会議資料・開催案内等



政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会議事録



  1.  日時 平成18年4月14日(金)13時30分から18時10分


  2.  場所 法曹会館 高砂の間


  3.  出席者
    独立行政法人評価分科会所属委員)
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、縣公一郎、稲継裕昭、岡本義朗、小幡純子、梶川融、河村小百合、黒川行治、黒田玲子、島上清明、鈴木豊、田渕雪子、松田美幸、丸島儀一、山本清の各臨時委員
    総務省)
    福井良次行政評価局長、伊藤孝雄官房審議官、新井豊評価監視官、榎本泰士調査官、岩田博調査官、加瀬徳幸調査官

  4.  議題
    (1)
       独立行政法人の事務・事業に関する府省ヒアリング(経済産業省、農林水産省・財務省)
    (2)  報告事項


  5.  配布資料
    (1)  経済産業省説明資料
    (2)  農林水産省説明資料



 富田分科会長
 時間となりましたので、ただいまより政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日の分科会は、独立行政法人の事務・事業に関する府省ヒアリングの一環といたしまして、経済産業省所管6法人及び農林水産省・財務省所管1法人の計7法人の事務・事業に関するヒアリングを行います。
 このヒアリングは、今後18年夏をめどに取りまとめられる政策評価・独立行政法人評価委員会としての見直しの方針の検討を行っていく上で非常に重要な要素であると考えておりますので、委員の皆様の御協力を何とぞよろしくお願いいたします。
 では、初めに事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 本日は、関係府省ヒアリング3回目でございます。経済産業省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、中小企業基盤整備機構、日本貿易振興機構、原子力安全基盤機構、情報処理推進機構、それから農林水産省・財務省所管の農林漁業信用基金、以上7法人についてのヒアリングをお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 ありがとうございました。それでは、経済産業省所管6法人の事務・事業につきましてヒアリングを行います。本日は、経済産業省高橋審議官始め、御担当の皆様にお越しいただきました。
 最初に、新エネルギー・産業技術総合開発機構の事務・事業の概要について、恐れ入りますが、10分程度で御説明いただきまして、その後、質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

 高橋審議官
 経済産業省政策総合審議官の高橋でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、今御紹介がございましたとおり、本日、経済産業省所管の六つの独立行政法人につきまして御説明申し上げたいと思います。
 このうち、日本貿易振興機構、それから原子力安全基盤機構につきましては、本年度をもちまして中期目標機関が終了する法人でございます。以前より、見直しの内容につきまして検討を進めてまいっているところでございます。
 また、昨年度に取りまとめられました行政改革の重要方針を踏まえまして、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、情報処理推進機構につきましては、来年度に中期目標期間が終了する法人でありますが、前倒しでその見直しを進めるということにしているものでございます。
 さらに、これからトップバッターで御説明いたします、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、それから中小企業基盤整備機構の融資等業務につきましても前倒しでその内容につきまして検討していきたいと考えておるところでございます。
 それでは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を皮切りにしまして、各法人の業務の内容につきまして個々の担当より御説明させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 住田技術振興課長
 経済産業省技術振興課長の住田でございます。よろしくお願いいたします。
 技術振興課が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の所管でございますので、御説明いたします。
 御手元に資料がございます。順次お話をいたします。まず最初に、NEDOの概要につきまして、改めまして御説明を申し上げたいと思います。
 全体の予算規模でございますが、平成18年度予算で2,290億円でございます。その主な業務といたしまして、下のところに書いてございますように、研究開発業務、それから出資・貸付経過業務、石炭関連経過業務でございます。何と言いましても、この独立行政法人は、研究開発を主としているところでございまして、研究開発及び新エネルギー・省エネルギーの導入普及業務というのが中心でございます。
 その中で、研究開発業務が、予算的に言いますと1,639億円ということでございまして、これが大宗を占めておるわけでございますが、目的といたしましては、我が国の競争力の源泉というような意味で、産業技術、つまり産業に関する技術に関する研究開発を様々な面から支援していくということでございます。
 本日の主たるテーマとなります融資業務に関しましては、むしろ新エネルギー・省エネルギー技術導入普及業務の関連の業務でございます。新エネルギー・省エネルギーに関しましては、様々な技術の導入普及業務というのを行っているわけでございますけれども、これに関連をいたしまして、融資業務、右側の吹き出しのところに書いてあるものがございます。
 まず、大きく分けて二つございまして、一つ目が、特定事業活動等促進業務と書いてございます。省エネルギー、あるいはリサイクルに関します債務保証でございます。基金が32億円ほどございます。それと利子補給の業務、これが予算的に申しますと年間400万円程度となってございます。これは、一言で申しますと、省エネルギー、あるいはリサイクルに関します設備の整備を行うときに必要な資金の借入れが生じる際の債務保証及び利子補給でございます。
 大きな2番目が、新エネルギー利用等債務保証業務ということでございますが、これは、例えば風力発電事業などが典型でございますが、そういった新エネルギーの分野で、その事業に必要な資金借入れについての債務保証業務でございます。基金の額は20億円ということでございます。
 そのほか、経過業務といたしまして出資・貸付経過業務、こちらは旧基盤センターから承継した部分等がございます。また、石炭関連の経過業務等もございます。
 本日は、先ほど申し上げました融資業務についての御説明をもう少し詳細にさせていただきます。別紙1を見ていただきますと、省エネ・リサイクル支援法(エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法)に基づきます債務保証、あるいは利子補給についての御説明でございます。
 この省エネ・リサイクルといいますのは、省エネの話とリサイクルの話があるわけでございます。リサイクルに関しましては、政府全体として3R(リデュース、リユース、リサイクル)の対策を実施していきましょうということで、循環型社会形成推進基本法において政府が財政上の措置を講じましょうということが規定されているわけでございます。
 また、省エネルギーにつきましても、昨年4月に閣議決定いたしました京都議定書の目標達成計画におきまして更なる様々な努力をすべきだということでございまして、それに基づいて現在更なる整備法の審議をお願いしているところでございます。
 こういったリサイクルの奨励、あるいは省エネの支援というのは、非常に社会全体に便益をもたらすことが期待される、公共性が高い業務でございますが、反面、いろいろな意味でのリスクがあるわけでございます。
 次のページにいっていただきますと、そのリスクの一つでもあるわけですが、なかなかその収益の見通しというのが不透明なケース、あるいは投資資金の回収に非常に長期を要するということがあります関係で、政策金融の対象とするということが極めて重要なわけでございます。特に、今申し上げましたような、通常の事業において考慮すべきリスクと必ずしも同じでないような様々なリスク評価をして、その上で政策的に支援をしていくことが非常に重要でございますので、民間金融機関での資金供給だけではなかなかやっていけないという状況がございます。
 そこで、債務保証制度の必要性というところに書いてございますが、リサイクル関係の事業というのは中小の事業者が行う場合が非常に多いということでございます。政策投資銀行による融資もあるわけでございますが、これは融資比率が40パーセントということでございまして、中小事業者にとりましては、この債務保証制度で融資額の90パーセントをカバーしていただけるということが非常に意味のあるものと考えております。
 また、省エネに関しましては、様々な地球温暖化に関する対策についての社会的要請が高まっている、あるいはESCOといった省エネ促進の新しい民間事業というのが普及をしてくる中で、非常に省エネ投資への関心が高まっているわけでございますが、実はまだまだ省エネの余地があると言われているのが中小企業の分野でございます。こういった分野にてこ入れをすることによって、更なる省エネ対策というのを充実させていくことが極めて重要でございます。
 こういったことで、債務保証制度が非常に期待されているわけでございまして、引き続き、この制度が必要なのではないかと考えているところでございます。
 また、利子補給につきましては、今申しましたような省エネ事業、あるいはリサイクルに関する事業につきましては、なかなかその投資回収が長期化する可能性が高いので、そういう中で金利面での優遇措置というのを得られることがまた非常に大きな意味を持つわけでございます。そういったことで、この制度が存続をしているということでございます。
 それでは、資料の6.のところでございますが、なぜNEDOが行うのかということにつきましては、省エネ・リサイクル支援法というのが元々平成5年に成立し、3年ほど前に10年間延長の改正が行われたわけでございます。さらに、一昨年7月に産業基盤整備基金が解散をしたことに伴いまして、NEDOが債務保証・利子補給業務を引き継ぐことになったということでございます。これは、NEDOが元々そのエネルギーに関する大変な知見を持っているということだけでなく、新エネルギーなどの分野における債務保証の経験がございますので、NEDOが行うことが適切ではないかというふうに判断をされたものでございます。
 続きまして、別紙2でございますが、新エネルギーに関する債務保証制度でございます。新エネルギーにつきましては、例えば風力発電などが代表的なケースでございますが、実はその主体としては中小企業に対する期待というのが非常に大きいわけでございますけれども、一般的には中小企業はなかなか財務基盤が脆弱であるということ、さらには、新エネルギー事業特有のいろいろなリスクもございますので、単に民間金融機関による支援だけではなかなか立ち行かない。とりわけ、2.1)に書いてございますように、新エネルギーに関する評価については、ニッチな技術分野についての専門知識が必要であるということ、また中ほどにございますが、日本の場合には特に台風ですとか落雷といった天災に影響されることもございますので、運転に関するメンテナンスについてのノウハウが必要であるという点がございます。
 また、さらに2)にございますように、非常に設備導入のコストが高い。例えば1万キロワットの風力発電ですと、建設費だけで20億円から30億円ぐらい必要だということで、中小企業金融公庫の融資で見ますと7億2,000万円といったような限度額がございますので、なかなかそれだけではカバーしきれないため、この制度に対する期待が大きいわけでございます。実際に、6ページ目の3.にございますように、既に風力発電を中心といたしまして17社の中小企業によってこの債務保証制度が利用され、4万3,000キロワットの風力発電を支援しているということでございます。
 この事業につきましても、NEDOにおきましては新エネルギーに関しては非常に多くの技術開発をしてきております。あるいは、導入支援も行ってきておりますので、新エネルギーに関する知見というのは極めて多く蓄積されているということで、様々な審査等においても知見が発揮できると考えております。逆に、NEDO以外の機関が債務保証を行うとなりますと、なかなか専門的な知識がないという面で、逆に非常に保守的になる可能性がございます。リスク判断が非常に保守的になってしまうのではないかということを懸念するところでございます。
 御説明の方は以上とさせていただきます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御意見、御質問等ございましたらどうぞ。

 岡本臨時委員
 それでは、私から2点質問させていただきたいと思います。
 観点は両方とも同じでございます。本日、融資等業務ということですので、金融業務に絞った形で質問させていただきたいと思います。
 まず、省エネ・リサイクルの債務保証・利子補給です。今の御説明の中で、なぜNEDOがやらなければいけないのかというところまで御説明いただいたのですが、私どもの方から見ますと、いわゆる政策投資銀行の利子補給、あるいは融資、それからNEDOの債務保証等々、いろいろな政策的な金融手段が併存している。御説明の中にもありましたが、どのように経済産業省やNEDOで理屈付けられていらっしゃるかということをもう少しお聴きしたいということが一つございます。
 必要性を述べられたのですが、私どもの観点から見ると、必要性の割には実績が少ないのではないのか。実績から見ると、果たして政策的に必要な手段なのかという疑問が出てまいります。その辺、どのようなお考えを持っていらっしゃるのか。
 もう一つ、新エネの債務保証についても全く観点は同じでございます。ここには全体の政策スキームの中に国の補助金も入っているかと思います。国の補助金、政策金融機関の融資・貸付、NEDOの債務保証等々、そういう複層的な観点で政策手段を持っておられる。これはなぜなのかということです。
 新エネの債務保証について、先ほど御説明の中に実績がございますというお話がありましたが、17社というのは果たして多いのかと思ったりもします。利用実績という意味では少ないのではないか。なぜそのようになっているのか御説明をお願いしたいと思います。

住田技術振興課長
 まず、御指摘のございました省エネ・リサイクルの方でございますけれども、NEDOにおきましては、先ほど冒頭申し上げました研究開発業務のところで非常に多くの資金を投じまして研究開発に関する支援を行っております。あるいは導入普及に関する支援を行っています。したがいまして、それに関する知見があるということが、なぜNEDOが行っているかということに関する理由でございます。
 それから第2点目の、必要性の割に実績が上がっていないのではないかということでございますけれども、この点につきましては、確かに利用実績が多くないということは御指摘のとおりかと思います。今後、更に利用実績が拡大をしていく可能性というのが十分あるのではないかと考えております。
 新エネに関しましては、御指摘のございました、なぜNEDOがというところでございますが、これは、今申し上げました点と共通でございます。新エネの研究開発、あるいは導入普及事業を、我が国全体に大きなインパクトを与えるほど大きな事業として行っております。その知見というのはNEDOをおいてほかにないということでございます。
 また、複層的な支援を行っているのではないかという御質問ですが、正に複層的な支援を行っておりますが、これは風力発電のケースのようなものを例に挙げれば、ほかの競合する他の電力と同じだけの条件にはないわけです。まだまだ正直言ってコストが非常に掛かるわけです。しかしながら、そのコストが掛かるという理由でそれが駄目になってしまうというのでは、せっかくの新エネルギーに向けた努力が台無しになってしまいますから、不足している部分をいろいろな形で補っていくことが必要であるという考え方から、こうした仕組みをつくっているわけでございます。
 また、17件というのは多くないではないかということでございますが、これはもちろん年によってばらつきもございます。いろいろ経済的な動向等に影響されることもございますが、私どもは17件というのは決して少ない件数ではないのではないかと思っております。経年的に見ましても、ある意味着々と増えているという面もございますので、今後、さらに新エネルギー、あるいは地球環境問題に対する認識の高まりに応じて、より多くの方が利用できるようになるのではないか。特に風力発電につきましては、風車の部分に関する技術開発というのがいろいろな形で進んできておりますので、周辺環境への影響なども緩和をされる可能性がございます。そうなりますと立地ができやすくなるという面もございますので、今後の技術開発と相まって、今後利用が拡大をしていくというふうに考えております。

 岡本臨時委員
 現在の実績をどう見るかということについて御説明いただいたのですが、今までの反省を踏まえて、次期中期目標期間にどのように利用を深めていくかということについて、政策的な評価を必ず行っていただきたい。それを、次にどの技術環として展開するかというのを教えてだきたいと思っております。

 河村臨時委員
 今のお答えに関しまして、省エネ・リサイクルの方ですが、利用の実績が少ないが、今後増えていく可能性があると御判断されていらっしゃるというお話でした。私どもの考え方といたしましては、実績が少ないということは、これを評価するときに二つの考え方があり得るだろうと思います。
 一つは、元々のニーズが少ないのではないか。もう一つは、ニーズは潜在的にはあるのだけれども、そのニーズをうまく捕捉できるような制度の設計になっていない、制度の問題があるのではないか、そのように推定できるのではないかという感じで議論をいたしております。
 ただ、御説明では、理由をお示しいただけませんでしたので、ニーズが本当にあるのか、その辺りも含めて、もう少し突っ込んで御説明いただきたいと思います。

 富田分科会長
 今のお二方の御意見、御質問に対して簡潔にお願いいたします。

 池田環境調和産業推進室長
 省エネ・リサイクル法から御説明させていただきたいのですが、当初は平成5年にできておりましたけれども、15年に法律を改正しております。改正の中身は温暖化対応では京都議定書も発効したこと、もう一つは、従来リサイクルだけであったものが循環型社会の構築ということで、リデュースやリユースも含めて3Rになるといったことでございます。
 そういうことで15年に法律改正されたばかりで、今、その辺りの取組が非常に重要だということで、世の中から環境に力を入れている企業などが非常に評価されるというような状況になってきているということでございます。
 金利情勢も、今後上昇の可能性があるということで、このニーズが今後出てくるのではないかということですけれども、我々もPRのために地方などをいろいろ回ったりもしているのですが、特に中小の方が、制度が結構複雑で事業計画を認定してもらわないとできないと。あと、リサイクルなどは特にそうですけれども、新たな設備で新規のものを設けるのであれば、生産ラインなども一定でばーっと大量に入れてやるのですけれども、リサイクルであると、出てくる資源や何かも、あちこちばらばらに時期も不特定で、リサイクルもいろいろな形が出てきますので、それに対する処理設備というのも、それに合わせたオーダーメイド的なものが多いということで、ケース・バイ・ケースでオーダーメイドの設備などを作らないといけないということで、そこら辺の細かいアドバイス、ノウハウという支援を通じてあげると、そうであれば使いたいなという相談も少しずつ出てきていますので、今後とも、その辺りの点からもPRをしていきたいと思っております。

安藤新エネルギー対策課長
 新エネルギー対策課長でございます。風力の関係を御説明申し上げます。
 正に電気事業といいますか発電所の特性が現れている話でございまして、17件というのは多いのか少ないのか、実は原発を御覧いただきますと55基しかまだ日本にございません。風力発電はもう少し多いのですが、新エネ活動として300件も500件も、1,000件も出てくれば万々歳で、京都議定書の遵守に貢献できます。
 この17件をどう評価するかということでございますが、実際16年度までの案件が98件ございました。そのうちの1718件でございまして、大ざっぱに言いますと2割ぐらいのところを占めてまいります。それから、16年単年度で見ますと30件のうちの7件ということで、20パーセントを超えるようなところをこの債務保証で拾っています。
 実は、風力発電を行っておりますのは、単に中小企業というよりは、個人の篤志家みたいな方とか地域の有志の方が集まって何とか地域で風をいかそうとしている人たちです。大手の人たちは風況の良いところで、自前で大きな資金力でできますし、電力会社も子会社などございますので、そういったところでできるのですが、一方で、地域の中で風をいかしていこう、クリーンなものをいかしていこう、こういう方たちは個人としては企業の社長であったり資産をお持ちかもしれませんが、風力発電の会社に投じられるほどの大きな金はない。一例で申し上げますと、大体家庭5,000軒分くらいに相当する9,000キロワットの風力発電所を作ろうとしますと26億円の資金がいる。このうち7億円を補助金でお手伝いする。しかし、あと19億円の資金が必要となるということでございます。中心となる社長が1人で3,000万円出して、残りを建設業者などから数百万円の出資をもらって会社を設立してやっているような企業が債務保障事業対象の実態でございますので、その点御理解をいただければありがたいと思います。

