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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(平成24年7月31日開催)議事録

日時

平成24年7月31日(火)15時30分から17時50分まで

場所

中央合同庁舎第2号館11階 総務省第3特別会議室

出席者

 (独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、山本清独立行政法人評価分科会長代理(※)、森泉陽子の各委員、縣公一郎、浅羽隆史、梅里良正、岡本義朗(※)、梶川融(※)、河野正男、河村小百合、木村琢麿、柴忠義(※)、鈴木豊、瀬川浩司、園田智昭(※)、玉井克也、宮本幸始、山谷清志の各臨時委員
(※)を付した委員は、審議・議決の一部に参加していない。

(総務省)
新井英男行政評価局長、井波哲尚官房審議官、三宅俊光総務課長、武藤真郷評価監視官、北川修評価監視官、萬谷優人調査官、平野誠調査官

議題

 

(1)平成24年度の事務・事業の見直しについて
(2)役員の業績勘案率(案)について
(3)その他

配布資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  それでは定刻になりましたので、始めたいと思います。大変、お暑いところ、お集まりいただきましてありがとうございました。ただいまから、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開催いたします。
 本日は、平成24年度の事務・事業の見直しについて及び役員の業績勘案率について御審議をいただく予定としております。なお、役員の業績勘案率の審議につきましては、非公開とさせていただいております。最初の議題の審議終了後に休憩を取りますので、その間に傍聴者の方々には御退席をいただくことになります。
 それでは、今年度の事務・事業の見直し対象法人についての議題に入りたいと思います。まず、各ワーキングにおける議論について事務局から説明をさせ、その後、各主査から追加で御説明をいただいた後に御議論をいただくということといたします。法人が大変多いので2回に分けて行いたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。ワーキングにおいて、大変な議論を何回も重ねていただきまして、御礼申し上げます。
 初めに、第1、第2ワーキンググループが担当する見直し法人から、事務局に説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。
【武藤評価監視官】 それでは私から、資料1−1について御説明申し上げます。
 まず資料1−1に、今年度の見直し対象法人一覧ということで、計27法人という非常に多数が、今、分科会長からもお話ありましたように上っております。昨年が9法人でございましたので、3倍ということになっております。各ワーキングでそれぞれ2、3回程度、ワーキングによっては各省からの直接のヒアリングも含め議論をしていただいたものが、資料1−2以下にまとめてございます。現時点での主な議論、論点ということで聞いていただければと思います。
 それでは早速ですが、資料1−2、「平成24年度末に中期目標期間が終了する27法人の概要及び主な議論」という横紙に沿って御説明いたします。
 まず、第1ワーキングでございます。こちらは対象法人が、1ページ目に、総務省が1法人あり、1ページ目の下半分から4ページ目にかけて、農林水産省の3法人が対象になってございます。
まず、総務省の統計センターでございます。この表ですが、一番左に法人名、次の欄に主な業務と幾つか主な事項がございまして、ワーキングにおける主な議論というのが真ん中辺で、一番右に、関連の閣議決定等がまとめてあるという構成になってございます。
 統計センターでございます。こちらはまさに国の基幹的統計の製表、表を作るという業務をやっている法人でございます。ワーキングにおきましては、論点を主なものとして三つ挙げてございます。1番目は、この法人について、閣議決定でははっきりしておりませんでしたが、現在、国会提出しております法律案では、行政執行法人ということで位置付けられましたので、まさに業務運営の効率化の観点から、そのスリム化・合理化の工程表や計画を策定し、見直しを行っていくべきということが一つの目的でございます。2番目に製表業務の民間委託、また3番目に挙げております、共同利用システムの目標稼働率の数字の妥当性等々について議論があったところでございます。
 続きまして、農林水産省でございます。一つ目が、農畜産業振興機構でございます。こちらは、左から2番目の欄にありますように、各種経営安定対策、また2ページ目にあるとおり、砂糖、でん粉、また野菜等々の価格安定対策や価格調整といった業務をやってございます。こちらにつきましては、個別の事務・事業につきまして、3点程まとめております。
