会議資料・開催案内等



政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会議事録



  1.  日時 平成18年4月4日(火)13時30分から16時15分


  2.  場所 法曹会館 高砂の間


  3.  出席者
    独立行政法人評価分科会所属委員)
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、森泉陽子独立行政法人評価分科会委員、縣公一郎、浅羽隆史、阿曽沼元博、井上光昭、梅里良正、岡本義朗、梶川融、河野正男、河村小百合、黒川行治、黒田玲子、田渕雪子の各臨時委員
    政策評価分科会所属委員)
    新村保子委員
    総務省)
    福井良次行政評価局長、伊藤孝雄官房審議官、渡会修行政評価局総務課長、新井豊評価監視官、榎本泰士調査官、岩田博調査官、加瀬徳幸調査官

  4.  議題
    (1)  独立行政法人の事務・事業に関する府省ヒアリング(内閣府、厚生労働省)
    (2)  報告事項


  5.  配布資料
    (1)  内閣府説明資料
    (2)  厚生労働省説明資料



 富田分科会長
 それでは、時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日の分科会は、独立行政法人の事務・事業に関する府省ヒアリングの一環といたしまして、内閣府所管1法人及び厚生労働省所管3法人の合計4法人の事務・事業等に関するヒアリングを行います。
 1法人につきまして説明を10分以内、そして質疑は15分程度を予定しております。
 このヒアリングは、今後、平成18年夏を目途に取りまとめられる政策評価・独立行政法人評価委員会としての見直し方針の検討を行っていく上で、非常に重要な要素であると考えておりますので、委員の皆様の御協力を何とぞよろしくお願いいたします。
 では、初めに、事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 それでは、本日から4回の日程で、平成18年度見直し対象としております23の独立行政法人所管府省から御説明を受け、ヒアリングを行いたいと思います。
 本日は、内閣府所管の北方領土問題対策協会、それから厚生労働省所管の福祉医療機構、労働政策研究・研修機構、雇用・能力開発機構、合わせて4法人についてのヒアリングを行いたいと思いますので、皆様よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 では、最初に内閣府所管の北方領土問題対策協会の事務・事業につきまして、ヒアリングを行います。
 本日は、内閣府黒羽参事官始め御担当の皆様にお越しいただきました。
 まず、法人の事務・事業の概要について10分程度で御説明をいただきます。その後、質疑応答を行いたいと思いますので、それではよろしくお願いいたします。

 黒羽参事官
 内閣府北方対策本部参事官の黒羽と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料は、御手元の資料1ということで、まず1枚目をめくっていただきまして、独立行政法人北方領土問題対策協会の概要という資料で、協会の概要について御説明させていただきます。
 この独立行政法人は、事務局が東京都にございますが、札幌の方にも事務所がございまして、その二か所に所在しているというものでございます。
 根拠法は、平成14年に作られました独立行政法人北方領土問題対策協会法という法律でございます。
 設立は、1510月1日でございます。
 沿革を申し上げますと、当時、沖縄など南方地域の調査研究あるいは援護等を行っておりました南方同胞援護会という特殊法人が昭和32年に設立されていたわけでございますけれども、この特殊法人に北方地域を対象として同様の業務を行わせるということで、業務の付加が昭和34年に行われました。さらに昭和36年に旧漁業権者法に基づく援護のための融資事業を行う北方協会という特殊法人ができました。そして、昭和44年に、南方同胞援護会の北方関係の業務と北方協会の業務全てを継承する法人として、特殊法人北方領土問題対策協会ができたところでございます。
 それで、去る平成1510月に特殊法人等改革に基づきまして独立行政法人北方領土問題対策協会という現在の形になったわけでございます。
 役員につきましては、常勤の理事長が1名、理事は6名、うち1名は常勤の理事になっております。それから、非常勤の監事が2名、職員は19名でございます。
 北方領土問題対策協会の事業の目的でございますけれども、一つは、北方領土問題その他地域に関する諸問題について国民世論の啓発、調査及び研究を行うとともに、北方地域に生活の本拠を有していた者に対し援護を行うことにより、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の解決の促進を図るということです。
 それから二つ目は、昭和36年にできました北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律に基づきまして、北方地域旧漁業権者等その他の者に対し、漁業その他の事業及び生活に必要な資金、すなわち事業資金と生活資金、これを融通することにより、これらの者の事業の経営と生活の安定を図るということ。これら二つの目的を課せられております。
 業務につきましては、まずは北方領土問題等に関する国民世論の啓発、それから北方領土問題その他の北方地域に関する諸問題についての調査研究、それから三つ目は、元島民、北方地域に生活の本拠を有していた者に対し必要な援護を行うこと。それから附帯業務。そして五つ目としましては、旧漁業権者法に基づいた貸付業務を行うということでございます。
 沿革を御覧になってお分かりになりますように、北方領土に関する諸問題について一括して取り扱うという目的でこの協会は作られておりまして、調査研究、援護、それから貸付、広報啓発、全部一体でこの法人で行うというような役割を課されております。
 戦後60年も経過しているのにまだ必要なのかというような話もございますけれども、北方領土が返還されていないという状況は依然変わっておりませんし、また関係の方々からいろいろな事柄について補償要求等の声もまだ強いため、この法人がしっかり対応を行っていかなければならないというような状況でございます。
 次のページ、人員、支出、収入でございます。勘定を別にすることになっておりまして、一般業務勘定と貸付業務勘定と二本立ての勘定になっています。18年度予算ベースでございますけれども、人員につきましては、一般業務勘定が7人で7億円の予算。これは、運営費交付金という形で出ております。それから、貸付業務勘定につきましては、人員12名、支出については2億7,900万円、そのうち国からの補助金は1億9,200万円、2億円弱というものでございます。
 組織図の方を御覧いただきますと、事務局として総務課と業務グループ、これは東京にございます。それから、札幌事務所の方は、管理グループ、融資グループということで、主に融資の事業をやっています。それから、根室には連絡所を置いてございます。
 業務及び予算等につきましては、以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました北方領土問題対策協会の事務・事業につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言願います。どなたかどうぞ。では、井上委員どうぞ。

 井上臨時委員
 それでは、幾つか質問させていただきます。
 まず1点目といたしまして、貸付けとして実施されている生活資金及び事業資金ですが、その事業資金は、現在、他の金融機関と利率がほぼ同じであるという中で、この事業資金の貸付けを行う理由というものはどのように位置付けられるのか。それが政策目的及び法人の目的にどのように合致しているのかという点について御説明いただきたいと思います。

 黒羽参事官
 沿革を申し上げますと、当時、旧漁業権に代わりまして新しい漁業権になったときに、本土の漁業権者に対しては補償を行ったわけですけれども、北方領土は既に事実上ソ連に占拠されておりまして、漁業権は消滅していたという判断の下に北方地域の漁業権者に対しては補償が行われなかった。その方々に対する補償要求が行われたということ。それから、元島民の方に対しても、やはり特別な状況にあるということから、何らかの補償、例えば財産権の不行使に対する補償などが求められておりました。これに対応するために、直接お金を配るわけにはいきませんけれども、10億円の国債を基金にして、これをもとに貸付けを行い援護するということで始まった制度でございます。
 そういう意味から、旧漁業権者や元島民の特別な事情といいますか、特別の地位に着目して、お渡しした10億円の中で、一般よりも有利な形で貸付けを行うということが始まったわけでございまして、当初定められました利率は、大体一般の金利の8割程度でした。その後昨今の低金利の中で、一般の金利とあまり変わらないものも出てきておりまして、これを踏まえ現在適切な金利にしようということで昨年から見直しを行っているところでございます。なお、あくまでも援護の一環というような言いぶりをしておりますけれども、生活が苦しいからといった意味合いでお貸ししているものではなくて、特別な地位にあるので低利な融資で優遇しましょうというような考え方から始まりまして、今も続けられている制度でございます。

 井上臨時委員
 今の御回答の中で、融資を行うのは生活が苦しいからではないんだというようなお話がございました。そのような、実際生活が苦しいのではなくて、いわゆる援護措置というような意味合いだというような中で、事業資金貸付とか生活資金貸付が行われているんだというようなところの元資料というか、データというか、今後、そういうものについての説明及び提供をお願いしたいと思っております。

 黒羽参事官
 貸付けを受けている方の生活の状況とかを示せるような資料ということでございますか。

 井上臨時委員
 貸付金の内訳ごとに分類して、当該貸付けが生活に困っておられる方の救済のようなものではないというようなことについて、御説明いただければというふうに思っております。

 黒羽参事官
 了解いたしました。

 富田分科会長
 他にいかがでございましょうか。どうぞ、樫谷委員。

 樫谷分科会長代理
 北方領土問題の重要性というのはよく承知はしているんですけれども、ただもう戦後60年ということであり、北方領土問題の解決という国の政策目的と貸付業務とは今日でも関係があると言えるのでしょうか。当初は確かに大変なことが起こって、それに対する相当の支援をするというのは十分理解できるんですけれども、戦後60年経って、先ほどの話では元島民の方が生活にそれほど困窮されているわけではないと。
 それぞれの方によって状況はもちろん違うんでしょうけれども、一般的に言ってそうだというときに、他に機関がなければ別ですけれども、他に機関があるのであれば、当該貸付業務をこの協会で継続をしていかなければいけないという理由が、私はよく理解できないんですね。他のところでやっていただけばいいではないかと。今度、新政策金融機関もできるという話ですし、住宅金融公庫もいろいろ整理されますので、その中でやればいいのではないかと私は思うんです。どうも継続してこの協会でやらなければいけないという必要性、それについてまだ理解できておりませんので、明確な御説明をいただけたらと思います。

 黒羽参事官
 制度の趣旨については、御理解いただけるものだと思っております。ただ、その事業を北方領土問題対策協会がやる必要があるのかというところでございますけれども、やはり私どもが考えておりますのは、この北方領土問題対策協会は切り離された別々の事業をやっているわけではなくて、啓発等もやっておりますし、北方領土問題解決のために一体的にいろいろな事業をやっているということで、やはりそういう法人が元島民に対する融資などもあわせて行うことがふさわしいのだろうということでございます。元島民の立場というのは、特別な事情にあるということと、もう一つは返還要求運動を進めていく中核になっていく存在であることから、これをやはり国として援護していく必要があるということで、融資以外にもいろいろな連携をとって施策を進めているという状況にありまして、そういった状況からも一緒に一体として行うことが適当であろうと考えているのが一つでございます。
 実際にこの背景について、先ほども申し上げましたけれども、関係者からの補償要求等の声も強いところがございますし、融資の制度も中身を時々見直しておりまして、法律そのものも、例えば平成8年には議員立法でしたけれども、改正が行われたという経緯もございます。非常にデリケートな問題といいますか、政治問題でもありますので、そういったものを一体として引き受ける法人が必要だと考えている次第です。

 樫谷分科会長代理
 今の御説明だけでは、私は十分納得はできないんですが。といいますのは、非常にコストが掛かっているんですね。貸付けの1件当たりの費用で試算しますと、1件当たり82万円も掛かっている。何でこんなに1件当たり費用を掛けないといけないのかというようなことも、どうもよく分からない。つまり非常に非効率な融資になっているのではないかと。融資そのものについては、いろいろな一定の支援を、どこまでやるべきかということは、それぞれ見解の相違があるかもしれませんが、やるとしても非常に効率的にやっていただかなければいけないわけです。同じお金であれば、もっといろいろ効率的にやらなければいけないと思いますが、このコストをこれだけ掛けなければ審査ができない、あるいは貸付けができないという理由はどこにあるのでしょうか。

