会議資料・開催案内等



政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会議事録



  1.  日時 平成17年9月9日(金)9時30分から12時20分

  2.  場所 総務省第1特別会議室

  3.  出席者
    独立行政法人評価分科会所属委員)
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、森泉陽子独立行政法人評価分科会委員、縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、井上光昭、稲継裕昭、岡本義朗、小幡純子、梶川融、河野正男、河村小百合、黒川行治、黒田壽二、島上清明、田渕雪子、丸島儀一、山本清の各臨時委員
    総務省)
    福井良次行政評価局長、伊藤孝雄官房審議官、渡会修行政評価局総務課長、新井豊評価監視官、山下哲夫評価監視官、榎本泰士調査官、岩田博調査官、加瀬徳幸調査官

  4.  議題
    (1) 見直し当初案に関する府省ヒアリング(農林水産省、環境省)
    (2) 報告事項

  5.  配布資料
    (1) 見直し当初案<農林水産省所管7法人(農林水産消費技術センター、肥飼料検査所、農薬検査所、種苗管理センター、家畜改良センター、林木育種センター、水産大学校)>
    (2) 見直し当初案<環境省所管1法人(国立環境研究所)>




 富田分科会長
 それでは、時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日の分科会は、前二回に引き続きまして、17年度末までに中期目標期間が終了する24法人の見直し当初案に関する府省ヒアリングの一環といたしまして、農林水産省所管7法人及び環境省所管1法人の合計8法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。
 このヒアリングは、今後、当分科会として、主要な事務・事業の改廃に関する勧告の方向性の検討を行っていきます上で非常に重要な意味合いを持つものと考えておりますので、委員の皆様方におかれましては、御協力を何とぞよろしくお願いいたします。
 では、初めに、事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 本日のヒアリングでございますが、農林水産省から農林水産消費技術センター、肥飼料検査所、農薬検査所、種苗管理センター、家畜改良センター、林木育種センター、水産大学校、合わせて7法人。引き続きまして、環境省から国立環境研究所1法人、計8法人のヒアリングを行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 それでは、農林水産省所管7法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。
 最初に、農林水産消費技術センター、肥飼料検査所、農薬検査所、種苗管理センター、家畜改良センター、林木育種センター及び水産大学校の見直し当初案につきまして、農林水産省から御説明をいただきます。
 本日は、農林水産省井出総括審議官を始め、御担当の皆様にお越しいただきました。
 説明の都合上、まず、農林水産消費技術センター、肥飼料検査所及び農薬検査所の見直し当初案について御説明をいただき、質疑応答を行います。
 その後、家畜改良センター、種苗管理センター及び林木育種センターの見直し当初案、そして、水産大学校の見直し当初案について、それぞれ説明をいただきまして、個々に質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、まず最初に、この三つの独立行政法人の見直し当初案につきまして、短時間で恐縮でありますけれども、合計で15分でお願いいたします。質疑応答の中で追加的な説明等を行っていただくということで、15分でお願い申し上げます。よろしくお願いします。

 井出総括審議官
 農林水産省の総括審議官、井出でございます。私からまとめて御説明をさせていただきますが、お手元に、「農林水産省説明資料」が配付されていると思います。
 まず、農林水産消費技術センターについてであります。食料は、国民が毎日消費するものであり、安全な食料の安定的な供給を図ることが国の最も基本的な責務であります。しかしながら、残念なことに、平成13年にBSEが発生し、その後、食品の不正表示事件が相次いでおりまして、近年、食品の安全性を始めとする食に対する消費者の信頼が大きく揺らいでおります。
 国としましては、食品の品質や表示の適正化を図り、科学的な知見に基づいた食品安全行政の推進を図っていくことが肝要でございます。
 農林水産消費技術センターは、これまで蓄積されてきました専門技術的な能力を活用し、国が取り組むべきこれらの課題の解決に寄与するために設置されているものであります。
 次に、具体的な業務についてでございます。
 第一には、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、いわゆるJAS法に関連する業務であります。
 一つは、表示違反が疑われる食品事業者に対し、強制的な立入検査や任意調査を実施しております。このことにより、不正な食品表示や不正なJASマークの監視・取締りを行っております。
 また、約130ございますJASの登録認定機関及び約8,800ございます認定を受けた事業者に対する指導・監督を行っております。
 さらに、JAS規格の見直しに必要な客観性の高いデータについて調査・分析を行っております。
 第二に、食品安全行政推進のための業務でありますが、リスク分析、リスク管理のための有害物質の調査、また、大きな食品事故のような食品の安全性に関する危機発生時などに行われます農林水産大臣からの緊急時の要請への対応を行っております。これは、独法になる以前でありますが、例えば、O−157の事件でありますとか、オウム真理教の上九一色村敷地内の地下水等のチェックといったことに発動されてきております。
 そのほか、遺伝子組み換え生物の拡散を防止するためのカルタヘナ法に基づく立入検査ですとか、食品の品質表示、安全性に関する消費者の情報提供等を行っております。
 これらの業務の特性といたしましては、一つは、立入検査や任意調査、先ほどの農林水産大臣からの緊急時の要請への対応ということにつきましては、証拠隠滅のおそれがあり、国民の健康・安全にかかわるものでありますので、迅速かつ実効性のある形で対応しなければなりません。すなわち、証拠の隠滅を行ういとまを与えないように、一気呵成に実施する必要がありまして、言わば犯罪捜査類似の対応が求められております。
 一方、こうした業務については、企業秘密に接することが多いということで、在職中、退職後問わず、高いレベルでの守秘義務が求められております。
 また、強制力を伴い、被検者に大きな影響を与える立入検査につきましては、公正・中立性の確保が必要不可欠であり、私企業からの隔離が徹底される必要がございます。
 これらのことが満たされませんと、被検者側の食品企業に即座に理解と納得が得られず、調査を迅速かつ一気に行うことができなくなるわけでございまして、その結果、証拠隠滅などを許し、偽装表示を取り逃がすようなことになりますと、消費者を始め、国民の批判を浴びることになるわけであります。
 このような業務の性格から、今後とも、農林水産消費技術センターについては、特定独立行政法人として業務を実施すべきと考えております。ただ、一方で、同センターの業務につきましても、中期目標に即して、業務運営の効率化、必要な見直しを行ってきているところであります。
 例えば、残留農薬の調査・分析に関する要する時間の削減や、新たな表示ルールが定められた加工食品の検査の重点化等につきましては、目標を上回る達成状況となっております。
 また、今般、JAS法が改正されまして、平成18年3月1日からは、農林水産消費技術センターによる格付及びJASマーク貼付の業務を廃止することにしております。
 また、あわせて、登録認定機関に対し、登録時の調査、登録後の立入検査を新設することになっております。
 また、事務・事業の合理化の観点からは、アンケート調査の発送や回答の集計作業といった業務については、アウトソーシングを検討したいと考えております。
 次に、肥飼料検査所でございます。
 肥料・飼料については、食料の安定的な生産に不可欠な資材で、多くの農業者が広く使用するものでありますけれども、原料が農畜産物、廃棄物、副産物などの混合物として製造されるため、BSEの原因となる異常プリオンや、カドミウム等の有害成分が混入するおそれがございます。こういうものが混入した場合には、毎日の食事を通じて、意識されることなく人に摂取され、人の健康に大きな影響を及ぼすおそれがあるわけでありまして、有害成分の混入した肥料・飼料の生産・流通・使用を防止することが国の重要な役割でございます。
 肥飼料検査所の業務につきましては、肥料取締法、飼料安全法等に基づきまして、こういった有害成分が混入した肥飼料の生産・流通・使用の防止を行っております。肥料や飼料は、先ほど申しましたような製造原料にも起因いたしまして、品質が不安定で、有害成分が混入しやすいという性質を持っておりますので、製造現場などに対する立入検査に重点を置いた業務を実施しております。
 また、肥飼料検査所では、立入検査で収去した製品等の有害成分を迅速に定量評価する必要があるということで、技術的・専門的に高度に特化した専門機関になっております。
 また、その業務は、立入検査を受けた業者にとりましては、場合により、製造・販売の禁止、回収等、大きな経済的負担を伴うものでありますので、国と一体的にしっかりとやっていかなければならないということであります。
 例えば、近年では、安全性が確認されてない遺伝子組み換えトウモロコシが我が国に輸入されるという事態もございまして、これを水際で大量に輸出国に送り返すといった処分もしております。これは、国際問題にも発展しかねないものでありまして、科学的根拠に基づく中立・公正な立場で厳格に実施することが不可欠でございます。
 また、登録時の調査、立入検査につきましても、原料、製造工程、関係書類等、企業秘密にかかわるものが多数ございますので、その秘密の厳守が求められております。
 また、立入検査につきましては、無通告で実施しまして、場合によっては、原料や製品の所有権にかかわらず、その場で無償でサンプルを収去し、緊急時には製品の出荷停止も現場で指示する場合もあるということでございますので、秘密の厳守ということも含め、常日ごろから検査を受ける者との信頼関係を築き、理解と協力を得ることが不可欠であります。
 さらに、飼料添加物試験施設の優良試験施設規範への適合性に係る査察につきましては、日本と欧州連合との間の協定におきまして、適合した試験施設で得られたデータを相互に承認するとされており、欧州連合における査察は国家公務員によって実施されていることも踏まえ、国際的な信用を失わないように対応する必要がございます。
 こういった業務の特徴を考慮いたしまして、肥飼料検査所については、今後とも特定独立行政法人として業務を実施すべきと考えております。
 ただ、見直しを検討する事項といたしまして、リスクの高い肥飼料へ検査を重点化するとともに、検査精度を向上させるとか、検査時間を短縮させるなどの効率化・合理化、あるいは単純作業についてのアウトソーシングの検討を行うこととしております。
 最後に、農薬検査所でございます。
 農薬につきましては、純度の高い新規の化学物質で、病害虫の防除を目的としておりますので、一般的には毒性の強いものでありまして、消費者は農薬と食品の安全性について高い関心を有しております。そのため、安全性が確認されていない農薬の製造防止や農薬の安全な使用の確保について、国は多大な責任を負っているわけであります。
 また、農薬は国際的に流通する商品でありますので、農薬検査の国際調和を図ることも重要な課題でございます。
 農薬については、近年、規制を強化しておりまして、例えば、平成15年3月からは、登録されていない農作物に対する農薬の使用が禁止されました。このため、生産量が少ない、いわゆるマイナー作物に使える農薬登録の促進が急務となっております。
 また、食品衛生法の改正により、平成18年5月以降は、すべての農薬の残留基準につきまして、従来のネガティブリスト方式からポジティブリスト方式に移行するということで、これを一定期間内に再評価しなければなりません。このため、既に登録されている農薬についても、使用基準を見直す必要がございます。
 農薬検査所は、こうした農薬の安全性を確保する事業を行っているところでございます。
 先ほど申しましたように、農薬は毒性が強く、品質が安定しているという性質がございますので、主に登録時の検査に重点を置き、安全性が確認されていない農薬が製造されないようにいたしております。
 登録検査につきましては、申請者より提出されたデータを検査・評価することで、安全性を確認するとともに、生産現場の実態も踏まえた最適な使用基準を策定することで、農薬の安全性を確保しております。
 また、農薬検査の国際調和を図るためのOECD等の国際会議にも積極的に参加しております。
 業務の性質といたしましては、登録検査は国の基本的な責務であり、食品の安全性確保のためのリスク管理措置として、国の指示に基づいて行われる検査であり、農薬登録という国の許認可に直結するものでありますので、国との一体性、高度の中立・公正性が求められております。
 また、農薬の試験データや製造工程は、知的財産権も含め、重要な企業秘密でありまして、また、農薬の開発には数十億円というような莫大な開発費用がかかっております。このため、検査を行う者には、その秘密を厳守することが求められております。
 さらに、国際的には、欧米主要国におきましても、優良試験所規範、いわゆるGLP適合施設の査察を含めまして、同種の事務・事業については国家公務員で構成される専門機関が行っております。
 OECD等の国際会議におきましても、農薬検査所は、加盟国の専門機関とともに、テストガイドライン原案の作成・検討の作業に参画し、国際的な信用を確保しているところでございます。
 こういった特性を考慮して、今後とも農薬検査所につきましても、特定独立行政法人として業務を実施すべきであると考えております。
 見直しを検討する事項としましては、分析技術の高度化により一層の効率化・合理化、単純作業のアウトソーシング等の検討を行うこととしております。
 説明は以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明のありました3法人につきまして、皆様より御質問、御意見等ございましたら、どなたからでも御発言願います。

