより、高校生が日本の全大学の情報が見られるようなもの、例えば工学系であれば、こんな大学があります、あるいは同じ工学といっても、こういう分野とこういう分野がありますといった情報を提供し、そういう情報の中から高校生が必要な選択をする。あるいは、分離分割方式で、後期日程で入試を行うのはどこの大学で、このような入試を行いますという技術的な情報も必要でありますでしょうし、そういう情報提供はこれからもしていかなければいけないと思っています。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 少し最初のロースクールの方、結局のところ、どうなのかというのがよく分らなかったのですけれども、素人考えと言われてしまうかもしれませんが、今、実際に競合とおっしゃられましたけれども、競合している相手が日弁連が母体となって作っている財団ですね。 | ||
○ | 徳永高等教育局審議官 日弁連が母体となっているかどうかは団体の内部の話になりますけれど、それは日弁連法務研究財団ということで、日弁連とは別の財団です。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 そうですね。ただ、法律のプロの集団がやられていると私は認識をしております。 | ||
○ | 徳永高等教育局審議官 適性試験の実施主体については、ロースクール関係者の中でも様々な意見があるように聞いています。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 私も一応法学部というところに属している関係上、いろいろな話は聞きますけれども、一応民間ですね。位置付けとしては、研究財団、民間という位置付けになると思いますけれども、例えば、これが利益を目的としてやっていて、確かに5年後、10年後考えてみたら、その組織が何をやっているか分らないというようなことであれば、国なり独立行政法人がきちんとやっていくというのは、その責務として必要だろうというふうに思います。若しくは、そこが次のステップへ進めるために何かしなくてはいけないというのは、そうなると思うのですけれども、少なくともここが見解が違うのかもしれませんけれども、私の見解では、この研究財団がそのようなものだとは思えないのですね。ここに任せたとしても、特に問題が起こるようには、少なくとも今時点での私の考えでは大丈夫ではないかというように思えます。その観点からすると、この試験的に試行的にやられているということは、このあたりではやめてもいいのではないのかなというふうに思うのですね。ただ、いろいろとお話はあるということで、もともとの研究財団に対する意見も違うようですので、そこはまた詰めていかなければいけないと思いますけれども、私はそういうふうに思っています。 | ||
○ | 徳永高等教育局審議官 そこは、私も法科大学院協会の理事会とか常務理事会の席に出席しておりますけれども、そういう中でもロースクール関係者はこぞって、また別の形で適性試験を行っていく団体が必要だという認識だと思っています。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 今の件はすれ違ってしまって終わりになってしまうのですが、もう一つのハートシステムのことなのですけれども、大学全体に関するいろいろと情報提供は続けていく方針であるというようなお話だったのですけれども、でも伺いまして、こういうようなものもあるというような情報は、ニーズとして必要があるのであれば、これは別に受験産業がやると思いますし、高等学校で、それは十分指導されている、若しくは、指導されるべきものではないかと思うのですね。工学系の中ではこういうものがあってと、最近は学際的なものも多く出てきているから、それに対して受験生も戸惑うということであれば、それは確かに戸惑うかもしれない。昔ながらのすごく分かりやすい学問体系とは違うのも出てきていると。それをこの独立行政法人でやらなければいけないのかなというのは、まだ釈然といたしません。でも、それでも必要だということであれば、少なくとも今の事業の規模からすると相当なダウンサイジングは少なくともできると思うのですね。私はついお金のことを考えてしまうのですけれども、現在ハートシステムの維持で、年間2億円というような数字が出ていますけれども、私はそれはゼロでもいいというふうに思って発言しているのですが、ただ、ゼロではないのだと、こういうことは言うのだということであれば、それに関する経費というのはどこら辺まで削り込まれるレベルのものなのか、1%、2%、1割の世界なのか、それとも抜本的に変わって10分の1でできますよというようなものなのか、そこはいかがでしょう。 | ||
○ | 徳永高等教育局審議官 少なくとも私も正直申しまして、進路指導というものがきちんと行われて、あるいは入学試験というものがきちんと行われるのであれば、そもそも大学入試センター試験も要りません。ただ、それではやっぱりだめだということで、大学入試センター試験を、大きな国民の期待を受けてやっているわけでございますから、これは基本的に申し上げれば、全国民の期待を受けてこれからも進路指導に資する情報提供をしなければいけないと思っています。基本的にそれが要らないということであれば、そもそも大学入試センター試験というものがなぜ必要になったのか。これを文部科学省は戦後一貫してやっているわけではありません。つい最近の状況の中でむしろ必要になってきたわけでございます。もちろん昭和20年代からずっと受験産業は大学に関する情報提供はしてまいりましたが、そういう中でもやはり正しい進路情報を提供していく必要性があって我々はやっているわけでございます。 したがって、私はそこは国がきちんと、国民の教育というもの、あるいは進路指導というものを適正にする。その業務について、独立行政法人大学入試センターが担うということであり、民間があるのではないかという話ではないと思っています。ただ、おっしゃるように、従来のように、個別大学の情報提供をするという必要はほとんどないと思っておりますから、そこについては、実際にまだ試算をしておりませんけれども、かなりの割合で減るものと考えております。 | ||
○ | 松田臨時委員 国立オリンピック記念青少年総合センターの助成事業の件でお尋ねしたいのですが、これは多分センターにお聞きするというよりは文部科学省にお伺いしなければいけないかもしれないのですけれども。この事業の見直しの中には、助成事業の改善とか、活動の成果の把握とか、いわゆる助成をするという前提でその業務をよくしていきましょうというお取り組みをされているのは非常に大事だと思うんですけど、それ以前に助成金自体の、いわゆる資金を作る方がかなり危ういというふうに、私ども前年から伺っております。そういう資金自体が非常に厳しい状況でこの助成事業を運営していかれるというのは結構ご苦労だろうなと思うのですが、どのように今後はお取り組みになられるのでしょうか。 | ||
○ | 有松青少年課長 助成事業の原資自体のことでございますか。 | ||
○ | 松田臨時委員 そうです。 | ||
○ | 有松青少年課長 基本的には平成13年度に国から100億の出資という形で出資を受けてできた基金でございますが、委員ご案内のとおり、100億ですと、今どういうふうにうまく運用しても1億数千万ぐらいの利益でございますが、現時点では足りない部分については、毎年度予算要求をして、全体として、昨年度でいきますと、23億円のベースで運営できるような形にしております。 | ||
○ | 松田臨時委員 ということは、まず基金を造成して、そしてそのプロフィットから運営していきましょうという構想だったのが、毎年交付金を申請しなければいけないとなると、事業の継続性というものも非常に危ういですし、その基金を増やすという役割はどこが担うのかということを今のところ非常にあいまいなような気がするのですけれども、そのあたりはどのように認識していらっしゃいますか。 | ||
○ | 有松青少年課長 そこにつきましては、設立当初の時から、対財務省折衝の中で、100億の原資は作るけれども、これでなかなか十分な助成事業ができないということで、その足りない部分については毎年の予算折衝の中で必要額を確保させていただくというふうなことで、そこについては設立当初からセットというか、そういうふうな話になっておりまして、例えば何か年計画で毎年出資金を積んで、そういった毎年度の予算措置ができないような計画を持っているわけではございません。 | ||
○ | 松田臨時委員 ということは、当初のように基金を造成してきちんと資金を積み上げていくということはもうなくなってしまって、財務省からお金がもらえたらやります、なかったらやりません、そういうことなんですか。 | ||
○ | 有松青少年課長 そういうことでもないのですが、ただ、発足の経緯から申し上げますと、いわゆる何年後かに100億あるものを200億、300億、1,000億ぐらいにして、そういった毎年の予算措置がなくても、基金だけで回っていくようなものとして、当初から想定されていたわけでは必ずしもないですし、具体的にそういった出資金の計画があるわけでもないのです。毎年の予算云々については、要するに幅があるじゃないかというふうな委員のご指摘ではございますけれども、そこについては、毎年度の折衝の中で、設立当初の時から、大体現状ですと、23億円ぐらいの規模でやっておりますが、これぐらいの規模では将来的にもやらせていただきたいというのは毎年度の予算折衝で申し上げているところです。 | ||
○ | 松田臨時委員 それは国立オリンピック記念青少年総合センターでその事業をやった方が、その事業の成果も、あるいは他の青少年施設でやっている事業との関係性も高いというふうに現時点でもご判断されていらっしゃるのでしょうか。 | ||
○ | 有松青少年課長 はい。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) よろしいでしょうか、山谷委員、どうぞ。 | ||
