会議資料・開催案内等



政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会 議事録



  1.  日時 平成18年4月17日(月)15時10分から17時00分


  2.  場所 総務省第1特別会議室


  3.  出席者
    独立行政法人評価分科会所属委員)
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、縣公一郎、浅羽隆史、岡本義朗、河野正男、河村小百合、黒川行治、黒田壽二、黒田玲子、島上清明、鈴木豊、田渕雪子、丸島儀一の各臨時委員
    総務省)
    福井良次行政評価局長、伊藤孝雄官房審議官、渡会修行政評価局総務課長、新井豊評価監視官、榎本泰士調査官、岩田博調査官、加瀬徳幸調査官

  4.  議題
    (1)  独立行政法人の事務・事業に関する府省ヒアリング(国土交通省・財務省)
    (2)  報告事項



 富田分科会長
 時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日の分科会は独立行政法人の事務・事業に関する府省ヒアリングの一環といたしまして、国土交通省所管4法人の事務・事業に関するヒアリングを行います。このヒアリングは、今後平成18年夏をめどに取りまとめられる政策評価・独立行政法人評価委員会としての見直しの方針の検討を行っていく上で、非常に重要な要素であると考えておりますので、委員の皆様方の御協力をなにとぞよろしくお願いいたします。
 では、初めに事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 それでは本日の予定ですが、関係府省ヒアリング4回目ということで、国土交通省所管の自動車検査、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、自動車事故対策機構、それと国土交通省・財務省所管の奄美群島振興開発基金、以上4法人についてヒアリングをよろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 本日は国土交通省小野審議官始め、御担当の皆様にお越しいただきました。
 最初に自動車検査独立行政法人の事務・事業の概要について10分程度で御説明をいただきまして、その後、質疑応答を行いたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

 戸澤課長
 それでは、自動車検査独立行政法人につきまして、資料1−1に基づきまして説明させていただきたいと思います。自動車交通局技術企画課担当の戸澤でございます。よろしくお願いします。
 まず、組織の概要でございますが、本部のほかに、事務所が全国に93か所ございまして、職員865名で実施しております。沿革は、それまで国が行ってきました自動車検査に関する業務のうち、安全・環境に関する基準に適合するかどうかの審査業務を平成14年7月に同法人に移管したものでございます。
 業務の概要については、また後ほど別添資料で説明させていただきます。
 次に予算関係でございますが、収入は国からの運営費交付金及び施設整備関係の補助金合わせて約120億円でございます。組織につきましては、9検査部93事務所で実施しております。
 あと、別添資料で若干詳細な説明をさせていただきます。最初のページは検査の役割等について述べたものでございますが、政策課題といたしましては、安全・安心で環境と調和のとれた「くるま社会」を実現するのが政策課題でございますが、一方で、安全、環境に関しまして諸課題がございます。
 ここに幾つか例を挙げておりますが、例えば、大型車の車輪脱輪事故などの整備不良による悲惨な事故というのが後を絶たない。一方、ユーザーの保守管理意識というのが必ずしも高くない。その一方でまたメーカー関係――例えば、最近では荷台架装メーカーが最大積載量を水増しするなどの不正車検が続発する。あるいは三菱自動車の欠陥隠し、あるいは、指定整備工場――いわゆる、これは民間車検でございますけれども、ここでのペーパー車検などの不正車検の事例というのも急増しているということで、全体的にコンプライアンスの意識の低下が顕著に見られるという状況でございます。
 一方、環境に関しては、大都市における大気汚染は依然として深刻な状況が続いてございますが、昨年、環境省の審議会におきまして、ディーゼル自動車というのが一番問題なわけでございますが、これまで新車の排出ガスの規制の強化を実施してきておりまして、現在、世界でも一番厳しい規制がかかっております。今後はこういう装置の性能を使用過程においても維持するのが非常に重要であるということで、自動車の定期的な検査ですとか、街頭検査が重要であるという指摘を受けております。あと、リサイクルの充実等、諸課題があるわけでございます。
 こういった中で検査が果たすべき役割としましては、基準不適合車の走行禁止、不正改造車の排除、リコール未対策車両の確実な回収・修理、このほか無保険車の排除ですとか、自動車税等の税額の確定・徴収、リサイクル料金の預託確認といった業務を検査は果たしているわけでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。その中で、独立行政法人はどんな業務を行っているかということでございますが、真ん中のこの絵は、これは新たに公道を走行しようとします新車の検査の仕組みでございます。独立行政法人におきましては安全・環境の基準適合性の審査とともに、車両諸元といいまして、長さ、幅、高さ、重量等を測定して確定する。これは、いわゆる自動車税とか重量税、自賠責、運転免許の種類の基礎になるデータでございます。この結果を国土交通省は受けまして、さらにここに書いてございますような自動車ユーザーの各種責務の履行を確認して検査書が発行されて、新たに公道を走れるというのが新規検査の仕組みでございます。
 3ページ目を御覧いただきたいと思います。これは今度は使用過程の検査の仕組み、いわゆる俗に言う「車検」というものでございますが、大きく三つ流れがございます。一番上は指定整備工場と書いてございますが、いわゆる「民間車検」でございまして、一定の能力を有する整備工場を指定しまして、こちらで点検・整備とできばえチェックを行った車については、この検査法人の検査は免除されるというものでございまして、現在これが継続検査の大体7割を占めてございます。次のところは、これは検査施設を有しないような零細な整備工場が整備をしてきた車について検査法人で検査をするという流れでございます。最後はユーザー車検でございます。これはユーザー負担の軽減の観点から平成7年度から認められた制度でございますが、特徴としましては、やはり点検・整備をしていないユーザーが多くございまして、そのために不合格率というのが非常に高い。大体4台に1台とか、3台に1台ぐらいが不合格になるという実態がございます。どうしてもなるべくお金をかけないで、検査さえ受かればいいと考えるユーザーとか、その代行業者といった方々も多くて、そのために現場では合否判定をめぐってトラブルが非常に絶えないという実態がございます。
 これがいわゆる車検の三つの流れでございますが、そのほかに一番下に街頭検査というのが書いてございます。これは道路を走行している車を停車させて、基準の適合性を審査する。そして不適合の場合は整備命令を出すという業務を行ってございます。
 次に、4ページ目を開いていただきたいと思います。この業務の特徴は、厳正中立な審査の実施ということでございます。検査は自動車ユーザーに定期的な受検義務を課しているわけでございますが、法人の行う審査の結果、基準に適合しない場合は、車両が使用できなくなるという性格のものでございますので、公権力の行使に直接影響を及ぼす業務であると考えてございます。また、指定整備工場はユーザーとの契約に基づきまして点検・整備を実施して車を良好な状態にするということですけれども、必ずしも検査法人の検査の場合はそうではなくて、ユーザーの意志に反しても不適合のものの是正を受検者に直接指示しなければいけないという性格がございます。このため、並行輸入業者ですとかユーザー車検の代行業者の中には合否判定をめぐってトラブルが多くて、暴力、威圧行為という不当要求を行う者が多くて、こういった中、法人職員は厳正に判断をしなければいけない。そして、場合によっては警察とも連携をしながら業務を実施しているというような状況でございます。
 これにつきましては、参考4ということで、別添資料の11ページを御覧いただきたいと思います。これは検査法人における受検者の不当要求の状況の例を挙げたものでございますけれども、合否判定をめぐって不当要求が絶えないような状況でございます。公務執行妨害罪ですとか、現行犯逮捕、傷害罪というような、非常に厳しい状況がお分かりいただけるかと思います。12ページは数字で追ったものでございますけれども、年間でこういう暴力行為とか脅迫、合格強要というのが大体600件から700件ぐらい相変わらず発生している。刑事事件にまで発展するような事案というのもあります。一番下のところに書いてございますのは、こういう厳しい環境の中で監視カメラを全事務所に当然配置しておりますし、あと、全職員がICレコーダーでやり取りを記録するということを行って防犯活動をしながら厳正中立な判断を下しているという状況でございます。
 元の4ページに戻っていただきたいと思いますけれども、一方、上から四つ目でございますけれども、自動車メーカーとかディーラーによる、いわゆる悪質な二次架装問題等の不正車検というのも後を絶たないわけでございます。
 これにつきましては参考2で8ページのほうを御覧いただきたいと思います。これは東京いすゞの不正改造の例でございますけれども、本年3月に東京いすゞを告発したものです。これはバスの重量を偽装したということで、法人の検査官が疑念を抱きまして調査指示をして、不正が発覚したものでございます。次に9ページ目でございますけれども、これは昨今社会的にも問題になっているトラックの最大積載量の水増しで、これも車検の際に偽装するということで、これは長年にわたって、かつ大量に不正が行われていたということで、非常にゆゆしい問題だと考えてございます。
 こういうような状況の中で審査を厳正に行っていかないといけないという性格のものでございます。
 一方、街頭検査というのは、当然ながら暴走族ですとか不正改造車の排除を目的としていますので、受検者とのトラブルは日常茶飯事でありまして、また、不正軽油の取り締まりを近年始めておりますけれども、この場合には燃料を抜き取らなければいけないということで、実施に当たっては受検者の理解、協力というのがどうしても不可欠だということでございます。
 一方、国との一体的業務の実施が必要でございまして、リコール対象車の早期発見ですとか、あと、合否判定がどうしても困難ないろいろな車がございます。これを現場でその場で合否判定を行うというようなことから、国との緊密な連携が必要だと。以上が法人業務の特徴でございます。
 5ページ目をお開きいただきたいと思います。現中期計画の実績でございますが、最初は効率化の事例でございます。検査業務量に応じて要員配置の見直しなどを行いまして、これはこちらの政独委におきまして16年度の先進的な取組の例ということで取り上げられたものでございます。また、業務の質の向上に関しましては、まずやはり厳正かつ公正中立な審査を実施しなければいけないということで、先ほど申し上げましたような防犯対策を講じつつ、警察と連携して業務を実施している。特に、街頭検査については力を入れておりまして、この4年間でも倍増させているということでございます。また、不具合情報の報告につきましては、国土交通省にこれだけの件数を報告しまして、リコールに至った車両というのは合計でこの4年間で約40万台に上るというような実績がございます。
 最後に、今後の法人業務の方向性、重点化の検討でございます。検査というのは安全運行、環境保全はもとより、広く「くるま社会」を円滑に運営するために社会基盤としては重要な役割を担っていると思っております。ただ、一方で、先ほど言いましたような諸課題がございます。一つは不正車検防止のための新規検査の強化ですとか、あと、大型ディーゼル車の新たな排ガス検査の導入、あるいは街頭検査の強化など、今後とも取り組むべき課題というのは多いと思っております。しかしながら、行政改革の重要方針を踏まえまして、今後5年間で職員を5%以上削減するといった取組も行う必要があるわけでございます。このため、今後の方向としましては、指定整備工場による民間能力の更なる活用を図りつつ、法人業務については新規検査、構造を変更した際に行う構造変更検査や街頭検査、ユーザー車検の受け皿機能など、国と一体となって実施すべき業務に重点化を図っていきたいと考えているところでございます。
 あと、参考資料の10ページ目のところで、いわゆる民間車検場、指定整備工場によるペーパー車検の例を出しておりますけれども、大手ディーラーにおいてさえペーパー車検が非常に行われておりまして、年間でも300件とか400件ぐらいの処分が実施されているという状況でございます。
 以上、こちらからの説明です。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただいました自動車検査独立行政法人の事務・事業につきまして、御質問、御意見ございましたら、どなたからでも御発言願います。樫谷委員。