 富田分科会長
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、私から質問ですけれども、京都議定書という極めて大きな目標の中で、手段としてのNEDOの債務保証の位置付けと申しますか、目的到達に対するコストの位置付けはどうなのかということです。非常に大きな目標に対して地道な活動であることは分かりますけれども、その位置付けがよく分からないというのが正直なところです。
 御説明の中でもし他の機関にこういう政策金融を任せた場合に、保守的になってしまう、消極的になるということでした。つまり、それだけリスクが高い、債務回収が難しいということについて、研究開発を通じて、いや、そうではない、それほどリスクは大きくないという御説明で使われたと思いますけれども、そこのところも少し分かりにくいのです。
 それから、多くの委員からの、利用が少ないということはニーズが少ないことの表れだという指摘です。さりとて、無利子でどんどん信用保証せよということを委員が言っているわけでもないことも御認識いただきたい。
 非常に大きな目的に対して非常に限られた資産である現状を考えた場合に、廃止も含めた見直しといったことも検討されてはどうかというのが、端的に言いたいことです。お願いします。

 住田技術振興課長
 京都議定書の中での位置付けはどうかというと、これは非常に小さいではないかという御指摘かと思いますけれども、もちろん京都議定書という非常に大きな目的を達成するためには、私どものあらゆる手段を投入しようということでございます。例えば規制的な手段もございますし、あるいはNEDOで正にやっておりますような技術開発のブレイクスルーをもたらすということもございます。さらに、非常に大きな部分というのは、企業ないし家庭における自主的な取組を促すということにあるわけでございます。
 これらのあらゆるものをミックスして、すべてのものが少しずつ貢献する形で、何とか6パーセントを達成しようではないかというようなことを行っているわけでございます。ある意味、逆に言うと、どの一つが欠けても全体の目標というのがなかなか達成できなくなってしまう面もあるわけでございます。先ほど新エネ課長の方から申し上げましたような風力発電のケースなどというのは、正に風力発電というのは多くの国民の方が期待をされているわけでございますけれども、実際に事業をやってみろと言われると、ああいう形で二十数億円の金が掛かり、その中で補助金が出ているのが7億円、残りの十数億円はどうすればいいんだという議論になるわけでございます。実は、そういった地道なところを一つ一つやっていかなければ、この大きな京都議定書の目標というのはなかなか達成できないのが実情であるということでございます。
 それから、利用が多い、少ないにつきましては、特に新エネについては、全体の風力発電のうちの2割ぐらいが使っているというようなこともございまして、かなりある意味で制度としても利用されているのではないかと私どもは判断しておりますが、この利用の多い、少ないにつきましては、どうしてもそういった点は少し見方の違いというものが出てきてしまう面があるのかなと思っております。
 私ども、先ほど御指摘ございましたように、制度の中でも、例えば省エネ・リサイクルなどにつきましては、制度の中で担保をたくさん積まなければいけないとか、連帯保証人が必要だとか、そういった面で少し使いにくい部分があるのではないかという指摘もございますので、そういったものを見直すことも含めて、どのようにしていけばよいのかを考えたいと思っており、正に押し売りでたくさん使ってくださいというつもりはないわけでございます。ニーズに合った形で使われるという姿を目指して、より使いやすい制度にすることを含めて、今の御指摘を踏まえた検討をさせていただきたいと思っております。

 富田分科会長
 それでは、ほかに御質問が無ければ次に移りたいと思います。債務保証については短期的には直接国民の負担として認識されにくいがゆえに、安易な活用ということは問題だということを最後に申し上げたい。
 それでは、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の事務・事業につきまして、10分ほどで御説明をお願いいたします。その後、質疑応答を行いたいので、よろしくお願いいたします。

 高田政策課長
 では、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の概要について説明させていただきます。お手元の資料、まず1ページ目を開いていただきまして、石油天然ガス・金属鉱物資源機構と長い名前になってございますが、この独立行政法人、御案内のとおり、元々石油公団と金属鉱業事業団と二つの団体がありましたところ、石油公団が行政改革の中で廃止され、その一部、備蓄などの機能と金属鉱業事業団の機能とを統合して発足いたしました。
 まず、その課題として、御存じのとおり日本は天然資源に乏しく、これを海外に依存している中で、資源エネルギーの安全保障を確保していくことが非常に重要な命題でありまして、このため、石油、石油ガス、非鉄金属鉱物の安定供給確保、さらには金属鉱業などに起因する鉱害防止、こういったことに対応するため、業務を行っております。
 この1ページ目の下にオレンジ色で四つほどのボックスがありますが、それが大体この団体の大きな柱と考えていただければよろしいかと思います。一つは、石油天然ガス開発の支援、二つ目は非鉄金属鉱物資源の探鉱・開発の支援、資源国家備蓄の推進、それから鉱害防止の支援、こういった柱でございます。
 続きまして、この四つの柱につきまして順次ポイントを説明させていただきたく存じます。
 まず、2ページ目、石油・天然ガスの自主開発の支援から始まります。石油・天然ガスの自主開発の支援は、石油・天然ガスの権益をとってくるための事前準備から、鉱区を得て、そこを探鉱し、開発し、生産と、こういうそれぞれの段階によって有効な手立てが違っているものですから、それぞれに合うようにツールを組み合わせて、それを全体として最後のアウトカムにつながるような支援ツールでまとめていっております。
 具体的には、3ページ目になりますが、最初のステージとして産油・産ガス国との関係を強化していきます。石油や天然ガスというのは、何もないところでただ鉱区の入札があって、ぽっと札をさして鉱区が手に入るというものではありません。戦略物質としての性格があって、自分の国の鉱区について、国営石油会社が管理しているけれども、特別な友好関係があるから、その一部についてあなたの国にも参加を認めましょうといった話になることが非常に多いわけです。そういう意味で、相手国との友好関係を作っていく。例えば今ですと、ブラジルにペトロブラスという国営石油会社がありますが、そこは非常に水面下の深いところで、油田開発についていろいろ取り組んでいます。ここに対して、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が持っている機器などを持ち合って、次のビジネスにつなげていこうという協力関係を提示したり、リビアで最近鉱区開放がありましたけれども、ここの地質構造調査を手がけて、現地国にも役立っていくといったことを行ったり、技術者研修で、例えば今回もイラクの石油大臣が来たときにイラクの石油技術者研修コースをスタートすることを合意したり、相手国との技術、データ、人的交流、いろいろな面で関係を深めていっております。
 そして、4ページ目になりますが、地質構造調査などの権益獲得支援に入っていきます。例えば、今サハリンについては具体的に二つのプロジェクトが動いていますが、さらにそれ以降のプロジェクトの動きがありまして、その公開入札を控えて、日本の関心のある企業などに呼びかけ、またそこの投資環境情報、環境規制とか現地の法制度などに関する情報を提供しています。そのほか、東シベリアからの石油パイプラインをどう持ってくるか、そういった意味での施策を講じるとか、東シナ海の地質構造調査といったことを行っております。
 5ページ目になりますが、こういう鉱区などが立っていきますと、そのあと具体的に、リスクが高い段階に入ってきますので、リスクマネーを供給していきます。金融ではなく、正にあえてリスクマネーと書いておりまして、通常の企業のベースではやらない。例えば、メジャーであればエクソンやシェルなどにお金を貸して油田開発をしてくれという人はいないわけです。エクソンやシェルなどは、自分の体力で、自分のお金で、それを損金に充ててやっていく。ところが、日本ではそういうリスクをとるだけの体力があるものがいない。金融ベースでやるには、地質構造の調査なども、とても普通の金融機関ではできない。そういう中で、リスクマネーを探鉱段階への出資や開発段階への債務保証といった面にも支援していく。またそのときに、JOGMEC側もむやみやたらとリスクマネーの出資や債務保証を行うのではなくて、行政改革の趣旨を踏まえてカントリー・リスクですとか、為替、油価の予測ですとか、発見される地質構造といったところから、どのぐらいの確率で油、ガスが発見されるかといった経済性評価などを行って支援していくといことを進めておりまして、6ページ目、今現在、約10か所で出資、12か所で債務保証という形で、日本企業の世界的な展開を下支えしているという状況でございます。
 また、7ページ目になりますが、技術開発の面でも、やはり技術を持っていない日本の石油開発ということでは産油国側から相手にされないわけで、そういった面でもいろいろ地質の把握の技術ですとかガス圧入の技術ですとか、技術開発の支援も行っている次第です。
 続きまして、2つ目の柱、金属の探鉱開発の支援、8ページ目からお話しいたします。石油と金属では、地質構造や探鉱など、似たようなところがありますが、どちらも資源ナショナリズムがあり資源セキュリティーがある。そしてそれぞれ石油メジャーと同じように資源メジャーというのがあるわけですけれども、そういう中で日本がきちんとやっておかなければいけない。鉄やアルミといったものは比較的賦存量が多いですが、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、ましてやレアメタルといったものについては賦存状況もかなり偏在があるといった中で、確実に押さえていくための支援をこの分野でもしていく必要があるということでございます。
 9ページ目になりますが、現在、機構の地質構造調査などの支援の結果、開発された鉱山は、九つありまして、さらに、二つが今年から生産開始予定、また、二つが探査プロジェクトに参入して将来に結びつけていこうという段階に入ってございます。
 10ページ目になりますが、この非鉄金属鉱物資源につきましても、探鉱段階、開発段階で出資、債務保証、融資といった形での支援を行っております。細かな内容は、この資料にあるとおりでございますが、時間が押していますので先に進めさせていただきます。
 11ページ目、この金属の分野でも非常に技術の役割が大事でして、衛星などを使った資源探査の技術ですとか、コバルト・リッチ・クラストのような鉱物の岩盤のサンプル収集とか、開発・生産、資源のリサイクルといった面でも技術開発などを支援してございます。
 例えば、元々銅鉱山で、大体鉱石中の含有率が2パーセントぐらいだったわけですけれども、最近、鉱床でいいところ等は大分開発が進んでおりますので、既に0.5パーセントぐらいの品位まで劣化してきています。そういう0.5パーセントぐらいの、昔でいえばそれほど品位が高くないような鉱山であっても、確実に採って経済ベースに乗せていくといった技術開発をしていくわけです。
 続きまして、12ページ目からは、三つ目のミッションであります資源国家備蓄について御紹介いたします。また、この備蓄の中で大きく三つに分かれております。一つは国家石油備蓄、二つ目はLPガス備蓄、三つ目はレアメタル備蓄でございます。
 その量につきまして、レアメタル備蓄は、国家備蓄倉庫を機構が管理しておりまして、備蓄目標は42日であります。国家石油備蓄につきましては、旧石油公団が手がけた国家備蓄会社による基地が10基地、LPガスの、これも国が造った基地が5基地、民間借上タンクが18か所、この陣容で5,100万キロリットルの原油を抱えております。また、備蓄につきましては、民間備蓄という形で、5,100万キロリットルの備蓄で足りない量につきまして、民間に法律で義務を課して備蓄を70日分持つということになっております。この制度を維持する上で、義務者の公平性を確保するような観点から、民間備蓄活動に対しての金融支援を講じてございます。
 具体的に、13ページ目になりますが、これは国家備蓄基地、民間借上基地などの現状の地点の地図であります。こういった地道な事業に対しても、経費節減などを進めていろいろな努力を講じているところであります。
 14ページ目に、民間備蓄支援についても触れてございます。民備石油という備蓄義務を負っている会社は15社ありまして、LPガスについても12社あり、17年度貸付額で2,860億円の貸付けを行っております。また、LPガスも437億円、計3,298億円の貸付けを行っております。ただし、これは貸付けという融資業務によって金利収入を得るという通常の想定されるような融資ではございません。これは、非常に企業にとって負担のある、企業というのは在庫を圧縮して、収益を生まない資産を圧縮するというのが企業の健全な発展になるわけですが、原油備蓄というのは金額的にも大きな負担を強いるものです。そうすると、その負担に対して、大きな石油会社、要するに信用力のある石油会社とそうでない石油会社とで、例えば同じ10万キロリットルの原油を在庫するに当たっても負担が変わってくるわけです。それを、国の信用保証という中で低い金利で資金を調達し、それに利子補給をつけて支払い金利0.1パーセントになるという償還条件を確保して、それぞれの企業がビジネスを行っているサイズに応じて備蓄量を持つという形で負担の公平性を確保し、そして安定的に原油調達に必要な資金を確保しているということでございます。
 それから、16ページになりますが、LPガスにつきましては、現在、5か所で準備を進めておりまして、うち3か所につきましてはLP備蓄基地が完成、2か所が現在建設中であります。3か所で17日分の備蓄基地が完成し、既に6日分ぐらいの国家LPガスが蓄えられているという状況でございます。
 17ページになりますが、レアメタル備蓄につきましても、当機構は茨城県の高萩市内に倉庫を持ちまして、ここの運営を政府から支援を受けて事業を行っております。具体的には、ニッケル、クロム、モリブデン、マンガン、タングステン、コバルト、バナジウム、こういったものは非常に希少な金属でありまして、産業にも不可欠といったものを蓄えてございます。
 それから、18ページ、これは四つ目の事業になります。鉱害防止でございます。鉱害防止というのは、非常に国民生活にとって健康にかかわる問題でもありまして、きちんと行っていかなければならないわけですが、坑廃水は、閉山した鉱山の坑道から出てくるような水であったりとか、状況によって、この事業によって前向きのことが起きるということではないものですから、なかなか悩ましい問題を持っています。
 この18ページの左と右の写真を見ていただければよくお分かりいただけるかと思いますが、鉱山ではこのような色の坑廃水が出てきてしまう。これにはカドミウム、ヒ素、鉄分などが含まれていて、非常に大きな鉱害問題になっています。こういうものを処理するには、いったん鉱山から出てくる水の酸性分を中和して、金属分を除去して、普通の水にして流すといったプロセスが必要になるわけです。
 19ページ目、国内のそういう鉱山でどのようなことを行っているかという地点の図を置いてございます。具体的には、調査事業ということで、どのような鉱害防止事業をしたらいいかとか、具体的な鉱害防止をするために、壁を作ったり坑廃水が出てくることを伝えたり、坑廃水処理の池を造る。そういう坑廃水処理についてのノウハウを機構は持っていますので、そういう調査事業とか支援事業などを持ってあげているということであります。
 例えば技術開発の面でも、坑廃水から出てきます沈殿物をどのように減量できるかとか、ポリマーを使った形での流水の抑制をする技術の開発とか、ホウ素、フッ素、アンチモンなど新しい規制物質、水中に入っているものをどう取り除いていくかといった技術開発の支援をしているということであります。また、松尾鉱山のように、運営の委託を受けて廃水の管理をしていたり、鉱害防止積立金の運用管理をしていっております。
 また、21ページにありますが、鉱害防止事業は将来収益を生まない事業に関してもしっかりと鉱害対策を行っていかなければならない。しかもその相手は、経営が弱体な中小企業である場合が多い。金融機関からすれば、新たなキャッシュフローも伴わない、いわば後ろ向き、時にハイリスク・ハイリターンを求めなければならないような事業である。しかし、そのハイリターンにこたえられるような企業活動が行われています。こういうところに対して、財投資金をお借りいたしまして民間企業に貸している。こういう支援をしております。
 22ページになりますが、金属鉱業事業団が石油公団と統合してどのような効果が出ているかということについて一言だけ御説明いたします。
 統合法人は、統合時にまずそれ以前のスケールからダウンサイズしまして、発足当初に比べて17パーセントぐらい資金規模、事業規模で費用を落としたわけですが、さらに事務所の移転費用、電算システム統合メリット、海外事務所の統合効果、そういったものを上げまして、18億円から約2割弱、18パーセントの削減で19年度には一般管理費15億円を目指して、統合の成果を効率的に行っていくというようなことを進めています。
 また、金属と石油との間でそれぞれ畑が違いながらも、お互い違う目で見てみると、アドバイスし合える部分もあり得るわけでして、そういう意味での石油、金属両分野の技術戦略についての議論でシナジー効果を高めるということも行っているところであります。
 いただいた時間が相当長くなってしまいましたが、以上です。

 富田分科会長
 簡潔にと申し上げたのに、随分説明いただきました。委員の皆様、質問というよりも問題点の提起等をよろしくお願いいたします。

 黒川臨時委員
 それでは、数点質問させていただきます。
 まず第1点は、金属鉱物探鉱支援に関連して、出資や貸付け、債務保証など、いろいろスキームがありますけれども、なかなか実績が少ないように思われます。実績が少ないという理由ですけれども、出資、貸付け、債務保証という政策自体に問題があるのではないかと勘ぐるところです。もう一つは、情報でしょうか、金属鉱物の探鉱というところで、先ほどの御説明にもあったように、東京にいてもできないわけで、世界各国の現場に誰かが出かけて行って、そういう情報を集めているかということも大事なのではないかと思います。
 そこで、まず非鉄金属等々の金属鉱物の探鉱ということは、日本の国家にとっても非常に大事なので、出資、貸付け、債務保証のスキームについて、何か問題があるのかどうか。もし問題があれば、見直すか廃止するか。
 それから、本日いただいた24ページの組織表の中で、本日でなくてもいいですから、一体現場で働いている方は何人なのかと。実際に本当に情報を集める、そういうようなところ、あるいは、多分民間会社がいろいろやるのでしょうが、そこに調整ということで出ていかないといけないのですけれども、そういう調整をやっている本当の第一線で仕事をしている人たちが何人ぐらいいるのか。この組織図の中でお示しいただきたいと思います。
 第2番目は、石油の備蓄支援でございます。リスクが高いか低いかという観点で平行線になるのかもしれませんが、まず石油備蓄については、私どもの判断ではリスクは低いのではないかと思っています。ですから、直接貸付けをしなくてもよろしいのではないか。貸付期間の年数などで御反論されるかもしれませんけれども、リスクという点では、もう低いのではないか。そうであれば、例えばこのスキームの根本は利子補給にあるのであれば、せめて利子補給ぐらいにして、極力元本部分は少なくしてしまうということもあるのではないか。それに関しても、やはり組織図上で、多額な金額が動くから人もたくさん必要でしょうけれども、具体的にどういう仕事をされて、そこに人が何人ぐらいおられるのか、併せて、お示しいただきたいと思います。
 3点目は、鉱害防止でございます。中期目標において徐々に先細りというのでしょうか、ニーズが少なくなっているのかもしれませんけれども、実績や政策的必要性を踏まえた上で評価をして、抜本的に休止、廃止を含めて見直しを実施すると書かれているようでございますけれど、これについて現状どのように考えられているのか。
 4点目は、貴法人で非常に重要だと思うのは、ここの説明にもあるように、メタンハイドレート、こういう技術開発ではないか。先ほどの1点目で言った探鉱と同時に、開発が重要だと思っています。開発で、貴法人は実際にどんなことを担っておられるのか。ここも、技術者がどのくらいおられ、具体的にどういう研究開発を担っているのか、という点をまずお聞きしたいと思います。以上です。

 富田分科会長
 関連して御質問、御意見ございませんか。
 すべてお答えいただくと長くなりますので、簡潔に、本日、これだけは言っておきたいということだけでとどめていただき、あとは事務局を通じて文書で御回答いただきたいと思います。どうぞお願いします。