 山本臨時委員
 何点かございますが、我々は専門家ではございませんので、業務の詳細な内容については、多分あまり意見を申し上げられないと思いますが、効率化、業務の質の向上につきまして、疑問点を少しお聞きしたいと思います。
 特に、この3法人は、財務諸表等、あるいは財源措置等を見ておりますと、いろいろ、食の安全とかリスク管理というお話があったと思いますが、人件費がかなり増えております。定員も増やされていまして、例えば、最初の農林水産消費技術センターですと、予算ベースで、平成13年と16年あたりを見ますと、約2割人件費が増えていますし、あるいは、肥飼料検査所では約1割、農薬検査所では約5%と、それぞれ増えております。こういう食の安全とかリスク管理の重要性は、当然御説明のとおりで、私もそのとおりだと思います。しかし、やはり独立行政法人でございますから、それなりの効率性を上げる、あるいは、少ない要員で適正な食の安全リスク管理を推進していただくということが当然必要であり、そういった取組について十分であるかどうかというのが第一点。
 それと関連いたしまして、今の御説明の大半は、いわゆる特定独立行政法人を継続しなければならないということであって、そういう御意見も当然承知しておりますが、それを御主張されるに当たっては、やはりもっと説得的なものであることが必要であろうと思います。ほかの省庁とのバランスもありますし、あるいは、非公務員化することによって、先ほど申し上げたような、より効率的な、あるいは弾力的な人員措置が可能になって、生産性が上がるという余地もあるわけでございます。そういったことを考えますと、御主張の立入検査が必要であるとか、調査が必要であるというのは、法律的によく見ておりますと、ほとんどのものが、ほとんどというか、多分全部だと思いますが、農林水産大臣の指示に基づくものでございます。ぎりぎりした議論を申し上げれば、例えば、法律で義務を課せば、そういういろいろな守秘義務等においてもカバーできるわけでございますから、今の御説明だけでは、特定独立行政法人として継続されるという御説明としては、少し理解できないと思います。それは、すべてについてであるわけでございますが、とりわけ、例えば、既に先行の独立行政法人の中で、若干性格が違いますが、農林水産消費技術センターと業務内容としてはかなり類似性があると思われます国民生活センター等はもう非公務員型で、同種業務を既に推進されているわけでございますから、そういった他の組織との関係等についての更なる御説明を伺いたいというのが一点目であります。これは、人件費の合理化なりともあわせて御説明賜りたいと思います。
 それと、先ほど来御説明がある食の安全とかリスク管理ですが、確かに、肥飼料、食べるものと肥料になるもの、あるいは農薬を検査して、最終的に消費者の口に入るまでのリスク管理を徹底していただく必要があるというのは当然ですが、どこのレベルでどれだけ頑張れば、本当に消費者の安全が保たれるのか。多分、それは全部頑張るんだという御説明だと思いますが、その辺りが本当にすべての段階においてバランスがとれているのか、あるいは、どこか一か所頑張れば、何とか安全性が確保されるのかどうか。あるいは、同じようなリスク管理で統一的な、農水省全体として、あるいは厚生労働省とも調整されたようなリスク管理体制が実施機関としてなっているのかどうかということについてもお尋ねしたいと思います。
 その関係からいきますと、例えば、事前のチェックをされているような肥飼料検査所と農薬検査所との統合、あるいは、例えば、農林水産消費技術センターと肥飼料検査所は同じ場所にあるわけですから、管理部門の効率化を推進され、とりわけ人件費が二つの組織では、この5年間ぐらいにおいてかなり高まっておりますから、管理の効率化を図るという観点から言えば、同じさいたま新都心の建物に所在されているわけですから、そういったこともなぜできないのかということについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

 富田分科会長
 それでは、先に、御質問、御意見等を伺いたいと思いますので、どなたからでも結構ですので、どうぞ。

 島上臨時委員
 御案内のとおり、大変厳しい財政状況でございますから、業務の効率化、費用の削減ということを鋭意やっていただきたいと思っておりますので、その観点から、幾つかの意見と質問をさせていただきたいと思います。
 まず一つは、地方組織の統廃合、あるいは合理化について切り込めないだろうかということであります。地方組織について申し上げると、農林水産消費技術センターが7センター、肥飼料検査所が5事務所をお持ちですけれども、この中で、例えば、農林水産消費技術センターであれば、横浜を本部と統合するとか、あるいは、肥飼料検査所については、名古屋を大阪と一体化させて、もう少し広域で担当することによって合理化ができないだろうか。この辺りについてのお考えをお聞きしたい。
 それから、農林水産消費技術センターの検査の月別実施状況を見させていただきますと、4、5月の分析実績が非常に少ないということで、月別に非常に大きなばらつきがあります。御案内のとおり、人員というのは、大体ピーク対応の人員を抱えなければいけませんから、1年の中の月別の負荷を平準化することによって人員の合理化ができないだろうか。月別負荷の平準化ということについて、どうお考えなのか。
 それから、もう一つ、農林水産消費技術センターですけれども、農政事務所への生鮮食料品の表示、監視業務の移管を平成15年7月になさいましたけれども、これに伴う要員の合理化について、具体的にどうなさったかということ、なくなった業務についての人員の合理的な削減、あるいは配置転換ということをきちんと、どういう具合になさったか。つまり、受入れたけれども、動かしたところは、本当は必ずしもそれだけの必要がなかったのではないかという懸念もありますので、その辺りの話を聞かせていただきたいということであります。
 それから、肥飼料検査所及び農薬検査所につきましては、肥料の銘柄や、農薬の登録業務の民間開放に関する検討について閣議決定されております。これに対して、どうお考えか、どう取り組まれているのかという点を聞かせていただきたい。
 以上です。

 富田分科会長
 それでは、井出総括審議官、御回答お願いいたします。

 井出総括審議官
 御質問の中に、農林水産消費技術センターに関するものと肥飼料検査所、農薬検査所に関するものが分かれているように思いますので、農林水産消費技術センターに関しまして、担当の水田課長から、まず御説明をいたします。

 水田表示・規格課長
 農林水産消費技術センターを担当しております水田と申します。よろしくお願いいたします。
 まず、御質問いただきました人件費、人数の削減という問題でございます。これにつきましては、農林水産消費技術センターにつきまして、定員の削減には努めてきているところでございます。毎年毎年、定員を削減しているところでございますが、平成15年7月に、農林水産省全体の組織の改正というものがございました。農林水産省に消費・安全局を新たにつくるという大きな改正でございます。そういった改正の中で、定員につきまして、人員の再配置等を行っております。その時期に、関連がございますので、あわせて御回答しますが、生鮮食品の表示・監視業務を、旧食糧事務所、現在の農政事務所に、今、移管しております。
 その関係の要員の合理化によりまして、生鮮食品の表示・監視を担当しておりました表示指導課が、25名の減員となっております。一方で、JASの登録認定機関が非常に増加したこと、食の安全・安心の関係で、リスク情報の提供の業務の拡充が求められていること、あるいは、偽装表示の取締りのための、特に科学的なDNA分析とかを活用した検査・分析、こういったものを強化する必要があることから、その25名につきましては、それぞれそういった業務に移っております。
 また、同じ時期に、リスク情報の収集・提供、DNA分析などの業務の強化を図るという観点から、大きな組織改正の中で、旧食糧事務所から67名の定員を受け入れておりまして、そういった関係で、その時点で一時増加をしているものでございます。その後も引き続き、定員削減には努めている状況でございます。
 それから、国民生活センターとの関係につきまして、お話をいただきました。当農林水産消費技術センターで行っている業務でございますけれども、立入検査等を中心としまして、食品表示の監視業務を行っているわけでございます。国民生活センターでは、商品や契約に関する消費者からの苦情への対応ということは行っているようでございますが、そういった苦情や相談に対する原因究明とか、あるいは、情報提供のために、商品テストということで、分析も若干は行っているようでございますけれども、食品表示の監視業務といったものを実施しているわけではございません。
 公務員である必要性、特に、食品表示監視業務について、公務員である必要性についてのお尋ねがございました。これにつきまして、先ほど、総括審議官からも御説明させていただきましたとおり、表示違反のための摘発、そのための立入検査や任意調査は、犯罪捜査ではございませんけれども、食品表示110番というものも設けておりまして、違反が行われているという情報を得た場合に、即座に、一気呵成に入っていく必要がございます。表示違反が発覚し、会社が倒産した事例もございます。偽装表示を行った事業者は、それが発覚しないように、あらゆる手段で調査を拒もうとするわけでございまして、また、証拠書類の隠滅を図ろうということもございます。こうした立入調査に際し、独立行政法人には法律上、守秘義務があり、私企業とは関係なく公正・中立性があるということを説明いたしましても、なかなか即座に理解されず、いろいろ言われることも十分想定されるわけでございます。
 現に、もともと国の組織でございました農林水産消費技術センターが独立行政法人化して以降でございますが、そういった表示違反のある事業者に調査に入ろうとした際に、なぜ国でなく法人が来るのかということで断られそうになった事例もございます。ここは、公務員であるということを説明し、調査させていただいた事例が幾つか出てきております。
 こういった中で、公務員でなくなると、ますます相手方に対し口実を与えるという可能性が高いわけで、消費者保護という国の政策的な観点から、立入検査に入らなければいけないものにつきましては、即座に立入検査に入った時点で、相手方の理解が得られるということが重要だと考えております。入口で押し問答している間にも、奥で証拠隠滅が行われるような事態になることは決して許されるものではないと考えております。
 それから、農林水産消費技術センターの分析の関係での、4月、5月の分析の状況につきまして御質問いただきました。4月から5月にかけまして、いわゆる有害物質の調査・分析につきまして、分析自体の実績はほとんどないわけでございますが、この間は年度当初でございますので、分析数値の精度管理が非常に重要になってまいります。分析数値の精度を担保するためには、分析を担当するすべての職員がきちんとした対応をしなければならないということでございまして、技能試験といったものを実施しております。これは、分析対象となる物質、ある一定の物質が添加された試料というものがあるわけでございますが、それを分析させ、分析結果の精度がどうか、ばらつきがどうか、そういったことで分析担当者の技能試験を行っております。
 また、農林水産消費技術センターの中での分析誤差もきちんと確認をしなければならないことから、内部精度管理、あるいは外部の者が行っています、そういった分析技能の外部精度管理のプログラムにも参加しております。こうした業務は、分析機関として調査を実施する前に当然実施しなければならない業務であると考えているところでございます。
 それから、出先の関係でございます。ブロック機関の配置でございます。七つの地域センターと本部で、業務を分担しております。農林水産消費技術センターの業務は、現地での対応が不可欠な業務でございます。登録認定機関に対する監査の業務、表示違反が疑われる業者は、全国津々浦々、すべての食品製造業者、流通業者が対象になるわけでございまして、そういったものに対する立入検査等を行っております。
 業務の効率性・迅速性からブロック機関を配置しておりますが、特に横浜センターの関係でございます。横浜センターにつきましては、農林水産消費技術センター本部とあわせ、関東甲信越地域の11都県を分担している形になっております。この関東甲信越地域の人口は、我が国の人口の約40%に当たり、消費者の40%と称してもいいと思います。さらには、全国の食品事業者の約35%を有している状況でございます。この地域を農林水産消費技術センター本部のみで管轄するということになりますと、本部の物理的な事務スペース、検査施設等の面とか、業務量が著しく肥大化するということで、円滑な実施が困難となるということから、横浜と分担して対応しているという形になっているところでございます。

 富田分科会長
 すみません、簡潔にお願いいたします。

 井出総括審議官
 肥飼料検査所と農薬検査所につきまして、嘉多山課長から簡単に御説明いたします。

 嘉多山農産安全管理課長
 農産安全管理課長の嘉多山でございます。
 肥飼料検査所と農薬検査所の統合についてでございます。先ほど、総括審議官から御説明がございましたように、肥飼料と農薬は、一方は混合物、他方は純粋な化学物質で毒性が強いということで、取り扱うものが根本的に違っているということ、検査の在り方も、農薬は、事前に安全性を確認し、基準を設定し、使い方も決めた上で生産・販売をしてもらわなければ防止ができないのですが、肥飼料は、製造なり流通の過程で有害物質が入りやすいということで違っているということがございます。また、物理的には、双方の施設の所在地が離れているということもございまして、職員や施設などの融通をしていくのはなかなか難しいのではないかと考えております。そういう意味では、職員の合理化などを強く求められるということになりますと、現状に比べれば、やはり特に緊急時に問題の製品を見逃してしまうといったことが起こってしまうリスクが高まるということは避けられないのではないかと考えております。
 それから、二点目でございますが、名古屋の事務所の関係でございます。
 肥飼料検査所は、御案内のとおり、名古屋を含めまして五か所の地方事務所がございます。地方事務所自体は、最近の未承認の遺伝子組み換えトウモロコシ、あるいは、プリオンを含んだ可能性のある動物のたん白の検査が増加しているということで、緊急の立入検査を迅速に実施していかなければいけないということで、その重要性がますます高まっております。
 一方で、先ほど、農林水産消費技術センターについてもございましたけれども、やはり被検者との間で信頼関係を築いていくことが必要でございまして、そういう意味では、それぞれの地域で日ごろから、対象になる事業者の方とお話をし、指導もしていくという中で良好な関係を築いていかないと、なかなか円滑な検査ができないと考えております。
 それから、民間開放との関係でございます。御承知のとおり、閣議決定を受けまして、肥料・農薬の登録業務の民間開放の検討を今年度中に結論を得るということになっております。現在、鋭意検討しておりますけれども、両検査所の行っている業務は国の基本的な責務でございますので、慎重に検討する必要があるということで、現段階ではこの程度のお話しかできないという感じでございます。
 以上です。

