会議資料・開催案内等


  
   

政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会議事録



  1.  日時 平成17年9月7日(水)10時00分から13時15分

  2.  場所 法曹会館 高砂の間

  3.  出席者
    独立行政法人評価分科会所属委員)
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、森泉陽子独立行政法人評価分科会委員、浅羽隆史、阿曽沼元博、稲継裕昭、井上光昭、梅里良正、岡本義朗、梶川融、河野正男、河村小百合、黒川行治、黒田壽二、黒田玲子、鈴木豊、田渕雪子、丸島儀一の各臨時委員
    政策評価分科会所属委員)
    新村保子委員
    総務省)
    福井良次行政評価局長、伊藤孝雄官房審議官、渡会修行政評価局総務課長、新井豊評価監視官、山下哲夫評価監視官、榎本泰士調査官、岩田博調査官、加瀬徳幸調査官

  4.  議題
    (1) 見直し当初案に関する府省ヒアリング(国土交通省、総務省、経済産業省、財務省)
    (2) 報告事項

  5.  配布資料
    (1) 見直し当初案<国土交通省所管5法人(建築研究所、交通安全環境研究所、海上技術安全研究所、電子航法研究所、航空大学校)>
    (2) 見直し当初案<総務省所管1法人(情報通信研究機構)>
    (3) 見直し当初案<経済産業省所管2法人(経済産業研究所、工業所有権情報・研修館)>
    (4) 見直し当初案<財務省所管1法人(酒類総合研究所)>




 富田分科会長
 それでは、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日の分科会を含めまして、明日、明後日と計3回にわたりまして17年度末に中期目標期間が終了する24法人の見直し当初案に関する府省ヒアリングを行います。これらのヒアリングは、今後、当分科会として主要な事務・事業の改廃に関する勧告の方向性を検討するという上で非常に重要な意味合いを持つものと考えておりますので、委員の皆様方におかれましては御協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 ヒアリングに入ります前に、事務局に人事異動がありましたので、御紹介いたします。
 8月15日付で田村行政評価局長が退官され、後任に福井局長(前官房審議官)が御就任されました。また、福井局長の後任に伊藤審議官(前行政評価局総務課長)が就任され、伊藤審議官の後任に渡会総務課長が就任されました。さらに、若生評価監視官が官房参事官に転出され、後任として新井評価監視官が就任されました。どうぞよろしくお願いいたします。
 局長より御挨拶をいただきたいと存じます。

 福井行政評価局長
 行政評価局長を拝命いたしました福井でございます。
 8月15日付けで先ほど富田分科会長から御紹介のありましたように事務局に若干の異動がございました。私ども一同引き続きまして当委員会の事務局として力を尽くしてまいる所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 富田分科会長
 どうぞよろしくお願いいたします。
 では、初めに事務局から本日のヒアリングについての説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 本日は国土交通省所管の5法人、総務省所管の1法人、経済産業省所管の2法人、財務省所管の1法人、計9法人につきまして府省からヒアリングを行います。どうぞよろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 それでは、国土交通省所管5法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。
 最初に、建築研究所、交通安全環境研究所、海上技術安全研究所、電子航法研究所及び航空大学校の見直し当初案につきまして国土交通省から御説明をいただきます。本日は、国土交通省中村政策評価審議官始め御担当の皆様にお越しいただきました。
 それでは、5法人について25分程度で御説明をお願いいたします。

 中村政策評価審議官
 国土交通省政策評価審議官の中村と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、国土交通省所管5法人に関する見直し当初案について御説明させていただきます。個別の法人の御説明はそれぞれの担当課長よりいたしますが、まず冒頭、私から見直しに関する基本的な考え方を簡単に説明させていただきたいと思います。
 お手元の「国土交通省所管独立行政法人の業務の見直しに関する説明資料」と題した資料に沿って御説明させていただきます。
 まず、5法人の中期目標の達成状況についてでございます。基本的認識としては、13年4月に独立行政法人化してから4年が経過いたしまして、今年が中期目標期間の最終年度となりますが、目標の設定及び目標に対する達成状況の評価を通じて業務の質の向上を図りつつ、様々な成果を上げてきており、国土交通省独立行政法人評価委員会からもこの旨の評価を受けているところであります。
 次に、5法人の見直しの基本的考え方です。次期中期目標期間においては、現在の中期目標期間中に実施した効率化の取組を踏まえ、なお一層の成果を上げていくため、更なる見直しを検討していくこととしております。
 まず、非公務員化であります。
 昨年末、国土交通省においては、6法人について非公務員化等の見直しの内容が決定されたところでありますが、その見直しの内容を踏まえ、今年対象となる5法人について、非公務員化等について検討を行っているところであります。その中でも、海上技術安全研究所のように非公務員化を行うことを明確にしている法人もありますが、その他の4法人については検討するということとなっております。個別的には各担当課長から説明をさせていただきます。
 続いて、業務の見直しについてでありますが、研究系法人については、研究対象を重点化することとしております。重点化は、例えば安全・安心といった国民のニーズが強い分野に重点化することとしております。
 なお、交通安全環境研究所は、研究業務のほかに国土交通大臣が自動車の型式指定を行う際の技術基準適合性の審査という特殊な業務を行っております。この技術基準適合性の審査については、昨今のリコール問題を受け、リコール調査業務の実施体制を整備することとしております。
 最後に、パイロットの養成を行っております航空大学校でございます。一つは、教育内容の見直しにより効果的な教育、二つ目は、組織のスリム化による効率的な運営を行っていきたいと考えております。今後、団塊の世代のパイロットが大量に退職していくこと、2009年には羽田の第四滑走路が供用開始の予定であり、さらに、成田空港でも同時期に平行滑走路の北側延伸の完成を目指していることなどから、パイロットに対する需要が増加していくことが見込まれております。今後とも、引き続き質の高いパイロットを供給していく必要があり、そのために教育内容の見直しと組織のスリム化を行っていくこととしております。
 以上、国土交通省の5法人について私どもの基本的スタンスを説明させていただきましたが、これから法人ごとに見直しの考え方を資料に基づきまして個別に順次報告させていただきます。

 北橋技術調査課長
 技術調査課長の北橋と申します。建築研究所について御説明させていただきます。
 独立行政法人建築研究所におきましては、建築や都市の健全な発展、整備に資することを目的として建築及び都市計画に係る技術に関する調査、試験、研究開発並びに技術指導、成果の普及を実施しているところでございます。
 組織といたしましては、それぞれの専門分野を持った構造、環境、防火、材料、建築生産、住宅都市、国際地震の7のグループ・センターがございまして、公共の立場からの公平・中立な研究開発及び技術指導を行っているところでございます。研究の成果は、建築基準法の改正や各種技術基準の策定という形で反映されております。
 これまでの効率化に向けた取組についてでございます。
 まず、安全、環境、生活の質の向上といった社会的要請の高い課題に重点的に研究費を充当しているところでございます。また、組織のフラット化やプロジェクトチーム設置など、機動的な研究開発を実施するための体制を整備しているところでございます。また、外部委員による適切な研究評価によって質の高い研究開発を実施いたしますとともに、外部利用の促進により施設や設備の効率的利用を実施しているところでございます。
 次に、今後の見直しに向けた考え方についてでございます。
 1点目は、安全で安心な暮らしの実現、循環型社会に対応した環境・ストック対策、少子高齢化に対応した住宅・まちづくりといった社会ニーズの高い研究への重点化をさらに推進してまいりたいと考えております。
 また、複雑化、多様化するニーズに機動的に対応できるように、プロジェクトチーム制を一層活用するなど、柔軟な組織運営を図りたいと考えております。
 3点目ですが、業務運営の効率化のため、定型的な単純業務などのアウトソーシングの推進、事務処理の迅速化、簡素化を更に積極的に推進してまいりたいと考えております。
 4点目ですが、研究成果を国民に還元することが大事でありますので、政策への反映、社会への積極的な情報発信を推進してまいりたいと考えております。
 最後に、耐震基準に関する最新の研究成果を活用して、途上国の技術者の方々を対象に、国際地震工学研修を実施しておりまして、国際的にも高い評価をいただいているところでありますが、17年度からは、研修修了者に修士号が授与されるということに伴って、カリキュラムの更なる充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、組織の見直しに対する考え方についてでございます。
 建築研究所では、地震や火災に対する安全性の向上、あるいは民間では対処しがたい問題、あるいは国レベルの対応が不可欠な地球温暖化防止のための研究開発を客観的、中立的な立場から行って、その成果を建築基準法等の法令あるいは技術基準にいかすという重要な役割を持っておりますし、また、災害時には職員を派遣し、災害対応に貢献する業務を行い、被害調査によって得られた課題がまた行政施策に反映させられる、そういった役割を担っているという観点からは、公務員が担っているという利点が大きいと考えております。一方、民間や大学との共同研究、人事交流を促進する観点からは、公務員以外の法人になる利点もございますので、いずれにいたしましても、昨年末の整理を踏まえまして、非公務員化について検討してまいりたいと考えております。
 建築研究所につきましては、以上でございます。

 戸澤技術企画課長
 自動車交通局技術企画課長の戸澤でございます。よろしくお願いいたします。
 次に、独立行政法人交通安全環境研究所の見直し当初案の概要について御説明させていただきたいと思います。
 まず、業務内容についてでございますが、本研究所は自動車、鉄道の交通機関の安全の確保、環境保全を図るために様々な業務を行っているわけでございます。
 1点目は、自動車の事故防止、被害軽減、いわゆる安全のための国の基準策定への技術支援業務でございます。
 2点目は、自動車の排出ガスあるいは騒音にかかわります国の基準策定への技術支援業務を行っております。
 3点目は、鉄道関係でございますけれども、新しい鉄道システム等の安全評価、あるいは国の基準策定業務の技術支援を行っております。
 4点目は、自動車の基準適合性審査業務でございますが、特に大量生産を対象といたしまして国がその型式指定を行っております。その型式指定の際に、安全ですとか環境の基準の適合性の審査業務をこちらで行っているということでございます。
 これまでの効率化に向けた取組でございます。
 1点目は、重点研究領域に研究費を充当しているということでございます。
 2点目は、研究者評価というのを16年度より本格実施しまして、組織の活性化を図っております。
 3点目でございますが、分野横断的なニーズの増加に伴いまして、従来の組織にとらわれないプロジェクトチームを積極的に活用しております。最近の例では、燃料電池の自動車の基準策定、これがいろいろな分野にまたがるわけでございますが、この関係のプロジェクトチームを作って策定業務を推進したところでございます。
 また、審査業務につきましても、電子申請の導入等により、効率化を図ったところでございます。
 今後の見直しに向けた考え方でございます。
 まず1点目でございます。大学等で行う学術的な研究ですとか、民間で行われている開発研究というのは基本的には実施しないということで、自動車ですとか、鉄道の安全・環境基準の策定に資する技術支援業務に重点化、特化するということを更に進めたいと考えております。
 また、この研究所は自動車、鉄道両方を所掌しているところでございます。こういった研究所というのは、国内唯一かと思いますけれども、こういった特徴をいかし、近年開発が進められ、環境にもやさしいということで注目を浴びておりますバイモーダルの交通システム、これは自動車と鉄道双方の特徴を備えた交通システムで、例えば、愛知万博で試験運行されておりますIMTSのような新しい交通システムが非常に注目されてございますが、こういったものの安全評価についても重点的に進め、バイモーダル交通システムの普及を図るための環境整備を推進したいと思っております。
 次に型式指定の審査業務についてでございます。諸外国と審査方法の整合性を図るなどの国際化を推進したい。さらに、昨今のリコール問題があるわけでございますが、こういった不正行為を行った自動車メーカーに対する厳格な審査業務を行うということをしております。
 次に、国際関係についてでございます。交通安全環境研究所は、安全ですとか、環境の国際的な基準策定業務に関しましては、政府の機関として積極的に現在も参加しているところでございますが、今後もその活動を推進したいと考えております。
 次に、リコール関係の技術調査についてでございます。リコール問題の対応といたしまして、これまではどちらかといいますと自動車メーカー任せというところもございましたけれども、国自らも技術的な検証ができるような実施体制を整える必要があるだろうと考えておりまして、当研究所の業務として次期の中期目標、計画に明確に位置付けて、業務の確実な実施を図りたいと考えております。
 最後に、技術支援業務につきましては、行政ニーズへの的確な対応を図るという目的で、課題の選定に当たりまして、国が参加できるようなシステムをつくりたいと考えております。
 次に、組織の見直しに対する考え方でございますが、リコール調査業務については、先ほど申し上げましたように必要な体制の強化を図りたいということで、法律改正についても予定しているところでございます。
 次に、非公務員化については検討したいと考えておりますが、ただ、以下のような点について支障がないかを見極める必要があると考えております。
 1点目については、交通安全環境研究所で行っております業務は行政事務の一部を担っているものでございまして、国の業務との一体的な運用が必要だということでございます。こういったものの一体的な運用について支障が起きますと、国全体の施策にも支障を及ぼすおそれがあると考えております。
 また、メーカー等の不正事案を踏まえますと、これまで以上に厳正、正確、公平・中立性が強く求められるのではないかと考えております。
 2点目でございます。特に自動車の審査業務につきましては、業務の施行に当たりまして、自動車メーカー等から開発中の技術など企業秘密に属する情報を取り扱うものでございますので、その漏洩が確実に防止されなければいけないと考えております。
 3点目でございます。仮にスト等が行われた場合に自動車審査業務が停滞しますと、この型式の指定の審査が遅れ、経済活動に影響を及ぼし、ひいては国民の利益を損なうおそれもあるということで、こういった3点につきまして支障がないか、そして、どういう対処をすれば問題がないか真剣に見極める必要があると考えております。
 以上でございます。