 樫谷分科会長代理
 6ページに「新規検査と構造変更検査、街頭検査やユーザー車検の受け皿機能など、国と一体となって実施すべき業務に重点化する」と書いてあります。この重点化を是非していただきたいと思うのですが、もっと思い切って、新規の検査とか街頭検査業務に重点化して、継続検査の方は完全に民間にゆだねるとか、もしそのようなことをしたときにどのような問題が生じるのか、御説明いただけたらと思います。

 富田分科会長
 ほかにいかがでしょう。鈴木委員。

 鈴木臨時委員
 二つほど質問させていただきます。今、業務の中身等を御説明いただきましたけれども、実施している業務等から考えまして、樫谷委員とも関連すると思うのですけれども、車検独法の職員を非公務員とした場合、どういう支障があるのかという点を一つお聞きしたい。それから、6ページに業務の方向性とか重点化の検討ということが書かれておりますけれども、独法は効率化を目指すということが一つの大きな任務でございます。そこで、この効率化努力とかその成果について、どのように考えておられるのか。この中では具体的な効率化とか、あるいはコストの削減、特にコストの場合は全体的なコストもありますけれども、業務の一つ一つの単位ごとの、あるいは業務の個別ごとのコスト削減を目指さなければ全体の成果が上がってこないわけでありますので、その辺についてどのようにお考えになっているかお聞きしたい。

 富田分科会長
 ほかにいかがでしょうか。河村委員、どうぞ。

 河村臨時委員
 樫谷委員からも指摘があったところですが、この重点化というところを是非ともやはりお願いできればと考えております。そこで、ここに赤い字で書いておられますが、規制改革・民間開放推進3か年計画に入っていたということで、指定整備工場で継続の検査をなるべくするように、更なる活用を図るというようなことをお書きになっていらっしゃるのですが、では、ここの部分は具体的にはどのような方策をお考えになっておられるのかをお尋ねしたいということが一つです。もう一つは、踏み込んでこの重点化ということと、それからその上のところで示されておられる5年間で職員を5%以上減少ということですけれども、具体的にこの重点化と組み合わせて職員の方々の配置等で何か御計画等おありになりましたら、是非お聞かせ願いたいと思います。以上でございます。

 富田分科会長
 それでは、以上お三方の御質問、御意見に対しまして御返答お願いいたします。

 戸澤課長
 まず、1点目は継続検査をなるべく民間に任せたらどうかという御指摘だと思います。私どもも基本的には先ほどお話がございましたが、規制改革推進計画でもうたっておりますように、民間能力をいかに活用するかというのが一つの大きなポイントだと思っております。ただ、1点だけやはり気になりますのが、ユーザー車検の受け皿の問題が一つ残るのではないかと思っておりまして、これは先ほどお話ししましたように、10年ぐらい前からユーザーの負担を軽減するという観点で、いわゆる規制緩和という目的で始まった制度でございますので、ここの受け皿を閉ざすというのは、これはまた一方でユーザーの方々にとって、それでなくても評判の悪い車検にまた費用がかかるというような方向に行きかねませんので、やはりこのユーザー車検の受け皿については検査法人で受けざるを得ないのかなと考えております。ただ、先ほどの3ページのところの図にありますこの認証工場が全体の20%ぐらいを扱っているわけでございます。こちらをなるべく指定整備工場扱いといいますか、民間能力の民間車検でうまく扱えるような仕組みを考えていきたい。現在7割を少し超えているような指定整備率ですけれども、これを向上させていきたいと思っております。
 2点目は、非公務員になった場合の支障となるような点はどういう点かということだと思いますが、これは先ほど申し上げましたように、法人が行う審査は、その結果によりまして車両が使用停止に至るというようなことで、ある意味では非常に高度な公権力の行使に直接影響を及ぼしているものでございます。特に街頭検査になりますと、今そこで走っている車を停めて、そして強制的な検査を行うというようなことになりますので、非常に強度な公権力の行使に該当するだろうと思っています。こういった際に、ボンネットを開けて検査をしたりとか、不正軽油の関係で燃料を抜き取ったりする際に、やはり車の使用者の理解と納得が得られる身分が必要ではないかと。また、中にはやはり非協力的な受検者というのも当然いるわけでございますが、法を厳格に執行する必要があるだろうと。こういった意味でも、もし非公務員化がされた場合には、こういった業務に支障が起きるだろうと考えています。また、実際の日々の業務においても、先ほどちょっと説明させていただきましたけれども、いわゆる暴力行為というのが非常に多い、厳しい現場でございます。そういった中で、個々の検査官が個人の責任において、個々の車両に対してその場で厳正な判断を下さないといけないということで、非常にそういう意味では個々の検査官の責務が重いという特性がありますので、この法人の検査官には、より厳正な規律の保持が求められるのではないかと思ってございます。以上のような理由から、やはり公務員が行う必要があるだろうと私どもとしては認識しているところでございます。
 あと、次の御指摘は、効率化を目指すコスト削減をどのように考えているかということでございますが、これまでも民間出身の理事長をいただきまして、要員の再配置とか、管理業務の外部委託というようなことを行ってきております。それによって本来充実しなければいけないような、街頭検査を充実するといったような業務に充ててきたわけでございます。今後についても、さらにこの継続検査の指定整備率を上げていく――これは国の方で主導的に上げていくわけでございますが、それによりまして、業務の若干の余裕ができるわけでございますが、それは一つは当然ながら定員削減のほうに充てなければいけない。もう一つは、やはり社会から求められております、この新規検査ですとか街頭検査といったところに重点を置いていきたいと。この際には、今まで以上の管理業務等の工夫、あるいはITを使った電子化によって検査の業務効率化を図れないかというようなことを考えております。まだちょっと具体的にはなっておりませんけれども、2、3年以内にはそういったITによる電子化もやっていきたいと思っておりまして、6ページに今後取り組むべき課題のところの(1)不正車検防止のための新規検査の強化というのが書いてございますけれども、これは新規検査の際の車両の、例えばトラックの状態を画像データとして取得して、その後の不正改造などの防止に役立つということで、それをコンピューター処理してデータをストックするというようなこともやりたいと思っております。
 次の御指摘は、指定整備工場の70%というのをどうやって向上させて民間能力を活用するかということでございます。まだちょっと省内でも検討中でございまして、完全な結論は出ていないんですけれども、安全に支障がないということを前提にしつつ、確実に指定整備率が向上するような方策を検討していきたいということで、認証工場という検査施設をもっていないところが、検査施設を持っているところとの連携がうまくできるような形で、なんとか指定整備率を、民間能力の活用を図れないかと考えているところでございます。
 あと、今後5年間の職員配置等についてでございますけれども、まだ具体的にはちょっと考えてございませんが、基本的にこの新規検査とか街頭検査といったものを重点的に行うような職員配置、業務の見直しによりまして、必要があれば職員配置というものも考えていこうと考えているところでございます。
 以上でございます。