○ | 山谷臨時委員 全般的な話になるのですが、どうも今日ご説明いただいた話というのは、例えば、国立オリンピック記念青少年総合センターとか、国立青年の家、国立少年自然の家とか、この組織を残すためにこういう事業をやっていますと、どうしてもそう聞こえてしまうのですね。ですからせっかくいろんなご説明いただいたので、文部科学省の政策の中で、こういうプログラムを考え、このプログラムは地方ではできない、民間でもできない。だから、こういうふうな形でやる。やる場合はこの独立行政法人が適切であると。そういうふうな、もう少しプログラム主体に、あるいは政策主体にもう少し議論を組みかえていただいて、もう少し分かりやすく説明していただけるとかなり分かりやすいのではないかと思うのですね。今日の話ですと、私ども、各独立行政法人が具体的にどういうことをしているのか、どういう運営をしているのか、どこにあって、何をしているのか、知らない人間にとっては非常に分かりにくいので、そういう意味で言いますと、もう一度文部科学省の政策の中で、こういうプログラムを考えて、この独立行政法人でというような、その結論としてこの独立行政法人に行わせているぐらいならばいいのですが、初めからこの独立行政法人でやるというような前提でお話されるとどうもよく分かりにくい。 最後にもう一点、例えば今の話で言いますと、国立女性教育会館というのが、いわゆる男女共同参画社会基本法ですか、だとすれば、なぜ内閣府でなくて文部科学省なのかと。結局またそういう疑問も出てきますので、文部科学省の中での政策という話からご説明していただけないかと、そういうふうに考えておりますので、また機会があれば、そのような説明をお願いしたいと思います。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) それに対して何かご説明ありますでしょうか。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 国立女性教育会館について言及がございましたので、男女共同参画社会の実現は内閣府の男女共同参画局を中心に各省が連携・協力をしながら進めるということでございます。その中で女性教育という観点は、文部科学省が受け持っているところでございますので、文部科学省の下で女性教育推進ということで事業を進めているというふうな考え方でございます。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) よろしゅうございますか。その他に何か。 | ||
○ | 阿曽沼臨時委員 基本的なご質問で教えていただきたいことがございます。国立科学博物館のナショナルコレクションの拡大というのは具体的なアクションプランはお考えになっているのか。桁違いだということですが、今年度、中長期の目標としては、例えばここ数年で何百万点とか何千万点というような目標があればちょっと教えていただきたいことと、今、欧米諸国との比較というのがあるのですが、アジア諸国、韓国とか中国、アジア諸国等の比較として、今、国立科学博物館というのはどういうポジショニングにあるのか、もし分かれば教えていただきたい。 | ||
○ | 竹下社会教育課長 標本についてのお尋ねでありますけれども、標本指数、毎年数万点ずつ登録標本というものを増やしてきているところでありますけれども、これを指数化して申し上げますと、独立行政法人になる前、平成12年度を100といたしますと、毎年一つずつ増えていると。平成15年度で103というふうな状況でございます。これにつきまして、登録標本数というものを拡充するということでありますけれども、これは実際に調査研究といいますか、フィールド調査をしましてそれを集めるといったような面がございますのと、もう一つは寄贈等を待つというものがございますが、その寄贈等を待つということについて、日本学術会議等と連携をいたしまして、大学の方から、どういう標本があるのかと、そういう素材情報をあらかじめつかんでおきまして、その研究者が、例えば退官されるといった時に寄贈を受けるといったことを計画的にやっていきたいというふうに考えているところでございます。 それから、アジアの博物館との関係でございますけれども、アジアの博物館について、それは先進諸国の方からも、当該発展途上国の方も、我が国の国立科学博物館に対しまして技術支援をして欲しいというふうな要請が、あるいはそういう期待がございまして、例えばブータンの王立の植物園を作る際の技術支援ですとか、あるいは生物多様性の関係等々でいろんな標本資料を集める、あるいはそれを保存していくといったことについても、研究者を受け入れたり、あるいは現地に行って、向こうの博物館関係者と一緒に、いかに保管をしていくのか、あるいは標本の素材情報をいかにネットワークを組んで集めていくのかといったことについて指導しているとそういう状況でございます。 | ||
○ | 阿曽沼臨時委員 韓国、中国との比較がもし分かれば、後で結構でございますけれどもお教えください。 | ||
○ | 藤田生涯学習政策局審議官 それは標本数ということでございますか。 | ||
○ | 阿曽沼臨時委員 そうですね。ナショナルコレクションと言われている全体の中で、今、330万点ぐらいで、例えばスミソニアンがすごいとこう書いてありますが、目標としてどのぐらいの目標で、今のまま一つずつ増えていくと、何十年たったら、その目標に達するのか、ちょっとよく分かりません。 | ||
○ | 樫谷委員(分科会長代理) 大体よろしゅうございますか。ありがとうございました。独立行政法人ありきとか施設ありきではなくて、文科省の政策の中での役割、全体が少し見えない部分があるので、どういう役割を独立行政法人が文科省政策全体の中で果たしているのかというのが少し見えない。したがって、結果的に独立行政法人ありきではないかと、施設ありきではないかというように勘ぐるようなことができないでもない。文科省政策の中での位置付けを明確にしていただけたらとこういうふうに思います。 それでは、時間の都合もありますので、ここで質問を打ち切らせていただきます。ご説明いただきました皆さんにおかれましては、ご多用中、ご協力賜りまして、大変ありがとうございました。 また、時間の区切りもよろしいかと思いますので、ここで10分程度休憩を取りたいと思っております。しばらくの間、どうぞ、おくつろぎください。文部科学省の方、大変ありがとうございました。 | ||
(休憩) | |||
○ | 富田分科会長 それでは、再開させていただいてよろしいでしょうか。 本日、私、急な用事が入りまして、途中からの出席となりましたこと、一言お詫び申し上げます。 ただ今より、自然科学系研究関係法人の物質・材料研究機構、放射線医学総合研究所、防災科学技術研究所の3法人の見直し素案につきまして、文部科学省からご説明をいただきます。 本日は、文部科学省小田研究振興局審議官、木谷研究開発局審議官はじめ、ご担当の皆様にお越しいただいております。 それでは、順をおってご説明をお願いいたします。説明の時間は、3法人合わせて15分でお願いいたします。 | ||
○ | 小田研究振興局審議官 ただ今ご紹介いただきました文部科学省の小田でございます。お手元に、まず「独 立行政法人物質・材料研究機構の業務の必要性について」、3枚紙のカラーでございますけれども、ご説明させていただきます。この研究開発型の独立行政法人の物質・材料研究機構につきましては、基礎研究、物質・材料科学技術に関する基礎研究、基盤的研究開発、これを推進するという目的・役割を持っております。国の科学技術政策上の重要性、必要性という一つの箱がございます。その箱の中で、まず物質・材料科学技術の重要性ということでございますが、言うまでもなく国民の生活・社会に関わる広範な、あらゆる分野の基盤となっておりますし、その切り開く礎となる基礎的、基盤的な科学技術でございますし、それから、今、あらゆる科学技術のブレークスルーの源となっておりますし、イノベーションといったものをリードする科学技術であるというふうに認識してございます。さらには、我々のものづくりの技術、これは非常に我が国が優位性を持っているわけでございますが、これの発展のためには一層の国際競争力の強化が必要でございますし、その基盤となる科学技術であるという認識でございます。 その上に立って、国の政策、社会情勢について、1の箱の中の右側の方でございますが、我が国の総合科学技術会議、閣議決定をしました「科学技術基本計画」におきましては、ナノテクノロジー・材料分野は重点4分野の一つということで強力に重点化を推進しているところでございますし、また、国際的にみても、米国における国家ナノテクノロジー戦略関連法の成立を始めといたしまして、特に米国は、3年ほど以上前にナノテクノロジーのイニシアチブを取るということで強力に推進し、予算の重点配分をいたし、さらに昨年は法律まで成立させて一生懸命やっているということでございますし、また、我々のライバルでございます欧州からアジアといったところにおきましても、研究開発プログラムを策定するなど一層この研究開発競争は国際的に激化しているという認識でございます。 2.の箱、真ん中の箱でございますが、これを独立行政法人として実施する必要性、さらには使命及び位置付けでございます。まずマルのところでございますが、物質・材料研究に関する基礎研究から基盤的な研究開発というのは、極めて時間がかかるものでございますし、成果の見通しといったものは非常にチャレンジングなものということから不確定要素が大きく、長期的な取り組みを要するということ。さらに現在は、研究者・設備に非常に多額の費用を要するということで、各種分散ということではなくて1か所といったようなことから、規模、経済性などの面から独立行政法人として実施することが必要であると認識してございます。具体的には世界トップレベルの超高圧電子顕微鏡、最先端、最高の核磁気共鳴などの開発といった研究設備を有しておりますし、材料分野はもとより必要な分野から優れた研究者を機動的・集中的に集めて、研究をトップダウンで戦略的・総合的に実施することが必要となってきております。また、この実用化といった観点からも、ナノテクノロジーに関わります産学官の研究者の支援といったことや、それから材料データ、基本的な金属疲労や強度特性といった材料データの蓄積・提供など公共的な役割を担うものについては、物質・材料研究機構で実施する必要があると認識している次第でございます。 下の方の箱でございますが、今期中期目標の達成状況と次期使命ということでございます。一番下の箱の左側の方で、我々は重点研究開発領域というものを設定してございまして、重点研究開発領域は今三つございます。