 坂下企画課長
 海事局企画課長の坂下と申します。続きまして、海上技術安全研究所の見直し当初案の概要について御説明申し上げます。
 海上技術安全研究所は、海上輸送の安全の確保、海洋環境の保全、安全環境に関する研究開発及び海上輸送の高度化あるいは海洋の開発に関する研究開発を行っている法人でございます。
 これまでの第一期の中期目標期間中の効率化の状況でございますが、中期目標に定めました重点研究領域への研究の重点化を図っておりまして、予定以上の重点化が進んでいる状況でございます。また、研究の効率的な実施、効果的な実施という面で、定量的な評価を導入いたしまして、研究案件の継続途中での評価、あるいは絞り込みといったような形で的確な研究マネジメントの運営に努めている状況でございます。
 また、研究開発された成果は、最終的には産業界で御活用いただく必要があるということで、民間出身者の採用であるとか、あるいは民間からの受託共同研究の強化などを通じて、外部機関との有機的な連携を強化しながら研究開発を進めるといった努力、あるいは国際的な基準、船の基準は国際的な場で決まってまいりますが、この国際会議への基準案の提出等により、活動の強化を図っている状況でございます。
 また、業務の効率化の面で定型的な業務のアウトソーシングあるいは資産管理システム、資産管理に関するデータベース化、オンライン化ということで業務の効率化を図っておりまして、一般管理費についても中期目標で掲げた削減目標を達成する見込みとなっております。
 今後の見直しに向けた考え方でございます。船舶の安全、リスクベースに基づく合理的な安全規制の達成、あるいは環境問題についても非常に多様化しておりまして、船舶の船底に塗布されます船底塗料における有害物質の使用の禁止、あるいは船をスクラップする際に出てまいります有害物質への対処といった新たな環境問題への課題に対応した研究、あるいは北の領域で石油開発あるいはガス開発が進んでおりますが、こういった開発に伴う油流出事故への対応といった今後の行政課題に対応した研究に重点化を図っていきたいと考えております。
 また、こうした研究を進める上で、当然技術的な知見を高めておくということで、基礎研究についても引き続き活性化を図って人材の育成、専門的な知見の蓄積も進めてまいりたいと考えてございます。
 また、質の高い成果を継続的に達成していくためには、研究開発の計画の時点からその成果を見据えたマネジメントをより強化していく必要があると考えておりまして、企画部門の機能強化を図っていきたいと考えております。
 また、業務の効率化の面で、アウトソーシングにつきましては、第一期の中期目標期間に相当のものを行ったと考えております。今後は、業務の電子化等、あるいは管理業務の一元化といった面で間接業務の更なる簡素化を進めていきたいと考えております。
 また、組織の在り方でございます。昨年度行われました独立行政法人の見直しの結果を踏まえまして、海上技術安全研究所については、非公務員型とするという方針を固めております。
 以上です。

 中坪無線課長
 航空局無線課長の中坪と申します。電子航法研究所の見直し当初案について御説明させていただきます。
 電子航法研究所でございますけれども、航空交通等の安全確保に不可欠の電子航法に関する試験、研究、調査を行う機関でございます。電子航法というのは、航空機と地上の管制官を結ぶ通信システム、航空機にその位置情報を与える航法システム、地上から航空機の位置を確認するためのレーダーといった監視システム、これらの手段を用いまして航空機を効率よく安全な間隔でできるだけ多く飛ばせるための管制システム、管理システム、こういうものが含まれるものでございます。当法人は、これらに関する様々な業務を実施しております。
 平成13年度の独立行政法人移行後、様々な効率化を進めてきております。まず重点研究開発領域への研究経費の配分率を高めるということで、90%以上という目標に対して、16年度ではその目標を超えているところでございます。また、成果の有効な利用策でございます国土交通省の関係機関と研究活動目標の明確化であるとか、何が必要であるかという認識の共有を進めること、それから、内部的にはアクション・アイテムリストを活用した研究の進捗状況や達成度を自己評価するということで、研究を効率よく進めさせるようにしております。さらに限られた資源を有効に利用するということもございますので、所内におけるプロジェクトチーム編成を厳密に行ってきているところでございます。
 管理面で申しますと、予算管理システムを用いた予算執行状況の管理、それから、研究専従率を活用いたしまして、研究員の意識の向上を図ってきているところでございます。これらについて国土交通省の評価委員会からいろいろな指摘をいただきながら改善に努めておりまして、これまでのところ、既にすべての目標値について達成または確実な達成状況が認められるところでございます。
 今後の見直しに向けた考え方でございます。まず、今後更に増大する航空需要、これは先ほどの審議官からの説明にもございましたけれども、羽田の第四滑走路の完成であるとか、それから、成田空港のB滑走路の延伸、新たなプロジェクトがございます。これに対応いたしまして航空需要は更に増大してくるわけでございます。このため、航空交通量に対応するためのより高度な航空交通管理手法と、そのための新技術基盤としての通信航法監視システムに関する研究が大事でございますので、航空路、空域、混雑空港の容量拡大にかかわるようなソフト面に研究体制を重点化していくということを考えております。
 具体的には、現在でも4部体制で、ある程度専門性が分かれておりますけれども、それを更に専門分野を大くくりにして三つの専門研究領域を設けまして、機動的にいろいろな研究をやらせていく。具体的にはソフト面を扱うもの、これを支えるインフラ部門としての通信監視航法領域、それから地上等の領域、これらのものに分割いたしまして、ソフト面のウエイトを上げていくこと等考えております。
 具体的な進め方といたしましては、やはり様々な分野のものが同時に必要になってくるときがございますので、プロジェクトチームの結成・再編を機動的に実施することを考えております。
 人事に関する事項といたしましては、職員の業績評価の中に、社会ニーズへの貢献度、達成度というものを考慮することにより、幅広い視野を持つ研究者を育成していきたいと考えております。
 業務全般の見直しといたしましては、航空交通管理等にかかわりますような領域、通信航法監視の領域、それから地上等技術領域といった三つの領域に分けておりますけれども、これらについての重点研究開発というものを設定していきたいと考えております。
 具体的には社会ニーズの状況変化に応じまして、研究内容や方法を見直すこととしております。
 研究所自体におきましては、その規模は、それほど大きくはありませんので、様々な新たな知見が必要になってくることがございます。そういう意味では、民間を含めた国内外の研究機関等との共同研究の実施が非常に重要な合理化の進め方となると考えております。
 また、専門的な知識を要しない補助的な作業につきましては外部委託し、研究者の負担を軽減することによって、研究開発業務に専念できるような環境を作っていきたいと考えております。
 また、他の機関との積極的な人材交流を進めることにより、幅広い視野を持った研究者を育成し、重点化した研究を実施させることを考えております。
 業務運営の合理化・適正化でございます。一般管理費等を縮減していくこと、それから、予算管理システムにより、配分と執行状況把握による管理の適正化を進めていきたいと考えております。
 組織の在り方につきましては、業務内容が国の技術基準策定等にかかわるような事務でございますけれども、昨年の見直しにおいての結論を踏まえまして、守秘義務の確保や公平性・中立性の確保という課題はございますけれども、事務・事業を公務員以外の者が担うという方向で検討を進めていきたいと考えているところでございます。
 以上で御説明を終わらせていただきます。

 高橋乗員課長
 航空局乗員課長の高橋でございます。最後になりましたけれども、航空大学校について若干補足説明をさせていただきます。
 まず航空大学校の業務内容でございますが、安定的な航空輸送の確保を図ることを目的として、航空機の操縦に従事する者を養成し、また、その附帯事業を行っているところでございます。
 養成という言葉を使っておりますが、パイロットの養成には、大きく分けて二つのフェーズがございます。
 まず最初のフェーズは、基礎的な教育のフェーズです。これは、操縦技術、航空工学、電子工学、気象学、航空法規等の一般的かつ基礎的な知識、技術の教育であり、小型機を用いて行います。航空大学校はこの部分を担っております。
 二番目に、実際に航空会社の中で、例えばジャンボを飛ばしている会社であればジャンボの訓練をして資格を取得する、また、エアバスを飛ばしている会社であればエアバスの訓練をして資格を取得するという形で、実用的な訓練を行うフェーズがございます。この訓練を終了してようやく、航空会社の副操縦士なり機長になっていくわけでございます。このフェーズについては、それぞれの航空会社が行うということが一般的でございます。
 次に、これまでの効率化に向けた取組でございますが、航空大学校では独法移行時に学生の養成期間を従来の2年4か月から2年に圧縮しました。さらに、その後も航空機の重整備の点検項目等を随時見直していくことによって、航空機の飛行可能時間を向上させる等の効率化を進めてまいりました。
 次に、今後どのように見直しをしていくのかということでございますが、まず、航空大学校が果たすべき役割に着目して、検討を進めてまいります。大きく分けて、三つの役割を想定しておりますが、一つは、乗員の養成でございます。御案内のとおり、航空運送は、世界の主要国のどの国においても基本的な交通手段となっておりまして、社会全体として安定的に維持、発展させているところでございます。この場合に、航空輸送に必要不可欠な要素、生産財としてパイロットがございますが、主要諸外国を見てまいりますと、国立大学や州立大学を含む一般教育機関において操縦技術に関する基礎教育を行うことが一般的であり、その体制も充実したものを持っております。その結果として、社会全体に多数のパイロットがストックされています。
 例えば、米国で申しますと、59万人のパイロットがおります。ヨーロッパの主要国でも5〜6万人おります。それに対して我が国は、9,000人しかおりません。人口比で申し上げますと、米国の場合には日本の30倍、ヨーロッパの主要国の場合には14〜15倍ということになります。その原因はどこにあるのかということをいろいろと分析をしていきますと、やはり一般の乗員養成機関が我が国では極めて少ないということに思い当たります。米国の場合には、先ほど州立大学と申し上げましたけれども、州立大学を含めまして500以上のパイロットスクールと呼ばれる学校がございます。ヨーロッパ主要国の場合には、国立大学を含みまして100前後のパイロットスクールがございます。それに対しまして、我が国では、自社養成として航空会社が自ら運営している社内教育機関を入れても全部で四つしかございません。これがこの国の現実でございます。したがいまして、私どもでは引き続き航空大学校を用いて乗員の養成をやっていく必要があるあります。これが1点目の機能、役割でございます。
 2点目といたしまして、今申し上げました一般の乗員養成機関が十分に育っていないという現実を私どもは真摯に受けとめる必要があると考えております。そういう意味で、航空大学校では、直接的に乗員養成を行うだけではなくて、航空大学校自身を技術規範として、積極的に一般の機関を育てていく、育成・振興していく、そういうことにも今後は力を入れていく必要があると考えています。
 3点目の機能は、航空技術安全行政の技術基盤機能でございます。従来から航空安全行政の技術基盤としての機能を担ってまいりましたが、御案内のとおり、昨今、日本航空あるいは、全日空で一連の安全上のトラブルが続いております。このため、航空局では航空会社に対する監査・監督機能を強化していくなど安全対策の強化を図っていく必要があると思っておりまして、そういう観点からも、航空大学校の技術基盤機能を更に活用していく必要があります。
 以上申し上げました三つの機能に着目した上で、それではどうしていくのかということですが、私どもは二つの視点を念頭に置いております。一つが効率的な組織運営であり、もう一つは、より効果的な業務の実施でございます。
 まず、効率的な組織運営について申し上げます。整備や運航管理という業務がございますが、このような教育支援業務につきまして、民間委託化を図りたいと思っております。なお、整備業務のうち、実は整備作業に該当するものについては、従来から民間委託、アウトソーシングを行ってまいりましたが、更に民間委託ができないかということで具体策の検討を進めてまいりたいと考えております。
 二番目が、学科教育の見直しでございます。一部科目の廃止も含めて全面的に見直ししたいと考えております。
 三番目が、管理部門のスリム化でございます。従来からもスリム化に努めてきたつもりではございますけれども、一層努力したいと考えています。
 二番目の視点がより効果的な業務実施でございます。一つには、教育に関する質の向上を更に進める必要があると考えております。例えば、航空会社の運航方式を踏まえた教育及びその充実強化が必要です。また、一定の水準に達してこなかった学生については退学させるという制度を私どもは持っておりますけれども、そういうエリミネートを少しでも減少させていく努力も必要かと考えておりまして、そのための追加教育の充実を行いたいと思っております。このような施策を進めることによって、実技教育の質的向上を図ることが重要だと考えております。
 もう一つは、一部学科教育の充実です。先の通常国会で、法律改正いたしまして、パイロットに対する新たな航空英語能力証明制度の導入を行いました。また、最近話題になっているヒューマン・ファクターの問題でございます。そういうものを踏まえ、一部の学科教育については充実をしなければならない部分もあると考えております。
 効果的な業務実施の二番目といたしまして、先ほど申し上げました一般の養成機関の育成・振興にも力を注ぎたいと考えていますし、安全行政の技術基盤機能として、調査研究や航空局職員の研修等にも力を注ぎたいと考えております。
 最後に、組織の在り方の見直しに関する考え方でございます。
 非公務員化については、既に検討しているところでございます。その場合、私どもでは三つの課題に着目をしております。
 一つが、業務の停滞を招かないための工夫が必要だということ。教育でございますので、安定的、継続的、計画的に進めていく必要がございます。その意味で業務の停滞を招かない工夫が必要です。
 二番目といたしまして、航空大学校では、教官の主たるソースが航空局、防衛庁等の国の組織でございますので、国とも円滑な人事交流ができるような仕組みも維持していく必要があると考えております。
 三番目は、経験豊かな教官の流失を招かない工夫が必要です。航空大学校におきましては、定期運送用操縦士の資格、最もハイグレードの資格を持っている教官を多数そろえておりますが、一般の教育機関では、まだまだそのレベルの先生方がいらっしゃらないものですから、私どもではそういう経験豊かな教官の流失を招かない工夫も必要だろうと考えております。
 この3点の課題を念頭に置きながら検討を進めているところでございます。
 以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、見直し当初案につきまして質疑に移りたいと思います。御質問などございましたらどなたからでも御発言願います。

 鈴木臨時委員
 御説明ありがとうございます。
 まず海上技術安全研究所と電子航法研究所について4点申し上げさせていただきたいと思います。
 まず海上技術安全研究所でございますが、研究業務の重点化の方向性についてよく検討されて、明確に示されて、前向きな取組が行われているということは評価いたしますが、やはり適切な評価、国民に対するパブリック・アカウンタビリティに資する観点から、更に数値目標等を設定できるような、具体的な内容を是非次期中期目標等に記載していただきたいと思います。これが第一点でございます。
 第二点目が、非公務員化につきましては、非公務員化に踏み出されるということで大いに評価できるわけでございますので、必ずやその方向を進めていただきたいと思います。
 次に、電子航法研究所についてでございます。まず1点目は、業務執行体制の見直しでありますとか、企画部分の機能重点化、これについては意欲的に取り組もうというような姿勢が盛り込まれておりまして、高く評価させていただきますが、やはり積極的な取組を更に期待をしたいと思います。
 次に、2点目は非公務員化でございますが、昨年の見直し素案と比較いたしますと、非公務員化の方向で検討するということでございますので、評価できるわけでありますけれども、御案内のように、研究教育関係法人は一律すべて非公務員化するという方針で臨んでいるわけでございますので、是非ともその実現の方向で更に検討を進めていただきたいということの4点でございます。