 山本臨時委員
 今の話とも関連しますけれども、JASなり日本農林規格の性格付けですが、私も専門家ではないのでよく分かりません。必ずしも、これはすべての食品等について表示が義務付けられているものでもないというお話を聞いたことがございます。そうすると、JASなどの適正な表示は、それは当然、されないよりはいいんですが、これは政策マターになるかもしれませんが、もし本当に食の安全を、消費者の保護政策なり食の安全を徹底するというのであれば、JASが必ずしも義務的なものでないとすれば、むしろ政策と実施の関係において、齟齬を来しており、その辺りをどうするのかという問題があり、その点についてもう少し御説明お願いします。
 それと、先ほど、民間開放等もあって、これは既にほかの省庁においても質問があったかもしれませんが、市場化テスト等への対応について、本省あるいは独立行政法人として、どういう体制を御検討されているのかについても御説明お願いします。

 小幡臨時委員
 食の安全という非常に大事なことをなさっているということはよく認識しておりますが、非公務員化できないという御説明をいろいろされていましたが、公務員と非公務員の違いに関する考え方が少し違うのではないかと思います。私は行政法を専門にしておりますが、公権力の行使は、法律に基づいて初めてできるわけでございますので、どのような身分の人がやるかというのではなくて、法律によって権限を与えられれば公権力の行使ができるわけでございます。そして、監督される方、あるいは検査を受ける方が従わなければいけないという、そういう法的な効果が発生するわけでございます。
 したがいまして、非公務員であっても、法律に基づけば公権力の行使はできるわけでございまして、その辺りの認識が明確でないように思います。現場の実務として何となく公務員の方が強く押せるという雰囲気というか少なくとも法的な話ではないと思います。本来、法律に基づく行政ですので、それは相手の方にも分かっていただかないといけないわけで、独法になったからやりにくくなったといっても、法律に基づいて独法ができるようになったから初めて権限行使をしているわけでございます。そこは非公務員になっても同じでありまして、公務員であろうと、非公務員であろうと、はっきり言って関係ないのです。
 守秘義務等については、必要があれば法律でまた書けばよいと思いますので、その辺りの整理が十分でないというか、今の御説明では、法的な話と雰囲気の問題を多少混同されているのではないかと思います。独法ですから、原則的には、非公務員化という方向が本来あるべきではないかと思います。

 縣臨時委員
 今の小幡委員の話を具体化しますと、昨年度は、捜査権との関係で、厚生労働省所管のある法人が、やはり非公務員化を回避するということをおっしゃいました。しかし、主務大臣の担当官との協力で、捜査権を十分に行使できるという解釈で非公務員化されましたので、今日お話の論点では、特定独立行政法人を続けられる説得的な根拠にならないと思います。
 それから、地方組織の関係でいいますと、二つの法人に七つと五つ支部があるようですが、それぞれのセグメント情報を十分に識別されて、そこでそれぞれ扱われている案件の数とか、どのように推移しているのか、それから、そこにどういう人件費がかかっていて、どういう効果があるかということについて十分に御説明いただけないでしょうか。それをよく拝聴して、例えば、先ほどおっしゃられた東京と横浜がどうしても統合できないとか、あるいは、ほかの統合の可能性はないのかというようなことも、セグメント情報に基づいて十分に判断したいと思いますが、それは御提供いただけないでしょうか。

 富田分科会長
 それでは、恐れ入りますが、手短に、具体的な件についてのみ、繰り返しのないようお答えいただきたいと思います。

 中尾文書課長
 文書課長の中尾でございます。私から全体的なお話をさせていただきます。
 まず、公務員の身分がなくても、公権力の行使は、法律に書けばそれができるのであるというお話、まさにそのとおりであると思います。しかし、今回、御説明いたしました3法人につきましては、検査等の業務を行うという仕事を中心にしており、その目的は、消費者が食品に対する安全・安心を確保できるように、食品、農薬、肥飼料の製造者に対して検査を行っていくという業務を行っております。これらの業務を行う場合に、公平性、中立性が担保されるということが、その業務の性格上必要であると考えております。これは、言わば、公平・中立的な立場でない者が企業に対する検査を行うことによって、必ずしも公平な検査が行われないのではないかという消費者側の信頼を得られないようなことになるということであれば、その法人の業務の目的が達せられないということでございます。
 公務員でなくても、例えば、法律の中に守秘義務を規定すれば、その守秘義務の部分については義務を課すことができるわけでございますけれども、非公務員化のメリットとしてこれまで言われておりますのは、兼業規制がかからない、つまり、ほかの仕事に就くこともできるというのが最大のメリットだとこれまで説明されていると承知しておりますけれども、このような検査等を行う法人につきまして、ほかの業務との兼業を認めることについては、公平・中立性を担保できないことになるのではないかと思います。しかも、兼業規制を、また個別法で規定するということになりますと、非公務員化の最大のメリットの部分がなくなるということになりますので、非公務員化することの意味がなくなってしまうのではないかと考えております。
 それから、市場化テストへの対応についてお話がございましたけれども、この市場化テストにつきましては、現在、担当課で行革事務局と議論をしておりますけれども、ただいま申しましたような公平・中立性を確保する必要がある業務であることから、市場化テストに対応することにつきましては、慎重な検討を行っているところでございます。
 以上でございます。

 富田分科会長
 一応、3法人の予定の時間が来てしまいましたが、縣委員の指摘など、具体的にお答えいただけなかった点がまだあるかと思います。ほかの件ともあわせて、後日、事務局から問い合わせますので、そのときにお答えをよろしくお願いいたします。
 それでは、時間の都合もありますので、この3法人につきましては、ここで御質問を打ち切らさせていただきます。
 続きまして、家畜改良センター、種苗管理センター及び林木育種センターの3法人の見直し当初案につきまして御説明をお願いいたします。
 恐縮でありますけれども、3法人合わせて15分ということでお願いいたします。

 井出総括審議官
 お手元の資料を御覧いただきたいと思います。
 まず、種苗管理センターでございますが、御承知のように、知的財産につきましては、平成14年に知的財産基本法が制定されまして、その保護の強化が重要な国家戦略となっております。農林水産分野の重要な知的財産であります植物の新品種につきましても、その適切な保護により、新品種を活用した産地振興を支援し、我が国の農業の競争力の強化を通じて、食料の安定供給に貢献していくことが重要と考えております。
 また、残念ながら、近年、不法に海外に持ち出されました新品種が農産物として逆輸入されるなど、新品種の権利侵害により、産地に重大な影響を及ぼすおそれが生じてきておりまして、こういった新品種を核とした農業生産を支援するためには、育成者権の侵害対策が重要となっております。
 さらに、昨年は、種苗に関する不正表示や未検査流通が問題化したところでありますが、こうした問題につきましては、食料の安定供給や食の安全・安心の確保を脅かすおそれがありますので、この農業生産の大もとになる種苗について、適正な表示と安定供給を確保することが重要であります。
 このため、種苗管理センターでは三つの業務をやっておりまして、一つは、品種登録に係る栽培試験の実施。二つ目が、農作物の種苗の検査。三つ目が、ばれいしょ、さとうきび等の原原種生産・配布であります。
 まず最初の品種登録に係る栽培試験につきましては、植物の特許とも言うべき知的財産権である育成者権を、国が新品種の育成者に付与するためには、国際条約及び種苗法に基づきまして、出願品種の審査として、実際に植物を栽培して特性を調査する必要がございます。この調査結果が、国が登録要件を満たすか否かの判断に不可欠でありますので、その確実な実施が求められております。
 また、出願件数につきましても、新品種のサイクルが短期化する傾向の中で増大しておりまして、平成16年度では1,337件ということで、ここ3年で15%増加しております。今後も増加が見込まれますことから、栽培試験に関する唯一の専門機関である種苗管理センターの役割は高まっていると考えております。
 また、新品種は、これを商品とする育成者にとっては企業戦略の一部であり、重要な企業秘密であります。審査として、新品種を扱う栽培試験では、中立・公正性や情報の秘匿が強く求められております。種苗管理センターが栽培試験を行うことにより、育成者は種苗の流出といった心配をする必要もなく、安心して新品種の出願をすることが可能となっております。
 また、近年、育成者権の侵害が問題化する中で、一昨年、今年と二度にわたって種苗法を改正しまして、育成者権の効力を拡大しているところでございますけれども、種苗管理センターにおきましても、品種保護Gメンといったものを置きまして、育成権の侵害に関する相談や実態調査を実施しております。
 第二の農作物の種苗検査でありますが、種苗は外観では品種や品質が識別できません。このため、流通段階の種苗を集取いたしまして、表示や品質に関する検査を行っております。この検査は、種苗の品種名や農薬使用の表示義務を担保するため、国による違反種苗の販売禁止命令等の行政処分につながるものでありまして、被検者が拒否できない強制的な検査として行っております。
 このため、こういった集取・検査を円滑に実施するためには、中立・公正性、守秘義務はもちろんのこと、被検者の理解と納得の下で実施することが重要であります。
 また、種苗表示につきましては、昨年、大手企業による表示義務違反事件が続発しまして、今年6月には、種苗への農薬使用の表示義務が強化されるなど、監視の強化が求められる状況にあります。
 第三のばれいしょ、さとうきび等の原原種の生産・配布でありますが、ばれいしょ等は、稲のように種子、種ではなくて、いもそのものを植えて増やすということでありますので、増殖率が低く、また、ウイルス等の病害虫に侵されやすいという特徴を持っております。特にばれいしょは病害虫に極めて弱いため、植物防疫法上、唯一の国内検疫植物となっておりまして、また、輸入検疫の観点から、現在、我が国がばれいしょを輸入できる国は世界中にございません。
 このため、我が国では、種ばれいしょの管理体制については、SPS協定で認められた厳格な三段階の検査・増殖体制をとっておりまして、他の先進諸国でも、国や州によりまして同様の体制をとっております。
 このように、ばれいしょ、さとうきびは原原種から四代まで増殖して、ようやく作物として収穫されるということで、大もとの原原種が汚染されますと被害が大変甚大になります。原原種では特に厳重な生産管理が求められております。
 このため、種苗管理センターでは、周囲から隔離され、病害虫の侵入防止等のとられた圃場で検査を行いつつ、健全・無病な原原種を生産し、全国的な需給調整を行うことにより、需要量に合った原原種を配布しておりまして、昨年来の種ばれいしょの大手企業による植物防疫法違反事件が続発する中で、高品質な原原種の確実な供給が求められているところであります。
 種苗管理センターの業務の特性を考えまして、今後とも、特定独立行政法人として業務を実施するべきと考えておりますが、見直しを検討する事項といたしまして、業務・組織体制の見直しとして、栽培試験を9か所から6か所に、種苗検査を4か所から3か所にそれぞれ集約化する、ばれいしょの原原種生産の農場ごとの役割分担を効率化する、茶の原種生産・配布については、県、民間への委託、移管を検討しております。
 さらに、圃場管理作業や情報システムといった作業については、外部委託を検討することにしております。
 次に、家畜改良センターでございます。
 家畜改良センターにつきましては、平成13年、我が国初のBSEの発生に際し、消費者から国内生産に関する安全・安心の強い要求がありまして、その後、トレーサビリティーシステムを含む必要な体制を整備しております。
 また、最近では、平成15年にアメリカでBSEが発生し、現在、米国産牛肉の輸入を停止していることや、また、諸外国における鳥インフルエンザの発生、豚の口蹄疫の発生といったことが畜産物輸入供給に大きな影響を与えてきております。
 こういった中で、家畜改良センターにつきましては三つの主な業務を行っておりまして、一つは、家畜の改良・増殖や種畜の検査、二つが、牛肉のトレーサビリティー制度に基づく個体情報管理、三つ目が、飼料作物の種苗についての生産供給と検査であります。
 家畜の改良・増殖につきましては、優良な種畜を作るということと全国規模での供給、さらに、全国同一基準による遺伝的能力の評価・公表を行っております。これらの業務は、全国展開した現場と長期にわたる選抜・改良の期間が必要とされるということで、県や民間との役割分担を行った上で、内容が高度なものについてセンターが担っております。
 種畜は、多いものでは年間数万頭に交配されるわけでありますので、種畜が伝染性疾患を有していた場合の影響は極めて甚大であります。それとともに、遺伝的能力評価では、極めて高い情報の管理が不可欠でございます。
 それから、種畜検査につきましては、これは伝染性、あるいは遺伝性疾患の伝播を防ぐということで、検査に合格しなかった種畜は営利目的で利用できないという公権力の行使をしております。
 トレーサビリティーでありますが、全国の牛すべて、約1,000万頭に及ぶ情報を蓄積しまして、毎日、約8万頭にも及ぶ情報照会に対応し、BSEが発生した場合には、BSE発生牛と関連牛との関係を緊急検索しまして、国に迅速に提供しております。
 飼料作物の種苗生産につきましては、飼料作物は、開花・結実期に、雨の多い我が国では生産リスクが高くて収益性が低いため、民間では実施が困難でございます。
 また、飼料作物の種苗に係る検査・検定につきましては、これも不適格と判断された場合は、販売を禁止するなど、強制力を伴う措置でございます。
 最後に、OECD種子品種証明制度に基づきます各種検査と証明書の添付につきましても、加盟国間の取決めとして、政府が責任を持って実施することとされております。
 家畜改良センターのこういった特性を考慮しまして、今後とも特定独立行政法人として業務を実施すべきと考えております。
 なお、見直しを検討する事項としまして、家畜改良・増殖業務は、我が国の主たる家畜であります乳用牛、肉用牛、豚、鶏に重点化する。飼料作物の種苗生産・配布につきましても、新品種、ニーズの高い品種に重点化する。
 さらに、外部化としまして、家畜管理、飼料生産、種苗生産圃場の管理の単純作業については、退職者の状況を踏まえ、段階的に外部委託を進める。
 スリム化につきましては、一般管理部門について業務の在り方を見直して効率化する等のことを検討していきたいと考えております。
 最後に、林木育種センターであります。
 森林の有する多面的機能の発揮に向けた森林整備の推進ということで、将来にわたって適正な森林の整備の推進を図っていくためには、森林整備の根幹となる生産資材である林木の新品種の開発、増殖用原種としての配布が必要であります。
 また、生物多様性の保全につきましては、絶滅危惧種等、貴重な林木遺伝資源の探索、収集、保存、特性調査を実施して、国家財産として維持確保を図る必要があります。
 また、地球温暖化や森林消失等の地球規模での環境問題の取組につきましては、開発途上地域の森林についての違法伐採や森林火災による減少・劣化を食い止めるということで、熱帯産樹種に係る林木育種の技術指導などの技術協力を積極的に行う必要があると考えております。
 次に、林木育種センターの事務・事業の特性についてでございます。林木の新品種の開発につきましては、成果を得るまでに極めて長い期間、40〜50年が必要であります。また、広大な事業用地の確保と長期間の維持が不可欠であることから、経営リスクが大きく、採算性が見込めないということで、現在、林木育種センターが我が国で唯一の林木に係る品種開発を行う機関でございます。
 また、開発した新品種の原種の配布につきましても、林木育種センターが事実上、我が国で唯一の配布機関となっておりますので、引き合いの強い品種につきましても、特定の地域、機関に偏重することなく、公平・中立に配布していく必要がございます。
 林木育種センターにつきましても、今後とも、特定独立行政法人として業務を実施すべきと考えております。見直しを検討する事項といたしまして、現在、国民的課題になっている花粉症の発生源対策としての無花粉杉や花粉の少ない新品種の開発、温室効果ガスの吸収量確保対策として、二酸化炭素の吸収固定能力の優れた品種の開発、あるいは、病害虫と気象害の抵抗性をあわせ持つ優れた品種の開発などに重点化していく。あるいは、現在、実施しております地域特産的な樹種、環境緑化木等の新品種開発等については一定の整理をするということを考えております。
 以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明ありました3法人の見直し当初案につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでもどうぞ。

