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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(3月14日開催)議事録

日時

平成24年03月14日(水)10時00分から12時15分

場所

中央合同庁舎第2号館 総務省第1特別会議室

出席者

(政策評価分科会所属委員)
谷藤悦史分科会長、藤井眞理子委員、森泉陽子委員、小野達也臨時委員、門脇英晴臨時委員、城所幸弘臨時委員、小峰隆夫臨時委員、佐藤主光臨時委員、白石小百合臨時委員、高橋伸子臨時委員、立花宏臨時委員、田中常雅臨時委員、田中弥生臨時委員、堤盛人臨時委員、中泉拓也臨時委員、前多康男臨時委員、森田朗臨時委員
(独立行政法人評価分科会所属委員)
河野正男臨時委員
(総務省行政評価局)
新井行政評価局長、井波官房審議官、上村官房審議官、三宅総務課長、山内政策評価官、田名邊評価監視官、永留政策評価審議室長

議題

  1. 目標管理型の政策評価の改善方策について
  2. 法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価について
  3. 平成24年度以降の行政評価局調査テーマについて

配布資料

会議経過

【谷藤分科会長】  時間になりましたので、ただいまから政策評価分科会を開会いたします。
 本日の政策評価分科会では、議題が三つございます。第1の議題は「目標管理型の政策評価の改善方策について」でございます。第2の議題は「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価について」でございます。第3の議題は「平成24年度以降の行政評価局調査テーマについて」でございます。
 それでは、最初に議題1の「目標管理型の政策評価の改善方策について」、山内政策評価官より説明をいただき、その後、質疑に移りたいと思います。それでは、御説明をよろしくお願いいたします。
【山内政策評価官】  それでは、資料1−1「目標管理型の政策評価の改善方策の概要(案)」を御覧ください。このテーマにつきましては、これまで1年間かけて検討を進めてきたものでございます。その経緯につきまして、まず7ページの「【参考】検討の経緯」において、改めて整理させていただいております。22年度に行政刷新会議との連携の在り方ということで、もともと検討が始まったものでございますけれども、昨年4月22日の政策評価分科会におきまして御議論いただいた上で、4月27日に局長通知という形で試行的取組を開始いたしました。これは震災の影響もあるということで、できるところにはやっていただくということで始めたものでございます。それを受けまして、9月には標準様式による評価書が公表され、11月には事前分析表が公表されました。こういった取組を踏まえまして、政策評価分科会において11月18日と12月12日の2回に分けて6府省からヒアリングをしていただくとともに、フリートーキングを行っていただいたところでございます。こういった試行的取組の状況を踏まえまして、一部改善を加えた上で、来年度から本格実施に移ってまいりたいと考えております。
 2ページの「(参考)目標管理型の政策評価について」を御覧ください。今回の取組の対象となっておりますのは、いわゆる「施策」レベルの政策の事後評価でございます。基本的には実績評価方式を用いた政策評価でございますけれども、あらかじめ設定された目標の達成度合いについて評価する内容を含むものということでございます。
 これにつきまして、3ページの「政策評価の改善方策の効果(イメージ)」を御覧ください。この目標管理型の政策評価につきまして、従来のやり方には問題があったということを整理しております。今回の取組の前の段階におきましては、各府省それぞれ任意の様式で行っていたということで、もちろん先進的に進んでいたところもございましたけれども、中には、なかなか焦点が絞り切れていない、どうしても作文してしまっているといったようなものもあったところでございます。また、具体の施策を推進していく上で、実際の達成手段となる事務事業はどういうものかについて、その相互の関係や、どの程度の予算を使っているのかといった情報が分かりづらかったという問題点が指摘されておりました。それを踏まえまして、右側の取組後でございますけれども、まずは事後評価につきまして、各府省間の統一性・一覧性の確保ということから、標準様式を導入するというのが一つでございます。また、これとワンセットになるものとして、事前の想定の明示を行うというものが一つでございます。この二つの取組によりまして、政策評価による各府省のマネジメントを確保するとともに、評価の重点化・メリハリ付けも目指すということでございます。行政事業レビューによって事務事業レベルの情報が整理されておりますので、これと政策評価が連携することによりまして、施策の達成手段や実績、コスト情報等を明確化・透明化していこうというものでございます。
 4ページを御覧ください。具体的には、「政策評価の実施に関するガイドライン」を一部改定いたしまして、各府省申合せという形で24年度から実施することとし、詳細につきましては、様式を含めて、「目標管理型の政策評価の改善方策に係る取組について」を各府省申合せで決めたいと思っております。
 5ページの「試行的取組の結果を踏まえた改善点」を御覧ください。今回1年間かけて行ってまいりました試行的取組の結果を踏まえた改善点をこのページで整理しておりますが、さらに具体的には、資料1−2「平成24年度実施施策に係る事前分析表」、資料1−3「目標管理型の政策評価に係る評価書の標準様式」を御覧ください。
 資料1−2の事前分析表につきましては、基本的には昨年4月に局長通知で発したものを踏まえておりますけれども、2点ほど変えているところがございます。一つは真ん中の「測定指標」の欄でございます。従来、測定指標の記入例といたしまして、1から3の三つのパターンを示しておりましたけれども、4番目のパターンを追加いたしました。これは、政策官庁、制度官庁のように定量的な目標を立てることが難しく、実際には単年度の定性的な目標を記入するのが適当な場合もあるといったような場合につきまして、4番目のパターンを追加したものでございます。それからもう一つ、一番下の「達成手段」の欄の右側にある「達成手段の概要等」の欄でございますが、従来の局長通知ではここを三つの欄に分けておりました。従来の表では、「達成手段の概要」、「達成手段の目標」、それから「施策の達成すべき目標(測定指標)への寄与の内容」の三つに分けておりましたけれども、実際に書いてみますと同じようなことしか書けない場合もあるということで、欄を統合し、その中で適宜書いていただくというふうに改良したものでございます。
 資料1−3の標準様式の評価書につきましては、真ん中の「測定指標」の欄でございますが、指標Cというパターンを設けました。これは、事前分析表において、定性的かつ単年度の「測定指標」の欄を設定したことに対応するものでございます。
 資料1−1の「(別紙)標準様式の導入における考え方」を御覧ください。これは、標準様式の導入の考え方及びそれをどのようにカスタマイズするかといった考え方を整理したものでございます。このペーパーの第1段落におきまして、説明責任を徹底するため、事前分析表及び評価書の様式については、統一的な標準様式によることを基本とするとしております。ただし、施策の特性や予算の構成等によっては、カスタマイズすることが当然必要になる場合が想定されますので、その場合にどのようにするかということでございますが、その場合であっても標準様式の各要素は盛り込んでいただき、さらに統一性及び一覧性の確保に留意していただくという考え方で整理しております。三つのマルは、カスタマイズする場合の例示でございまして、一番上のマルについては、各府省で従来から評価に取り組んでおられましたので、用語が今回の標準様式で定められたものと違っている場合には、内部での活用の容易さと、それから外から見た分かりやすさという観点のバランスをとるために、併記していただくということでございます。二つ目のマルについては、標準様式は各府省共通の最低限必要な事項を盛り込んでおりますけれども、政策によりましては、より詳しい内容を追加すべき場合には、欄を追加していただくとか、あるいは別紙に記入していただくといったようなことも考えられるということでございます。
 三つ目のマルについては、これは多少特殊な例でございますけれども、一つの事務事業が複数の施策に関係するといったようなケースもあるということですので、例えばその施策単位の評価書と併せて政策単位の評価書も作成することが必要な場合もあるということでございます。
 資料1−1の6ページ「24年度以降の政策評価の標準的スケジュール」を御覧ください。本日、当分科会で御議論をいただいた後、各府省の申合せを行い、24年度から本格実施に移ってまいるわけでございますけれども、現在24年3月ですので、24年度実施施策の事前分析表の作成・公表というタイミングになっております。しかし、もう既に各府省の中には、事前分析表の作業を進めているところもございますので、初年度につきましては経過措置といったものが必要になってくるかと思います。今回の標準様式をとっていただくところもあれば、既に作業を進めている形でやっていただくところもあるというように、自由度の高いものにしたいと思っております。
 一方で、23年度の実施施策の評価書につきましては、25年度の概算要求時までに、新しい様式に基づいて評価書を作成、交付していただくといったことになっております。
 以上が、今回の目標管理型の政策評価の改善方策の概要でございます。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。この分科会においても、数度にわたりまして目標管理型の政策評価の改善方法について議論をしてまいりました。そうした議論を踏まえて、今回こういう形で最終的な案が提示されております。今回の案につきまして、各委員の方々からの御質問ないし御意見がございましたら、どうぞお申し出ください。
 前多委員、どうぞ。
【前多臨時委員】  資料1−1の3ページに、「政策評価の改善方策の効果(イメージ)」というのがありまして、そこで施策と事務事業の相互の関係が不明確であるので、それを明示しようというのが、割と重要なことだと思います。
 それを踏まえて資料1−2を見ますと、「達成手段」の欄の右側の「達成手段の概要等」という形で、ここが1つにまとめられてしまっています。「達成手段の概要等」だけを見ると、そこに書いてある「〜において、○○を整備」というのが達成手段の概要であって、例えばその下にある「○○を整備することは……押し上げる効果があると見込んでいる」という文章で、これは測定指標と達成手段の関連を述べているところですが、先ほどの「政策評価の改善方策の効果(イメージ)」では、相互の関係が不明確なので、そこを明確にしようということなのですが、この「達成手段の概要等」というのは、1つにまとめたために、ここだけ見ると従来どおり「〜において、○○を整備」という書き方だけでいいのではないかととらえられてしまう可能性があって、測定指標との関連が書けないという事例ももちろんあるでしょうが、それは例えばそういう欄を作っておいて書けない場合は書けなくていいことにして、欄そのものはやはり設けておいた方がいいのではないかと思います。「達成手段の概要等」としてあるだけでは、最初の「○○を整備することは……押し上げる効果があると見込んでいる」だけ書けばいいというように読めますので、そうすると、目指している相互関係を明確化するというのが、ちょっと不明瞭になる可能性があるのではないかと思います。
【谷藤分科会長】  山内政策評価官の方からありますか。
【山内政策評価官】  先生がおっしゃる御指摘はごもっともなことだと思っております。ただし、今回の事前分析表におきましては、施策を達成するための達成手段にどういうものがあるか、つまり、従来は一番下の「達成手段」の欄がはっきりしていなかったので、どういう事業でどういう予算額を使っていたかと、まずこれを整理すること自体が非常に重要なことだと思っております。
 問題はそれについてどこまでの説明を加えるべきかどうかということで、もともとの局長通知では三つの欄に細かく分けておりましたけれども、実際にはこの事前分析表だけではなく、ほかの資料などもあり、事後には行政事業レビューシートの中で詳しいものが出てきます。それを事前の段階でどこまでの情報を盛り込むのかということを、必ずしも厳しく細かくしなくてもいいのではないかということで、一部修正として加えさせていただいたものでございます。結局、事務負担とのトレードオフの関係だと思っておりますが、当然ながら書き込めるものにつきましては、この「達成手段の概要等」の欄に書いていただくべきものだと考えております。