 朝日鉱物資源課長
 では、最初に幾つか重要な質問をいただきました。私、金属関係の探鉱開発を担当しております鉱物資源課長でございます。
 金属関係の探鉱開発、出資、融資、債務保証の枠組みを持ってございます。90年代を中心に実績が必ずしも多くなくて、その70年代、80年代と比べますと事業実績が若干減ってございます。この間、何が起こったかということを考えますと、経営不振もありましたが、そういう中で開発段階からの大型のプロジェクトに比較的多く参入しております。そういう意味で、探査関係の方は非常に資金需要が小さくなったときでございます。
 昨今、2000年を超えまして、世界の資源事情は逼迫化しております。中国と争って権益を取るというようなこともしなければいけません。そういう意味では、民間企業の探鉱資金需要は今後拡大すると確信しております。そういう意味では、本制度が機能することになろうかと考えてございます。
 探査に関連する人材の関係で御質問がありましたが、最後のページに組織図がございますけれども、金属関係の探査開発の関係で申しますと、真ん中のあたりにあります金属資源探査推進グループ33名とございます。これは基本的には探査を専門とする地質学者の集団でございまして、多い人では数か月海外、南米でありますとかアジア地域の探査、フィールドワークをしております。民間との人事交流もございますし、そういう中で日本の探査技術を磨きながら海外の企業と伍した活動をしてございます。
 箱崎石油精製備蓄課長
 それでは、石油備蓄につきまして簡単に御説明申し上げます。
 今、黒川委員からリスクの有無についてございましたけれども、私ども、石油備蓄に関するファイナンスをリスクマネーの供給だとは認識してございません。高田から説明があったように、1点目は、備蓄義務は石油会社にとって非常に重い負担なのでできるだけ軽くしてあげると。2点目は、各石油会社の間にかなり信用力の差はあるところを平等に備蓄義務をかけてございますので、それを補完するという意味合いでこういった形で政府保証及び利子補給をしているということを御理解いただければと思います。決して探鉱のように千に三つといったリスクの存在が政府系金融の理由となっているわけではございません。
 それから人員につきましては、1点だけ申し上げますと、御指摘なのは23ページの表だと思うんですけれども、左から2番目の列に備蓄事業で上に「3+α」と書いてあります。下に151と。金融部門は3+αでございます。151人と非常に多いのは、先ほど地図を見ていただきましたけれども、ああいった形で全国に十何か所ある国家備蓄石油を管理する業務に人数がかかってございまして、金融には3+αでございます。

 餅田鉱山保安課長
 鉱害防止について一言。鉱害防止ですけれども、鉱山の坑廃水処理といいますのは非常に長い時間がかかります。生産活動が終了したあと長い時間で対応しないといけないということで、この融資システムというのは非常に重要なシステムというふうに考えています。しかしながら、それぞれのシステムについてどのように対応しないといけないかというのを一つずつ制度をしっかり点検していきたいと考えており、今、その点検をしている状況でございます。

 富田分科会長
 この独立行政法人について、中期目標で鉱害防止支援事業への融資業務については見直すということが明言されていますが、見直し作業等は進んでおりますか。対象を含め見直すということが書いてありました。

 餅田鉱山保安課長
 それも含めて見直し作業を進めております。

 富田分科会長
 まだいろいろとあろうと思いますけれど、どうぞ、黒川委員。

 黒川臨時委員
 2点目の石油備蓄について、リスクが無いと明言されたわけで、ただ備蓄石油と資産担保ということも考えられるし、結局資金を民間金融機関から石油精製業者等へ直接貸し付けるということも実施できる、こう考えてよろしいですか。
 もし仮に利子補給、平滑化とおっしゃられたようなことが実は本質なのだということであれば、それだけにするということでもよろしいということですね。

 箱崎石油精製備蓄課長
 今、政府系金融として行っていますのが2点ございまして、利子補給と政府保証でございます。
 これは、政府保証することによって金利負担が減りますので、財政負担を減らしながら円滑な備蓄の積み増しを行う、あるいは維持を行うというためのものでございまして、そういう意味では現在の法体系では各民間同士の貸付けに対して政府保証というのはつけられませんので、何らかの組織が必要になるという点がございます。

 富田分科会長
 まだいろいろと議論はあろうかと思いますが、本日は残念ながら時間の制約でここまでにさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
 続きまして、中小企業基盤整備機構の事務・事業についての質疑に移りたいと思います。たくさんの方がお見えいただいておりますが、時間の都合でもう始めさせていただきます。中小企業基盤整備機構の事務・事業について、10分で御説明をお願いします。

 山本企画課長
 中小企業庁の企画課長の山本と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 お手元の資料1−3という横長の中小企業基盤整備機構の事業について、というものがございます。これに基づいて御説明させていただきます。
 表紙と目次をめくっていただきまして、2ページに、まず中小企業基盤整備機構の総合支援機能と、この独立行政法人のごく概略が書いてございます。この独立行政法人は、平成16年7月に旧中小企業総合事業団と、地域振興整備公団と、産業基盤整備基金の三つを統合してできました独立行政法人でございます。書いてございませんが、職員が853名おりまして、東京の本部のほかに9支部を持っております。
 事業の内容は、そこに1、2、3と三つ書いてございますけれども、大きく分けると、一つ目は、立ち上がり期、すなわち、創業や新事業展開の促進というところ。二つ目は、中小企業が水平飛行に入って巡航速度で航行しているときの経営基盤の強化。三つ目は、何か問題が発生した、経営環境の変化への対応、こういう三つのところに整理をいたしております。
 いろいろな事業を行っておりますけれども、大きく分けますとソフトな支援、すなわち専門家派遣やアドバイスですとか、情報提供ですとか、研修などの人材育成、こういうようなものが一つ。このために、数多くの中小企業診断士等の専門家を擁しております。
 それから二つ目の大きな柱が、資金面での支援ということになっておりまして、ファンドによる出資ですとか高度化事業の中の貸付けですとか、こういうことを行っているわけでございまして、二つ目のところが、本日ヒアリングをしていただく見直しの対象となっております。
 ページをめくっていただきまして、4ページから高度化事業を御説明いたします。4ページに高度化事業の内容をかいつまんで書いてございますが、字ばかりで分かりにくいところがございますので、次の5ページの絵の方で御説明をさせていただきます。
 高度化事業と申しますのは、左側に写真が載ってございますけれども、こういう事業について都道府県と中小企業組合等の中小企業のグループがタイアップして進めていく事業でございます。対象となっている左側の事業は、次のような特性を備えたものでございます。
 一つは、中小企業が共同して取り組む事業であること。二つは、国の政策目的、例えば環境保全ですとか中心市街地の活性化ですとか、災害からの復旧ですとか、そういうものに対応したものであること。三つ目は、都道府県がその地域計画などに沿って主体的に関与するインフラ整備的な事業ということでございます。
 こういった事業につきまして、右側の上の青いところに書いてあります都道府県と、下の中小企業組合・グループがタイアップして事業を進めていくという格好になります。それを一番右端の中小機構がバックアップするという格好になっております。
 もう少し具体的に申し上げますと、都道府県の役割としては、都市計画や中心市街地活性化計画等の地域政策上の観点から全体計画を策定、推進いたします。それに呼応して、中小企業のグループが、中小企業同士で共同して行う事業計画を検討いたします。
 また、都道府県が具体的な土地や用水の手当ですとか交通計画等に関して助言、提供したり、必要があれば土地自体を供給するというようなことを行います。
 これに応じて、中小企業グループがいろいろな支援を受けながら計画を進めていくということになっております。
 機構がどういう役割を果たすかといいますと、国の政策の方向を提示することと、共同事業はどうやって進めていくのがいいかといったことについての全国レベルでの経験、情報ノウハウを持っておりますので、そういう観点から情報提供、助言などを行います。
 このようにして、計画の構想段階から両者タイアップをしまして共同して計画を進めてまいります。
 最後に資金でございますが、都道府県が中小企業グループに対し、必要な資金の80パーセント以内を無利子、または超低利、現時点では0.95パーセントでございますけれども、これで最長20年の長期貸付をいたします。都道府県が貸す資金の3分の2を中小機構が都道府県に供給、貸し付ける。こういう構造になっております。
 先ほど御説明いたしましたように、事業自体が収益性が非常に乏しい公益的な目的を持った事業でございますので、そのコスト、リスクをすべて中小企業に負担させることが難しいわけでございまして、したがって、そういう実施に必要となるコスト、リスクを官側がある程度分担する、こういうことでございます。形の上では、県から組合への貸付けということになっておりますけれども、実質的に考えますと無利子、あるいは超低利で20年ぐらいの長期で元本を返してもらえればいいと。利息を払ってもらう場合もございますけれども、通常の金融とは大きく異なる、補助金と金融との中間的な存在、こういうことでコスト、リスクを負担していくということでございます。
 少しだけ実例を御説明します。次の6ページは、市街地で創業していた中小水産加工業者が悪臭、排水等の公害問題の解決を図るために、県の誘導によって、県が用意した工業適地に集団移転したということでございます。共同で排水処理施設を持つことによって公害問題を克服し、それぞれの企業も非常に衛生的な工場にするということでございまして、県が用地をあっせんするとか、機構等が、その下に書いてありますようにどのような排水処理施設を作ったらいいか、井戸水をどうしたらいいか、投資額をなるべく少なくするように組合員間の負担の調整ですとか、そういったことを様々に支援いたしまして、金目では23億円の高度化の貸付けをして、公害のないきれいな団地ができた、そういうことでございます。
 2枚めくっていただきまして、8ページは商業の例でございます。M町というところで、消費がどんどん町外へ流出して、町の中小商業が衰退して活気が失われてきたということで、大型店の誘致をしまして、地元の商工業者が街づくり会社を設立しまして、ショッピングセンターを建設したと、こういうことでございます。
 こういうものにつきましても、どんな施設を設置するのか、あるいは非常に多数の関係者の調整が必要になりますので、その調整、あるいは大型店を併設しますので、大型店と中小企業との役割分担ですとか店舗のコンセプトをどうするかとか、そういったようなことにつきまして中小機構がいろいろなノウハウを使って県と一緒になって支援をしていく。最後に、高度化貸付で19億円融資しまして、こういう施設ができたということでございます。
 9ページのものも商業で、内容的には同じようなものでございますが、これは阪神大震災で倒壊した零細商店を復興するために共同でセルフ方式の店舗を作ったということでございます。高度化事業は、阪神大震災、中越地震のような災害復旧にも活用されております。
 10ページにまいりまして、二つ目の大きい事業でございますファンド出資事業について御説明いたします。
 11ページでございますけれども、ファンドはベンチャー企業への出資のようなリスクの高い資金供給、あるいは中小企業が再生する場合の株の買い取りですとか、通常の金融になじまない分野につきましてファンド形式が利用されているわけでございますが、中小機構は投資事業有限責任組合法に基づく有限責任組合として、民間の出資者と共にファンドに出資をしまして、そのファンドがベンチャー企業への出資等を行う、こういうことでございます。
 中小機構が出資の対象としておりますファンドは、創業、新事業の促進や事業の再生などの高い政策的意義を有し、かつ期待収益率、投下資本回収期間等の点から、民間資金のみではなかなか組成が困難なものに限っておりまして、具体的には下にあります三つのパターンのものがございます。
 民の補完という観点から、出資額はファンド総額の2分の1以内に限定をしておりまして、民間資金の呼び水として機能いたしております。
 13ページ、その一つのベンチャー・ファンドと申しますのは、これは非常にリスクが高くて回収に時間を要する初期段階のベンチャー企業への重点的な出資を目指すファンドでございます。お金を出すとともに、民間投資会社と力を合わせてベンチャー企業への育成支援も行うということにいたしております。ファンド数が今68ファンドございまして、1,070億円の出資、うち機構分が406億円。投資先の企業数が1,200社あまりで、そのうちIPO(株式公開)に至ったものが53社ございます。
 1415ページはその例でございますので省略をさせていただきます。
 16ページ、2つ目のファンド形態としまして「がんばれ!中小企業ファンド」というのがあります。これは、中小企業が持っているアイデアや技術シーズをいかしまして、新しい事業展開を中小企業が行うことを支援するために、その新規事業の収益に注目したプロジェクト・ファイナンス的な投融資を行うファンドでございまして、必ずしもIPOを目指さず、利益配分での回収を想定いたしております。商社やメーカー等、そもそも中小企業へのいろいろな支援機能を持ったところとパートナーを組みまして、一体的に資金を出資いたしまして、これらと一緒になって育成支援と併せて地域の中小企業の支援を行っております。これは、平成16年に始めたばかりの事業でございまして、ファンド数は今までで13、ファンド総額285億円、うち機構分が139億円、投資先の企業数が31でございます。
 また2枚めくっていただきまして、19ページに中小企業再生ファンドがございます。これは、中小企業の再生のために平成15年に産業活力再生特別措置法に基づきまして中小企業再生支援協議会ができまして、地方の中小企業の再生を支援しておりますが、これで発生してくる中小企業の再生のためにいろいろ株を買い取るとか債券を買い取るとか、こういうことをするために設置をしているファンドでございます。平成15年からでございますが、ファンド数、現在13、ファンド総額393億円、うち機構分が187億円、投資先企業は47社になっております。
 最後に、23ページ以降でその他の金融業務等について簡単に御説明いたします。23ページが債務保証業務でございまして、中小機構は産業再生法ですとか中心市街地活性化法、こういった個別の法律に基づきまして国の政策目的に沿った事業で、リスクが大きくて民間からそのままでは資金調達が困難なものについて部分保証による信用補完を行っております。
 左の下に書いてございますが、適時に見直しを行っておりまして、平成16年には研究開発整備法等に基づく業務は廃止をしました。今、また国会に民活法(民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法)、FAZ法(輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法)、特定商業集積法(特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法)の廃止法案を提出しております。まだ参議院で審議中でございますが、通るという前提ですと、これの債務保証業務が廃止になります。その結果、右に書いてありますような四つの法律に基づく保証スキームが残っているということでございます。
 24ページは利子補給業務でございます。これは非常に特殊でございまして、昭和30年代から産炭地域の振興のために産炭地域の地方自治体が発行する地方債の利子負担を軽減するために利子補給制度を国が行ってまいりました。これは平成13年に終わりましたけれども、利子の補給自体が平成22年まで必要でございまして、平成13年に法律を廃止する際に、残った年限については当時の地域公団から利子補給業務を引き続き行うことになり、平成22年までの経過業務として残っておるものでございます。
 それから最後に、25ページ、中心市街地活性化等の出資事業についてです。先ほど高度化の融資業務を御説明いたしましたけれども、こういう都道府県が地域政策として推進するようなプロジェクトの中で、さらに公益性が高く収益性が低いというようなもの、例えば商業基盤施設、コミュニティ・ホールをつくるとか駐車場をつくるとか、そういった場合にはまちづくり会社などに対して出資を直接するという業務もございまして、そこの表のような実績がございます。
 少し長くなってしまいました。以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 ただいま御説明ありました中小企業基盤整備機構の事務・事業につきまして、御意見等ございませんか。

 岡本臨時委員
 それでは、私から4点ばかり御質問させていただきます。
 まず、総論的な話です。よく分からないという意味で御説明をお願いしたいという趣旨ですが、機構でいろいろな金融スキームを持っていらっしゃる。それぞれ理由はあるのでしょうけれども、全体的にどういう考え方で出資、融資、債務保証等々の手法を採っていらっしゃるのか。あるいは、それはなくて、その場の政策との観点からスキームを選ばれるのか、その辺の御説明をお願いしたいというのがまず1点です。
 なぜこのように申すかというと、中小企業に対する資金が円滑に流れるというのはそのとおりだと思いますが、ほかに中小企業金融公庫ですとかいろいろな金融機関が政府の中にもある。その中で見ますと、中小企業基盤整備機構が行う理由はどこにあるのかという観点から見させていただきたいというのが第1点目でございます。
 第2点目は、一番最初に御説明いただいた高度化の部分ですけれども、本日御説明いただいた資料の一番最初の、5ページでしょうか、この仕組みを見させていただき、課長のお話を伺っておりますと、都道府県に対する支援ではないかというようにも見えるわけです。実際に中小企業や組合に対する貸付けの判断は実質誰がなさっているか。都道府県なのか中小企業基盤整備機構なのかどちらなのか、あるいは一緒なのか。その辺、どのような判断をなさっているのか。中小企業に対する金の融通のように見えるし、実際には都道府県に対する支援のようにも見えますので、その辺りの御説明をお願いしたい。そして、結果的に貸倒引当金の引当率が非常に高いようにもお見受けするので、なぜこのように高く、恐らく貸倒れリスクが高いということを表しているのだと思いますが、その辺の御説明もお願いしたいと思います。
 3点目は、ベンチャー・ファンドのファンド出資です。最終的な中小企業、ベンチャー企業、あるいは再生企業でもいいのですが、実際に企業を選定するファンド・マネジャーみたいな方がいらっしゃると思うのですけれども、例えばこういうファンドが必要だというのであれば、むしろ逆に中小企業基盤整備機構が直接企業にファンドを作ってそこにお金を入れるというような形の方がよいのではないかと思っております。
 他方で、そこまでやるのか、公的なセクターがそこまでやってもいいのかという議論があると思いますので、その辺の御判断といいましょうか、説明をお願いしたいと思うのが第3点目でございます。
 それから最後、我々の質問の基本は、簡素で効率的な政府の実現という観点にありますので、最終的な指標というのは会計基準でいう行政サービス実施コストに表れてくると思います。したがって、行政サービス実施コスト、国民の負担コストというのはどのぐらい減っていくかというのが全体的に問われてくると思います。そういう観点から、今後、中小企業基盤整備機構の新たな指標として行政サービス実施コストを位置付けてもらいたいと、これは要望的な話になりますが、以上4点、お願いいたします。

 富田分科会長
 関連して御意見ございませんか。

 河村臨時委員
 関連して御質問させていただきます。
 岡本委員からもお話がありましたが、経済産業省で所管されているところで中小企業金融公庫、信用保証協会、いろいろな形での中小企業への支援があると思います。御説明いただいた中小企業基盤整備機構の事業、高度化事業なりほかのいろいろな政策金融に関して、中小企業金融公庫の中の信用保証ということになるかと思いますが、重複するケースがどの程度あるのか。このことについても、効率的な政府の仕事の上ということを考えれば、必要な支援はためらうべきではないとは思いますが、あまり重複するのもどうかと思いますので、その辺、御説明をお願いしたいと思います。