 富田分科会長
 先に質問をまとめていきたいと思いますので、御意見を委員の方からお願いいたします。

 樫谷分科会長代理
 交通安全環境研究所ですけれども、いわゆる重点化という方向を出していただけたということは非常に評価できると思うのですが、これは次期の中期目標に掲げていただかなければならないわけですが、残念ながら現在の中期目標というのが非常に具体的ではない。例えば重点化するということをここに強くうたっていただくのは非常にありがたいことなんですけれども、実際にそうなっているのかどうかということは、目標を見てみないと分からないわけです。特に重点化の問題と、それから官民との役割といいますか、特に自動車関係については、非常に強力な民間企業がございますので、そことの関係、あるいは国の政策との関係ができるだけ国民に分かるようにしていただきたい。
 それから、リコールの問題、これは非常に残念ですけれども、今後そういうことがないように。交通安全環境研究所で安全の研究をしているにもかかわらず、ああいうことが結果的に起こってしまったと。先ほど御説明の中で、あまりにも任せてしまった、信頼し過ぎてしまったというような、もちろん信頼すること自体は非常にいいことだと思いますけれども、やり過ぎてしまったというようなこともおっしゃっていましたので、その辺は是非国民に理解をしていただく必要があるので、重点化をしていただくと同時に、国の政策目標と民間との役割をできるだけ次期中期目標には具体的に書き込んでいただきたいと思っております。
 それから、非公務員化について検討するということになっております。検討するということで踏み込んでいただいたのは、大変評価できますが、政策評価・独立行政法人評価委員会としましては、研究とか教育機関関係は一律すべて非公務員化という方針で臨んでおりまして、この研究所につきましても、国家公務員でなければできない、確かに中立性、公平性という観点は非常に重要だと思いますが、国家公務員でなければできないのかと言われると、どうもいろいろ御説明をお聞きしても、国家公務員でなければならないとは感じられませんので、是非非公務員化ということで、御努力いただきたいと思います。
 それから、建築研究所につきましても、昨年の土木研究所と違いまして、土木研究所は確かに御説明を聞きますと、対象が国の機関であり、地方公共団体などが実施するという側面が非常に多いのですが、建築につきましては、有力な会社だけではなくて、中小を含めて、非常に民間ですそ野が広い業界であります。
 したがって、交通安全環境研究所と同じように重点化をしていただくというのは非常にいいことだと思いますが、それが次期の中期目標に見えるような形で是非示していただきたい。国の政策目標と民間との役割、それと法人の担う役割と任務、これを明確に示していただきたいと思っております。
 それから、非公務員化につきましても、交通安全環境研究所と同じく、検討するということで一歩踏み込んでいただいたことは高く評価していいと思いますが、非公務員化ということで大変だと思いますが、建築研究所も基本的に民間で非常に充実した研究も行われている。すべての民間会社ではなく、有力な民間会社だと思いますけれども。したがって、国家公務員でなければできないということはないと思います。ただし、非常に中立である、公平であるということは、そのとおりだと思いますが、それも踏まえなから、国家公務員でなければできないということはないと思いますので、是非御努力いただきたいと思っております。
 以上でございます。

 丸島臨時委員
 3ページの組織の見直しに対する考え方について、非公務員化については検討する、しかし、支障がないか見極めるという点です。自動車メーカー等の開発中の技術等企業秘密に属する情報を取り扱うことから、その漏洩が確実に防止されなければならない、この点についてもう少し御説明いただきたいのですが、現在はどのようにして漏洩の防止がなされているのか。非公務員化したら、なぜそれが懸念されるのかについて御説明していただきたいと思います。

 北橋技術調査課長
 まず建築研究所について御説明させていただきます。
 土木研究所と違って、建築研究所は建築だからというのはおっしゃるとおりですが、民間の研究所が行っていますのは、現場の課題だとか、効率性・採算性に関連する研究が中心でありますので、建築研究所がやっている分野とは基本的に重ならないとは思っております。しかし、御指摘のとおり、重点化をする、役割分担をきちんと明確にするというのは大事なことでありますので、今回の見直しに当たってきちんと検討したいと思っております。
 それから、非公務員化につきましては、御意見を踏まえまして、非公務員化できるかどうか、したときに問題がないかどうかということをよく検討をさせていただきたいと思います。

 戸澤技術企画課長
 交通安全環境研究所についてでございます。まず重点化についてでございますけれども、官民との役割、そして民間との役割という観点で具体的な目標設定をすべきということで、全く同感でございまして、私どもとしましても、大学などで行われる学術的な研究ですとか、民間で行われるような研究開発については基本的には行わないこととしております。
 国の基準策定、安全ですとか、環境の基準策定に資する業務により特化していくということを更に進めたいと思っております。
 あと、非公務員化の件についてでございます。ここに幾つか課題は挙げさせていただきましたが、私どもとしましても、必ずしもこれは解決できない課題ではないのではないかと思っております。どういう形にすれば支障がないかということについて検討していきたいと思っております。
 また、最後に自動車メーカーの企業秘密等に属する情報についての漏洩の件について、現在、漏洩に関してどうしているのかという点についてでございますが、一つは、いわゆる公務員としての使命感を背景にしております。実際自動車メーカーからは、非常に企業秘密の高い情報というのが審査の際には必要になります。こういったものがないと、実際の安全上問題がないかという審査ができませんので、非常に企業秘密の高い情報が寄せられる。こういったものに対して公務員としての使命感、そして書類の保管等については十分行っているということでございます。
 今後なぜ懸念されるかということでございますが、やはり、自動車メーカーとの信頼関係に立って初めてそういう企業秘密の高い情報を提出していただき審査できるという関係を維持できるかについて、どういう形で問題解決できるかということかと思いますので、今後検討していきたいと思っております。

 坂下企画課長
 海上技術安全研究所でございます。
 次期中期目標における適正な評価実現のためにもっと数値目標を設定すべきではないかという御指摘でございます。この第一期の中期計画の中でも種々定量的な評価の導入に努めてまいりましたので、この経験もいかしてなるべく具体的に、あるいはどこまで達成しようとしているのかということを国民の皆さんに御理解いただけるような次期中期目標の設定に努めたいと考えております。

 中坪無線課長
 電子航法研究所でございます。執行体制の件と、それから研究企画業務の重点化について意欲的であるということで御評価いただき感謝しておりますが、是非ともこれは具体化させたいと考えております。
 それから、非公務員化という点でございますけれども、非公務員化の方向で検討するということで現在考えておりまして、やはり非公務員化によるメリットを何とか享受するために、課題となってまいりますものについてクリアする方法を含め検討していきたいと考えております。

 河村臨時委員
 航空大学校について意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 5月の末に宮崎にお邪魔しました際に、今後パイロットの大量退職時代が来ると伺いましたが、これは30年前から分かっていたことなのではないのかという気もいたします。あと、空港の整備が進展するという時代の中で、これから先に向けて三つの役割があるという御説明がありまして、この点は非常によく理解できるところがございました。ただ、こちらから意見として申し上げたいのは、課長がおっしゃられたようなこの三つの役割に対して、今後の見直しに向けた考え方としてピックアップして本日の御説明資料に書いてくださっている内容が、どうもこの3点と対応していないような印象を受けます。この点、申し上げたいと思います。
 三つの役割ということで、一つ目が航空大学校での乗員の養成、二つ目が、ほかの一般的な機関でのパイロット育成機関の育成、三つ目が航空安全行政の技術基盤の提供というお話でしたが、二つ目の部分がなぜここで出てこないのか。そこをちょっと疑問に思っております。
 日本でパイロットのすそ野が狭いということ、それはこちらもよく理解できることでありまして、それに対して、今回の見直しに向けた考え方というのは、どうも重点があくまで航空大学校での育成をどうするかというところ、これも大事だとは思いますけれども、そちらに重点が寄り過ぎていないかという気がいたします。
 主要なエアラインにもお話をお伺いいたしましたが、いろいろなお考えがありまして、ただ、パイロットがこれからすごく不足するという、それがもう3年ぐらい後には始まるという恐ろしい状態になっているということはよく分かりました。そういった中で、これからどうパイロットを養成していくのかというときに、やはりどうしてもすそ野を広げなければならない。では、今までのように本当に航空大学校で養成して、それから自社養成もされて、それだけではとても対応できない。
 ここへ来て、新たに東海大学とANAが連携されるような動きも出てきています。そういった一般的な機関に対して、航空大学校がこれまで持っていらっしゃる教育のノウハウ、レベルといったものをいかに広め、育成に力を尽くしていくのか、そういったことをやっていかないと目先の大量退職時代も乗り切れないし、これから先、空港が整備されて、ハードの設備が整って、また、新規参入によって運賃が大幅に値下がりしたということが需要拡大に結びついている大きな前提条件だと思いますけれども、そういう状況で、せっかく航空需要が増えるかもしれないときに、このままだとパイロットが足りないような事態になってしまいかねない。
 そういったことを考えると、やはり一般機関の育成というところにもっと踏み込んで重点的に、航空大学校がどういう役割を果たすべきかというところについてお考えいただくことが望ましいのではないかと思います。
 確かにパイロットをどのように確保するか、育成するかというのは、この独法の見直しよりもっと幅の広い、航空行政全般のお話だろうとは思いますけれども、今のこの局面から考えると、そういったことに関して総合的な対策とでも言うべきものをお示しいただいて、その中で航空大学校を次の中期目標の期間でどのように位置付けて、どういう役割を果たしていくことにするのか、どういう計画にするのかということをお示しいただく必要があるのではないのかと考えております。
 以上でございます。

 岡本臨時委員
 非公務員化の考え方について、冒頭審議官がおっしゃった資料について、同じ表現になっている3法人の御説明を個別に伺ったんですが、若干差があるように思える部分と、実際にもう少し具体的な業務と非公務員化によるメリットないしはデメリットを説明された上で、むしろ非公務員化はできない理由を述べられるべきではないかという提案をしております。
 特に違いを申しますと、交通安全環境研究所につきましては、個別の理由が書いてありますが、例えば建築研究所の場合には資料に書いていないという違いもございます。その辺り、どのような御検討を、国土交通省でされているのか、それとも個別の独法で検討されていらっしゃるのかについてお伺いしたいと思います。

 高橋乗員課長
 まず航空大学校でございます。何点か御指摘をいただきましたが、まず、一般の教育機関を育成振興するというスタンスが必ずしも資料の中で明確ではないのではないかという御指摘がございました。御指摘のとおり、概要の中では、明確に書き切れてないというところは若干反省をいたしております。ただ、見直し当初案ではその点も盛り込んだつもりでございます。
 また、一般的な教育機関の育成・振興をもっと力を入れてやっていくべきではないのかという御指摘がございました。その点については、同感でございます。今まで必ずしも十分に力を入れてこなかったのではないかという反省もしているところでございます。私どもはパイロットが不足するという危機感の中で仕事をしておりますので、養成にとかく力点を置きがちでございますが、先生方の御指摘は十分に踏まえながら、次期中期計画の策定に当たりたいと思っております。
 さらに、総合的な対策を示すべきである、その中で航空大学校はどういう役割を果たしていくのか、そこを明確にすべきであるという御指摘がございました。それについても同感でございます。
 実は、昨年から、航空局では、「今後の航空従事者行政の在り方に関する検討会」を開いておりまして、その中で乗員養成は今後どのようにしていけばいいのかということを検討してまいりました。検討においては、総合的な対策を講じる必要があるということを打ち出しております。対策として五つのポイントがございます。
 まず一番目が航空大学校による基幹的要員の安定供給、二番目に自社養成の更なる活用とそのための環境整備であります。
 三番目は、一般の乗員養成機関の育成・振興という柱を立てました。
 四番目が、外国人乗員の採用と、そのための環境整備でございます。外国人乗員についてはいろいろな問題がございまして、昨今でも、例えばNewsweekや日経新聞等に、インド、中国等で大量のパイロット不足が顕在化をしており、外国人乗員が不足するのではないかという懸念が報じられておりました。外国人乗員の採用については、これらの情勢を踏まえながら環境整備を進めていきたいと考えております。
 五番目が加齢乗員です。国際標準により60歳以上のパイロットはについては、運送事業における乗務はできないという安全上の基準がございます。しかしながら、私どもはいろいろと工夫しながら、65歳まで飛べるような規制の緩和、合理化を進めてまいりました。それも活用しながら、加齢乗員を使っていきたいと考えております。
 この五つの対策を総合的な対策としているところですが、その中で航空大学校は、当然自身の養成もさることながら、自社養成ですとか、一般の教育機関の育成・振興という点で、先生方の御指摘のとおり、もっとノウハウを提供して、活性化させるような努力ができるだろうと思っております。
 また、航空大学校は航空安全行政の技術基盤機能を持っていると申し上げました。外国人乗員や加齢乗員の課題については、航空局との連携の下、技量の低下だとか、安全性に支障がないかどうかという観点からの訓練や評価方法等に係る調査研究についても力を入れていきたいと考えております。
 以上でございます。

 鈴木政策評価官
 政策評価官の鈴木でございます。今回、個別の法人ごとにそれぞれ非公務員化につきまして検討させていただいておりまして、検討状況に応じて、それぞれの立場を書かせていただいております。国土交通省所管の特定独立行政法人につきまして、いずれの法人においても、国の行政遂行上の必要不可欠な業務を行っているわけでありまして、その業務には高い中立性、効率性が求められているというところでございます。
 これらの業務を非公務員が担うという場合ですけれども、争議権が行使された場合の円滑な業務の実施、あるいは中立性、効率性の確保等がどのように担保できるのかといった観点、その他それぞれ各法人の業務とか特性等に応じましていろいろ慎重に見極める必要があるということでございます。したがいまして、今その検討を行っております。
 資料として、個別具体的な法人のところでは、個別の論点が書かれていない点があるではないかという御指摘だったかと思いますが、その点につきましては申しわけございませんけれども、口頭で補足させていただいたように、それぞれの法人、それぞれの視点で今検討しておりますので、どうぞ御理解いただければと思います。
 以上です。