 富田分科会長
 お答えいただきました点について、追加的に御質問、御意見ございましたらどうぞ。
 樫谷委員。

 樫谷分科会長代理
 新規検査と街頭検査に重点化して、継続検査は民間にゆだねられないかというようなお話、御質問でしたが、ユーザー車検の問題は極めて難しい問題だと思うのですが、ユーザー車検は、大体どれぐらいされているのか、どれぐらいの割合になっているのか。あるいはここの御説明の中で、4分の1ですか、25%は再検査になっているということなのですが、この辺は再検査をすればいいのであって、民間だからできないということには直ちにはならないと思うのですが、民間にゆだねることは本当にできないものなのでしょうか。

 戸澤課長
 まず、ユーザー車検の比率でございますが、3ページ目のところにちょっと書いてございますが、全体の約10%でございまして、年間にしますと、大体200万件がこのユーザー車検でございます。ここの部分を民間にゆだねられないかということでございますが、この指定整備工場の方にすべてが流れてくれれば、それはここが限りなくゼロに近づくわけでございますけれども、ここはやはりユーザーの自由意志に基づいて、強制するものではございませんので、このユーザー車検は10年ほど前に非常に社会的に問題になりまして、それまでは点検・整備とセットでないと検査はだめだったわけですけれども、そこを切り離して検査だけでも受けられるようにしました。簡単に言いますと、費用が検査手数料ですと1,400円で受けられるということで、そういう意味では、整備工場に頼みますと、大体最低でも2万円とか3万円ぐらいかかる費用が1,400円で受けられるという形で、非常に一部のユーザー――全部のユーザーではないのですが、当然大半のユーザーの方というのはある程度お金をかけてもちゃんと整備した車に乗りたいという方が多いわけですけれども、やはり一部のユーザーの中には、どちらかというとなるべくお金をかけないで検査を受かればいいと考える方も、一方でいるのは事実でございまして、ここが我々としてはなるべく民間能力を活用した指定整備工場に行っていただければありがたいんですけれども、ユーザーの負担を軽減するという経緯で始まった制度でございますので、ここのところを閉ざすというのはなかなか難しいのではないかと思っております。

 樫谷分科会長代理
 それに関連して、行政サービス実施コスト計算書というのがあるのをご存じだと思うのですが、自動車検査の場合は平成16年度に146億1,100万円のコストになっています。どのコストが一番多いのかよく分からないのですが、146億1,100万円、これはもちろん運営費交付金などが来ますので穴埋めはされていて、当期利益としては非常にプラスにはなっているのですが、効率化で削減していただくというのが極めて大きな課題だと思います。安い1,400円というコストでユーザー車検を抱えながら、行政サービスコストを削減するということについては、どのような方策をお考えになっているのでしょうか。

 戸澤課長 
 なかなか難しい方策でございまして、ユーザー車検というのはどうしても不合格率が高いということで、1回で終わらないということで手間がかかる。そして、代行業者の方でしたら、ある程度手慣れた方なんですけれども、当然本当のユーザーが何割か来られます。そういった方々にはユーザーの見学コースみたいなのを設けたり、場合によっては半分手取り足取り検査を指導していかないと、その検査ができないということで手間がかかるので、本当はそれ以外の認証工場扱いなんかと比べますと、手間という意味では相当違いますので、本当はそこで手数料の差を設けられれば、より実費にあった形にはなろうかと思うんですけど、やはりユーザーの方を対象にしているということで、そこのところはユーザー車検の方は手数料を高くするということはなかなか難しいわけでございます。ただ、一方でさっきちょっと言いましたように、ユーザー車検がなるべくうまく受検できるように、ユーザーの見学コースですとか、初めて来られた方には最初にいわゆるユーザー車検の受け方みたいなビデオをちょっと見ていただいて、なるべく手間がかからないような、そういった努力も一方ではしているところでございます。

 河村臨時委員
 先ほどの非公務員化の可能性の関係の質問に関して、追加で質問なのですが、街頭検査のところで基本的な実務の面の質問をさせていただきます。街頭検査をされるときに、例えば暴走車を止めるとか、大変なお仕事だということは理解できますが、国民の安全の確保のためには是非重点化してお願いしたいと思います。例えば、街頭検査で、現場で暴走行為をしている車を止めて検査というのは、実務の面で、車検独法の職員の方々単独で行っていらっしゃるのでしょうか。その点、お尋ねしたいと思います。

 戸澤課長
 単独では止められません。警察と一体になりまして、警察の方が車を止める。ただ、その車が不正改造をされているかどうか、警察の方はそういった専門知識がございませんので、検査独法の人間がその基準に適合しているかどうかという審査をして、そして合っている、合っていないというのを確定するということでございます。

 縣臨時委員
 事務局に確認したいのですが、この法人の事務所ごとのセグメント情報はどの程度出ているのでしょうか。

 新井評価監視官
 後ほどお答えいたしたいと思います。

 縣臨時委員
 できれば、事務所ごとの件数と経費について、資料を集めていただきたいと思います。

 新井評価監視官
 了解しました。

 鈴木臨時委員
 先ほど非公務員化についてのお答えがありましたけれども、こういう監視的な、あるいは監督的な、あるいは規制的な業務については、当然そういういろいろなトラブル等もありますので、ほかにもあると思うんですね。したがって、そういうものについてはやはり法的な制度だとか、あるいはペナルティーを厳しくするとかということでこの業務等については解決できるのではないかと思うんですね。したがって、今日ここでお答えいただく必要はないんですけれども、そういうことを行った場合、どういうことになるのか、その点も御検討をしておいていただきたいと思います。

 富田分科会長
 それでは、今日は時間の都合もありますので、ここで御質問を打ち切らせていただきまして、また後で事務局を通じて、新たな質問なり、御返答いただければと思います。
 続きまして、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の事務・事業の概要について、お願いいたします。時間の関係もありまして、御説明は10分間でお願いいたします。