 1点目、経営安定対策に当たり、補完対策を、畜産についてやっているわけですが、こちらについては、さらなる縮減の検討、事業内容の整理ができないかという論点でございます。2ページ目にまいりまして、平成23年度から開始された契約野菜のリレー出荷、これも経営安定対策の一環でございますが、この特例措置について、まさに農林水産省の看板政策であると思いますけれども、なかなか実績が伸びていないということがございまして、効果的広報等々を行っていくべきではないかということでございます。あと、本事業の必要性そのものも議論されたところでございます。また、砂糖勘定につきましては多額の累積欠損が計上されてございまして、こちらにつきまして、国費に依存することなく、累積欠損を早期に解消していくべきではないかという議論が現時点でなされているところでございます。
 農林水産省の二つ目、3ページ目でございますが、農業者年金基金でございます。こちらはまさに文字どおり、農業者に対する2階部分の年金の事業を実施しているところでございまして、こちらについて3点程、同じく主な議論としてまとめております。
 1点目として本法人は市町村農業委員会や農協に各種業務を委託しておるわけですが、その委託費の積算基準を見直していくべきではないかということでございます。いろいろとメリハリ、インセンティブを考えるべきではないかということでございます。2点目といたしまして、新制度と旧制度と並存して業務が進められている状況にございまして、その旧制度の部分につきましては、受給権者が逓減していったり、また旧制度下において行っていた農地の売買貸借、こちらも業務内容の縮減が見込まれたりするので、組織・人員のスリム化を図りつつ、業務需要があるところに定員をシフトしていくような体制を作っていくべきではないかというような議論でございます。3点目として、こちらは標準処理期間の話を取っかかりにいたしまして、その標準処理期間の短縮化ということがまず議論されまして、また、その目標を含めまして、基金全体の業務の目標設定に当たって、それぞれの業務の目的にふさわしい指標を用いて目標を作っていくべきではないかというような議論がされたところでございます。
 第1ワーキングの最後、農林水産省の三つ目は、農林漁業信用基金でございます。こちらは、農林漁業者の経営に必要な資金借入に係る保証及び保険業務を主たる業務としてやっているところでございます。こちらにつきましても3点、主なものとしてまとめております。
 一つ目は業務運営体制の話でございます。1番右の欄にありますように、こちらは特殊会社化ということを念頭に置きつつ検討されておりまして、また金融庁検査も導入していくという方針が立てられております。それらを踏まえまして、高度なガバナンスを構築していくべきではないかということでございます。人件費の増大や組織の肥大化の防止にも配慮しつつ見直しを行っていくという議論が一つ目でございます。二つ目は債務保証の業務でございますけれども、こちらにつきまして、保険・保証料率の見直しの議論や金融機関との連携強化、また回収を担うサービサーの導入対象の拡充を図るべきという議論でございます。三つ目はモラルハザードの話でございますけれども、各金融機関における貸付けに対して、債務保証をこの法人は行っているわけですが、そこがモラルハザードを起こさないように、全部保証ではなくて部分保証の拡充を図っていくべきではないかという議論から進めているところでございます。以上が、第1ワーキングでございます。
 続きまして、5ページ目以降、第2ワーキングでございます。こちらは、まず財務省所管が3法人、また経済産業省所管が3法人、5ページ目から9ページ目にかけて、まとめてございます。
 まず財務省でございます。5ページ目、造幣局でございます。こちらは、論点として三つ挙げておりますが、一つ目は、本法人のコアミッションである貨幣の製造の事業につきまして、経営コストを示す財務データについて、いろいろ配慮すべき点は多々あるとは思いますが、評価実施機関に対し、一層の情報提供を行って、きちんとしたコストの議論ができるようにすべきではないかという議論でございます。二つ目は、研究開発業務でございます。こちら年間10億円程度、資金が投じられておりまして、こちらも偽造防止に留意することは当然ではございますが、更なる情報開示を行っていただきたいという議論でございます。三つ目は、業務運営体制につきまして、貨幣需要が減っているということもございますので、現在の体制の見直しを検討していくべきではないかということでございます。また、東京支局につきましては、特出しして書いているところでございます。
 続きまして6ページ目、国立印刷局でございます。こちらの1点目は、造幣局とパラレルでございまして、本法人のコアミッションである印刷事業についてのコスト開示の議論をしているところでございます。2点目といたしまして施設整備費でございます。こちらも印刷局は年間100億円前後の経費を投じまして、設備投資を行っております。これらについて今後、外部ガバナンスの導入について検討すべきではないかという点を掲げております。また3点目といたしまして、こちらも造幣局と同じでございますが、研究開発業務について、さらなる情報開示を行うべきということをまとめております。