ナノ物質材料、環境エネルギー材料、安全材料という三つの分野を設定してございまして、さらに研究基盤、知的基盤の充実ということで、施設・設備の共用、研究者等の養成といった目標を掲げてございます。この目標の達成状況につきまして、また別途ございます達成の素案ということに具体的に書いてございますが、独立行政法人化後におきましても、新規超伝導体の発見、カーボンナノ温度計、フラットディスクへの応用などで考えられているチップ化包装などのナノチューブの開発といった新規超電導体の発見や新規ナノスケール物質の創製といった世界的に注目を集める成果を上げております。研究論文数も2800件とか出願特許数も1197件といったことで、これまでも所期の目標を達成してございます。 諸外国の中枢的研究機関とも包括的研究協力を5件、 二枚目をめくっていただきたいと思います。独立行政法人物質・材料研究機構の中期目標期間の終了に伴う見直しの視点ということでございます。大きく分けて業務の見直しと組織形態の見直しが書いてございます。まず最初の業務の見直しでございますが、先ほどの重点研究開発領域の重点化といったことで、研究プロジェクトを行う領域としての3領域を2領域に重点化したいとこう考えてございます。具体的には(1)ナノテクノロジーを用いた物質・材料研究に大幅に重点化するというふうに考えております。機構は、ナノテクノロジーを用いた物質・材料研究に関する基礎研究と基盤的研究開発を受けまして、先ほど述べましたように、多くの成果と高い評価を得ておりますが、今後ともナノテクノロジーを用いることによりまして、新しい機能や優れた特性を持つ物質・材料が生み出される可能性か大きいことから、ナノテクノロジーを用いた物質・材料研究へ大幅に重点化を図りたいと考えてございます。1)の(2)でございますが、持続的発展ができる安全・安心な国づくりを支えるための材料研究でございますが、これを厳選して実施したいということで、社会的課題に対応いたしまして、産業界のニーズがあって、実用化の可能性が高いものに限って、効率的に研究を推進するという共通的な観点から二つ、「環境エネルギー材料研究」、「安全材料研究」を統合いたしまして、「持続的発展ができる国づくりを支えるための材料研究」ということで、人の健康の維持、生活環境の改善等の社会的課題に対応する研究に厳選するなど、大幅な合理化を図った上で実施したいと考えてございます。2)の中核的機能の強化でございますが、物質・材料研究に特化いたしました唯一の中核的研究機関といたしまして、先ほどの二つの公共的な機能・役割の強化を図るということで、強磁場、超高圧電子顕微鏡、放射光などといった最高性能を有する大型施設・設備の一層の共用化促進を行うことが1点。 2点目が実用化を見据え、産業界との連携を強化するということでございます。特に材料の国際の標準化、技術移転の促進とか、産業界との共同研究の場を設置して実用化を強力に推進するといったことを考えてございます。3点目といたしまして、将来の研究課題の探索機能の強化のための大学との連携の強化を行うことでございます。4点目といたしまして、国内外の物質・材料情報の収集・分析・発信機能の強化を行うことであります。 II ![]() 最後のところでございますが、具体的な業務等の見直しをより具体的に書いたものでございます。 次の独立行政法人放射線医学総合研究所の事務・事業の必要性についてということで三枚紙をお願いいたします。これも先ほどと全く同様の内容になってございますが、1.事務・事業の政策上の重要性・必要性ということでございまして、様々な分野における放射線・原子力の安全な活用により豊かな国民生活の実現のため、この3点が大事なことだと考えてございます。一つが、放射線の安全で有効な利用方法の研究開発、2点目が、放射線の人体の影響の研究と科学的な知識の伝達、この1)、2)で研究開発でございまして、特に放医研の場合には3)、万が一の事故の場合に備えた体制整備ということで、実際の事故が起きた場合には緊急医療を実際に実施するということが入っているのが特徴的でございます。そのために、国の政策上におきましては、内閣府の原子力委員会におきます「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」や、原子力安全委員会の「原子力の重点安全研究計画」や、内閣府の「防災基本計画」、原子力の防災の特別措置法などに基づく対応を考えておりますし、一般的な研究開発につきましては、総合科学技術会議の資源配分の方針のライフサイエンスなどや、「第3次対がん十か年総合戦略」といったようなものに基づきまして実施しているところでございます。 「2.独立行政法人として実施する必要性」でございますが、これも採算性に関わらず国民の安全・安心の観点から、原子力利用、放射線の利用につきまして国が責任持って実施するということでございます。さらに専門性の高い放射線の安全研究や先進的な放射線医学研究に関する研究でございますので、医学、生物学、物理学といった幅広い分野の優秀な人材と、分子・細胞レベルから動物実験、さらにヒトへの臨床試行といったところまでを実施する先端的な設備を中核的なこの機関に集中的に投入する必要がございます。そういった点から、この独立行政法人として実施する必要があると考えてございます。 「3.今期中期目標の達成状況と次期の使命」でございます。重点研究開発領域として現在4点、放射線先進医療研究、放射線感受性遺伝子研究、放射線人体影響研究、放射線障害研究、この4点について重点研究開発領域として設定してございまして、これにつきましては、お手元にある資料の中期計画に沿って目標を達成ないしは達成する見込みでございます。これにつきましては、次期の使命といたしまして、二つの領域に絞って集中的、重点的にやりたいと考えてございます。一つは右側の方にございます放射線に関するライフサイエンス研究、放射線安全・緊急被ばく医療研究でございます。一番下に緑色の継続して実施する必要があるものにつきましては、これは行政ニーズに基づきます緊急被ばく医療体制とか、そういったものに対応する人材の育成といったものにつきましては引き続き継続することを考えています。 次のページをはぐっていただきたいと思います。「中期目標期間終了に伴う見直しの視点」でございます。事務及び事業の見直しでございますが、ライフサイエンス研究への重点化ということで、高齢化社会を迎えて、特に関心が高い放射線によるがん治療・診断や精神神経疾患等の病態解明等の研究により重点化したいと考えてございます。併せて、これらの治療・診断の高度化等に資するため、放射線と生体の関係の原理的解明等を目的とした放射線に関するライフサイエンスの基礎的研究への重点化を図ることとしております。2)でございますが、放射線・原子力利用の安全確保に関する研究・業務の着実な実施ということで、安全確保と国民的理解の促進のため、国内外の安全基準の作成等といった支援業務や緊急被ばく医療対応業務等を的確に遂行すること。併せまして、放射線・原子力の安全確保に不可欠な研究を着実に実施したいと考えております。3)上記2項目に関する専門領域における人材の育成といったことも重点化したいと考えてございます。 組織形態の見直しにつきましては、先ほどと同様に研究課題の重点化、研究領域の再編に伴う見直し。非公務員型への移行についても、先ほどの物質・材料研究機構と同様に考えてございます。最後の3ページ目は、事業の具体的な見直しの内容についての線表でございます。 | ||
○ | 木谷研究開発局審議官 それでは、引き続きまして、私、研究開発局担当の審議官をしております木谷と申しますが、防災科学技術研究所につきましてご説明申し上げます。 お手元の、今度は縦長になっておりますが、「防災科学技術研究所の役割」という3枚ものに沿ってお話申し上げます。まず、防災科学技術研究所の使命でございますが、防災科学技術、ここでいう防災の対象といいますのは、とりわけ自然災害を指してございまして、地震、火山噴火、豪雨、豪雪、土砂災害などの自然災害でございます。そうした防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発等の業務を総合的に行うということが使命でございます。次に、独立行政法人として実施する必要性というところでございますが、ご案内のとおり、我が国は非常に自然災害が多いわけでございますが、こうした自然災害による人的・物的な被害を軽減し、自然災害から国民の安全を確保するということが国の重要な責務でございます。現在、総合科学技術会議におきましても、安全・安心な生活を実現するための科学技術活動の推進というものを非常に重視しておりますが、そうした国の基本方針に基づきまして、防災科学技術研究所において研究開発を推進しているということでございます。これまでの成果につきましては、中央防災会議、あるいは地震調査研究推進本部などによります国の防災対策立案に積極的にその成果が活用されております。また、地方公共団体がそれぞれの対策に活用しています。さらに学術面でも、我が国全体の地震学研究の進展に寄与するなどの成果を上げているところでございます。 次に見直しの方向性でございますが、これについては次のページをめくっていただきたいと思うわけでございます。まず最初に地震ということでございますが、中央防災会議等でもご案内のとおり、現在東海、東南海、南海など我が国では巨大地震発生の切迫性というものが高まっておるというふうに指摘をされてございます。そういった中で防災科学技術研究所の全体の業務の中でも、私ども今後地震分野については特に重点を当てていかなければならないというふうに考えております。その防災科研におきますこの分野での研究の特色でございますが、全国1,800か所にあります地震観測のネットワークに基づく観測ということ、それに始まる基礎研究から震災後の復興・復旧までを視野に入れた総合的な研究ということをやっているというところに特色がございます。とりわけ今後は、これまでの研究成果を実際の防災に生かしていくというところが重要だと考えておりまして、その意味で真ん中あたりからございますような、例えば地震動の予測地図を作っていく、あるいはE−ディフェンスという、これは世界でトップレベルの、世界に他にはないと言われるほどの実験装置でして、そうしたものが平成17年度から運用を開始いたしますが、こういうものを活用した耐震工学研究、リスクマネジメント、そうした研究を重視していきたいと考えてございます。 