【谷藤分科会長】  前多委員、よろしいでしょうか。
【前多臨時委員】  はい。「達成手段の概要等」に書いてある「測定指標の○○率を……%押し上げる効果があると見込んでいる」というほど書く必要はないとしても、この達成手段が測定指標のどれに関連しているのかというぐらいは、書くような欄が小さくてもいいからあった方がいいのではないかと思っています。
【山内政策評価官】  御指摘の点につきましては、その隣の1とか2とあります、「関連する指標」の欄で書いていただくことになります。
【前多臨時委員】  分かりました。ちょっと見落としておりました。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 小野委員、どうぞ。
【小野臨時委員】  これは質問や意見というよりもお願いのようなものになりますけれども、最初に今回御説明いただいたこの様式について、前回と前々回の政策評価分科会において幾つかの省からヒアリングをさせていただいて、その後の調整などを踏まれてこうされていると思うのですが、妥当というか、自然な感じの標準型にはなっているような気がします。
 それで、この様式がカスタマイズをかなり許す格好で導入されるわけですから、その後のチェックといいましょうか、どのように何が変わるのかの把握を、積極的に行政評価局やこの政策評価分科会の場で行っていくことを是非お願いしたいと思います。この様式がどのように使われるか、あるいはカスタマイズがどのように有効になされるか、あるいはそこにどのようにきちんと記入されるかということは非常に重要だと思いますし、一番危惧されるのが、この標準的様式は、比較的、これまでより簡素な格好になっており、業務の負担の観点から、この様式を埋めればいいという作業になってしまうと、最悪の状態になると思います。そういう意味では、本来このやり方を導入するに当たって、何点かきっかけになった課題もありますし、その先にはもともとこの目標管理型の、つまり各府省におけるPDCAサイクルが、いかにこのフォーマットを導入することによって回るようになったのかという観点でのチェックが絶対に必要だと思いますので、それを是非お願いしたいと思います。そのときには当然この様式だけを見るのではなくて、カスタマイズの部分もあるでしょうし、府省によってはほかの資料も合わせて使うというようなことも当然あるわけですから、そこも含めてPDCAサイクルがいかによくなったのか、あるいは場合によっては悪化するケースもあるのかというようなことも、是非フォローするということをお願いしたいと思います。
 以上でございます。
【谷藤分科会長】  ありがとうございました。御意見として承ってよろしいでしょうか。
 立花委員、どうぞ。
【立花臨時委員】  全体としてはこれで随分改善されていますので、私は結構だと思っています。ここの議論に触発されて、ちょっと場違いかと、あるいは余計なことかと思いつつ、また場合によっては制度の根幹にもどる問題だということでお叱りを受けるかもしれませんが、やはり2年半前の政権交代の後、政治と行政の望ましい関係の在り方を、相互に模索する努力が続いているわけですけれども、これに加えてちょうど1年前の大震災、原子力事故を契機にいろいろ調査報告書も出されているようですが、政治と行政の関係ですとか、あるいはそれぞれの在り方や相互関係等をいろいろ私どもも反省し、見直しを求められている点が多々あるのだろうと思います。そういった場合に、例えば、目標達成の測定指標が定性的なものになると、政治の方からいろいろと政策の実施結果に少し手心を加えてくれとか、政治の立場も考えてもうちょっとマイルドにしてもらいたいとか、そういったことを誘発しかねない部分もあるのだろうと思います。
 これは、この標準様式の書式の問題というよりも、制度の根幹、あるいは行政と政治との相互の関係の在り方を絶えず追求していくという中で、できるだけ行政としても自律性を持ってきちっと正直にまとめていくしかないと思います。そうすることによって、できるだけ政治からの介入の余地がないようにすることを心掛けていくことも、今回の原子力事故等のようなケースから、政治と行政の関係をこの1年間いろいろ反省させられる点が多々あったと思います。それは後の行政評価局の調査テーマと関連することかもしれませんけれども、気になった点を申し上げました。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。
田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  一つは御質問と、一つはコメントをさせていただきたいと思います。
 1点目は、政策評価の体系性をより維持するということが目的であったと同時に、ヒアリング等でもいわゆる書類のダブりというか負担の軽減という問題があったと思いますが、特にこの行政事業レビューの資料を作成することと、この様式に書き込むことの作業の重複について、あるいはいずれそれらが統合されるのかという見込みについて、お伺いしたいというのが1点です。
 2点目は、資料1−1の(別紙)のマルの3番目に、施策単位の評価書と併せて、政策単位の評価書を作成すると記されています。これについて疑問に思うところがあるのですが、施策ごとの評価を束ねたものをもって政策評価書になるとは限らないということであります。なぜならば、政策の目標を検証するためには、必ずしも施策の目標を束ねるだけで、政策の目標が達成されたということではなく、実は単純に束ねるだけでは政策の目標を達成したということを検証できないということがありますので、ここはそんなに単純にいかないのではないかというように思います。
 以上です。
【谷藤分科会長】  二つとも、御質問ですので、回答をお願いいたします。
【山内政策評価官】  まず第1点目でございます。おそらく行政事業レビューと重複すると思われますのは、事前分析表の「達成手段」の欄が最も重複する箇所だと思います。ただ、一つにはその目的、位置付けが違うということと、それから時点が違うということがございます。事前分析表はあくまでその施策、事務事業を実施する前の時点で整理するもので、レビューシートは実際に事務事業を実施した後に作成するものでございますので、簡単に統合するというわけにはまいりません。実際にこういった取組を行っていく上では、例えば毎年度事務事業を実施しているようなものでありましたら、昨年度に実施したレビューシートの内容を転記・引用するなど、そういった事務負担の軽減の余地があると思っております。それは、今後進めていく中で工夫していきたいと思っております。
 2点目でございますけれども、これは説明が悪かったのかなと思っております。ここで言いたかったことは、施策単位で事前分析表を作った場合には、複数の施策について同じ事務事業がずらずらと並んでしまうような特殊な例があるために、そういった場合には同じものを何度も複数の施策の分析表に書くのではなく、「達成手段」の欄だけをまとめた形で関連する施策を一本化したようなものを作る場合があるということでございまして、政策単位の目標まで統合しようというものではありません。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。
【田中(弥)臨時委員】  はい。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございます。
 佐藤委員、どうぞ。
【佐藤臨時委員】  2点あります。今の御質問にも関連しますけれども、この事前分析表などいろいろと作っている目的は、政策評価の体系化、それから一貫性の確保だと思います。そうであれば事前分析と事後評価というのは、ある種一貫性が求められるわけで、その点では、お話になっているその事前分析表の下のところの達成手段ですけれども、行政事業レビューとの対応関係というのはやはり求められます。例えば事前分析表で書いている達成目標というのが、行政事業レビューで書いている目標値と違っていたら、一貫性がないというか、評価ができなくなってしまいますので、事前に目標を立てて、事後にそれが達成できたかどうかを確認するという作業が政策評価の体系化につながるものだと思います。これはある種一石二鳥で、違う目標値をそれぞれ作らなくて済み、事務事業の軽減にもなりますから、そこはやはり一貫性の確保というのは留意する必要があるというのがコメントです。
 それからもう一つは半分お願いになるのかもしれませんが、やってみなければ分からないことというのは多々あると思います。多分現場で相当評判が悪いと思うので。したがいまして、やはり実施過程の中で、実際に評価書を作っている人たちや、学生たちを集めて、ワーキンググループというか勉強会をやるという機会があってもいいと思います。特に気になるのは、府省によって取組のレベルが相当違うというのも、この間のヒアリングでよく分かってしまいましたので。やはり縦割り行政の世界だと、それぞれがガラパゴス化している部分がありますので、「ほかの府省ではこういう評価の仕方しているのか」、「これはもしかしたら自分でも参考になるかもしれないな」など、そういうところで学ぶべきところは多々あると思います。せっかく本格実施するので、現場レベル・事務レベルでのワーキンググループや勉強会を、その過程の中でやられたらいかがでしょうか。これは大学の先生のコメントです。
【谷藤分科会長】  行政評価局長、どうぞ。
【新井行政評価局長】  先ほど出ていた行政事業レビューと政策評価の関係については、今の状況を申し上げますと、民主党が行政改革の推進の法律を作成しておりまして、ほぼでき上がっているのですけれども、その議論を聞いていますと、やはり行政事業レビューを中心に置いて考えているところがあって、行政事業レビューを今度法定化しようということで、その行革法の中でも書き込みがなされています。
 その行革法の中で行革推進組織の後継組織の議論がありまして、それについては、新聞でも「ミニ臨調」と言われていますけれども、行政をもう1回見直すような審議会を作り、その中で議論していただこうということになっています。その中で言われていますのは、政策評価などのいろいろなそういうものと、刷新会議が今やっているようなものとの関係を整理してみるということです。これは、いわゆる負担軽減の視点も多く入っていると思います。ということは、先ほどから佐藤委員や小野委員が言っておられるように、この取組がどう評価されるのかについてフォローをきちっとして、どういうふうにそれを訴えていけるかによって、政策評価とそのほかのものとの関係、つまり政策評価の位置付けというものが決まっていくのかなと。それに向けて、この分科会でいろいろと御議論いただければ、その成果も反映させることができるのかなと。大体の状況としては、そういう状況にあるということでございます。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋臨時委員】  今回の目標管理型の政策評価の改善方策の概要につきましては、以前と比べて大きな進歩だと思いますので、今後の動きを期待しているところでございます。
 ただ、資料1−1の1ページの「改善の視点」の中の三つ目にあります、「国民に対する説明責任の徹底」という観点から見た場合には、まだまだ改善の余地があるのではないかと思います。一つ目は、「改善のポイント」にあるとおり「標準様式」ではなく、「標準的な様式」という、この「的」が入っているわけなのですけれども、例えば(別紙)のところにあります用語の問題で、これは併記することが適当な場合は併記するということなのでしょうけれども、これだけ見ても同じことを言っているのか、違うことを言っているのかということが分かりません。経過的措置としてこのようにするのか、そもそも標準化になじまないものなのかということが、国民から見たときに分からないのではないかと思います。この併記せざるを得ない理由が、内向きの理由によるものであれば、初年度は併記でもいいのですけれども、是非標準化のほうに向けて変更していき、その後は標準化の方向に進むということをしていただきたいなと感じました。
 二つ目は、標準様式の評価書と事前分析表についてなのですけれども、今回私どももこの紙ベースで見ながらやっているわけなのですが、国民がこれを見るときはほとんどホームページから見ていくのですね。そうするとウェブで見た場合、行政事業レビューなどを関連性で見るときに、ネットサーフィンの量がものすごく多いわけです。ですので、政策評価に関して例えばいろいろこの表の中でも計画や大綱が定まっているためと書いてあったら、ネット上で開示するときにはそこにリンクを張っていただいて、その大もとのものがすぐ見られるようにしていただくという形で、この事前評価、事後評価に関しても説明責任という点から、電子化の工夫をもっと進めるべきではないかなと感じております。その点、少し余分なことですが、やはり達成していく必要があると思います。