 富田分科会長
 今の河村委員の御指摘、岡本委員の最初の御指摘も、機構そのものの存立意義は何か。とりわけ政府系金融機関の一本化がなされた中でその意義がどこにあるのかということです。即座にお答えも難しいかもしれませんが、簡潔にお願いいたします。残りの3点についてもできれば簡潔に。
 あるいは、簡潔に答えると誤解を生ずるというのであれば、文書で回答するなりしてください。

 山本企画課長
 十分なお答えをさせていただけるかどうかは分かりませんが、とりあえず今お答えできることをなるべく簡単にお答えさせていただきます。
 出資、融資、財務保証、いろいろな手法があるけれども、どのように使い分けるのかというようなお話がございました。まず第1に、今の河村先生の御質問とも関係いたしますけれども、中小企業基盤整備機構における出資や融資、債務保証などは、いずれも単なる金融手法の一つとして位置付けられる支援制度ではないように考えておりまして、先ほど御説明しましたように、中小企業基盤整備機構の特色としては専門家を非常に大勢擁しておりまして、アドバイスをするとか、他の支援機関とも連携をするとか、総合的な支援機関としてソフト的な支援をやってきている、私ども中小企業政策の一番主体的な実施機関でございます。
 したがって、そういうソフトな支援と一体的に組み合わせることによって最大限の効果が期待できるような資金面での支援の仕組みというふうにお考えいただければと思います。
 その上で、一般的に申し上げれば、リスクが相対的に高くて資本市場で直接投資を確保するのが困難だという場合には、資金供給手段として出資を使います。融資の場合は、先ほど長時間頂戴して御説明しましたように、民間金融機関が行う融資などとは大分性格が異なるものであると考えております。
 また、河村委員から御指摘があったように、中小企業金融公庫などと重複するのではないかというお話がございましたけれども、高度化融資などにつきましては、先ほども御説明しましたように、中小企業が十数社も組んで、かなりインフラ的なものを行っていく。それを県や市町村も一緒になって共同して行っていくというようなものでございまして、規模からいきましても、ソフト支援との組合せということからいきましても、中小企業金融公庫等のほかの政府系金融機関などが同じような融資をするということにはなじまないところで、重複はほとんどないのではないかと考えております。
 岡本委員からは、都道府県に対する融資なのか中小企業に対する融資なのかということでございまして、国の政策としては正に中小企業が力を合わせて公益的なことにもチャレンジしながら高度化していくというのが政策目的でありますので、私どもとしては中小企業を支援したいと思っておりますが、資金の流れとしては都道府県とも一体になって行っておりますので、それを後ろからお金を補給するという形で実現していくということでございます。
 岡本委員から、引当率が非常に高いのではないかという御指摘がございました。確かに引当率、20パーセント強ございまして高くなっております。これは、貸したものが返ってこなくなる可能性があるという面ではもっと努力しないといけないと思っているところではございますが、やや特殊事情もございます。
 引当金を積んで実際に返ってこなくなれば、民間金融機関であれば早急に償却してしまう、不良債権の処理が行われるところでございますが、先ほど申し上げましたように、貸し手が都道府県でございまして、都道府県もどこまで、現に操業している連帯保証人などの保証を追及して、これでも返してもらえないというところまで突き詰められるか、あるいはこれはどうしても返ってこないということについて県議会の承認を求めないといけない。こういったことで、なかなか県が不良債権処理をうまく進められないところもございまして、普通であれば償却されるべきものが不良債権として残って引当金がそのまま積まれているといったこともあります。
 それから、組合というか中小企業のグループに対する融資の形をとっておりますので、グループの中の1人でも返せないということになりますと、10人なり15人の全体の債務が不良債権という扱いになっております。こういうときに、民間金融機関であればその分だけ切り離してほかのところは借り換えてもらうという方式も可能かと思いますけれども、この場合は借換えなども、中小企業基盤整備機構の場合は認めておりませんので、そういったようなことで引当金がたくさん必要になっているというような面もあることを御理解いただければと思います。
 最後に、ファンドの質問がございました。御指摘のとおり、ファンドに中小企業が出資をいたしまして、その先のベンチャー企業への出資などについてはファンド・マネジャーに当たるところが選定を行っております。
 直接出資してはどうかというお話がございました。ベンチャー企業ができるとか中小企業の開業率が増えるということは大きな国の政策目的でございますので、直接に国がそういうベンチャー企業の株式を取得するということも考えたほうがいいのかもしれないと思います。
 ただ、今までのところは民業補完というような環境から言うと、国が直接に株を買うというのは少し行き過ぎかということも考えまして、ファンドに民間の出資者を立てながら、そちらにメジャーをとってもらって、中小企業基盤整備機構はマイナーの方の主張をして、むしろどういうファンドのキャラクターにするか、そういったことを組合契約に反映させるとか、投資先の企業を育成支援するとか、そういうことでよりいいベンチャー企業などが育ってくるように行っているわけでございます。
 最後に、コスト削減などについてのお話だったと思いますけれども、もちろんこれはコスト・パフォーマンスを上げて、最小のコストで最大の政策達成を実現していかなければいけない、努力していかないといけない問題だと思っております。

 富田分科会長
 追加的に御意見等ございませんか。
 お答えいただいたのですけれど、それで我々理解できたということでは決してありませんので、また事務局を通じていろいろと伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
 それでは、ここで10分間休憩ということにしたいと思います。

(休憩)

 富田分科会長
 再開させていただきます。
 日本貿易振興機構の事務・事業の概要について御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。
 御説明、10分でお願いいたします。

 木村通商政策課長
 経済産業省の通商政策課長の木村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に、資料1−4「日本貿易振興機構−業務・組織の概要について」という資料がございますけれども、これに基づきまして説明をさせていただきます。
 日本貿易振興機構を通称ジェトロと申し上げておりますので、以下ジェトロと省略させていただきます。ジェトロでございますけれども、そもそも昭和33年に、特殊法人日本貿易振興会、ジェトロとして設立されたものでございます。それで、平成15年に独法化され、現在の日本貿易振興機構になっております。役員数は10名でございます。一番後ろの13ページに組織図がございます。本部と、アジア経済研究所、それから発祥の地が大阪でございますので、大阪にも本部というのがございます。それから、海外事務所、これは73か所ございます。それから、国内事務所が36か所という体制になっております。1ページに戻っていただきまして、職員数は全体で1,629名、独法設立時は1,686名でございますので、若干減になっております。それから、組織については、今申し上げましたとおり、アジア経済研究所も含めた形になっておりまして、アジア経済研究所、通称アジ研は幕張にございます。これは昭和35年に、当時の岸総理のイニシアチブででき上がった特殊法人でございます。それから、先ほど申し上げましたように海外事務所は73事務所ございますけれども、独法化したときに79か所ございまして、その後、8か所廃止しまして、2か所新しく設立いたしました。今、合計73か所になっております。それから、一番下の予算規模でございますが、トータル約405億円で、うち交付金は239億円となっております。これも後ほど申し上げますけれども、15年の独法設立時の交付金でいいますと、当時260.3億円でございますので、マイナス21億円、約8.1パーセントの減になっております。
 2ページでございますけれども、ジェトロの目的と主要業務がございますが、(2)に七つの柱を挙げております。以下それぞれ1ページごとに、それぞれの事業について概要を整理してございますので、次のページから説明をさせていただきます。
 3ページ目、これはまず、主要事業の1番目の対日直接投資の促進ということでございます。それで、この資料は、次のページもそうでございますけれども、一番上の箱がその業務の裏付けとなる政策といいますか、国の基本的な政策を四角で書きました。その下に、そのための主要事業、ジェトロが行っている事業というような形で整理をさせていただいております。
 対日投資につきましては、御案内のとおり、2001年から2006年にかけて、対日投資を5年で倍増するというのが対日投資委員会で決定されております。それから、今年の3月にまた新しく、2010年に向けて、今度はGDP比率ですけれども、今、2006年で2.5パーセントぐらいですけれど、これを5パーセントぐらいに倍増するというような、大きな政府の目標というのが掲げられております。それから、この箱の一番下の五つ目の黒の四角、案件発掘件数、年平均1,000件というのはジェトロの中期計画の目標値になっております。
 主な事業でございますけれども、対日投資について、いろいろな投資相談、日本の投資にかかわる規制、制度はもちろんのこと、様々なセミナー、シンポジウムを通じて、広報・情報発信をしております。それから、日本に投資を考えている外資が来て、そのオフィスを約50日間提供するようなビジネスサポートセンターを提供したり、あるいは自治体が、例えば大阪府がイギリスに出ていってセミナーを開くというときに、一緒にミッションを組んだりというような、自治体の誘致活動の支援をしたりしております。
 成果につきましては、表にまとめておりますけれども、発掘案件件数あるいは誘致成功件数は、大体3倍から4倍になっております。それから、アジアからの対日投資が増えておりますし、東京以外の地域も誘致では増えているというのが特徴でございます。
 次のページ、中小企業の輸出支援も大きな柱でございまして、90年代は失われた10年と言われておりましたけれども、実際には、アジアを中心に日本企業は海外に展開しておりますし、特に90年代後半、元気のいい中小企業が海外を舞台に活躍している、いわゆるグローバル・ニッチ企業というのが日本の新しい成長の原動力となっております。
 主要な事業といたしましては、海外のいろいろな市場の調査や、それに基づく情報提供をしたり、あるいは展示会・商談会への出展支援とございますけれども、これは、例えば国際的な展示会に出ようと思うと、ほかの国は大体、政府がまとめてブースをとるんですけれども、日本の場合は、ジェトロの名前でブースを借りて、中小企業を集めて出る。もちろん事業者負担を2分の1から3分の1はしていただくという形で、国際的な展示会に出たり、あるいは日本での商談会を開いたりというのがございます。それから、マッチングとか商談支援につきましては、ここにございます六つの重点分野を定めて行っております。
 成功事例でございますけれども、最近、WTOや、あるいは経済連携、自由貿易協定、そういうものの中で農業がネックになっておりますけれども、むしろ、その農業を守りから攻めるということで、農林水産省の方も輸出促進を一生懸命行っております。ジェトロもそれらの支援をさせていただいております。
 それから、輸出で見ますと、その機能とか製品というより、むしろ文化的な特性に重きを置かれるようになっておりまして、そういう意味で、そのコンテンツとかファッション、ファッションにつきましては、中国にジェトロが音頭をとって、展示会を開いたりというのをしております。
 それから、一番下には、重点6分野の商談件数というのを掲げさせていただいております。
 それから、その次が開発途上国支援でございます。これは今、WTOで運動というのを開いておりますけれども、今年の12月を目途にまとめる予定でございますけれども、途上国を巻き込んだ貿易ルールをつくる。そのときに、発展途上国の産業振興をし、貿易を通じて国際社会に取り込んでいこうというのが大きな課題になっております。それらを後押しする形で、ジェトロとしても、例えば、アフリカや中南米やアジアのなかなか民間では商売ベースにならないような展示会を開いたり、あるいは専門家を派遣して輸出できそうな産品を発掘したり、あるいは日本の政策手法なり制度づくりの専門家を派遣するという事業をやっております。成果の事例のところで、特に輸出産業、相手国の輸出産業、その産業の育成や、あるいは、ここに中米展とかメコン展とございますが、こういうような取組をしております。
 以上が、ジェトロが注力している大きな三つの柱でございます。
 それから6ページ、これは先端分野でのビジネス・マッチングでございますけれども、ハイテク分野での中小企業の国際展開、ビジネス・パートナーを探したり、マッチングを支援する、いわゆるグローバル・ニッチ企業をお手伝いしようということで、特にバイオや情報通信、それから、ロボットという分野に、その重点を置いて行っております。
 成果事例のところにございますけれども、例えば、関西とシカゴにおけるバイオ関係者の交流、あるいはいろいろなイベントに一緒に参加することによって、成功事例でございますけれども、ビジネス・パートナーを見つけることができたということもございます。
 それから、次のページをめくっていただきまして、五つ目の柱、これは正にジェトロの基本的な業務でございますけれども、海外55か国に73事務所を持っておりますので、これをフルに活用しまして、マクロ経済あるいは市場情報、企業情報のみならず、相手国の諸政情、それから、進出する日本企業が直面するような課題について情報を収集し、提供する。成果事例のところにございますけれども、最近、特にEPA(経済連携協定)、俗に言うと自由貿易協定でございますけれども、こういう締結の際に、いろいろな情報を提供したり、政策提言をするというようなことを行っております。それから、去年のちょうど今ごろ、中国で反日デモがありましたけれども、これについて緊急に情報を取って調査をして、政府に通報するという取組もしております。一番最後に貿易投資相談でございますけれども、本部に貿易投資センターがございまして、いろいろな相談業務をしているということでございます。
 8ページ、海外事業円滑化支援とありますけれども、これは海外に日本企業が進出する際の支援、それから、進出してからのいろいろな問題、海外での労務や法務、税金の問題などについて、いわゆる「駆け込み寺」的な機能の役割を果たしております。それから、この数年間、非常に知的財産について、ジェトロが中心になって、特に中国に対して、相手国政府に対しても日本の企業の意見をまとめ、政策提言を行っておりますし、最近ではインドなどに対して、中小企業を中心にミッションに派遣しております。ジェトロが行けば、インドでも首相自ら出迎えていただけるということで、中小企業が海外進出する際の後ろ楯となる、という取組もしております。
 それから、最後の柱になりますが、9ページ、開発途上国経済研究活動でございますが、これはいわゆるアジ研が行っております調査研究の部分でございます。
 主要事業のところに、基礎的かつ総合的研究などいろいろございますが、一言で申し上げれば、アジ研は、御案内のとおり、アジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカ、すべてのLDC(後発開発途上国)をカバーする研究機関でございまして、各分野でも高い評価を受けております。現地でのネットワークもございます。そういうアジ研の持つ豊富な地域研究機能と、ジェトロの情報収集あるいは貿易投資の振興事業の両方のシナジー効果を発揮させようというのが統合の際の考えでございまして、実際に、個々の成果のところを見ていただければ分かりますが、今、日本の対外経済政策に一番重要なのは、EPAをどうするか、あるいはWTOにどうやっていくかということでございますけれども、実際にやる場合には、EPAにおいてはまず地域研究を民間ベースで共同で行います。その際にアジ研というかジェトロは、旧アジ研は、日韓の、例えばEPAの窓口になって、ジェトロが本来持っている、いろいろな現地の制度あるいは日系企業の声をいかすというような形で進んでいきます。あるいはWTOにおきましても、地域研究から、それを貿易・産業振興に結びつけていくところでございまして、アジ研とジェトロの機能の融合が今正に政策ニーズとして求められているし、そういう機能を果たしているのではないかと思っております。
 それから、最後のページ、業務効率化の取組でございますけれども、私ども、できるだけ選択と集中ということで、対日投資、中小企業の輸出支援、開発途上国支援に、予算もシフトしてきております。マクロで見ると、交付金は、先ほど申し上げましたように、17年度に比べて約8パーセントの削減をしておりますし、輸入関係の事業というのは減らしております。事務所の効率化も、先ほど申し上げたとおりでございます。それから36か所ございます国内事務所、これは原則、自治体に負担をしていただいておりますけれども、負担金の見直しということで、負担割合を増やしたりということをしております。それから、業務管理費、一般管理費の削減につきましても、目標値、一般管理費10パーセント、業務経費費3.5パーセントに向けて、着実に効率化を行ってきているところであります。それから受益者負担につきましても、いろいろな顧客に対するサービスというものを分かりやすく提供し、利用していただくということを取り組んでおりまして、15年に比べると、ここに書かれている通りとなっているところでございます。
 以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 ただいま御説明がありました日本貿易振興機構の事務・事業につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どなたからでもお願いいたします。

 黒川臨時委員
 それでは、数点、質問させていただきます。
 まず1点目でございます。ジェトロの主たる業務というのは、そのときどきの日本の状況というもので重点が移ってきていると思うわけであります。そこで、一時期は輸入に重点があったこともありましたけれど、今は、かなり減らしているということでございます。それでも、今日、御説明を受けたところ、かなり幅広い業務をされている。特にバイオなどまでされている。私も少しは知っているつもりでしたけれども、実際にはもっと広くされているのかなと思った次第です。何かほかの独法と重複しているようなところもあるのではないかと思います。中期目標において中核事業と位置付けられるようなところに特化・重点化していって、もう少し減らすべき、整理すべきところは減らした方が良いのではないかという気もしますけれども、その辺について1点。
 2点目は、アジア経済研究所の位置付けでございます。本日の御説明ですと、統合の効果が徐々に上がっているということですけれども、具体的に、もう少し御説明をいただきたい。今日は、時間があまりありませんから、もちろん簡単で結構ですので、後で文書等で具体的な事例等を教えていただければと思っております。
 3番目は、統合の効果と関連するのですけれども、自己収入の増加をどのように考えているか教えていただきたい。特にアジア経済研究所の研究成果をどのように扱うかという点で、旧アジ研をどういう方向に持っていくかとも関係すると思うのです。あるいは政策提言の方にいくのか、あるいは客観的な研究機関にしていくのか、その辺も踏まえて、2番目との関連で教えていただきたい。
 それから最後、4番目ですが、ジェトロは、私は、国内から国外までの情報のネットワーク機能が根幹ではないだろうかと思います。国内事務所と海外事務所、それぞれの情報を結びつける、ネットワークがジェトロは大事だと思うのです。まず、国内事務所について、地方、特に中小企業を考えていますけれども、各地場産業等々との情報、そして国内事務所に結びついて、それから海外拠点との、どういうところに売れるかとか、そういうところのネットワークが大事だろうと思うのですけれども、その辺の適切な業務運営というか、そのネットワークはどのように構築され、それから、地方自治体等との連携はどのように進んでいるのか、この辺、もう少し御説明をいただきたいと思います。

 岡本臨時委員
 今の黒川委員の御質問に関連させて、3点ばかりお聞きします。
 アジア経済研究所の位置付けですけれども、経済産業省全体で見ると、経済産業研究所があり、ここも政策研究を行っていらっしゃる。アジア経済研究所も、恐らく政策研究を行っていらっしゃる。この辺を経済産業省でどのように政策研究として位置付けていらっしゃるのか、もう少し大きな見方というものが必要ではないのかと個人的に思いますので、その辺の見方を教えていただきたいと思います。
 2点目の海外事務所ですが、効率化の観点から、我々が考えているのは、効果的な配置というのが必要ではないか。私のかつての経験からいいましても、外務省の在外公館の経済班とジェトロ、あるいはほかの独法の海外事務所との間でもう少し、オールジャパンで必要な情報を有効に効果的に収集し、提供することがあってもよいのではないかという場面が幾つもありました。その辺は、そういうお考えがないのかどうか。単にジェトロの中で効率的にというのではなくて、もう少し広く考えて、効果的な日本の事務所というものを作っていくべきではないかという意見です。
 そういう観点からみますと、統廃合を進めていらっしゃるのは、先進国を閉めて途上国を増やすと聞いたこともありますけれども、これはどのような考え方からそのようになっているのか。むしろ、先進国は民間の情報があるから、それはもうよいとお考えになっていらっしゃるのか。あるいは途上国はもっと注力しようと、みんなそのようになさっているのか、その辺のお考えをお聞きしたい。
 最後ですが、自己収入に関連いたしまして、自己収入はどんどん増やしてほしいと思うのですが、増えた結果、支出が増えてもいけません。先ほどもほかの機関にも申し上げましたけれども、最終的には行政サービス実施コストということで、国民負担ができるだけ減って、効果が大きくなるような形と思っておりますが、そういう指標を、是非有効に活用していただきたい。