 小野審議官
 それでは、私から御説明いたします。海事局審議官の小野でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、資料の最初は独法の全体の概要でございます。組織、それから業務概要が書いてございます。これはお読みいただければ分かると思います。一つだけ業務概要を大きく分けまして、この独立行政法人は鉄道関係と船舶関係と大きく二つに分かれます。今日は、事務局からの通告によりますと、船舶関係のうちのさらにその中で、ここの資料で言えば2ページ目の(3)高度船舶技術開発等業務の利子補給と債務保証の部分と、4番目の基礎的研究等業務――実は厳密に言えば、この「等」の中でございますけれども、内航海運の暫定措置事業に絡みます、この独立行政法人からの融資と、この大きく2点についてだけ説明をしてくれと通告を受けております。
 それでは、まず、暫定措置関係でございます。内航海運活性化融資業務という資料を御覧いただきたいと思います。
 この融資業務は先生方も事前にいろいろ勉強されているとは思いますが、まず概要の2番目のところで、どういう仕組みなのかというのを御説明いたしたいと思います。右から2番目に「内航総連」と書いてございます。これは内航海運業者の団体でございます。内航海運組合法に基づきまして活動している団体でございます。この内航海運暫定措置事業と申しますのは、現象面だけ申し上げれば、新しく船舶を建造する人間――右に船舶建造者と書いてございます。これは海運業者でございますが、これが船を造るときにその船の大きさ、船種によりまして、一定額の納付金を納める。その納付金を原資といたしまして、既に持っている船舶所有者の船を解撤する場合、それに解撤等交付金というものを支払う。
 何でそんなことが行われなければいけないのかというのが、実は歴史的な経緯がございまして、次のページを御覧いただいたいと思います。実は内航海運業界は昭和41年から船腹調整事業というものを行っておりました。船腹調整事業というのは、新しく船を造る場合には既存の船をスクラップしなければいけないと。要するに何かをつぶして新しいものをつくるという義務付けをする仕組みでございました。この仕組みが長年続いたものですから、実は結果として、スクラップをする場合、当然何がしかの経済的な見返りがあるわけでございます。お金が入ってくるわけです。それが実は内航海運業界の中では既得権化しておりまして、業界用語で「引当権」と言っておりました。そういう引当権が事実上存在してございました。この船腹調整事業は非常にきつい規制でございました。ここにございますように平成10年に閣議決定で規制改革3カ年計画でもってこの船腹調整事業はやめるという決定をいたしました。ただ、やめた場合、それまで事実上経済的価値を持っていました引当権と言われるものが無価値化すると、内航海運業界がとんでもないことになるということで、それではそのスクラップとビルドの間の関係は完全に断ち切るけれども、その引当権に関しては暫定的に何がしかの価値をそのまま存続させるような仕掛けをつくろうということでできたものが、この内航海運暫定措置事業でございます。
 1ページ目に戻っていただきますと、実はこの平成10年にこの事業が始まったわけでありますけれども、ちょうど不況の真っ盛りでございました。結果的にあまり荷動きがなく、したがって、新しく船を造る人間もあまりいなかったことから、この「入り」の方、納付金よりも「出」の方が結果的に多くて、その辺のタイムラグから、当面運転資金として関係方面から資金を調達する必要が生じた。そこで、この鉄道・運輸機構、それから純粋の民間が一緒になりまして融資を行った。鉄道・運輸機構に関しては現在では530億円を限度といたしまして、鉄道・運輸機構が民間から融資を受けるものに対して政府保証をつける仕掛けでございます。
 もちろん、これは名前のとおり暫定でございまして、いずれはやめる必要があると我々も考えております。ただ、現時点ですぐにやめることはなかなか困難であると我々も頭を悩ませているところでございます。これに関しては、我々としても早期にこれを収束させる必要があると基本的に考えておりまして、今年度に入りまして本格的に早期終結のための方策はいかなるものがあるかというのを関係者で検討を始めております。これが暫定措置事業の関係でございます。あと、もし何かございましたら後で御質問いただければ、ちょっと時間もありませんので、簡単に説明させていただきます。
 次に、二つ目のポイントの船舶技術開発に関する利子補給と債務保証の関係でございます。まず、この船舶技術開発等業務に関しまして、前提となります造船業の状況を簡単にお話ししたいと思います。ここにございますように造船業というのはご承知のようにすそ野の広い産業でございまして、地域によりましてはそれの城下町ができているというような状況でございまして、地域経済に及ぼす影響はかなり大きい産業でございます。また、造船業というのは、ここに書いてございませんけども、世界単一市場で世界で競争しているという特徴がございます。それからもう一つ、ほかの製造業は大体外に生産拠点を移しているのがほとんどでございますけれども、造船業の場合は現在のところ100%国内で生産を行っているということでございます。この、先ほども申しました造船業というのは世界単一市場で激烈な競争を行っているということでございます。その状況が下のグラフにございます。昔は日本もかなりのシェアを持っておったわけです。徐々にシェアが減ってまいります。そのかわり、韓国それから中国が台頭してきていると、こういうことが事実としてございます。それぞれの国、韓国、中国については、かなり政府がバックアップをしております。特に中国の場合は、御承知のように国有企業でございまして、中国政府の国家政策として2015年には世界一の造船国になるんだということを国家政策に掲げているくらいでございまして、国家的な融資とかバックアップをかなりしているという実態にございます。それから、ヨーロッパ。これは日本と同じくシェアを徐々に下げてきているわけでありますけれども、そのヨーロッパもやはり造船業というもののインパクトがかなり大きなものですから、国家としてかなり造船業を後援をしている。ここにございますように、技術開発を中心に公的資金を投入しているという実態にございます。
 そういった状況下で、我々としては、やはり我が国の造船業の国際競争力を維持、充実させていく必要があると考えておりまして、そのためには、やはり技術開発で勝負をするほかはないのではなかろうかと我々も考えております。実は、造船の世界にはIMO(国際海事機関)という国際機関がございます。これは国連の専門機関の一つでございます。そこで船舶の技術基準を決めております。造船業の国際競争力のかなりの部分がIMOで新しく導入される技術基準をいかに早く実現できるか、その競争だといっても過言ではございません。したがって、この技術開発競争というのはこの造船業界ではかなり過酷でございます。
 そのような状況にある造船業をバックアップするシステムとして、この利子補給、それから債務保証といった仕掛けを用意させていただいているということでございます。実はこの二つはリンクをしておりまして、この債務保証を平成元年から業務を始めておりますが、額にしましてほぼ48億円の信用基金という基金をこの鉄道・運輸機構の中に持っております。その48億円の信用基金の基本的に3倍まで債務保証をするということ。それから、その信用基金の運用益を利用して、利子補給をするという仕掛けになってございます。利子補給、債務保証、それぞれについてはここの資料にございますとおりでございますが、利子補給に関しては実際にこの右側、それから、次のページ、3ページ目にちょっと写真を載せてございます。高信頼度舶用推進プラント、これはメンテナンスフリーのメイン・エンジンでございます。あるいは無人潜水艇の開発、こういったところに実際にこの利子補給が使われております。
 それから、債務保証に関しましては大きく二つに分けてございまして、試験研究資金の借入れの場合の債務保証と、それから、そういう高度船舶技術を実際に取り入れた船をつくるオーナーに対する債務保証と、この二つがございます。残念ながら、試験研究の借入れに関する債務保証はこれまで実績がござません。ただ、そういう船舶製造の債務保証に関しましては、ひところ新聞をにぎわせましたが、東京−小笠原間にテクノスーパーライナーを走らせるという話がございました。このテクノスーパーライナーの船舶製造業者、オーナーに対する債務保証を予定しておりました。残念ながら、運航事業者が手を引いてしまったために、現実にこの支援機構がこれを使って債務保証をするというところまでは至っておりません。結果的に、これも現時点では実績ゼロということでございますけれども、そういう仕掛けで一時動いていたということでございます。
 時間が参りました。かなり簡略化した説明で申しわけありませんが、終わらせていただきます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見などございましたら、どなたからでもお願いいたします。樫谷委員。

 樫谷分科会長代理
 内航海運活性化融資業務について、質問したいと思います。先ほどの御説明で、早期に見直すつもりだというお話でした。私も驚いたのですが、相当行政サービス実施コスト――コストとしてはまだ発現はしていないのですけれども、これから相当の大きなコストが、つまり貸倒れというコストが出る可能性がある事業ではないかと思っております。特に、民間の金融機関から直接内航総連が借りているものと、機構を通じて借り入れるものとありますが、ますます機構経由にシフトしてきていまして、これでは自主的に商工中金とか民間の金融機関の債務保証をしているようなもので、極めて憂慮すべきことが起きるのではないかという懸念を持っております。この辺はまだ検討中だということなのですけれども、早急にこの対応――政治的な問題もあったりして、いろいろ難しい問題もあるとは思いますけれども、巨額の「隠れ債務」になっている可能性があるので、是非早急に検討をしていただいて、次期中期計画の中でシビアに見直していただきたいと思います。いかがでしょうか。

 河村臨時委員
 樫谷委員の御指摘と重なる部分もあるのですが、内航海運暫定措置事業について、今の御説明もやはり早期に収束させなければいけないということで、もう既に検討は開始されており、問題を御認識いただいているとは思いますが、私どもの目から見ても、内航総連に対して船舶の建造者、造る方から入ってくる納付金より出ていく方が多かった。それは制度が始まった平成10年の時期が不況のまっただ中でというお話もありましたが、確かに景気の要因というのが足を引っ張る方向に作用したことは間違いないとは思いますが、果たしてそれだけが要因なのかどうか。これだけ景気がよくなってきて、安定性が増してきているような時期にどういうふうな状況になっているのか。やはり、こういうやり方をこれからも続けて行って、本当に将来的な、先ほど「隠れ借金」という話がありましたけれども、大きな国民負担がどんどん膨らみかねない、非常に危険があるスキームではないかと思います。ですから、是非とも1日も早くどういう形で解決していくのが望ましいのかということの御検討をお願いしたいというのが1点コメントです。
 もう一つ質問というか、やはりこれもコメントなのですが、現在の仕組みを拝見すると、お金が足りない分を内航総連に融資するときに二通りの経路があって、民間金融機関が商工中金も含めてダイレクトに出している部分とがある。しかし、鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて出している部分とあって、でも、民間の金融機関が機構に融資するときにも、元々政府保証はついているわけで、こういう調達の仕方で、二通りの経路があるのはなぜか。特にこの上の方の、政府保証がついているのに機構を通さなければならないようになっているのはなぜかといったところも、問題意識として持っておりますので、今後御検討されるときに是非併せてお考えいただければと思っております。以上です。

 鈴木臨時委員
 利子補給について、そして債務保証についてですが、それぞれのページで詳しくミッションといいますか、この政策的な意義等が記載されておりますけれども、現実には利子補給業務は近年はほとんどないという状況でございます。したがって、利子補給については必要性がないのではないか、すなわち、役割がもう既に終わったのではないかと考えられますが、いかがでしょうか。
 また、債務保証業務についても、先ほどやはり同じような御説明、あるいは政策的意義がここに書いてありますけれども、この前提となる事業であったテクノスーパーライナーについては、困難な状況になっているということですけれども、事実上頓挫しているのではないか、制度自体が空振りの状態ではないかとも考えられますが、いかがでしょうか。