 樫谷分科会長代理
 航空大学校ですけれども、財務省の予算執行調査では、一人養成するのに5,000万円から6,000万円かかっているということになっております。聞くところによりますと、年間約400人のパイロットを確保していく必要があり、現在の供給量では不足するという話があります。パイロット一人養成するのに、6,000万円かかるということは400人養成するのに240億円かかることになります。もちろん航空大学校だけでやるという話ではなくて、民間の養成所もございますけれども、民間養成は、どうも聞いてみても5、6,000万円もかかってはいない。何がコストアップ要因になっているのかよく分かりませんが、やはり民間並み、少なくとも遜色のないコストにしないと、不足というのはよく分かるけれども、不足するからこそ、もっと効率的にやっていただきたい、そうじゃないと国民の理解が得られないですね。むしろ民間でやってください、国でやる必要はないじゃないですかという話になってしまうので、必要性は認めるものの、コストは民間並みには少なくとも落としていただきたいと考えております。我々の計算、簡単な試算において、大体やはり5、6,000万円という数字が出ておりますので、6,000万円は多いと思います。でも、本当に必要であれば、その必要であるという根拠をしっかり出していただきたいと思います。
 それから、航空大学校について非公務員化を検討するということですが、教育研修機関ですから、国家公務員でないと教育研修ができないということはどうも理解できません。是非非公務員ということで大変御苦労だと思いますけれども御努力いただきたいと思います。
 それから、重点化とか効率化ということをどこでもうたっていただいて、これは非常にいいことだと思いますが、どうもこれだけではよく見えないので、現在の中期目標はどうだったか、次期はどうなるのかということをできるだけ、明確になるようにしていただきたい。つまり、当中期目標期間と次期中期目標期間がどのように変わるんだということを国民に明らかにする。それから、できれば予算配分もどう変わるんだということもあわせて御説明いただくと、我々も大変理解しやすいし、何よりも国民が理解しやすいのではないかと思います。
 以上です。

 黒川臨時委員
 黒川でございます。2点御質問させていただきます。
 まず一つは、航空大学校ですが、一人卒業生を出すためにどのくらい国費が投入されるのかという点ですけれども、本日の御説明を伺った範囲内で考えると、固定費が非常に大きいのではないかと思います。そこで、アウトプットである卒業生の数でそれを割れば当然一人当たりになるわけで、それを下げるという手段は、もちろん経費を節減するというのもありますけれども、入学定員を増やしアウトプットを増やすというのも一つの手だと思います。
 先ほどからお伺いしていると、非常にパイロットが不足するということであって、しかも国土交通省の資料を見ると、分校が二つもあって、三つも施設がある。そういう中で、この提案あるいは卒業生の数の見直しというのはあり得るのかどうか。もちろん固定費は、それも増やしてしまうということになれば、一人頭6,000万円で、もっと増えてしまうのかもしれませんけれども、固定費の部分ですから、そこは同じにしておいて、アウトプットの数を増やすことはできないのかどうか、この辺は検討されているのかどうかお聞きしたいところであります。
 それから、二番目は交通安全環境研究所ですけれども、ここもどのような研究内容かについて、例えば、環境の問題についての排ガス規制の研究といったものが行われていると。しかも、それが規制の基準に対して影響があると、このような御説明を受けております。例えば、私も車を運転しますが、排ガス規制の問題、あるいは燃費、このようなものでしばしば燃費とか、いろいろな基準がパンフレットに書かれているんですが、実際に運転してみると、公表されているよりも実感はもっと燃費は悪いのではないかという気もしないではない。
 それから、排ガスの問題も、現在基準としてこのような物質について規制していますということであっても、もしかすると、ほかにも物質は出ているかもしれない。ですから、基準自体がきちんと決まっていないと、その基準には適合していても、基準が適正でなければすり抜けてしまう部分がある。燃費がもっとほかの計り方をすれば違う燃費になるかもしれない。あるいは有害物質についても、基準であまり規制していないものが出ているかもしれない、そういう問題はあると。要するに、基準自体が重要だと思うわけであります。
 そこで、基準を作るときに、その基準を作る当局者が消費者寄り、あるいは生産者寄りかというようなステレオタイプの議論をするのはよくないのかもしれないけれども、やはりあると思います。要するに、造る方からすれば造りやすい車、あるいは非常に売れそうな車、あるいはコストが安くなりそうな車とか、エンジンにしてもあると思います。そういう状況があるかもしれないというときに、消費者寄りのサイドで基準を作っていくのか、あるいはちょっと生産者寄りになるのかとかいう問題はあり得るのではないかという気がします。御質問というのは、国土交通省として、あるいは交通安全環境研究所がこういう基準に対して影響があるとするならば、どういうスタンスで研究をされ、あるいは基準を作っていっているのか、ここをもう一度確認させていただきたいと思います。

稲継臨時委員
 航空大学校で先ほど一人当たり6,000万円という話と、その割り算の話が出ておりましたけれども、72名の定員がおられて、実際に何人が卒業して、そして、これは国費が投入されていますので、日本のエアラインに何人就職しておられるのか。つまり、国費が投入されたのがどれだけの国民の利益になっているのかということを教えていただきたいと思います。

 河村臨時委員
 コストのところで一つだけ申し上げたいと思います。
 養成コストは少なくとも民間並みに圧縮すべき、これは当然のことだと思います。あと、コストの面で、コストの負担の適切な負担の在り方はどうあるべきかということを是非あわせて考えていただきたいと思います。国がどこまで負担するのか、それから、受益者というのは、この航空大学校の場合二つあると思いますけれども、卒業生が就職するエアラインと、それから学生として入ってくる本人、将来パイロットになるであろう本人があると思います。その本人の負担というのが、今かなり少ないのではないか。ほかの職業と比べてもちょっと公平性を欠くぐらい著しく少ないのではないのか。パイロットは、お給料の話を伺うと、今でもやはりかなりもらっていらっしゃるような感じですし、そういう職業に将来就かれる方に、その場で学費というような形で払わなくても、やはり奨学金の仕組みを整備するといった形で、できるだけ一般的な職業になるような形での養成コストの負担の在り方ということを是非考えていくべきではないかと思いますが、その点についてもあわせてお考えをお伺いできればと思います。

 高橋乗員課長
 まず一人当たりの養成コストが6,000万円という話でございますが、確かに御指摘のとおり、財務省の予算執行調査の中でそういう数字がございました。この数字はどういう数字かということを若干御説明させていただく必要があるかと思います。
 独立行政法人に移行するときに、航空大学校では、従来の定員を減らすとともに、養成期間を2年4か月から2年に圧縮をいたしました。現在の定員は72名でございますが、初年度については、調整が必要であったことから50名ほどといたしました。
 航空大学校の年間の運営費交付金が約30億円でございますので、その30億円を50人で割りますと6,000万円という数字が出てきます。これについては、財務省の御担当の方にも御説明いたしましたが、結局6,000万円という数字をお使いになったということでございます。
 先ほど、エリミネートを減らしたいということを申し上げましたけれども、仮にそれが実現して、例えば70名の人間が卒業できるということになれば、一人当たり約4,000万円ということでございます。燃料代も土地代も飛行機の整備費も全部安いアメリカで訓練を行っている大手航空会社の自社養成については、コストが3,000万円台の後半と聞いておりますので、目が飛び出るほど高いというわけではないと思っております。とは思っていません。
 しかしながら、御指摘のとおり高いことは事実でございますので、少しでも減らしていきたいと考えています。先ほどキーワードとして効率的な組織運営という話を申し上げましたけれども、この中では、コストの削減に踏み込んでいきたいと考えております。
 二番目の御指摘として、非公務員化についてはもっと積極的に考えるべきという御指摘がございました。私どもも、3点ほどきちんと分析をして対策を講じるテーマがあるとは思っておりますので、十分に検討してまいりたいと考えています。
 3点目の御指摘で、固定費部分が大きいのであれば一人当たりの養成コスト(単価)を下げるため、養成人数を増やすというのも一つの手段であろうと、そういう構想はあるのかという御指摘がございました。
 結論から申し上げますと、残念ながら私どもはそういう予定はございません。エアラインの中では、新規参入企業を中心としてもっと増やすべきではないのか、欧米に比べて非常に乗員養成体制が弱い、すなわち社会的なインフラとして弱いので、そこはきちんと国がやるべきではないかという御指摘はございますが、残念ですけれども、運営費交付金のほとんどは一般会計で賄っておりまして、予算を増やせる状況にはございません。確かに固定費は多いのですが、養成人数を増やすということは変動費を増やすことにつながりますので、なかなか踏み切れないというのが現状でございます。
 最後の御質問で、72名のうちエアラインにどれだけ就職しているのかという御質問がございました。最近では、おおむね100%の人間がエアラインに就職している状況でございます。
 コスト負担につきましては、受益者にもっと負担させることも考えるべきではないかという御指摘がございました。先生方から御指摘ありましたように、航空会社や学生本人も受益者だと考えております。
 ただ、エアラインからは、既に航空機操縦士養成振興協会という協会を通して負担をしていただいております。予算削減の流れの中で私どもからお願いをして航空会社に協力を求めた経緯があり、一定の負担をしていただいているというのが現状でございます。
 それに対して、航空会社各社からは、アメリカやヨーロッパの一般の教育機関でエアラインが負担を求められているケースはなく、何故、負担しなければならないのかということも言われております。これについては、引き続き協力が得られるよう粘り強く理解を求めていきたいと考えております。
 二番目に、本人の負担に関する御指摘がございました。航空大学校は、広く人材を発掘してその人たちに高度な教育を与えるという目的の下に運営されており、医学の教育だとか、歯学、薬学、工学の教育と同じように、そういう分野における国立大学の役割をしていると思っております。高い学費を提示したときに、学生の選択肢が奪われ、結果として、航空大学校の本来の役割を果たすことができなくなることが強く懸念されます。
 ちなみに、私どもでは一般の教育機関の育成・振興の一環として、東海大学を何とか育てていきたいと今頑張っておりますけれども、それが実現すれば、パイロット養成の分野でも私立大学もあるし、国立大学もあるという医学等の分野に近い環境ができていくと考えております。
 以上でございます。

 戸澤技術企画課長
 交通安全環境研究所に関してでございますけれども、1点目は燃費に関して公表されているものと実際の燃費が少し違うのではないかということでございます。
 現在は、代表的な走行パターンということで10・15モードというモードを使っていまして、これはいわゆる台形モードと言われるものですけれども、こういったもので、条件をきちんと整えた上で、各自動車メーカーの提出されました車の燃費を測定しています。正確性を期すということで、どうしても一つ代表的な走行パターンというのを決めざるを得ないということだと思います。ですから、実際との食い違いというのはどうしても出る面があるということでございます。
 ただ、現在、より実走行に近い、そういう台形モードではなくて、トランジェントモードと言っておりますけれども、そういう実走行パターンをそのまま使えないかということで検討しておりまして、なるべく早い時期にそういったものに切り替えたいと思っております。
 もう一つ、排ガス関係の基準等についての国交省なり交通安全環境研究所のスタンスということでございますけれども、当然ながら、私どもは基本的に国民の生命、財産を守るということで、国民サイドに立って行うわけでございます。
 ただ、当然ながら技術の限界等もあるわけでございますので、そういったものを見極めながら基準設定をしていくということでございます。
 また、現在、例えば一酸化炭素ですとか、窒素酸化物、黒煙とか、こういった規制がございますが、それ以外の規制されていない未規制物質の問題についても、これは環境省とも協力しまして、特に私どもはその排出実態の調査を行いまして、環境省でその人体影響等を行うということで、協力しまして、そういった問題についての必要な研究も行っているところでございます。
 以上でございます。

 樫谷分科会長代理
 今の航空大学校の一人当たりの計算の仕方ですけれども、30億円で70人だったら、4,000万円ではないかという話ですが、これは養成コストを言っているわけですけれども、養成コストだと航空機操縦士養成振興協会が年間8億円くらい使っています。そうすると、これを計算しますと、やはり5,000万円の中ぐらいになります。やはりコストをどう削減するかという話だから、トータルのコストがどうだということ、それから、行政のコスト、つまり運営費交付金のコストがどうだということと両方考えていかなければならないと思います。これはコスト意識がやはり欠けているのではないかと思います。だから、トータルのコストをどう下げるか、その負担をどうするかということは、使っているコストは両方合わせてやはり5,000万円の中ごろなんです。それをよく認識していただきたいと思います。

 富田分科会長
 それでは、時間の都合もありますので、ここで御質問を打ち切らさせていただきます。
 本日は御説明をいただきました皆様におかれましては、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、ただいまの御議論いただきました点も踏まえまして、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほどをよろしくお願いいたします。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問ができなかった委員もいらっしゃると思います。その際には、後日、事務局を通じて照会いたしますので、対応をよろしくお願い申し上げます。
 国土交通省の皆様方におかれましては、どうもありがとうございました。それでは、5分ほど休憩いたします。
 
  (国土交通省説明員退席・休憩)

 富田分科会長
 それでは、時間になりましたので、再開いたします。
 総務省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。
 情報通信研究機構の見直し当初案につきまして総務省から御説明をいただきます。本日は総務省松本技術総括審議官を始め御担当の皆様にお越しいただきました。
 短時間で恐縮でありますが、5分で御説明をお願いいたします。