 黒羽参事官
 元々貸付けの全体規模が小さい、あるいは貸付対象者の範囲が全国均等でなくて偏っているとか、そういったことから非効率な面もあります。けれども、それよりも制度設計そのものが、元々10億円では足りませんので、長期借入れをしてそれを元に貸付けを行う形になっており、その際に借入金利よりも低い金利で貸し出すということで、逆ざやが生じるというようなことになっておりまして、お金が掛かるというのはその面ではやむを得ないと思います。
 ただ、効率性が、民間なりあるいは国民生活金融公庫とか、そういうところに比べると確かに非効率、1件当たりのお金とか掛かっているのは確かだと思いますので、今もできるだけ効率的な融資ができるように業務経費の縮減や一般管理費の節減等に努めているところでございます。やむを得ない部分はあるにしても、おっしゃるとおり改善すべきところもあろうかと思いますので、今後ともその辺は努力していきたいと思っております。
 ただ、貸付対象者は、北海道の東部、根室とか、あるいは富山県とかにも散っているわけですけれども、民間の金融機関で一括して業務を引き受けて、それが個別の対象者のところまで、全部の出先の各市町村で対応できるのかどうかというのはよく分かりません。もし別の機関でしていただくとしても、やはりかなりコストは掛かってくるのではないかという気はいたします。

 樫谷分科会長代理
 しつこくて申し訳ないんですけれども、これはコスト削減については、やはり私など民間人から見れば、明らかに掛け過ぎだと思います。いろいろな事情は分かりますが、明らかに掛け過ぎだと思います。人件費の比率も含めて結構高いんです。同じ予算でやるならば、やはり本来の目的である啓蒙宣伝活動に特化して、そして集中的にお金を使っていただくということが、一番効率的になるのではないかと思うので、この事業貸付について、何も協会でやらなくても、他の金融機関があるというのであれば、是非そこでやることも含めて、検討していただきたいと思います。
 それから、あと啓発活動について、特殊法人等改革推進本部参与会議の方で、実施方法について見直したらどうかというような指摘がされたり、その経費を掛けないやり方があるんではないかというような指摘があったと思うんですが、具体的にはどのような効率化が、この指摘以降今まで図られてきたのか、何か御説明していただけますでしょうか。

 黒羽参事官
 直接協会の方からお答えしてよろしいでしょうか。

 井上理事長
 理事長の井上と申します。どうもありがとうございます。ただいま啓発の方についての御質問でございました。参与会議での議論は承知しておりませんが、今、啓発の方をどのような形でやっているかということについて御説明して、足らなければまたお答えするということにしたいと思います。
 啓発の関係については、大きく二つに分かれています。一つはボランタリーの意志のある方々に集っていただいて、各種の啓発活動をするという動きであります。これにつきましては、北方領土返還要求県民会議という組織が全県に設置されておりますが、そこの活動を我々が支援するあるいは方向付けをするということでやっています。
 最近の県民会議との関係でのトピックスといいますか、重点は、学校教育できちんと取り上げてもらいたいということで活動しています。御案内かと思いますけれども、平成4年の学習指導要領の改正で、公民、社会、歴史、地理というところで領土、主権ということをきちんと教えることとされました。そして、日本には北方領土問題がある、そしてそれについてロシアに対して要求をしているということをきちんと教えなさいということが、平成4年の中学の指導要領で書かれました。そういう意味で、中学校の先生たちは、この問題をきちんと教えなければいけないわけですが、実は知識がない、あるいは政治的なにおいがするので学校で教えにくい、質問が来たときに答えるのがなかなか難しくて困るというようなことで、躊躇しているのが実態でございます。そういうことで、この学習指導要領が改正されました平成4年から、全国の中学の先生たちに根室に集まってもらって研修会というのを10数年続けてきております。この卒業生といいますか、この研修を受けた人たちが大体700名程度いるわけですけれども、その先生たちに聞くと、根室に行って研修を聞いたときには重要な問題だし、学習指導要領にも書いてあるからやらなければいけないと思うけれど、いざ自分の学校に帰ると同僚の先生に自分と同じ思いを伝えることが大変難しい、あるいは校長先生、教頭などからは、やはり政治的なにおいがするではないかというふうなことを言われて、活動が非常にやりにくいという話があります。
 そこで、3年前ですが、平成15年からこういう研修に来た先生たちと、先ほどのボランタリーで作っています県民会議とが協力して、より効果的に、より実質的な学校教育ができるような体制を作ろうということで、北方領土問題教育者会議というのを作っております。皆さん大変、先生側も県民会議側も真剣に取り組んでいまして、現在、23県で設置されています。それで、学校教育での取組も、これから期待できるのだろうと思っています。そんな活動を一つしております。

 樫谷分科会長代理
 今の御説明はそういうことかもしれませんが、理事長は参与会議の指摘を承知していないということなんですが、私も富田分科会長も参与会議のメンバーですし、指摘のことは覚えております。内閣府の方からは何も伝えてらっしゃらないんですか。指摘があったんだということをよく御理解していただいた上で、理事長が先ほどおっしゃっていたようなことを、より効率的に行っていただきたいと思います。

 黒羽参事官
 失礼いたしました。よく勉強させていただきます。

 富田分科会長
 ほかにいかがでございましょうか。井上委員、どうぞ。

 井上臨時委員
 貸付制度について、これはいわゆる援護措置によって行われているものというような位置付けのほかに、いわゆる啓発活動につながるものであるというような御発言がありました。貸付けの制度が啓発活動にどのようにつながるのかということについて御説明いただきたい。と申しますのは、事業資金貸付とか生活資金貸付というようなものが、援護措置だということでしたら、この法人の目的などに照らして疑問に感じる部分があります。一方、それと啓発活動をつなぎ合わせてリンクさせていく場合に、どのような位置付けでリンクが成り立つのか。私自身としては、これは別物ではないかと思います。要は、貸付けというような制度によって啓発活動がこのように進んでいるというようなことについては、政策的な効果というものは認められないのではないかという疑念があります。それについて反論を含めて御説明いただければと思います。

 黒羽参事官
 御説明が舌足らずだったと思います。貸付けを行うことによって直接に啓発活動に結び付くというものでは当然ございませんけれども、こういった貸付制度などを用意いたしまして、元島民や旧漁業権者の方々に対して誠実に対応していくということが、元島民等が返還運動の中核となって動いてくれていることに繋がっているというような面もあるという意味でございまして、先生おっしゃったように貸付制度が啓発に直接寄与しているというものではございません。

 富田分科会長
 では、梶川委員、お願いします。

 梶川臨時委員
 援護という意味合いでの貸付業務で、実際に金利が優遇されていることに関して、利子補給に該当するコストというのはどのぐらいになるのか。また援護としての優遇というと、金利を優遇することか、あるいはほかでは借りられない人、本来あまり返ってきそうもない人に貸すという、信用不安をカバーすることだと思うんですが、いわゆる不良債権になってしまうということに関しては、普通の信用状況よりはるかに悪いのかどうか。どちらでより援護的色彩を強めて、そのコストをどうお掛けになっているのか、お聞きしたいんですけれども。

 黒羽参事官
 援護としての優遇については両面あると思いますが、どちらかと言えば、金利面の優遇ということになろうかと思います。利子補給につきましては、16年度決算ベースでいきますと、1,600万円ぐらいがコストとなります。今、非常に低金利ですので金利差があまりないというところでございます。15年ほど前は、かなり利子補給の部分が大きかったんですけれども、現在はあまり大きくないという状況でございます。

 梶川臨時委員
 そうすると、貸付業務の支出全体では、補助金等で2億円、自己収入も含めれば2億8,000万円。補助金だけでも2億円なんですが、その2億円のコストのうち1,500万円程度が、いわゆる島民に還元される、直接的な利子補給としての意味で、援護の意味があるということでよろしいわけでしょうか。

 黒羽参事官
 それは調達金利との差ですし、調達金利も10億円の基金を担保に入れて調達している有担保の部分については比較的安いとか、そういう点がありますから利子補給額がそのまま援護の意味ではないと思われます。

 梶川臨時委員
 ですから、調達金利が安ければ、それは公的な援護を島民にされているということとは違う部分がございますよね。

 黒羽参事官
 ただ、島民の方が一般の金融機関から借りれば、もう少し調達金利など高くなりますから、北対協が貸付を行うことで更に効果はあるのかなと思いますけれども。

 梶川臨時委員
 機会コストとしてはという意味ですよね。でも、それはこちらの協会がということではなくて、その公的な目的を達成するのは、政府に関与した何らかの金融機関であれば同じコストですよね。

 黒羽参事官
 そうですね。

 梶川臨時委員
 はい。分かりました。

 富田分科会長
 どうぞ、森泉委員。

 森泉委員
 1点お聞きしたいんですが、これは元島民の方への貸付けなんですが、それのみですか。それとも子供、孫に至るまで貸付けの範囲は、どの辺まででしょうか。

 黒羽参事官
 これは、二つございまして、旧漁業権者に対する貸付けと元島民に対する貸付けがございます。旧漁業権者に対しましては死後承継という制度がありまして、お子さんや父母、配偶者のうち1人については対象になる可能性があるということでございます。それから、旧漁業権者、元島民の両方にですが生前承継という制度がありまして、引退して、隠居されて子供や孫に養ってもらっているようなときは、生きている間にその方を指名して、権利というのかどうか分かりませんけれども、融資を受ける資格を承継できるようになっておりますので、その方までは広がっております。

 森泉委員
 その方たちも、住宅資金も低利で受けられるわけですよね。資料をお示しくださるときに、元漁民あるいは元島民の子供に当たるとか、あるいは元島民、漁民のその方自身であるかという資料も付けていただければと思います。

 黒羽参事官
 了解いたしました。

 富田分科会長
 大体、よろしいでしょうか。では、梶川委員。

 梶川臨時委員
 資料のお願いですけれども、審査の際の要するに採択率みたいなもの、申込に対してどのくらい実際に審査で採択されておられるかという点について、できれば資料に入れていただければと。

 黒羽参事官
 了解いたしました。

 富田分科会長
 それでは、時間の都合もありますので、ここで質問を打ち切らせていただきます。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれましては、御多忙の中、大変ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、ただいまの議論なども踏まえまして、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議をより深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、本日は多数質問も出ておりますので、その資料を取りそろえていただきますとともに、時間の都合で十分な御質問ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には、後日事務局を通じまして照会したり、必要に応じてワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には御対応をよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。内閣府の皆様方は、御退席いただいて結構でございます。

 黒羽参事官
 どうもありがとうございました。

 富田分科会長
 それでは、ここで5分程度休憩をとりたいと思います。2時13分ごろに始めましょう。

(休憩)

 富田分科会長
 それでは、時間になりましたので、再開いたします。
 厚生労働省所管3法人の事務・事業につきましてヒアリングを行います。
 本日は、厚生労働省矢崎課長始め御担当の皆様にお越しいただきました。
 最初に、福祉医療機構の事務・事業の概要について10分程度で御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。それでは、時間厳守でよろしくお願いいたします。