 富田分科会長
 それでは、簡潔にお答えいただければと存じます。

 小野審議官
 分かりました。
 まずは、内航暫定措置の関係でございます。大きく分けると二つ、早期見直しの何かはやるべきだけれども、何か考えておられるのかという御質問だと思います。まず、その点について。まず、一つは基本的にこのスキームは船舶建造が多くならないと基本的には入りが少なくなるわけで、我々はこの内航暫定措置事業を考えるときにこれだけを考えたらだめでありまして、内航海運政策全体を考えなければいけないと考えておりました。12月から検討を始めまして、先般、方針を立てたんですが、今具体的なアクションに移っている段階でございますけれども、まず、その内航海運の船舶の建造を促進しようじゃないかと。今現在は非常に建造量が少なくなっております。これが一つの原因だろう。何で建造量が少なくなっているかというと、やはり基本的には景気の問題、それから構造的に内航海運業者が流れの中で最下流に属していまして、運賃、用船料をたたかれているということで、再生産がなかなかできない業界になっているというところがすべての根源でございまして、その辺を少し改善していくために、まず方策を考えなければいけないのではなかろうかと我々は考えております。それが一つ。
 それから、当然、この内航暫定措置事業の関係では入りはこの納付金だけでありますから、これだけでは足りないのではなかろうかという基本的な認識があります。何か別途入りを考える必要があるんであろうと、これが非常に難しい。基本的に、言う人によっては「それは税金を投入すればいいじゃないか」と、言う方もおられます。そうは我々も考えておりませんで、これは基本的には税金を投入する事業ではないんではなかろうかと我々は考えておりますけれども、関係者の中にはそれが一番手っ取り早いんだというようなことをおっしゃる方もおられます。そんなところを考えております。
 いずれにしましても、早く我々としても終結させるような方策を考えていきたい。ちなみに、解撤交付金を受け取る人、その対象船舶はもう既に絞り込まれておりまして、もうこれ以上出の方は増えることはないというふうに御理解いただきたいと思います。
 それから、あとは、民間と支援機構の方の二通りあるということでございます。これは、基本的に民間だけではなかなか実際問題として融資をしていただけなかったというような実態がございます。したがって公的機関がある程度これにかかわっていって、全体として支援していくという仕掛けを作らざるを得なかったというのが実態でございます。ちなみに、民間の商工中金、民間金融機関と書いてある方ですけれども、こちらの返済は順調に進んでおります。ですから、こちらの方は問題ないと考えております。それが一つ。
 それから、技術開発に関する利子補給、債務保証でございますけれども、基本的にもうこの仕組みは要らないのではなかろうかということでございますが、これまで、はっきり言いまして、この制度始まってから造船業界はずっと不況でございました。だからか、民間の造船所のほうもそういう試験研究、R&Dの方に回す金がなかったというのが実態でございます。今御承知のように、特に外航海運を中心としまして、大変な海運業界は大変な好況でございまして、船舶建造の発注量も急激に増えております。今後はこういったことからR&D――そもそも造船業は先ほど申しましたとおり、技術開発をしていかなければもう生き残っていけない業界でございます。余力が出てきたところで、恐らく今後一斉にR&Dが出てくるのではなかろうかと。それをサポートするということが、我が国の造船業の国際競争力確保に必要になるであろうと我々は考えております。以上でございます。

 富田分科会長
 それでは、今の御回答に御質問、御意見ございますれば。

 河村臨時委員
 今の御回答に対する意見というかコメントでございますが、暫定措置事業の方ですけれども、御検討の方向性をお話しいただいたのですが、二通りのアプローチがあり得て、一つが船舶建造の促進である。ただ残念ながら、なぜ建造が進まないかというと、景気の問題と用船料の問題ということをおっしゃったのですが、マクロ経済全体の景気の動向の認識をもう一度見直していただきたいというか、今の時点で景気が原因でというふうにおっしゃるのは、やや全体的な日本のマクロ経済の評価からすればかなり違和感があります。それから、用船料の問題で、確かに川下でいろいろ厳しいということも分かりますが、価格をめぐる環境が日本だけではなく、世界的に見ても、デフレ傾向が強まるなど大きく変わってきており、造船業界だけに一方的なインフレは考えにくいような状況、それは大方どこの業界でも変わらないのではないか。その中で造船業界が特に厳しいのかもしれませんけれども、全体的に経済がそういう流れがあるという中でどうかということを今一度改めてお考えいただきたい。審議官のお話をお伺いすると、どうもこのスキームの根本は変えることなく、何とか景気の好転を待ってと、何か銀行の不良債権問題が大きく問題になったときに考えられていたのと、同じようなことになりかねないのではないか、あの時は結果的には国民の負担が大きくなる結果になったわけですけれども、同じような危惧があるということを申し上げさせていただきたい。以上、意見です。

 富田分科会長
 それでは、時間の都合もありますので、ここで御質問、御意見を打ち切らせていただきまして、また事務局を経由いたしましていろいろと申し述べたいと思いますので、お答えをまたよろしくお願いいたします。
 ここで少し10分程度休憩をとりたいと思います。1618分より再開いたします。

(休憩)

 富田分科会長
 それでは、時間になりましたので、続きまして自動車事故対策機構につきまして御説明をお願いいたします。おそれ入りますが、10分で御説明いただければと存じます。

 瀧本課長
 自動車交通局の保障課長の瀧本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料の1−3でございますけれども、独立行政法人自動車事故対策機構の組織の概要が全体書いてございます。役職員が340名ということで、旧センター時代には440名ほどおりましたけれども、千葉療護センターの業務委託などをしまして、今現在こういう役職員数でございます。
 沿革はここに書いてございますが、交通戦争と言われた時代があって、現在、交通事故死者数は6,871人というのが17年の数でございます。当時1万6,000人おりまして、交通事故の死者の数は減ってきたんですが、実は16年でございますが、交通事故の件数あるいは負傷者数というのは過去最高を記録しました。17年は少し下がりましたけれども、依然として高水準になってございます。そのような中で、政府全体としての取組の中で交通安全対策基本法、さらに自動車事故対策センターということで、各省を挙げまして交通安全の問題に取り組んでいるということでございます。
 それから、2ページ目でございますが、自動車事故対策機構の18年度の収入、支出、予算、あるいは人員のことについて概括的に述べてございます。セグメント情報というのを自動車事故対策機構は作っておりまして、貸付業務、療護業務、そのほか一般業務といたしまして運行管理者等々の問題について分けられるものは分けているというのがこちらの数字でございます。
 それから、3ページ目でございますが、組織図でございます。本部と各県に一つずつ地方組織がございます。9の主管支所と、それから41の支所でございます。支所の人数としましては基本的に4名でやっているということでございます。それから、本部におきましては、安全指導部と被害者援護部というのがございまして、かつて業務1部、業務2部というふうに言っておりましたけれども、今はこういう名前の部になっておりまして、交通安全対策、被害者援護ということを分かりやすくしております。
 それから、本文の1ページ目で、全体の業務の概要の説明でございます。自動車事故対策機構法の目的にございますけれども、自動車の運行の安全の確保に関する事項を処理する者に対する指導、いわゆる運行管理者に対する指導、それから自動車事故による被害者に対する身体的または財産的被害の回復に資する支援等を行うことによりまして、自動車事故の発生の防止に資する、それから自賠法の損害賠償の保障制度と相まって被害者の保護の増進をするということが目的でございます。
 1番に、自動車事故防止のための事業。まず自動車事故を防止いたしまして、それでも発生した事故に対しましては被害者救済をするということでこういう順番にしてございます。全体的に書いてございますが、運行管理者等の指導講習業務ということで、このような形で運行管理者の方を集めまして、運行管理に必要なノウハウを提供するということでございます。こちらの方と次のものは事業用自動車を対象にしてございます。次が運転者の適性診断業務でございますけれども、運転手さんたちが先ほどの支所の方に参りまして、ペーパーテストのほかにこういう機械を使いましてその方の反応度合いを見るというようなことがございまして、そういったものを見ましてアドバイスをしているという業務でございます。それから、自動車アセスメント情報の提供ということで、実際に車を衝突させまして、この情報につきまして公正中立な立場で公表するということでございます。
 それから、二つ目の大きな柱といたしまして、自動車事故による被害者保護の増進のための事業ということで、まず一つは療護センターの運営をしております。療護センターと申しますのは、交通事故で亡くなる方と同じように、遷延性意識障害というような植物状態になられる方というのがいらっしゃいまして、そういう方の治療のための療護施設を設置・運営しているところでございます。それから、そういう方たちも含みまして、重度の後遺障害者の方たちへの介護料の支給、短期入院費の助成をしております。それから、交通遺児、あるいは先ほど申しました重度後遺障害者の方の遺児の方たちに対する育成資金の無利子貸付、友の会の運営、家庭相談を行っている。これが概要でございます。
 2ページ以下に、少し詳しく述べさせていただいております。まず、自動車事故防止のための事業でございますが、運行管理者の指導講習ということで、現在、運行管理者というのが全体で14万人ほどおりますけれども、この方々のために、ここに書いてございますように任意の基礎講習、それから義務的なものといたしまして一般講習、特別講習といったことで、それぞれの受講者に対象にしまして指導講習をしているということでございます。全体で年間11万人の方に対しましてこういう指導をしてございます。
 それから、運転者の適性診断でございますけれども、バスが7万人、タクシーが42万人、それからトラックが80万人、計130万人ほどの運転手さんがいらっしゃいますけれども、こういう方たちに対しまして、ここにもありますように一般診断、特別診断ということで任意の診断のほかに、義務的な診断といたしまして初任診断、適齢診断、特定診断I1、特定診断II2、こういうものがあるわけでございます。特に、新たに運送事業者に採用された運転手さんの方たちに対して10万人ぐらいを対象にいたしましてこういう診断を行ったり、それから、任意的なものでございますけれども、22万人くらいの方にその方の運転の諸特性を明らかにするための基礎的な診断といったものをやっているということでございます。こういう運行管理者の指導講習、運転者の適性診断は基本的には事業用自動車の方たちでございますが、そういったことに対する事業をやっているということでございます。
 それから、三つ目に自動車アセスメントといたしまして、写真がございますけれども、自動車自身をこういう前面衝突であるとか、少し横の方から衝突させたり、完全に側面から衝突させましたり、ブレーキ性能、あるいはさらに歩行者の頭部の保護の性能試験をやりまして、メーカーの安全性の高い自動車、あるいはチャイルドシートの研究開発を促進しようということでございます。
 それから、4ページ目でございますが、自動車事故による被害者保護の増進のための事業ということで、自動車事故が起こりますと、まず亡くなった場合でございますけれども、一番下にありますように、交通遺児に対します生活資金の貸付けをしてございます。死亡または重度後遺障害になった場合に、その子弟が中学卒業までの場合でございますが、児童を対象にいたしまして育成資金の無利子貸付等を行うということでございます。在学中には返還猶予、卒業後6カ月または1年間据え置いて20年で償還というようなことをしてございます。条件はございますが、生活困窮者であるということ、それから額についてはそちらに書いてあるとおりでございます。この貸付業務以外にも、この自動車事故対策機構では精神的な支援といたしまして、家庭相談員による生活相談、それから交通遺児友の会の運営をしているということでございます。
 それから、一つ重度後遺障害で遷延性意識障害というようになったケースでございますが、これは5ページの次を御覧になっていただきたいと思いますけれども、自動車事故対策機構といたしまして、療護センターを運営しております。自動車事故によるこういった意識障害の方につきましては、若年層が比較的多いということ、それから事故後早期に適切な治療と看護を行うことで、いわゆる植物状態から脱却の可能性があるということでございまして、昭和59年、千葉療護センターが開業いたしまして、その後、東北、岡山、中部ということで今現在四つ運営しておりますが、こちらで大体入院をした方の4分の1ぐらいの方が、植物状態の状況から少しでもよくなった状況になってございまして、そういうことで、この分野でやっているということでございます。この成果につきましては学会にも発表しまして、脳神経分野の医学の発達に寄与しているということでございます。
 それから、4ページにお戻りいただきまして、こういった療護センターを運営しているわけでございますが、このセンターの方は対象になりませんけれども、こういう方が自宅介護になる、あるいは療護センターに入れない方、入らない方がいらっしゃいますけれども、そういう方に対しましては介護料の支給をしていくということでございます。交通事故が起こりますと、いわゆる自賠責保険で補償されるのがほとんどでございますけれども、なかなかこういう100%労働ができないということと、意思疎通がなかなかできないというような方たちもいらっしゃいまして、家族の方は大変な御苦労をされているわけでございますが、そういう方に対しまして、それぞれI1種、II2種、あるいは植物状態になる方たちの家族につきましては最重度ということで特I1ということで、月間こういうような額の介護料を支給をしているということでございます。そのほか精神的な支援もしておりまして、在宅の介護相談窓口、あるいは介護だよりによります情報提供ということで、交通被害者の方たちにきめ細かい支援等も一緒に行っているということでございます。以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました自動車事故対策機構の事務・事業につきまして、御質問、御意見などございましたら、どなたからでもお願いいたします。