2番目の火山観測につきましては、これは火山噴火予知計画というものを5年ごとに作成をしてございます。その予知計画の中で、防災科研のみならず気象庁、国土地理院、産総研、あるいは大学など、そうした関係機関が分担をして観測、調査研究を推進していくことになってございまして、そうした役割を適切に果たしてまいりたいということでございます。3番目の気象災害、土砂災害等に関する研究開発でございますが、これにつきましては、シミュレーションの高度化、リスクマネジメントなど社会的な要請が強い、基礎的な研究というよりは、課題解決型の研究という分野へ特化をしていくということを考えてございます。一方、一部の定常観測、実験施設については廃止に向けて検討してまいりたいと考えてございまして、資料には平塚実験場という具体的な名前が出ておりますが、これは潮位とか波の観測をしているものでございますけれども、ブイとか 4番目のその他の事業の継続ということで、施設・設備の共用、人材の養成、データの収集・提供というのが書いてございますが、やはりこの防災科研におきましては、民間とか大学では持てないE−ディフェンスのような、そういう貴重な施設も持っております。そうしたものを活用しながら、国の基本方針に基づきながら、産学官の連携のかなめとして、そうした機能をきちんと果たしてまいりたいということでございます。5番目としては、先ほど来の研究開発型の法人と同じでございまして、非公務員型へ移行するということを考えてございます。 3枚目につきましては、今、申し上げましたことを見直し前、見直し後という形で整理をさせていただいた表でございますので、説明は省略させていただきます。以上でございます。 | ||
○ | 松田臨時委員 三つの研究所とも、これから重点化していくところと、そのかわり、縮小、廃止していくところを明確にお話いただきまして、非常に精力的にお取り組みだなというふうに感じているのですけれども、まだまだこの独立行政法人だけではなくて、同じような研究をしている機関が、他の府省だとか、あるいは大学だとかいろいろあると思いますが、そのあたりの関係がちょっと私どもには分かりにくいので、それぞれの研究所で他の研究機関の研究との重複であったり、あるいは連携であったりということをもう少し今の重点化と縮小というめりはりのところでお話しいただければありがたいのですが。 | ||
○ | 小田研究振興局審議官 それでは、物質・材料研究機構についてでございますが、物質・材料研究に関しましては大学等で、大学の学術学理の追求等、最近ではもちろん産学官連携といったことで多面的な研究しておりますが、そういった関係で様々なところでやっているということは我々も承知しております。ただ、ここの物質・材料研究機構は先ほどもご説明いたしましたように、最近のナノテクノロジーといった非常に多方面のいろんな分野の人たちが集まっている、集中的にする、そのための非常に大きな投資、設備機器が非常に大きな超高性能、そういったものについて重点的に投資するといった点からは、大学といったところでなかなか無理なので、むしろそのあたりを連携・協力していくといった形でしております。また、国際的にもそういう競争と同時に、国際的にお互いにいいところということで、国際的な共同研究、そのような点でやっております。重複といった点につきましては、我々もいろんな点であれなのですが、特に競争的な資金といったような獲得といった点では、競争資金のプログラムの最近改革がなされておりますので、そのような点では重複がないような形をやっておりますし、我々も外部資金の導入ということでかなり成果も上げてございます。 それから、もう一つの放射線医学総合研究所につきましては、これは放射線の医学の病院まで持った総合的な、放射線の医学はご存じのように放射線を発生するのは加速器を作ったりするところから、さらには人体の影響まで幅広い分野の人が必要だということで、これは昭和32年に設立されたわけですが、特に重粒子線がん治療、治療の方に重点を今回当てて、そこのところをライフサイエンス研究の一環で重点化しようというふうにしておりますので、もう一つのもちろん役割は、原子力の利用などに伴う障害の方、そこのところは従来四つの研究領域でやっていた。そこはむしろ医学利用の方に重点化するといったことでございます。例えば、ここの同様な研究をやっているところというのは、がんなども非常に幅広いので、がん研究財団法人だとか、がん研究会とか、場合によっては厚生労働省の国立病院だとかがんセンターといったところで、このようながん治療などを行っている分野がございますが、ただ、ここら辺の特に放医研の場合には重粒子線がん治療ということで巨大な加速器を用いて、これは通常は持てないということで、むしろ今はがんセンターとかも協力して、連携のネットワークをして、そういった方向で今進めてございます。 | ||
○ | 松田臨時委員 すいません、物質・材料研究機構の方は、例えば産総研とか理化学研究所との関係の役割分担というのは。 | ||
○ | 米倉基礎基盤研究課長 担当課長でございます。理化学研究所につきましては、総合的研究機関でございますので、一部に物質の研究がございますが、主たる重点は、例えばゲノム科学研究ですとか、脳科学研究、大型放射光施設を使ったような研究などについて重点を置いております。経産省の産総研につきましては、基本的に物質・材料研究機構は、物質・材料の新しい物質を出して、それを材料化するという基盤的なところであるのに対しまして、もう少し先のデバイス化とか、そういったところについて主として担当されているということが1点と、産総研については、特に物質・材料だけを担当されている研究機関ではないということで考えております。大ざっぱでございますが。 | ||
○ | 木谷研究開発局審議官 それでは、防災科学技術研究所の関係でございますけれども、他省庁所管の独立行政法人の中で考えてみますと、ご承知の、例えば消防研究所、土木研究所、建築研究所などがございます。ただ、これらはそれぞれ消防なら消防、土木であれば土木技術の向上、建築であれば建築技術、あるいは都市計画というようなものの向上、そういう特定の切り口からのものでございまして、防災科学技術研究所は、自然災害全般に関する研究開発を、基礎研究から防災というところまで総合的に実施する国内唯一の機関でございまして、もちろん必要に応じて連携を図りつつ、やはりこうした観測から被害軽減までの総合的な研究開発を一体的に推進する機関が国として必要であるというふうに考えているところでございます。 それから、大学との関係でございますけれども、これは先ほどの説明と同じようなことになるわけでございますが、基本的には大学はそれぞれの研究者の自由な発想に基づく学術的な研究ということでございます。それに対して防災科学技術研究所は国の防災等の研究についての基本方針に基づいた、いわばトップダウン式の研究を進める。もちろんその際にきちんと連携を保っていく、そして良さをそれぞれ引き出していくということは必要でございまして、そういう意味で防災科研は、例えば民間企業とか、あるいはそれぞれの大学ではなかなかそれを持ち、運用できないような、そういう施設・設備というものを提供し、そういうものを核にしながら、大学とも連携をしていく。あるいは産学官のリンケージのいわば仲介役といいますか、中核としての活動を今後きちんとしていく必要があるというふうに考えております。 | ||
○ | 松田臨時委員 一つだけ、消防研究所のところでお聞きしたいのですけど、確かに防災科学技術研究所は自然災害で、こちらは火災というか、人工的な災害かもしれませんが、自然災害には必ずといっていいほど火災も伴うわけですよね。ある意味でつながっている一連のことでしょうし、防災のシステムとして考えると、やはり単なる連携というよりは、むしろもっともっと積極的な相互の乗り入れみたいなものが必要でしょうし、実際にそれを自治体なり、それぞれの地域・コミュニティが運用していこうと思うと、そこでのもっと密接なつながりが必要なように感ずるのですが、そのあたりは今後何か変化はあるのでしょうか。 | ||
○ | 木谷研究開発局審議官 とりわけ先ほども研究成果というものを防災に実際に生かしていくと。そういうことになりますと、一番そこで出てくるのはそれぞれの地域ですね。地域の防災力というものを向上させていく。そのために防災科研のこれまでの成果を生かしていくということで、私ども防災科研が現在様々な地域の地方自治体と連携をして、そこでパイロット事業を組んでいる。そうした地域においては、それぞれの消防担当局と、そうしたそれぞれの地域の中で、そういう総合的な連携というものがある種果たされるような、そういうパイロット事業というものをこれから進めていきたいと思っております。 | ||
○ | 西尾地震・防災研究課長 地震・防災研究課長でございますけれども、実際に消防庁とは斜面災害の対応につきましてそれぞれの役割分担を踏まえて連携を進めているところでございます。 | ||
○ | 縣臨時委員 研究機関一般にそうなのですが、当然ある特定の分野について複数の機関が関わっていて、重複があったり、そして連携が必要だったりということはよく分かります。しかしその時に、例えば研究分野は非常に国際的に重要性があって、日本としてどういうふうな研究戦略をするのかを考えると、それから複数機関が連携する場合には必ずしも全部同格で研究の方向を決められるというわけではない。誰かが研究マネジメントをしなければいけないと、私は文系ですが、研究者として思います。そういう観点で言うと、例えば物質・材料研究機構は、特にナノテクノロジーの今日的意義というのは非常に高いのは素人でも分かりますので、その点における国家的な研究戦略の設定であるとか、それに基づいた複数研究機関との連携のための研究マネジメントを行うというようなスタンスはお取りになりませんでしょうか。 | ||