 松本技術総括審議官
 総務省技術総括審議官の松本でございます。本日はヒアリングの機会をいただきまして大変ありがとうございます。5分ということでございますので、簡単にまず御説明を申し上げたいと思います。
 お手元の資料「情報通信研究機構の見直し当初案について」に沿って御説明申し上げます。
 情報通信研究機構、NICTと呼んでおりますが、その概要ということで簡単に書いてございます。情報通信分野を専門とする唯一の公的研究機関ということで、情報通信技術につきまして基礎から応用まで一貫した総合的な視点での研究開発、あわせて情報通信分野の事業支援等を行っている法人でございます。
 16年4月1日に独立行政法人でありました通信総合研究所(CRL)と認可法人でございました通信・放送機構(TAO)が統合いたしまして新たに発足したということでございます。
 現在の理事長は前京都大学総長で、元国立大学協会長でいらっしゃいました長尾先生が就任されております。
 予算規模等はここに書かれているとおりでございます。
 まずNICTの見直し案を策定するに当たりまして、現状どうなっているか、あるいは研究環境はどうなっているかを若干御説明させていただきたいと思います。
 情報通信分野は、国際競争力の源泉であると言われておりますが、国際競争が大変厳しい分野であるとともに、社会的に様々な活動の基盤になっているわけでございまして、今後、少子高齢化等社会的な問題の解決に向けて情報通信基盤を整備していくことが大変重要だと政策的に言われているところでございます。そういった内容につきましては、科学技術基本計画の4重点分野の一つに取り上げられていることや、あるいはIT戦略本部で決定されておりますe-Japan戦略等で推進することになっているということで御理解いただけるものと思います。
 ヨーロッパ、アジアの諸国におきましても、この分野の研究開発は国を挙げて取り組んでいるわけでございまして、日本もこれに遅れをとらないような研究開発を推進する必要があると考えているわけでございます。
 他方、民間における研究開発活動、NTTの民営化等によりまして、こういった基礎から応用までの幅広い分野の研究がなかなかできにくい状況になっておりまして、民間におけるNICTに対する期待も高まっていると認識しております。
 そういった状況のもと、今後NICTが果たすべき役割として、情報通信分野を専門とする唯一の公的研究機関として、国の政策と連携した質の高い研究を行い、成果を上げるということ、それから、当然のことでございますが、効率的な業務・組織運営に努めるということで、今度の中期目標・計画等を策定してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、見直し当初案の概要ということで、事務・事業の見直しと組織形態の見直しという二つの観点から整理をいたしております。事務・事業の見直しで5項目、組織形態の見直しで4項目を掲げております。
 NICT見直し案のまず第一でございますが、国の政策と連携した研究領域の重点化を図りたいということでございます。去る17年7月に総務省の情報通信審議会から2010年までの情報通信技術の研究開発の在り方についての答申がございました。ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方ということで、次の6ページの1)、2)、3)の三つの研究領域を今後重点的に行うようにということでございます。NICTは、国の政策と密接に連携して研究開発を実施するということで、独立行政法人の制度の趣旨にかんがみまして、次期中期目標につきましても、この審議会の答申を踏まえて策定してまいりたいと考えております。
 2点目でございますが、地方拠点の廃止・集約化ということでございます。現在、地方に24か所のリサーチセンターあるいは支援センター等を持っておりますが、所期の目的を達成したものにつきましては、廃止するということと、あわせて研究内容を踏まえた拠点の集約化を進めてまいりたいと考えております。
 3点目でございますが、客観的・定量的手法の導入ということで、研究成果の社会への還元・普及が大変重要だと考えておりますが、次期中期目標あるいは中期計画におきまして、その数値目標をできるだけ導入を、現在も導入はしておりますが、更に導入をしてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、事業振興業務等の着実な実施ということでございます。通信・放送機構(TAO)の時代から通信・放送事業の分野の事業振興に係る業務を実施しておりますが、こういった内容につきましては、情報通信政策上の要請に基づき、法律に基づいて実施しているものでございまして、次の中期目標期間におきましても、この業務を着実に実施してまいりたいと考えております。その上で民間基盤技術研究促進業務というのがございますが、あるいはITベンチャー支援業務につきましては、業務の一層の重点化と効率化を図りたいと考えております。
 最後に、標準化・知財・広報関係施策の推進ということで、国際標準化は国際競争力上大変重要でございますし、それが研究成果の社会への還元・普及にとって大変重要でございますので、その推進体制の強化等を図ってまいりたいと考えております。
 次に、組織形態の見直しの関係でございますが、まず第1点目、非公務員化への自主的移行と関連施策の積極的推進ということでございます。NICTにおきましては、既にこの特定独立行政法人以外の独立行政法人への移行、いわゆる非公務員化ということを決定いたしておりまして、法案は既に国会に提出いたしましたが、ご存じのとおり国会が解散されたということで、審議が行われないままに廃案となっております。次の臨時国会等のできるだけ早い機会にこの法案を提出いたしまして、非公務員化を実施したいということでございます。その非公務員化が実施された暁には、非公務員化のメリットを最大限にいかした施策を講じてまいりたいと考えております。
 7点目でございますが、2本部制の廃止ということで、現在、昨年の4月に二つの組織が統合したということもありまして、従来のTAOがございました芝本部に一部のTAOの組織が残っておりましたが、これを小金井の旧CRLの本部に組織を一元化、一体化したいということで、できるだけ早くこれを実施したいと考えております。
 それから、研究開発体制の見直しということでございますが、先ほど次期中期目標期間におきまして、情報通信審議会からの答申、三つの分野に重点化するというお話を申し上げましたが、その研究をより効率的、機動的に実施するために、現在の研究開発体制あるいは研究支援体制を見直したいと考えております。
 最後に、管理部門の効率化ということで、適正かつ機動的な人員配置を通じまして、全職員数に対する管理部門の比率を低減していきたいということでございます。
 NICTの見直し当初案についての御説明を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、見直し当初案に関する質疑応答に移ります。御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

 岡本臨時委員
 それでは、私から旧CRLと旧TAOの合併、統合の効果と今後という観点から幾つか御質問させていただきます。一つは、研究領域にかかわることでございますが、いわゆる統合のメリットについて、今回の中期目標期間の途中で統合があったわけですけれども、これを次の中期目標期間にどのように具体的に展開されていかれるかということを御説明いただきたいということ。それから、いわゆる拠点、間接部門の廃止ですとか集約化についてですが、先ほど2本部制につきましては、はっきりと今の芝を廃止されて小金井に一本化されると明記されていらっしゃいますが、できるだけ早く、というのは、次の中期目標期間に具体的にどういうスケジュールで、どういうプランでやっていくかというのを是非とも明記をしていただきたい。これは注文という形になるかもしれませんが、よろしくお願いしたいということ。それから同じように地方拠点の話もそうですが、あるいは海外の事務所がもしあれば、そういう観点からの集約化について、どうお考えかを書いていただきたいと思います。
 それから、管理部門の効率化も、恐らく非公務員化との関係もあるかもしれませんが、人員をどのように適正に配置されるかという点も、適正な配置は当然のことだと思いますので、それを具体的にどのように展開されるかというのを御説明いただきたいと思います。

 黒川臨時委員
 今の岡本委員からの御質問と重複しますけれども、補足ですが、まず地方拠点についてはこれから廃止・集約化ということで、方向性は大歓迎でございますけれども、タイ、シンガポール、ワシントン、パリにございます海外の機関を維持している理由をまずお伺いしたい。それで、私どもとしては本当に必要なのかどうか、もう一度検討していきたいと思っているわけであります。
 それから、間接部門の人員についても、私どもが数値を把握している範囲ですと、企画、総務、財務、総合企画系、合わせて125名もいるらしい。この数は正確なところは確認していただきたいんですけれども、こういう人数は民間では考えにくいくらい間接部門が多い。ですから、早急に対策をとっていただきたいということであります。
 それから、2本部制の芝本部ですが、本部を廃止するとおっしゃっていますけれども、では、芝本部の今ある建物といったものはどうなってしまうのか。要するに、看板だけ掛け替えるということではないのかどうか。そちらからおっしゃった見直し当初案は、すべて素晴らしいんですけれども、もう一歩踏み込んで説明をいただきたいと思った次第です。

 丸島臨時委員
 6ページの5「標準化・知財・広報関連施策の推進」について質問させていただきます。日本発の技術の国際標準化と表現されていますが、この日本発というのはNICTの関連技術だけを指すのか、それとも先ほど御説明ありました国の施策と称している重点4項目、そういうこととの関連も含めてなさろうとしていらっしゃるのか。むしろ私は後者のほうを期待したいと思いますが、御質問させていただきます。

 浅羽臨時委員
 研究体制の見直しとありますけれども、民間の類似研究機関等の連携といったものは具体的にどのように位置付けられているのか。例えばNTTで研究体制が非常に薄くなってきているといいましても、例えば情報通信総合研究所などの研究機関もあります。今後こうした体制の見直しの中で他の民間の機関との連携や、あるいは人事交流といったものをどのように位置付けていくのか、その点についてもう少し詳しく教えていただければと思います。

 松本技術総括審議官
 最初の統合のメリットを示すべきではないかという御質問については、CRLという旧国立研究所から出発しました基礎的な研究開発を中心に進めてきた独立行政法人と、片や旧TAOでございますが、これはどちらかというと応用に近い先導的分野の研究開発という性格の役割を担っていたわけでございますが、これらの法人が統合することによりまして、基礎から応用まで一貫した研究開発ができる体制ができたということで、まず一つの統合のメリットがあろうかと思います。そのほかに、長尾先生に理事長になっていただいた後でございますが、両方の部門間の人事交流でありますとか、あるいは基礎から応用に行くまでの横断的な研究開発を推進するための内部組織、ユニットとしておりますが、そういうものを作ったりという努力をしてきているということでございます。
 それから、業務の効率化の面から言いますと、統合に当たりまして社会的ニーズが低下したと判断される業務を大幅に廃止・縮小したということもございます。あるいは、経費の節減、私どもの見積りで約27億円程度の経費節減ができた。さらに、財務関連業務の一元化ということで、管理部門の効率化にもつながってきたのではないかと思います。統合から1年半でございますので、十分であったかということにつきましては、さらにそれを今後、次の中期目標期間において推進できるように進めていきたいと考えているところでございます。
 二番目につきましては、地方拠点の関係でございますが、地方拠点に関しましては、先ほど申し上げましたように24か所、リサーチセンター、支援センターを設置しておりまして、私どもも次期中期目標の前までに廃止できるもの、もう一定の役割を終了したものは廃止をしてほしいと考えています。あるいは集約できるもの、研究内容によって幾つかのリサーチセンターなりを集約できるものは、次期中期目標期間中にこれを集約してまいりたいと思います。この廃止なり集約の見込みの数でございますが、私どもとしては廃止が6か所で集約化が2か所ということをで計8か所程度を、今想定しております。
 それから、海外拠点は必要かという御指摘でございましたが、海外拠点は2種類ございまして、一つは研究開発の拠点を2か所置いております。一つはタイと、もう一つはシンガポールでございますが、タイにつきましては、タイ語の自動翻訳の関係の研究開発を進めているところでありますが、現地のタイ語の用例を大規模に収集・処理する必要があるということと、もう一つは、タイの国立電子・コンピュータ技術センターとの包括協定を締結しているほか、いろいろな大学、研究所との連携協力体制をとっておりまして、現地に拠点を設けることがより効率的だということで設置しているわけでございます。
 シンガポールにつきましては、情報通信技術の研究開発機関がたくさん集積しているということで、先ほどの標準化の話がございましたように、私ども国際標準を推進する上でアジア諸国との連携というのは不可欠でございます。アジアの国の応援なしに国際的標準というのは難しいということで、こういったアジア諸国と連携をとる上で、このシンガポールの拠点というのは大変重要だと思っておりますし、シンガポールの国立情報通信研究所あるいは大学との共同研究も実施しておりまして、そういう意味で、シンガポールも必要性があると考えています。
 海外事務所につきましても、既に現在ワシントンとパリに設置しておりますが、いずれも情報通信技術の研究開発の状況の収集あるいは政府機関の動向等々の情報収集を行っておりまして、大変重要な役割を果たしていると考えております。日ごろそういった機関との連携をとる上で、1対1でつき合っているというのは大変重要でございまして、そういう意味で現地に職員を配置しているということでございます。
 間接部門の比率でございますが、課長から答えさせていただきたいと思います。

 武井技術政策課長
 間接部門の比率でございますけれども、現在管理部門を担っている総務・財務部門、ここは合わせて約90名で行っております。こうしたところにつきまして、一定の効率化といったものをこれから検討してまいりたいと思っておりますけれども、特にこの次期中期目標期間において、研究開発成果の発信、知財、標準化といったような機能の強化の面もございますので、そうしたことも含めた人員配置の実施等を通じて、管理部門の比率の低減といったことに努めてまいりたいと思っております。

 松本技術総括審議官
 それから、芝の本部はどうなるのかということについては、基本的には、芝の本部は小金井に移転させるということで、できるだけ早く、できれば18年度中に芝の本部は廃止をしたいと考えているところでございます。廃止するというか、その本部そのものをなくしてしまうということでございます。
 ただ、NICTの研究開発の業務の中には、どうしても民間の方々と日常的に打ち合わせをしながら実施していかなければならない業務がございます。そういった業務を円滑に実施する上で必要な拠点を確保すると。何か事務所的なものを置くというようなことは、今後も必要性を検討していく必要があろうかと思いますが、現在の芝の本部は廃止をして、なくなってしまうと御理解をいただいていいのではないかと思います。18年度中を目途に実施をしたいと考えております。

 武井技術政策課長
 それから、日本発の国際標準の関係でございますけれども、一つはNICT自身のいろいろな研究開発の成果を国際標準に転換していくということを私どもは大いに期待しておりまして、そうしたものを推進していくということは当然でございますが、さらに、情報通信審議会の検討の中で、通信関係の国際標準化に対するまとめの、日本全体としてのパワーダウンといったこともいろいろ懸念されておりまして、やはりNICTが中心となって関連の分野の国際標準化、これをいろいろお手伝いなり環境整備、これを通じて日本全体の情報通信関係の技術の国際標準化に努めてまいりたいということで、今後具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。そういう意味で、先生御指摘の後者の方を取り組んでまいりたいと思っております。

 松本技術総括審議官
 研究体制の見直しの関係で、民間との連携あるいは人事交流はどうするのかという御質問だったかと思いますが、今回法律は審議していただけませんでしたが、非公務員化ということになりますと、その一つの大きなメリットとして、民間からの人の採用がある意味では容易になります。今までは一定の条件を付せられておりまして、なかなか採用したくても採用できなかった。あるいはNICTの職員が民間に行って仕事をする、そういった面での制約も少なくできるのではないかと私ども期待しております。現在でも、民間の企業の方からNICTの例えば部門長という、理事に次ぐポストにも来ていただいているわけでございますが、そういうことが更に加速される、あるいは加速させたいと考えているところでございます。

 稲継臨時委員
 それでは、御説明の6ページの4番、「事業振興業務等の着実な実施」に関連して御質問させていただきます。
 ここでは中期目標期間においても各業務を着実に実施となっていて、今後も一層それをやっていくという話ですけれども、資金を配分する団体としての機能も旧TAO時代から持っておられるわけです。配分した資金が本当に有効だったのかどうかということ、つまり、民間の研究支援、あるいはベンチャーへの支援について、幾ら配ったので、次期は幾ら配るということだけでは全く意味がないわけで、その配ったものがどれだけ日本国にとって役に立ったのかという成果の検証が必要だと思います。それを確実に行って対外的に明示すべきではないかと思いますけれども、その辺りを今後どのようにしていかれるのかをお尋ねしたいと思います。

 武田情報通信政策課長
 ただいまの御指摘はまさにそのとおりでございまして、現在の中期計画におきましても、この事業振興等についての業務、例えば16年度実績の評価について、外部の評価委員の方々にもきちんとチェックしていただいて、その結果を公表しております。例えばベンチャー助成金につきましては、16年度に何件助成をし、例えば事業化ができたのか、あるいは商品の市場への販売までこぎ着けられたのか、あるいはそこに至らなくても特許出願できたのかと、そういうレベルですけれども、検証いたしまして、その結果を公表し、それをまた翌年度の事業運営にいかすという方向で今取り組んでおります。
 また、基盤技術研究促進業務につきましても、まさにこれは基盤技術ということで、国民生活あるいは国民経済に非常にインパクトを与えるような革新的な技術開発を、公募によってやっているわけでございますけれども、その細部にわたりましても専門の評価委員の方々にその技術性などをきちんとチェックしていただいて、その評価のもとに採択されております。それにつきましては、採択後も、大体3年から5年ぐらいの研究開発期間でございまして、中間期でも評価を行って、その結果を公表する、また、一応研究開発終了時点でも事後評価という形で行って、またその結果を公表するという手順を踏んでおります。
 ただ、個々の事業の具体的な、例えば製品、サービス、システムの細かいところまで明らかにすると、いろいろ企業秘密との関係もございまして、そこは概要的な評価でございますけれども、そういった形で取り組んでおりまして、その辺りは引き続き次期中期計画でも同じような視点から、特に国際競争力の観点、国民生活への迅速な還元という観点に留意しながら、評価を進めてまいりたいと考えております。