 財務省の三つ目でございます。7ページ目になります。万博記念機構でございます。こちらは、一番右の欄にありますように、大阪府との協議が整うことを前提に法人を廃止するという方針が既に決定されております。ですので、現行中期目標期間内に大阪府との協議を整えるべきではないかという話を、1点目でまとめております。また2点目といたしまして、基金事業についても若干議論を行っているところでございます。
 続きまして、経済産業省にまいります。経済産業省の一つ目は、新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOでございます。こちらにつきましても3点、論点としてまとめております。
 1点目は、研究開発関連業務の体制の話でございます。プロジェクトリーダー、プログラムマネジャー等々、外部登用者の方がいらっしゃいます。また、一方で、NEDO職員の方もおられて、それらを併せてマネジメントを行っているわけですが、それぞれの者が担っている役割や具体的な業務について、今後もう少し確認していきたいという議論がございます。また業務運営体制につきまして、研究資金の配分機関でございますので、民間出向者の方々が多数いらっしゃるわけですけれども、その受入れの透明性を図るべきという議論が2点目でございます。3点目といたしまして、こちら、もともとのNEDOの大きな目標といたしまして、我が国の産業競争力強化に資するということがあるわけでございますが、次の8ページ目にわたっておりますけれども、この目標、目的に対して、これまでの実施状況というのがどのようになっているのか、きちんと見ていくべきではないかと、十分に検証した上で次の目標を作っていくべきではないかという議論をしております。
 経済産業省の二つ目は、情報処理推進機構、IPAでございます。こちらも3点ございます。
 1点目は体制といいますか、組織の話でございまして、こちらは右の欄にありますように、経済産業研究所、産業技術総合研究所と統合するという方針が出されております。その2研究所と統合して、研究開発型の成果目標達成法人ということになっておりますけれども、その成果目標達成法人、研究開発型のものとして、どのような見直しを行っていくのかという議論を今後フォローしていきたいということでございます。2点目は、民間企業から多くの人材を受け入れているという現状がございます。ちょっと大上段かもしれませんが、民間人材によって民間向けの業務を行っていることに着目すれば、独法としての存続意義について再検討すべきという議論もなされたところでございます。3点目は個別事業の話でございますけれども、1点目とも関連いたしますが、研究開発型の法人になるということから、既存の事務・事業についても、その廃止も視野に入れた抜本的な見直しということを議論しております。
 第2ワーキングの最後でございますが、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、JOGMECでございます。こちらは2点、まとめてございます。
 1点目は、この法人の大きな柱であります、リスクマネー供給業務で、こちらにつきまして、リスク審査、採択判断の一連のプロセスがどのようになっているのか、それぞれのプロセスにおける審査体制の整備、またこの事業、石油・金属鉱物の探鉱でございますが、当然失敗事例があるわけです。それらの検証がきっちり講じられているのかということを確認していきたいということでございます。2点目といたしまして、次期中期目標の話でございますが、それぞれの業務にふさわしい適切な指標と明瞭性、客観性を備えた目標の設定ということで、「例えば」ということで書いておりますが、やっぱりリスク評価をきっちりやっていただいて、そのプロジェクトの、これまではどうしても投融資そのものの件数が目標になっているようでございますけれども、そうではなくて、プロジェクトの成功件数ということも目標として考えられるのではないかというような議論をしているところでございます。
 以上、非常に駆け足でございますが、第1ワーキング、第2ワーキングの議論を紹介させていただきました。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。第1ワーキング、4法人、第2ワーキング、6法人、ただいま事務局からの御説明がございました。各ワーキンググループの主査から、追加の御説明があろうかと存じますので、お願いいたします。第1ワーキングの河野主査、そして第2ワーキングの鈴木主査、続けて5分程度で、よろしくお願いいたします。
【河野臨時委員】  第1ワーキングの河野であります。武藤監視官のほうから説明がありました4法人でございます。