○ | 森振興企画課長 振興企画課長でございます。大変重要なご指摘だと思うのですが、私ども文科省の中に、今、ご説明申し上げましたように、三つの研究開発独立行政法人があるわけですが、一般論として申し上げまして、政府全体として、ここは大学の学術研究と違うところとご理解いただきたいと思うのですが、科学技術基本計画あるいは知的財産推進計画その他政府関係審議会等がいろいろな基本的な政策、あるいは基本的な科学技術政策を策定いたしまして、こういう独立行政法人が国のミッションに基づいて中期目標、中期計画を策定して組織的に戦略的にやらせていただいているということでございます。今、ご指摘の点、特に物質・材料の分野でも、確かに大学をはじめ産総研というようなご指摘もありましたけれども、関係をしている機関はいくつかございます。総合科学技術会議自体が政府全体としての戦略というものを立てて、その際に各機関の役割ということを想定するということがございますし、それから最近の動きとしましては、関係のプロジェクトについて各省間の連携を積極的に図っていくということで、税金が無駄に使われないように効果的にそういう国の戦略目標というのが達成されるようにということで、政策的な調整、ミッションの調整というのが一方でございます。それから、研究現場の方で申し上げますと、今、ご指摘のナノテクの分野ですと、ナノテクノロジー総合支援プロジェクトといったようなものが、2〜3年前だったと思いましたけれども、国の政策として始まりまして、そこでナノテクノロジーに関係する大型の施設の共通利用ですとか、いろいろな情報の交換とかといったことを積極的に図っていくということで、国として一体的に戦略目標を達成していくと、そういうことが進みつつあるとそういう状況でございます。 | ||
○ | 丸島臨時委員 今の議論に関係があるのですが、ご説明いただいた中で、中核的機能の強化と書いてあり、重点4項目のうちの二つ、このような分野では、この研究は、中核的機能全体として果たしていくのだと、このように理解してよろしいのでしょうか。例えば産総研、あるいは他の独立行政法人、大学、そのようなものとの全体の国の重点4テーマのある一部分については中核的機能を果たすというふうに理解してよろしいのでしょうか。というのは、今のお話にありましたように、全体に関連した研究所でどういうことをやっているかということも総合して把握されていて、国家戦略としてそれがうまく機能するように、すべての調整と行動が取られているのでしょうかという意味合いを含んでいるのですが。それともう一つ、他の重点分野、どこが中核的機能を果たしていらっしゃるのかということももしお分かりでしたら教えていただきたい。 | ||
○ | 小田研究振興局審議官 それではお答えいたします。今の中核的機能あるいは司令塔的な機能をちゃんと国の政策レベル、執行研究機関レベル、そのようなところで本当にうまく果たしているのかといった点につきましては、まず政策レベルのところが大事なわけでございまして、これにつきましては、本当にそこまでやっているのかということで、従来、我々も連携でやってきたわけですが、それでは不十分だろうというようなことで、総合科学技術会議が科学技術政策連携群といったようなものを来年度については8テーマを定めまして、それにつきまして、コーディネーターを置いて執行部分まで政策、さらに執行の大きなところまで司令塔的にちゃんとやっていこうと。 さらに今おっしゃった執行レベル、研究機関レベル、ちゃんとそのレベルをやっていることについては、これは各々プロジェクト、研究範囲で違うかもしれませんが、少なくともナノテクについては、現在我々はナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンターを作って、ここの中核的なところに、現在の物質・材料機構に、自分のところだけではなくて、全体を見渡して研究者の交流のネットワークとか大型の施設の特殊設備をちゃんと技術支援するとか、そういったようなところで、基本的にできるだけ中核的なところで全体を見渡し全体のお世話をするといった機能もやっていただこうということで、この物質・材料機構も中核的な機関を果たしたいということです。そういうねらいから、実際に本当にそれを果たしているかどうかということは今後も検証していかなければいけないと思っております。 | ||
○ | 山谷臨時委員 非常に科学技術政策の話で抽象的な議論になってよく付いて行けないのですが、一つだけ教えていただきたいのです。例えば、物質のところでは、成果の見通しに関して、 不確定要素が大きく、長期的な取り組みが必要とするから独法にしていると。あるいは放射線医学のところは、採算性に関わらず国が責任を持って実施しなければならない。最後の防災のところでは、防災に関して国民の安全を確保することが国の責務だと。だから、独立行政法人にしていることは大事なのだと。どうも一般に我々が抱いている独立行政法人のイメージとちょっと違って、もし、そういうことであるならば、むしろ独立行政法人にするのではなくて、政府の直轄機関にした方がいいのではないかと思うのですが、ここからが質問です。だとして、もし独立行政法人とした場合、単年度ごとの評価も入りますし、中期期間の評価も入ってくると。そうすると他の独立行政法人と違って採算が取れるとか、節約になったとか、コスト削減ができた、こういう評価基準ではいかないわけですよね。皆さん方はその辺、どういうふうに評価、ご苦労されているのですか。そこのところを教えていただきたいのですけれども。 | ||
○ | 森振興企画課長 大変おっしゃるとおりで、何といいますか、採算性、単年度でみますと、その単年度に投入した税金が、その年において、それに基づいて何か利益を生んで、事業としてとんとんと、そういったようなところではございませんで、先ほどから、ご説明しております物質・材料研究機構も放射線医学総合研究所も防災科学技術研究所も、これは独立行政法人の個別法にはっきり書いてあることでございますけれども、その主たる研究領域というのは、基礎・基盤というところでございます。したがって、税金を使って研究をさせていただいて、その成果というのが、典型的には例えば論文ですとか、大型の施設を作って広く産官学の方々に利用していただいているとか、あるいは非常に基盤的な特許を取得することができて、これがこの国の知的ストックを蓄えるとか、そういったことをそれぞれの独立行政法人の評価委員会で評価をいただいて、レーティングをされているということでございます。ですから、ご指摘のとおり、他の独立行政法人とは確かに少し性格か違いまして、評価の尺度といいますか、もうじき、第1期が終末を迎えるわけですけれども、その時の決算評価の仕方というのも少し観点が違うのかなと思っております。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 物質・材料研究機構の研究分野の中身について教えてください。ナノテクについてはいろいろと教えていただいたのですが、もう一つのナノテク以外の分野で、今般環境エネルギー材料研究と安全材料研究の統合というようなことをうたわれているのですが、そこで目指すべき方向として出されている持続的発展というのが、ここでどういうようなことを意味するのか教えてください。特に産業界のニーズというベースの下での持続的発展というものの関連の意味、そして、実際にやるのだと書いてあります人の健康の維持とか生活環境の改善等の社会的課題というのとの具体的な関連について教えていただければと思います。 | ||
○ | 米倉基礎基盤研究課長 基礎基盤研究課長の米倉でございます。今、見直しをした後に進めようというふうに考えておるのは大きく四つほどございます。例えば、新世紀耐熱材料の研究開発、これは今までの研究の中の成果を踏まえて非常に産業界の要望も強いということで、これは例えばガスタービンとかジェットエンジンの耐熱の材料として非常に有望だということで研究開発を企業も含めて進めようというものでございます。それから、あと超鉄鋼材料というものがございます。これは従来の鉄鋼の2倍の強度、2倍の寿命という形を目指しまして、研究開発を進めてございます。今まで第1期くらいまでは終わりまして、まだ大型化というところまで出ておりませんけれども、小さな材料レベルでは実用化ができて、これからそれを構造材料等に発展させていくというようなことを考えてございます。あとは生体材料でございます。これは例えば、骨折の場合に、それを代替するような材料としてセラミックスとかそういったものとの複合あるいは合金材料のことでございまして、それが今までも特許等がございました。それらをさらに有望なものにつきまして研究開発を進めるということでございます。それから、超伝導材料でございます。これはいろんな新しい新規の超伝導物質はございましたけれども、それを今後は顕在化して、より実際のところに使えるというレベルに持っていくということを目指した研究開発を進めようとしております。ざくっと言いましたら、今のようなものを全体として進めるということでございます。それから、持続発展ができる国づくりというのは、全体を包含する概念としてサステイナブルな発展ということの観点を含めて全体のネーミングをいたしております。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 すいません、追加で中身について、超伝導とか骨の代替とか、耐熱材料とかすごくよく分ったのですけれども、まず持続的発展というより経済的な側面が強いというふうに理解して間違いはないでしょうか。ずばり成長率だけを意味するとまでは言わないでしょうけれども、経済的発展というのがベースだということに間違いない。 | ||
○ | 米倉基礎基盤研究課長 第2番目のところにつきましては、かなり今まで進めてきた研究を絞り込みました。これは先ほど言いました、今までの包括的研究成果を踏まえて、産業界につなげていく有望な領域に絞り込んで進めていくということでございます。そういう意味で、先生がおっしゃるように、経済的なところにもつなげる要素がございますが、それは物質・材料研究機構全体の中では絞り込んだもので、今までの成果がかなりあり、今後有望だというところで考えております。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 それでは、そこのところと人の健康の維持とか、生活環境の改善といったようなところとはどういうふうにここはつながってくるのでしょうか。コアとして、そういうようなものを経済発展につながるような、ポテンシャルの非常に高いもの。しかも、この研究所の中で持っているものに特化するというところは分かるのですが、同時に人の健康の維持や生活環境の改善といったようなことをうたわれていらっしゃるのですけれども、そこはどういうふうにつながってくるのかというのが、どうもここのところが私自身よく理解できておりませんで、教えていただきたいのですが。 | ||