 小幡臨時委員
 先ほども、非公務員化のことは申し上げたのですが、この3法人につきましては、まさに主要な業務というのは、別に公権力の行使そのものではなくて、その一部に、公権力の行使があるという程度のことでございます。特に、最後におっしゃった林木育種センターの場合は、公権力の行使は一切ないと思われますので、この3法人は、やはり本来の独立行政法人の本則に戻って、非特定独立行政法人化、非公務員化が当然なのではないかと思われます。それでも、一応、特定独立行政法人を維持したいという御見解で、理由として公平・中立をおっしゃっているのですが、公務員でなくなった途端に、およそ、全く公平・中立な業務はできなくなるという仕切り方をなさっているように聞こえるのです。やはりこのような業務の性格上、定型的、専門的で、国から離して独法にした方がより効率的にできるであろうという判断で独法になったものと思われますので、当然、そのような公平・中立に検査しなければいけない業務であれば、いくら身分が非公務員であっても、公平・中立に行うのは当然であって、これは職務として必要とされる性格のものではないかと思われます。
 この3法人は、とりわけそのような意味で、特定独立行政法人であり続ける理由について、合理的な説明は難しいのではないかと思われますが、さらに御見解をいただければと思います。

 山本臨時委員
 今の話とも関連するんですが、種苗管理センターと家畜改良センターについてでございます。まず、家畜改良センターでは、いわゆる昔の行政職俸給表(二)適用の職員で、今は技術専門職員と言われている方が、まだ一般職ではかなり多く、560人前後いらっしゃいます。
 ただ、今までのお話を聞いていますと、むしろ本当に食の安全の確保のために必要であって、十分な効率性を担保されているということであれば、個人からいろいろな市場化テストの要望等もあるようでございますから、むしろそこで堂々と家畜改良センターは、より効率的で質の担保もできるということを主張されたほうがいいのではないかということもございます。いずれにしても、技術専門職員についての削減努力は認めますが、それについて、もっと具体的な、踏み込んだお考えをお聞かせいただきたいというのが1点です。
 それと、種苗管理センターについても、若干細かい話なんですが、事前にいただいた資料等を拝見しておりますと、茶原種の生産・配布というのは、廃止を検討されているようですね。したがって、それを、ほかの若干関連する業務をして存続を図られるということになっていますが、もともとここは、技術専門職員がおられないわけですから、これを機会に、統廃合といったことも考えられるのではないかという気がしております。
 とりわけ、官がやるか、民がやるかということの軸と同時に、いわゆる自治体移管とか地方移管といったことについても、もう少し3法人全体についてお考えいただく必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。

 田渕臨時委員
 今の山本委員のお話にもつながるところがあるんですが、地方への移管については、家畜改良センターでも同じようなことが言えるかと思います。国としての役割について、重点化とはおっしゃられていますが、国としてやるべきなのかどうかというところに、もう少し絞った形での検討をしていただきたい。
 具体的には、例えば、褐毛和種のような地域特産的なものは、熊本県、北海道でも地域特産的なものはあると思います。そういった地域特産的なものについては、地方自治体に移管する、ニーズを調査していただいてニーズがあるもので受益者が限られているものについては民間に任せて、ニーズが少ないと認められるものに関しては、規模を縮小されるとか、そういった形で、国としてどういう事業を展開していくべきなのかという観点から、検討していただきたいというのが1点です。特に、家畜改良センターでお話し申し上げましたが、種苗管理センターでも同じだと思います。
 林木育種センターについては、昨年も森林総合研究所との統合の話が出ていたかと思いますが、実は、昨年、水産関係では、水産総合研究センターとさけ・ます資源管理センターが統合されたということで、基礎研究から応用実証実験という観点で、一貫した取組が水産関係ではなされており、林木関係でも、そういった取組をお考えになられてはどうかと。
 それぞれ専門があるかとは思いますけれども、そういった専門が融合することによって、更なる質の向上、アウトプットの高度化も図れると思います。そういった部分で御検討はされているのかどうかという点、以上2点についてお伺いします。

 富田分科会長
 それでは、ここでひとまず切りまして、御回答お願いいたします。すみませんが、簡潔にお願いします。

 姫田畜産振興課長
 家畜改良センターを担当しております畜産振興課長の姫田でございます。
 まず、技術専門職の削減ということでございます。それにつきましては、単純作業については、退職者の状況を踏まえて段階的に外部委託を今後とも進めていくことを考えております。
 ただ、市場化テストにつきましては、現在、外部委託についても十分な受け手がないというところもございます。
 そして、専門職につきましても、単純作業だけではなく、より高度な作業をしていただくということでの対応にしているところでございます。
 また、地方への委託でございますが、褐毛和種につきましては、熊本県の地方品種ということではなく、長崎県、北海道、青森県等に分布しております。これは、県で畜種改良するということになりますと、県費を全国的に他の県に出すということもございますので、かなり難しいところがございます。もちろん地方特定品種的なものということでございまして、短角などは地方に移管したり、あるいは、ニーズが限定されていると考えられますめん羊、ヤギ、実験動物等については、今後、民間を中心とした供給体制を確立していこうということで、今後努力していこうと考えております。
 いずれにいたしましても、家畜改良センターにつきましては、それぞれの生産者あるいは消費者からの国産での育種を進めてほしいという要望が大きいところでございます。

 寺沢種苗課長
 続きまして、種苗管理センターを担当しております種苗課長の寺沢でございます。
 種苗管理センターについて何点かございましたけれども、1点、公権力の行使に関する業務は業務全体の一部ではないかという御指摘がございました。種苗管理センターの業務のうち、特に、品種登録に係る栽培試験、あるいは種苗の検査は、仕事の三本柱の内の二つでございまして、かつ、その二本はどちらも非常に重要で、ともに必要性も拡大しているので、必ずしも一部ということにはならないと思っております。
 それから、市場化テストという点についてでございます。これは、それぞれの業務ございますけれども、公正中立かつ検査、審査等を行うことができる受け手というのが極めて存在しないのではないかということで、検討するのもなかなか難しいのではないかと考えております。
 それから、茶原種の生産・配付の廃止の件でございます。茶原種の生産・配付の廃止の件につきましては、まだ存続をしようとしているのではないかというお話でございましたけれども、具体的に今、県あるいは民間への移管の仕方について検討しておりますけれども、基本的に、移行措置的に、現に有しております茶の原種、こういったものをどのように円滑に移管するかという観点での移行措置というものがございますけれども、これを存続しようということではなく、むしろ今、現状に合わせて、県ないし民間へ移管しようということで検討しているところでございます。
 なお、茶の原種の配布につきましては、種苗管理センター設立時から比べ6%になって、現在、1名がその業務に当たっているだけということでございまして、残念ながら、合理化効果というのは、極めて限定的であり、これまでかなり合理化をしてきたということでございます。
 それから、茶の原種農場であった農場につきましても、特に品種登録に係る栽培試験の需要の伸びに的確に対応するということで考えております。具体的には、知覧農場、金谷農場でございますけれども、その大部分が品種登録関係の業務や遺伝資源の保存関係の業務を行っているということでございまして、これを直ちに廃止ということは残念ながら難しい。むしろ栽培試験業務は需要ニーズがかなり右肩上がりで伸びてきておりますので、それに対応するための措置を考えていく必要があると考えているところでございます。

 笹岡研究普及課長
 林野庁研究普及課長の笹岡でございます。
 林木育種センターの関係について御説明いたします。まず1点、非特定独立行政法人化につきまして、林木育種センターは、ほかの法人と比べても公権力の行使が全くないではないかという御指摘がございました。それは事実でございますけれども、一つ、別の観点からお話をいたしたいと思いますが、例えば、私どもの行っている遺伝資源の収集につきまして、生物多様性条約の策定の中で、開発途上国が非常に遺伝資源の流出ということについて懸念しております。
 海外と協力していくときに、途上国から持ち出す資源が、いわゆる営利目的で利用されないかというところが非常に厳しくチェックをされており、そういう側面でも、私企業から隔離された公務員という立場を持つことが非常に大事ではないかと思っております。
 それから、森林総合研究所との統合の件でございますが、森林総合研究所は、御案内のとおり、森林・林業に関する総合的な基礎研究を行っている機関でございます。それに対して、林木育種センターは、実は職員の約3分の1が研究職という、構成から見ると、非常に特異な形を持ったところでございますが、林木育種センターの場合の研究職というのは、現場の非常に実践的な研究といいますか、品種の開発と密着した形で、技術者と一体となって研究をしているというところが特色でございます。
 したがって、例えば、一般的に研究者の評価をするときに、研究所であれば、論文の数や研究プロジェクトの数といったことで評価をされているわけでございますけれども、林木育種センターの場合は、論文のための研究ではなく、まさに開発のための研究、開発する中で不可欠なことをやっていくということですので、職能的にも異なりますから、これを一体化して、研究者同士が一緒にやっていくということはなかなか難しいのではないか、また、そのメリットも乏しいのではないかと思っております。
 また同時に、作業の場所もそれぞれ大きな苗畑を抱えて、フィールドを抱えてやっておりますので、仮に統合したとしても、場所を動かすのは非常に困難であり、統合のメリットもなかなか生まれてこないということを考えております。
 また、水産庁の例の御指摘がございましたが、水産庁のさけ・ます資源管理センターにつきましては、いわゆるふ化放流事業について、一定程度民間へ移行という業務の整理をされた上で、調査研究部門に特化して統合となったと伺っております。この林木育種センターの今後の展開を考えますと、引き続き、品種の開発と配布、あるいは遺伝資源の収集・保存という業務の柱が、技術者と研究と一体・融合した形で進んでいく必要がございますので、この点からはなかなか水産庁と同じような考え方で統合するのでは難しいのではないかと思っております。

 姫田畜産振興課長
 非公務員化についてお答えできておりませんので、御説明いたします。家畜改良センターの種畜検査につきましては、いわゆる育種改良と一体的に行う検査でございます。ですから、そういう意味では、主要業務と一体的に行うものということで、密接不可分と考えております。
 また、トレーサビリティー業務につきましては、全国での畜産農家、あるいは流通業者の方々の個人情報を扱うものでございます。これにつきましては、秘匿性、あるいは公平性・中立性が求められるものであるということ。あるいは、種苗検査につきましては、代替できる機関が、いわゆる種苗業者に限られてきますので、特定の種苗業者が検査するということは、公平性の面から行えないと考えているところでございます。