 最初に総務省の統計センターでございますが、説明にありました内容にほぼ尽きるのですが、一つだけ追加させてもらいます。独法については自己収入の拡大ということが言われているわけでございますが、当法人につきましても、匿名データの提供やオーダーメード集計などにつきまして、今後の提供数とか手数料収入等、こういう項目について、具体的な目標を掲げて、自己収入の拡大を図るということをしてはどうかということが議論されました。
 それから農林水産省関係ですが、農畜産業振興機構、これは畜産振興事業団とか糖価安定事業団、日本蚕糸事業団、あるいは野菜供給安定基金等、幾つかの事業団等が統合してできており、事業内容も多様なので、いろいろ議論がありました。4点追加させてもらいたいと思います。
 1点目として畜産関係では、学校給食用牛乳供給事業でございますが、これにつきましては、ほぼ小中学校で普及しておりまして、国民の栄養状況が良い中、この事業をやる意義とか、必要性があるのかというような議論がございました。仮に牛乳の消費拡大ということで言えば、ほかの対策を練る必要があるのではないかということでございます。2点目として、野菜関係では、実績が低調な重要野菜等緊急需給調整事業ですが、あまり件数や金額も現在ございません。これについては廃止を含めて、抜本的な見直しをしてはどうかというような議論がありました。3点目として、農畜が保有している資金とか基金がございますが、これについては会計検査院の指摘もございまして、縮減というようなことで、努力を、見直しをしてはどうかということを議論しております。4点目として、管理体制ですが、理事数あるいは管理職員数等の組織体制の見直しをしてはどうかというような議論をしております。
 それから農業者年金基金でございます。この農業者年金基金の新制度は任意加入となっており、平成22年度から24年度の3か年度において、毎年度6,000人を新たに加入させるという目標を掲げておりますが、平成22年度、23年度で55%前後しか達成していないということでございます。その原因を分析して、改善措置を講ずるべきではないかという議論をしております。
 最後に、農林漁業信用基金でございます。この法人につきましては中期目標の中で、民でできることは民でやるというようなことを掲げておりますが、この基金の信用保証の対象とする借入金の一部は生産資金ではなくて、農業、漁業等の生産関係ではなくて、生活資金、住宅ローン等も対象とされているということで、本来の目的にかなうような資金の利用の在り方を考えるべきではないかというような議論がございました。
 なお、後の二つの農林水産省関係の法人につきましては、一般管理費、事業費、それから人件費等の諸経費について目標を達成しているわけであります。そうすると目標の設定のあり方とか、あるいは次年度以降につきまして、今期を上回るような業績を上げるような努力をしていただけないかというようなことが議論になりました。以上です。
【阿曽沼分科会長】  続きまして、鈴木主査どうぞ。
【鈴木臨時委員】  私ども、第2ワーキンググループでは、先ほども説明がありましたけれども、財務省3法人と、経済産業省3法人について、特に活発に議論された点を中心に、少しコメントさせていただきたいと思います。
 まず財務省の関係ですが、造幣局、国立印刷局とも、ほぼ同じような論点で議論がありました。この両法人は、先ほどの話にもありましたけれど、お金に関する製造業務が主要なミッションであります。したがって、紙幣とか貨幣を国民が安心して使うためにも、偽造防止だとかセキュリティの確保というのは重要ですが、そのことを理由として、法人の経営状況ですとか、あるいは標準原価計算制度を採用しているにもかかわらず、コストの明細というようなものまでセキュリティをかけてしまうというのはいかがなものだろうかということで、先ほどのような結論になっているわけであります。
 特に主務省評価委員会は、このような法人の経営状況、特に効率性に関して、適正に評価しているのかどうかという議論がございます。出せないデータや資料があるのはやむを得ないとは思うわけですけれども、ワーキンググループも非公開であるわけですし、私ども委員にも守秘義務が課せられているわけでありますし、またこのような傾向は従来から、また、全法人共通的でもありますので、政独委全体の共通事項として、またワーキンググループとしても適切な議論ができるように、強く資料等の提出を求めていくべきではないかというような議論がございました。
 また、事務・事業の見直しの基本方針に関しましては、この2法人とも、各業務について、何々に重点化、あるいは何々に限定というふうにされているわけですが、今回、重点化や限定とされた具体的な内容を確認したところ、基本方針策定前から、既に重点化、限定して実施されているものが見受けられたということで、この点に関しては、今後さらに追加照会していくべきではないかと。仮に、もしその実施が困難であれば、困難である理由等を明確にして、説明責任を果たすべきではないのかというような意見がございました。