○ | 米倉基礎基盤研究課長 例えば生体材料につきましては、要は人の健康、まさに老後のいろんな面での健康にサポートし得る技術であると思っておりますし、例えば超鉄鋼材料につきましては、いろんな工作材として使われましたらば、環境も含めて道路ですとか、橋ですとか、そういったところにも使われるという意味で、国民生活全般の改善につながるというふうに考えております。 | ||
○ | 浅羽臨時委員 この場合のサステイナブルというのは、最近の環境経済的な発想でいうサステイナブルな経済成長という意味ではないということなんですね。 | ||
○ | 森振興企画課長 実は先ほども少しご説明申し上げたのですが、物質・材料研究機構の基本的なミッションは、この物質及び材料の分野におきます基礎的な研究、基盤的な研究ということでございます。旧国立試験機関であった時分の遺産も含めて、それから独立行政法人になってからも3年半を経過しておりますが、その間に基礎的な研究の中で、実用化が見通せる段階に成熟したといいますか、成果が整いつつあるものというのがたくさんございます。そうしたものの中で、これからこの独立行政法人が何に重点を置いて産業化に貢献できるところをしていくかということで、ただ今考えられておりますのが、先ほど担当課長がご説明しておりましたけれども、いくつかありまして、今、先生ご指摘の人の健康の維持ですとか、生活環境の保全に資する、そういう研究ですとか、あるいはエネルギーセキュリティの確保といったようなところで、これは必ずしもこの研究所自身がそういうところに特化してそのためにあるということではありませんけれども、基礎研究の果実として、そういう実用化につなげていけるものがいくつも出ているものですから、その中で、これは評価を経て精選をして、実用化につなげていく。そういった重要事項をひと括りにした言葉として、先ほど来、持続的発展ができる国づくりを支えるための材料開発ということですから、いわゆる純粋な意味での経済発展というような意味でのサステイナブルディベロップメントとはちょっと違う、もう少し広い、人の健康、生活環境の保全といったようなことも含めての括りで、現在のところは見直しを考えてございます。 | ||
○ | 阿曽沼臨時委員 放医研の特に重粒子線の今後の普及という問題に関して、放医研の果たす役割について少しご質問をしたいのですけれども、確かに放医研は基礎・基盤研究ということでありますが、放医研の研究者の多くの方々の論文を見てみますと、まさに臨床応用と普及の段階に入ってきたと、こういう強い意思を持って皆さん活動されているのだというふうに認識しておりますが、そこで問題はコストの削減、建設コストの削減と小型化、それと人材の育成という非常に大きなテーマがあるのだろうと思いますが、特に小型化についての今後の研究の方向というのは既に議論されていると思いますけれども、それの見通しについての見通しはどうでしょうか、これは簡単で結構でございます。実は施設を作っても、今は放射線治療の現状は、治療医が全く足りないという大きな課題がありますね。例えば、今、アメリカでは3000人近い治療医がいますが、日本はたった500人しか治療の専門医がいない。特に重粒子線に関しますと、医学物理士というのが絶対必要になってきますが、アメリカは4000人いるのですけど、日本は40人しかいないといわれていますね。それから治療の技師についても圧倒的に不足している。ということは、今、全国で十数か所、重粒子線を作りたいという希望がありますけれども、これを作っていっても人材がいないと、結局は機能しない。そういう意味で、放医研が研究施設でありながら、人材育成というものに相当な注力をしていかない限り健全な発展ができないのではないかというふうに考えるのですが、その点についてちょっとお伺いしたい。 | ||
○ | 小川量子放射線研究課長 量子放射線研究課長でございます。先生のご指摘についてはもっともだというふうにお答えさせていただきたいと思います。まず最初の点の小型化のお話がございました。現在、放射線医学総合研究所にございます重粒子の治療装置・ハイマックというのは300億円以上かかるということで普及がなかなか難しいということでございまして、現在放射線医学総合研究所ではこれを小型化し安価に作るための研究開発というのを2年計画で進めてございます。今年度と来年度の2年計画で進めてございます。目指しているところは、経費としては3分の1程度にまで落としたいと。さらに加えまして、より高度な技術も取り入れてさらに安価のものができないかという研究も進めております。これは、まず安いものを作っていくというのが普及の第一歩であると。 加えて、先生からのご指摘があったように、人を育てていくというのが当然の話というか、放医研の責務だというふうに考えてございます。現状から申し上げます、一般的な放射線治療のお医者さん、医学物理士という方が少ないというのも事実としてありますし、さらに言えば、この重粒子関係の方というのは、実質的には放射線医学総合研究所でしか人材育成ができないというのもございます。先ほど小田審議官から説明いたしました2ページ目にもございますように、人材の育成というものが今後とも放医研にとって重要な柱になるというのが我々の認識でございまして、引き続きといいますか、今以上にこういう分野における人の育成というものに力を入れていきたいというふうに考えてございます。 | ||
○ | 阿曽沼臨時委員 普及においては、経済産業省の産業界、厚生労働省でいわゆる医療の現場の世界、それから、人材育成としては大学、相当なお互いの連携というのはこれから必要になってまいりますので、それを踏まえた組織改革なり、いわゆる拡充、それを是非考えていただきたいと思います。 | ||
○ | 富田分科会長 まだまだこの三つの研究機関につきましては質問させていただきたいことがあるのですけれども、時間の都合もありますので、続きまして、人文社会系の研究法人の国立特殊教育総合研究所、文化関係法人の国立国語研究所、国立美術館、国立博物館、文化財 研究所の5法人の見直し素案につきまして、文部科学省からご説明をいただきます。 本日は、文部科学省山下特別支援教育課長、文化庁吉田政策課長はじめ、ご担当の皆様にお越しいただいております。 それでは、順を追ってご説明をお願いいたします。説明の時間は恐縮ですけれども、5法人合わせて15分でお願いいたします。 | ||
○ | 山下特別支援教育課長 それでは、最初に、特別支援教育課長でございます。特殊教育総合研究所の見直しの素案につきまして、色紙2枚紙ございますけれども、こちらの方でご説明を申し上げさせていただきます。 国立特殊教育総合研究所でございます。特殊教育に関する総合的な研究、併せて研修あるいは教育相談という業務を実施している法人でございます。一番上に、障害のある子供の教育ということにつきまして、国の責務を整理させていただいております。憲法や教育基本法におけます教育の機会均等の理念からくる障害児に対する教育機会の保障、さらに障害者施策全般について、障害者基本法という法律がございますけれども、この中で、教育内容、方法の改善、あるいは調査研究の促進といった規定がございます。また、さらに障害者基本計画、閣議決定でございますけれども、ここでまさに国立特殊教育総合研究所を名指しでもって先導的な指導方法の開発、体制等に関する研究の一層の推進の等々の明記がなされているわけでございます。 次に2番といたしまして、その下でございますが、障害のある子供の現状と課題ということを整理させていただいております。現在、日本の学校教育におきましては、盲・ろう聾・養護学校などの特殊教育の対象となっている子供は、全学齢児童・生徒の1.3%という割合でございます。かつ、抱えている障害の種類や程度様々でございます。近年複数の障害を抱えているいわゆる重複障害の子供の割合も増えてきております。こういった状況の中で、一層医療や福祉と連携した専門的な教育というものが求められております。また、さらに近年非常に大きな課題になっておりますのが、通常の学級に在籍をしております 1枚おめくりをいただきまして、見直しの視点ということでございます。研究、研修、教育相談、三つの業務につきまして、それぞれ現在の政策課題を踏まえ、一層の重点化あるいは実施方法の見直しを図ってまいります。研究につきましては、いわゆる軽度発達障害など政策ニーズの高い研究に重点化をし、大学等々の連携を一層推進してまいります。また、研修につきましても、指導的立場の教員に対する先端的な内容の研修に重点化をしてまいります。さらに、教育相談につきましても地方で対応が困難な盲ろう聾二重障害といった希少な事例に重点化を図ってまいりたいと考えております。 なお、組織の見直しでございますけれども、国立大学法人の非公務員型への移行等を踏まえまして、非公務員型の移行を図ってまいります。 その次のページに、次期中期目標期間における特殊教育総合研究所の姿をお示しさせていただいております。基本的なミッションは維持をしながら業務内容を常に見直しをいたしまして、政策課題あるいは喫緊課題に応える先導的、実際的研究、あるいは研究成果を基盤としたリーダー研修、また、高度な教育相談センター機能、こういったものを有機的に三位一体で実施をする法人として、大学等とも連携を深めながら、一層高いパフォーマンスを発揮し、障害のある子供、保護者、教育現場により多くの成果を還元していくことを目指してまいりたいと考えております。以上でございます。よろしくお願いを申し上げます。 | ||