 田渕臨時委員
 今の林木育種センターの御説明に対してですけれども、3分の1が研究職で、センターの研究職と森林総合研究所の研究職を一緒に考えるわけにはいかないという御説明がございました。
 その場合は、評価の基準を変えればいいんですね。研究職という名前が同じなだけで職務が違うのであれば、職種の名称を変えればすむ話であって、研究職を一括してくくれないから統合できないというのは、理解できません。
 もう一つ、検査・検定関連のところでも、施設が離れているからできないという御回答がありましたが、既存の施設ありきで考えていたら、前に進めないと思います。所管課も同じだと思いますので、まず、どの施設がどこにあるのが最適なのかといった観点で考えていただいて、ほかの部分も同じなんですが、その中で見直し、改善を進めていかないと、既存の組織、既存の施設ありきであれば、今のまま動けないということになります。ですから、所管主務省としては、そういう考え方ではなくて、もう一段上の部分で考えていただきたいというところです。
 これは、林木育種センターだけではなくて他の法人についても言えることですが、地方の農場、研究所といったものが非常に多い中で、そうした施設を既存の施設として考えるのではなく、もう一つ上のレベルで考えていただきたいということです。

 黒川臨時委員
 そもそも、こういういろいろな業務がありますが、例えば、改良というようなものに関してみれば、例えば、工業を考えてみれば、品質、研究開発、製品の開発のようなものに相当すると思いますけれども、こういうものは、工業の場合では民間でやっているわけです。今日の話の農林水産関係のところでは、どうして民間にすべて任せられないのか。その前提は何だったのかということです。その前提自体が、今変わりつつあるときではないか。そのときに、政策としては、今後どのような方向に持っていくのか、そこをお聞きしたいと思います。

 島上臨時委員
 種苗管理センターと家畜改良センターについて、これは要望として申し上げたいと思いますけれども、これらのセンターは、機能として、農畜産生産のプロセスの一部を担うという役割を持った業務があります。
 一方、国内生産そのものは縮小してきておりますから、それだけ社会的ニーズが減少していると考えていいと思います。それに対応して、国が行っている業務が廃止・縮小等の業務見直し、さらには費用の削減ということをきちんとやっているかということが大きな問題だと思います。この観点から、更に踏み込んだ検討をしていただきたいと思います。
 まず、ばれいしょ関係で言いますと、「農場ごとの役割分担を推進」ということになっていますけれども、原原種の配布量で言うと、例えば、昭和61年ごろから見ると44%も減ってきている。大幅に原原種の配布量が減ってきているわけですから、農場についても、もっと合理化する、あるいは減らすということから、全体の原原種配布にかかわる総費用を抑えるということに、もっと踏み込んでいただきたい。
 さらに、家畜改良センターについては、これも合理化の原案が出てきております。めん羊、ヤギ、実験動物といったものについては、民間を中心とした種苗供給体制の構築も「視野に検討」とありますけれども、私は、めん羊、ヤギ、実験動物が今まで国でやってきたということについて、これから検討に入ろうということ自体が遅い、もっと早くこういうことをやるべきだったのではないかと思います。
 したがって、これについては、「視野に検討」ではなく、もっと早くやっていただいて、民間への移管ということをきちんと実現してほしいし、それによる合理化効果をきちんと出していただきたい。例えば、農場を廃止する、あるいは売却するといった、費用削減がきちんと出てくるような形での民間移管ということを早くやっていただきたい。

 阿曽沼臨時委員
 非公務員化の問題で、中立・公正、厳格、秘密、国家的信用ということを理由に挙げられておりますけれども、基本的に、我々がこの見直しのヒアリングをしたり検討するというのは、今日初めて、今年初めてというわけではございません。多くの法人の見直しを行ってきたわけでございますが、その中で、中立・公正、厳格、秘密、国際的信用という今の御説明だけでは、客観的・合理的な説明でないということはもう明らかでございます。そういう意味で、再度、御検討いただきたいと思いますし、今日のいろいろな一連の御説明でも、やはり了解、納得ができないと思っております。
 特に、これらの問題については、契約、規約、特別法、そして、罰則等できちんとした対応ができるはずでございますので、そういった具体的な検討の上で、合理的、客観的な御説明を再度いただきたいと思っております。
 特に、国際的信用性ということであれば、主務官庁があって、独立行政法人という組織があって、それでも、なおかつ国際的信用が損なわれるのかということがもしあるとすれば、諸外国の具体的な根拠のある御反応というものがもし本当にあるのであれば、それだけで合理的な説明というのは納得がいかないということを申し上げたいと思っております。

 縣臨時委員
 本日、6法人のお話を伺ったわけですが、この6法人の組織原理を見ますと、対象別になっているということが非常に明確であります。
 他方、機能を見ると、非常に類似した活動をしていると思います。それを念頭に置いて、こちらでいただいている資料で、各法人の人件費や一般管理費の推移を見ますと、島上委員がおっしゃったように、どの法人も必ずしも効率化されているとは思えないわけです。
 そうしますと、それぞれもっと積極的に、各法人をどのように効率的に運営するかということを打ち出されないと、管理上は統合可能であるという議論が起きてきて当然だと思います。ですから、このラウンドでは3法人が対象になっていますが、6法人通して、もっと細かく、経費節減はどこができるのだということを打ち出されないと、6法人がばらばらに存在するということの説得的な根拠にはならないと私は思います。

 稲継臨時委員
 先ほどの御回答の中で、ちょっと腑に落ちない点がありましたので、2点御質問させてもらいたいと思います。
 地方移管について、複数の県にわたる可能性があるので一つの県にというのはできないという話でしたが、場合によっては、複数の県の共同設置の地方独立行政法人とか、様々な対応は可能だと思いますので、先ほどの御説明ではどうも説得的ではないと思うのが1点。
 それから、茶の金谷農場、知覧農場は、どちらも、もともと茶原種農場として設置された経緯があり、それが今では、その機能がなくなったということなのかもしれませんが、登録ということであれば、ほかの方法もあり得ますので、ここにそのまま人員を置いておく、その二つのところに別々に置いておくことの説得的な説明にはなっていないのではないかと思います。
 それから、非公務員化に関しましては、先ほど、阿曽沼委員がおっしゃったことと全く同感でございまして、今日の御説明の範囲内では、十分我々を説得できるだけの材料にはなっていないのではないかと思います。

 富田分科会長
 それでは、総括審議官、お願いいたします。ひとつ、簡潔にどうぞ。

 姫田畜産振興課長
 畜産振興課長でございますが、まず、家畜の改良ということにつきましては、まず一つは、遺伝資源の確保、あるいは改良増殖法に入れられております国の責務がございます。そして、各国においても、家畜の改良は、国が責任を持って行っているところで、産業の下支えとして行っております。
 そして、畜産業につきましては、長期的には需要が増大し、国内の生産量は微増傾向で来ています。独立行政法人化されてからは、国内産業はほぼ横ばいという状況でございまして、決して国内産業が減少しているという状況にはないということ。

 島上臨時委員
 全体を言っておりません。畜産の中でも、例えば、めん羊だとかヤギとかいうものは減っているでしょう。総論ではありません。

 姫田畜産振興課長
 それにつきましては、民間への移管ということでございます。ただ、民間あるいは都道府県での受け皿というものについて具体的に検討するところで、現在、特にめん羊についてはやっているところでございますが、なかなか受け皿をどうするかということについての時間を要しているというところでございます。
 そういう意味では、いわゆるめん羊といったものにつきましては、今後、どう民間との間での受け皿をつくっていくかということに時間を要するということを御理解いただきたいと考えております。
 また、複数の県で受け皿を作ればということでございますが、同様のことでございまして、複数の県で受け皿をして育種をするということの合理性と、国が育種改良するということの合理性、それはやはり考えていくべき必要があるのではないかということで、私どもとしては、継続的に褐毛和種については実施していくということを考えております。

 寺沢種苗課長
 続きまして、種苗管理センターについて、種苗課長でございます。
 まず、ばれいしょの生産・配布が基本的に減ってきており、それに対応して、もっと縮減するべきではないかというお話でございますけれども、確かに、量的には種苗管理センター設立時から57%にまで減っておりますけれども、ニーズに的確に対応するという観点では、病害虫等に侵されていない非常に高品質の種苗を求めるニーズが非常に高まっております。
 それから、品種が非常に多品種に、ニーズ多様化ということで増えてきた。それに対応するということで、従来20品種であったものが52品種になっているということで、例えば、病気のためにどうしても必要な輪作の回数を、4年に一度であったものが、それでも不十分ということで、5年に一度の輪作をするということで、これは生産者側のニーズを十分踏まえて行った結果、今現在、日本国内で生産されているばれいしょに必要な原原種の供給という観点で見ますと、余剰というのはほとんどない。むしろ、例えば、冷害等に対応するための部分も含め、今、需要にきちんと対応しているということでございます。
 当然、いろいろな効率化、あるいは技術的にできるだけ効率化できないかということの技術開発なども行っており、こういった技術開発などを通じて、将来的に、もう少し効率化できないかということもあわせて進めているところでございます。ただ、なかなか中長期的、あくまでこれは中長期的でないと難しいということでございまして、現状はそういったニーズにきちんと対応する意味で、今現在の農場の廃止・統合は困難と考えております。
 それから、金谷、知覧の農場の件でございますけれども、確かに、茶の業務としては非常に縮小してきて、廃止・移管ということを考えておるわけでございますけれども、それ以降、種苗管理センターの業務に追加されました知的財産、育成者権の付与にかかわります栽培試験につきましては、これは手持ちのほ場を活用しながら、大幅な増に対応してきておるところでございます。現時点で、金谷、知覧ともに、暖地の植物の栽培に適した場所ということで、全体の栽培試験のシェアといたしましては、約15%のシェアを、それぞれの農場が持ってやっております。
 ただ、現在、西日本農場という、岡山県の新しい農場に集約をする方向で全体の集約化を進めている一環ではございますけれども、相当数のシェアをその2農場で担っているということを勘案いたしますと、直ちに廃止・統合というのは、正直申し上げて困難でございます。
 西日本農場への集約化という観点の中で、全体的な中長期的な観点での効率化の検討というのは行ってまいりたいと思っております。

 笹岡研究普及課長
 それでは、林木育種センターにつきまして、研究職の職種の問題、地方の施設の配置、また、地方・民間への移譲という三つの点について簡単にお答えさせていただきたいと思います。
 まず、研究職の問題でございますが、田渕委員からお話がありましたとおり、新たなカテゴリーを設けて評価するというのも一つのお考えとは思います。しかし、これは実態として、非常にマネジメント上、煩雑さが増すことになって、むしろ効率性を失うことになるのではないかという懸念が一つございます。
 もう一つ、統合の関係で、森林総合研究所のように基礎研究を行っているところは、基本的に3年から5年のプロジェクトを回しながら、短期決戦的に研究を進めてまいりますが、林木育種センターのように4050年というタームで評価していかなければいけないところと、やはりこれも業務の配分というのを考えたときに、非常に難しいのではないかと懸念しているところでございます。
 それから、林木育種センターにつきましては、全国を五つのブロックに分けまして、一つの本所と四つの育種場という組織でやってございます。これは、森林あるいは木というものの特性から、分布は非常に広域的である反面、気象条件ですとか温度、要するに、自然条件に非常に左右されるものでありまして、北海道で育つ木を本州では育種できないというような事情がありますことから、従来からの組織の整理を図りながら、現在、最小限の五か所にまとめたところでございます。
 なお、地方ないし民間への移譲に関しましては、最初に総括審議官からも御説明いたしましたとおり、超長期性という観点、それから、大きな設備投資とリスクを伴うという点、また、国土保全ないし環境保全等の森林の公益的機能を担うという点から、実質的に困難ではないかと思っているところでございます。

 山本臨時委員
 先ほど来、私、市場化テストにこだわっていますのは、多分、日本の市場化テスト法案がどうなるかわかりませんが、もともと市場化テストというのは、要するに、民間の対抗馬なり、民間でこういう受け皿があるかないかにかかわらず、潜在的に、あるいは、自らの組織の中で組織改正をすることによって、最も効果的で効率的な組織を組み直してみればどうなるのかという想定を置いて、そして、現行の業務と比較して、それで差があれば、たとえ対抗馬が現れてこなくても、自ら最も効率的な新形態の方に移行しようという一種の改善運動でございます。
 ですから、これは受け皿があるとかないとか、あるいは、民間で行ってきたところが、どうも胡散臭いから、そんなところ相手にならないという問題ではございません。したがって、とりわけ、この作業施設の場合においては、それを積極的にやっていくことが最も、多分三割ぐらいは効率化になるわけですから、その中で要員の配置も、ほかの農林水産省の中で回していく、あるいは、内閣全体の中で回していくという格好の中で効率化を深めていく。そして、それでもし現行業務がすばらしいものであれば、それはそれでいいわけですから、そういうことの誤解が若干世間にはあるものですから、一言申し上げました。

 田渕臨時委員
 林木育種センターの関係ですけれども、農場の関係で、育種場とブランチを見ますと、以前いただいた資料ですと、岩手県では滝沢村と盛岡市で地理的に非常に近い。そういったところもあると思います。違うところもあると思いますけれども、気候がどうとか、最初からそういう考え方ではなく、もう一度、原点に戻った形で、本来必要なものは何なのか、どこが必要なのかというところを見て、もう一度検討して、御回答いただければと思います。