 富田分科会長
 それでは、まとめて、簡潔にお答えいただければと思います。

 木村通商政策課長
 まず、黒川委員の御指摘の、そのときどきによって状態が変わるのではないか、バイオとか、そういうビジネス・マッチング、私の説明の中にございますけれども、そういうのは少し手を広げ過ぎではないかという御指摘でございます。ほかの独立行政法人、例えばバイオとかITの関係で、そういう研究開発とかソフトの開発をやっているというならば、経済産業省の関係でもございますし、ほかの省庁にもあるかと思いますが、こういうビジネス・マッチング、特に中小企業が世界に出ていくためのこういう支援というのは、私が不勉強かもしれませんけれども、重複はあまりないかと思います。
 それから、もっと特化、重点化すべきではないかという御指摘につきましては、御指摘のとおりでございまして、私どもとしては、できるだけ対日直接投資あるいは中小企業等の輸出支援、開発途上国支援に特化させようと思っております。バイオなどのビジネス・マッチングは、予算面においても3から4パーセントと非常に小さい。むしろ中小の支援と合体したような位置付けになっております。
 それから、アジ研の位置付け、統合の効果でございますけれども、これはまた後ほどペーパーで出させていただきますけれども、例えば今、EPA(経済連携協定)というのが一つの大きな、国にとっても、我が国だけではございませんけれども、政策課題になっております。例えば日本とASEANの連携協定を行うときの研究、大体、EPAを結ぶときには、事前に民間ベースで研究をして、それから政府ベースの交渉に入るということを一般に行っておりまして、日本とASEANだけではなくて、日韓やその他のときにも、ジェトロといいますか、その中でのアジ研が日本の主たる有識者として入っております。そういう地域研究があって、その次に政府が交渉に入るという意味で、貿易投資を拡大するというのがEPAのねらいでございますので、そのときは貿易投資と地域研究というのは、今非常に、日本だけではなくて、国際的な新しい貿易ルールをつくる中で連携をしているのではないかということで、具体的にはまた、いろいろな効果はございますので、お示しをさせていただきたいと思います。
 それから、自己収入につきましては、アジ研につきましても、いろいろな出版物などで得ておりますけれども、今後また更に、アジ研の機能における自己収入の在り方というものについても検討させていただきたいと思います。
 それから、五つ目の情報ネットワークの機能で、国内事務所と海外の事務所のネットワークをもっとうまく構築していくべきではないかという御指摘につきましては、国内事務所の役割というのは二つございまして、一つは地場産業が世界に出ていくときの支援をする、それから、外資が入ってくるときにそのお手伝いをする、あるいは地方公共団体が外資を誘致するのをお手伝いする。そういうときに、もちろん海外事務所が例えば中国に進出しようというところについては、海外事務所の、正に本部の情報を国内事務所を通じて地域に流すし、あるいはその地域に外資を誘致するというときにも、海外事務所とのネットワークを本部が旗ふり役となって行っているつもりでございますけれども、ここはもう、更に有機的な連携ということで検討させていただきたいと思います。
 それから、経済産業研究所は、昔の通産研究所ですが、そもそも私どもの国の機関だったのですけれども、そこの中で行われているアジアの研究と、このアジ研の位置付けでありますけれども、経済産業研究所というのは、アジアの研究だけではなくて、もちろん、今、経済産業政策の中で、アジアとの経済統合が非常に重要なので、柱の一つになっておりますけれども、一番の違いは、アジ研というのは、ほかの研究機関と違って、これは経済産業研究所だけではなくて、ほかの民間と違って、すべての途上国についてのエキスパートがいるということです。それから、すべての国の情報収集が、その現地の言葉を介して、きちんと情報収集できる。例えば経済産業研究所で地域、アジアと日本の関係などの研究をしても、これはまあ、経済学者の方とか、そういう地域研究のエキスパートも入りますけれども、そういう意味で、大分、深みも違うのではないかと思っております。
 それから、もちろん、アジ研と経済産業研究所との連携というのも図っているところでございます。
 それから、海外事務所の配置でございますけれども、私ども、先ほど申し上げました8か所廃止して2か所新しく作りましたという、8か所はヨーロッパを中心に、それから、新しい2ヶ所は中国でございます。これは日本の経済の軸足が、ヨーロッパよりも、むしろアジアにどんどんシフトしておりますので、新しい企業の進出のフロンティアとしてどこを考えるか。それに対して、行政機関というか独法が、公的な役割として、ヨーロッパよりも、むしろ中国というところについて、いろいろな情報提供をする、あるいはお手伝いをするという必要があるのではないかということで、そういうシフトをさせていただいているということでございます。
 以上でございます。

富田分科会長
 ほかにいかがですか。本日のところは大体そういうことでよろしいですか。
 それでは、先ほども岡本委員から御指摘がありました自己収入の増加と行政サービス実施コストの引下げについても、より一層の推進をお願いしたく存じます。
 本日はどうもありがとうございました。
 続きまして、原子力安全基盤機構の事務・事業に議題を移します。早速ではありますけれども、原子力安全基盤機構の事務・事業の概要につきまして、御説明を10分でお願いいたします。その後、質疑応答をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 新井統括安全審査官
 原子力安全・保安院の統括安全審査官をしております新井と申します。
 本日は、私ども原子力安全基盤機構について説明する機会を与えていただいて、ありがとうございます。時間も限られていますので、早速ですが、お手持ちの資料に沿って、説明に入らせていただきます。
 まず、1枚目、2枚目ですけれども、私ども原子力安全基盤機構、JNES、略してジェイネスと呼んでおります。このJNESの中期目標期間の主な業務実績という形で、本日、資料を用意させていただきました。
 ページ番号の1番、目次を御覧いただきますと、JNESの業務分野が大きく1から6の六つに展開されております。それぞれの分野ごとに、これまでの成果を簡単に御紹介したいと思います。
 それでは1枚めくっていただきまして、ページ番号2番を御覧ください。JNESの業務の内容といたしましては、検査等業務、解析・評価業務、防災業務等々ございまして、それぞれ六つのカテゴリーに分かれております。その中で、主な成果をそれぞれの枠の中に記載してございます。例えば検査等業務につきましては、定期安全管理審査という審査業務を実施しておりまして、これまでそれを25件実施しているということと、その他の使用前検査と書いていますけれども、こういった検査業務を約1,000件実施しているというものでございます。また、隣の解析・評価業務を御覧いただきますと、2番目のポツのところに、平成17年8月の宮城沖地震に関し、クロスチェック解析により女川原子力発電所の健全性を確認とございますけれども、発電所の健全性の確認ですとか、事業者の申請してきた書類のチェックをこの業務で行っております。そのほか、事故・トラブル対応、防災関係、安全規制の検討、情報収集といった業務に分かれております。
 それでは、ページ番号3以降で、各業務の内容について、少し具体的に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、検査等業務でございますが、表が少し細かくて見づらいかもしれませんが、国と分担して実施するものとJNESがすべてを実施するものということで、大きく二つのカテゴリーという意味で、左と右に分かれてございます。原子力施設というのは、発電所を始め、非常に多岐の施設にわたっておりまして、そちらが左の欄の少し薄い黄色のところに書いていますけれども、製錬施設から始まって、3番目に、いわゆる原子力発電所がございまして、最後の方、廃棄物埋設施設ですとか核燃料物質の使用施設というふうに施設ごとに分かれてございまして、それぞれの施設に応じた検査というものが、それぞれ右の列に展開されているというものでございます。原子力施設は、主に経済産業省と文部科学省で安全規制を行っておりまして、経済産業省の規制にかかわる部分が水色の部分でございます。文部科学省の規制にかかわる部分が肌色で色塗りしたところでございまして、もう一つ、国土交通省も運搬方法の確認業務を行っていまして、一番右側の紫の欄がそれに相当いたします。文部科学省は、横の左の欄で見ていただきますと、試験研究炉とありまして、主に大学の実験施設ですとか、核燃料物質の使用施設、核燃料物質を使って実験したりということの、主にその規制を担当しているというもので、それ以外については、経済産業省、私ども原子力安全・保安院が担当しているというものでございます。その中で、国とJNESとで役割が分担されているというものでございます。
 1枚めくっていただきまして、ページ番号4でございますけれども、自治体への検査結果等の説明を実施というものでありますが、先ほどの説明の中で、JNESのみが実施しているという検査も相当数ございますので、その検査結果等につきましては、JNESがその重要性にかんがみ、説明責任を果たすという観点から、積極的に自治体説明を実施しているということについて、こちらに書かせていただきました。
 続きまして、下のページ番号5番を御覧いただきますと、こちらに解析・評価の業務実績について書かせていただいております。こちらは主に17年度の実績を書かせていただいておりますが、まず、解析・評価というのはどういうことを行っているかということについて簡単に触れさせていただきますと、事業者が原子力発電所を新たに設置する際、あるいは変更の申請をする際に、経済産業省に申請をするわけですが、その申請が妥当なものであるかどうかということを経済産業省が安全審査という形でチェックするわけです。
 JNESは、これと並行して、事業者が行った設計なり申請書の内容が技術的に見て妥当かどうかということを、クロスチェックと呼んでいますけれども、解析を行うというものでございます。この中で、主な特徴のある成果といたしましては、青字でアンダーラインを引いて書いてございますけれども、東北電力女川原子力発電所2、3号炉に係る耐震解析というものがございます。
 こちらにつきまして、1枚めくっていただきまして、ページ番号の7番を御覧いただきますと、先ほど冒頭の説明でも若干触れましたが、平成17年8月、宮城県沖地震が発生いたしまして、発電所が自動停止したという経緯がございます。この際に、耐震の設計限界地震動を一部超える地震動が観測されたということで、かなり新聞等でも大きく取り上げられたわけですが、ここでJNESとして、女川原子力発電所の耐震安全性というものを解析・評価を行いました。その結果、耐震安全性に問題はないという結果を得まして、今年の1月、発電所の再開に結びついているというものでございます。
 続きまして、事故・トラブル対応について、ページ番号8を御覧いただきたいと思います。事故・トラブル対応といたしまして、一昨年8月に発生いたしました美浜原子力発電所の配管破損事故をこちらの方で取り上げておりますけれども、美浜の3号機の事故といいますのは、国内の原子力発電所として初めて死亡事故が発生したというもので、関係者の間で非常に大きな問題として取り上げられたものでございます。この事故に対しまして、経済産業大臣からJNESは要請を受けまして、現場の立入検査を実施し、また、その後の原因究明のための調査、解析を行ってございます。この一連の対応策が非常にスムーズに行えたということで、内外の関係機関から高く評価されているほか、その後の対応策にスムーズに結びついていったということで、この美浜事故の対応というのは、非常に大きく、原子力・保安院、JNESの技術的知見が貢献したというものでございます。
 続きまして、防災関係でございます。ページ番号9番に書いていますが、年に1回、国の主催で総合防災訓練を実施しております。昨年は柏崎刈羽原子力発電所で防災訓練が実施されまして、その際、JNESが果たした役割について記載しております。
 1枚めくっていただきまして、10ページでございますが、こちらは近年のテロ対策の高まりを受けまして、我が国で武力攻撃事態法が平成15年に制定され、翌年には国民保護法が制定されております。こうした事態を受けまして、JNESは指定公共機関に指定されております。また、JNESとしての国民保護業務計画を17年度に策定して、大臣に届け出たところでございます。
 続きまして、下のスライドを御覧いただきますと、安全規制の検討とございます。原子力安全・保安院では、様々な安全規制の検討を行っているわけですけれども、ここで紹介していますのは、今後、保安院として大きな課題の一つとして取り組んでいく必要がある廃止措置関係について記載したものでございます。この廃止措置対策についても、今後、JNESの技術的な知見、役割というものが期待されているというところでございます。
 それから、12ページの「6.情報の収集・整理・提供業務」がございます。こちらはJNESとして安全情報データベースを構築しておりまして、昨年の3月末のデータ件数ですけれども、76万件のデータを整備しております。ここで重要なのは、単にデータを集めて整理して提供するということだけではなく、集めたデータの分析や評価を行っております。中には、まだ国内では発生していない問題であるけれども、今後、予防、保全という観点から対策を講じた方がいいというものも中にはございます。そういった分析結果を原子力安全・保安院に報告いたしまして、具体的な予防、保全対策に結びついているというものでございます。
 1枚めくっていただきまして、15ページを御覧いただきたいと思います。原子力安全関係機関との協力体制ということで、真ん中にJNESを書かせていただいておりますが、まず、保安院との関係につきましては、先ほど冒頭申し上げました例えば検査業務については、検査結果の通知ですとか、その他、安全規制への技術的な貢献を果たしているところでございます。一方、経済産業省、原子力安全・保安院からは、中期目標や安全研究の指示ですとか検査の要請といったものを行う、JNESがそれにこたえるということになっております。また、下の方には関係機関との連携や協力体制について書かせていただいております。
 最後になりますけれども、JNESの行動規範、コンプライアンスについて書かせていただいております。JNESは、原子力安全・保安院と連携し、強い使命感を持って、原子力の安全確保の一翼を担うということを職員一同認識、自覚を持って業務に取り組んでいるというものでございます。
 以上、非常に簡単ではございますが、私の説明とさせていただきます。ありがとうございました。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました原子力安全基盤機構の事務事業について、御意見、御質問などございましたら、どなたからでもお願いいたします。
 稲継委員、お願いします。

 稲継臨時委員
 御説明どうもありがとうございました。少し漠然とした質問になるかもしれませんけれども、3点ほど、お伺いしたいと思います。
 一つは、国家として原子力政策を進めている中で、JNESの位置付け、役割というのは何なのかということを教えていただきたい。
 今後、引き続き、独立行政法人として原子力政策の一部を実施しなければならない理由というのが、いまひとつ明確でない部分がございますので、その辺、御説明いただければと思います。JNESで行っておられる業務について、JNESという独立行政法人以外で行える可能性が無いのかどうかについても言及いただきたいと思います。
 例えば、今の御説明の中で、3ページのところで、検査等業務に限って言えば、非常に詳細に、国との分担あるいはJNESですべて実施するものと分かれているわけです。これは何で分かれているのかというと、法律の条文がそうなっているからというお答えになるのかもしれませんけれども、そもそも、その思想というのは何だろうか、独立行政法人でなぜやらせることになっているのだろうかということについて、教えていただきたい。
 2点目は、JNESで、検査等を始め、非常に多岐にわたる業務を実施しておられるわけですけれども、すべてを一体的に実施する必要があるのかどうか。全体でも四百数十名の職員しかおられないと聞いておりますが、業務の重点化を図って、資源を真に必要な分野に投入すべきではないか。例えば、規格基準業務などについては、自らではなく民間委託で行っておられるわけですけれども、国からJNESにその業務分担があって、さらに民間に委託しているということであれば、国から直接、民間委託すればよいではないか、JNESを通さなくてもいいではないかという国民の声が聞こえてきそうでもあります。その辺のところ、真に必要な業務に重点化を図るという観点からは、今後どのように考えられるのか、お教えいただければと思います。

 岡本臨時委員
 関連で、1点だけですけれど、稲継委員のお話にもありましたが、過去の経緯から、JNESが行っておられるということでは、独立行政法人化した理由にはならないと思います。やはり一つは、今日の御説明の資料の中には無かったのですが、JNESになって、どのように効率的に必要な業務をやっていらっしゃるか。原子力は非常に重要な業務だと思いますけれども、過去と同じ効率性を追求していたら駄目なのではないか。やはり努力していただかなければいけないと思っております。どのように効率的に各業務を行っていらっしゃるのか。稲継委員がおっしゃいましたけれど、我々素人から見ると、JNESがここにいなければならない、そういう位置付けになっている業務があるような気がします。もう少し、説明責任という意味で、分かりやすく説明をしていただくことが必要ではないのか。結果的に、行政サービス実施コストはどれだけ減ったのかというところを、やはり国民は監視をしているのではないかと思っております。

 富田分科会長
 それでは、お二方の御意見に対しまして、簡潔にお願いいたします。

 新井統括安全審査官
 それでは、お答えさせていただきます。
 まず、JNESの設立の考え方、国との役割分担についてでございますが、例えば検査業務で、明確に国とJNESの役割が切り分けられているわけですけれども、この基本的な考え方といいますのは、JNESは現場に精通した専門家集団として、材料や機器のスペックや検査データの妥当性の確認などを行うということが役割になっております。国の役割はといいますと、そういったJNESが実施した部分も含め、原子力発電所の設備としての安全機能の総合的な確認を行い、その合否判断等の行政処分を行うというものでございます。すなわち、現場に精通した技術者集団、専門家集団、そして、その知見を最大限活用して、保安院の安全規制に貢献するというのがJNESの使命、役割でございます。一方で、保安院は、原子力安全行政の企画、立案、実行に資源を重点的に注ぐということで、両者が正に一体となって、原子力安全行政を担っているというものでございます。
 また、効率化の話ですとか、あと、JNESでなければ駄目なのか、また、民間に直接委託できないかといったような御意見がありましたけれども、我々としては、まず、原子力安全規制というのは、基本的には、国が自ら実施するべきものであると考えております。しかしながら、全体の効率性や役割分担という観点から、必ずしも国は直接実施しなくてもいいような、例えば技術的な判断ですとか、スペック、データ等の確認、それに付随する業務については、独立行政法人に業務を委託しているところでございます。JNESで扱う業務の中身、扱う情報といいますのは、非常に原子力安全規制にとって重要な情報が多々含まれております。例えば、事業者が申請して提出される書類、原子炉設置許可申請には、いわゆる核物質防護に関する様々な情報が含まれております。そういった業務や、扱う情報の性質からかんがみて、これを民間にゆだねるというのは、あまりにリスクが高いと考えております。
 一方で、効率化という議論につきましては、JNESはほかの独法と異なり、前身となる母体が存在しておりませんので、その前後でどれだけ効率化が図られているかという比較はできないわけでございますけれども、JNES発足以降、ほかの独法と同じように、効率化を行っておりまして、今後、第1期から第2期に向けても、継続して、こういった効率化の取組は、やはり続けていきたいと考えております。
 簡単ではございますが、以上です。