 富田分科会長
 それでは、時間の都合もありますので、ここで御質問を打ち切らさせていただきます。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれましては御協力を賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論も踏まえまして、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力をよろしくお願いいたします。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その際には、後日、事務局を通じまして私どもの質問、意見等を照会させていただきますので、御対応をよろしくお願い申し上げます。
 総務省の皆様におかれましては、御退席いただいて結構でございます。
  (総務省説明者退席)
 富田分科会長
 それでは、続きまして経済産業省所管の2法人の見直し当初案についてヒアリングを行います。
  (経済産業省説明者入場)
   それでは、ただいまより経済産業研究所及び工業所有権情報・研修館の見直し当初案につきまして、経済産業省から御説明をいただきます。
 本日は、経済産業省高橋政策評価審議官を始め御担当の皆様にお越しいただきました。短時間で恐縮ではありますが、10分で2法人の御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

 高橋政策評価審議官
 高橋でございます。よろしくお願い申し上げます。
 本日、御説明させていただきます経済産業研究所及び工業所有権情報・研修館の見直し当初案につきましては、御案内のとおり、本年度をもって中期目標期間が終了する法人でございます。経済産業省といたしましても、以前よりその見直しの内容について検討を進めてきております。
 まず経済産業研究所につきましては、これまでの中期目標期間におきまして、研究機関としての認知度も飛躍的に高まっておりまして、また、存在感のある研究所としての成果も確立をしてきていると自負をしております。
 次期中期目標期間におきましては、研究領域の重点化を行いますとともに、研究のテーマ設定から研究成果の最終報告の各段階における経済産業省の各政策部局との連携強化等の見直しを行い、より質の高い研究の実施と経済産業政策の立案への貢献を図ってまいりたいと考えております。
 第二に、工業所有権情報・研修館につきましては、これまでの期間におきまして、数多くの数値目標を設定し、かつこれを達成するということでサービスの質の向上を実現し、業務運営の効率化を図ってきております。これにつきましても、次期中期目標期間におきましては、情報提供業務などの強化を行う一方で、業務の見直しも行い、それを踏まえて民間等に任せる方が適当と考えられる業務につきましては、民間等の能力を積極的に活用して、引き続き知財立国実現のインフラ整備に取り組んでまいりたいと考えているところであります。
 それでは、見直しの概要につきまして、各法人担当から御説明させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 江崎企画官
 それでは、まず独立行政法人経済産業研究所についての業務及び組織の見直しについて御説明させていただきます。
 A3の二枚紙にほぼポイントをすべて網羅しておりますので、そちらに従いまして、簡単にご説明させていただきます。
 まず一枚目の経済産業省と経済産業研究所の在り方についてですが、それに従ってこれまで平成13年から18年までの5年間ということで仕事をしてきたわけでございますが、その下に第一期、第二期ということでこれまでの評価及び見直しのポイントということで書かせていただいております。
 まず経済産業省は、御案内のとおり、非常に多岐にわたる政策分野を担当しております。この中で理論的なフレームワークに裏打ちされた斬新な発想に基づく最適な政策を立案するという使命を帯びているわけでございますが、この中で、様々な問題に対して経済産業省のみで当たるというのはなかなか難しい状況になっております。その中で政策を重層化し、政策の死角を埋めるということで経済産業研究所を設立したというものでございます。
 まずは経済産業研究所のほうからは、複眼的な政策オプションの提示をしていただく、政策の補完をしていただくというミッション。それを可能にするための研究所として、当面する課題だけでは検討の中身として不十分な中長期的な視点、それから理論的・分析的基礎に立脚したような研究成果や提言を政策形成プロセスに提供するという使命を帯びているわけでございます。
 そのために、組織形態として、政策当局と健全な距離を確保し、かつ、国内外の一流研究者の機動的・弾力的な採用を行う。そのために、非公務員型の独立行政法人の形態を選択したということでございます。
 ただ、一般の研究所と違いまして、責務、使命といいますか、やはり現実の政策運営に具体化させるということが非常に大きなミッションであり、かつどのように効果を上げているのかという分析・評価、それを更なる改善案の提示ということでフィードバックをするというのが大きなミッションとなっております。これに対して財政的なリソースを提供する形で、安定的な研究をしていただくということで、この第一期をやってきたわけでございます。
 第一期の結果として、各省庁の研究所の中で唯一独立行政法人の道をとったわけでございますが、まずはアカデミックな観点から質の高い成果を追求するということでやってまいりました。このために、研究者の選定、テーマの設定、研究成果の評価といったことについては可能な限り研究所の独立性を尊重するというものでございました。
 その結果でございますが、おかげさまでアカデミックレベルとしては非常に高い成果を上げ、各方面からの評価もいただいております。やや数字的なところでございますが、独立行政法人評価委員会からは、13年度には四段階のAをいただき、かつ14年から16年にわたりまして五段階のAの評価をいただいております。
 かつ数値目標という形で幾つか挙げております代表的な例でございますが、調査研究機関の一つの評価指標でございます論文発表数について、5年間で目標100と置いたところ、既に16年まで4年間で188、国際シンポジウム等での論文の発表数は5年間で250の目標に対して既に430、ホームページからの論文のダウンロード数、年間1,500件を目指してきたわけでございますが、既に2,571件達成をしております。
 そういった意味では、第一期の成果、独立行政法人としての研究の仕方として非常に良い評価をいただきました。しかし、一方で、今後見直しのポイントとして何を考えるのかというところでございますが、そうした高い研究レベルは当然のことながら引き続き維持をしたいと考えております。その一方で、省内も含めて、政策当局との関係で、ヒアリングを実施した中で、やはり関連する府省にとっては非常にいい研究ではあるんですが、そもそもテーマ設定、その段階からの連携をもっと強めたいという議論がございました。したがいまして、第二期見直しのポイントでございますが、まずは研究活動をより政策立案への貢献につなげるための取組の強化を図りたい。
 一方、組織の形態でございますが、非公務員型の独立行政法人の形態が非常によいということでございまして、これを維持していきたいと思っております。
 何を重点化するのかというところでございますが、これまではできる限り自由度を高めていい研究をしていただくということでしたが、今度は政策当局として継続的な活動を望む幾つかの分野を明記しておく。これは中期目標の中に書いておく。それをベースに継続的な取組を行っていただき、政策への反映度を強めていただく。ただ一方で、縛ればいいのかということではなくて、これは非常に多くの議論があったところですが、高い研究レベルを維持するための自由度は当然維持していきたいと思っております。
 具体的に何をするのかという意味においてでございますが、政策部局との連携の強化を図っていきたいと思います。
 具体的に少し補足をさせていただきますが、そうした政策基盤研究領域につきまして、今期第一期におきましても、六つの分野に分けたわけでございますが、こういったものを当初政策当局との意見交換の中である程度絞り込んでいけないか、これから9月から始まる一連の省内の議論の中で抽出していきたいと思っております。
 次に、経済産業省と研究所間の双方向の広報・広聴活動ということで、実はこれは現在でも一応体制を整えて実施しております。まずはテーマ、プロジェクトの設定の段階で意見交換をし、ブレーンストーミングをし、中間報告会を開き、ディスカッションペーパーの検討会を行い、発表をする。この各段階における関係部署との意見交換が、どれぐらいかといいますと、今、約50プロジェクトやっておりまして、ブレーンストーミング、プロジェクトの中間報告会、検討会、それぞれ3回ずつ、計150回の連絡会を行っております。これがなかなかシステマティックにビルトインされているかというと、まだまだ手探りの状況でございまして、この第二期におきましては、もう少しこの関係を強めていくことによって、より政策にいかしていく研究の在り方を模索していきたいと考えております。
 次に、これまでは研究所は独立であるということは当然大事なことなんですが、であるがゆえに、わりと政策当局と離れてきてしまったのではないかという我々の反省に基づいて、こうした中期目標を定め、加えて基盤政策領域を考えるというのを具体的に省内の検討会を発足させて、その中で議論し、定めていきたいと思っております。
 総括しますと、おかげさまで、研究所としての評価は高まってきております。これを政策により反映させるための見直しを第二期に向かって行うということが今回の見直しのポイントになります。
 以上でございます。

 豊永総務課長
 続きまして、工業所有権情報・研修館について御説明いたします。特許庁の総務課長でございます。よろしくお願いいたします。見直し当初案整理表に基づいて御説明させていただきたいと考えてございます。
 まず、工業所有権情報・研修館の沿革でございますけれども、明治20年、特許局の図書館として発足してございます。明治32年にはパリ条約の定めにより中央資料館という形になってございます。
 その後、万国工業所有権資料館、工業所有権総合情報館と名を改め、平成13年に工業所有権総合情報館という独立行政法人になったところでございます。これは特許庁の有している対内、対外サービスを集約し、その効率化を図る一方で、特許庁の審査・審判業務への集中・高度化を可能とするという目的のもとに行われたものでございます。
 また、16年度の業務追加に伴う名称変更がございました。現在で見ますと、平成13年度に発足した当時の業務が四つ、昨年10月に追加された業務が三つ。正確に申し上げますと、18年度中に、そのうちの一つが追加されるという形の7業務を担当してございます。
 組織の概要ですが、役員数2名、職員数79名、特許特別会計からは運営費交付金という形で、13年度から15年度は55億円前後、16年度、17年度は業務追加に基づきまして、年間を通して見れば130億円程度の規模になってございます。
 実収入が1%前後しかございませんので、ほぼそれが支出予算額になってございます。
 中期目標につきましては、1%の経費削減を図るということを掲げておりますが、目的を達成してきているということでございます。
 こういうことで、業務の評価はB、A、B、Aという形で4年間を経てきてございます
 これまで行ってきた業務運営の効率化の一例についてですけれども、ユーザーサービスの観点からは、閉館時刻の延長とか、相談業務における回答待ち時間を画期的に短縮するといった努力を行ってきておりますし、組織的には関係部を統合するといった努力も行ってきております。
 そうした中で最もウエイトの高い四項目の評価項目のうち七割を占める顧客の満足度という観点からは、4年間着実に向上してきているというところをご覧いただければと思っております。
 今後、知財立国の中で産業競争力の強化のために工業所有権情報・研修館が果たしていく役割は今後とも大きいと考えるわけでございます。
 個別の業務について御説明いたします。まず公報等閲覧業務でございますけれども、パリ条約の中央資料館としての業務でございます。東京に2か所、地方に8か所、計10か所におきまして閲覧所を設けて専用端末を設置しております。年間7万人強の方々が利用されております。内外の公報をそろえておりますが、古くは1800年代、1600年代の海外の公報も含んでおります。この分野においては、今後でございますけれども、補助的業務に外部人材の活用を図るといったところとか、インターネットでの情報アクセスが拡大することに伴う専用端末の台数の合理化、削減といった形の見直しを行っていきたいと思っております。
 審査・審判関係図書等整備業務でございますが、これも特許協力条約に基づき特許庁が国際調査機関となる必要な義務でございますけれども、各国との間でミニマム・ドキュメントの交換などを行っております。特許庁に対する資料提供と、それをあわせて公衆に閲覧をしているということでございます。
 毎年度約2万冊の図書・ドキュメントを購入しており、内外に提供しているということでございます。この分野における合理化としましては、従来この整備業務を担当しておりました資料部と、先ほど御説明しました閲覧業務を行っていた閲覧部を統合して、26人の職員を16人に減らしたといったことも行っております。
 次に、工業所有権情報流通等業務でございます。大学や企業が持っている有用な使われていない特許をデータベース化して、それを中小企業その他に伝播する。これをセミナーを通じたり、アドバイザーを通じたりして行い、あわせて、将来の民間の担い手である知財権取引業者を育成するといった業務でございます。
 こうした事業の成果としては、平成9年から12年度は特許庁自ら行っておりましたけれども、工業所有権情報・研修館の力でこれを倍以上の規模まで成約件数を増やしております。
 この分野における見直しでございますが、全面的に見直していきたいと考えております。直接、今アドバイザーを抱えてマッチングをさせているわけでございますけれども、今後は民間事業者や地方公共団体における人材育成やノウハウの継承、またその資金の導入といった形で工業所有権情報・研修館は間接的な形での関与に切り替えていきたいと思っております。
 また、同時に特許流通促進セミナー、特許流通支援チャートの作成などを廃止する、アイデアデータベースの関係では実費徴収を行うといった努力もしていきたいと考えております。
 工業所有権情報普及業務でございますが、これは、インターネットで無料検索できる特許電子図書館の運営でございます。また、あわせて特許庁の有するデータを整理・標準化して国民に公開するという業務を行っております。
 また、海外との関係では、米州、欧州の特許明細書を和文にして日本特許庁に提供するとともに、日本特許庁の公開特許公報を英文にして海外に提供するということも行っております。
 年間検索件数は6,000万件に及ぶ大きな事業でございますし、内外との情報交流もそれぞれ30万件を超える規模になっております。
 この分野における業務の合理化でございますけれども、今特許庁と一体になりまして業務・システム最適化計画ということで機能の向上などを図っておりますが、今後インターネットの普及に伴いまして、整理標準化データ作成業務を合理化・縮小する方向で考えていきたいと考えております。
 相談等業務でございますけれども、現在、年間6万件程度の出願や審査・審判にかかわるお問い合わせに応じております。この分野における合理化としましては、正規職員をできるだけ高度な内容の相談に配置し、マニュアル化できる部分は外部人材を活用するといった努力をしていきたいと思っております。
 研修業務でございますけれども、特許庁の職員に対する研修と法律に基づくものを一部含む外部人材の育成、研修の実施ということが業務になっております。この部分における具体化、合理化の中身でございますけれども、政府の知財推進計画で知財人材の6万人から12万人への倍増という目標を掲げておりまして、この工業所有権情報・研修館もその一部として尽力したいと考えております。既存の日本知的財産協会、日本弁理士会、発明協会などとは、人材育成連絡会議を設けておりまして、それらの既に存在する実施機関がやらない部分を担当するという整理をしながら実施してきております。その一環として、既に16年度に行っていた知的財産基礎研修を廃止することとしたところでございます。今後ともこうした見直しを行っていきたいと思っております。
 組織の見直しについてでございます。結論から申し上げますと、現状の特定独立行政法人の形態を維持させていただきたいと思っております。
 ごくポイントだけ申し上げると、特定独立行政法人を非公務員化に移行するメリットというところで見ますと、特に昨年の見直しにありました民間との人事交流につきまして、この工業所有権情報・研修館では必ずしも重要な要素ではない。逆に特許庁との一体性という観点からの視点がより重要であると考えております。これによって業務を確実に遂行するということが重要ではないかと考えております。
 逆にデメリットがあるかという観点でいいますと、特許庁で行っております審査・審判に出願などを行っている事業者、企業の出願等に支障がないようにするということの観点からは、現在の体制のほうが望ましいと考えております。
 ちなみに、工業所有権情報・研修館は、特定型を含めた通常の独立行政法人に課される守秘義務よりも重い守秘義務が課されてございます。重いといいますのは、程度というよりは二重の法規制になってございまして、職務上知り得た秘密という国家公務員法上の守秘義務プラス出願中の発明については、特許庁職員と同様に上乗せの規制がかかっているところがございます。
 国民との信頼ということで、特許庁と同様なサービスを提供する、それに応えていかなければいけないということでございますし、法律に基づいて研修修了認定を行うことによって、事業者が登録できるかできないかが決まるような業務も行っております。こうした観点からは刑法上の身分犯が適用されることになっております。
 最後に、国際的な信頼性に対する影響からは、パリ条約とかや特許協力条約、日米欧、日中韓のデータ交換の窓口などの国際的な義務の履行に当たっております。こうしたところに支障が生じれば、我が国の特許庁の審査や我が国企業の海外事業に影響が出かねないと考えております。
 最後に、海外特許庁等の比較を載せておきましたけれども、我が国の工業所有権情報・研修館で行っております業務は、海外におきましては特許庁そのものが行っているということを最後に御紹介させていただきました。
 以上でございます。