【谷藤分科会長】  併記をある程度認めるということについて、何か回答はございますか。
【山内政策評価官】  もちろん、理由もなく、従来からの用語に固執するというのであれば、それは当然標準化の方にということだと思っております。それは、それぞれの分野においての特殊性なり専門性なりがある場合であっても、一方で国民に分かりやすいようにということで併記するという考え方にしているものでございます。そこは実際にやってみて、必要がないものは標準化されていくのだと思っております。
 それから、2点目の御指摘は極めて重要なことだと思っております。私どもとしても、何ができるか、これから検討してまいりたいと思っております。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。そのほかに委員のほうから御意見ございますか。
 田中委員、どうぞ。
【田中(常)臨時委員】  おおよその書式等についてはもうこれでいいと思いますけれども、測定指標の妥当性や、測定指標が達成すべき目標にどの程度の寄与があったかといったようなことが非常に重要だと思うのですね。国民に説明する場合も、測定指標を達成したということと、達成すべき目標に近づいたということが、かけ離れているような気がしています。そういったことについても、検証できるようにすることを頭に入れながら、今後是非とも評価結果を出していっていただきたいと思っています。全部について、これをその様式に書けということではないのですけれども、評価をするときにはやはりそういう項目について浮き彫りにしていっていただきたい。将来は、それについても項目を入れていただきたいと思います。
 以上です。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。御意見としてお伺いします。
 いつも大変申しわけございません。議題が多いものですから、次の議題に移りたいと思いますので、よろしいでしょうか。それでは、この方針に基づきまして、目標管理型の政策評価の改善方策を、今年の4月から先ほどのスケジュールで順次進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 続きまして、議題2に移りたいと思います。「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価について」の大まかな案が出てまいりました。これについて、まず田名邊評価監視官からの説明をいただきまして、その後、質疑応答に移りたいと思います。田名邊評価監視官よろしくお願いいたします。
【田名邊評価監視官】  よろしくお願いします。まず、この政策評価の経緯について簡単に御説明させていただきます。この政策評価は平成23年1月から実施しておりますが、この政策評価につきまして平成22年5月から12月まで総務大臣政務官の主催によります「法科大学院法曹養成制度の評価に関する研究会」が開催されまして、どのような調査、評価を行うかについて御検討いただきましたので、その検討結果や問題意識も踏まえた評価を行っております。また、研究会におきまして、制度の利用者の視点からの評価が特に必要とされましたので、法曹志願者や法曹利用者等に対しまして意識調査も行い、その結果を踏まえて評価を行っております。
 それでは、この政策評価の内容でございますが、政策は大きく四つに分類できまして、一つ目は「法曹人口の拡大」、二つ目は「法曹人口を拡大するための法科大学院制度」、三つ目は「法科大学院との有機的連携」ということで、司法試験と法科大学院教育との連携、そして司法修習と法科大学院教育における連携がございます。そして四つ目に司法試験の合格率が低迷しておりますので、「法科大学院修了者に対する支援」がございます。
 まず「法曹人口の拡大」でございますが、法曹人口の中で弁護士の割合が最も多く、また増員の割合も多いため、弁護士を中心として見ていきたいと思います。この法曹人口の関係では、法曹人口の拡大状況、それから法曹人口、とりわけ弁護士の増員による効果、法曹人口拡大に関係する指標、弁護士人口の増大による影響、そして司法試験合格者目標3,000人未達成による影響について調査を行っております。
まず法曹人口の増大に関する政策の概要ですが、これは2段階ございまして、平成14年の司法制度改革推進計画において、第1段階としまして平成14年度に1,200人程度、16年度に1,500人程度に増加させられております。これはもう達成してございます。その後は、法曹人口の増大が急務となっていることを踏まえ、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況を見定めながら、平成22年ごろには3,000人程度とするとあります。なお、裁判官については、10年間で500人、検察官については1,000人程度の増員が必要であるとされています。調査結果でございますが、法曹人口の第1段階の目標の1,200人程度は達成されておりますが、法科大学院を含む新たな法曹養成制度ということで、法科大学院の第1期修了者が出た平成18年から23年までの新司法試験の合格者を見ますと、1万1,105人の合格者が出ております。司法制度改革審議会に意見書が出された平成13年からですと、法曹人口は平成13年には2万1,864人であったものが23年には3万5,159人と1.5倍になっております。その内訳を見ますと、弁護士が1.7倍に増加して、増加分の92.3%を占めております。それから法曹人口、特に弁護士の人口拡大による効果ですが、地方裁判所の支部単位での弁護士数、ゼロワン地域の解消、それから弁護士会、地方公共団体による法律相談の開催件数の増加、国選弁護人、契約弁護士の増加、それから新しい活動領域といたしまして、企業内弁護士の増加、それから裁判調停事件の弁護士関与件数の増加等の効果が見られます。そして、この法曹人口の拡大に関連する指標を見ますと、裁判調停事件の件数は全体では増加しておりますが、弁護士が増員しておりますので、弁護士1人当たりの件数で見ますと、平成13年の17.9件から23年には17.0件とやや減少しております。それから平成23年度の有料法律相談件数ですが、これは13年度から見ますと半減しております。それから、当初は専門的知見を有する分野として、例えば医療とか労働とか、建築とか知財とか、そういう分野を狙っていたのですが、この分野では労働関係訴訟のみが増加しております。そして、私どもの調査におきまして、全国の弁護士会に対して専門的知見を要する分野の事業拡大の状況につきまして調査しましたところ、専門的知見を要する分野の需要があると肯定したものは、22弁護士会のうちの4弁護士会のみでありました。
 弁護士人口の増大の影響でございますが、弁護士人口の増加が著しく、それにより弁護士の就職難が生じているとの指摘がございましたので、それを表す指標といたしまして、司法修習修了直後の弁護士の一括登録時点の未登録者数を調査いたしました。そうしましたところ、平成19年11月に司法修習を修了した新60期では、32人、3.3%だったものが、23年11月に修了した新64期では400人、20.1%となっております。この就職難によりまして、司法修習を修了した直後に独立して事務所を構える、いわゆる「即独」ですとか、ほかの弁護士事務所の場所を借りる「軒弁」が発生しているとの指摘もございましたが、その全国的な人数や経年推移は指標としては把握できませんでした。この「即独」ですとか「軒弁」につきましては、OJT機会の不足によって弁護士の資質低下につながるとの指摘もございましたが、これについての指標も把握できませんでした。
 次に閣議決定におきます司法試験合格者を平成22年頃に3,000人にするという目標の達成状況でございますが、これは平成21年の合格者が2,043人、22年が2,074人、23年が2,065人と、目標に対する達成度は70%でございます。これによって、法科大学院志願者、とりわけ社会人や法学未修者の減少が著しくなっております。この法科大学院志願者の減少につきましては、私どもが行いました意識調査の結果にも現れておりまして、調査対象の8割から9割が、合格の可能性に比して経済的・時間的負担が大きいから、あるいは就職難や収入面の懸念があるからということで、法科大学院の志願者が減っているのではないかと回答しております。
 続きまして調査結果に基づく評価でございますが、まずは効果といたしまして、弁護士人口の拡大による国民の法的サービスへのアクセス改善の基盤は整備されてきているのではないかと見ることができると思います。しかし、国民に対する意識調査によりまして、弁護士については敷居が高い、料金が高い、情報が分からない等の意見が寄せられております。
 それから課題でございますが、弁護士に対する需要についてですが、企業内弁護士の増加など、これまであまりなかった活動領域の拡大が見られるものの、量的には小さく、また事件全体で見た場合には弁護士の関与件数は増えているものの、1人当たりの事件数は減少しているということで、弁護士に対する需要は弁護士の増員を吸収するまでには至っていないと見られます。さらに弁護士の就職難につきましては、一括登録時点での未登録者数が増加しております。これについては、時間の経過とともに未登録者は減少していくとの指摘もございますが、背に腹は変えられず就職するということもありまして、弁護士の実感であって、その蓋然性はある程度高いものと推察されます。
 また、目標数3,000人を達成していないことにつきましては、合格率の推移や後ほど御説明させていただきます法科大学院における教育の実施状況から見ても、すぐに目標を達成することは難しいと見られますが、目標の未達成による国民への支障は特段把握されておりませんでした。
 次に、政策の課題としての法科大学院でございますが、法科大学院は「法科大学院の教育と司法試験等との連携に関する法律」におきまして、司法試験、司法修習と連携した高度専門教育機関として位置付けられております。この法科大学院の目標としまして、「規制改革推進のための3か年計画」におきまして、「法曹となるべき資質・意欲を持つ者が入学し、厳格な成績評価及び修了認定が行われることを不可欠の前提とした上で、法科大学院では、その課程を修了した者たちの相当程度(例えば7〜8割)の者が新司法試験に合格するよう努める」とございます。この場合の合格率は、受験資格が5年間に3回となっておりますので、これを合わせたこの間の累積合格率であるとされております。この目標合格率である7〜8割を達成するために、法科大学院における教育の質の確保・向上が必要でございますが、当初想定されていたよりも合格者が少ないということで、平成21年4月の中教審の法科大学院特別委員会報告におきまして、入学者選抜における適性試験の最低基準点の設定、入学試験における競争率2倍以上の確保、入学定員の見直し、厳格な成績評価に取り組むよう求められております。
 調査結果でございますが、法科大学院の修了者が法学既修者だけであった平成17年度修了者につきましては司法試験の合格率が69.8%とほぼ目標の下限を達成しております。しかし、法学未修者が加わった平成18年度では49.6%となった以降、年々低下してきております。この中で法学既修者と法学未修者の別に合格率を見ますと、既修者の合格率は平成18年度以降20年度までは63.5%ないし66.9%と安定的に推移しておりますが、未修者につきましては、平成18年度は39.2%だったものが、20年度には28.9%と低下傾向にあります。さらに法科大学院別に見ますと、合格率70%を達成している法科大学院も実数で10校ございますが、一方で1けたの法科大学院も実数で12校ございます。
 評価でございますが、ただいま申し上げたとおり、法科大学院の修了者が法学既修者のみであった平成17年度につきましては累積合格率が69.8%と、おおむね目標を達成しております。しかし、法学未修者も含まれる18年度以降は目標に達しておりません。これは未修者の合格率の低さが影響していると見られます。また未修者、既修者の別に合格率を見ますと、既修者は安定的に推移している一方、未修者は低下傾向にあり、法科大学院別に見た場合でも目標を達成しているのは7校と限られたものとなっております。
 次に、法曹養成に係るコストでございますが、これは研究会でも調査するように求められておりまして、法科大学院にどのくらいの国費が投入されているかを調べました。その結果、国立大学は運営費交付金、私立大学は経常費補助金でございますが、平成16年度から22年度までの間に585億円という額になっております。1人当たりの金額を試算してみますと、修了者1人当たりで286万円、合格者で見ますと定員の70%が合格したと想定する場合では約408万円でございますが、これまでの実際の合格者数で見ますと約528万円という数字になっております。なお、この金額につきましては、ただ今精査しておりますので変動があるかと思います。