 矢崎福祉基盤課長
 厚生労働省の福祉基盤課長の矢崎でございます。よろしくお願いいたします。
 では、お手元資料ナンバー2−1独立行政法人福祉医療機構についてというペーパーに沿って御説明申し上げたいと思います。
 まず、おめくりいただきまして1ページ目でございます。福祉医療機構の役割ということでございますが、福祉医療機構は、国の政策と連携いたしまして貸付事業を中心に、その右下の方に各事業を掲げさせていただいておりますが、福祉医療にかかわります事業を総合一体的に運営しているという組織でございます。
 本日、事前に御関心事項をいただきまして、そのうちの福祉医療の貸付けをという話をいただいておりますので、それを中心に御説明させていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして2ページでございます。まず、福祉貸付事業につきましては福祉の振興を図るためにいろいろな福祉関係の施設への融資を行うというものでございます。国といたしましても、少子高齢化の中でいろんな施策の展開をやってきております。ゴールドプランというのは、高齢者関係の施設サービスを充実させていこうというプランでございますし、エンゼルプランというのは、少子化関係のいろいろな事業でございます。更に障害者のプランもあり、こういったものに沿って施設整備等を進めてきております。また、直近の動きで申し上げますと、昨年介護保険法の大改正を行いましたし、去年の秋には障害者関係の抜本的な法律改正を行った、そういうものに沿って福祉医療機構の融資も政策にのっとって展開をしているということでございます。
 この福祉医療機構での貸付けでございますが、また後ほど御説明いたしますが、そういった施設整備に対しまして、福祉分野でいいますと20年という長期の、そして固定の、そして低利、これも財投金利をベースにしまして、そういった長期、固定、低利の融資を行うことによって、こういった施設整備を進めているということでございます。
 貸付けの状況でございますが、2ページの左の方に直近の貸付残高なり契約額の推移をお示ししてございますが、見ていただくとお分かりいただけますように、こういった少子高齢化に備えるということで、増加傾向にございます。
 具体的な貸付残高の方が右側の表でございます。16年度末でございますが、トータルで1兆数千億円というような貸付残高になってございます。分野別に見ますと、一番上でございますが、老人福祉というのが一番多うございまして、1兆円弱です。それから障害、これは分野別に載せてございますが、身体の方、知的の方、精神の方、これら障害分野を合計いたしますと、ここで1,400億円、それから保育所等の児童関係で1,000億円というような状況になってございます。
 それから、整備費というのがございます。施設設備を作っていきますには、国の補助金、それから自治体の補助金というのがかなり高率で出ております。それに自己負担の部分について福祉医療機構の融資を行っていくというのが基本スキームでございます。
 施設整備費については、そこに13年度からの状況を載せてございます。国の整備費というのは、その年度、年度の補正予算の動きで大分大きな影響を受けます。16年度で申し上げますと、1,500億円ぐらいの規模になっているということでございます。
 おめくりいただきまして3ページでございます。まず、左上の方でございますが、これは16年度1年間の融資件数・金額の状況でございますが、貸付残高で見ていただいたのと同じように、老人関係の施設が大宗を占めます。特に特別養護老人ホーム、これは介護を要するお年寄りの方に入所していただいてサービスを行うという施設でございますが、ここが大部分を占めるといった状況でございます。
 それから、貸付先につきましては当然福祉の分野ですので、社会福祉法人が大宗を占めるといった状況になってございます。
 それから右側の方でございます。実際、いろいろな事業をやる上で資金構成がどうなっているかというものでございまして、これは福祉医療機構に申込みがあったものをマクロで集計したものでございます。見ていただきますと、国なり県なりの補助金というのが福祉分野では多くを占めております。それから、あと、福祉医療機構の融資というのもかなりの役割を果している。39.3パーセントということでございます。民間金融機関での借入れというのは、4パーセント程度という状況になってございます。
 それから下の方でございますが、これも事前にいただいておりました関心事項として御提示いただいた中の、無利子融資がどうなっているかという実績でございます。基本的に、福祉医療機構の融資というのは、先ほど申し上げましたが、財政投融資からお借りする金利をベースにしまして、あとは政策優先度に応じてものによっては0.何パーセントというふうにコストを上乗せしていくというのが基本構造でございます。その中で、無利子融資をやるという分野がございます。具体的には、そこに4つほど列挙してございますが、古くなってしまって建て替えしなければいけないという老朽のもの、それから地震対策とか土砂崩れが危ないので移転する必要がある、こういったものについて、当然、的確に早くやっていただく必要があるということで、無利子融資を行っているということでございます。
 それから、おめくりいただきまして4ページでございます。医療貸付の分野でございます。これにつきましても、医療機関の計画的な整備、医療の質の向上、効率化、ひいては高齢化の中で医療費の適正化というのも各方面から要請されておりますが、そういったものを推進していくということでございます。
 具体的には、病院等をどこにどういうふうに造っていくかというのは、各都道府県で医療計画というのを作っております。それに基づく整備、それからいろいろな医療改革の中で、医療機関の機能も変えていこうという話がございまして、そういう政策に合った融資を行っていく。それから、老人保健施設というのは、これは高齢者の方の施設でございます。そういったものの整備を行うということで、こちらの方も長期・固定・低利ということで融資を行っているということでございます。
 融資の状況でございますが、左下の方が直近何年間かの残高と契約額の傾向でございまして、これも上昇基調にございます。貸付残高の方が右側の表でございますけれども、合計で2兆円ほどでございます。多くを占めますのは、病院と老人保健施設ということでございます。
 おめくりいただきまして5ページでございます。5ページ左上のものが16年度の1年間に限った施設ごとの融資の状況でございますが、これも残高で見ていただいたのと同様に、病院と老人保健施設でほとんどを占めるといった状況になってございます。それから、融資先がその下の表でございますが、医療分野でございますから、当然医療法人が大宗を占めるということでございます。ちなみに社会福祉法人とありますが、老人保健施設は社会福祉法人でも作れますので、ここである程度の数が出ているということでございます。
 それから、5ページ右側が、同じく福祉医療機構に融資があったものの資金の内訳でございます。医療の分野では、福祉と違いまして補助金というのは非常に限定的な状況になってございまして、7.1パーセントということでございます。したがいまして、機構融資に負うところも半分近くになっているという状況になってございます。
 おめくりいただきまして6ページでございます。これも事前にいただいておりました関心事項といたしまして、こういった貸付事業と民間との金融との関係をどう考えるかという点で、幾つか申し上げたいと思います。まず、民間金融機関との役割分担ということでございますが、今まで御説明申し上げてまいりましたように、機構の融資は基本的に長期の施設整備が中心ということでございます。短期の経営資金等、運営資金等は基本的には機構ではやっていないということでございます。下の方で若干例外事例がございますが、介護保険なり障害の給付の仕組み、これが切り替わったときに資金繰り、非常に複雑な話なんですが、資金の出し方のずれみたいなものが生ずるというのがございまして、そうするとすぐ資金ショートして当然お金もない施設ですので、そういった限定的な事例を行っているということでございます。
 おめくりいただきまして7ページでございます。社会福祉施設の整備の必要性、融資の必要性ということにつきまして、社会福祉施設、基本的にはいろいろな地域なり篤志家の方なりの寄附金をベースにし、先ほど申し上げました国なり県なりの補助でやっていくというわけでございまして、実績からしても、なかなか民間金融機関からの融資というのは、そもそも貸してもらえないといったような歴史的な経緯というのがございます。
 また、制度自体は介護保険に代わってきてございますが、社会福祉法人は、御承知のように非営利で公共性の高い法人であるということ、もう一つは介護保険になりますと、要するに普通の市場ですと自分で価格設定ができるわけですけれども、ここの世界では公定価格、自分で普通のマーケットみたいに価格を決められないという状況でございますし、最近いろいろな国家財政等の要請から、この介護報酬も非常に圧縮されている。例えば前回の15年改定ではマイナス2.3パーセント、先般の18年改定、この前の改定でございますが、ここではマイナス2.4パーセントといったような引き下げが行われているということでございます。そういった中で、この機構による長期・固定・低利という融資というのは、非常に大きな意味合いを持っていると私どもは考えております。
 なお、一方では財務当局の方からも、民間金融機関との併せ貸しなり、相互補完というのを進めるべしというようなことを言われておりまして、17年度から民間金融機関との併せ貸し、協調融資制度というものを導入してございます。民間金融機関にとっては、先ほど申し上げましたようにあまりなじみのない分野でございますので、機構と民間金融機関でそれぞれ地方銀行等でございますけれども、一定の契約、覚書を結びまして、相互にいろいろな情報を交換し合うといった形での協調融資というのを17年度から始めているということでございます。したがいまして、先ほど見ていただきました福祉分野での民間機関の借入れというのも、17年度になればもう少し上がってくるだろうとは思っております。
 それから、おめくりいただきまして8ページでございます。医療施設の関係でございます。この医療法人も非営利の法人でございます。また、診療報酬ということで、これもやはり公定価格の世界でございます。特に、近年やはり国家財政の要請から診療報酬の引下げということが行われてございまして、前回改定16年改定でマイナス1パーセント、今回の改定、これはこれまでで最大の下げ幅ですが、マイナス3.16パーセントというような大きな引下げが行われているということでございます。
 また、今回国会の方にも御提案してございますけれども、医療保険改革の中で、こういった医療供給体制の見直しも行い医療法等の改正を行っていくということが予定されておりまして、そういった政策目的に合った融資も行っていきたいと考えてございます。
 機構での実際の医療関係の融資先でございますが、ベッドが足りない、病床が足りないところへの融資、あるいは救急を行うような地域の医療支援病院への融資、それからがん等の特殊診療をやる病院への融資、そういったところに政策的にやっている。それから、あとは200床未満で非常に財政力も厳しいところへの融資、こういったことをやっている状況にあるということでございます。「国民皆保険」と言われますが、ファイナンスの面で医療保険制度を行うとともに、こういった医療供給体制というのを整備していくということで、国民皆保険体制を担保していくということが必要であろうと認識してございます。
 それから、おめくりいただきまして9ページでございます。今、申し上げましたように、いろいろな融資先なり何なりということで、政策に直結したことをやっておるわけでございますが、個別のケースにつきましても、行政と連動した融資を行っているということでございます。融資審査の点につきましても、社会福祉法人なり医療法人というのは、いろいろな法人の要件あるいは独自の会計基準というのがございます。そういうものを踏まえた審査ですとか、当然、老人ホームなり病院というのは、一定の施設基準、それから人員をこれだけ配置しなければいけないという、人員配置基準、こういうのもございますので、そういうものがきちんと行えているかといったような審査も行っております。償還計画を考える際にも、介護報酬とか診療報酬がどういうふうになっていくかというのが大きいわけでございますが、そういったものも一定の予想を行って返済計画も見ていくということでございます。いろいろな施策をやるときにも、補助金と連動しまして国と機構で相互チェックをして貸付けをしていくといったような取組が行われております。
 また、債権管理の方でございますが、これにつきましてもお年寄りの入所者とか病人が入っている施設ですから、すぐつぶせばいいという話にはなりませんので、正に返し方を含めまして自治体と連携して対応していくといったような、きめ細かな対応を行っているということでございます。
 10ページでございます。以上が主な福祉貸付、医療貸付でございますが、当機構はそれ以外に関連します福祉医療の事業を一体的に行っております。時間も限られておりますので、御紹介だけでございますが、上からいきますと、いろいろな経営指導事業、それからインターネット、ネットワークシステムを使いました情報サービス事業、これもIT戦略の方からもいろいろな御要請があるところでございます。それから、次に基金事業でございますが、長寿、子育て、障害者という分野につきまして、一定のファンドを設けまして、その果実で民間の創意工夫を助長するといった取組を行っております。それから、退職手当共済事業は職員の方の福利厚生につながるものでございますが、こういった事業も行っております。
 それから、おめくりいただきまして11ページでございます。心身障害者扶養保険事業というものでございますが、これは障害者をお持ちの親の方が、御自身が亡くなっても子供たちがちゃんと生活できるようにということで、相互保険をするものでございまして、こういった事業も行ってございます。
 それから次は年金担保融資、それから労災の担保貸付でございますけれども、基本的に年金等につきましては、法律で担保に供することができないとされ、これは受給権保護という観点から法律で決められておりますが、その例外として福祉医療機構での融資が行われている。大事な老後の年金でございますので、それを基にお金を借りる場合についてもこういった保護措置を取っているということでございます。
 それから、おめくりいただきまして12ページでございます。年金住宅融資の債権回収業務というものでございます。これは、平成16年に年金分野も大改正を行ったわけでございますが、その中で年金の資金の用途というのは、なるべく大きなリターンを得るということに特化しようという方針がございました。それまでの住宅融資、これも現役加入者の福利厚生という観点で行ってきたわけでございますが、こういったものは新規にやらないということにいたしました。こういった年金住宅融資につきましては、その右側にございますが、年金資金運用基金というところで行っておりましたが、ここで貸したものは回収しなければいけませんので、その業務を今年の4月1日からこの機構の方に移管するといったものでございます。
 あと、13ページ以降は資料の御紹介だけにとどめたいと思いますけれども、参考1というものがこの福祉医療機構の沿革でございまして、それぞれいろいろな事業をいろいろなところで行ってございましたが、特殊法人の整理合理化という観点から……

 富田分科会長
 目で追えるところは、もう結構です。

 矢崎福祉基盤課長
 では、あと御紹介だけです。それから、2番目が、それぞれ介護保険、障害の関係でそれぞれ政策と事業の関係、それから参考3が組織図ということでございます。それから、あと1516ページが、お求めのございました様式に従った収入内訳、支出、それから組織図というものでございます。
 すみません。時間をオーバーいたしましたが、以上でございます。