 富田分科会長
 御丁寧な御説明をありがとうございました。
 それでは、見直し当初案に関する質疑応答に移ります。御質問などございましたら、どなたからでも発言をいただきたいと思います。

 岡本臨時委員
 経済産業研究所に御質問をさせていただきたいと思います。
 実は私の質問は法人のミッションみたいな話ですけれども、この経済産業研究所ができた当初を思い起こしますと、むしろ省域を超えた日本にとって必要な研究をやっていくということを代表的に掲げて、私はすごく良いことだと思っておりますけれども、それがあったかと思います。実際に第一期とおっしゃっていた中にも、多分今の吉冨所長が言われるのもそういうことを意識された発言を私どもは聞いたことがございます。しかし、どうも今日出された資料は、むしろそれを若干薄められて、経済産業省の研究所という色彩をより強く出されているようにお見受けしました。
 これについての評価をどうするかというのは、もちろん経済産業省の政策だと思いますが、その辺り、どういう議論があったのかということ。それから、そうであるならば、実際得られる研究というのは経済産業省の所掌から説明をしなければいけないということになると思いますが、実際そうではないと思われる研究が、若干素人目に見るとあると思われます。例えば金融とか、いろいろ指摘されることもあるだろう、その辺りをどのように経済産業政策から説明されるかというのは、これは是非やらなければならないことになってくるかと思います。それが第一点目です。
 二つ目は、これは第一期のときにもありましたが、所長が替わられたときに、研究スタイルが変わったと思います。青木所長のときはクラスター制でしたでしょうか。それが今の吉富所長になって、先ほど御指摘があった六つの課題というようになったかと思います。
 今回は、それをまた改めて第二期に掲げられるようになっておりますが、所長の人事と中期目標期間がずれてくると、独法制度から見るとあまりよくないことが発生する。というのは、中期目標に対して中期計画を掲げたのが、いつの間にか違う形になっている。これは是非とも改めなければいけないのではないか。ただ、研究はそれではいけないのかもしれない。独法制度から見ればおかしい。それをどのように担保されていらっしゃるのかということを是非お聞きしたいということがございます。
 それから、最後3点目ですけれども、全くこの資料がないんですが、第一期のときに運営費交付金の未使用残があったかと思います。これについてのお考えを次の中期目標期間ではどのように考えていらっしゃるか、あるいは見直しとしてどのように手当てされるかというのをお聞きしたいと思います。
 以上、よろしくお願いします。

 江崎企画官
 大変重要な御指摘をありがとうございます。まず、この見直しの議論の中でありましたのは、まさに今御指摘いただきましたように、自由度を高めて、より広い、アカデミックにいい議論をしていただくのか、それともどれぐらい行政からの要望に応えていただくのか、この設定の仕方です。自由度の高さが高いのか低いのか、当省が持続的な取組を期待する研究領域にして、適時性、スピード感にあふれた研究をしていただいて、即使えるようにしてくださいというのが、ある意味一つの議論として非常に使い勝手がいいと考えております。これは各省庁の研究機関もそうだと思いますが、もともと委員御指摘のとおり、RIETI、経済産業研究所は、これではやはり今後の課題の取組が十分ではないということで自由度を高めようと、まさにそういうことで始まったものでございます。
 したがいまして、日本全体、と言いましても経済産業省、これはまさに組織論というか、分野の関係から申しまして、実は全体を対象にしている一方で、全く金融のための研究をしているのかと。そこからすると、金融制度改革にしても、外為法の改正にしても、金融としての問題点も非常に多かったわけですが、実は産業界から見てこの金融システムはこういう形、特に外為の世界ではその許可制度に入っているがゆえに、世界中の貿易から排除されてしまう。そういう現実の中で金融はこうあるべしという議論がされてきたわけでございます。いずれにしても、これは大臣も含めて、かなり議論をしましたが、全く経済産業省と関係のない分野の研究をしていいのかということについては、結果としていろんな研究成果が出ることはもちろん認めましょうと。ただ、最初から関係なくていいですかということはないですと。ただ、経済産業省は、非常に多岐にわたる分野、他省庁の分野に当然かかわってくる分野があり、その中で、経済産業省のみの視点から議論していいのかという観点で、こういったRIETIの存在意義があるということからしますと、金融であっても、運輸であっても、年金問題であっても、企業の負担その他という観点から、やはり経済産業省の観点は必ず入らざるを得ない。そこに政策提言をいただくという意味においての自由度を確保していきたいと考えております。
 そういう意味で、引き続きこの研究の自由度は高めながらも、これはやや、反対の説明を申し上げると、実は評価は高い一方で、省内のヒアリングをした結果として、我々の反省点としてもっと研究所をうまく政策にいかしていこうではないかという意味において、先ほど御紹介しました150回にわたる連携もサービスとしてはございますけれども、当方も使い切れておりません。その点をより高めるということで、今御指摘のとおり、いろいろな分野にもともとまたがっている経済産業省の分野に対して、政策的な死角を埋める、とりあえず当面する課題に対処していく中では十分に対応し切れない部分をきちんと埋めていくという意味においては、引き続きこの自由度を高めていくことを考えております。
 ただ、全くそのとおり自由にどうぞということだけではなくて、できるならばこの分野を引き続き継続的にやっていただきたかったという反省を含めて、こういった分野を設定し、ただ、これまでのような自由度について引き続き維持するということを考えております。
 2点目でございますが、御指摘のとおり所長が替わってスタイルが変わると。これはもともと独立行政法人自体の性質として、中期目標を定めて、その目標に合うと認められる所長を大臣が認定して、財政的に支援する。この3点が独立行政法人のポイントかと思いますが、その中で確かに所長は替えないほうがいいという議論もあるかもしれませんが、ただ、実際に青木所長から吉冨所長に替わられて、もちろん研究の方針その他はありますが、基本的な中期目標の上で整理をされております。その中で、クラスターから先ほどの六つの分野に移りました。これは一つの整理の仕方、より研究を効率的にしていくという所長の御方針。ただ、これはあくまで中期目標にのった上で行っていたということはもちろん所長に就任していただくときのお願いでございます。
 もう一つ後段の御質問にありましたように、クラスターとこれから決める政策基盤との関係については、六つの分野ということで整理しておりますけれども、これは、既にスタートしている研究をより効率的に今後進めていくために、所長に整理していただいたわけですが、実はこういう整理というのは、むしろ我々本来あってもよかったのではないか。もっと第二期において政策に反映させるためには、「所長どうぞ、まあ、御自由に」という以上に、我々行政としての責任、こういう分野についてよりこれから政策の需要は高まっていきますので、絶対我々がやってはいけないことは、結論においてこうしてくださいと申し上げることです。この分野についての研究を深めてくださいと。
 ご案内のとおり経済産業省は、毎年1月から6月にかけて全部の総ざらいを省内で行います。新政策というプロセスですけれども、その中でありとあらゆる分野をみますが、やはり今行政の持っているリソースその他を考えると、これとこれしかできない、本来であれば、長期にわたってやるべき課題がどうしても落ちてしまう。こういったものに対する我々のニーズ、不満は非常に高かったわけですが、こういったものを研究所の方で中長期的に起こしていただければ、それも非常にいい政策の糧になるだろうということを期待しております。また、吉冨所長につくっていただいたクラスターを我々も関与しながら、その整理をお手伝いしたいという意味において、連続性を保っていきたいと思っております。
 最後の点でございますが、見直し当初案の一番最後にございますが、財政的には、御指摘のとおり少し余ってきたというのがございます。当初、20億円規模で継続的にやっていく。特に独立行政法人であるがゆえに、年度をまたいで活動することが認められるということから、実際には約18億円規模の事業を行ってまいりました。これは第一期から第二期に移るに当たって、当初どれぐらい研究に費用がかかって、それはどういう成果があるのかというのがわからないまま、ある程度過去のデータを基につくってきた状態であり、かつアドホックな問題に対応するということで維持をしているわけでございますが、今回、第一期を終わってみて、やはり大体18億円規模で事業は回るということを見た上で、今回は要求していくということを維持している。ここはリソースはもちろん多々ありますけれども、実際の陣容、それからテーマ設定の仕方を考えて、この程度の規模で成果を上げられるのではないかという判断に基づいて、今回は要求額を組み直して18億円で維持というのが見直しのポイントでございます。
 以上でございます。

 丸島臨時委員
 工業所有権情報・研修館について質問させていただきます。
 第一点として、特許流通業務は縮小するというお話がありましたが、もう一つ、研修業務については、知財立国を担う元締めという御認識の下に活動されていると思います。他の団体等がやっていないところを担当するという先ほどの御説明がございましたが、むしろ会計そのものも特別会計で成り立っている独法だと私は認識しておりまして、これは本を正せば出願人との関係が非常に強いと思っているんです。そういう意味で、ほかがやっているから、やらないところだけやるというと、全体の日本の研修ということに対してどうやって整合性がとれているのかというか、統一がとれているのか、知財立国に向けてという意味ですが、そういうところをむしろ総合的に御検討いただいた方がいいのではないかと考えております。
 例えば、私が所属している日本弁理士会というのは、みんなこれは自費でやっております。ほとんどボランティアです。それから、日本知的財産協会もそうだと思います。これはむしろ受益者負担でお金は取っていると思いますが、日本弁理士会は会員に対する研修、それ以外の非会員に対するのはほとんどボランティアです。そういう意味で、全体を見て国家戦略上必要な研修プログラムを立てていただきたいというのが私の希望です。
 もう一つ非公務員化についてですが、一応、機密情報等、特許庁との情報の密接な関係がある、あるいは人的関係があるということで難しいというお話をお伺いしましたが、まず一つ御質問したいんですけれども、出願人の未公開情報を工業所有権情報・研修館はどのくらいアクセスできるのかというのが第一点です。現在は、守秘義務で守られているということで御説明がありましたけれども、現在の方は全員が公務員というわけではなく、別な立場で入っている方もいらっしゃる。それをどうやって区別されているのかということが一つ。
 もう一つ、将来非公務員にしたらそれができないのではないかという懸念をされていますが、私のお聞きしているところだと、産業技術総合研究所が非公務員型だと思いますが、やはり守秘義務は結構厳しい条件で課されて運用されているように思います。それから、情報通信研究機構、これも法案は廃案にはなりましたけれども、今回の非公務員化のための立法といいますか、その中には同じような、非公務員であっても厳しい守秘義務を課している。こういうことが可能なように思いますけれども、この工業所有権情報・研修館だけはそれでもまずいという何か理由があるのかどうか、その辺りをお聞きしたいと思います。

 豊永総務課長
 まず1点目の御質問でございますけれども、お言葉の中で流通業務は縮小するとありましたけれども、規模は維持しながら、工業所有権情報・研修館の関与を縮小していくと。地方公共団体とか、民間事業者にその事業の実施のウエイトを移していくという趣旨でございました。

 丸島臨時委員
 そういう意味では言葉足らずでした。

 豊永総務課長
 はい。その御質問の中で研修ということに話が及ばれたかと思いますけれども、他の主体がやっていないということについては、そのやっている業務が十分か否かを十分に吟味する必要がありますけれども、やり得る能力があるところには、それらの組織の実施を期待するのが筋であろうと考えております。
 ただ、そういう組織が必要とする講師の派遣、それから、その組織における研修の講師のまた研修という意味では、全面的にこの研修館は協力できる、そういう意味でバックアップできるかと思っております。
 二つ目は、守秘義務についてどこまで公務員型か、どういう理由で公務員型かということかと思いますけれども、公開前の情報にはどういう段階で工業所有権情報・研修館が接し得るか申し上げます。まず出願人から個別の相談があった場合に、その御発言の中、またパソコン端末を見て、実際に出願内容を見る機会もございます。これがまず一か所目。それから、閲覧の中で、御本人様にはその閲覧ができる、当該出願人が本人確認できれば、出願内容を公開前でも見せる機会があります。そこで二か所目。三か所目が、IPDLに情報を載せるときに、公報と同じタイミングで出すために、公報発行前にその都度まとめて情報を渡します。その加工を情報・研修館が行っておりますので、公開前の情報について、その段階でも知り得ます。四か所目には、研修の中で特許庁の職員について研修する際には、未公開の情報についても、事務局が接し得る状態になろうかと思っております。
 そうした中で、職員以外の者もいるではないかという御指摘をいただきました。確かに27人の規模で嘱託、派遣の方々がおられます。これらについては、閲覧業務の受付をお願いしたり、また一部技術的なアドバイスという形で、企業の研究部門のOBの方々もおいでいただいています。また、相談業務にも、外部の方を入れてマニュアルに基づく対応をしていただいているところがございます。その規模がすべて合わせて27人おりますが、今申し上げましたような秘密に接し得るような業務のところには、これらの方はタッチしにくい状態になっております。
 最後に、守秘義務がある独立行政法人がほかにもたくさんあるとの御指摘でございます。おっしゃるとおりだと思っております。確かにほかの独立行政法人でも守秘義務はございますけれども、一旦公開してしまうと、何の意味もなくなってしまうという発明の特殊性のために二重の守秘義務がかかっております。多くの独立行政法人の中で工業所有権情報・研修館のみでございました。これは特許庁に特許法第200条でかかっているものと同じものが工業所有権情報・研修館法第13条に規定されているということを申し上げたわけでございまして、まさにそこに発明が公開された瞬間に意味がなくなってしまうところから来る特殊性があるだろうと思っております。
 最後に、これらについて立法論で解決することができるかどうかという点につきましては、立法論としては、私は解決、対応できる余地があると思っております。そうした諸々の要素は立法論的に可能か否かということも重要でありますけれども、その置かれている業務、また義務等々からみて、どういった形態がふさわしいかという論点を経産省の評価委員会でも御議論していただいた結果、総合的に考えて、特定型が好ましいのではないかという御意見をいただいたところでございます。
 以上です。