 それから法科大学院の学費でございますが、23年度の未修者、これは3年分の平均ですけれども、国立で269万、私立で402万円となっております。後ほど法科大学院の定員のほうで触れさせていただきますが、定員設定等に当たりましては、国費が投入されているということを念頭に置いて考える必要があるかと思います。
 それから、入学者の質の確保につきましては、適性試験の活用、競争性の確保、入学定員の見直し、多様性の確保という4点の政策目標がございます。適性試験は、法曹になるための資質があるかどうかを試す試験でありまして、これを受けてから法科大学院の入学試験を受けることになります。文部科学省は、適性試験の下位15%は入学を認めないようにという指導をしております。73法科大学院中、54校がこのような取り扱いを行っております。一方で、適性試験については、法科大学院入学後の成績や司法試験の合否とはあまり関係がなく、受験者の負担軽減の観点から、その受験を求めなくてもいいのではないかという指摘もございます。
 そこで、適性試験と法科大学院の成績、あるいは司法試験の合否との関係の相関につきまして調査いたしました。法科大学院協会の調査においては、一定の相関があるとされていて、これがもとになって適性試験を受験することとされております。当方がこの内容を調査しましたところ、この調査結果というのは対象が既修者のみであった平成16年度と17年度の2年間だけで、その数も16法科大学院と限られたデータであるということが判明いたしました。当方の実地調査におきまして、この適性試験下位15%を入学させていないものは54校でございましたが、そのほかのこういう取り扱いをしていない法科大学院というのは、この相関性に疑問を持っているのではないかと思われます。
 競争性の確保についてですが、入学定員の削減や合格者の厳選によりまして、23年度の競争倍率は22年度よりもやや上昇しております。また、入学試験の競争倍率が2倍未満の法科大学院は前年度の40校から19校に減少しております。ここは、一応文部科学省の政策の効果があったと思われますが、依然として4分の1以上の19校が入学試験の競争倍率が2倍未満でありました。
 次に、入学定員の見直しでございますが、入学定員はピーク時の平成19年度5,825人から23年度には4,571人と2割減少しております。文部科学省は、定員充足率80%を確保するよう各法科大学院を指導しておりますが、これを達成していない法科大学院が23年度で41校見られました。この中には定員充足率が20%未満、あるいは10%未満というところもございました。入学者数を見ますと、10人未満のところもございます。このような定員充足率が悪いところ、あるいは入学者数が少ないところは、司法試験の合格率も悪いところが多いという結果が出ております。この入学定員の見直しについて注意しなければいけないのは、司法試験の合格率との関係で、未修者の合格率がどうしても低くなりますので、定員の削減率は未修者が既修者の2.5倍という結果になっております。そこで評価でございますが、依然として定員充足率が低い法科大学院における未修者の削減率が大きくなっておりますので、多様な人材を受け入れるという司法制度の改革理念に反したものになるのではないかと思われます。
 次に、多様性の確保でございます。文部科学省の告示におきまして、入学者に占める非法学部出身者または社会人の割合を3割以上確保することが努力目標とされています。その達成状況を見ましたところ、全体では32.0%で一応の目標をクリアしておりますが、長期にわたって低下傾向にありまして、個別の法科大学院別に見ますと、3割を達成していないものも全体の4分の1近い18校ございました。一方で、出願者を社会人に限定しているものや、社会人が学習しやすいように夜間コースを設ける、あるいは長期学習コースを設けるといった法科大学院もございました。
 修了者の質の確保でございますが、法科大学院の中には司法試験の合格率が非常に悪く、修了者の教育の質の確保が十分でないところも見受けられましたので、中教審の法科大学院特別委員会におきまして、この21年4月に厳格な成績評価と厳格な修了認定という方策が打ち出されました。これは、正式には21年4月の報告書に基づくものですが、それ以前から指摘されておりまして、法科大学院の中には早いうちから取り組んでいるものもありましたので、その達成状況を見ますと、平成20年から22年にかけまして、未修1年次の2年生の進級率が9ポイント低下しております。これは、厳格な成績評価が行われた成果であると思われます。一方で、未修者の標準年限修了率が低くなる、退学者が多くなるという結果も生じております。ここでも、やはり未修者教育というものに課題が出てきているのではないかと思われます。
 共通的な到達目標でございますが、法科大学院の教育内容や到達水準には、かなりの差が生じていると見られるので、共通モデルをつくりまして、各法科大学院において到達目標を設定する必要がありますが、法科大学院の中で我々が実地調査した38法科大学院のうち、19校が個別の到達目標を設定しておりました。この個別の到達目標を設定するためには、共通モデルの策定が必要と思われますが、これはまだ策定されておりませんでした。
 次に、受け控え者の増加という問題が生じております。新しい課題として、法科大学院を修了しても、その直後の試験を受けない「受け控え」という問題が発生しております。その原因としては、やはり未修者が試験に自信を持てず、修了直後の試験を受けないということになっていると推察されます。
 それから専任教員の確保でございます。これは、文部科学省の告示におきまして、一定数の専任教員を確保することとされておりますが、法科大学院の中にはそういうものができていないところもございました。
 公的支援の見直しでございます。文部科学省は、法科大学院に対しまして、組織の実質的自律的な見直しに資するため、国立大学は運営費交付金、私立大学は経常費補助金でございますが、平成22年9月に公的支援の見直しに着手いたしました。見直しの際の指標としましては、平成23年度の入学試験の競争倍率が2倍未満であり、司法試験の合格率が3年連続して平均の半分であるという指標を設定しております。この指標に基づく具体的な公的支援の見直し、補助金の減額の幅については、文部科学省や日本私立学校振興・共済事業団等におきましてまだ検討中でございます。この基準に該当しますのは平成23年度で6校でございますが、これ以外に、競争倍率のみが該当するものが13校、合格比率のみが該当するものが14校ございます。この中にはどちらか一方だけであっても、短期間ではなく長期間にわたって該当するものもございます。
 この見直し基準につきましては、未修者の合格率が低いことから、合格率を見直し基準に置いた場合には、多様な人材を受け入れるという司法制度改革の理念に基づいて社会人未修者を中心に受け入れている法科大学院にとって、不利に働くということがございます。一方で、合格者を多く出している法科大学院であっても、100人以上の不合格者を出しているものもございますが、この大量の不合格者というのも、法科大学院における教育の質にばらつきがあるということを示しておりますので、その点は法科大学院に対して多額の国費が支出されているということを考える必要があるのではないかと思われます。
 それから、ここで未修者対策ということが非常に重要になってきますので、未修者対策の充実が求められると思います。
 「法科大学院教育との有機的連携」でございますが、司法試験との連携というよりは、司法修習との連携でございますが、連携そのものはおおむね図られているのではないかと思われます。課題だけ簡単に御説明いたしますが、司法試験につきましては、司法試験の採点実感の公表が行われております。その実施状況をチェックしたところ、司法試験の考査委員が試験問題を採点し、その結果を法科大学院に対して、望ましい教育内容を法科大学院に求めるものとして公表しておりますが、それが欠落している科目が幾つか見られました。先ほど申し上げましたが、法科大学院を修了しまして司法試験を受験しますが、これには受験資格制限がございます。法科大学院修了後5年以内に3回の制限となっており、これまでに当該制限によりまして、4,249人の受験資格喪失者が生じております。そこで、受験資格喪失者への対策が求められているところでございますが、これにつきましては今回の当方の評価で求める法科大学院における質の確保方策、これから御説明します法科大学院における不合格者に対する就職支援措置、昨年から始まりました司法試験の予備試験制度、これらをかんがみれば、受験資格制限の見直しを求める必要はないのではないかと評価しております。
 それから政策の四つ目としまして、「法科大学院修了者に対する支援」の方策でございます。一つ目は進路の把握でございますが、文部科学省は、大学評価基準を改正して修了者の進路を把握することを各法科大学院に求めております。これは実地調査した38校のデータしかございませんが、多くの法科大学院においてその取組が見られます。しかし、修了時のみの把握にとどまっており、受験資格がある5年間の期間中は把握する必要があるのではないかと思っております。
 就職支援でございますが、合格率が低く、司法試験を受験しないで就職する者も増えるという状況が生じております。専門の職員を配置して就職支援をやっている法科大学院等もございますので、そういう好事例をもっと研究しまして、さらなる充実を図る必要があるのではないかと評価しております。
 私からは以上でございます。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。内容がたくさん詰まっておりまして、短い時間で説明することは大変難しいと思いますが、今の田名邊評価監視官からの説明につきまして、御意見あるいは御質問などがございましたら、御発言願います。
 田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  大変膨大な量だったと思うのですけれども、法科大学院の問題については一般にいろいろ言われてきた中で、ここまで科学的かつ客観的に明確に問題を抽出した資料というのはなかなかないのではないかと思います。その意味でも、大変すばらしい評価書になるのではないかと思います。
 その上で二つ質問がございます。1点目ですが、これは席上配付になっているだけありまして、かなりインパクトのある数字が並んでいます。これをどういうふうに公開をしていくのかというのが1点目の質問です。
 それから2点目ですが、効果があったところもありますが、全体としてはうまくいっていないとすれば、それは目標設定に問題があったのか、あるいは達成手段に問題があったのか、それとも両方とも問題があったのかについて、どのようにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
【谷藤分科会長】  かなり根本的なところですけれども、お答え願います。
【田名邊評価監視官】  データ等の取り扱いにつきましては、これをもとに、これから評価結果をまとめて報告書を書き上げて勧告するという段取りになります。まだ、あくまでも報告書を書き上げるための検討材料でございまして、用いているデータ、あるいはそのデータの用い方について、いろいろ確認する必要がございますので、これをすぐにお使いいただくとか、確定したもののようにお話しすることは、必ずしもよろしくないかと思っております。
 目標設定とその運用のどちらが悪かったのかについては、例えば法曹事業の問題であるとか、あるいは法科大学院における教育の問題であるとか、どちらかということは一概に言えるものではなく、その二つが相まって現状を生じているということかと判断しております。
【谷藤分科会長】  そのほかに御意見ございますか。
 佐藤委員、どうぞ。