 富田分科会長
 それでは、ただいまの御説明いただきました福祉医療機構の事務・事業につきまして、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。森泉委員。

 森泉委員
 3点ほどお聞きしたいと思うんですが、まず、福祉政策及び医療政策は、御説明のとおり国及び地方のそれぞれの計画及び政策と連携して行われているということでございますが、私は、今伺った限りでは、具体的にどのように個々の融資と結びついているか理解できませんでした。特にゴールドプランであるとか、エンゼルプラン、子育てプラン、そして、特殊医療ということもございましたが、それらの具体的な計画が、個々の融資とどのように結びついているかということが、今の御説明ではちょっと分かりませんでしたから、もう少し御説明いただきたいと思います。
 それから2番目ですが、リスク管理債権比率が非常に低いわけです。1.5パーセント台というふうに、非常に低いということは、これはもう民間で十分できるのではないかという気がいたします。それで、医療貸付けに関しては、民間金融機関におけるプロジェクト・ファイナンスであるとか、最近民間金融機関の資金に少しゆとりが出てきたということで、ある種一定の収入が見込める医療機関への融資というのは、非常によい貸出相手だということは聞いておりますので、その辺を考えますと、むしろ民間でできることは民間に任せて、最低限のセーフティネットの部分は残存するということで、もっと融資規模を縮小できるのではないかということなんです。
 それに関連しまして、今、この機構の融資はほとんど財投債に依存して行われているわけですね。ところが、こういうふうにリスク管理債権比率が非常に低いということは、財投機関債の依存度をもうちょっと高めることができるのではないかということを思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。例えば、住宅金融公庫がMBS(住宅ローンを担保とした資産担保証券)を発行したわけですけれども、ほとんど財投機関債の方に移ってきているわけですね。これも非常にリスクが低いということであれば、同じような構図で持ち込むことができるのではないか。そうしますと、もっとコスト・パフォーマンスもよくなるということが考えられると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。もう少しその仕組みをマーケットに任せることによって、民間金融機関で長期固定、低利というファイナンスを行うことが可能となるのではないかということが、第2点です。
 第3点は、割と財投機関債、財投債も含めて、やはり調達の期間と貸付期間のミスマッチがあるようで、その辺が非常に複雑でコストが掛かっているのではないかと思うのです。その効果というのは、例えば貸付期間は20年とおっしゃっていましたけれども、医療器具というのは、これは最先端の器具であればあるほど、非常に陳腐化が激しいのではないかと思うのです。それを20年というので、もし返済することができないのであれば、逆にロックイン・エフェクト(凍結効果)で、むしろ新しい医療の設備に変えるというのは、融資機関に依存してしまうのではないかということで、必ずしも新しい医療の進歩には適さないのではないかという懸念が一つあるということです。もし、民間金融機関との連携で、例えば建物は福祉医療機構で20年、それで器具だけは民間金融機関で変動金利で貸し付けるということの構図になっているのでしょうか。もしそうであるならば、ロックイン・エフェクトはないけれども、建物だけを福祉医療機構が貸すというような仕組みになっているのではないかという懸念がいたします。
 以上3点について、よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 矢崎課長、簡潔にお願いいたします。

 矢崎福祉基盤課長
 データ等の数字は、今持ち合わせていないものもありますので、また後で事務局の方にお届けしたいと思いますけれども、まず1点目のいろいろな政策との具体的連動性ということでございます。例えばゴールドプランを例にとりますと、特別養護老人ホームを何万床から何万床に増やすとか、老人保健施設を増やすというプランにしたがって、そういった老人保健施設、特別養護老人ホームに貸していく、そういう政策優先度の高いところについては、金利面なり、融資率というものでアクセントをつけていくというようなことを行っております。
 それから、次は民間との関係のことがございました。もちろん民間でできるのではないかということであろうかと思いますけれども、ただ、福祉と医療は必ずしも同じではないと思いますけれども、少なくとも現実として民間の方で長期で固定で低利というものは、現実的にどれだけ可能だろうかと思います。協調融資は17年度から福祉分野を入れましたけれども、まだデータがそろっていないんですけれども、やはり変動金利のタイプとか、それからやはり足元も高いというような状況にはあるようでございます。ただ、民間との関係でございますと、いろんな財政投融資の関係から言いましても、私どもとしても、例えばスクラップ・アンド・ビルドで融資先も恒常的に見直していく、あるいはそういった融資率とか利子率というものも、どの程度財投にコストを上乗せさせていくかといったような見直しは行ってきてございます。融資額自体も、ここは実績ということで16年度までしか載せてございませんけれども、16年度から17年度にかけましては、融資ボリューム自体もかなりの程度結果的に減らすといったような予算を18年度では組んでございます。
 それから、財投機関債、これも極力増やすという方向ではあるんですけれども、まさしくおっしゃいましたデュレーション(債権の投資元本を回収するまでに要する平均残存期間)の問題なんかもございまして、要するに貸すのが20年ですが、なかなか20年でうまく市場でさばけるかといった問題も現実としてはございます。方向としては、財投機関債のウェイトを徐々に高めてきているということはございます。
 それから、医療分野でございますけれども、基本的に貸付けの対象は「箱もの」と言いますか、施設整備、建物の方が多うございます。医療器具等も全く貸していないわけではございませんが、これは政策的な優先順位をよく考えてやっているつもりでございます。例えば一例を申し上げますと、マンモグラフィという乳がんの診断があります。乳がんは日本の場合非常に遅れていて、そこを的確に対応しなければならないということで、新たにそういったマンモグラフィに対する融資をやるとか、そういった政策優先度を考えながら、やってきているつもりではございます。データ等はまた後で整理して、事務局の方にお出ししたいと思います。

 森泉委員
 では、データをお示しいただく時に、一番目の政策との関連においては、具体的に地域別の融資件数をよろしくお願いいたします。過疎地とかそういうことに対して、政策的な目的があろうかと思いますので、その辺のデータをお願いします。

 矢崎福祉基盤課長
 病院の分野での話など分ける必要もありますし、要するに医療圏単位として病床が過剰なのか、それとも過少なのかといった区分けもありますので、ちょっと工夫はさせていただきたいと思います。

 森泉委員
 それから、民間との関連で、一応協調融資を始めたばかりだとおっしゃっていましたから、医療も、福祉の方はもうちょっと前から協調融資を始めていらっしゃると思うんですが、金利、民間は変動金利でも短期固定金利でも構いませんが、金利を教えていただきたい、データで教えていただきたいということです。貸付金利です。

 矢崎福祉基盤課長
 福祉医療機構の貸付金利ということですね。

 森泉委員
 それと、協調融資をしたときに民間金融機関は一体どのぐらいの金利で貸し出しているのか、変動でも構いませんが、お示しいただきたい。
 それから最後に、これは期限前償還というのは認めていないわけですか。

 矢崎福祉基盤課長
 繰上償還というのはございます。

 森泉委員
 ありますね。そうしましたら、実際の償還はどれぐらいかというのをちょっと教えていただきたい。

 矢崎福祉基盤課長
 機構貸付で20年原則ですが、繰上償還で平均的に何年かということでしょうか。

 森泉委員
 はい。そういうことです。

 矢崎福祉基盤課長
 17年ぐらいだったと思いますが、いずれにしてもデータを精査いたします。

 富田分科会長
 阿曽沼委員、どうぞ。

 阿曽沼臨時委員
 少し細かい数字をお聞きしたいと思います。今日でなくても、資料の御提出でも構いませんが、リスク管理債権比率が非常に低いということは、きっと審査能力が高いということなんだろうと思います。地方銀行等の協調融資などは大分増えてきているわけですけれども、地方銀行などの病院におけるリスク管理債権比率というのは、地域によって相当違うと思いますが、もう少し高いのではないかなという気がします。むしろ民間金融機関がリスクを多く負っていて、もしくはこの公的な福祉医療機構がリスクを回避しているということもあるのではないかという疑問もありますので、この辺は少し数字で教えていただくとありがたいなと思います。これは、地域別等いろいろな条件があるんだろうと思いますけれども、それを教えていだきたい。
 それからもう一つは、平成16年度実績のいわゆる期末残高に係る件数についても福祉貸付、それから医療貸付が大変な件数になっています。これは、融資の審査の中には、初期の貸出しの審査と定期審査、両方あると思います。それから、債権管理といろいろあると思いますが、これらを担当する人員配置を見ると、例えばいろいろな経営指導をする指導課が9名、福祉審査が7名、医療審査が7名、債権課が8名、このぐらいの陣容で、本当に全国のこれだけの医療機関というものをどれだけ、きちんと審査ができているのか。これは例えば審査のテーブルがあったり、特別な審査の項目があったり、システム化していたりということで、選別がきちんとできていて、相当高度で、民間金融機関にはないノウハウがあるのかもしれませんが、本当にこれがどういうふうな形できちんとできているのかということも、少し何か具体的に方策を含めてお教えいただくとありがたいなと思っています。
 それから、福祉医療機構の融資は、長期・固定・低利ということで、社会福祉法人や医療法人など非常に多くの医療機関が恩恵を受けているということは事実であると認識しております。けれども、その貸出しの中で、例えば社会福祉法人などは、税金は取られない。医療法人というのは、いわゆる事業税30パーセント課されている。同じ非営利でもイコール・フッティング(公正競争条件)ができていないというところがあります。例えば社会福祉法人が経営している病院と、一般の医療法人というものに関しての、例えば審査の基準だとか金利というようなものが、本当に医療機関を支援していくという意味での実態に即した審査ができているのか、もしくは金利に反映されているのか、その辺の何か少し具体的なデータがあれば、例えば我々はこういうふうに支援をしているというような事例があれば、具体的にお示しいただきたいと思っています。

 矢崎福祉基盤課長
 また後で資料を御提出申し上げたいと思いますが、リスク管理債権の比率でいいますと、やはり福祉より医療の方が高い状況でございます。ただ、全体としては医療も福祉も、確かに診療報酬や介護報酬は、今、非常に厳しい状況でございますけれども、一定程度の収入は恒常的に確保される仕組みです。更に、介護分野はニーズに対してまだ供給が少ない面というのがありますので、そういった安定性は、ほかの産業分野と比べてはあるのではないかと思います。
 地方銀行での、例えば医療なり福祉に貸しているもののリスク管理債権比率というのは把握しているかどうか分かりませんが、帰って確認します。
 また、実際の融資の管理の体制等もまた資料でお示ししたいと思いますけれども、福祉分野で申し上げますと、補助金なりというものがついており、県なり、国なり、機構なり、それぞれ三者でチェックしているというような状況があります。
 それからあと、医療法人と社会福祉法人ということでございますが、基本的に医療を行っているのが医療法人、それから福祉をやってもらっているのが社会福祉法人ということでございまして、領域は……

 阿曽沼臨時委員
 いや、私は、社会福祉法人で医療をやっている機関がありますが、そういうところとのイコール・フッティングができているのかということだけの話です。社会福祉法人そのもの全体を言っているわけではありません。

 矢崎福祉基盤課長
 非常に件数からいえばそういうケースは少ない。老人保健施設は、先ほど申しましたように相互乗り入れの状況ですけれども、病院は基本的に医療法人、歴史的沿革で例えば財団とか他法人というのがございますけれども、そこら辺の数字につきましても可能な限り精査したいと思います。

 富田分科会長
 梅里委員どうぞ。

 梅里臨時委員
 この機構の役割から見て、適切なところに融資が行われているのかという観点です。これは非常に重要なことだと思うんですけれども、医療施設の融資先の条件等のところを見ると、これは何かの条件には入ってしまいそうな、いずれかのところに入ってしまいそうな、例えば機能分化等を推進している病院というようなことで、何らかの意味で機能分化をしようとしていれば対象に入るというところは、こういう条件が上がっていますと、場合によって判断をする者の定性的なといいましょうか、やや恣意的なことによって融資先が決定しないかという、そういう危惧が若干あるんですけれども。そういった意味で融資先がどのような条件によって採択されたのか、あるいは逆に、融資採択されなかった施設については、どのような理由採択されなかったのか、というような資料を後でお出しいただくことはできますでしょうか。