 浅羽臨時委員
 私からは交通遺児等への貸付けに関しまして、2点教えていただきたいことがございます。
 まず第1点目は、私どもが事前に事務局を通じまして調べさせていただきました、平成16年度の交通遺児等への貸付けの実績のデータを見させていただきますと、貸付けの実績が3億4,000万円、回収が11億2,000万円。それに対しまして、業務費で8億円となっております。これは事業規模に対しまして経費があまりに大き過ぎるのではないかという問題意識を持っております。特に、恐らく回収コストが問題だと思いますけれども、回収コストの削減等に関しまして、厳しく切り込んでいく必要があるのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。これがまず第1点です。
 第2点目は、これもいろいろと調べさせていただいたのですが、交通遺児等の貸付けのほかにもいろいろな貸付けの制度があります。例えば、不履行判決等貸付けは平成16年度で実績ゼロ、一部立替貸付けでも16年度4人という実績、なぜ実績がないのかということを素直な疑問として持っております。これだけニーズが少ない、あるいはものによってはないということでありましたら、制度そのものがもう今の状況に合っていないのではないかというような意識も持っておりますけれども、そちらのお考えをお聞かせ願いたいと思っております。

 富田分科会長
 それでは、ただいまの政策金融業務について、簡潔にお答えいただきたいと思います。

 瀧本課長
 貸付金の回収に費用が掛かり過ぎているのではないかということでございますけれども、今お話がございました平成16年は3.4億円貸付けをいたしまして、11.1億円回収してございます。そのコストでございますが、貸付けの業務費が8.0億円ということでございます。私どもはこれは数字のとらえ方かと思っておりまして、先ほど申し上げましたけれども、貸付けにはいろいろほかにもやらせていただいている関係がございまして、例えば、友の会という遺児の方たちの御家族に対しまして、そういった支援業務をやっておりますし、それから、債権の管理・回収の業務というのをそういう意味でとらえますと、直接経費が2.4億円でございます。それと、一般管理費を含めますと、全体で6.1億円でございまして、ちょっと数字的には大きく出ておりまして、狭くとらえればもう少し少ない額ということでございます。それから、先ほどの債権回収のコストにつきましても、こういった場での御指摘を踏まえまして、経費節減に極力努めておりまして、その辺の数字につきましても削減を今後とも図っていきたいということでございます。
 それから、二つ目の不履行債務の問題でございます。これは確かに実績が現在少ないということでございますが、これは確かにいろいろほかにも制度があるということだと思っております。不履行判決につきましては、これは実際に裁判、あるいは後遺障害の認定審査に時間を要しまして、その支払いまでに期間が長期にわたるということでございますけれども、そういう形で生活困窮者に対しまして当面の資金の貸付けを行っているわけでございますけれども、制度としてはこういう形でつくっており、確かに実績は多くはないとは思っておりますけれども、やはり、自賠法の中のこの補償制度を補完するものであるということで、更により確実に被害者保護を行うためには必要な制度と今は考えておりまして、そういう意味では直ちに制度の役割を終えているとは思っているわけではないということでございます。

 河村臨時委員
 交通遺児貸付けについて、追加で別の角度からお尋ねさせていただきたいと思います。コストの規模の認識がいろいろ見方があるというお話でしたが、私どもとしては事業の規模に対して大きいのではないかなと思っております。これについて、交通遺児の方々に対してこうやって政策的に支援をするということの必要性に関しては恐らくあまり異論はないのではないか。これは国土交通省の政策としてお決めになることだとは思いますが、ただ、そういう政策目的に対して、お金を貸して20年かけて返してもらうという政策手段をとることが果たしていいのかどうか、そういったことは御検討されているかどうかをお伺いしたいと思います。具体的には、20年間で返してもらうという事務コストは回収とかも含めて掛かると思うのですが、そういう形ではなくて、例えば助成に切り換えるという方法もあり得るのではないのかと思いますが、その点いかがお考えでしょうか。

 瀧本課長
 回収率につきましては、今、債権額に対して90%と非常に高くなっておりますが、おっしゃるようにやっぱりそのコストが掛かっているのではないかということだろうと思います。それは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、やり方といたしまして、やはり交通遺児の方々に助成するとなりますと、それは自賠責保険でもあり、保険で払われることに対しまして、さらに保険金額の上乗せに当たるというような議論もございまして、やはりそこでは私ども政策的には貸付けをさせていただいて、かつ、その交通遺児の方たちが本当にお父様を亡くされた方、お母様が子供たちと非常に頑張っておられて、そういう方たちを見て、それでしっかり借りたものを何年かして返すということで、非常に多くの方々がそういう制度にそれほど不満を持っているわけではないと認識しておりまして、この制度もそれなりに、貸付制度という意味があるのではなかろうかと思っております。

 富田分科会長
 ほかに御質問、御意見いかがでございましょうか。

 鈴木臨時委員
 指導講習と適性診断についてでございます。先ほど来御説明がありますように、自動車業界との関連も含めまして、発展、展開しているわけですけれども、このような場合に、安全確保は自動車の運送業者の責任ではないのかと思うわけです。したがって、法制度上は民間事業者等によっても実施は可能ということだと思いますので、そういう方向も検討されているのかどうか。あるいは、場合によってはノウハウ等からこの機構で行わなければならないとしても、指導講習とか適性診断については国費ということよりも、むしろ受益者負担の方が一般の国民にも理解できるのではないか。受益者負担についてはどういうふうにお考えになっているかお聞きしたいと思います。