【佐藤臨時委員】  非常にインパクトのある報告だと思います。2点ほどあります。第1点は、やはり問題をどういうふうに分類するかというときに、先ほどの目標が悪かったのか、あるいは運用・手段が悪かったのかという話があり、政治の問題なのか、制度の問題なのか、それこそ大学院レベルでの運用の問題なのかということを、分けて考えなければならない。こう言ったら申しわけないですけれども、例えば司法試験の合格者数を年間3,000人にするという目標であれば、達成するためには上から3,000人合格させればいいだけです。それをやらせてないのは、明らかに政治的な力だと思うのですね。それから、やはり制度的に考えると、公的な支援の仕組もあったと思いますけれども、未修者を受け入れている大学院に対する支援が不足しているということであれば、これは制度設計の問題だと思います。もう一つ言うと、74校というロースクールの数が多過ぎるというのは、認可の基準が甘かったという制度設計の問題だと思います。運用の問題は、例えば専任の教員の配置の問題や、大学院の中でのケアの問題、未修者に対するケアの問題と、個別の大学院の運用の在り方にかかわる問題だと思います。どういうレベルでの課題なのかということを分類しないと、文科省が悪いとか、大学院が悪いのかとなって、単に責任の押しつけ合いになってしまいます。それから、やはり今回の軸の一つは未修者と既修者だと思います。非常にこれ自体にインパクトがあると思うのですが、申しわけないのですけれども、例えば大学の中でも国立なのか私立なのか、それから首都圏・都市圏の大学の話をしているのか、それとも地方圏の話をしているのか、上位の大学の話なのか、中堅以下の大学の話なのかという、大学の属性によってもかなり問題の性質が違うのではないかということもあるので、その辺りも少し分析の軸に入ると良かったのではないかというのがコメントです。
【谷藤分科会長】  田名邊監視官から、何か御意見ありますか。
【田名邊評価監視官】  佐藤先生の御指摘を踏まえて取りまとめてまいりたいと思いますが、大学間のばらつきは確かにございます。我々もいろいろ分析しましたけれども、このばらつきは、どうも大学の規模によるところがあるのではないかと思っておりまして、そこは報告書のほうで取りまとめて記述しようと考えております。地域間のアンバランスがあるのではないか、あるいは法科大学院の規模ですとか、そういったものによる違いがあるのではないかと分類しましたけれども、地方には法科大学院の数が少ないところがございます。例えば、北海道、東北ですと2校ずつしかございませんし、そういう地域間の違いというのはなかなか有意な差というのは見られなかったのですが、どうも大学間の規模による違いというのはありそうですので、そこは報告書のほうでまとめてまいりたいと思います。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 森田委員、どうぞ。
【森田臨時委員】  私自身も一応ロースクールではありませんが、法学部に属しているものですから、いろいろと思うところはあります。先ほど出ましたように、この数字そのものは、このまま社会に出ると大きなインパクトを与えるというのは間違いないと思います。ただし、法学部に所属しているといいますか、そちらの関係者にとっては、今まである程度分かっていたことを、より詳細な数字で裏付けられたという認識を持っているのではないかと思っております。どういう形で公開していくかというのは、非常に大きな問題だと思いますけれども、少しコメントとして申し上げたいのは、これについてどういう形で評価を今後していくのかということについては、方向性が見えているのですけれども、それにどういうふうに取り組んで具体化していくかということについては、相当の配慮が必要ではないかと思っております。
 原因は何かということがまず問題になると思いますし、3,000人という合格目標、7〜8割という合格率、そして実際にはそれから逆算しますと大体4,000人ぐらいの定員でなければならないのに、約5,800人に至るまで、定員を増やすところまで認可していった問題など、何が悪かったのか、どう改めればいいかということも考えられますけれども、第2に、これだけの大学院を作り、制度を作り、そして大勢の学生がそこで学び、これからも学ぼうとしているときに、今後どういう形でこの問題に対応していくかという取り組みの方向性の問題もあると思います。例えば、やはり合格率を上げるように増やすのか、あるいは大学院の数を絞るのかということもあると思います。実際問題として、司法試験の受験資格は失ったけれども、法科大学院を修了してしまった人たちに対する処遇をどうするのかといったこともあります。現在では、いろいろな形で公務員をはじめとするほかの進路の開発のようなことも行われております。これは、ほかの分野にもかなり影響を与えるということでありまして、その辺りの問題図の関連について、よく調べ、さらにいえばそうした影響についての情報もしっかり抑えておくことが必要じゃないかと思っております。
 3点目ですけれども、この問題だけではなくてほかでも言えることだと思いますが、根本的な原因というのはかなりはっきりしていると思います。これは明らかに、当初の法曹人口に対する需要予測が過剰であったということは間違いないと思うのですね。問題は、どういう根拠に基づいてこの重要な数値を出してきたのか。こういう制度を作りたいという人が政治的に決めたということになりますと、これまた問題になると思います。こうした需要の出し方について、これはこの分野だけではなく、公共事業関係での過剰な需要ということも言われておりますけれども、例えば教育問題に関するいわゆる「ポスドク」の問題も含めて、長期にわたって高度の人材を育成する場合の需要予測の在り方や、それに基づく制度設計の在り方というのは、このケースだけではないと思いますので、今後の課題としてこの際きちっとした議論をしていただければと思っております。
【谷藤分科会長】  田名邊評価監視官から。
【田名邊評価監視官】  まず取りまとめに当たりましては、政務三役をはじめ御相談しまして、慎重に取り扱ってまいりたいと思っております。それから、これからまとめます報告書でも、需要予測の問題ですとか、そういったものも書き込みたいと思っておりまして、今、書き込もうと準備しているところでございます。
【谷藤分科会長】  森田委員、よろしいでしょうか。
【森田臨時委員】  はい。
【谷藤分科会長】  そのほかに御意見ございますか。
 小野委員、どうぞ。
【小野臨時委員】  大変詳細ないろいろなデータがあって、画期的な評価ではないかと思います。おそらくこれは国民的関心事であることは間違いないですし、これから受験しようとか、あるいは既に場合によっては、既に資格喪失された方とか、あるいは多くの大学院、特に競争倍率が低く、試験の合格率も低いという少なからぬ大学院にとっては、非常な関心事というか、ある種の緊張を持って見守っているというようなことになると思うのです。そこで、そういう方たち、もちろん一般の人たちもそうだと思うのですけれども、知りたいことが幾つかあると思います。そもそもなぜ具合が悪いところがあり、なぜそうなったのかということもあるのですが、これからどうしようとしているのかに重要なポイントがあると思っています。できれば、これから報告書や勧告に向けて、そういう観点で分かりやすく書いていただけるといいと思います。その目指すところが一体どうなっているのかということについては、全体がそもそも法曹人口の拡大、あるいは法曹養成制度を改革するという、大きな政策から始まって続いているわけです。最初の年間3,000人の合格者、あるいはその累積でしばらく後に5万人にするということがあったと思うのですが、そもそも目指すところが変わっているのかどうかということがはっきりしているのか、していないのか。はっきりしていないとしたら、それはおかしい面があると思いますし、維持しているのであれば、ロジックがつながる格好で政策なり運用をしているのかということが、一つ重要なポイントとしてあると思います。それはおそらく一般国民の感覚としても、うまくいってない面があるとして、本当に今何を目指しているのかということが知りたいことだと思います。
 それからもう一つは、改革のための政策を行っている中で、うまくいってないことは実施者側も認識していろいろな改革が進んでいるわけですけれども、ではその改革の改革といいますか、例えば公的支援の見直しということで、競争倍率や司法試験の合格率という二つの指標で支援を削るという仕組を設けているわけですけれども、それが一体何をもたらしているのか、そもそもそれで何をしようとしているのか、そのロジックがちゃんとしているのかどうか。現実には今日の資料にもございましたけれども、合格率を上げるためには未修者をあまりとらないほうが得策であるということになりますから、いろいろな事情で苦しい大学院は、自然にそういう方向に誘導する格好にはなっているということもありますけれども、そもそもこの二つの指標で何をしようとしているのかということが、明確になっているのか。それが、もし明確になっていないとしたら、それは目的がない政策をしていることになりますし、例えば今申し上げたような、競争倍率が低く、合格率も低くて苦しんでいるたくさんの大学院については何をしようとしているのかということがないまま進んでいるとすると、そのこと自体が非常に大きな問題であるような気がします。目的に向かってロジックのある取組をしているのかどうかというようなことが、私も知りたいですし、おそらく多くの人が知りたいことではないかと思うのですけれども、そういうことが分かるような取りまとめ方を、できる範囲内でしていただけるとありがたいです。これはお願いのようなものであります。
 以上です。
【谷藤分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、小峰委員。
【小峰臨時委員】  私は中身ではなくて形式的な資料の扱いだけお尋ねしたいのですが、そもそもこの会議は公開ではないのでしょうか。公開だとすれば、ここで御説明を受けた内容は、もう公開扱いになっていると思うのですが、一方で、委員の方も資料の扱いには注意しろという御発言もあったので、ちょっと中途半端なような気がします。この辺りを教えていただきたいと思います。
【田名邊評価監視官】  やはり資料を公表・公開というのは、今の段階ではちょっとできないと思います。
【谷藤分科会長】  山内評価官からありますか。
【山内政策評価官】  はい。この分科会の会議の公開でございますけれども、規則上は「会議は、原則として公開とする」と。
【谷藤分科会長】  はい。
【山内政策評価官】  「ただし、会議を公開することにより当事者または第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合その他の委員長が非公開とすることを必要と認めた場合にあっては、非公開とすることができる」ということでございます。ただ、この会議の場自体は公開ということで、傍聴者の方にも入っていただいておりますが、今回の資料につきましては、皆様からの御指摘がありましたとおり、非常に影響の大きいものでありながら、まだ固まっていない、正確性を欠くものであるかもしれないということから、分科会のみという扱いとさせていただいているものでございます。
【谷藤分科会長】  小峰委員、よろしいでしょうか。
【小峰臨時委員】  資料については分かります。私は引用するつもりは全くないのですが、ここにある数字を引用してはいけないというような発言がさっきあったような気がするので、そこをお聞きしているのですけれども。
【山内政策評価官】  よろしいでしょうか。
【谷藤分科会長】  はい。
【山内政策評価官】  もちろん最終的には、報告書という形で数字は公表・公開されることになると思います。ただそれに至る前の方向性の段階で、先生方に御議論いただく際に、完全に正確とはいえないまでも、データがないと御議論いただけないということで、暫定的な数字としてお示ししているものと御理解いただければと思います。もちろん公開ですから、この場で聞いておられる方もいらっしゃいますが、程度問題かもしれませんけれども、この資料自体の取り扱いの考え方としては、できれば分科会で、ということでお願いしたいということでございます。
【田中(弥)臨時委員】  ちょっとよろしいですか、今の点で。
【谷藤分科会長】  田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  おそらく、御質問をされていたのは、資料は分かったけれども、ここで議論した議事録はどこまで出すのかというところにも係ってくると思うのですね。先生方の御発言であまり具体的な数字は申し上げなかったにしても、かなり重大な内容があるということが議論の方で出ていますから、それ自体は議事録として公開されるのですかということだと思います。
【山内政策評価官】  もちろん最終的な形で議事録に残ると思います。議事録作成の時間的な問題がございますので、しばらく後になると思いますけれども、最終的には公表することになっております。
【森田臨時委員】  ちょっとよろしいですか、今の点で。
【谷藤分科会長】  森田委員、どうぞ。
【森田臨時委員】  先ほどの公開の規則からいえば、非公開にすることはできるわけですけれども、おそらくそれは事前に手続を経ないと、公開の対象になり得るというふうに解釈できるような気がいたします。ただ、私自身はこの内容について、このまま公開することについて非常にリスクが高いと思っておりますので、ある意味で言いますと、事後的に瑕疵を修復するような形で進められるのはあり得ると思います。けれども、先ほどお話しになりましたような議事録の形で評価監視官がおっしゃったことがそのまま残った場合に、かなり数字が入っておりますので、いつ議事録を出すかということもありますが、これは出さざるを得ないと思います。