 矢崎福祉基盤課長
 具体的にこういう要件にあったところはこういう条件で貸すというのがございまして、こういったのが優先的なものですから、当然融資率ですとか、利率も優遇する、そうでないものは低くなっているということです。それから、財政当局のほうから一定程度の予算のボリュームという制約がございますから、そういった中で一般的に言えば優先順位をどう考えていくかということがあると思います。
 福祉の分野でいいますと、補助金がセットでございますので、県なりがまず地元で、例えばどこそこにこういう特別養護老人ホームをつくりたいということで県から申請が上がってきます。それを国としても判断し、基本的に国と県との補助金、それと福祉医療機構の融資、これを三者一体でやっていくといったような状況でございます。いずれにしましても、どういったタイプのものにどういった融資条件といった資料は御用意いたしたいと思います。

 梅里臨時委員
 福祉の方については、そうすると補助を受けていないところには貸付けは行われないという解釈でよろしいのでしょうか。

 矢崎福祉基盤課長
 原則として、そういった補助がついたものを優先しておりますので、大宗はそうなります。

 阿曽沼臨時委員
 貸付条件などは、民間金融機関といろいろな違いというものが、当然あるんだろうと思いますけれども、その中で強調されたのが20年固定、それから低利、これは確かにそうだろうと思うんですが、民間金融機関が貸さないような案件だけれども、地域の医療にとっては非常に重要であると御判断されて、民間金融機関が貸さない施設に融資している比率というのはどのぐらいあるのか、もしお分かりになったら、それもお教えいただきたいのですけれども。

 矢崎福祉基盤課長
 御趣旨は、医療の分野ですか。医療の分野で民間融資が全く無くてというようなケースがどのぐらいあるかということですか。

 阿曽沼臨時委員
 そうですね。民間金融機関というのは、どうしても担保主義に陥る。医療の専門家から見れば、医療というものの地域での必要性だとか、いろいろな医療のクオリティだとかということを含めて、やはり医療を政策誘導していく上で福祉医療機構としては必要なのだということで、主体的に融資をしているケースがあるかどうか。

 矢崎福祉基盤課長
 データを調べたいと思いますけれども、ただ福祉医療機構の融資も、当然需要に全部応じるという仕組みではありませんので、一定の限度、例えば何億円までとかというのがありますので、残りの部分については自己資金でやられるか、民間金融機関からも借りてセットでやるかというのがほとんどであろうと思います。
 ただ、そういった中でも当然民間としても福祉医療機構の融資がありますので、機構融資を踏まえて、リスクを評価するという面も現実には多分にあるのではないかと思います。どんなデータが御用意できるかどうか、トライしてみたいと思います。

 阿曽沼臨時委員
 基本的に難しいことはほとんどないのではないかと思いますけれども、例えば福祉医療機構が積極的に貸し出しているという案件です。そういったいわゆる政策誘導ですとか、医療を地域の中で目指していくために政策に合った形で積極的に融資をしている案件、ほとんど民間が逃げそうなところ、非常に条件の悪いところということでもいいと思うんですけれども、そういったことで何か分かるような資料があれば示していただきたいと思います。

 矢崎福祉基盤課長
 先ほどの御質問と相通じると思いますが、どういうものにどういう条件でというようなものを用意させていただきたいと思います。

 森泉委員
 いろいろデータを示していただくことは、次回にお願いいたしますけれども、そもそもやはり民間でできることは民間でという行政改革の重要方針を踏まえまして、やはりこの機構としては、協調融資というのを少し始められてらっしゃるわけですけれども、その辺のことをもう少し意識して民間でできることは民間、民業圧迫にならないような、そういう独立行政法人としてのより明確なスタンスを、検討していただきたいという気がいたします。

 矢崎福祉基盤課長
 私どもは独立行政法人でございますが、中期目標、中期計画を当然定めてございまして、その中でやはり民業補完の観点ですとか、そういったものを織り込んでございますので、またそういった資料も御用意させていただきたいと思います。

 富田分科会長
 それでは、今日は時間の都合もありますので、福祉医療機構に関します御質問を打ち切らせていただきます。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中の中御協力いただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、ただいまの議論なども踏まえて、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議をより深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほどよろしくお願いいたします。
 今日は、時間の都合で十分な質問ができなかった委員がおられるかもしれませんし、またたくさんの質問も出ておりますので、事務局を通じまして御返答いただくなり、また後日私どもから事務局を通じて照会させていただいて、必要に応じてワーキング・グループでヒアリング等をお願いすることがあろうと思いますので、その際には御対応方よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

 矢崎福祉基盤課長
 どうもありがとうございました。

 富田分科会長
 それでは、続きまして労働政策研究・研修機構の事務・事業の概要について10分間で御説明をいただき、その後質疑応答を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 川口参事官
 厚生労働省の労政担当参事官の川口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 労働政策研究・研修機構、略してJILPTでございます。資料に従いまして御説明させていただきます。
 まず、1ページを御覧いただきたいと思います。労働政策研究・研修機構は、その名前のとおり労働政策の研究と労働行政に関する研修を主な任務といたしております。設立年月日は平成1510月でございます。中期目標期間は3年6か月となっておりまして、今年度末、平成19年3月31日が中期目標期間の期限となっております。
 主な業務といたしまして、資料では5点挙げておりますけれども、この5点の中でも主なものは労働政策についての調査研究1点目と、5点目の厚生労働省の労働に関する事務を担当する職員に対する研修ということでございます。
 特に1点目の労働政策についての総合的な調査、研究、労働政策に関する政策研究という言い方をしております。この労働政策に関する政策研究の意味でございますけれども、労働政策の企画立案の基盤となる研究ということでございます。具体的には、労働政策の方向性あるいは政策課題を提示するものが一つでございます。それから、政策検討の基礎資料あるいは参考資料となるものの研究が一つでございます。それから、労働行政のハローワークそのほかの第一線機関がございます。第一線機関で用いますツールの開発のための研究というようなことを行っているところでございます。
 2ページを御覧いただきたいと思います。その研究の中身でございます。大きく分けましてプロジェクト研究と個別研究という形で研究を行っております。プロジェクト研究につきましては、その資料にございますように、厚生労働大臣から示しました九つの中長期的な労働政策の課題に対応した調査研究を行っております。この九つの課題につきましては、中期目標の中で厚生労働大臣よりテーマを示しております。
 このプロジェクト研究、具体的なテーマはその資料にあるとおりでありますけれども、このやり方につきましては、この中期目標期間3年半をかけまして、このそれぞれのテーマの研究に取り組んでおります。ただ、その3年半かけて一つの報告をまとめるということではなくて、その中でサブテーマ的にいろいろな調査や研究を行っております。まとまったものにつきましては、随時公表を今までも行っておりまして、調査結果の公表あるいは中間報告の公表などを行っているところでございます。この中間的な報告をもとに、私ども厚生労働省の政策担当者と議論を行いまして、更なる研究につなげていくという形でやっております。そういういろいろな調査あるいはサブテーマ的な研究報告を最終的に取りまとめて中期目標期間の最後には一つの研究成果にしたいという形で行っておりますのが、このプロジェクト研究でございます。
 それから、その次の個別研究につきましては、それとは異なりまして、一つのテーマを個別に、基本的には年度単位で、場合によっては2年間、3年間かけて行っているテーマもございますけれども、個別のテーマについて研究を行っているものでございます。このテーマ設定につきましては、JILPT自らが課題を発見しまして、テーマ設定を行う場合と、それから私ども行政の方から、こういう課題について研究を行ってくれという要請という形で行っている要請研究というものがございます。こういうような形で、個別研究につきましては毎年度、多数の研究を行っているところでございます。
 この研究成果につきましては、プロジェクト研究、個別研究含めてですけれども、公表するのは当然のことながら、内部評価、それから外部有識者による評価というものをしっかり行っているところでございます。
 3ページを御覧いただきたいと思います。3ページは、内外の労働情報の収集・整理ということで、労働政策研究に結びつきますようにそれの基礎資料とするという形で内外の情報の収集整理を行っているところでございます。
 それから、4ページでございます。これは、調査研究成果の普及という形でまとまりました研究成果につきましては、基本的にすべてホームページで一般に公開しております。そのほか、フォーラム、シンポジウムのような形で公表するとともに議論を行っているところでございます。
 二つ目に書いてございます労働政策フォーラムは、大体年7回ほどテーマを決めまして行っているところでございます。最近のテーマといたしまして、そこにありますようにフリーター、ニートの問題、両立支援の問題あるいは65歳雇用延長の問題といった最近のトピックを取り上げているところでございます。
 それから、5ページが労働行政職員への研修でございます。これは、厚生労働省研修実施要綱あるいは地方労働行政職員研修計画に基づいて研修を行っているところでございます。これは、このJILPTが発足します以前は、国の労働研修所というところで行っていた研修でございますけれども、この労働研修所をJILPTに切り出すことによりまして、研修を実施しております。研究と一体として行うということで、その上に書いてございますが、研究成果を研修へ活用する、あるいは研究員が直接研修の講師になって研修を行うということで、より効果的な研修を行っているところでございまして、研修を受ける側の職員からも大変好評でございます。それとともに研究員の方も実践的な研究を行うことができる。あるいは第一線職員の声を直接聞くことができるということで、研究員の側にも大変効果が上がっているところでございまして、こういう形の研究員が直接研修の講師になるという形を今後とも増やしていこうと考えているところでございます。
 それとあわせまして、労働行政職員への研修が主な役割でありますけれども、せっかくのノウハウでありますので、民間に対する研修ということで、教員カウンセラー等に対します研修というものも行っているところでございます。
 とりあえず、私からの説明は以上でございます。

 富田分科会長
  ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました労働政策研究・研修機構の事務・事業につきまして、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。

 森泉委員
 主に2点ほどお聞きしたいんですが、プロジェクト研究と個別研究というのがございますが、労働政策研究・研修機構としてはどちらにウェイトを置いてらっしゃるかということなんです。
 また、それに関連するんですが、この機構は外部への委託研究がどの程度あるのか、すなわち、国の労働政策の課題に対応した研究テーマ(プロジェクト研究)が9つあるわけですけれども、それに関連したものをほとんど外部に任せているのであるならば、この機構の存在意義は薄れ、直接研究員などを置かずに、国が直接委託をすればいいわけですので、その辺はどの程度外部への委託研究が入っているかということが一つです。
 それから、先ほどニートであるとか、フリーターであるとか、団塊の世代であるとか、そういった問題について、シンポジウムでおやりになるとおっしゃっていましたが、それは例えば、この2ページのプロジェクト研究の中で、どこで研究なさった成果をシンポジウムでおやりになったのでしょうか。そのときに、ここでの研究員の方は何人ぐらい参加なさったんでしょうか。

 小山研究調整部長
 研究調整部長をやっております小山と申します。最初の御質問ですが、プロジェクト研究と個別研究のウェイトということですが、私ども法人としましては、プロジェクト研究は中期目標において主務大臣より示されたテーマであり、これは最優先で実施しなければいけないということで、今、進めております。すべての研究員がプロジェクト研究の九つのテーマに即した形で部門を編成しております。それぞれ部門の責任者がプロジェクト全体の取りまとめ責任を負うという形で我々の研究の組織体制自体も、プロジェクト研究を推進することを念頭に置いた研究体制を組んでいるということでございます。

 富田分科会長
 すみません。ウェイトをお聞きしているんですけれども。中身の説明は先ほども聞いたので、ウェイト、つまり何対何で人数、そして経費がどうかということを端的にお答えいただければ。