 富田分科会長
 いかがでしょうか。
 それでは、まだお聞きしたい点、また、意見を述べたい点もあろうかと思いますけれども、時間の都合もありますので、ここで打ち切らせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、情報処理推進機構の事務事業に議題を移します。
 それでは、情報処理推進機構の事務事業の概要について、10分で御説明をいただきまして、その後、質疑応答を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 羽藤情報政策課長
 それでは、情報処理推進機構につきまして、私、経済産業省の情報政策課長を務めておりますが、羽藤と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。御説明をさせていただきます。
 お手元に資料を用意させていただきました。開けていただきますと、組織の概要、ミッション、業務の概要とございますけれども、ポイントは、この独立行政法人は、3にございますように、四つの大きな事業の柱を持っております。情報処理システムの信頼性・生産性の向上。これは最近では、大規模な重要インフラについて、システムの障害が起こる、もちろん、これはいろいろな原因があるわけですけれども、その背景として、果たして、システムの作り込み、ソフトウェアの機能というものが的確かどうかという議論がございます。これをこのIPA、情報処理推進機構では、ベースとなるスキル、そして、信頼性・生産性を向上させていこうというミッションを持って取り組んでいるというところが、まず一つございます。
 それから、情報セキュリティー対策の確立。これは最近でもWinnyの事件がございました。こういったことに対して早く注意を喚起する、それから、対策をしっかりと促す、あるいは自ら取り組んでいくというような業務に取り組んでおります。
 それから、高度IT人材の確保。文字どおり、IT人材をこの日本の経済社会の中で支えていく、その基盤的なところを担っております。
 そして、産業競争力の強化とありますけれども、これは、技術を通じまして、日本の産業活動をソフト面、知的な部分で支えていこうと、こういった四つの柱で業務を展開しております。
 組織が平成16年、従前の法人改革の下でこれができておりまして、予算には、国からの財政も投じまして、事業を展開しております。役員数は5名、常勤職員数が206名ということでありますけれども、この206名には、各ベンダーと呼ばれます事業を実際に構築している企業、あるいは一部はユーザー、各方面からの出向者あるいは研究員といった方に集まっていただいておりまして、言わば産官学の英知も集めながら事業を展開しているということでございます。ここにございますように、情報処理の促進に関する法律で、この機構の目的が定められております。
 3ページを開けていただきたいと思います。先ほど申しましたように、四つの柱を黄色い箱で書いております。その前提となっております、あるいは共通していますことは、ソフトウェアと呼ばれるものが、これが21世紀の経済社会を支える基盤であるということで、我が国のIT戦略をソフトウェアの観点から推進すると、こう書いております。実は、ここにございますように、我が国のIT戦略がベースとしてあるわけでございます。
 4ページをお開けいただきたいと思います。IT新改革戦略は、総理大臣が本部長を務めるIT戦略本部で、この1月に策定された日本のIT国家戦略であります。この中には幾つかの柱がございますけれども、特に、ITによって社会が、あるいは日常生活も含めて直面している課題を解決していこう、そして、構造改革を進めていこうと、こういうものをITが支えるのであるという位置付けがございます。その中には、一つには、例えばデジタル・ディバイドが無いIT社会、安心してITを使える環境の整備、人材の育成、それから研究開発、こういったことを世界へ発信しながら、日本がITを使いこなしていくということを世界のフロントリーダーとして実践していこうではないかという位置付けがございます。そして、このそれぞれのテーマを支えている中で、実はIPAの役割というものは、非常に大きなものがございます。この右側にございますように、情報処理システムの信頼性・生産性の向上という点では、先ほども触れましたけれども、ソフトウェアの開発をいかに高度化させていくかとことがございませんと、安心してITを使える環境、あるいはデジタル・ディバイドといったものも支えられません。また、情報セキュリティー対策をしっかり行うということも同じようなことでございますし、高度IT人材の確保といった点も、人材の育成、教育といった国家戦略にとって不可欠な観点でございます。それから研究開発、産業競争力の強化と右にございますけれども、世界へ発信していく上でも、IPAの果たしていく役割は、非常に大きなものがあると考えております。
 5ページをお開けいただきたいと思います。時間の関係もございますのでポイントだけ申し上げたいと思いますけれども、冒頭申しましたように、情報処理システムの信頼性・生産性の向上ですが、これは一度、いろいろな支障が起こる、トラブルが起こりますと、経済的な損害、影響は多大なものになります。そこで、まず、そういうトラブルが起こらないようにシステムをつくる、あるいはソフトウェアがしっかりと働く、機能するというところで、ソフトウェアの開発力というものを高めていくということが、ベースの大事な規制になるのではないかということであります。これは工学的な手法で生産工程を改善していこう、高度化していこうというものであります。
 特に6ページを御覧いただきたいと思いますけれども、今、車であるとか、あるいは携帯電話であるとか、ソフトウェアが果たしている役割というものは、かつてに比べると、非常に大きなものが目に見えない形で組み込まれているわけであります。こういうものについては、しっかりと我が国の高度な知見、それぞれ企業にも分散をしておりますけれども、それを更に高めていくためには、先ほど申しましたように、産学官、英知を結集する形でソフトウェアの生産の高度化を図るということは、非常に重要であるということであります。
 7ページでございますけれども、コンピュータ・ウイルス等への対策を強化しながら、セキュリティー対策を進めております。左下にございますように、Winnyの問題というのが最近起こっておりますけれども、情報漏えいを防止するために、緊急対策情報をとにかく発信をする。そして、相談窓口を設ける。Winny119番といったようなものでありますけれども、こういったものをIPAが設けながら、ウイルスや不正アクセス対策に取り組んでいる。あるいは情報システムの脆弱性についても、どういった点が安全性上問題の箇所があるのかということをIPAに届け出ていただくような形でセキュリティー対策に注意を促していく、あるいは取り組んでいくきっかけを、それぞれ促していこうということでございます。
 具体的には8ページを御覧いただきたいと思いますけれども、セキュリティーの機能というのは、もちろん国際的に、いろいろな測り方、評価の仕方がございます。特にIPAは、そういった観点では、国際標準に基づいて、それぞれの機能、機器といったものを認証する、そういった役割を我が国内で担っております。10か国で相互承認をしながら、これはグローバルなレベルでも、このセキュリティーのレベルを高めていくというところでIPAが寄与しております。
 9ページでございますけれども、情報処理技術者試験でございます。これもIPAが担っているものでございます。たまたま、明後日の日曜日が、平成18年の春の情報処理技術者試験でございます。最近では、どちらかといいますと、若い方々のソフトウェア・エンジニアリングを目指そうという層が少し減っているところが、やや気になるところでございます。ただ、ここは国家試験として、しっかりと資格を目指していこうということを、むしろ、今の日本の社会に促していくということが非常に重要な意味を持つのではないか。それを、ここにもございますように、関係の産学の方々、試験委員という形で非常に労力をいただいているわけでありますけれども、御協力をいただきながら、特定の技術、特定の企業に偏らないという意味での中立性というのが非常に大事でありますので、そういう観点から、この試験を実施し、それととともに、試験のアジア展開に努めているところでもございます。
 10ページ目でございますけれども、IT人材の確保というものは、そういった試験制度とともに、一体、それぞれどういったスキルがあるのかということを相互に把握ができるような形、表記ができるような形にしていくということで、ここにスキル標準とございますけれども、いろいろなITに関係する能力というものがございます。それを指標化して、そして、企業にとってみますと、それは人材を図る上での、あるいは個人にとってみますと、自分をとにかく高めていく上での、そういったステップとして指標を提供している。こういったことも、時代の変化あるいは技術の進歩といったものを背景として磨いていっております。
 それから11ページでありますけれども、ソフトウェアは、何といいましても、産業の競争力の基盤的な技術、このベースをもたらしているものでございます。特にその中でも、ソフトウェアの組み立ての中身がしっかりと明らかになっているオープンソース・ソフトウェアの登場というものが、次なる改良、更なる改良に努めながら、イノベーション、新しい技術の進歩にまたつながっていくという役割を担っています。IPAでは、このオープンソース・ソフトウェアに力を入れて基盤整備、情報収集・提供などを行っております。オープンソース・ソフトウェアを導入することによって、全体的にコストがどの程度下がるのか、あるいはセキュリティーは大丈夫だろうか、こういった議論もございますけれども、コストについては大体、これを低減させていく方向性、そして何といいましても、このオープンソース・ソフトウェアをベースにしながら、いろいろな作り込みをしていくというところで、イノベーションの効果が非常に期待できるという意味では、将来に向けても重要な位置付けのものでございまして、こういった普及促進に取り組んでおります。また、ビジネスグリッド・ミドルウェアと書いてございますけれども、要するに、更に次の世代の基盤となるようなソフトウェアは何かという、そういう研究、取組もしているところでございます。
 そして12ページ目でありますけれども、債務保証でございます。債務保証の事業につきましては、いろいろな視点がございましょうけれども、私どもとしては、次のように考えております。
 例えば、セキュリティーにかかわるソフトウェアの開発において、非常に多くの中小企業の方々がソフトウェアの開発に携わっている、こういったケースにおいては、民間の金融機関では、例えば、過去の黒字実績あるいは取引の成果といったものについて、測る指標がなかなか無い。また、当然のことながら、担保力の無い中小企業が、非常にたくさんございます。あるいは個人が実際にそういう形でベンチャーで起こしていこう、新しい技術を開発していこうという取組はあるわけでありますけれども、そういったところでは、なかなか金融機関では届かないところもございます。
 一方で、この業界あるいは技術といった環境の変化も含めてですけれども、非常に多様化、進化のスピードが早いものでございます。そういう債務保証事業については、IPAでは、先ほど来申しますように、ソフトウェアの開発を行う、あるいはセキュリティーについての基盤を支えるといったようなことで、我が国の中でも唯一、総合的な力を持っている機関でございますので、ここがそれぞれの個別の審査を技術的にも行う中で、連携を取りながら債務保証の事業を展開しているということで、本来であれば、融資も併せて、実は国策として、産業競争力の強化、先ほど申しましたように、IT新改革戦略の中の位置付けという観点では出ていきたいところでありますけれど、ただ、それはやはり、時代の流れ、あるいは民利圧迫ということになりますと、むしろ、民間の金融機関のそういった能力を併せて、このIPAの目利き能力あるいは債務保証の審査能力というものでカバーをしていく、そういう位置付けで、非常に大事な事業であると、私どもも考えております。
 なお、国からの予算を入れております関係で、IPAにおいても、合理化努力というものに努めております。13ページでございますけれども、当然のことながら、中期目標に定められた経費節減を始めとしまして、組織を合理化する、事業を重点化する、そしてPDCAサイクルの実施等々、取り組んでいるところはございます。
 なお、14ページ、別紙3でございますけれども、主要事業別の人員は全体で206名と冒頭の資料の中でも申し上げましたけれども、所要の機構図とともに提出をさせていただいた次第でございます。
 何とぞ、この事業の重要性、よろしく御理解をいただきまして、御検討をいただければと思います。
 ありがとうございました。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明をいただきました情報処理推進機構の事務事業につきまして、御意見、御質問などございましたらどうぞ。

 丸島臨時委員
 御説明ありがとうございました。時間の関係で、十分理解できないところもあるのですが、今日、質問として、大きな点と考えられる3点ばかりについて、お聞きしたい。時間の限りもありますので、後ほど書面で御回答いただいてもかまいません。
 御説明をお聞きして、日本としてIT改革戦略が必要である、これはまことにそのとおりだと思っております。特に4ページで御説明いただいた左側の全体のIT戦略、改革戦略の中のそれぞれの項目があるのですが、そこに対して、IPAの主要業務として対応させておりますけれども、IT改革戦略の中においても、全貌を担っているのではない、一翼を担っていると理解するのですが、間違いございませんね。
 特にIPAの名前の中に「推進」と書いてあるので、推進が役割でしょう。一方で、全体の知財立国の関係でも、いわゆるソフトウェア関係の研究開発業務を担当されている独立行政法人も多々あると思いますが、そういった意味で、国全体の知財立国あるいはIT改革戦略の中で、このIPAというのはどういう役割を果たしているのか、相互関連がどうなっているのかということを知りたいと思っています。それによって、これが独立して存在する意味があるのか、独立して存在する意義というのを、重点的な御説明をしていただけたらと思います。これが第1点でございます。
 それから、第2点ですが、特に、先ほども少し御説明がありましたが、民間の金融機関も活用しつつとはおっしゃっておりますが、IPAで債務保証業務を行うことが本当に有意義なのか。この辺りも、もう少し具体的に御説明をいただけたらと思っております。
 それからもう1点は試験のことです。人材育成というのは非常に大事だというのは認識しておりますけれども、独立行政法人で国家試験をやるというのが果たして妥当なのだろうか。そういう意味で、妥当性の御説明をいただけたらと思います。特にこの試験の場合は、資格試験というより、どちらかというと能力認定試験と理解しているのですが、こういう試験を独立行政法人でやる、やらなければいけないという理由を、もう少し深く御説明いただきたい。
 以上でございます。よろしくお願いします。

 富田分科会長
 関連して、御意見はございますか。

 稲継臨時委員
 丸島委員の2点目の債務保証事業に関連してですが、実績としては、一体何件ぐらいあって、どれぐらいの債務保証になっているのか。それに割かれている人員、どれだけの人がこの債務保証事業にかかわっておられるのか。人員対債務保証の件数の割合が、民間の金融機関の普通の事業から比べてどうなのかという点について教えてください。

 富田分科会長
 それでは、お答え願います。

 羽藤情報政策課長
 まず、最初の1点でございますけれども、IT新改革戦略、これは実はIT戦略として政府が挙げて取り組んでいる戦略で、特にこの1月に定められております戦略の目標としましては、繰り返しになりますけれども、例えば、電子政府の問題、医療や教育の現場におけるITの活用の問題といったようなことと並びまして、ここに、本日、御説明をさせていただいておりますけれども、構造改革力を支えるIT基盤を整備しようということで、大きく活用をとにかくしっかりと広げていこうということと、それから、ここに書いてありますように、ITの基盤を整備しようという大きな二つの柱でございます。したがって、IPAの事業自身がそのすべてを担っているということではございません。ただ、特徴的なことは、IT新改革戦略は、政府がやることだけを書いてあるわけでもない戦略であります。つまり、一つの目標を示しながら、そこへ向かって、学、官はもちろんですけれども、民、それから産業界、それから学会、こういった国民の各層の取組を促していこうということでございますので、そういう意味では、それを担う担い手というものは個々の目標に即して、課題に即して取組があるというふうに、まず、位置付けられているものでございます。
 その中で、今日も資料の4ページでお配りをさせていただきましたところですけれども、IPAの事業は、特に、この産業あるいは人材といったITを使いこなしていく現場、そして、それを支える人材といったところでの事業の展開をしております。そういう意味では正しく、IT基盤を支える、そういう事業活動を現場で実践をしていくという一翼を担っているという、ふさわしい、そういった事業活用ではないかと思っております。
 なお、以上の点につきましては、書面でというお話もございましたので、より正確を期すために、また改めて出させていただきたいと思っております。
 また、債務保証の制度でございますけれども、現在、IPAで債務保証をしております。まず、最初に数字でございますけれども、実績につきましては、例えば平成17年度、昨年度でございますけれども、申請件数が185件ございまして、そのうち保証件数は105件、保証の金額ということになりますと、26億円でございました。このベースは、2年前の平成15年に比べますと、保証ベースで約2倍、それから申請の件数で申しましても2倍といったようなことでございまして、ニーズが、最近、特に増えております。これはやはり、この技術開発、それからソフトウェアを実際に事業化していこうという動きがかなり浸透してきたということと、それから、あえて申し上げますと、確かに他の代替する金融機関あるいは政策金融の措置というものは、これはあることは、もう、御案内のとおりであります。ただ、IPAは何といいましても、ソフトウェアの技術開発についての相当なる目利き能力を持っております。例えば、信用保証協会が債務保証をしていると、大体これは運転の資金、つなぎ資金を見ているということでありますけれども、IPAが対象としておりますものは、実際のソフトウェアの開発そのもの。しかも、ちまたのいろいろな声を我々もPDCAサイクルの一環として把握に努めておりますけれども、やはり、まとまったものについて、IPAの総合力で、金額も大きく、しっかりとケアをしながら審査をしてくれるといった声も、実は我々も聞いているところでもございます。そういう意味では、この審査をするにも、審査期間を短縮して努めているということもあり、最近でも、こういった保証実績が上がっているといったところにつながっていると思っております。
 そして、何よりも最近では、地銀、第2地銀がかなり前向きな融資対応を見せ始めているというのが、おそらく一般的にも言えることだと思います。そういう中で、例えばIPAでは、最近のことでありますけれども、岐阜におきましては、岐阜信用金庫あるいは大垣共立銀行といった地銀と一つのコンソーシアムを組みまして、総合的に地域でいろいろな金融を支えることができるように、IPAの知見を積極的に提供しようといったようなことで、一つのプログラムを組んだりしている。あるいは広島銀行であるとか、伊予銀行であるとか、こういった地方の銀行では、ITを支援しようというプログラムを組んで、スキームを組んでおります。このベースは、実は信用保証料というものを非常に低い水準で抑えているのです。と申しますのは、これは保険の、いわば保護してないという意味で低く抑えることができるというか、むしろ、プラスに働いております。逆にいいますと、それだけリスクをしっかりと評価して、IPAが債務保証をさせていただいているということの表れでもございます。そういう意味で、この債務保証事業の充実には更にしっかりと取り組んでいくと、このように考えております。
 なお、3点目の先ほどございました資格試験との関係でございます。確かにこれは能力を認定するというところが中心であることは、そのとおりでございます。ただ、こういったスキルを引っ張っていく力、あるいは根元がどこにあるだろうといいますと、大手の国際的にも名前が知れております企業が、こういったことについて何か提供するということになりますと、どうしても囲い込みであるとか、一定の技術に偏ってしまうということがございます。つまり、中立性あるいは総合的にそのスキルを評価するという観点が非常に重要ではないかということでもあります。なお、今現在、こういった試験についても、様々な角度から、我々、内部では、特に政策的な観点で見直しが必要ではないかとも考えております。例えば、これは一つの議論中の見解、検討中の課題ではございますけれども、これだけ情報システムについて、いろいろな障害であるとかトラブルがあるという中で、相当グレードの高い資格の認定という形で導入をするという考え方もあるのではないか。そして、そういうものに対しては、やはり国がしっかりと関与する形で試験制度を運営して、そういう人材を、言わばこの社会でしっかりと支えていくシンボルのような形で、この試験制度を充実していくという考え方があるのではないかと、このような議論もございます。産業構造審議会で御議論をいただいておりますけれども、そういう意味では、この資格試験の在り方についても、併せて、よく、今回の御指摘も踏まえながら検討をしていきたいと思っております。
 以上でございます。