 ただ、ほかの例で申し上げますと、資料そのものについては、委員だけ席上に置いてほかの傍聴者には配付しないという扱いの仕方はあり得るわけでして、例えばそこに個人情報が入っているような場合には、委員の方はそれを見ながら、発言しないような形でというやり方もあると思います。いずれにしましても、今回の場合には、事後的にそれをやるとしたときには、その委員の方の了承を得るということをしませんと、それこそ法曹の専門家の方に聞かないと分かりませんが、裁判などになったときには耐えられないのではないかと思います。
【谷藤分科会長】  私の議事進行上の問題もあったと思いますけれども、研究会の段階でも大変微妙な数字がいっぱい出てまいりましたので、これにつきましては委員席上限りということと、研究会においては非公開でもって会議を進めていくという手続をあらかじめとりましてから、会を進めたという事例がございます。事後になりましたけれども、今回のこの席上配付資料といわれるようなものは、先ほどの田名邊評価監視官のほうからも説明がございましたように、国費をどれだけ投入されたかということについて、詳細なデータが若干変わる可能性があるということでございますので、この部分については、委員の皆様の御了解が得られれば、現時点で非公開ということにしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 それから、個人情報とこのデータにかかわる部分については、議事録においても基本的には掲載しないということで、進めていきたいと思いますがどうでしょうか。全体的な会の流れについての議事録は残しておかなければなりませんが、重要な部分にかかわるような情報につきましては、非公開という形で進めていきたいと思います。御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
 白石委員、どうぞ。
【白石臨時委員】  そうしますと、おそらく皆様もお知りになりたいのは、今回はそういう形で非公開ということがあるのかもしれませんけれども、この法曹関係の政策評価を、これからどういう段取りで、どんな形で公表していくのかという道筋だと思います。できれば、いつ頃までにということを具体的にお示しいただけたらと思います。
【谷藤分科会長】  これについては、最後にスケジュールをお知らせしようと思っていたのですが。
【田名邊評価監視官】  今日いただいた御意見も改めて考え合わせまして、それから政務三役にも諮りまして、目標としては、法務省と文部科学省が「法曹の養成に関するフォーラム」を開催しておりますので、その前の4月中に最終的な勧告を出すことを目標としております。
【谷藤分科会長】  本日、委員の皆様方の御意見を伺いまして、それを部分的に反映させるということ、先ほど言いました情報をどういうふうに取り扱うかということ、法務省と文部科学省が開催しているフォーラムの動きがどうなっているのかということ、それから併せまして、政務三役との報告書の内容についての調整もございます。
 それを踏まえまして、4月の下旬をめどにまとめるというスケジュールで、現在進めているという段階でございます。あくまでもここのデータは、その数値もまだ確定されておりませんので、皆様の御意見をいただくために席上限りとして出したものと御理解いただければと思います。
【白石臨時委員】  ありがとうございました。具体的に来月ぐらいというめどをお示しいただいたので、割と短い時間のうちに公表されるということを理解しました。
【谷藤分科会長】  城所委員、どうぞ。
【城所臨時委員】  2ページに法曹養成に係るコストの分析があるのですが、今回いただいた資料の中身ですと、利用者側が得る便益というのがあまり書いてないように思われます。例えばこういう政策によって、弁護士の相談料は下がったのか、弁護士に対して一般の方々の相談件数は増えたのかというようなことを何らかお示しいただいて、コストはこれだけかかっているというのは分かりましたので、その施策の便益はどうたったのかということを、利用者側に立って何か出していただけたら、より詳細な分析になるのではないかと思います。
 今の段階では難しいのかもしれませんけれども、コメントさせていただきます。
【田名邊評価監視官】  利用者側の便益は、弁護士費用がどのくらい下がったかなど、お金の面で難しかったです。ただ、どのくらい相談件数が増えたのか、そういう点は把握しております。
【谷藤分科会長】  門脇委員、どうぞ。
【門脇臨時委員】  こういう問題は、政策評価委員会制度として、当初から想定されてしかるべき問題ではなかったかと私は思います。しっかりやればこういう調査結果が出てくるわけですから、この取扱でじたばたしたり、動揺するというようなことというのは、あってはならないことです。委員会の目的は何か、今一度はっきり決めて臨んでいただきたいと思います。
 先ほどの御発言にもありましたが、この問題の本質は需給予測をまじめにやらなかった、あるいは間違ったというところにあると私も思います。しかし、政治というのは需給予測だけでやっているわけではないというようなことも感じますから、どうして需給予測が軽視されたのか、その辺りのところもはっきりさせていただかなければ困る。しかし最大の問題は、政策が一旦走り出すとそれに対する政治の訂正というか、修正する力があまりにも弱いということではなかろうかと思います。まさにそのために、この政策評価委員会があるとすれば、私はそう理解しているのですが、歩む道を踏み外すようなことに陥らないようにしていただきたいと思います。
 以上です。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋臨時委員】  「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価」についての国民一般の関心というのは、多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れることに、私は大きなポイントがあったのではないかと思います。それからしますと、今回の中間のデータ等を拝見して、ここが非常に目標未達であるということに対して、もう少し原因分析をすべきではないかと思っています。
 法学部以外の学部の出身者や社会人を一定割合入学させるということで、少しげたを履かせた定員があったということだと思うのですけれども、この入口の部分だけではなくて、出口までのサポートをどうしたのかということと、未修者という属性の分析はどのぐらい行ったのでしょうか。現在仕事を続けている人なのか、あるいは、前職に不満があって辞めて仕事がないなど、いろいろな人がいると思うのですが、そこのところが見えてこないのが非常に残念だと思います。
 それと、私などが期待することは、やはり社会人が働きながら学べ、そして試験を受けて合格し、次のステップに行けるということだと思うのですが、私の周りで法科大学院に行っている人、あるいはもう卒業した人の話を聞きますと、社会人だけど出席率が7割ないと試験も受けさせてもらえず、遅刻をしてもダメだという状況では、なかなか社会人が学び続けることが難しく、経済的コストだけではなくて、時間の面も非常に厳しいということです。もちろん実習的なものは別にして、基礎学習的なものはこの際試験だけで判断してもらって、自分で勉強できるような制度であれば良いと思うのですが、どうも文科省の指導で7割の出席を求め、遅刻もダメであるというようなものがネックになっているのではないかという声を聞いております。この辺りの事実関係はよく分からないのですが、これに類似したことがあって、社会人が断念せざるを得ないことがあるのだとすれば、ここのところもきちんと分析して、示していくべきではないかと感じます。
 以上です。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。回答が必要でしょうか。
【高橋臨時委員】  もし今の時点でどの辺りまで分析しているのか分かれば。
【谷藤分科会長】  どの辺りまで分析をしているのでしょうか。
【田名邊評価監視官】  未修者、既修者の扱いというのはさまざまありまして、法科大学院によっても異なりますので、なかなかそこは分析できていないというのが正直なところでございます。
【谷藤分科会長】  御意見ございますか。
堤委員、どうぞ。
【堤臨時委員】  今の点に関して、私自身も未修者です。土木工学出身なので、エンジニアリングを学んだ者としての私の経験なのですけれども、大学院を出た後に金融機関に勤めて、そのときにたまたま不動産鑑定士の資格試験を受けるための勉強で初めて民法というものに触れました。そのときは、やはりショックというか。エンジニアリング出身の人間からすると、解釈なんてまず理解ができないですね。我々はイエス・ノーの世界で生きているし、例えば不動産の二重譲渡のような、エンジニアリング出身者としてはあり得ないことを学ぶことは、ものすごくハードルが高いということを感じました。未修者に対する手当てをもっと真剣に考えていただかないと、おそらく今日の話だけでは解決しなくて、結局多様性が確保できず、求めているものが実現できないのではないかと非常に危惧します。その点、少し御検討いただきたいと思います。
 それからもう1点、先ほどの城所委員の御発言にもかかわるのですが、これだけのコストをかけておいて、そもそも便益にどういうものがあるかということなのですけれども。効果が出てない。その割には公的支援の見直しというところが、先ほどの話だとまだ中途半端でよく決まっておらず、今どきこういうことがあり得ていいのかなと思います。同じお金をかけるのであれば、科学技術にかければそこからの波及的な経済的効果もあろうと思いますので、そういう観点からも、もう少し厳しくコストの見直しというところは考えてもいいのではないかと思いました。
【谷藤分科会長】  よろしいですか。
【田名邊評価監視官】  はい、御発言を踏まえてまとめてまいりたいと思います。
【谷藤分科会長】  そのほか御意見ございますでしょうか。
 立花委員、どうぞ。
【立花臨時委員】  先ほど分科会長もおっしゃったことで、この資料の扱いについては了解いたしました。ただ私は、どなたかからも御指摘ありましたとおり、この資料は画期的であるとか、あるいはインパクトがあるとか、ほぼ異口同音にそういった評価がなされたのに、原則公開の中で公開しないということであれば、抽象的に弊害がある、あるいはまだ資料が中途半端であり、まだまだこれから変わる可能性があるといった理由で、公開しないことの利益と公開することの利益を比べた場合に、公開することによる弊害の方が著しく大きいということを、きちっと分科会長から総括した上で扱いを決めていただいたら、よろしいのだろうと思っています。
【谷藤分科会長】  私自身から御返事申し上げます。私は、基本的には原則公開だと思っておりまして、この段階における数値にまだ不確定の部分があるから非公開にするということで、最終的に大きな社会的インパクトを持ったとしても、正確な数値であるのでしたら、基本的には公開すべきだと考えております。政治的配慮や、ほかの府省との配慮の中で、具体的かつ正確な数値が出てきたにもかかわらず、それを公開しないという立場には立ちません。しかし、この段階の数値は、先ほど出てきましたように、まだ不確定の部分があります。そこで、さまざまな段階でさまざまな議論がなされますと、最終的な評価書の内容そのものにも影響を与えかねないということを思いまして、この段階での数値はなるべく非公開の形で進めていきたいということでございます。最終的には、きちっと公開をいたします。分科会の立場として、政策評価の在り方としても、公開を原則とするのでなければ、政策評価の意味は全くなくなってしまうと考えております。それで国民から批判を浴びても、私どもとしては、それは甘んじて受けたいということであり、評価のレベルが高くないということを言われれば、それは甘んじて受けなければなりませんけれども、議論のための基本的なデータは、最終的には全部公開をしていくという立場に立っていきたいと思います。
 立花委員、よろしいでしょうか。
【立花臨時委員】  はい。
【谷藤分科会長】  御意見ございますか。
【藤井委員】  確認をよろしいでしょうか。
【谷藤分科会長】  藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】  参考資料のデータ集で、席上限りになっているのはこの図表の国費の資料だけですね。私の理解では、数字として未確定のものがあるというのは、この国費の表であって、こちらの全体の資料は、最終的にまとめる前のものであるから、今回は席上限りという理解でしょうか。