 富田分科会長
 御質問、御意見、今日は大体よろしいでしょうか。
 それでは、今の最後の質問、簡潔にお答えいただける点ございましたら、どうぞ。

 笹岡研究普及課長
 それでは、林木育種センターでございますが、森林総合研究所の地方組織、林木育種センターの地方組織、それぞれございますけれども、林木育種センターにつきましては、育種の品種開発と苗を育てるというのに一番条件の良いところを今まで選んでやってまいりました。それで、それぞれかなり面積を伴って、そこに木が植わった形で持っておりますので、実際これを動かすとなると大変な費用がかかると承知しております。
 そんなこともありまして、確かに岩手の例は、森林総合研究所の支所と林木育種センターの育種場が近在している例でございますが、むしろほかの場所を考えると、離れているところが多く、なかなか、そこの一つだけをまとめるということも難しいかと考えております。

 姫田畜産振興課長
 市場化テストにつきましては、まず一つは、家畜改良業務が、国としての育種資源を確保しないといけないということがあります。それから、もう一つは、例えば、乳用の種雄牛を作出するにしても、最短で7年間かかるという長期間の問題があります。そして、国としての育種の方向性を確保していくということがございます。そういう面からしますと、まず、市場化テストということではなくて、一部の業務のアウトソーシングを図っていくことが合理化につながるのではないかと考えております。

 富田分科会長
 それでは、御質問、御意見、大体よろしいでしょうか。
 続きまして、水産大学校の見直し当初案につきまして御説明をお願いいたします。
 恐縮ですが、5分でお願い申し上げます。

 井出総括審議官
 では、最後の水産大学校であります。
 我が国の水産業を取り巻く状況ですが、御承知のように、日本周辺の水産資源が減少し、漁獲量が減る一方で、輸入量はかなり高い水準にございまして、自給率が50%台まで低下してきております。
 一方、水産物についても、国民の食の安全に対する意識が高まってきておりますので、平成13年に水産基本法や水産基本計画を制定し、自給率向上を図るとともに、安全・安心な水産物を国民的に安定的に供給することが水産施策の大きな課題になっております。
 こうした中で、国としての役割ですけれども、水産資源を適切に管理し、漁場環境を保全すること、消費者に安全・安心な水産物を安定的に届けること、漁業経営、水産加工業・水産流通業の健全な発展を図ることが考えられます。
 このような漁業生産から水産流通加工販売、さらには、水産政策を含む幅広い見識を持った人材を育成して、漁業、水産関係企業、行政機関等の様々な分野にそのような人材を送り出していくことが重要であります。
 水産大学校は、このような幅広い見識を持った人材を育成することを目的としておりまして、水産関係業界に多数の卒業生を送り出してきております。このため、水産に関する単なる知識の習得だけでなく、水産庁等の行政機関や水産業界の講師等も活用しまして、実学を重んじた教育を行うことにより、農林水産省所管法人として、これからの水産業を担う、いわゆる水産人とも称すべき人材を育成してまいりました。
 こうした中、官公庁の漁業取締船や調査船等におきましては、この水産大学校の卒業生が、船舶の操船技術だけでなく、水産に関する知識、技術を一体的に身につけていることから、欠かせない人材として高い評価を得ております。
 一方、国立大学法人におきましては、10年前には水産関係の学部・学科は八つあったんですが、現在は半分の四つまでに減っております。さらに、2年前には、東京水産大学が東京海洋大学になるといったことで、水産分野の学部・学科は廃止・縮小の傾向にございます。
 また、その内容も、実学というよりは、基礎学理などのアカデミックな教育にその重点を移してきておりまして、国、県の行政機関、試験研究機関、水産業団体のみならず、水産業経営の現場に立脚した人材育成の道が狭まる中、単なる職業教育にとどまらず、実学を旨とする水産大学校の果たす役割について、今後、更に重要性を増していくものと考えております。
 水産大学校の具体的な位置付け、教育の内容についてお示ししておりますが、中ほどにございますように、水産関連分野の就職率は64%ということで、文部科学省所管の大学の水産関係学科に比べても、水産関係の就職率は非常に高くなっております。また、受験倍率5.4倍ということで、業界、受験生から高い評価をいただいているところでございます。
 それから、実学の重視ということで、全学生に乗船実習を必修化するというようなこと、あるいは、水産庁でのインターン研修も行ってきております。
 このような現状を踏まえまして、水産大学校の見直しの方向でございますが、国立大学法人が非公務員であることなどにかんがみまして、組織形態は、特定独立行政法人以外の独立行政法人に変更したいと考えております。
 また、具体的には、水産政策、流通、経営等を重視したカリキュラムの充実や、修士課程の充実、あるいは増加する乗船実習カリキュラムに対応した練習船の効率的・効果的な運用、専攻科の定員規模の見直し等を行うこととしております。
 以上です。

 富田分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの独立行政法人・水産大学校の見直し当初案につきましての御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。

 小幡臨時委員
 水産業の担い手を何とか育成したいという御趣旨はよく分かるのですが、水産大学校という風呂敷を広げておく意味が、どの程度あるのかという観点から申し上げたいと思います。確かに、今、水産業の担い手がなかなかいないという問題はあると思います。ただ、この水産大学校でも、学科を本科、例えば、4年というのを見ますと、水産情報経営学とか食品科学とか、本当の水産だけというよりは、恐らく受験生ニーズを踏まえた形で、なるべく受験生に来てもらうために広げていると思うのですが、逆にそのようにしていくと、本来の意味での、本当に水産業の担い手の育成というのと少し離れてくるのではないかという感じがいたします。
 国立大学法人等でこのような教育機関は減っているとおっしゃいましたが、もし本当に需要があれば、つまり学生にニーズがあるのであれば、また拡大あるいは新設していく可能性もあります。そうすると、ここが独法として、水産大学校という形でお店を広げている意味が本当にあるかということが問われることになるでしょう。予算的にもどうしてもかかりますので、その辺りから、学科の構成を見ますと、必ずしも本当の水産業に特化した特徴になっていないのではないかという感じがいたします。そうすると、これをずっと維持していくのではなくて、廃止、あるいは、国立大学法人への移行などを含めた抜本的な見直しというのがむしろ必要になってくる、そういう時代なのではないかということです。見直していくという記述はありますが、もう少し、かなり抜本的にやらないといけないのではないかという感じがいたします。

 河村臨時委員
 今、小幡委員からお話もあったんですが、やはり各省で、何々大学校というような組織を持たれるときの意義というのは、関連業界に対してどういう役割を果たすかということがすごく重要で、ただ、その役割というのは、時代の変化とともに変わってくるものだと思います。その辺の見極めを、単に、過去、こういう規模でやってきたから、そのまま継続と安易にしないで、きちんと不断に見直しを図っていくことが必要なのではないかと思います。
 私は、まず、いろいろな数字を拝見させていただくと、水産関連分野への就職率が64%といただいた資料に書いてございますが、3分の2もいかない、では、一体残りの方はどういうところに就職していらっしゃるのかお伺いしたい。こういう数字が出てくる現状では、今の規模、今のような内容での体制で続けていくことが果たして妥当かどうか。やはり縮小等も踏まえて、それから、他機関とのすみ分けなどもいろいろ考えて、より抜本的な改革を図るべきではないかと考えますが、その点に関してお考えをお伺いしたいと思います。

 田渕臨時委員
 抜本的な見直しというところでもう一つ、専攻科の定員を見直すということで挙げられておりますけれども、定員は70名ぐらいで、実績は半分以下というデータを前に見せていただいたことがございます。そうしたことを含めますと、見直しだけではなく、本当に必要なのかどうかといったところで、専攻科を廃止して、その必要があるのであれば、どこかに移管するといった形での検討も必要ではないかというのが1点。
 もう1点、「見直しの方向」のところに、4点目で「増加する乗船実習カリキュラム等に対応した練習船の効率的・効果的運用」とございますけれども、具体的に、効率的・効果的運用というのはどういうものを考えていらっしゃるのか、というのを聞かせていただきたいと思います。

 富田分科会長
 それでは、御回答を簡潔にお願いいたします。

 重研究指導課長
 水産庁研究指導課長でございます。水産大学校を担当しておりますので、御説明申し上げます。
 まず、1点目の小幡委員の御質問ですが、担い手の育成関係でございますが、こういう中で、本科4年なり、水産大学校としての意味付けが本当にあるのかというお話でございます。まず、学科の構成については、先ほど、水産情報経営学科、食品科学科のお話があったと思います。この点につきまして、一般的な見方からすると誤解されやすいんですけれども、水産業におきましても、非常に幅広い分野の対応ということで業界が成り立っており、業界需要、もしくは水産業のこれからを担う方々の資質の関係からいたしますと、単なる経営学、経済学に加え、実際の水産業の物の流通というものを踏まえた中で経営的な観点を有した学生が業界から求められております。そういう観点から、水産情報、情報といいますと、流通とか様々な問題を含め、実学に基づいた経営学科を設置することによって、そういう需要に対応する。そういう意味では、新たなニーズに対応したような形で考えておりますし、食品科学科につきましても、これまでの、いわゆる単なる缶詰製造のような製造的な観点から、先ほどから話に出ております安全・安心といったような、今の社会的なニーズに対応した、そういう意味での食品科学、船上での鮮度保持、そういうような観点での学科を強化したという対応をしているところでございます。
 そういう観点で、これまで、いろいろな御指摘をいただきましたように、私どもの水産大学校につきましては、文部科学省の研究教育といった観点、教育の観点のみならず、私どもといたしましては、水産業界の人材育成といった観点で、水産業にある意味で対象を置いた、特化した観点での人材の育成という観点から、こういう学科を設置しております。また、見直しの方向として、昨年からの御意見、また、自己点検等を踏まえ、平成17年度から、新しいカリキュラムも新設等しており、例えば、水産情報経営学科におきましては、水産経営分析論を新設、また、食品科学科におきましては、洋上における鮮度管理の実習を入れる、生物生産学科におきましては、いわゆる増殖先端技術分野への対応を図る等、そういう新しいニーズに応じたカリキュラムの見直し等を行っております。さらに、今後、このカリキュラムの内容につきましても、水産企業として必要となる経営能力等に対応する形での経営管理システム論とか養殖経済論、流通・加工・調査の実習・演習、最近の漁業情勢、韓国、中国とのいろいろなあつれき等も踏まえ、いわゆる国際漁業関係論といった、新しいカリキュラムの検討等も行っているところでございます。
 さらに、インターンシップの実施等を行うことによりまして、そういう新しいニーズに応じたカリキュラムの見直しといったものを実施しているところでございます。
 また、各省庁として持っている中で、時代の変化に合わせて見直しが必要ということは、ごもっともな御意見だと思います。私どもの卒業生の3分の2が水産関係分野に就職しているということで、約64%と申し上げましたけれども、同じ整理でやりますと、国立大学法人では大体3割から5割という意味では、実学ベースということで、水産業界関連へのウエイトというのはかなり高い率でいっていると思います。中期目標での分野的な目標としては、70%を目標としている中、今後は更に努力が必要だと思いますが、そういう意味では、それなりの特色をいかして出せているのではないかと思います。ある意味では、水産庁が必要とする、食糧政策の一端を担う人材育成といった目的には、呼応した対応を図っているのではないかと考えております。
 また、事業見直しで、先ほどの専攻科の関係でございますが、まさに御指摘いただきましたとおり、専攻科を除きますほかの学科につきましては、就職倍率並びに入学時の倍率とその需要につきましては、十分高い評価を得ていると思っておりますが、御指摘のとおり、専攻科につきましては、足して70名の定員のところ、半分の、大体30名程度の状況になっていることは事実でございます。
 こういう中で、私どもとしましても、専攻科の見直しといった観点で、実学教育を重視する観点から、専攻科の学生のみならず、全学生に乗船実習といったものを必修化いたしまして、実際に海の上で様々な、それぞれの学科ごとの対応につきまして、いわゆる現場での実学研修といったものを強化する。
 また、実際に、今いる70名に対しての30数名ということで、定員割れしているところの学生数の増加につきましては、推薦入学の枠を活用しまして、現在、学校回りをする等、努力しております。現在の専攻科の数に比べますと、4年、3年、2年といったところにつきましては、水産に対する動機付け等の指導を行っていることもありまして、アンケート等によりますと、大体40名から50名近い専攻科希望の学生の人数等も出てきておりますので、今後、こういう努力を積み重ねることによって、専攻科の定員につきましては充足を図っていくということでございます。

 富田分科会長
 大事な御指摘が河村委員からあったのは、このような時世に、国費を大量に投入して、いろいろ需要を掘り起こしているというお話ですけれども、その費用の話が、全くございませんが、国民の腹を痛めているという話です。

 河村臨時委員
 行かなかった残りの3割の人たちが一体どうなっているのか。その方たちにも国費が投入されているわけです。そういった問題意識でおりますが、その点に関するお答えをお願いしたいのですが。

 重研究指導課長
 その辺につきましては、いわゆる水産業界でない、ただ一般的な船の運行関係、いわゆる貨物船関係に就職されている方が約3割いらっしゃるわけでございまして、同じく海上保安庁の機関とか防衛庁とか、そういう意味では、水産のところと分類できないところでも、海の資格をいかせるところに就職されていると考えております。