 小山研究調整部長
 はい、失礼いたしました。プロジェクト研究についてはすべての研究員が、それぞれの部門のプロジェクトテーマに参加をして研究を分担しているということでございます。
 個別研究は、それとは別に研究員がそれぞれの個別のテーマに従事しているということでございます。姿勢としてはプロジェクト研究に重点を置いているということです。
 それから、外部委託につきましては、私ども基本的には例えばアンケート調査を調査の実施会社に委託するですとか、あるいは開発研究におきましてコンピューターのプログラム開発をシステム会社に委託するということはございますが、調査研究自体は私どもの研究員が、必要に応じて外部の研究者の参加を得て、私ども自身の研究員が実施しておりまして、いわゆる丸投げという形での研究のスタイルはとっておりません。
 それから、フォーラムにつきましては、基本的には各テーマにおいて研究員の成果の活用をしております。具体的な数字については、手元に資料がございませんが。ニート、フリーターにつきましては、プロジェクト研究のテーマで申し上げますと6番の職業能力の開発に関する労働者の基盤整備の在り方に関する研究に従事している研究員が発表などをいたしております。
 それから、雇用延長あるいは団塊の世代の問題につきましては、失業の地域構造分析に関する研究に従事している研究員が発表などを行っているということでございます。

 森泉委員
 誠に申し訳ないんですけれども、今のシンポジウムの説明では、ちょっと私は納得できなかったんですが、その前に、正規の研究員すべてがプロジェクト研究9テーマに入っているというのは、これは当然だと思うんですが、要は主体的にどの程度かかわっているかということが重要だと思うんです。それで、教えていただきたいのは、この9テーマごとに正規の研究員の人が何名入り、それで外部の人が何名入っているかというようなことを教えていただきたいんです。正規の研究員がどのぐらい主体的にかかわっているかというのが、やはり労働政策研究・研修機構の存在意義だと思うんです。外部の人ではなくて、機構自ら正規の研究員を育てて労働政策に係る研究を行うということが、やはり機構の任務だと思いますので、そこを教えていただきたいと思います。

 富田分科会長
 簡潔にお願いいたします。

 小山研究調整部長
 私どもの研究員がプロジェクト研究に何名従事しているかというのは、7ページの体制、組織図に研究員の人数を示しております。それから、外部の研究員の方がそれぞれのテーマに何名参画されているかというのは、恐縮ですが私ども、今、手元に資料を用意しておりませんで、後日また提供させていただきたいと思います。

 森泉委員
 この研究テーマごとに、正規の研究員と外部の研究員の人数を知らせていただきたいと思います。

 梅里臨時委員
 研究が実際に労働政策に役に立っているかという視点が非常に重要ではないかと思うんですけれども、そういった意味で、先ほどの御説明の中で内部評価に加えて外部評価もされているということだったんですが、具体的に内部評価あるいは外部評価をどのようにされているのか。例えばこの外部評価のところでいただいた資料の中で最優秀Sとか、優秀Aというような評価でかなりの割合のものがそういう形になっているというようなことがあるんですけれども、これは外部の評価委員に具体的な研究成果の論文を何人かの方に読んでいただいて、判定をつけているということなんでしょうか、あるいは内部評価のやり方と同じなんでしょうか。それからもう1点ですが、特に研究員の方の業績評価、例えば人事考課等についてはどのようにされているのかを教えていただければと思います。

 小山研究調整部長
 それでは、まず内部評価、外部評価のことから申し上げます。内部評価は、私どもで内部評価委員、これは各部門の責任者、統括研究員と呼んでおりますが、それと役員が入りました内部評価委員会というものを設置しまして、そこで評価を行っています。評価の際には、事前に一つの報告書につきまして2名の査読者を指名をいたしまして、事前に読んで評定をつけてもらうと。それを評価委員会に提出をし、また取りまとめ者の回答を併せて提出していただき、審議の上、内部評価委員会としての評価を決定するという手続を行っております。
 それから、外部評価につきましては、労働法、労働経済、社会学、教育社会学、心理学関係14名の専門家の先生に外部評価委員をお願いいたしております。これも事前に一つの報告書につき2名の先生に事前に読んでいただいて、評定をしていただいたものをその外部評価委員会で審議の上、外部評価を決定していただくという手続を踏んでおります。
 それから、研究員の業績評価につきましては、研究員の研究業績、それから研究業績以外の機構の業務に対する参画・貢献度、それから対外的な活動、大きくはその三つの領域を評価対象といたしまして、5段階で評価をいたしております。絶対評価でございます。

 梅里臨時委員
 今の業績評価のところで、例えばいわゆるチーフ・オーサーとしての論文の数であるとか、それから学会におけるワークショップとか、パネル・ディスカッション等の演者になったのがどうだとか、そういったような定量的なデータは把握されておりますでしょうか。

 小山研究調整部長
 研究員がどういう業績を上げたかということについては、把握して評価の際の判断材料にしております。

 縣臨時委員
 この機構の目的に、日本の「労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し」とありますが、この機構の具体的な研究成果がどのような政策に具体的に結実したのか、どのように認識しておられますか。

 川口参事官
 これはそれぞれのテーマごとにいろいろな形がございまして、報告書を受けまして議論の参考資料にしている、あるいは報告書の中で具体的な政策の形を提言しているものもございますので、それにつきましてはその政策を取り入れられるかどうか、我々の側で議論して、議論の材料にしているということでございます。

 縣臨時委員
 そうしましたら、研究成果とその政策立案の関連について、具体的な例をリストにして挙げていただけないでしょうか。

 川口参事官
 具体例ということでございましょうか。

 縣臨時委員
 はい。今日でなくていいです。資料として。

 川口参事官
 資料として。分かりました。

 富田分科会長
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、梶川委員。

 梶川臨時委員
 7ページの組織図に広報部というのが14名ほどおられるんですけれども、この広報をこの研究所でおやりになられている業務内容としては、この4ページの調査研究の成果等の普及・政策提言、この辺が主な業務でいらっしゃるんでしょうか。また、この中で、もしそうだとすれば、どの辺の業務が一番お手数というか、工数が14人のうちでかかられるのか教えていただきたい。

 姉崎総務部長
 広報部につきましては、今、委員がおっしゃったように、成果の普及・政策提言というところを中心にやっておりますので、ここに書いてありますホームページ、それから労働政策フォーラム、メールマガジン等の業務を担当してございます。これ以外に毎月労働関係では日本で唯一の査読雑誌でございます『日本労働研究雑誌』というのがございますけれども、その雑誌の編集、それから年に1回優秀図書表彰、それから優秀論文表彰といったような業務を行っております。
 それ以外に、先ほど民間に対する研修というのがございましたけれども、民間に対する研修の一部につきましても、広報部の方で担当させていただいてございます。
 あと、労働政策研究の報告書につきましては、市販をしておりまして、その出版の関係の業務も広報部の方でやっているということでございます。

 富田分科会長
 はい。今日は時間の都合もありますので、ここで御質問を打ち切らさせていただきます。
 本日は、御説明いただきました皆様には、御多用の中御協力いただきまして大変ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、ただいまの議論なども踏まえまして、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほどよろしくお願いいたします。
 また、本日質問させていただきました項目についても、回答をいただきますとともに、今日は、時間の都合で十分な質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキング・グループでヒアリングをお願いしたりすることがありますので、その際には対応の方をよろしくお願い申し上げます。
 どうもありがとうございました。
 それでは、最後に雇用・能力開発機構の事務・事業についてであります。
 それでは、雇用・能力開発機構の事務・事業の概要につきまして、恐れ入りますけれども10分程度で御説明をいただきまして、その後質疑応答を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 杉浦総務課長
 それでは、厚生労働省の雇用・能力開発機構でございますが、資料の2−3で御説明をいたします。
 1ページをお開きいただきたいと思いますが、雇用・能力開発機構につきましては、平成16年3月に特殊法人の雇用・能力開発機構から独立行政法人化をいたしております。役職員は約4,000名でございます。当初4,540名から出発しておりまして、後ほど申しますけれども、中期目標期間内に600名の削減をする予定になっておりまして、既に500名弱の人間を削減してきております。本部は横浜市でございます。
 主な業務の概要としましては、大きく分けて三つございますが、一つは雇用開発に関する業務ということで、主に中小企業の雇用の管理に関する相談、指導あるいは中小企業の雇用確保等に対する助成金の支給関係業務をやっている雇用開発の関係業務が一つの大きな柱でございます。
 それから二つ目は、能力開発に関する業務ということで、国の行う能力開発を肩代わりして行うということで、公共の職業能力開発施設の設置運営、それから事業主が行う職業訓練に関する援助の関係の業務、それから労働者の個々人の自発的な能力開発に対しましてキャリア・コンサルティング等の相談指導というような業務を行う能力開発の関係が一つの柱でございます。
 それから、その他とありますけれども、そのうちの一つが、勤労者の財産形成ということで、いわゆる財形制度に関する融資の業務を行っております。
 それから、もう一つ雇用促進住宅を譲渡又は廃止するということで、これは行革の動きの中で行く行くは廃止をする方向に持っていくことになっておりますけれども、それを譲渡するまでの間の管理運営業務ということをやっております。大きく分けてこの四つの柱の業務を行っております。
 2ページにまいりまして、今申し上げました各業務につきまして、中期目標、中期計画で定められている要点でございます。雇用開発業務につきましては、相談・講習・研修等につきまして80パーセント以上の評価をいただく、あるいは助成金の支給等につきましても、同様の評価をいただくことを目標としております。その他手続の合理化ですとか、職員の審査能力の向上、あるいは不正受給の防止といったような事柄を目標として掲げております。
 それから、職業能力開発につきましては、対象者を在職者、離職者、学卒者に分けておりますけれども、在職者につきましては、なかなか就職率のような指標がないものですから、80パーセント以上の評価ということで評価指標にしておりますけれども、離職者訓練については、訓練実施後就職率を75パーセント以上、それから学卒者訓練につきましては、就職率95パーセント以上という目標をつけております。その他能力開発にかかわりましては、随時、人材、ニーズを把握しながら訓練コースを見直していくですとか、民間の外部講師を積極的に活用していく、あるいは民間委託先を開拓していく、さらには若年者対策といたしまして日本版デュアルシステムという形で、企業実習を組み合わせた能力開発、職業訓練事業を行っていくというようなことを目標の中に掲げております。
 それから、勤労者財産形成の促進につきましては、ホームページによる周知あるいは助成金についての手続の合理化、審査能力の向上、それから適正な業務運営ということを目標として掲げております。
 それから、管理的な面で一般管理費及び業務費につきまして、中期目標期間中に15パーセント以上の削減、それから助成金の支給等の平均処理期間の10パーセント以上の短縮ということで、先ほど申し上げましたように職員数を600名削減するということにしております。
 それぞれの業務について、これまでの概要と実績でございますが、まず雇用開発業務につきましてでございます。先ほど申し上げましたように、主に中小企業を対象とする雇用管理に関する相談・講習・研修事業ですとか、あるいは雇用確保等に関する助成金の支給業務を行っているところでございます。目標に対する実績といたしまして、相談、研修会に対し80パーセント以上の評価を受けるということに対しましては、96.6パーセントの方から評価をいただいております。それから、インターネットによる相談の受付、あるいはよくある質問をホームページで公開ということについては、既に対応をしております。
 それから、助成金の説明会における80パーセント以上の理解ということにつきましても、9割以上の理解をいただいているということでございますし、それから手続の簡略化、不正受給の防止についてもそれぞれ措置を講じてきております。
 それから、4ページでございます。職業能力開発の関係の業務でございます。各対象者ごとに訓練を実施してきているところでございますが、随時ニーズに合わせた訓練コースを見直せという課題でございます。離職者訓練につきましては、平成15年度で654コース中243コースについて廃止あるいは見直しを行ってきておりますし、16年度についても同様で624コース中149のコースについて、廃止または見直しを行っております。それから、在職者訓練につきましては、これは非常に短期のものが多いわけでございますけれども、1万2,000コースのうちの2,900程度について見直しを行ってきているということでございます。
 それから、民間に委託を拡大するということで、委託訓練を積極的に実施をしてきております。平成14年度では5割弱、49.8パーセントの委託割合でしたのを平成16年度では67.1パーセントということで、3分の2以上が既に民間に委託して訓練を実施しております。
 それから、就職率の面につきましても、離職者訓練につきまして平成12年度当初62パーセント程度でございましたのが、78.5パーセントの就職率になっておりまして、これは中期目標における75パーセントを既に達成をしてきております。
 それから、うち委託訓練の部分につきましても、当初43.4パーセントのものが60.8パーセントということで、これにつきましても60パーセントという目標に到達をしております。
 それから、学卒者訓練、これも97.9パーセントの就職率ということで、目標95パーセントに到達をしております。
 それから、満足度、在職者訓練に対するアンケート調査としまして、それぞれ受講者に対しては97.4パーセント、事業主に対しては93.6パーセントの方々から評価をいただいておるということで、8割以上の目標ということも到達をしております。
 それから、5ページでございます。勤労者財産形成促進業務でございます。この業務は、先ほど申しましたように、勤労者の方々が自己の貯蓄によって将来持家を取得するなどの財産を形成するということについて国が支援する制度でございます。雇用・能力開発機構におきましては、この制度に関する融資の関係の業務、あるいは助成金の支給関係の業務を行ってきております。実績としまして、先ほど申しましたけれども、インターネット等による相談の受付ですとか、質問のホームページにおける公開ということの措置をしてまいりましたし、手続の簡略化についても、書類の見直し等を既に実施してきております。それから、財形融資の実績につきまして、そこに何種類かの融資の業務におきます年間実績と年度末実績の数字をそれぞれつけております。
 それから、6ページでございます。6ページは雇用・能力開発機構に係る予算節減への取組ということで、業務運営の一層の効率化ということで、特に一般管理費とか、業務経費についての計画でございます。ちょっと字が小さくて恐縮でございますが、一番左の柱の上に平成14年度基準額ということで、1,103億円というのがございます。これが法人、当初の時点における一般管理費と業務経費についての、国からの予算的に出す基準額でござましたけれども、これを5年間で15パーセント以上削減するというのが目標でございまして、一番右端の937億円まで落とすのが、5年間の目標になっております。
 現在のところ、既に右から二つ目の柱のところでございますけれども、平成18年度予算額におきまして923億円ということで、実質的に19年度の削減目標以下のレベルまで落としているというところでございます。このうち、国からの運営費交付金につきましては、862億円ということでございます。これにつきましても、平成14年度に対して、一番下に記述しておりますけれども、16.3パーセントまで予算的には削減をしてきているところでございます。
 以下、共通の様式として提出指示のございました7ページは、主要事業別の人員、それから支出、収入の予算額、それから一番最後のページが8ページでございまして、全体の組織図でございます。
 簡単でございますけれども、御説明は以上にさせていただきます。