【田名邊評価監視官】  全体はおそらく間違いはないと思っておりますが、そこも改めて最終確認をさせていただきたいと思っています。
【藤井委員】  そういう意味ですと、その数値全般をこの場限りにしなければいけないという強い意味とはちょっと違うという理解です。
 今の御議論を聞いていると、こちらの大きい表にある数値全てが、場合によっては慎重に取り扱わなければいけないというふうにとれたのですが、そういうことではないということでしょうか。
【田名邊評価監視官】  公表データから持ってきている部分でございますので、その分ではオープンな資料でございます。
【藤井委員】  はい、分かりました。
【谷藤分科会長】  森泉委員、どうぞ。
【森泉委員】  この「機密性2」というのが、どの程度の機密性かよく分からないのですが、基本的にはインパクトがあるのが当たり前であって、いずれはこういうことは公表されるわけですから、そこまで心配することはないのではないかと思います。私は基本的に公開であるべきだと思います。
 それ以外にもう一つですが、この調査結果に関して、先ほどから幾つか出ておりましたけれども、私の認識では、表現は悪いけれども、本日提示されたものは、この調査をべたべた、べたべたと並べた結果だと思っています。要するに、クロス表のようなものがないということで、お話にも出ていましたけれども、属性が見えてきません。例えば、どのくらいの所得の人であるかとか、どういうところに勤めていた人がこういうところに入って、それでその人が受かった、受からないかというような、もうちょっと突っ込んだ話が必要で、今回はあくまでも調査のサーベイだと私は理解しております。今後はそういった面も含めてもう少し突っ込んだ分析をしていただきたいと思います。
 以上です。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。
 森田委員、どうぞ。
【森田臨時委員】  私も先ほど申し上げたとおり、公開は必要だと思います。申し上げておきたいことは、この制度そのものがかなり複雑なものだと思いますので、今日は説明がございませんでしたけれども、私の記憶ですと未修、既修という区別は、本来は法科大学院には3年の修業期間があって、ただし法学部を卒業している一定の要件を満たす者については、1年間短縮できるという仕組だと理解しております。したがいまして、現実の問題として一般の方は未修で入るのが本来の入り方でありますが、一部では法学部を卒業した学生であったとしても、十分に勉強しなければ合格する自信のない学生は未修の方に入っているという話も聞いております。この解釈、数字もそうですし、委員の方もそうなのですが、きちっと制度について理解した上で評価をしませんと、思いがけない誤解になる可能性もあるかと思います。その意味でも少し慎重にと思います。
【谷藤分科会長】  よろしいですか。
【森田臨時委員】  今の制度の理解、よろしいかどうか、お願いします。
【谷藤分科会長】  基本的には、研究会からそのような制度として理解して、ずっと作業を進めてきたと思いますけれども。
【森田臨時委員】  それならば、失礼な質問をしたかもしれませんが、御発言を聞いていて、そこのところを皆様が認識されているのかなというふうに感じたものですから。余計なことを申しました。
【谷藤分科会長】  法科大学院自体の中で未修者、既修者という言葉をそのまま使っておりましたから、それにのっとって評価作業が進んできたと思います。田名邊評価監視官、そのような理解でよろしいでしょうか。
 そのほかに委員の方々から意見はございませんか。こういう形で先ほど説明がございましたようなスケジュール感で作業は進めてまいりますけれども、最終的ないわば情報そのものについて、あるいはこの評価結果そのものにつきましては、基本的には全面的に公開ということになります。その際に、このような社会的なインパクトがあって、分科会の方にいろいろな意見が寄せられても、それにきちっと耐えられるような評価にしたいと思っております。
 では、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、第3の議題に向かいたいと思います。これも来年度にかかわります大変重要なテーマでございまして、「平成24年度以降の行政評価局調査テーマについて」でございます。これにつきましては、三宅総務課長からの説明をお願いいたします。その後、御質問をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【三宅総務課長】  それでは資料に基づいて、御説明申し上げます。まず資料2−1「平成24年度行政評価等プログラムの全体イメージ」は、24年度以降のテーマにつきましては、局全体の運営を決めるプログラムの中で決めているという流れの中で今回御用意したものでございます。このプログラムは、当局の業務を機能強化の基本的な考え方に沿って重点的に計画的に実施するということから、今後の中期的な運営方針を定めるものでございます。
 行政を取り巻く情勢の変化を踏まえまして毎年度ローリング方式で決めているということで、本年度末、3月末を目途に定めていくプロセスに入っているというものでございます。当局の機能を大きく分けますと四つございます。左の縦書きのところを御覧いただきますと、評価局の調査、それから政策評価の推進機能、こちらは議題1でも御説明申し上げていたような各省において実施いただいております政策評価を効果的に推進していくための取組を記述しております。それから行政相談、こちらは全国50カ所の出先、5,000人の相談員さんとの協働のもとで国民の皆様方からの苦情を受け付け解決に至るプロセスをいかにうまくしていくかということで書いてございまして、昨今、先般の大震災での被災者からの相談といったものがまだまだございます。復旧・復興というステージが異なってくるに連れて、また新たなニーズが出てまいりますので、そうしたものに的確に対応していこうということでやっていく所存でございます。
 次のページの縦書きのところにいきますと独立行政法人評価がございます。こちらは政策評価・独立行政法人評価委員会の活動を事務局として的確に補佐をしていこうということでございまして、24年度は中期目標終了時の業務の見直しが27法人予定されております。このほか年度評価について、これは全法人でありますけれども、こうしたものを的確にやっていこうということが書いてございます。
 あと二つの欄は臨時的に当局が担っているものでございます。年金業務の監視委員会は、旧社保庁時代の問題を踏まえまして、この分野について専ら専門的に見るようにということがございましたので、この委員会が設けられており、それの補佐を的確にしていくということでございます。
 もう1点の年金記録確認第三者委員会も臨時的に、消えた年金記録と言われた問題について第三者的な立場からこの委員会で申し立ての処理をし、厚労省のほうにあっせんをするようなことでやってございます。こちらのほうは随分落ちついてきたものですから、厚労省への移管について調整を進めるといったことを書いているところでございます。
 前のページをお戻りいただき、評価局調査についてでございます。ここのところ、毎年度テーマを決めてやっていく活動と、常時監視、機動調査がございまして、こうしたものは去年から新たに取り組んでいるものでございます。これは、テーマ以外のものについて常時動向把握をし、緊急の調査に入るといった活動をしておりまして、23年度におきましてはこの常時監視として、大震災に伴うこの資格試験の特例措置の状況を調べ、なるべく被災者の方の不利益にならないようにということを各省にお願いをいたしました。また、福島県民の方々の内部被爆の検査に関し、県外に避難されている方などに係る取組について、関係省の取組を促すという活動をしたところです。その上のテーマを決めて活動していく部分でありますけれども、議題2にありました法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に係る政策評価がございましたけれども、こうしたものについて、現在、調査をしているところでございまして、順次勧告に至るということで進めてまいるところです。
 それから、本日は、別表としております「24年度以降の行政評価局調査テーマ候補(案)」について御意見賜りたいと存じます。この資料は、テーマの選定の基本的スタンスとしては、政務三役を中心として多くの議論を経て決めていこうということでございまして、選定に当たっては内閣における重要課題といったものを踏まえ、行政分野を聖域なくカバーして、その上でテーマを決めていこうということでやってまいります。
 今後のスケジュールとしましては、そうした部内の検討と政務三役の御議論を経て、先週からこのテーマについて国民からの意見募集を行っているところでございます。これらの御意見の状況、また、本日いただきます御意見などを踏まえまして、月末までに改めて政務三役との御議論を経て、年度末には総務大臣決定に至るというようなことで進めてまいりたいと思っているところでございます。
 24年度のテーマにつきましては、先ほど申し上げたような内閣の重要課題ということで、まずは最重要課題である「震災対応」について、震災からの復旧・復興への対応として二つ、黒マルの「申請手続に係る国民負担の軽減等の実態調査(東日本大震災に係るものを中心として)」、白マルの「震災対策(災害応急・復旧対策)」でございます。黒マルのほうは、24年度4月から着手ということでございます。白マルのほうは24年度中に実施を検討しているものとして課題を掲げているものでございます。まずはこうした震災対応についての調査を行う必要があるのではないかということで、先手を打っているところでございます。
 それから、「行政の無駄、非効率の根絶」でございます。これは、震災復興のための財源等々もございますけれども、常に行政の無駄を排除していく観点がまさに重要であろうということから掲げているものでございます。
 もう一つの柱としましては、国民の暮らしへの安心への対応ということで、テーマを掲げておるということでございます。
 これらのテーマについて、資料2−2「平成24年度以降の行政評価局調査テーマ候補(案)」で御説明申し上げます。資料2−2は、調査の中身を記載しております。分科会長からも24年度のものを中心にということでございましたので、24年度のものを中心に御説明いたします。まず、震災対応の手続の国民負担軽減といったものでございます。こちらは震災の際に、法令あるいは許認可等々があるがゆえに、国民の方々に何か御不便等があって復興・復旧に支障が生じている状況はないのか、そうしたものが今後の復興にも資するように、あるいは、今後、また起こらないことを望みますけれども、また災害があった際にしっかりと対応できるようなことがないかというようなことを調べていくものでございます。
 次に、震災対策(災害応急・復旧対策)につきましては、まさにこの大震災における被災者支援等々の実施状況を調査いたしまして、今後の復興にいかすとともに他地域における震災に、防災対策に生かしてまいりたいと考えたものでございます。
 それから24年度のもので申し上げますと、「行政の無駄、非効率の根絶」のところでございますけれども、「契約における実質的な競争性の確保」がございます。先般、当局では、物品の契約につきまして点検をいたしましたので、今回はこの役務の面についてやってまいりたいということでございます。
 また、補助金等についても、これまで個別の事業につきまして、見てまいりましたけれども、今般、報道等も多々ありますような科学研究費の不正使用の防止の観点につきまして、防止の措置がしっかりとられているかどうかといったようなことにつきまして、点検をしてまいりたいということでございます。
 次のページを御覧ください。「農地公共事業(農業水利施設)」については、これまで公共事業系で道路橋をはじめとして、上下水道、港湾といったもののストックマネジメントの観点からの調査をしておりますので、今般は、農地公共、農業水利の部分について監視をしてまいりたいということでございます。
 「特別民間法人等に対する指導監督」については、これまで政府外の主体として公益法人の行う検査検定などを監視してまいりましたけれども、今般この特殊法人から法的な関与をなるべく少なくして、特別の民間法人としてなったものにも、補助金等が出ている状況もございますので、運営上の無駄がないかといったことを監督状況から見ていこうというものでございます。
 「国民の安全・安心」については、24年度には「消費者取引」がございます。消費者庁が設置されて、いろいろな法律が移管され、また共管という関わりを持つようになってまいりました。その一方でいろいろな取引上の被害があるわけでございまして、そうした政策は果たしてしっかりと効果は出ているのかということを総合的に評価してまいりたいということでございます。