 富田分科会長
 時間も迫っていますけれども、これだけは言っておきたいということを。

 田渕臨時委員
 今の御回答について、専攻科の部分でコメントさせていただきますと、努力して集める必要はあるのか。ニーズがないのであれば、別にやらなくてもいいのではないかと。今の御回答で、かえってそう思ってしまいました。
 練習船の効果・効率的な運用についてお願いします。

 重研究指導課長
 練習船の運用につきましては、先ほど申し上げましたとおり、実際の練習船の運用の方法としては三つございまして、一つは、全学生に対する、要するに、水産学生としての実習という形で使っており、2点目が専攻科でございまして、3点目が、いわゆる研究調査に大学として行う調査に使っております。
 いわゆる実学重視という観点で、今効率化を図っているというのは、特に一番目の全学生に対しての必修とか、学科の学生におきましても、乗船することによって本来の学科の機能が増すところがございますので、そういう観点での機会を増やすといったような形での効率化を図っているところでございます。
 それと、先ほど、私の説明が悪かったんですが、いわゆる就職先といいますか、専攻科のニーズにつきましては、まさに卒業生に対するニーズといたしましては、やはり数倍のニーズで需要が来ておりますので、そういう意味では、社会的ニーズとしては、専攻科の卒業生に対するニーズはまだまだかなりあると理解しております。

 富田分科会長
 田渕委員、小幡委員で、もう時間の都合もありますので、今日は御質問ここまでにしますけれども。

 田渕臨時委員
 練習船ですけれども、使っていくために機会を増やすという方に話が行っている気がいたします。本当に機会を増やす必要があるのかというところから、もう一度考えていただきたい。それから、別に水産大学校だけが練習船を使う必要もないのではないか。航海訓練所でもたしか実習船があったと思います。そういったところと船を共有するとか、もう少し違う形での有効活用も検討の余地があるのではないかと思います。

 小幡臨時委員
 水産関連分野への就職が64%ということですが、水産関連分野の中でも、漁業、養殖業というのは、本当になかなか担い手が大変だろうと思うところですが、それ以外にもかなり広くあるのです。それで、先ほど、ほかの国立大学法人は基礎のほうにシフトしているとおっしゃいましたが、大学は必ずしもそうではなくて、むしろ就職を非常に重視して考えておりますので、新しく学科を新設したいとか、今、水産も含めて、環境とか食、農業、資源などを絡めて、就職につながるようなルートがある実学はどんどん設置していこうという傾向があります。ですから、水産関連分野の本当の現場の漁業をなさる方でない部分については、むしろほかのところでも今後はかなり育っていく可能性はあるのではないかという感じがいたします。そのように間口を広げて、ここしか人材育成できないという言い方は、少しそぐわなくて、ほかのところでも担えるのではないかという変え方も可能ですので、そういう観点からやはり抜本的な見直しを考えていただきたいと思います。

 富田分科会長
 今の点で、これだけは答えておきたいということがございましたら、簡潔にお願いします。

 重研究指導課長
 最後の点でございますが、大学の方向付けにもよりますが、今の水産関係のところは、どちらかというと、研究方向にシフトしたいという方向になっているということが、我々の一つの考え方の背景にございます。
 それから、無理に機会を増やす必要があると考えているわけではございませんが、いずれにしろ、船の運行関係につきましては、かなり各水産関係の大学、ほかでも大体2隻、3隻持って、やり繰りしながら運行している実態にございますので、そういう意味で、我々としても、それなりに効率的に考えているところでございますが、さらに効率的な方法については、当然、次の自己点検等で見直していきたいと考えております。

 富田分科会長
 それでは、ここで質問を打ち切らせていただきます。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中のところを御協力賜りまして、ありがとうございました。当分科会といたしましては、ただいまの委員の皆様に御議論いただきました点を踏まえまして、主要な事務・事業の見直しに関する審議をより深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。また、今日の積み残しの質問もございます。その際には、後日、事務局を通じて照会いたしますので、対応、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、本日予定の見直し当初案に関するヒアリングを終了いたします。ありがとうございました。農林水産省の皆様方には御退席をいただきまして結構でございます。
 それでは、ここで10分ほど、1145分まで休憩をとりたいと思います。

  (休憩)

 富田分科会長
 それでは、時間になりましたので再開いたします。環境省の皆様はお待たせいたしました。
 環境省所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行います。
 最初に、国立環境研究所の見直し当初案につきまして、環境省から御説明いただきます。
 本日は、環境省、桜井審議官を始め、御担当の方々にお越しいただきました。短時間で恐縮ですが、5分で御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 桜井審議官
 環境省の担当審議官の桜井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 国立環境研究所でございますが、昭和49年3月に国立公害研究所として設置され、平成13年1月に省庁再編に伴い、「廃棄物研究部」を設置し、同年4月に独立行政法人国立環境研究所として発足しております。役員3人、職員数274名ということでございます。国からの財政支出額は、17年度で御覧いただきますと、一般会計、特別会計合わせまして105億円という水準でございます。
 次に、「中期目標の達成状況」ということでございますが、国立環境研究所は、環境研究に学際的かつ総合的に取り組む我が国唯一の国設研究所ということで、非常に幅広い分野の研究対象を持ち、理学、工学、農学、医学から社会科学にわたる専門知識を必要とする多様性に満ちた研究所ということでございます。我が国の環境行政の科学的・技術的基盤の提供機関、あるいは、国際的にも環境分野における中核的な機関という位置付けがなされてきているかと思います。
 平成16年度におきましては、5年間の中期目標期間の4年目でございますので、つい先日、環境省に設置しております独立行政法人評価委員会の、4年間を通観する評価も行われたところでございますが、全体としては、中期目標達成に向けて十分な成果を上げており、Aという評価をいただいております。
 それで、業務運営に係る効率化に関する事項の目標達成の状況につきましては、例えば、財務の効率化に関しまして、運営費交付金の業務費の、毎年、少なくとも1%の削減、競争的資金や受託業務費につきまして、年平均で前年度比約15%の割合で増加をしています。
 あるいは、人事に関しましては、任期付職員が占める割合を13%程度という目標を掲げておりますが、16年度末で達成しております。あるいは、環境負荷の削減のための資源・エネルギー利用の節約を図ることで、電気とかガス等の光熱水量の削減目標を掲げておりますが、それぞれ目標を達成している状況かと思っております。
 それから、「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項」の関係でございますけれども、調査研究の評価ということで、国立環境研究所そのものにも評価委員会を設けて、外部の有識者の方々から研究の進捗等についての評価を受けておりますし、また、私どもの環境省の独立行政法人評価委員会でも議論しているところでございますが、それぞれ、重点特別研究プロジェクト、基盤的調査・研究、環境研究基盤技術ラボラトリー、地球環境研究センターという形での活動については、いずれも高い評価を得ているところでございます。
 それから、研究成果の広報・普及につきましても、研究成果のアウトプットといたしまして、学会での発表、あるいは関連学会等での口頭発表の件数を中期目標期間前の1割増を目指すという目標を立てておりますが、実績におきましても、誌上発表1.24倍、口頭発表1.47倍という目標を上回る水準となっているところでございます。
 そのほか、研究成果の広報・普及に関しまして、パンフレットの作成・配布、「国立環境研究所ニュース」、あるいは、分かりやすく研究所の成果を紹介する「環境儀」というような冊子の発行等、ここに掲げております研究成果の広報に努めているところでございます。
 それから、環境情報の収集・整理・提供業務につきましても、EICネットといいます行政、研究者あるいは企業、NGOと幅広い環境情報についてのポータルサイトの運用、あるいは、特に環境技術に特化した「環境技術情報ネットワーク」も開設しております。
 それから、環境GISということで、GIS情報、海も含めて、環境情報をいろいろ、GISの情報と組み合わせてのデータ提供、作成などを行っております。
 以上のような活動をしているわけでございますが、見直しに係る当初案ということで触れさせていただきます。事務・事業の概要としては、環境研究に関する業務、それから、環境情報の収集・整理・提供という二つの業務でございます。
 見直しの方向性でございますが、国際的にも環境分野における中核的な機関であると考えておりますし、また、環境問題が一層複雑化・多様化する中で、国立環境研究所の使命はその重要性を一層増してきているということから、事務・事業について廃止するという要素は見当たらないのではないかと考えております。
 今後の事務・事業の具体的な進め方につきましては、社会的なニーズを踏まえた適切な見直しが必要であろうと考えております。すなわち、社会的、政策的な要請に応える目的指向型の研究に加え、知的研究基盤、あるいは基盤的な調査・研究等、長期的な視点で取り組むべき研究活動を一体となって進めるということが重要であるということでございます。
 また、他の研究機関との役割分担の明確化を図るとともに、引き続き、環境政策に貢献するような研究分野、研究課題への取組を一層強化する必要があるかと思っております。
 また、新しい環境分野、例えば、ナノテクノロジーの環境分野での利用技術のような新しい課題にも果敢に取り組んでいくことが求められていますので、見直し当初案の中に入っております。
 業務運営の効率化は当然、更なる取組を進めるべきでございますし、環境情報の提供も不断の努力を重ねていくことが必要かと思っております。
 後に理由が出てまいりますが、民営化、あるいは地方公共団体への移管ということにはなじまないのではないかと考えております。
 今のような見直しの方向性につきましての理由について説明いたします。環境分野につきましては、科学技術基本計画の重点分野の一つに位置付けられておりますが、次期の基本計画におきましても、引き続き、重点四分野の一つとして位置付けられるという方向になっておりまして、国全体として、環境分野の研究は今後ともますますその重要性が高まっていくと考えております。
 国立環境研究所の研究成果は、従来から、例えば、京都議定書に関する議論、あるいは京都議定書の目標達成計画、生物多様性国家戦略、あるいは循環型社会形成推進基本計画など、環境政策の基本にかかわる政策形成にいかされてきています。また、これは国内のみならず、国際的にも地球温暖化に関しますIPCCの報告書に対する貢献など、国立環境研究所の使命、あるいは役割というのは非常に大きく位置付けられていると考えております。
 そういう意味で、国立環境研究所の事務・事業についての強化・拡充の必要はありますけれども、廃止する要素は見当たらないのではないかということでございます。
 民営化についての議論も、とりあえず整理をいたしましたけれども、政策形成・立案に不可欠な科学的な知見を提供する関係の業務というのは、民営化にはなじまないのではないかと考えております。
 地方公共団体への移管につきましても、地方公共団体にも、環境関連の研究を行っている機関はございますけれども、むしろ国立環境研究所は、それらの地方の研究機関と共同で取組を行うなど、国の環境関連機関との共同研究、これは地方のみではなくて、他の環境に関連するような研究を行っている機関もそうでございますが、「国内外の環境関連研究機関との横断的共同研究やネットワーク化の推進において、先導的かつ中心的な役割を果たしている」という位置付けにあるのではないかと思っております。そういうようなことから、地方公共団体への移管にもなじまないのではないかと考えております。
 さて、最後でございますが、組織形態に関しましては、昨年来の独立行政法人評価委員会での議論なども踏まえまして、非公務員型へ移行することをここで掲げております。従来、国が設置した機関としての公共性・公益性を堅持して、長期的かつ広域的な視点の下で使命を遂行するということから、国家公務員型が適当と考えてきましたが、昨年の当委員会の勧告、あるいは、それを受けました閣議決定などを受けまして、国立環境研究所といたしましても、民間を含めた内外の研究機関との活発な研究交流、あるいは人事交流など、職員採用、雇用における自由度の増加など、役職員の身分を非公務員化することの意義を前向きに評価いたしまして、これらを通じて、国立環境研究所の能力を更に高めるという観点から、役職員の身分を非公務員化する方向で考えたいと思っております。
 なお、この議論を環境省の独立行政法人評価委員会でしたときも、さはさりながら、国立環境研究所の役職員が、今後とも高い使命感とモラルが維持されるよう、関係者において取り組むことが必要だという指摘がなされたところでございます。
 以上でございます。