 河村臨時委員
 追加でお尋ねします。業務運営全般についてですけれども、最初に支所の御説明がありました。かなり多いなという印象があります。50か所で4人ずつ配置する必要性が本当にあるのかどうかということでございます。より効率的に業務運営をすることを考えれば、もう少し厳しく検証して、うまくまとめて集約していくことができるのではないかと思います。もし今日無理であれば後日でも結構ですが、支所ごとに利用の件数がどのくらいあるのか、支所ごとの業務の内容が分かるような数字を是非お示しいただきたいと思います。
 もう一つは、療護センターについてです。大変手厚い看護がなされているということで、そこに入れていらっしゃる方は良いと思いますが、必ずしも全員が入れているわけではなくて、たくさんの待機の方がいらっしゃると伺っておりますけれども、ある意味ではそこに不公平なところが出てきてしまうのではないのかと考えております。今後は、今日のお話にもありましたが、もっとすそ野を広げる形でのその成果の普及というところにも、より力を入れていく必要があるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

 富田分科会長
 それでは簡潔に国土交通省にお答えいただきます。

瀧本課長
 おっしゃるように、交通安全につきましては、特に事業者につきましては事業用運送会社の責任はおっしゃるとおりだと思います。こういうことで、いわゆる事業法でいろいろな規制をしているところでございますし、安全マネジメントという形で最近国土交通省では経営トップの方にそういう安全に対する意識をつけてもらいたいという形で動いているところでございます。ただ、何分にもこのトラック業者を始め、中小事業者から大きいところまでたくさんありまして非常に数も多い。そういう方たちに対して、すべて全く何の支援も無しにいろいろなことができるかというと、これだけ日本社会が車が多い、あるいは混在交通の世界でございますので、何らかの形でこういう自動車事故対策機構のようなところが支援をしていってやるのも、これは交通安全のため、人の命でございますので、そういうのに貢献しているのではなかろうかと思っております。
 それから、同じように受益者負担につきましても、100%ということではなくて、その辺はこういったところの御指摘も踏まえまして、直接人件費を見るとか、そのうちの半分を見るとか、そういうようなことをとにかく工夫をしながらやっておりますので、これからもその指摘を踏まえて検討していきたいと思っております。
 それから、支所の数でございますけれども、これもやはり非常に事業者数、運転者数が多いということでございまして、こういう体制をとってございます。今、各県一つずつの組織でやっておりまして、それはそれで事業者の方たちには利便性があろうかと思います。ここで統合していくようなことが適当かどうかということにつきましても、御指摘を踏まえて検討していきたいと思いますし、利用の件数等につきましては、これは後ほど資料を出させていただきたいと思っています。
 療護センターのことでございますけれども、去年の3月に千葉療護センターを30床増床いたしまして、これまで非常に待っている方が多いという状況でございましたけれども、これについては幾分解消されてございます。ただ、地域が全国4か所でございますので、確かに不公平があるのではなかろうかという議論もございますけれども、一方で、24時間介護を必要な方たちでございますので、自宅介護をしていきたいという方たちも非常に多くございまして、そういうことで、御指摘のようにその成果をよく伝えて、通常の病院におきましても同じようなことが今後できるように、治療のノウハウみたいなことを一般病院にも伝えていきたいと思ってございます。以上でございます。

 縣臨時委員
 初歩的なことで恐縮です。制度をよく知らないのでお教えいただきたいのですが、重度後遺障害者の方々に対する介護料は普通の介護保険とどういう関係にあるのかということをお教えいただきたいと思います。

 瀧本課長
 介護保険は通常65歳以上の方々のものでございまして、交通事故は若年の方も多いものですから、それとは別に払ってございます。逆に介護保険等、別の年金等をもらっている方は対象になってございません。それから、自動車事故ということで、通常の自賠責保険の対象以外にも自損事故のようなケースについても払っています。

 富田分科会長
 どうぞ、樫谷委員。

 樫谷分科会長代理
 今、非常に財政が厳しいということで、国民負担をいかに軽減するかということが大きなテーマになると思います。国民負担の数字は、実は行政サービス実施コスト計算書というのが財務諸表の中にありまして、一番下の数字が国民負担の金額です。事故対機構の場合は115億9,800万円。これが運営費交付金などで穴埋めされているので、損益計算書上からはプラスになっているのですが、基本的に事故対機構はコストセンター(直接的には利益を生み出さない部門)であると思っています。コストセンターであるとしたら、やはりコスト管理をしっかりしていただいて、効率的な事業の運営をしていただかなければいけません。決算書だけではなかなか分からない部分が結構多いですが、是非コストセンターであるという意識を持っていただいて、シビアなコスト管理、コスト削減、効率化を図っていただきたいと思います。我々も行政サービス実施コストがいかに削減されているかという観点で見ていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 富田分科会長
 それでは今日はここで御意見、御質問を打ち切らせていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、奄美群島振興開発基金の事務・事業の概要について御説明をいただきます。なお、奄美群島振興開発基金の主務省は国土交通省及び財務省であるため、本日は財務省の中原課長始め、御担当の方にもお越しいただいております。
 それでは、奄美群島振興開発基金の事務・事業の概要について、10分ほどで御説明をお願いいたします。

 大野振興官
 国土交通省都市・地域整備局特別地域振興官をしています大野と申します。よろしくお願いいたします。
 説明は国土交通省の方で代表して御説明させていただきます。お手元、資料1−4でございますけれども、まず最初に説明の順序といたしまして、奄美群島につきまして簡単に概略説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料の一番最後から3枚目のカラーの資料をお開きいただきたいと思います。表題が「奄美群島の歴史・社会・位置」という資料でございます。これから説明をさせていただきます。右上でございますけれども、位置でございますが、鹿児島から370キロから560キロのエリアにございます、主に五つの島、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島、この五つの島から成っております。その面積は1,231平方キロでございます。
 歴史でございますが、左上の欄でございます。元々琉球の一部でございましたけれども、江戸時代に入りまして、薩摩藩が支配下に入れて、その間にいわゆるサトウキビの生産で大きな利益を上げたと言われてございます。戦後でございますけれども、沖縄とともに米軍の施政下に入ってございます。ただ、沖縄よりも早く昭和28年に返還をされてございます。その翌年、昭和29年に奄美群島復興特別措置法が議員立法によりまして5年間の時限法として成立しております。この法律がその後名称等を変えながら、5年ごとの延長、改正という形で、延長以降は閣法という形でございますが、現在に至った形でございます。現在は奄美群島振興開発特別措置法という名称になっておりまして、現在の法律が平成16年に成立しておりまして、平成20年度末までの5か年の法律ということでございます。
 それから、奄美の社会的な状況でございますが、人口が12万6,000人でございまして、人口増減率という吹き出しがございますが、昭和30年に比べて4割近く人口が減少しております。長寿、子宝の島として有名でございまして、泉重千代さん、本郷かまとさんは奄美御出身でいらっしゃいます。高齢者の割合が右の吹き出しにもございますが、非常に高いエリアでございます。それから、やはり産業がないということもありまして、就職の場がございません。一番下から2番目でございますが、若年層を中心として人口が流出してございます。高校生は群島内での就職率が10%と非常に低い数字でございまして、職を得るためには、必ず本土へ出なければいけないという状況でございます。そのために所得格差も非常に著しくございまして、全国平均の7割程度の所得でございます。
 2枚目にお移りいただきたいと思います。自然状況でございますが、亜熱帯性でございますので、四季を通じて温暖でございます。それから台風の常襲地帯であるということ、ハブの生息、それからいろいろな特殊病害虫の生息ということが農業面で主に大きなハンデとなっております。右側、産業の欄をごらんください。農業が基幹産業でございまして、その中でもサトウキビが最大の基幹作物でございます。それから、最近では野菜、お花、畜産、特に主に肉牛でございますが、こういったものにも取り組んでおります。それから、商工業でございますが、伝統的な産業でございます大島紬、これがやはり和装の需要減退で非常に不振でございます。ピーク時の1割程度でございます。一方で黒糖焼酎が最近焼酎ブームを受けまして非常に生産が伸びているわけでございます。それから、偏った産業構造とありますけれども、やはり農業、それからいわゆる建設業の占める割合が全国平均あるいは鹿児島県本土に比べましても非常に高い数字でございます。一方で、製造業が立地しないということで、製造業の割合が全国に比べても非常に低い。これがために所得が低いと、仕事の場所がないという状況に結びついております。以上、奄美の概要は時間の関係もございますので、この程度とさせていただきます。
 また前に戻りまして、奄美基金につきまして御説明いたします。1ページ目の資料でございますけれども、この基金でございますが、2の業務の概要のところにございますけれども、奄美群島振興開発特措法に根拠を置いております。そのために、この法人自体が平成20年度末までの時限となってございます。その目的でございますけれども、この基金の説明の下のところにございますが、奄美群島振興開発計画に基づく事業に必要な資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融を補完し、または奨励することが目的でございます。
 その目的に基づいて、主に二つの業務がなされております。1が保証業務、2が融資業務でございます。保証業務でございますが、奄美で事業を行う者に対して、これは一次から三次産業まですべてにつきまして、きめ細かな信用保証をしております。それから、融資でございますけれども、融資の方は奄美で事業を行う中小の事業者につきまして、特に農林水産業、あるいは大島紬などの製造業、販売業、観光業などの地域の特性をいかした産業に対して融資を行っているところでございます。融資額、保証残高等につきましては、ここに記載のとおりでございます。それから(3)の出資でございますが、これは平成13年度に決定されました特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、平成17年度末で廃止をされております。
 それから、資料を2枚めくっていただきまして、カラーの資料で、最近の保証・融資事例から見た奄美基金の役割を簡単に御説明しております。奄美は元々御多分に洩れず建設業に依存している割合が高かったわけでございますが、これが当然のことながら落ち込んでおりますので、こういった事業者の転換という意味も含めまして、焼酎あるいはホテル経営、あるいは農業に進出していただくということをやっております。大島紬につきましても製造見学施設を造ってこれを残していく努力もしているわけでございます。それから、新規の事業の支援ということで、例えば農林水産物に付加価値をつけて販売するような施設、あるいは地元の豊かな自然や伝統を生かした体験施設を起こして観光客等に利用していただく、こういった努力をしているわけでございます。奄美はこういうことで非常に大企業がいない。中小の業者しかいない零細な事業者の地域でございますので、こういった事業者を助けて、奄美の独自の産業を育成していくということがこの基金の重要な役割であると考えております。説明は以上でございます。