○ | 吉田政策課長 それでは、続きまして文化庁関係の四つの法人につきまして、私の方から一括してご説明申し上げます。 まず、国立国語研究所でございます。国語研究所の使命というところについて少し整理をしてみました。国語は一国の文化・社会・経済を支える基盤でございます。国は国語の関係では、社会経済情勢の変化や国語の変化などを踏まえまして、国語の改善に必要となる指針を作成したり、公の場で使用される国語の標準を示すと、このようなことを行っております。国立国語研究所は、我が国で唯一の現代日本語の研究機関でございまして、この中核的な機能を有しているというふうに認識しております。独立行政法人として実施する必要性のところでございますけれども、国立国語研究所の調査研究成果の上に立ちまして、国の関係国語施策が立案・実施されておりまして、国語の改善、あるいは日本語教育の振興に役立てているという状況でございます。国の政策立案と一体不可分の調査研究を行っておりますので、国立国語研究所は引き続き独立行政法人として維持するのが適当であるというふうに考えております。これまでの国語研究所の調査結果というのは、例えば、常用漢字表、現代仮名遣い、外来語表記。さらには外国人の日本語能力試験等々に役立っているばかりでなく、近年の 今後の課題とそれを踏まえた次期中期目標期間におけるミッションについてでございますけれども、社会経済情勢の変化に応じまして、大規模な日本語に関するデータベースの構築を引き続きこの基幹事業として展開をしてまいりたいと思っております。その際、その下にございますが、四つの柱に重点化・効率化を図ってまいりたいと思っております。一つは、現代日本語の現状をあらわす意味で、国として必要な大規模かつ高度なデータベースの構築を含む長期的・継続的な研究でございます。さらに、国語政策や日本語教育政策の基礎となる資料の作成と国の政策を専門立場から具体化する事業。さらには、日本語についての専門的知見を踏まえて行う日本語の将来像についての提案。さらには、情報収集・発信や普及、研修事業というようなものに重点化したいと考えておりまして、その点につきましては、2枚目をご覧いただきますと、そこに概念図を用意しております。箱がございますが、左の方をご覧いただきますと、国語の研究、日本語教育、情報収集・発信といったそれぞれの大きな柱に沿いまして既存の事業を整理をし重点化を図っていきたいというふうに考えているところでございます。また、組織運営の関係につきましては、外部研究者との連携を強化する。あるいは研究評価や職員の能力・実績評価制度の導入、こういった観点から現在の公務員型を改めまして非公務員化に転換をしていきたいというふうに考えているところでございます。 続きまして、国立美術館の方に移っていただきたいと存じます。そこに横組みの資料がございますけれども、左の方をご覧いただきますと、国の芸術文化振興政策との関係がございます。これは平成13年に策定されました文化芸術振興基本法等に基づく政策の流れでございますけれども、この分野では国内外の優れた美術品に対する国民の鑑賞機会の拡大を図るということ。 そして、そういったことを通じて、多様で優れた芸術文化創造の担い手の育成に資するということ。さらには、各地域の美術館の展示等への支援を行うということ。そういったものをこの大きな方針として出したところでございます。この中で、国立美術館の使命でございますけれども、右側の方へ移っていただきますと、我が国の芸術文化振興、美術振興のナショナルセンターであるということ。貴重な美術品を広く国民に紹介をし、芸術文化の向上・発展に寄与するということ。貴重な美術品を良好な状態で後世に伝え、芸術文化の継承に資するということ。そして、国民に国内外の美術に関する教育普及を実施するということ。この四つを大きな使命としております。この真ん中あたりをご覧いただきますと、日本の顔という形で高い信頼性を持ってその美術作品の収集や海外との交流といったものを実施しておりますし、また、全国の美術館活動への様々な形での支援といったものもございますので、引き続き国立美術館につきましては、独立行政法人として維持するのが適当であろうと考えております。左下の方をご覧いただきますと、この国立美術館は四つの既存の美術館を平成13年に4館を統合いたしまして独立行政法人国立美術館として再出発をして現在に至っているところでございます。これまでの中期目標期間中の評価としましては、おおむね良好な評価を受けておりますけれども、さらに来館者に対するサービスの向上等の点で指摘を受けておりますので、そういったことを中心に改善を図ってまいりたいと思っております。 2枚目の方をご覧いただきますと、事務・事業、組織形態の見直しの方向性でございますけれども、近現代美術といったものに対する支援、あるいは国内外の美術館との連携。そして児童生徒を対象とする教育普及、利用者サービス、そういった点を見直しの基本的な視点といたしまして、右側の方にございますけれども、未来に向けて我が国の芸術文化の創造と振興に資するため、現代の芸術活動への支援に重点化をしていこうとか、あるいは地方との連携による巡回展の実施ですとか、関係の国内外の美術館や美術関係団体とのネットワークの構築、さらには国立博物館とも連携した事業の実施、そして、児童生徒への教育普及といった点につきまして重点化を図ってまいりたいと思っております。組織形態の方につきましても、そういった重点化に即した形で、重点化・効率化を図っていくとともに、人事制度につきましては、非公務員化を図ってまいりたいというふうに考えております。 続きまして、国立博物館の方に移っていただきたいと存じます。 国立博物館の場合には、最初のところにございますように、文化財の保護と密接な関連があるわけでございます。文化財は我が国の歴史、伝統、文化というものを表すものでございまして、そういった正しい理解のために欠くことのできない貴重なものでございます。そういった意味で文化財を適切に保存し、そして文化財を公開していくということで後世につなげていくという活動が重要でございます。そういった観点から、国立博物館につきましては、左下でございますが、国宝・重要文化財等の適切な管理と公開の促進というものを基本的な任務としてございます。真ん中の方をご覧いただきますと、我が国の歴史、伝統、文化というものを表す文化財の系統的な保存・公開という意味で、我が国の顔ともなるべきものでございまして、こういう機能を果たす日本文化を適切に発信する機関といったものが必要であろうと思います。また、全国の博物館との連携の上で、日本全体の博物館サービスの質の向上を図っていくナショナルセンターとしての機能も必要であろうかと思います。また、このような自国の歴史や文化をあらわす国立博物館を多くの国々が持っているわけでございます。また、国立という信頼の下に多くの文化財の寄託や寄贈を受けたり、あるいは海外の博物館との交流も可能になるとこういったこともございまして、私どもとしては引き続き、国立博物館を独立行政法人として維持するのが適当であろうというふうに考えています。この国立博物館も、右側の方にございますけれども、三つのそれぞれ違う歴史を有しております博物館を統合いたしまして、平成13年に国立博物館として再出発をしたところでございます。これまでの中期目標期間中の評価といたしましては、利用者サービスの向上につきまして様々な指摘もございますけれども、おおむね良好な評価を受けているところでございます。 2枚目をご覧いただきますと、今後の事務・事業及び組織形態の見直しの方向でございますけれども、グローバル化あるいはネットワーク化、海外発信、質の高いサービス、そういったことをキーワードといたしまして、まず我が国の歴史や伝統、文化を分かりやすく見ることができる展示の内容とするために常設展示を重視するというふうなことがございます。これは9月1日から東京国立博物館ではリニューアルオープンということで、従来の展示方法を大きく変えた展示に切り換えましたけれども、そういったところを着々と進めているところでございます。また、ナショナルセンターの役割ということで、国内外の博物館や大学等々ともネットワーク化の推進を図ってまいります。また、日本文化の発信ということから、海外との国際文化交流にも大きな役割を果たしていこうとしております。 また、広報業務等につきましては、先ほどの美術館と連携いたしまして、質の高いサービスにつながるような取り組みを進める予定でございます。また、自己収入の増加等々で、資金の確保にも努めてまいります。そういった事務・事業の見直しに即した形で組織形態の柔軟な見直しなども行ってまいりたいと思いますし、また非公務員化という方向で進めてまいる予定でございます。 最後でございますが、文化財研究所でございます。文化財保護ということでは、先ほど博物館が保存、公開につきまして役割を果たしておるわけでございますけれども、文化財研究所は、もう少し広い任務を持っております。そこに三つほど文化財保護政策のポイントを示しております。左側が重要文化財等の指定でございます。そして、その適切な管理と保存、真ん中の方は、そういった指定文化財等に対します財政的な支援でございます。右側の方は文化財の活用、これは公開などを含むわけですけれども、そういった支援と国際的な協力、こういった三つの側面が文化財保護政策としてございます。文化財研究所の使命は、左下にございますけれども、貴重な文化財を未来に適切に継 承していくための必要な知識・技術の基盤を継承するというところにございます。真ん中の方をご覧いただきますと、これは国の文化財保護行政と一体となりまして、政策を推進してまいりますが、国による文化財の指定や、管理、修理、公開等の諸施策全般に関します基礎的、体系的な調査研究を行いますとともに、文化財の分析、保存処理に関する先端的・実践的な調査研究も行っております。また、近年は文化財の調査・研究に関する国際的な交流や協力等も盛んになってきているところでございます。 右側の方をご覧いただきますと、今期中期目標期間中の評価といたしまして、おおむね良好な評価をいただいておりますけれども、次期に向けましての課題と期待という形では、例えば高松塚やキトラ古墳のような国として緊急に取り組むべき文化財の保存に関する問題ですとか、あるいは文化財保護法の改正に伴いまして、対象範囲の拡大に伴います必要な調査・研究ですとか、あるいはアフガニスタンやイラク等々の国際的な文化財保護協力の推進、さらには保存科学の推進、そういったところが期待として挙げられております。そういったものを踏まえまして、文化財研究所、次期の計画では、重要性、緊急性の高い調査・研究などを重点的に実施をしてまいりますとともに、文化による国際貢献を果たすためのネットワークづくり、それに伴います国内外の関係機関等の連携強化、さらには文化財の研究成果を公表する一般公開施設の活性化や文化財の専門家を対象とする研修の高度化や効率化を図ってまいりたいと思っております。 組織形態の見直しの方につきましても、今のような課題に即した形で柔軟に既存組織の見直しを図りたいと思っておりますし、また、身分の関係につきましても、非公務員化という方向で準備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。駆け足でございましたけれども、以上です。 | ||