 富田分科会長
 丁寧な御説明、ありがとうございました。
 それでは、見直し当初案につきましての質疑応答に移りたいと思います。

 黒川臨時委員
 環境問題については、これは21世紀の大問題ということで、国立環境研究所の役割がますます重要になるということは全く分かっております。
 また、この環境問題というのが非常にほかの分野と関連していて、例えば、国土交通省や経済産業省、農林水産省などともみんな関係しているというところで、この国立環境研究所は、いろいろな省庁の独立行政法人との間での役割分担、あるいは連携ということが特に求められる、あるいは、どのように解決したらいいのかというところが注目すべきことだろうと思っております。
 それから、基礎研究と応用研究、あるいは製品化研究というところを考えてみても、実際に実践段階になったところでは、先ほど言いましたように、21世紀は環境でありますから、一般の民間の企業であっても、環境問題を度外視しては、もう存続できないということも民間も分かっているわけですから、製品化研究のところでも、国立環境研究所の役割と民間というところも、どのようにその位置付けをしたらいいのか、ここも非常に大きな問題だろうということは分かっています。
 さて、そういう認識のもとで、現在、国立環境研究所は、非常に研究のニーズが大きくて大変であると。研究員が皆大変で、業務の併任が40%を超えているという状況に至っている。そこでどのように、先ほど言ったような、非常にいろいろな分野との関係があって、連携もしなくてはいけないという状況で、しかも、仕事量は増えている。そこで、併任になっている。では、国立環境研究所は、実際に業務を一生懸命やっているでしょうけれども、あまりにも負荷が大きくなってしまって大変なのではないかと、少し危惧するぐらい大変だろうと思います。
 そこで質問は、先ほど言った業務分担についてでございます。連携もいいんだけれども、業務分担について具体的にどのように考えていらっしゃるか。例えば、他省庁の低公害車実験という業務がございますが、これについて、交通安全環境研究所の方の説明のときにお聞きしたんです。そうしましたら、例えば、自動車の公害を出しているかどうか、あるいは基準のようなものも、交通安全環境研究所も消費者サイドに立ってやるということをおっしゃっていました。ですから、国立環境研究所とかなり似ているスタンスになっているのではないかと思います。連携もするということもおっしゃっていました。そこで、こういうことになると、両方連携なのか、ダブっているのかという問題があります。
 それから、低公害車のところであれば、ガソリン価格の問題もあって、ますますエネルギーの非常に低公害、しかもガソリン消費量の少ない車を出さないと、自動車の企業は生き残っていけないだろうから、実際にやっているわけです。それで、どんどんその成果も上がっている。では、そういうところで、国立環境研究所は何をやるのか。要するに、そろそろ国立環境研究所も、重要なので話は来るかもしれないけれども、そろそろ業務分担をよく考えて、絞っていく時期ではないかと思います。そこで、もう少し、具体的に、国立環境研究所というのは一体何をやっていくのかを教えていただきたい。

 岡本臨時委員
 今の黒川委員の御質問に若干補足的に述べさせていただきますと、私も、環境問題が重要で、国立環境研究所が重要な役割を果たしているということは、おっしゃるとおりだと思っております。では、どうするかということで、一つ気になっておりますのは、環境政策と国立環境研究所の関係をもう少し明確にされた方がいいのではないか。今、黒川委員がおっしゃったことと重複しますけれども。
 それに、これは細かい話になりますが、お金の出方というのが非常に気になっております。運営費交付金でカバーされている範囲、それから、そうではない部分、特に、受託でやられている部分、これ、受託は多分3分の1ぐらいおありになると思いますけれども、その多くが国から、多くは環境省から入っているお金。これが、環境省が考えていらっしゃる政策として、どの部分が本来的な業務として国立環境研究所に期待されているのか。あるいは、そうではないのか。その辺りを、全部重要だというのはよく分かりますけれども、やはり今回の中にもございましたけれども、現場の研究者の方々が非常に大変だと。なおかつ、四割が併任をされていらっしゃるという中で、重要だというのは分かりますが、うまく政策が国立環境研究所の実務に落ちてきていないのではないかと危惧しておりまして、戦略的、重点的という話が出てきたと思うので、その辺りもあわせて、次期の中期目標、中期計画に明確に書かれるべきではないかと思います。当然、5年は非常に長い期間ですから、変更は当然あるんでしょうけれども、現時点でどのように環境政策と国立環境研究所をとらえていらっしゃるかというのを明確に具体的に述べられるというのが、むしろこの国立環境研究所の役割を周知するという意味においても、非常に重要なことではないかと思って質問させていただきました。

 富田分科会長
 それでは、今のお二方の御質問、御意見についてお答え願います。

 桜井審議官
 国立環境研究所が環境という非常に幅広い分野、あるいは複雑多様な分野をカバーしているというのはそのとおりではございます。一方、国立環境研究所の言わば得意分野といいますか、環境といいましても、先ほど、黒川委員から御指摘のありましたような、民間に近い実用化研究は、最近、ようやく、特に温暖化対策などでは、技術の実用化に近いところにも、もう少し力を入れなければいけないのではないかという国立環境研究所の方向性もございますが、従来、どちらかといえば、基礎的な研究を中心にやってきた研究所でございます。
 その中で、例示としてお話にありました低公害車の実験のようなものでございますけれども、これは外見上見ますと、低公害車の排ガスの測定をするような、同じようなことをやっているのではないかという御指摘かとは思いますが、例えば、国立環境研究所におきましては、まず一つは、環境省が排ガスの規制値を決めるという重要な政策的な役割を担っておるところでございまして、もちろん規制値自体は、自動車メーカーが測って出してくるわけですけれども、測定の方法ですとか、いろいろ細かいところにつきましては、国側で基準を決めるところが多々ございます。そういったところは当然、環境省の役割において実施しなければならないところだと思いますし、また、排ガスの規制につきましても、新たな課題、従来NOXPMに対する規制を行ってきておりますけれども、PM規制の中でも、PMというのは粒子状物質ですけれども、粒子状物質の非常に細かいナノレベルの粒子の健康影響が今後問題になるのではないかという研究者からの懸念もございます。
 そういう、特に先進的な部分につきましては、これは国立環境研究所で対応するといいますか、国立環境研究所が取り組む必要がある分野であるかと思っております。個別には、そういった意味で、一見、似たようなことをやっているのではないかという部分も、研究課題、研究の内容において十分分担を図っていくということが必要ではないかと思っております。
 岡本委員からの御指摘の、お金の流れを見ると、環境省から出ているものが多いので、一体どういう考え方で政策的に反映させるのかということでございます。国立環境研究所の政策反映という意味で、温暖化対策、あるいは循環社会形成に当たっての国立環境研究所の研究成果の活用というようなことでございますけれども、基本的に私ども、国立環境研究所は、もちろん政策も短期的な政策というより、中長期的な政策を特に形成する際の重要なリソースであろうと考えております。
 そういう意味では、これは国立環境研究所とも常々、各部局がいろいろな形で情報交換を行っておりますけれども、今、政策的に、特に国立環境研究所のキャパシティーから見て必要なもの、あるいは、国から必要としている研究分野、それと、国立環境研究所側のキャパシティーを見ながら、どういったところで仕事をしてもらうか、具体的には、委託という形で、それが行われていくわけですけれども、それを常々意見交換、情報交換をしながら行っているつもりでございます。
 現場におきまして、非常に大変だという声があるというのも、私ども、もちろん承知しておりますが、そういった意味での、本当に国の政策として必要な分野に的確に応えられるような国立環境研究所の研究分野というものを、特にこれから、次の中期計画を作るに当たりましては、その点は十分考慮してまいりたいと思っております。

 富田分科会長
 あと、質問でありましたのは、運営費交付金と競争的資金供給との関係ですけれども、それはどのようになるんですか。まだお答えいただいてなかったのですが。

 桜井審議官
 運営費交付金と競争的資金、あるいは受託研究という形でございます。中期計画ももちろんございますけれども、政策的な必要から、年度予算の中で、運営費交付金以外にも受託研究でお願いをする部分がございますし、あるいはまた、国立環境研究所側で、競争的資金の場合、課題を提示した場合、是非こういうのをやりたいという形で出てくるものもございます。
 そういった意味で、運営費交付金は、御覧いただきますように、基本的には、経常的な経費も含めて、ほぼ横ばい、ないし若干の減の形で推移をしているわけでございますので、それ以外のところにつきましては、国立環境研究所としても積極的に、特に競争的資金の獲得など、研究所独自の研究を含めて進めていきたいという考えがございます。そこは年々の予算の配分の中で、国立環境研究所がそういった、きちんとした研究課題、あるいは、その体制を整えているものについては、なおかつ、競争的資金の課題に合うようなものについては、国としてもそういったところに配分していくということだろうと思います。

 稲継臨時委員
 国立環境研究所の重要性については十分認識しているつもりですが、他方で、先ほど、キャパシティーの問題とかいろいろおっしゃいました。今後は選択と集中をやっていく必要があると思いますが、資料で、「現中期計画における成果や社会的な要請等の変化を踏まえ、これまでの研究課題の最適化が求められる」と書いておられるんですけれども、これを具体的に、今どのようにやっているのか、そして、どういうプロセスでやっていくのかということを明らかにし、最終的には、国民が納得する形でそれをお示しいただく必要があるのではないかと思います。

 黒川臨時委員
 それでは、もう少し具体的に、先ほどの話の続きですけれども、低公害車の問題、一つの例だったんですが、それで、今、そちらからお答えになったようなことを、そうだろうなと思っていたので、あらかじめ、一昨日、交通安全環境研究所にお聞きしておきました。そうしたら、交通安全環境研究所も共同でやりたい、連携してやるというようなことをおっしゃっていました。ですから、スタンスは似ているということで、国立環境研究所は違うということではどうもなさそうだということに気がつきました。
 それから、例えば、シンクの問題ですけれども、これは今日お聞きしていたところで、森林総合研究所で、もっと温室効果ガスの固定を強める研究をやっていると言っておりました。それから、生物の保存に関する業務という点でも、今日も少し遺伝子の問題が出てきたと思いますけれども、それ以外に、産業技術総合研究所、製品評価技術基盤機構、あるいは理化学研究所といったところでもやっていると。
 それから、循環型社会構造に向けた、ここも産業技術総合研究所ももちろんやっているし、NEDOもやっている。国立環境研究所は、いろいろなところと関係しているので、いろいろな研究もやっているわけですよね。そこで、今、稲継先生がおっしゃったような選択と集中ではないんですけれども、しかもキャパシティーはそんな大きくできないわけですから、この後、どういうところに重点化していくのかと。もっと連携を深めていって、みんなと関係していってしまうのか、あるいは、国立環境研究所独自のものとして、ここをやるんだと。ほかのところと折り合いをつけるといいますか、そういうときに来たのではないかと思うわけで、もう少し具体的に教えていただきたいということです。

 桜井審議官
 最適化を図るプロセスという意味では、今の中期計画の見直しをして、2期目の中期計画の策定作業というのをこれからやるわけでございますので、その中で明らかにしていきたいと思います。当然、その中に、今、黒川委員からの御指摘のような、例えば、国の研究機関でも、それは農林水産省関係でも国土交通省関係でも、あるいは経済産業省関係でも、それぞれ環境の側面というのはありますし、そういった研究をしておられるというのを、私ども十分承知しております。
 私、先ほど、低公害車の例の中で、規制値の測定の方法、あるいは、新しい課題と申し上げましたのは、決して連携を否定しているわけではございません。これはやはり研究機関の特性だと思うんですけれども、霞が関の役所とは違って、いろいろな研究機関にいろいろな能力を持った方がいらっしゃるわけです。実際には、特に競争的資金などでも典型的にあらわれますけれども、それらの機関と一緒に、共同して研究を進めようとしています。当然、我が国内におけるある研究テーマの最高の人材を集めて研究を進めるというのは、一番成果に近づける方法だと思います。それは、国立環境研究所のこの人がやるから、ほかの人は知らないと言ってやっているのではなくて、研究者の場合には、それぞれ横を見て、自分たちと一緒にできる人、それはもちろん国の機関だけじゃなくて、大学も民間も含めてですが、そういった形の連携というのは、今後ますます強化をされていくと考えております。
 ただ、一方で、御指摘のありました、その中での選択と集中という議論も当然ございますので、そのあたりは、次の中期計画に向けて、本当に大きな課題だろうと思っております。

 岡本臨時委員
 お金のことにこだわって恐縮ですけれども、運営費交付金は削減に努めるべし、競争的資金は獲得すべしということで目標を達成していますということを書いてあるんですけれども、やはり競争的資金の場合であっても、獲得した後、いかにそれを効果的、効率的に使って、どういうアウトプット、どういうアウトカムを出してきたかというのが非常に重要なので、その辺りの意識というものも、そういうふうに思っていらっしゃるとは思いませんが、改めて、念のために、そうでないだろうというようなことを申し上げておきたいと思います。

 富田分科会長
 何か、ぜひお答えしなければならないという点について、お願いいたします。

 桜井審議官
 先ほど来申しておりますように、国立環境研究所も次期中期計画を策定する時期に入っております。また、今日いただきました御意見を十分斟酌しながら検討を進めてまいりたいと思います。また、その過程でいろいろ御指導をいただければと考えております。

 富田分科会長
 御意見、御質問、大体よろしいでしょうか。
 それでは、時間の都合もありますので、ここで質問を打ち切らさせていただきます。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれましては、御協力賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、ただいま御議論いただきました点も踏まえまして、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は、時間の関係で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれませんが、その際には、後日、事務局を通じて照会させていただきますので、御対応の方、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 環境省の皆様方には御退席をいただきまして結構でございます。ありがとうございました。
 続きまして、今後の予定等につきまして、事務局より報告事項があります。御説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 次回の本分科会の開催予定でございますが、10月中下旬を予定しております。その際には、各ワーキンググループにおける検討状況の報告、それから、政府の行政改革推進本部に置かれる有識者会議等で議論が行われていれば、その状況の報告等を行いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 ただいまの連絡事項につきまして、御質問などございますでしょうか。(「もう一度言っていただけますか」の声あり)どうぞ、もう一度。

 新井評価監視官
 10月の中下旬ということで考えております。

 富田分科会長
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日、そして、今週、御多用の中御出席を賜り、ありがとうございました。

  (了)




ページトップへ戻る