 富田分科会長
 それでは、時間の都合もありますので、ここで御質問を打ち切らさせていただきます。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれましては、御協力を賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、ただいまの御議論を踏まえまして、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の都合で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その際には、後日、事務局を通じまして照会いたしますので、御対応を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 経済産業省の皆様方には御退席をいただきまして結構でございます。ありがとうございました。
 
  (経済産業省説明者退席)

 富田分科会長
 続きまして、財務省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。
  (財務省説明者入場)
   それでは、ただいまより酒類総合研究所の見直し当初案につきまして財務省から御説明をいただきます。本日は国税庁岡本審議官を始め御担当の皆様にお越しいただきました。
 短時間で恐縮ですが、5分で御説明をお願い申し上げます。

 岡本官房審議官
 ただいま御紹介いただきました国税庁審議官の岡本でございます。
 国税庁と今の独立行政法人との位置付けにつきまして簡単に御説明し、見直し当初案の御紹介をしたいと思います。
 国税庁におけるそもそもの酒類関係の事務ということは、一つは大きく酒税の賦課ということがございます。課税事務でございます。それから、もう一つ大きな柱として、酒類業の健全な発展を図るという産業行政の事務と二つございます。これを行うために国税庁全体で5万6,000人の定員がございますけれども、酒にかかわるスタッフは、国税庁、国税局、税務署、それに酒類総合研究所を含めて約1,200人といったことでございます。全体の職員の約2%強ということでございます。
 酒税税収は、ちなみにどのくらいかと申しますと、約2兆円弱でございまして、租税収入の3%強を占めております。
 そういう中で、特に酒税の課税事務と産業行政とについては、国税局の酒税課、鑑定官室、酒類総合研究所というそれぞれのスタッフが行っています。鑑定官室というのは、60名ぐらい各国税局におりまして、特に技術的な部分の指導、鑑定・分析ということを担っているわけであります。酒類総合研究所は50名ですけれども、特に、各国税局では対応できないような高度な分析や鑑定といったことを担当しております。技術的で、特に高度な部分について研究所が担っているということでございます。研究所の実際の研究員は40名弱でございます。こうした関係については、今後も引き続き必要であると考えております。
 我々がお示ししております事務・事業の見直し当初案ですけれども、まず第一に、事務の重点化としては、研究所の主たる業務である研究課題を3分野に重点化していこうということ。
 それから二番目に、事務の民営化、民間への移管ということで、民間との共同研究化の促進とか、鑑評会の共同開催などの検討も行ってまいりたいということです。
 三番目に事務の運営の適正化ということで、もともと50名という少人数で構成しておりますけれども、その中で従来の研究室の体制を、より弾力的に運営できるような部門制に移行していきたいということを考えております。
 今も申しましたように50名というぎりぎりの最少単位で運営しております組織ですので、これ以上のスリム化というのはなかなか困難な状況にございます。
 それから、先ほども申しましたように、特に課税事務という国税庁の事務と直結した運営を行っておりますので、引き続き公務員型としての運営をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、見直し当初案に関する質疑応答に移ります。御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

 井上臨時委員
 酒類の研究ですが、実際、東京事務所の視察等もさせていただきまして、研究分野がかなり多岐にわたっていたと認識しております。今回見直しの当初案ということで、3分野に重点化するという御説明を受けました。しかし、そうであったとしても、酒類の研究という分野は、本来受益者がメーカーや業界団体に限られているのではないかということがございます。実際に酒類の研究の中には、製造方法の研究なども含まれておりまして、そのようなものまでも運営費交付金を使って行う研究の対象とすべきものなのかどうかということがあると思うのですが、その辺りについてはいかがでしょうか。
 また、先ほどから国税庁の鑑定官室との関係におきまして、酒類の分析・鑑定というところで高度な分析・鑑定を実施しているとおっしゃっています。高度な分析・鑑定というが、実際には民間の研究機関とか、民間企業などでも実施できるものなのではないかという点です。これは非公務員化にもかかわる点ではあると思いますけれども、実際に酒税を賦課するのはあくまで国税庁でありまして、その高度な鑑定をするという部分におきましては、特に酒類総合研究所でなければできないものなのかどうかという点についてお聞かせいただきたいと思います。

 岡本官房審議官
 まず第一点目の研究の見直しについてですが、私どもの方もこの5年間の中期計画に基づいて、5年ほど前の目標に沿って研究を進めてまいりまして、今回抜本的な見直しをしていこうということで、ブラッシュアップといいますか、大幅な見直しをしております。おっしゃられましたような民間との関係で申しますと、むしろ当方も、研究スタッフはごく限られた人数ですので、一般的に民間が行えるような、例えば商品開発とか、個々の技術開発的なこと、また個別の商品の言わば改善・改良につながるといったことについては、基本的には、研究の対象にするというよりも、そこは民間にお任せしているつもりです。各企業がベースとして、むしろ企業ごとにはできないような醸造技術のベーシックな部分ですとか、業界に共通の言わばメリットになるような研究ということをこれまでも中心にやってきたところです。
 そういう意味では、我々もこの5年間、酒類総合研究所での研究が、例えば民間とこういうところで競合する、民間の研究を横取りしているのではないかというような声を聞いたことはございません。ただ、これからもそういう意味では特に、やや誤解されている向きもあるかもしれませんけれども、確かに酒類メーカーでも大手企業もございますので、そういったところが独自にできるような研究なり開発なりということではなくて、むしろ中小企業性の強い企業にも産業支援といいますか、技術支援に資するような研究ですとか、伝統的な、特に清酒についての醸造技術の発展といったことを中心に今後も考えていければと思っております。
 二番目に、同じ国税の中での鑑定官との関係ですけれども、国税庁では、技術者である技官と税務職になる職員を採用しておりますけれども、5万6,000人の中でも技官は100名ぐらいで、その人たちが鑑定官という形でより現場に近いところでの技術指導をしたり、酒類総合研究所でより基礎的な研究に携わったりというようなことがあって、交流も頻繁に行われております。そういうこともありまして、我々としては、どちらも公務員としての本来の役割だと思っておりますが、例えば鑑定とか分析では、実際には、なかなか各国税局に機器とか技術的な面での環境が整っていない場合もありますので、そういった場合は、最終的に酒類総合研究所がチェックをするということもございます。
 それから、そもそも各国税局の鑑定官が評価・分析をするときの基本的な鑑定方法、分析方法を、酒類総合研究所が定めるといったことで、同じ技術的な面でもより高度な役割を酒類総合研究所が担っているということが言えるかと思います。必ずしも研究だけということではなくて、そもそもこの組織は、酒類総合研究所という前は醸造試験所と呼んでおりましたけれども、試験、検査というような機能も有していたわけでありまして、単なる研究機関ではないと思っております。
 それから、そういうことにしても、民間ではできないのかという御指摘がございました。酒税という税金を考えてみますと、実際に研究開発をしている民間のメーカーというのも、酒税の言わば納税義務者になるわけです。ですから、そういうところで問題になったような賦課の言わば微妙な判定の問題を、なかなか実際に関係者である納税義務者、それが直接その当事者でないにしても、関係の業界の他の納税義務者にゆだねるということはなかなかできない。そういうところがあることは、この酒税の賦課という点でちょっと特殊な面があるのではないかと考えております。

 黒田(玲)臨時委員
 今の意見に関連しますけれども、民間というよりも大学と共同で研究をやっている事例があったような気がいたしています。そういう最先端の研究というのは、研究員があまり固定していない大学といったところで遺伝子解析などをやるのが本当であって、それをどうしてここでやらなければならないのか、前からよく分かりませんでした。民間だけではなくて、いろいろな大学の農学部などでも最先端のバイオ技術や遺伝子解析などの研究をやっていますので、そこのところだけ簡単に御説明いただければと思います。

 梶川臨時委員
 今いただいたお答えに共通もしますし、酒類総合研究所に限ったことではない点もあるので恐縮ですけれども、組織形態の中の身分のお話の中で、業務を、行政と隣接した分野を公正かつ中立に行わなければいけないという点、また、行政機能等の情報も含めた円滑な交流、適切な人事交流という点で、どうしても公務員でなければというお話でございます。これはちょっと一般論的になってしまうのかもしれませんが、このようなことがあるので、独立行政法人制度というのがあって、まさに今は独立行政法人が公正・中立な機能を行政府との関連において行い、かつ行政と密接な関連を持った独立した行政機関として存在をしているということだと思います。
 私の理解では、まさにこういうことが独立行政法人制度の意義であって、これと身分の関係というのは違うのではないかと思います。独立行政法人の職員というのは、信頼性もあり、公正・中立な業務の遂行を行うという、かつ守秘義務等も含めて国家公務員と同様の使命感を持って業務を行い、誇りを持って独立行政法人制度というのを発展させていくという方達であり、その大前提の下に独立行政法人制度というのは存在していると私は理解しています。この点は、国家公務員であるかないかという論点とは違うし、独立行政法人の職員という身分そのものが、非常にこの趣旨を具現する身分なのではないかと私は信じて疑わないところでございます。なぜそれが国家公務員でないと本来の行政制度につくられた独立行政法人の機能が果たされないのかという点が理解しにくい。民間ではいけないというお話は分かります。民間の組織機能では無理だということは分かりますが、重ねて申しますが、独立行政法人というのは、民間で無理だからこそこういう身分を改めて設定し、誇りある業務運営を行い、国民の信頼を得るという趣旨の下につくられた制度だと私は思っております。

 阿曽沼臨時委員
 去年の見直し対象法人については、非公務員化というのは非常に大きな論点でありましたけれども、今年の他の法人等の前向きな御説明なり、御英断と比べて、財務省の御説明を伺っていると、今回また何かオウム返しの話を聞かされているような気がいたします。ですから、基本的に他の府省の対応、それから研究・教育法人は一律、非公務員化という去年の見直しの経緯、それから研究法人としての研究所の性格、そういったことを考えて、非公務員化に関してもう少し突っ込んだ前向きな御検討がないと、なかなか納得がいかないなというのが率直な意見でございます。
 それから、酒類総合研究所は理事長を民間人から御登用されており、まさに英断を下されたんだろうと思いますが、そういった意味からしても、トップは民間からの招聘をされて柔軟な体制をとっていかれるということでありますから、職員に関しても非公務員化に一歩踏み込んだ実質的な、本質的な議論を是非やっていただきたいと思います。
 それから、もう一つはこの間の見学で、業界、中小企業が多いので、そこで研究開発ができないから運営費交付金で研究をやっているというような御説明がございましたし、それに対して、我々の方から、もっと民間の企業から研究委託を受けてやっていくということも姿勢として必要なのではないかということを指摘しました。そして、その回答の中で、できる範囲でやっていますということでありますけれども、できる範囲でやるということは当たり前のことであって、それをより運営費交付金を削減して、自主財源を増やしていくということが、独立行政法人としては非常に重要な課題でございますので、これについてもチャレンジャブルな目標を立てて前向きな姿勢をお示しいただきたいと思っております。

 木下鑑定企画官
 ゲノムの研究などは、大学でやるべきものであって、酒類総合研究所でやるようなものではないのではないかというお話がございましたけれども、ゲノムの研究といいましても、やはり醸造のバックボーンで行うとまた違ったものが見えてくるということがございます。それぞれの分野で同じことをやっていても、そのバックボーンの違いによって出てくる結果が違ったりいたします。そういうことで、研究所としてゲノム研究についてもやらせていただいておりました。
 公式には、ゲノム解析も共同研究で既に終わりまして、これからポストゲノムというところに移りますけれども、その辺でこれからますますバックボーンが生きて独特の視点で仕事を進めることができると考えております。

 岡本官房審議官
 民間との共同研究とか、もっと民間との関係をもって研究を行っていくというお話については、私どもも今度の見直しの中で、いろいろな御意見も踏まえて抜本的な見直しをしていくということにしておりますので、これからいろいろ議論といいますか、御意見をお伺いしながら、できる限り改善していきたいと思っております。
 それから、公務員型について御指摘がありましたけれども、最初のプレゼンテーションでございましたので、廃止、民営化というようなことも含めて、我々としての今の独立行政法人としての役割をまず申し上げたかったのですけれども、では、公務員型か非公務員型かということでいいますと、私どもとしては、特に課税問題を直接に扱っているということから言って、そのこととの密接な関係があるということから言えば、引き続き独法の中でも公務員型でやらせていただければ大変ありがたいという意味で申し上げたわけでございます。
 以上です。

 富田分科会長
 それでは、時間の都合もありますので、ここで質問を打ち切らさせていただきます。
 本日はご説明いただきました皆様におかれましては、御協力を賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえまして、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その際には、後日、事務局を通じて質問をさせていただくことになろうと思いますので、御対応をよろしくお願いいたします。
 財務省の方におかれましては、どうもありがとうございました。

  (財務省説明者退席)
 富田分科会長
 以上で、本日予定の見直し当初案に関するヒアリングを終了いたします。
 引き続き、今後の予定等につきまして報告事項がありますので、事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 次回の分科会でございますが、明日、13時30分から文部科学省、内閣府、厚生労働省の所管の法人についてのヒアリングでございます。
 それから、明後日、9日金曜日は、9時30分から農林水産省、環境省所管の法人についてのヒアリングを行いたいと思います。いずれも総務省の会議室でございます。よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 それでは、ただいまの事務局の報告につきまして、何か御質問はございますか。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は御多用の中、御出席を賜りありがとうございました。
  (了)




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