 さらに、国立印刷局の虎の門工場については、現在、都内北区の滝野川工場敷地内へ移転工事中となっているわけですが、この虎の門工場では、国会用の印刷物等を製造しております。国会に提出された法律案や委員会会議録、予算・決算類の印刷業務を行っていますが、そもそもこの法人がやるべき業務なのか、移転に併せて業務内容の見直しも必要なのではないかというような意見がございました。
 次に経済産業省の関係でございますが、各法人に共通しているのですけれども、民間からの人材が増えているという点でございます。昨年の見直し法人でも、いわゆる『原子力ムラ』に関する議論があったわけですけれども、今年の見直し法人においても、利害関係のある民間企業から人材を受け入れているという実態がございます。個別法人ごとに、もう少しデータ等を入手して議論を深める必要があるわけですけれども、数字だけ見ますと、やはり業務の透明性であるとか、人材受入れの有効性には疑問が残るという意見で一致をしております。出向元へ復帰する場合の、利益相反防止のための取組等が措置されている法人もあるようですが、今後は、それらの取組が十分に透明性を確保できる仕組みになっているかという点、また、民間人材を受け入れなくては業務が成り立たないということであれば、業務の抜本見直しが必要なのではないかというような議論がございました。
 また、運営費交付金の債務残高についても、この経済産業省所管3法人に共通した議論がございまして、平成22年度までのデータしか公表されておりませんが、3法人とも、運営費交付金に対する残高比率が高くなっております。参考までに、平成22年度の運営費交付金に対する平成22年度の期末残高を申し上げますと、NEDOの一般勘定が55.6%、IPAが41.4%、JOGMECの石油天然ガス勘定が88%ということで、総じて高くなっておりまして、個別法人ごとに発生要因の分析と対策の検討が必要ではないかと。その中で、一部には一般競争入札導入によるコスト減少というような理由も含まれておりまして、今後議論が必要ではないかということでございます。
 最後に、JOGMECについて一つ申し上げたいと思いますが、この法人が行っているリスクマネー供給業務ですけれども、先ほど説明にもありましたように、プロジェクトの採択、リスク審査に関してですが、この法人のリスクマネジメントに関して、主務省評価委員会がどのように評価しているのかということについて議論がございました。かいつまんで申し上げますと、プロジェクト案件の採否は法人自らが行っているわけですが、その際、リスクの程度、あるいは成果、その目標、指標等が示されて、事業採択されているのか、そのことと、例えば失敗事例等についても、主務省評価委員会がチェックしているのか。チェックしていなければ、本来チェックすべきではないのか。あるいは専門性、特殊性から、評価委員会では評価できるような案件ではないということであれば、評価指標そのものに問題があるのではないかという意見がございました。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 各主査からの報告の御説明は、議論のプロセスを非常にわかりやすく御説明いただいたとともに、重要な御指摘を幾つか含んでおります。事務局の御説明、そして主査からの御発言を踏まえて、ただいまの御報告のございました10法人について、御意見ございましたら、どなたからでも結構でございますので、御議論いただきたいと思います。何かございますでしょうか。河村委員、どうぞ。
【河村臨時委員】  農林水産省の農畜産業振興機構のところで御質問させていただきます。3点目で御指摘があった累積欠損金の問題なのですけれども、これも欠損が積み上がっているところがいろいろあるかと思いますが、ほかにも類似の問題を抱えている法人も多いのではないかと思いますので、お尋ねします。ここでのワーキングでの論点としては、今後は一般競争入札の導入により、借入金利の低減等も行うことにより、欠損を早期に解消すべきではないかという御指摘になっているのですけれども、現状は、一体どこから、どういう形でお金を借りているのか、どういう期間設定で借りているのかというのが一つと、競争入札の導入で、借入金利を低くするということぐらいで、解消できる程度の見込みの欠損金なのかどうか、その辺りをちょっとお聞かせいただければというふうに思います。
【阿曽沼分科会長】  御回答は主査からで、よろしゅうございますか。
【河野臨時委員】  御質問、ありがとうございます。現状の積み上がっている欠損の内容ですが、砂糖勘定では、21砂糖年度では累積欠損が659億円、22砂糖年度が330億円、それから23砂糖年度が200億円ということで、改善はされてきております。
【河村臨時委員】  これを読むと、「一般競争入札の導入による借入金利の低減を行うことにより」ということは、やってないわけですよね。
【河野臨時委員】  はい。
【河村臨時委員】  今、どこから、どういう形でお金を借りているのかという、その金利設定はどうなっているのかということをお尋ねできればと思います。