 富田分科会長
 はい、ありがとうございました。質疑に入る前に、ちょっと私からなんですけれども、この「行政改革の重要方針」等で、雇用保険3事業について見直すということが定められているわけなんですけれども、この3事業を担う雇用・能力開発機構の見直しの方向性も含め、その点の御説明をお願いいたします。

 杉浦総務課長
 雇用保険の3事業の見直しというのがございまして、基本的に今、雇用・能力開発機構で行っている事業につきましても、かなりの部分が雇用保険3事業の事業を実施するという形で、この機構で実施をしている部分がございます。そこの部分につきましては、雇用保険の3事業の見直しという形で、3事業の廃止も含め徹底的な見直しを行うものとするという記述を行政改革の重要方針でいただいております。ですから、この点につきましては、今、厚生労働省の中で労働政策審議会の職業安定分科会の雇用保険部会というのがございますけれども、そこの中で各事業全般について、今、見直しをするべく議論が始まったところでございます。これは、恐らく6月か7月に出されます、いわゆる骨太の方針に向けて来年度以降の方策というものが定められることになろうかと思いますけれども、現在、それぞれ一つ一つの事業についてそこの場で議論をしていただいているという状況でございまして、まだそれについて個々の方針というのは定まっているわけではないという段階でございます。

 富田分科会長
 それでは、ただいま御説明いただきました雇用・能力開発機構の事務・事業につきまして、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。縣委員、どうぞ。

 縣臨時委員
 今の分科会長の御質問で、今のお答えをいただいては、我々としては非常に残念ですが、例えば具体的に言いますと4ページの職業能力開発業務が、私の理解で言えばこの該当項目かと思いますが、これが上位の政策目的にこれまでどれだけ貢献してきたと評価されているか、その評価に基づいて今後どういうことを見直さなければいけないと思っておられるか。これぐらいの御意見を聞かせていただきたいと思います。

 杉浦総務課長
 説明が大雑把で大変失礼いたしました。ただいま申し上げました3事業の見直しの中で、数百にわたる事業の項目がございまして、その中で、当然この職業訓練に係ります事業の実施についても、それぞれ事業ごとに予算が組まれておりまして、それの評価をいただくことになっております。この雇用保険事業につきましては、昨年目標設定、いわゆるPDCAサイクルというのを活用するということで、17年度の実施目標を掲げましてどのぐらいやるということに対して達成できたかできないかとか、それから執行率がどれぐらいかということについて、今、各事業ごとに先ほど申しました審議会、あるいはその中における事業主団体の見直し検討会で作業が行われておりますので、その結果というか評価をいただきながら、来年度に向けての予算というか、事業の計画に結びつけていきたいと考えております。

 縣臨時委員
 今、4ページについて具体的に伺いましたが、それについてはお答えいただけないですか。4ページの内容についてそれが上位の政策目的にどれだけ貢献したと認識されているか。それに基づいて今後どのようなことを見直さなければいけないかということを、具体的に伺いたいのですが、それについてお答えいただけませんか。

 杉浦総務課長
 それぞれの訓練ごとにという趣旨でございますか。

 縣臨時委員
 それは、お考えのとおりで結構です。

 杉浦総務課長
 すみません。先ほどの事業の見直しについては、繰り返しになるようで恐縮でございます。ちょっと今、手元にそれぞれの実施事業についての実績を持ち合わせておりませんので、もし個別に必要とあらば、後ほど資料で出させていただきたいと思いますけれども、現在、今この場で各項目ごとに御説明できる資料を持ち合わせておりません。

 縣臨時委員
 そうしますと、この機構の業務の見直しの考え方の大方針と細かいそれぞれの見直しというものについて整理した資料を、お出しいただきたいと思います。
 それから、組織としては、例えば職業能力開発大学校というものがあって、これが公共職業訓練という任務を負っているわけですが、そもそもこういうことをこの機構が担当する必要がなぜあるのかということについて、説明していただきたいことと、それから「私のしごと館」という施設がありますけれども、この存在意義は何なのかということについて、2点具体的にお答えいただきたいと思います。

 杉浦総務課長
 公共職業能力開発施設につきましては、もちろん世の中の職業訓練といいますものは、民間の事業主の方々が在職の労働者に対して行われるというのが一番基本でございます。そういったことから、国はそういったところではなかなか実施しがたい部分について補完的にやるということで、この機構が独立行政法人化されるときにおきましても、離職者訓練についても民間ですべきものは民間でやる、それから在職者訓練についても、真に高度な部分に限って民間でなされないところに限ってこの機構がやるということで、整理がされてきております。雇用・能力開発機構におきましては、その部分を地域のニーズ、地域の需要・供給サイドの両面から見まして、公・労・使の人材協議会といったものも作っておりますけれども、そういったところのニーズを踏まえて実施をしてきておりますので、あくまでもそれは民間で実施ができない地域的なもの、あるいは職種的なものに限って実施をするという方向で行ってきております。これは、国の雇用対策の一環としまして、やはり失業者の方々などを早期の安定した就職に結びつけるという観点から、職業訓練というのは国策としてやるべき部分はあろうかと思いますので、その部分を実施する機関として、この公共職業能力開発施設が設置をされているものでございます。
 それから、「私のしごと館」につきましては、平成15年に開館をした施設でございますけれども、特に若者の職業意識の形成ですとか、適職の選択ということから、その後の職業生活を含めたキャリア形成を支援するということで、京都に設置をした施設でございます。これにつきましては、マスコミあるいは国会の場でいろいろな御意見、御批判をいただいていることは、十分承知をしておりますけれども、私どもとしましては、こういった施設を活用して全国の若者にできるだけ早いうちから適切な職業意識を身に付けていただく、あるいはその職業に対する考えを養っていただくということの意義としては持っておるものというふうに理解をしております。もちろん、運営の在り方につきまして、いろいろ無駄が多いですとか、そういった批判はいただいているところでございますので、効率・効果的な運営には十分努めてまいりたいと思っておりますけれども、そういったこともよく踏まえながら行っていきたいと思っております。この事業につきましては、特に関西中心の経済界、業界団体の方からもいろいろ御指示をいただいておりまして、そういったところとよく協力しながら行っていきたいと考えております。

 縣臨時委員
 公共職業訓練施設の存在が必要であると考えたとしても、それがより効率的に運営されるということは必要ですから、事業別、施設別のセグメント情報、コスト・パフォーマンス、そうした情報を提出していただきたいと思います。
 それから、「私のしごと館」の方は、むしろ関西の財界の方が後援されているということは、逆に言えば地域性がかなり出ているということで、「私のしごと館」そのものが全国的にどれだけ作用を及ぼしているのか、これは非常に大きな問題だと思います。そこに立地があって、地域性が出てきてしまえば、もうこの機構が担っているという意味は全くなくなってくるわけですので、その点、全国にこの「しごと館」の意義というのは及んでいるのかどうか、それに関する資料をお示しいただきたいと思います。

 杉浦総務課長
 分かりました。

 富田分科会長
 どうぞ、井上委員。

 井上臨時委員
 「私のしごと館」についてもう1点なんですが、今、改善というようなことを進めていくというような御回答がございました。実際に具体的な改善策というものを後日で結構ですが、しっかりとしたもので御提出いただきたいというふうに思っております。簡単にもしも御説明いただけるんでしたら、御説明いただきたいと思います。定性的なものではなく、定量的なもので、例えば維持管理費について何パーセント削減するとか、そのような目標数値の入ったものでございましたら、簡潔に御説明いただきたいと思います。

 杉浦総務課長
 平成18年度の予算額におきまして、運営費交付金につきましては前年度から15パーセント、金額で申しますと2億円削減することとして予算を組んでおります。ですから、12億円が運営費交付金の18年度予算額でございます。
 それから、人件費につきましては、16年度決算額が3億8,000万円でございましたけれども、これの2割を削減いたしまして、3億円ということで平成18年度予定をしておるところでございます。
 それから、更なる取組といたしまして、今、民間のコンサルタントなどを活用しまして収入の拡大方策ですとか、効率・効果的な運営方策について取り組んでいくことにしておりますけれども、例えば18年度からは体験といいまして、いろいろな職業を体験する実費をいただいておりますけれども、そういった料金を引き上げるですとか、あるいは駐車場の料金を引き上げる、あるいは職業体験事業の内容を充実をしたり、実施回数を増やすといったことによりまして、収入を拡大するとか、あるいは民間企業に展示ブースを貸し出すといったようなところで収入を図っていくといったようなことを取組として幾つか考えておりますので、また後ほど資料として提出させていただきます。

 富田分科会長
 では、森泉委員、どうぞ。

 森泉委員
 政策金融部分について少しお尋ねしたいんですが、特に、財形住宅融資なんですが、先ほども、現在、労働政策審議会で財形貯蓄と財形融資について少し御議論がなされているところだということでございますが、国の住宅政策については、住宅金融公庫の既融資債権の証券化支援など民間の住宅金融市場を育成していく、発展させていくという方向にある中で、この機構がなぜ積極的に、直接融資を行わなければいけないのかというところです。従来の直接融資については、いろいろ非効率な部分が出てきたので、住宅金融公庫の融資の形が変化したというように私は理解しているんですが、国の住宅政策との関連で、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
 それから、技能者育成資金がございます。それに関しても、非常にリスク管理債権の比率が約19パーセントというので、高い割に実績が少ないんですけれども、果たしてニーズが高いのかということです。それで、そのリスク管理債権比率が高いということに関しては、就職資金に関してはさらに63パーセント台ということで、非常に高い比率なんですが、債権管理をきちんと行っていらっしゃるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
 それから、就職資金については、特に地域が北海道(アイヌ地区)、それから沖縄と非常に限定されておりますので、そういう北海道とか沖縄県といった自治体で対応できないのであろうかということです。
 それから、最後はもう一つ、この債務保証、介護労働者の債務保証ですが、これは制度が発足してから近年実績がないんですけれども、その点について、なぜ実績がないのかという点についてもお尋ねしたいと思います。
 以上です。