 岡本臨時委員
 決して言葉じりをとらえるつもりは毛頭ないのですが、国民負担をなるべく小さくするという基本線がありますが、そういう観点から申し上げますと、IPAの主な自己収入というのは、この試験と保証料です。そうすると、受験料や、保証料はどのぐらいの水準かというのは、国民から見れば、できるだけ多くしていただいたほうが税金は少なくなるという発想になると思います。この水準をどのように決められるのか。課長が御説明になったのは、保険をつけていないので保証率を低くというふうに聞こえましたが、そこは逆に言うと、安全性と保証のバランスをどう考えるかで、結構大きな問題だと思います。その点について教えていただきたいと思っております。

 松田臨時委員
 試験のことでもう2点お尋ねします。先ほど企業の技術に偏らないニュートラルな試験は、やはり国が開発すべきだというお話でした。逆に、そういう意味で、ニュートラルな国際的な標準の試験が既にあるわけで、そちらの方が日本でより行われている。知っている能力ではなくて使える能力を計ると言われていますので、こういうことをやっていることで、逆に日本の情報処理のスキームのレベルが国際水準から取り残されるということはないのかというのが1点です。それから、組織を見ますと、24人の方が支部でお仕事をされているのですけれども、試験の企画をするのが仮にこちらの仕事としても、支部の方々というのは、恐らく、実際に試験の実施等にかかわると思うのですが、それをこの機関で行っていく必要があるのかどうか。

 羽藤情報政策課長
 確かに国民負担との関係で、この在り方ということをよく我々も検証していきたいと思っております。
 試験の運営というものは、基本的に法律に基づく、独立した勘定の下で、受験料収入ということだけで回しているということも一方にございますし、先ほど申しましたように、保証料のことにつきましても、一方、運営費交付金をいただきながらの人件費というのは、確かに、そういったところに充当するところもございます。全体のバランスの中で、よく検証して検討してまいりたいと思っております。
 また、情報処理技術者試験、確かに全国で今、650の会場で実施をしております。そういう中でのこの支部の役割というものも、やはり、現地でこれはしっかりと管理をするということでの必要性がどうしてもあろうと。実は、地方支部業務の民間委託について、民間の試験代行会社から見積りなども取って検討させていただいたのですけれども、どうしても、会場の借料あるいは監督の謝金、事前の研修といったことが入ってきますと、実際に、現在、支部が実施している場合の経費と比べると割高になってしまったというところがございます。ですから、こういう形で全体として合理化をしながら、今の体制で試験実施は務めていきたいと考えております。
 なお、国際的な水準は、全く御指摘のとおりであると思います。ただ、それは一つのベンチマークだろうと思います。そして、そのベンチマークに向けて、やはり日本のソフトウェアの特質、良さというものを伸ばしていくような形で、この試験を実施していくという方向で考えていくということも、一つはあるのではないかと思っております。いずれにしましても、この試験の在り方につきましても、先ほど申しましたように、産業構造審議会の場でも議論をいただいているところでございますので、よく御指摘を踏まえながら、検討をしてまいりたいと思います。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 私から意見ですけれども、丸島委員もお尋ねになられた件について、我が国のIT戦略の中のソフトウェア関係の部分を担う機関であるということですけれども、課長の仕事そのもののアームとして存在するという印象を持ったんですけれども、つまり、この機構とは一体何なのかと。もっといえば、この機構が、独立行政法人である限り、仕事を客観的に、生産性や、効率性などで評価するということになります。ところが、お話を伺ったところでは、どうもこれは本省の課長そのもののお仕事であって、これは独立行政法人なのかなと思いました。課長の分身が二百何人といて、何億円という予算を使っている。どうも独法というものと、国のIT戦略という極めて重要なものとの関係ですね、この組織の目的、中期目標というものの関係が、よく分からないというところが、どうも我々、ITの重要性はよく分かるけれど難しいところなのではないでしょうか。
 今のは私の感想ですけれども、組織であるからには、組織としての運営、組織としての評価を受けなければならないわけです。そういう観点からも、是非、この独立行政法人の見直しは、御省におかれても御検討いただきたい。私どもも、本日の御意見を踏まえて、検討を続けたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 今日は、経済産業省から大変多数の方々、入れ替わりおいでいただきまして、大変御熱心に説明をいただきまして、御多用の中、本当に、御協力ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、今日の議論を踏まえまして、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で、十分な御質問、また、御意見が述べられなかった点がありますし、そういう委員の方もおられます。その場合は、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いすることがあるかもしれませんので、その際には、対応方よろしくお願い申し上げます。
 どうも、経済産業省の皆さん、ありがとうございました。
 それでは、ここで10分間、休憩をとりたいと思います。

(休憩)

 富田分科会長
 時間になりましたので、再開いたします。
 農林漁業信用基金の事務事業につきまして、ヒアリングを行います。農林漁業信用基金の主務省は、農林水産省及び財務省であるため、本日は、農林水産省・山口課長、財務省・中原課長を始め、御担当の皆様にお越しいただきました。
 まず、法人の事務事業の概要について、10分で御説明をいただきまして、その後、質疑応答を行いたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

 山口金融調整課長
 農林水産省の経営局金融調整課長の山口でございます。座ったまま説明させていただきたいと思います。
 まず、資料2の1ページ目を御覧ください。独立行政法人農林漁業信用基金の概要でございます。これは一言で言いますと、農林漁業者の信用補完業務を総合的に行っております全国機関ということでございます。農林漁業者の経営に必要な資金の融通を円滑にして、農林漁業の振興を図るために、保証・保険といった信用補完業務と貸付けの業務を行っております。また、農業者と漁業者が被る不慮の災害による損失に対しましては、それぞれ共済制度というのがございまして、共済団体が支払う共済金が不足したような場合に、必要な資金の貸付けも併せて行っているところでございます。
 農林漁業の特性といいますのは、委員の先生方は御承知のことだと思いますが、一般の産業に比べまして、自然条件の影響を受けやすい、また経済状況の変化も受けやすいということでございます。野菜が豊作になれば、すぐ値段は下がりますし、いろいろな状況変化に対してのリスクが高いということでございます。災害の面でいいましたら、去年も台風が発生して、影響がありましたし、地震等の影響で、例えば山古志村などは、全く農作物が採れないという状況があるわけでございます。
 また、生産サイクルが長く、収益機会が少ないという特徴がございます。お米が1年1作というのは誰でもお分かりだと思いますけれども、例えば牛乳。牛はいつでも牛乳を出しているわけではございませんで、当然、人間と一緒でございまして、お産をして、子供を産んで、それで初めてお乳が出るわけでございまして、牛乳を採るまでの間の飼育が必要になるわけでございます。収益機会が少ないという意味は、1年1作とか、収穫時期にならなければものが採れない、収益にならないということでございます。
 また、金融という面で見ますと、担保を取るということが行われるわけでございますけれども、担保になるものが、農業であれば、農地でございますし、林業であれば、森林でございます。漁業でありますと、担保がないのですけれども、あえて言えば、漁船を担保にお金を借りるといったことしかできないわけでございます。
 そういった点で、民間金融機関が農林漁業者の信用力を見て、融資をするという点では、かなり厳しい条件があるということでございます。そういったことで、信用力を補完するための業務というのを農林漁業信用基金で行っております。設立等については、下に書いてありますので、御覧いただければと思います。
 次の2ページです。農林漁業信用基金は、後で御説明しますが、いろいろな業務を行っております。なぜそういう業務の種類が違うのかという御疑問を持たれるかと思いますので、先に御説明させていただきますと、昭和27年に最初、設立されました中小漁業融資保証保険特別会計なり、農業共済基金なり、これらを始めとしまして、農業、林業、漁業、また農業共済、漁業共済、それぞれ別の制度が存在しております。当初は、それぞれに独立した法人、または特別会計という形で存在し、別々の機能をそれぞれの法人が果たしていたところを、行政改革と業務の効率化という点を踏まえ、解散・統合してきたという歴史がございまして、昭和62年からは、認可法人の農林漁業信用基金になりまして、途中、また農業共済基金を統合し、平成1510月1日から独立行政法人農林漁業信用基金になっているという経緯がございます。
 業務の実績でございます。3ページを御覧ください。農業信用保険業務、林業信用保証業務、漁業信用保険業務、農業災害補償関係業務、漁業災害補償関係業務と、大きく五つに分けております。全体でいいますと、下のグラフにございますが、保証・保険関係で、大体4兆500億円ぐらいの引受残高でございます。融資の方は、大体920億円ぐらいが現在の残高となっております。
 次に、4ページを御覧ください。保証・保険業務の内容でございます。これは中小企業などで行われておりますところとほぼ同じでございまして、民間金融機関が農業者、漁業者に貸付けを行う場合に、信用力を補完するために保証を行う。その保証を行う機関は、農業、漁業のそれぞれ各県にございます信用基金協会でございます。この信用基金協会に対して、保証保険という形で、農業でいいますと7割、保険に付するということになっておりまして、漁業においては、若干割合が違うものもございますけれども、農林漁業信用基金が保険の引受けを行っております。
 続きまして、5ページを御覧ください。債務保証業務でございます。これは林業のみでございますが、林業については、各都道府県に信用基金協会というものがございません。このため、農林漁業信用基金が直接債務の保証を引き受ける、債務保証機関となる、こういう関係になっております。
 続いて、6ページを御覧ください。農業、漁業の融資業務でございます。この業務は、目的のところに書いてございますように、農業においては、農業経営改善計画という、将来的に農業の経営規模を拡大していって、自立した農業者になる、他産業並みの所得を得られる農業者になろうという計画で、その認定を受けた農業者に対して、短期・低利の資金を融通するものでございます。また、漁業についても同様に、漁業経営改善計画の認定を受けて、資金の融通を行っております。
 この資金は、短期・低利のいわゆる運転資金でございまして、この融資の仕方に特徴がございます。国が農林漁業信用基金に出資をし、その出資額に応じた分をそのまま農業、漁業の信用基金協会、つまり都道府県にございます基金協会に低利貸付けを行います。その場合、基金協会では、都道府県からも出捐を得まして、元が1に対して1を出えんするということで、2倍になります。括弧のところに「2×」と書いてありますのは、資金量が2倍になるということです。この2倍の資金量を、民間金融機関に低利預託という形をとっております。低利預託された貸付原資に、自らの預貯金等で調達しました貸付原資を足しまして、大体1対3の割合で造成します。要するに4倍になるわけでございます。元の、国から農林漁業信用基金にいった割合で見ますと、ちょうど8倍ということになるわけですが、この金額を農業者、漁業者に対して融資をするという形をとっています。横の方に農林漁業金融公庫からの融資の仕組みを書いておりますけれども、農林漁業金融公庫は、財政融資資金で調達いたしました長期の資金、20年ものが中心でございますが、これを活用いたしまして、長期かつ低利の設備資金を供給しておりまして、業務としては、相異なるものとなっております。
 次に、林業融資業務でございますけれども、基本的な仕組みは、今申しました農業、漁業と一緒でございます。ただ、目的が違っておりまして、こちらは、木材の生産・流通の合理化の促進ということで、認定を受けて林業者が必要とする低利の資金を貸すという仕組みは一緒でございますけれども、川上から川下までの林業者に対する融資ということを行っております。
 それともう一つ、林業には、8ページの事業がございまして、林業寄託業務というのがございます。これは、現在の森林・林業について、なかなか材価が上がらず、かなり厳しい状況が続いている中で、一方では、地球環境問題等が叫ばれておりまして、今まで人工造林してきた木などを、森林を後世に残していかなければならない、これを多様な形での森林整備をしていく、また長伐期化ということで、長い期間、50年以上、100年ぐらい切らないということのために、森林整備活性化資金というものを融資するというものでございます。これは、国からの出資なり融資機関からの借入れを農林漁業信用基金で調達いたしまして、無利子で農林漁業金融公庫資金に寄託をする。農林漁業金融公庫としては、無利子資金と農林漁業金融公庫自身の造林資金等の有利子資金、これらを協調融資するという形で、林業者に対して低利の融資を行う仕組みでございます。
 9ページでございます。農業・漁業災害補償関係業務でございますが、これは、冒頭に申しましたように、自然災害等によって収入が減り、また、作物の収量が減った農家や漁家に対しまして、損失を補てんする共済の仕組みがございます。共済の仕組み自体は、共済組合、連合会、特別会計という流れで、共済金が農業者、漁業者に渡る仕組みになっているのですが、連合会なり共済組合が一時的に支払う共済金が不足した場合、農林漁業信用基金が必要な資金の貸付けを行うという仕組みでございます。
 続きまして、10ページでございます。農林漁業信用基金のそれぞれの役割と、国の政策との関係をまとめたものでございます。まず農業に関していいますと、担い手の育成というのが、「食料・農業・農村基本法」という根本法の施策の一つの柱になっております。今までは零細な農家がたくさんあり、200万農家がまだ存在しておりますが、この中で、担い手として、将来的に育成していく農業経営というものを、計画では40万経営体を育成していくということにしております。よく、ばらまきと批判されております農業施策も、このような担い手に集中していくことを政策目標としております。
 また、食料自給率の向上が求められておりますが、今、自給率は40パーセントでございます。これは先進国中、最下位の数字でございまして、これを向上していきたい。しかしながら、国民の食料に対する嗜好がございまして、パスタが食べたいとか、外国のチーズがおいしいとかいうことになりますと、なかなか自給率は上がらないわけでございますが、今、40パーセントのものを、当面10年間ぐらいで45パーセントまでに持ち込もうという計画を立てております。
 また、担い手を中心とした農業経営に変えていく一方で、農村が荒廃してしまってはいけないわけでございます。このバランスをとっていくというのが農村の振興などの国の政策でございます。
 これに合わせまして、農林漁業信用基金の行っている業務も、例えば保証・保険業務でいいますと、担い手向けの資金、担い手に対して融資するものについては、保険料率を下げるなり、いろいろ政策効果が上がる形をとろうとしております。また、融資業務につきましては、正に担い手である認定農業者に対して、それを支援するための業務として行っております。
 続きまして、林業の方にまいりたいと思いますが、11ページでございます。ここに政策目的が書いてありますが、森林の多面的機能の持続的発展、林業の持続的かつ健全な発展、林産物の供給・利用の確保ということでございます。先ほども言いましたように、国土の保全というものは、森林が整備されていなければ成り立たないわけでございますし、また、地球温暖化の防止ということで、昨年の2月には京都議定書が批准されて、発効しておりまして、京都議定書に基づくCO2削減を実施していかなければならない。国の目標とする6パーセントのうち、3.9パーセント分は森林でカバーするというふうになっております。そのためにも、森林・林業の活性化が必要だと考えております。それらに対して、保証業務、融資業務、寄託業務で貢献しているところでございます。
 12ページ、漁業の方でございます。先ほど申し忘れましたが、林業についても、森林・林業基本法という基本法がございますし、水産については水産基本法というのがございます。水産物の安定供給の確保ということで、水産物は、自給率はまだ50パーセント程度は維持しているところでございますけれども、これを更に高めていきたいという目標を立てております。また最近、国境や経済水域での外国船の侵入といいますか、侵犯問題等が出てきております。経済水域の境界線には地下資源等も豊富な場合も多いわけでございまして、そういった経済水域の活用といいますか、経済的に利用していくという点でいいますと、漁業が一番利用として分かりやすいわけでございます。沖ノ鳥島の経済水域の問題もございますけれども、やはり漁業的な利用というものを確保していかなければいけないと思っております。そういう漁業活動を支えていくという意味での、それぞれの保証・保険業務、融資業務、災害補償関係業務を行っているところでございます。
 13ページと14ページには、分科会ヒアリング各府省共通様式ということで、資料を付けさせていただいております。10分以内でという御指示もあり、あまりにも簡略で、お聞き苦しかったことと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がございました農林漁業信用基金の事務事業につきまして、御意見、御質問などございましたら、どなたからでも。

 島上臨時委員
 国の政策目的ということについては理解するわけですけれども、基金の業務ということについて見ますと、農林漁業関係支援というのは、かなり複雑な仕組みでなされておりますし、国がこの基金を通してかなり深く入り込んでいる、かかわっているという印象を持ちます。したがって、仕組みのスリム化であるとか、国の関与、あるいは政策金融という形での関与というのをもう少し縮小する方向で見直される必要があろう、こういう観点から、まず、個別業務についての見解をお伺いし、最後に包括的な見解を伺いたいと思います。
 まず、個別業務について、その中の一つ、基金からの資金供給がかなりあります。これがなぜ必要なのかということについて伺いたいと思います。御案内のとおり、国のバランスシートを縮小しようという方向ですから、国からの資金供給は、できるだけ減らそう。そういう中で、基金が調達し、あるいは国からお金を持ってきて、それを貸し付ける、供給するというのは、縮小の方向に持っていくべきだと思っております。
 最初は、6、7ページにあります、農業あるいは漁業、林業関係の融資業務です。これは、私に言わせれば、玉突き雪だるま融資だと思うのですけれども、目的が短期資金の低利貸付けということであるならば、何も国が原資貸付けを行うことはなくて、民間金融機関への国と都道府県からの一部の利子補てんを行って、実際の原資の貸付けは民間機関が行うということでいいのではないのか。なぜ原資貸付けまで行うのか見解をいただきたい。
 さらに、8ページの森林整備活性化資金については、原資の預託先が政府系の金融機関であるわけですね。政府系金融機関からある意味での政策金融をやらせるために、なぜ別の政府系の機関から無利子預託金を出さなければいけないのか。ここら辺も、物事を複雑化しているだけのような気がして、本当に必要なのか、あるいは何か合理化できないかという気がします。
 それから、もう一つは、農業・漁業災害補償関係の業務です。これは、御説明がありましたように、共済金の支払い資金ですけれども、一時的な支払い資金の、運転資金というか、一時的な資金の融通です。それをなぜ国がしなければいけないのか。例えば農林中央金庫等からの貸付けで十分資金繰りはいくはずであって、ここまで国がかかわる理由はないのではないかと思います。以上が、資金供給に関する問題です。
 もう一つは、保証・保険業務に関するポイントですけれども、平成13年の特殊法人等整理合理化計画で、この業務については、採算が確保されるよう収支の改善等を講ずるということになって、その方向でいろいろな努力をなさっていると思っております。採算化について、現状と今後の計画をお聞きしたいと思いますし、また、採算がとれるようになったならば、独立行政法人が保険を引き受ける必要がなくなるだろうと思います。つまり、農業信用基金協会でリスクの引受けを終わりにできないか。その方向に持っていくべきではないかと思いますし、どうしても必要ということであれば、代位弁済の保険が、今カバー率7割という説明がありましたけれども、その7割を落としていくとかいうように、何かかかわりを薄めていく。つまり、農業信用基金協会だけで独立してやっていけるという方向に持っていくべきではないのか。その辺の御意見をいただきたい。
 今まで申し上げたのは個別の問題でして、全体的には、基金の信用補完業務といいましょうか、一種の政策金融業務の見直しについて、どのような方向でこれから検討なさろうとしておられるのか、基本的な方向付けについてお伺いしたい。これが総括的な質問です。