○ | 富田分科会長 ありがとうございました。もう時間も押しておりますけれども、今の5法人についてのご説明に対しご質問がございましたらお願いいたします。 | ||
○ | 松田臨時委員 簡単に2点、一つは文化財研究所、博物館、美術館、それぞれ美術館、博物館は展示 が中心で、でも一部研究があります。文化財研究所は研究が中心だけど、一部展示があ るということで、多少のリダンダンシーは仕方ないのかもしれませんが、もう少しその あたり、それぞれの法人がそれぞれ個別に見直すのではなくて、一度お互いにお互いの 業務を併せて見直すといったようなことがあり得るかどうかというのが1点。 それから、国立国語研究所については、非常に見直し前と見直し後で結構スリムになっていくのは分かりまして、組織運営のところで明確に他の法人にはない能力主義に基づいた人事ということを書かれていて、私非常にチャレンジされていると思いますが、実は60人規模の組織なのですね。ですから、逆にそういう小さい組織でこれを独自で取り組むとかえってマネジメントコストを発生してしまうかもしれないし、もうちょっと、例えば他の研究機関も併せて、せっかくこういう取り組みをされるのであればやっていくとかということがあり得るのかどうか。むしろ、これは国立国語研究所ではなくて、他の研究所の方にお聞きしたい点なのですけれども、お願いいたします。 | ||
○ | 吉田政策課長 まず最初の博物館、美術館における調査・研究と公開・展示との関係、文化財研究所における調査・研究と公開・展示との関係についてお話をいたします。博物館、美術館におきましての調査・研究というのは、基本的には収蔵品の展示に必要なものについての調査・研究というのに絞られてまいります。その関連で少し広めにいろんな美術館への働きですとか、そのようなものについて研究をすることがございますけれども、基本的な目的は収蔵品等の展示・公開に資するそういった調査・研究を行うと。そういったところから企画機能というものが初めてここで出てくるわけでございます。それに対しまして文化財研究所の調査・研究というのは、これは広く一般的に文化財の有形、無形それぞれの分野ごとに必要な緊急性の高い、また重要性の高い研究を行うわけでございますけれども、例えば、奈良地方で行っております様々な発掘事業、その成果につきましては、これは国民に広く公開するということが文化財保護に資するであろうということから、調査・研究の成果をここで公開をさせていただくということでございまして、博物館、美術館の方が公開・展示を目的にした調査・研究であるのに対して、文化財研究所の場合には、調査・研究が主体であって、その成果が公開・展示されると、こういうふうな関係とご理解いただければよろしいかと思います。多分ご指摘は、そういった調査・研究の中で重複などが生じた場合には、もう少しそのあたりを整理することがあるのではないかということも含まれておったのかもしれませんけれども、そういう点につきましては、博物館、美術館、文化財研究所の間できちんと役割分担を明確にしていきたいと思っています。 | ||
○ | 松田臨時委員 お願いいたします。 | ||
○ | 山下特別支援教育課長 たまたま他の研究所ということでございますので、私ども国立特殊教育総合研究所は、実績に基づく人事運営を図るということを書かせていただいておりますけれども、当然非公務員型への移行のメリットというのは、弾力的な人事運営ができるということでございまして、その一つの重要な現れは、まさに能力に基づく評価ということがきちんとできるようになるということであると認識をしているところでございます。 | ||
○ | 吉田政策課長 文化財研究所についても同様の姿勢でございます。 | ||
○ | 山谷臨時委員 今の文化財保護のところで、例えばアフガニスタン、イラク等との文化財保護協力等の推進みたいなことで言えば、他省庁、特に外務省との関連、協議みたいのが入ってくると。それから、特殊教育総合研究所で言いますと、現場の市町村の学校との協議の話、協力関係とか入ってくるのですが、こういうある意味、成果を出すためには他の省庁、他の独立行政法人、地方公共団体との連携みたいのがかなり重要なポイントになってくる場合、コントロールできない要素がかなり入ってくるという場合に、評価というのをどういうふうにうまく調整されていくのでしょうか。 | ||
○ | 吉田政策課長 文化財研究所の場合、アフガニスタン、イラクの関係につきましては、現実に今アフガン、イラク、どちらかというとイラクはほとんど何もできない状態なのですけれども、アフガンの関係につきましては、これはユネスコの保存事業と一体となって進めております。そういった意味では、国内的には外務省とも連携をした上で、東京の文化財研究所の職員がアフガニスタンに出て行って、バーミアンあたりの保存・修復事業に携わっていると、このような形になってまいります。したがいまして、もちろん国際的な場合には、ある程度外務省との調整も必要になってくるわけでございますけれども、そういったものにつきましては、文化庁本庁の方で、外務省との間の調整も行い、ただ、実際に現地に行って保存・修復事業を行う場合にはどうしても専門家が必要でございます。そういった意味で文化財研究所が自ら持っている職員、それで足りない場合には全国の関係する大学の職員、そういったものでチームを組みまして現地に派遣するとこういった形になってまいります。こういった国際協力は中期目標、実施計画の中にもある程度盛られている事柄でございますので、実際にどういった成果を行っているのか、成果としてもちょっとここは難しい部分もあるのですけれども、現地での事業の進捗状況ですとか、あるいはそれに基づいて研究者として出してくる様々な論文ですとか、それ以外の様々な講演会ですとか、発表の場ですとか、そういったものを総合的に勘案いたしまして評価をしていくことになろうと思います。 | ||
○ | 山下特別支援教育課長 国立特殊教育総合研究所でございますけれども、地方公共団体あるいは学校現場との連携、どれだけ役立っているかという評価、なかなか難しいものがございますが、例えばプロジェクト研究というものを実施しておりますけれども、こういったものについて、研究テーマを決める際に、全都道府県教育委員会を通じてニーズ調査をやっています。言ってみれば、事前評価をやった上で研究課題採択をしているということで、そういった意見を反映しているというのが一つの形であろうかと思っています。また、中期目標達成状況の数字的指標の一つといたしましては、例えば研修事業については、そこに参加した現場の教職員から評価を全部出してもらっておりまして、一応目標としては、毎年平均80%以上の者からプラスの評価が得られるようにするというものを盛り込んでおりまして、そういった形で後は総合的に評価をしていただいているという状況でございます。 | ||
○ | 黒川臨時委員 私も博物館とか美術館系統の顧客の一人として、最近の展示の内容とか見ますと大変すばらしいものもあるし、それから開館時間も曜日によってはだんだん長くなっていますね。非常にすばらしいのではないかと思っております。それで今後非公務員化ということで、なお一層展示の企画についても、研究員の方々の発想というのでしょうか、仮説に基づく非常におもしろい展示の仕方、あるいは物を集めてある一つの結論に持っていくというのでしょうか、そういうのも、もっともっとすばらしくなるだろうし、それから、開館時間の方も、日本も高齢化社会になって、お勤めされている方にももっともっと見られるように平日の夜、会社勤めの方の場合、行くとすると土日の混んでいる時しか見られないわけですけれども、平日の夜、もう少し長くしていただけましたらと思います。当初多分コスト面で大変かもしれません。そんなに会社勤めの男性の皆様が急にみんな博物館とか美術館に行くとは思いませんけれども、是非とも日本の社会全体がそういう方向に向かっているということも考えて、是非ともコスト面を押さえつつ努力をしていただきたいなとそういうふうに願っております。 | ||
○ | 吉田政策課長 大変貴重なご提言でございまして、私どもも今そういう方向で、博物館、美術館を利用者がそこに行って楽しいという時間ができるだけ多くなるようにということでいろんな見直しを進めているところでございます。 | ||
○ | 富田分科会長 それでは、今日のヒアリングはここまでとさせていただきたいと思います。 本日は、ご説明をいただきました文部科学省の皆様におかれましては、ご協力をいた だきましてありがとうございました。 当分科会といたしましては、今日のご議論いただきました点も踏まえまして、主要な事務・事業の見直しに関する審議をさらに深めてまいりたいと思いますので、今後ともご協力よろしくお願い申し上げます。 また、本日は時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その際には、後日、事務局の方を通じて照会いたしますので、ご協力方、何とぞ、よろしくお願い申し上げます。 以上を持ちまして、本日予定の見直し素案に関するヒアリングを終了いたします。ありがとうございました。 続きまして、今後の予定等につきまして、報告事項がありますので、事務局から説明をお願いいたします。 | ||
○ | 若生評価監視官 次回の分科会のスケジュールですけれども、一連の各府省からのヒアリングの最後ですが、9月15日水曜日13時30分から16時30分まで、国土交通省所管の11法人、経済産業省所管の3法人についてのヒアリングを予定しております。 | ||
○ | 富田分科会長 それでは、政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を終了いたします。 本日は、ご多用中のところ、ご出席を賜りありがとうございました。 |
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(了)
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<参考>独立行政法人の事務・事業に関する見解等(PDF)
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