 富田分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました奄美群島振興開発基金の事務・事業につきまして御質問、御意見がございましたら、どなたからでもお願いいたします。はい、どうぞ、岡本委員。

 岡本臨時委員
 そもそも論的な意見、質問がございます。過去の経緯等々で今御説明いただき、それから現在どういう業務をなさっていらっしゃるかというのを御説明いただきました。奄美の振興という観点からは確かにそういうことかもしれませんが、日本全国の観点から、なぜ奄美だけなのかという疑問を素朴に持ってしまう。いろいろな過去の政治的な経緯はともかく、現時点でこのような奄美群島に対する特別な手当てというのは必要なのかということをどのようにお考えになっているか、まずお聞きしたいと思っています。以上でございます。

 富田分科会長
 それでは、まずこの点、簡略に要点をお願いいたします。

 大野振興官
 委員御指摘のとおり、この法律自体が元々時限という形で、5年間でスタートして、それが言ってみれば戦後50年経って、いまだにその5年を改正する形で続いているわけでございます。ですから、当然歴史的経緯でスタートしたといっても、当然その目的が果たして本当に今でも必要なのかという議論は当然のことでございます。その問題として、やはりこの格差是正というのがなかなか進んでいない。これは私どもの取組にも問題があるのかもしれませんけれども、やはり今でも非常に貧しい地域であり、産業の振るわない地域である。こうした格差を残したままでこの地域振興の貢献しているこの基金なり、この現在の奄美の振興法の枠組みをやめるということが、なかなか現実には難しいと考えておりまして、このために現在でもこの法律を続けているというわけでございます。したがいまして、この格差を残したまま、地元の方が納得いく形で終わるということがなかなかできないというのが現状でございます。

 岡本臨時委員
 格差というのは所得の格差等々、200万円ぐらいという御説明でしたでしょうか、御説明いただいていると思いますけれども、そういう経済的なことを主に考えていらっしゃって、過去のような政治的な話というのは、むしろ重要な見直しのための、5年ごとの内閣が提出される法律を見直されるときの重要な関心事項にはなっていないという理解でよろしいでしょうか。

 大野振興官
 やはり経済格差というのは最大の問題だと思いますが、もう一つ、これは若干政治的な要素もございますけれども、沖縄振興法がございまして、やはり奄美の方というのは常に沖縄というのを意識して見ておられますので、その沖縄振興法との兼ね合いもやはり一つ要素としてはあるかと思っています。地域立法としては、一方で離島振興法というのもございまして、一般の離島地域についてはこれは補助率のかさ上げというのを離島振興法でやっていまして、奄美でも同じようなことをやっておりまして、これが言ってみれば共存するような形になっておりますけれども、その沖縄と離島振興法の中間点みたいな形で奄美法というのがございます。そういった意味ではなかなかやめにくい、そういう地域に御納得をいただいてやめるというのはなかなか難しい状況というのはあるかと思います。

 河村臨時委員
 もう一つ別の観点から質問いたします。なぜ奄美だけなのかということとの関連で、歴史的な経緯が似た状況にあるところで小笠原があるのではないかと思います。そこに向けての支援と奄美に対する支援と比較するとどうなっているのでしょうか。
 もう一つは、奄美基金の保証業務のところでお尋ねしたいのですが、こちらで少し勉強させていただいたところでは、奄美群島の中での保証件数の割合を見たときに、この基金の保証だけではないのではないか。逆に、鹿児島県としての信用保証協会が行っている部分もかなりあるのではないのかなと思いますが、これはどうなのでしょうか。奄美についても、鹿児島県としての信用保証の仕組みでやれば十分やることもできるのではないか、この点いかがお考えでしょうか。

 樫谷分科会長代理
 関連でよろしいでしょうか。

 富田分科会長 
 どうぞ、樫谷委員。

 樫谷分科会長代理
 関連して保証もそうなのですが、融資も農業者に対する融資は農林漁業金融公庫があって、これは奄美大島信金に委託しているとか、あるいは事業者への支援は中小企業金融公庫があって、鹿児島支店が全県を網羅しているとかということがあり、地域的に重複しているところがあります。そういう政府系金融機関とのデマケ(役割分担)について、どういうふうに御整理されているのでしょうか。

 富田分科会長
 それではまとめてお答えいただけませんでしょうか。

 大野振興官
 まず、小笠原でございますけれども、これは小笠原も私の方で所管しているわけでございますが、やはり小笠原も復帰に伴いまして同じような法律がございまして、同じように5年ごとに改変を繰り返してございますけれども、小笠原の場合はこういった地元のそういう産業を支援する金融機関というのは特に法律の中では置いてございません。
 それから、保証でございますけれども、この県の保証協会で間に合うのではないかという御指摘でございますけれども、仕組み自体、1点だけ違いますのは、信用保証協会は、いわゆる二次、三次産業だけでございますけれども、奄美基金の場合は一次から三次まで全部対象とできる。この点が制度的な違いでございます。それからやはり奄美基金がスタートした経緯が元々地元で信用保証がなかなかできないということを受けてスタートしたということもございますので、言ってみれば現在では完全にその地域が分かれて、県の信用保証協会自体はほとんど奄美では保証をやっていないという状況でございます。したがいまして、奄美での保証というのはほとんど、かなりのパーセントが奄美基金によって行われていると考えていただいてよろしいかと思います。
 それから、融資のデマケ(役割分担)でございますけれども、まず農林公庫でございますが、農林公庫とはこれは対象が同じなんですけれども、やはり事業規模でかなり違ってございまして、簡単に申しますと、農林公庫ですと基本的に規模の大きな農業者向けですので、1件当たりの貸付けですと、これは1,800万円程度でございますが、奄美基金ですとこれが中小を相手でございますので360万円程度でございます。かなり規模的に違いますので、これを農林公庫だけにやらせてしまいますと、恐らくほとんどの農業者さんが融資を受けられないという状況になろうかと思います。それから中小公庫でございますけれども、対象事業が中小公庫の方が建設業とか運輸通信業も全部対象になりますので、かなり広いわけでございますけれども、これもやはり規模の大きな中小企業向けでございますので、私どもの持っている資料では中小公庫の1件当たりの平均貸付額は6,000万円近いわけでございますが、奄美基金の場合ですと、これは産業をトータルしましても1,200万円程度でございますので、かなりそういう意味では規模の点で違うと考えてございます。

 富田分科会長
 ほかに御意見、御質問。

 河村臨時委員
 今の御説明の点で、数字の確認をお願いします。保証の方、奄美基金によるのがかなりの部分という御説明がありましたが、私どもの方で調べたのと少し違う。逆かと思っておりました。奄美群島の中で保証が行われているうちで、基金の方がなさっているのが金額、件数がどれほどあるのか、それから鹿児島県の信用保証協会でされている分がどのくらいあるのかという内訳の数字を、後日でも結構ですからいただければと思います。

 大野振興官
 それは後日ということでよろしゅうございましょうか。

 富田分科会長
 はい、お願いいたします。
 大体よろしいでしょうか。それでは、本日は時間の都合もありますので、ここで質問を打ち切らせていただきます。
 本日は御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中御協力を賜りましてありがとうございました。当分科会といたしましては、ただいまの御議論いただきました点を踏まえまして、平成18年度における独立行政法人の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思いますので、今後とも御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 また、本日は時間の関係で十分な御質問等ができなかった委員がおられるかもしれません。その場合には、後日、事務局を通じて照会したり、必要に応じてワーキングループで再度ヒアリングをお願いすることがありますので、その際には御対応方、なにとぞよろしくお願いいたします。
 国土交通省及び財務省の皆様方には御退席いただいて結構でございます。
 それでは、最後に今後の予定等につきまして報告事項がありますので、事務局から説明をお願いいたします。

 新井評価監視官
 本日はどうもありがとうございました。
 今後の分科会の予定ですが、来週月曜日4月24日の13時から、この場所において次回分科会。内容としては今までのヒアリング等の結果を踏まえまして、金曜日に説明いたしました行政減量・効率化有識者会議への報告事項等について御審議いただければと思います。

 富田分科会長
 それでは、本日も大変活発な御審議、ありがとうございました。以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人分科会を終了いたします。本日は御多用の中、御出席を賜り、ありがとうございました。

  (了)




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