 井上臨時委員
 関連している面で、財形貯蓄とか財形融資については、今、今後の在り方について見直しが検討されているとお聞きしております。その中で、財形住宅融資の在り方について今後どのように検討され、その中でどのような方向性を考えられるのかというようなことについての御見解をいただきたいと思っております。
 もう1点が、実際、この財形住宅融資というものが政策上必要があるのかどうなのか。そして、なおかつこの機構で行う必要があるのかどうか。その3点、お聞きしたいと思います。

 坂本勤労者生活部企画課長
 財形融資の部分でございますけれども、基本的にはこれはもともとの制度が、自営業者と勤労者の持家率の格差というところから始まっているわけでございますが、現在のところも若干は縮小いたしましたけれども、持家率の格差においては2割以上の差があるというような状況はございます。
 私どもとしましては、今後、勤労者が安心して働いていく上で、かつまた退職後の生活を考えた場合に、計画的な財産形成を行うということは必要だと。特に老後長い生活があるわけでございますが、居住の場を最大限確保しておくということは大変重要だと考えておりまして、やはり生活の場を確保するという観点から、このような財形制度あるいは融資というものは必要であろうと考えております。ただ、さはさりながら、融資の実績を見てみますと、必ずしも十分でないものもあるということから、現在の特別会計の見直しにおきましては、融資の中身、内容について改めて見直す必要があるのではないかと考えておりますし、助成金も同様だと考えております。また、その際には、当然特別会計からこういう経費を出すことがいいのかどうかという国費投入の在り方を含めて当然考えるべきと考えておりまして、そういう面を多面的に見ながら検討を進めてまいりたいと考えております。

 杉浦総務課長
 まず、技能者育成資金の関係でございますけれども、この制度は公共職業訓練を受講している方のうち、成績が優秀でなおかつ経済的になかなか苦しい方々に対して資金を貸し付ける、あるいは奨学金のような形で、昔の育英会の並びの奨学金と同じようなレベルで資金を貸し付ける制度でございまして、平成16年度の実績、最新では14億円程度でございます。
 今、御指摘ありましたように、回収率と申しますか、債権管理という観点からしますと、なかなか完璧なと申しますか、十分回収ができていない部分がございます。実は、この点につきまして、昨年会計検査院の方からもこの事業の運営方法について御指摘をいただいたところでございます。実際の業務は、機構の本部で行っておりますけれども、この点につきましてそういった御指摘をいただきまして、より徹底した債権管理、個々の事例に対する追跡ですとか、あるいはその他の管理面も含めまして、事業見直しをしていくことにしておりますし、それから毎年足りない分について雇用保険3事業の方から補填するというような形で予算措置を組んでおりますけれども、その点につきましても、先ほどの見直しの中でよりそこを圧縮する方向で検討していきたいと考えております。
 それから、就職資金貸付の方につきましては、これは北海道のいわゆるアイヌ関係者それから沖縄関係者といったような、非常に就職の困難な方々に対しまして職業安定所の業務と関連付けまして、必要な方に資金を貸し付けるという制度でございます。以前は同和関係者とかそういった方々も対象になって、今でもなっておるんですが、実績としまして、今は北海道のウタリ関係と沖縄関係がほとんどになっているということでございます。確かに、地域的には限られておりますけれども、先ほど申しましたように就職関係の安定所の業務と密接に関係している業務でございますし、それからまたこういった方々が広域的に就職をするということもあり得ますので、その辺は国の施策との連関の中で雇用・能力開発機構で実施するのが適切ではないかと考えております。
 それから、もう一つ、介護労働者の関係の融資につきましては、御指摘のとおり実績がほとんど今のところ出ておりませんで、これは次期の中期目標の設定の際に実績をよくかんがみながら方向性について検討していきたいと思っております。

 富田分科会長
 では、森泉委員。

 森泉委員
 財形住宅融資について、もう一度お聞きしたいんですが、おっしゃっている持家政策というのは、十分理解できますし、それは国の住宅政策の目的は正しくそういうところにあるんだと思うのですが、ここで直接融資ということを非常に重要だとお考えなんでしょうか。ホームページなどで公開して、積極的に財形住宅融資を進めてらっしゃるようですが、なぜそこにこだわられるのかなというのが分からないわけなんです。それで、長期・固定・低利という仕組みを、昨今において証券化支援という形で住宅政策上作ってきたわけですが、あえて直接融資ということを手段となさるということについて、もう一度お聞きしたいということと、もう一つ、就職資金について、リスク管理債権比率が63パーセント、この高いことに関してのお答えがなかったし、それの回収の努力ということに対してもお答えがなかったように思いますが。

 富田分科会長
 手短にお願いいたします。

 坂本勤労者生活部企画課長
 財形制度の方でございますが、制度のそもそもが勤労者の自助努力を支援するという形をとっております。その関係で、まずは財形住宅を始めとした財形貯蓄をきちんと奨励をすると。その自助努力に応じて融資をセットで組み合わせて、住宅の取得を図ることを目的とするというような、制度の目的なり手法というものがそういうものに絡んでいるということかと考えております。そういう意味も含めて、私どもとしては融資制度自体は今の直接融資的なものが適当なのではないかと考えているわけでございます。
 ただ、そのやり方を含めて特別会計の見直しの中において、どういう形で、例えば国費投入等を含めてどうするかという問題もございますので、改めて検討するということでございます。

 杉浦総務課長
 先ほど少し申し上げたかと思うんですけれども、債権回収の関係で、確かに指摘を受けましたとおり不十分な面があったかと思います。そこで個々の借りた人に対して、より管理を徹底いたしまして、ずっと追跡をして回収を図ることにより取り組んでいきたいということで、体制を立て直しまして、今、機構の中でより徹底した方策についてやろうということで、今、取り組み始めたところでございます。

 阿曽沼臨時委員
 「しごと館」にこだわって申し訳ございませんが、先ほど増収対策というか、健全化をしていくために利用者の負担を増やす、それから企業に協力を得て借りてもらうということで、結局は民間の負担に頼る、利用者の負担に頼らざるを得ないというような運営で、なおかつそういった方策が主体であるとすれば、これはやはり健全な方策ではないのではないかなという気がします。それについて、いやこれは「しごと館」というものが非常に重要で、維持していくために適切で、なおかつ国民的な理解を得られる方策だということを客観的に、きちんと説明をしていただく責任があるのではないかと、私は思っています。
 それからもう一つ、職業能力開発業務の中で、離職者訓練については、民間委託をしていくということでありますけれども、基本的にこの訓練そのものも、元請けがあって孫請けまである。実際に訓練をしている人や受講している人から見れば、雇用・能力開発機構の顔が見えないというような御指摘もあるわけで、このいわゆる委託の割合が増えたということでありますけれども、この委託の実態というものが本当に適切であるかどうかということも、一度御検証をされるべきではないかと思いますし、それから在職者訓練について「真に高度な」というのが客観的に合理的な説明がもしおありになるとすれば、それを明確にお示しいただきたいと思っています。

 梅里臨時委員
 雇用促進住宅なんですけれども、マスコミの情報で事実関係が確認されていないので恐縮なんですけれども、公務員の方が121名入居されているというような放映があったんですが、ハローワークの関係者の方も入居されているというようなニュースがありましたけれども、この辺の事実関係と、30年の計画は見直しをされるということですけれども、具体的に今計画を立てておられるようでしたら、伺いたいと思うんですが。

 富田分科会長
 では、以上3点、手短にお願いいたします。

 杉浦総務課長
 「しごと館」でございますけれども、私どもとしましては収入を拡大するためにいろいろ民間の方にお使いいただいて、その分の収入の部分を拡大して、より財政の健全化に努めていただきたいということで考えているわけでございまして、民間にただいたずらに負担を求めるためにお金を引き上げるとかという趣旨のことを考えておるわけではございません。例えばいろいろな料金につきましても、民間のこういった施設の料金なども十分参考にしまして、その分を考えながら行っていきたいと思っております。
 それから、能力開発の関係につきましては、委託訓練の部分ですが、機構の顔が見えないとおっしゃいましたけれども、そこは委託をするに当たってもきちんと委託業者、専門学校などを十分審査しておりますし、それからその専門学校のやったところの就職実績を踏まえながら、翌年度のコースの選定などにインセンティブをつけましてやるという事業を始めておりますので、決して野放図に委託をしっぱなしで結果も求めないというようなやり方を行っているわけでございませんし、その辺の効果を見ながら事業はこれから努めていきたいと考えております。

 田窪調査官
 引き続きまして、雇用促進住宅の関係で御質問をいただいています。職業安定局総務課でございます。まず、公務員の入居もしくはハローワークの職員等ということでございますけれども、まず、121名という数字につきましては、平成16年度に新規入居いただいた戸数の中で公務員の方と契約した数が121戸ということで、全体の比率としては1パーセントを切っている数字であったかと思います。
 ハローワークの職員につきましては、昨年の4月1日現在で、地方の労働局の関係の職員ということで、ハローワークだけの職員ではなかったんですけれども、合計14名入ってございましたけれども、直接そういう施策を行っているところの職員が入っているのはいかがなものかという部分がございますので、昨年の7月末までに全員退去ということで、現在、ハローワーク、厚生労働省関係の職員は一切入ってございません。
 さらに、昨年末に規制改革・民間開放推進会議の方からも公務員の入居はいかがなものかという御指摘をいただきまして、それを踏まえまして今年の1月から公務員の方の新規入居は一切停止いたしましたし、既に入っておられる方についてもできる限り早期に退去いただけるよう、今、お願いをしているところでございます。
 大きい二つ目の雇用促進住宅の譲渡・廃止30年ということですけれども、これは平成15年の時に民間の有識者の方々に集まっていただいて検討会を設けていただきまして、国からのお金は一切出さないという前提のもとで、いわゆる家賃収入だけで独立採算をやっていこうという前提でやったときに、地方公共団体への譲渡を中心に進めて、譲渡できないものは60年経過した資産価値としても駄目なときに廃止してということでやると、おおむね30年かかるということがありました。そこについては、先ほども御指摘ありましたように、先ほどと同じ規制改革・民間開放推進会議の第二次答申の中で、御指摘いただいたのが「現に入居者がいることは踏まえた上で、民間事業者の方々の知見・ノウハウも活用しながら、できるだけ早く譲渡・廃止を進めることについて、18年度中に検討し、結論を得る」よう御指摘をいただきました。それは閣議決定でできる限り尊重してやるということになっておりますので、18年度中に民間の実務経験者の方から御知恵をいただいて、いかにすれば国から金を出さないで、さらに国への回収資金を多くできるかという部分を踏まえながら検討を進めて、それを踏まえた上で具体的な今後の取組を決めていきたいというのが現状でございます。

 富田分科会長
 時間も押しておりますので、ここで今日のところは御質問を切らさせていただきます。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、今日の議論なども踏まえながら、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な質問ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキング・グループでヒアリングをお願いすることがありますので、その際には対応方、よろしくお願いいたします。
 厚生労働省の皆様方には、御退席いただきまして結構でございます。ありがとうございました。
 最後に、今後の予定等につきまして、報告事項がありますので、事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 引き続きまして第2回目のヒアリングを来週の月曜日4月10日、総務省の第一特別会議室で行いたいと思います。次回は外務省関係、文部科学省関係の法人合わせて8法人についてお願いいたします。それに続きまして4月14日、17日とヒアリングを行いたいと思います。御多用中申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問などございましたらどうぞ。
 非常に1回の委員会の時間が長いですね。頑張ってやりましょう。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を終了いたします。
 本日は御多用の中、御出席をいただきありがとうございました。
 

―― 了 ――




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