 「医療安全対策(医療事故、院内感染対策)」は、院内での医療の事故、感染対策につきまして、レビュー機関として取組状況をしっかり見ていく必要があるということです。これまでも医療分野では小児医療等々のものについてやってきております。
 弱者対策の部分でございますけれども、「刑務所出所者等の社会復帰支援対策」ということで、出所された方々が再犯をして刑務所に戻ってしまうという不幸な循環を絶つべく、こういった支援について、今一度点検する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 「がん対策の推進」につきましては、長らく死亡原因の1位となってまいりまして、撲滅運動が盛んになっておりますけれども、こうしたものはこれまでの取組状況をしっかりと把握し、今後にいかしていきたいという観点から取り組もうというものでございます。
 これらのテーマにつきまして、本日御議論いただきつつ、また実施に当たっての留意点などもいただければと思い、御説明申し上げた次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。資料2−2に基づきますと、震災対応で24年度に予定しているのは2本ですね。
【三宅総務課長】  はい。
【谷藤分科会長】  それから行政の無駄、非効率の根絶が申請手続からくくりまして併せて5本ということになりますか。
【三宅総務課長】  はい。
【谷藤分科会長】  国民の安全・安心につきましては震災対策を含めますと5本、国民安全・安心、震災対策を除きますと4本ということになると思います。
【三宅総務課長】  申し遅れました。年金関係の業務で、若干人手をとられている関係がございまして、この中で23年度は7本着手いたしまして、今般は今のところ別表にありますように8、9本程度を想定しているところでございます。
【谷藤分科会長】  はい。その点で今御説明にありましたように、8ないし9本程度で進めたいということでございますけれども、皆さんのほうから御意見をいただきたいと思います。
 田中委員、どうぞ。
【田中(弥)臨時委員】  復興にかかわることでもあるのですけれども、「行政の無駄、非効率の根絶」のところに、契約にかかわる項目が入っていまして、これは、復興や震災対応においても、非常に重要になってくるのではないかと思います。というのは、18兆円以上の資金が被災地に投入されて、復興特需が早晩起こってくると思うのですが、そのためにもここはきちっと不透明な取引がないか、あるいは不正な取引がなかったかということを監視する必要があると思います。関東大震災のときもやはり特需が起こって、その後、いろいろと大変な不正が起こり、社会の規律が壊れていったという歴史を振り返りますと、どうしてもこれはきちんと見ていく必要があるのではないかと思います。
【三宅総務課長】  ありがとうございます。そういった点も踏まえまして、どのように調査できるか検討していきたいと思います。
【谷藤分科会長】  そのほかに御意見はございますでしょうか。
 森泉委員、どうぞ。
【森泉委員】  最後の「科学研究費補助金の不正使用等の防止」ですが、これは科研費のみに限るのでしょうか。科研費のほかにも、もっと大きな補助金はあるものですが。そうすると、省は文部科学省だけではなくなり、広くなってしまうのですが、その辺りはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
【谷藤分科会長】  これは、科研費に限定するのかどうかということでしょうか。
【森泉委員】  そうです。
【谷藤分科会長】  文部科学省の科研費の部分に限定するのかどうかということと。
【三宅総務課長】  このたびは、科研費の仕組作り、不正使用の防止の仕組作りを念頭に置いておりまして、今のところ、この科研費に限って考えております。
【谷藤分科会長】  科研費だけということになりますね。ほかの各府省が持っているような科学研究費の助成については、ここでは含まれていないという。
【田名邊評価監視官】  よろしいですか。
【谷藤分科会長】  はい。
【田名邊評価監視官】  この調査を担当しています田名邊と申します。今考えておりますのは、もちろん文部科学省のほかに厚生労働省もございますし、経済産業省もございますが、まず一番大きなところとして各大学における適正使用の仕組、不正防止ができないような仕組を作れば、ほかの補助金もそこについてくるのではないかと考えておりまして、現在のところは大学における適正な使用のための仕組作りということで科研費を念頭に置いております。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。
【森泉委員】  いろいろと仕組は違うと思いますが、分かりました。
【谷藤分科会長】  そのほかに御意見はございますでしょうか。
 立花委員、どうぞ。
【立花臨時委員】  この調査テーマ候補の中で、「原子力政策」を取り上げていきたいというのは、極めて難しく、しかも今日的な課題であるので、行政評価局の方々のチャレンジングな取組を、私は本当に高く評価します。今、国会あるいは政府、民間等いろいろなところでレビューはされていますけれども、当時与党で原子力を推進してきた、今は野党の自民党においても、エネルギー政策のレビューということで、なぜ我々は政策を間違ったのかということをレビューしようということを始めています。ですから、この「原子力政策」の調査に入られるとき、やはり皆様の先輩である行政評価のプロの方々が、おそらく過去何年にもわたって、原子力について、ここにも書いてあるような防災・安全あるいは原子力運転管理の問題を含めて、いろいろ勧告調査をされてこられたと思います。それがやっぱり今日の時点においてもやはり正しかったのか、あるいは必ずしもそれが妥当ではなかったのか、妥当でないとすれば一体それはどういう理由でそういうことになったのかということを、行政評価の立場からも、きちっと謙虚にレビューされた方が、後々の取組についても説得力を持つと思うのです。非常に難しいテーマでありますけれども、なかんずく原子力については、過去に行政評価局のやってこられた調査勧告等の既存の報告書から見て、妥当かどうかということを、一緒にレビューされた方がいいと思いますし、またそれが皆様の行政評価調査のプロとしての財産になると思いますので、そういった意気込みと心構えで是非取り組んでいただきたいという感じがいたします。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。
 田中委員、どうぞ。
【田中(常)臨時委員】  2点あります。震災対策も是非やってほしいと皆様が思っていると思いますけれども、その中で、原発の事故に関することを取り上げるのかどうか。それから、寄附金制度が有効であったのかどうか。この2点は誰しも興味があることだと思うので、それについてはこの中で検証されるのでしょうか。
【砂山評価監視官】  今の御質問ですけれども、まず原子力の方は、どちらかというと今の取組状況を見ながら、前に御議論のありました原子力政策で見ていくということになろうかと思います。
 一方、寄附金制度の方につきましては、前回の阪神・淡路のときに行政監察をやっておりまして、そのときにも義援金の話にも触れておりますので、十分視点の一つになろうかと思っております。具体的な設計はこれから考えていきたいと思いますので、今の御議論を踏まえながら、設計をしていきたいと思っております。
【谷藤分科会長】  そのほか御意見はございますか。
 中泉委員、どうぞ。
【中泉臨時委員】  一般論になってしまいますけれども、議題1の目標管理型の政策評価にもかかわることですが、政策評価の場合、政策にいかに反映させ、政策をいかに改善するかが一番重要だと思っております。そういう意味で、ここに並べたテーマというのは、どちらかというと事後評価に関連するテーマが多いと思いますが、事後評価の場合、おそらく二つの目的があって、一つは次の政策を改善することであると思いますし、もう一つは次の政策評価自体を改善するという性格を持っていることだと思うのですね。
 議題1のときに田中委員や佐藤委員が少しコメントされていましたけれども、実は施策を幾ら並べても政策の目標にはならなくて、施策の目標もしくはアウトプットが実際の政策の目標であるアウトカムになるまでには、非常に複雑な経緯を伴うわけです。実は、その経路を事前に分析するというのは非常に難しくて、この前ある県の政策担当者の方と話したときにも話題になりましたが、そこの経路をどうやって解明するかに非常に苦労されているということでした。
 そういう意味で、事前に分析するための知見というのは、いろいろな意味で蓄積しなければいけないのですが、おそらく事後評価というのは一つそういうことがやや簡単になる。もしくはある程度客観的になっている部分で分析できるところだと思うのですね。前回から分析されている、例えばワークライフバランスの政策評価なども、そういった経路(アウトプットがアウトカムを実現するメカニズム)を検討されているという意味で私は評価したいと思います。そういう意味で事後評価については、単にアウトプットを評価するというような簡単なところだけではなくて、アウトプットとアウトカムの関係をかなり詳細に分析するようなテーマも選んでいただければと思います。
 以上です。
【谷藤分科会長】  どうもありがとうございました。そのほかに御意見ございますか。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋臨時委員】  「消費者取引」のところについてです。こちらは、消費者取引に関する関連法令に関するところと、消費者基本計画を見ていくということですけれども、関連法令に関してはかなり改正されているので、その後の運用状況を含め、過不足をしっかりチェックして、その政策がきちんと有効に機能しているかを見ていくべきだと思います。消費者基本計画については、平成16年度に制定された際、ここで是非省庁横断的にやってほしいとお願いしたのですが、今回このような形で入ったことは大変ありがたいと思っています。
 しかも、17年から21年度の評価が内部で終わっていて、次の5年計画の部分にこちらの評価が入っていくということで、まさに24年度から調査を始めて消費者基本計画の第2期の終期に向けてやっていくということなので、非常に有効に作用するのではないかと思いますので、有効性をよく考えた調査が進むことを期待します。ただ、基本計画も非常に計画の本数が多いですし、どこにフォーカスするのかをはっきりしないと、内部でやっている評価と変わらないようなものになる可能性があります。その辺りをよく詰めていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いします。
【谷藤分科会長】  よろしいでしょうか。
 河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  どこに入れるかは分からないのですが、温暖化対策については、かなり大きな予算が付いております。これは、環境省の政策評価委員会でも評価しているわけですが、実際には国土交通省や農水省、経済産業省など非常に多岐にわたっております。これを統一的に、横串的に評価するとなると、やはりここで取り上げるのが妥当なのではないかと思います。すぐに取り上げてくれということではないのですが、温暖化対策についての評価ということを、どこかのテーマで取り上げていただきたいと思います。ひょっとすると温暖化がそのまま進めば、去年も近海で大型になった台風が上陸しておりましたが、場合によってはいろいろな影響が国民の生活に出るという可能性もあります。「国民の安全・安心」というようなところで取り上げるといったことを御検討いただければと思います。
【谷藤分科会長】  ありがとうございます。24年度ということではなくて、温暖化対策のとりわけ動向についての今後の検討というものをお願いいたします。
【三宅総務課長】  はい、かしこまりました。
【谷藤分科会長】  そのほか御意見ございますか。時間が少し過ぎておりまして、誠に申しわけございません。進行がうまくいきませんで、時間を超過してしまいました。御意見がございませんようでしたら、本日の分科会はこれで終了したいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
 どうもありがとうございました。以上をもちまして、政策評価分科会を終了したいと思います。本日は御多忙の中、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。

以上


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