 富田分科会長
 続けて、先に御質問、御意見をまとめてお伺いしたいと思います。

 山本臨時委員
 林業については少し違うということはよく理解できましたが、林業の債務保証の見地なのですけれども、資料を拝見していますと、80パーセントと100パーセントの二つあって、80パーセントが原則らしいのですが、そこら辺はどういう基準でお決めになっているのか。それと、財務諸表には確かに監査証明も出て、適正意見にはなっているのですけれども、債務保証残高のうち、9割以上が正常先以外になっているのですが、これについての財務諸表が適正であるとは思いますが、御認識はどうなのか。最終的な国民負担につながりかねないものですから、どのようなお考えであるのかという、2点、少し各論に近い話ですが、よろしくお願いしたいと思います。

樫谷分科会長代理
 行政サービス実施コストについて聞きたいと思います。行政サービス実施コスト計算書を見させていただきますと、行政サービスのコストをいかに下げるかということが大きなテーマになると思うのですが、23億円ほどのコストになっています。ただ、基本的には自己収入で賄われているような仕組みになっています。行政サービス実施コストをいかに下げるか。補助金なども出ていますけれども、それはちょっと別におきまして、機会費用が24億円ぐらいあります。多分これは出資金に絡む計算だと思います。逆に、貸借対照表を見ますと、財務構造は非常に良い財務構造になっていまして、総資産の中の自己資本比率はすごく良い。3,000億円の中の2,200億円が自己資本になっております。これは、非常に健全と言えば健全なのですが、逆にこれが多いために、機会費用が多い。資産の部を見てみますと、現金・預金、有価証券なり、投資有価証券が結構あるのです。過剰な財務構造に、出資になっているのではないかというように一見思われます。これを下げて、適正にしていただきますと、行政サービス実施コストも下がるのではないかと思いますが、そのような工夫を今後行っていただきたいと思います。

 富田分科会長
 それでは、まとめて、簡潔にお答えいただけるところはお答えいただき、文書の方が適切なものは、後でそのようにしていただきたいと思います。どうぞお願いします。

 山口金融調整課長
 まず融資業務のことでお尋ねがございまして、基金からの資金供給がなぜ必要なのか、いわゆる利子補給で対応したらいいではないかという御質問でございますが、これは、運転資金の融資でございまして、極度額を農業者、漁業者個人ごとに設定しておりまして、極度額の範囲内で金融機関が融資をし、またそれを返済するというローリングをしていく、お金が回っていくような仕組みになっております。それに対して、利子補給という形になりますと、いちいち利子補給申請を上げてもらって、承認をとってということになって、機動的な対応ができないということでございます。農業、漁業には、これとは別に、近代化資金という制度融資がございます。農林漁業信用基金では行っておりませんで、民間の金融機関に対して、直接、都道府県から利子補給を行う仕組みがございまして、中期の設備資金を農協から融資する際に利子補給を行っています。今、先生から御質問のあった経営改善促進資金の業務といいますのは、その場その場のつなぎの資金を借りて、また返し、また借り、また返しということを繰り返していくための資金に対する助成でございまして、それについては、基金からの原資の一部を特別低い金利で預託して、それに自ら調達したプロパーの資金とを合せ貸しをすることによって、低利の資金を実現するという仕組みをとっておりまして、これを利子補給等にするというのはなかなか難しいのではないかと思っております。
 森林整備活性化資金の話は、担当の林野庁の課長から御説明させていただきたいと思います。
 それから、共済金について、農林中央金庫などの民間の貸付けで対応できないのかということでございますけれども、災害といいますのが、いつ起きるか、台風が起きたり地震が起きたりするわけでございますが、いつ起こるかが決まっていないという問題があります。また、地域が非常に偏ります。台風が通ったルートだけが被害を受けますし、そういったことを考えますと、連合会なり共済組合というのは、各県にあります。連合会は各県に一つずつございます。共済組合は、更に郡単位とか、そういう単位であるわけでございます。そうしますと、各組合にとって、お金が足りなくなる場合というのが毎年生じるわけでもないわけでございます。個別の組合なり連合会が資金調達をしようとして農林中央金庫と直接交渉しようということになりますと、農林中央金庫側の意見も聞いておりますけれども、個別の信用力の問題とか、そういった問題が出てくるわけでございます。また金利の面で見ましても、大口にロットをまとめて、農林漁業信用基金という、ある程度信用力のあるところが借りた方が低金利になるということがありまして、最終的には、行政コストにはねかえる問題でございますので、信用基金が対応しているということでございます。国からの出資金等で足りる場合は、それを使って貸し付けておりますし、一時的に不足する場合は、民間金融機関から調達して、共済組合の方に貸すということを行っております。
 それと、保証・保険業務の収支でございますが、最終的な損益で見ますと、黒字になるわけでございますが、それぞれの保険業務の段階で見ますと、保険料収入よりも、保険金の支払い額の方が多い場合がございます。
 農業の方は、ここ何年かは赤字でございます。漁業の方は、収支で見ますと、黒字になっております。そういう状況は後でお示ししたいと思います。
 基金協会で完結するとか、7割の保険率を落とすということは考えられないかというお話でございますが、現在のところ、農林漁業の不安定性等を見ますと、基金協会が単独で債務保証を引き受けるというのは、まだ難しいという状況だと思っております。
 将来的にどうあるべきかということにつきましては、産業構造の在り方とも絡む話だと思っております。ほかの産業でも、大企業があり、中小企業があり、中小企業に対する国の支援があるということになれば、農業においても、将来的には、なるべく大きな経営体、力強い産業に農業、漁業にしていこうとは思っておるわけでございますけれども、どうしても弱者も出てきてしまうのではないかと思っております。そういった者に対する国の支援というものは一定程度必要ではないかと思っております。
 制度の仕組み等については、いろいろ複雑ではないかというお話が最初にございましたが、これは、それぞれの制度ができた経緯というのがございます。また、経緯だけではなくて、農林漁業信用基金の業務に対して、民間金融機関や各県の基金協会から出資を受けているものもあれば、林業者を中心に、事業者からの出資金も入っているものもある。農業の共済組合が出資しているものもあれば、漁業の基金協会が出資している業務もございます。それぞれ、今までの成り立ちがございまして、全部を一緒にしようとか、そういうことになりますと、出資金の関係等で、逆に複雑なことになってしまうおそれがあるわけでございます。お話をいただいた点は、我々も、制度の運用の改善ということでは、今後分かりやすい制度にしていきたいとは思っておりますけれども、勘定区分等も含めて、見直しにくいところがあることは御理解いただきたいと思っております。
 あと、行政サービス実施コストは、御指摘のとおり、そのほとんどが機会費用でございまして、出資金から発生しているものが大半であると我々も思っております。それでは、出資金を返せばいいではないかというお話でございますが、農業、漁業の保証・保険関係につきましては、ほぼ出資金に見合う分を利用させていただいておりますし、融資については、現状は低金利が続いておりまして、貸付額が最近、若干低位に推移して、出資金分だけすべて貸し出してない状況があるわけでございますが、御承知のとおり、金利がこれから上がっていきそうな状況があるわけでございまして、今後の農業なり漁業の構造改革を進めていく上で、この資金の出番というのはこれから出てくるのではないかと思っているところでございます。
 林業関係については、担当の課長から御説明させていただきます。

 岡田企画課長
 林野庁の企画課長の岡田でございます。よろしくお願いいたします。
 先ほど森林整備活性化資金につきまして、御質問ございました。この資金につきましては、森林整備を一層進めなくてはいけないという中で、負担能力の問題等もございまして、資金を無利子化して貸し付ける必要性がありましたものですから、用意したものでございます。一方で、農林漁業金融公庫におきましては、財投資金を借り入れて、貸付けを行っておりまして、公庫自身での無利子資金というものがございませんでしたので、林業者等に対する債務保証業務を行っており、林業・木材産業の政策のノウハウも持っております農林漁業信用基金から無利子の貸付原資を寄託するという仕組みをとったものでございます。
 また、政策金融機関から政策金融機関へ貸し付けるのはいかがなものかという御指摘があったと思いますけれども、農林漁業金融公庫、政策金融機関は、今申し上げましたとおり、財投の資金を原資として貸付けを行っているわけでございますけれども、これに利子補給を行って、無利子化する、こういった仕組みはないわけでございます。そういうことから、農林漁業金融公庫から無利子のこのような資金を直接融通しようといたしますと、現在ある補給金とは別途、新たに政策金融機関である農林漁業金融公庫に供給する、新たな予算措置を設けなくてはいけない。そういうことになりますと、二重の財政上の負担となって、適切ではないのではないかということが1点ございます。そのため、基金という形を通して資金を預託するという仕組みを採らせていただいております。
 また、無利子貸付けを仮に国自身で基金のプロセスを行うということになりますと、そこは資金が回転するという性格上の問題から、国の方におきまして、特別会計を設置するなり、あるいは勘定を設けて経理をするということになるわけでございますけれども、特別会計のスリム化がうたわれている中で、新たにそれを設けるということはなかなか難しいのではないか。やはりそこは基金という主体の中で、機動的に無利子の資金を寄託して供給するというシステムが合理的ではないかと考えているわけでございます。
 それから、保証割合の御指摘がございました。信用基金の保証、原則として、御指摘のとおり、80パーセントの部分保証で、政策的に重要なものにつきましては、100パーセントということでございます。100パーセントの保証メニューにつきましては、私どもの法律がございますけれども、林業経営基盤強化法という法律がございます。林業の経営をより良くしていこうという法律がございますが、それに基づいて、認定を受けた人に対して貸し付ける、今回の資料にも出てございますけれども、木材産業等高度化推進資金という運転資金、こういったものを貸し付ける場合には、100パーセントの保証といたしております。
 こういった制度資金に対する保証について100パーセント満たしているということでございますし、それ以外の一般的な保証の中でも、間伐の推進、あるいは乾燥材の生産など、林業政策上、特に推進すべき課題だと認められるものにつきましては、100パーセントということで行っているわけでございます。すなわち、政策上の重要性ということにかんがみて、保証率を上げているという実態でございます。
 それから、保証債務に占める正常先以外の割合が高いという御指摘の部分でございますけれども、これは、林業・木材産業は、元々地場の産業として発達したこともございまして、中小企業全体の中で比較いたしましても、経営状況は非常に脆弱でございます。産業全体として、正常先以外の割合が高いということで、保証の依頼者も大半がそこにならざるを得ないということでございます。事業体として必ずしも財務内容が良好でない状態でも、国内の森林資源を活用して、国内林業の振興、ひいては、森林の整備ということにつながっていくわけでございますので、そこの重要な役割をかんがみまして、これらも政策的に支えて、その事業体の信用力を強化し、企業の経営改善を進めたいということで、信用保証を行っているわけでございます。ただ、そこのところも、御指摘のとおり、新規の対象を基本的に要注意先以上に限るということにいたしまして、保証先区分の改善に努めているところでございます。今後ともまた、実施に当たりましては、優良保証の確保、あるいは厳格な保証審査、あるいは求償権の回収促進ということで、この点についても十分取り組んでまいりたいと考えております。

 富田分科会長
 ただいまの御説明、御回答につきまして、更にお聞きしたい点、ございますか。

 黒川臨時委員
 一番初めに、林業のところで、京都議定書との関係を御説明されましたが、一般的に言って、シンク(CO2の吸収源)の重要性は分かります。間伐等のフォーレスト・マネジメント(森林管理)が重要であるというわけですけれども、それと与信業務あるいは保証業務等々との関係が、どういう筋道になっているのか。結局、もし環境問題ということになるのであれば、京都議定書というのは、環境問題を経済問題で解決しようということですから、シンクの価値がどのぐらいだというのは、だんだん市場もできつつあり、それを政府が買い取るのであれば、そういうようなものでしょう。しかし、ここで言っているのは、林業者の経営改善ということなので、それとシンクの問題、きちんと測定をして、そこまで言っているのか。お題目で言っているのではなくて、きちんと林業者のシンクの割合がどのぐらいであって、国でどのぐらいシンクの価値があって、それに対して幾らぐらいつけるのだとか、そういうところまで測定をした上でおっしゃっているのか、教えていただきたい。

 岡田企画課長
 3.9パーセントの吸収量の問題につきましては、国際約束上、森林を手入れすることが必要だと、これは御案内のとおりでございます。そういたしますと、森林を整備するということは、そこに経済活動されている方がおられます。林業者の方が実際に手を入れて、ものが売れる。手を入れるということは、間伐をする。間伐をして、その間伐材が売れませんと、経費が出てこないということでございます。こういった間伐材を売れるようにしていくためには、国内の川下側の木材産業の方が経営改善を進めながら、国内の資源を十分使えるようになってくる必要がある。そういう関連性で、京都議定書の話を少し触れさせていただいたわけでございますけれども、基本的には、川上側の森林の整備と川下側の木材産業の振興ということが密接に結びついておりますので、そこのところで、趣旨として3.9パーセントの話も申し上げさせていただいたということでございます。

富田分科会長
 今日は、時間の都合もありますので、ここで質問を打ち切らせていただきます。当分科会といたしましては、今日の議論も踏まえまして、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で、十分な質問ができなかった委員もおられると思います。この場合、後日、事務局を通じて、照会したり、必要に応じまして、ワーキング・グループにおいて、再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には対応方、よろしくお願いいたします。
 本日は、御説明いただきました皆様におかれては、御多用な中、御協力いただき、ありがとうございました。
 最後に、今後の予定等につきまして、報告事項がありますので、事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 お手元に、「平成18年度における独立行政法人の見直し方針について(中間報告案)」という紙を配らせていただきました。現在、各府省からのヒアリング中でございますが、独法における事務事業の一般的な見直しについては、各省庁別のワーキング・グループ、それから、独法における融資等業務の見直しについては、2月以降、政策金融ワーキング・グループで、いろいろ御議論いただきまして、これからの見直しの方針について、どういう方向でいったらいいのかというところにつきまして、そういった場での御議論を最大限集約する形で、分科会長とも御相談しながら事務局で仮に取りまとめさせていただいたのがこの紙でございます。
 簡単に申し上げますと、1ページの検討の概要というところでございますが、今回、移行独法が対象になるというこから、国の歳出の縮減を図るという観点が重要ということで、業務の廃止・縮小・重点化、それから経費の縮減・業務運営の効率化、自己収入の増加、こういったことを基本とする。その上で、それらを評価する基盤としてのディスクロージャーの充実を図るべきということを基本線にして書かせていただいているところでございます。
 その際に、今まで独立行政法人につきましては、一般管理費や業務費、あるいは人件費についての見直し目標が入っておったのですが、今回、先生方からも御議論いただいておりますが、業務コストということで、行政サービス実施コスト、これが国民の負担に帰せられるコストということでございますので、その削減のための取組が大事ではないかということを申し上げたいと考えております。
 要すれば、業務の廃止・縮小・重点化等を行い、あるいは経費の縮減を行うことによって、行政サービス実施コストは小さなものになり、また、自己収入の増加を図ることによってこれが改善する、こういう流れになっているということでございます。それぞれの業務の廃止・縮小・重点化等々ごとに、ワーキング・グループなどで御議論がありましたものを、ここでは個別の法人の名称は出さずに、幾つかの論点について、こういった検討が必要でないかという点を書かせていただいているというのが、事務事業一般の見直しに関する説明でございます。
 その後で、類型ごとの主な見直しの視点ということで、融資等業務とその他の業務とございますが、その他の業務につきましては、今までの成果、研究会などでやっておりますが、こういったこともいかしながら、さらに幾つかの視点を言っております。融資等業務につきましては、2月以来、政策金融ワーキングでやっていただいて、3月31日に一度議論していただいたものを基本としたものをつけているという形になっております。
 見直しの主な視点ということで、2番のところで書いておりますが、国の政策の重点との関係において、今や独法がやる必要がないようなものについてはやめていいのではないかとか、あるいは民間金融機関で実施可能なものがないのかとか、そういったものを引き続き実施する必要があるのか。あるいは、政策目的達成のために、金融でやる必要があるのか。あるいは、今行っている独法でやる必要があるのか。特に民間との競合の可能性があるようなものにつきましては、融資等業務を専門に行う金融機関などといったところの関係の在り方についても検討する必要があるのではないかというところでございます。
 いずれにしましても、1の基本的な見直しの考え方にございますように、今回の見直し、政策金融改革の趣旨を踏まえつつということでございますが、独法は、それぞれいろいろ特徴的なものがございますということで、個別の独法の業務の位置付け、特性を考慮しながら、個別に検討していく必要があるのではないかという趣旨でございます。それで、出資、融資等々、業務ごとの見直しの視点というものを整理させていただいたというところでございます。
 事務局といたしましては、昨日、先生方にメールで送らせていただいたところでございますが、さらに、24日に御議論、御審議いただいて、決定したいと考えておるところでございますので、御意見等ございましたら、事務局までお寄せいただければと考えております。
 これがまとまりましたら、今月下旬、今、26日を予定しておりますが、行政改革推進本部の行政減量・効率化有識者会議の方に、政独委における検討状況ということで御報告させていただきまして、その後、そちらにおける審議も踏まえた形で、政府としての見直しの方針を取りまとめるとともに、それも踏まえまして、政独委としての見直しの方針も取りまとめるという方向で持っていきたいと考えております。
 最後に、次回の日程でございますが、4月17日、1510分から総務省の第1会議室におきまして、国土交通省所管の4法人について、これでヒアリングは最後になりますが、ヒアリングをお願いしたいと思います。

 富田分科会長
 ただいまの事務局の報告につきまして、御質問等ございましたら。事前にお目通しいただき、お読みいただいていることと思いますけれども、これまでのワーキング・グループでの議論を踏まえたものになっていると思います。御意見などございましたら、事務局まで寄せていただければと思います。
 ということで、もう6時を過ぎてしまいましたので。今日はお疲れさまでした。

  (了)




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