【河野臨時委員】  現状の資金をどこから調達しているかということでありますが、誠に申し訳ありません。手元に資料がございませんので、今確認させていただきます。どこから欠損が賄われているかということについてですね。
【河村臨時委員】  欠損がどこから賄われているのかではなく、お金を借りる形で回しているのであれば、どこからどういう形でお金を借りているか、すごく大事なことだと思いますので。
【河野臨時委員】  ええ、運営資金ですよね。
【河村臨時委員】  ええ。民間から借りているのですか。
【河野臨時委員】  それも含めて、誠に申し訳ありませんが、確認の上、御返事させていただきたいと思います。
【河村臨時委員】  では、よろしくお願いいたします。そこがはっきりしないと、何かこちら側の論点として、競争入札の導入による借入金利の低減が、果たしてどれだけ効果があるのかが、よく分からないところがあるので、それだけの手段で、簡単に当該累積欠損を早期に解消すべきではないかというふうに言えるかなという感じもするものですから。よろしくお願いいたします。
【河野臨時委員】  はい。
【阿曽沼分科会長】  では、岡本委員どうぞ。
【岡本臨時委員】  自分の担当したところで、ちょっと問題提起的に申し上げたいのですけれど、先ほど鈴木主査のほうからお話がありましたけれども、あるいは事務局のほうからもありましたが、例えばの話ですけれど、造幣局、国立印刷局、この2法人につきましては、いろんな数値的なデータが、貨幣あるいは紙幣の偽造防止ということによって開示されてないという状況で、事務局のほうから財務省の事務方に通して要求しても、返ってこないという状況がありました。にもかかわらずという言い方のほうが良いと思うのですが、主務省の評価委員会では、その点に関して、どのような評価をなされているかというのが非常に疑問に思っているわけですね。
 で、例えば手元にあります独立行政法人評価年報の平成22年度版を見て、例えば造幣局のところについては、総合評価というところが118ページにありまして、読みますと、当年度は経費縮減に向けた取組をはじめとする事務及び事業の見直し云々が、これらの課題に着実に取り組んできたということが書いてあるわけです。果たしてそういうことがチェックできているかどうかというのは、我々の資料要求に対して、全然データが開示されてなくて、どういうふうにここが判断をされてきたということが、非常に疑問に思ったということです。
 申し上げたいことは、どのようなことが主務省の評価委員会で議論がされて、どうしてこういう評価になっているかと。それに対してチェックをかけようとすると、データが出てこないというような状況の中で、果たして我々としてはどうしていったら良いかということを結構議論したというところで、補足の補足として申し上げたいということです。
 もう一つ、経済産業省のほうでも申し上げますと、例えばJOGMECに関して、これはどう考えるかということで毎回議論になるかと思いますが、この政独委というのがどこまで政策に関わっていけるかということで、物が申せるかということに関わってくるかと思うのですけれども、JOGMECというのは探鉱で成功したということに彼らのミッションがあるとするならば、そこに至る成果というものがあまり開示されていない中で、その周りのことについて結構評価がされている。実際に、やるべきことが違うのではないだろうかと。
 IPAに関しても、IPAのセキュリティというのは非常に大事だと思いますが、本当にIPAというのが存在して、情報セキュリティが担保されているかどうかというところが、なかなか疑問に思うような状況で、独立行政法人として業務が行われていると。そこが果たして、今のままの形でいいのかどうか、非常に疑問になったので、そういうことを第2ワーキングの中で結構議論をさせていただきました。
 ただし、この点については、確かに政策ツールとしての独立行政法人であり、主務省の政策の中の範囲でしょうから、我々としてはどこまで言えるのかが、非常に毎回、歯がゆい思いをしていると。そこをやはり、一般的な共通の認識として、第2ワーキングの中では議論をし、問題として認識をしているというような感じというのを意見として述べさせていただきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。この財務省の2法人については、かつて私もワーキングの担当していた経験もございますし、経済産業省も経験させていただきましたが、岡本委員がお思いになっていらっしゃることは、委員のお一人お一人が常に思っていることなのだろうと思います。今後、その委員としての思いと役割とのギャップを埋めていくのかというのも、委員の方々、そして事務局が常に問題意識を持って継続的に議論をしていくということが重要であると思いますし、あれをやりました、これをやりましたと、実施した事の報告があったときに、その実施した内容をどう評価するかに関して、評価に値する目標であり、その結果の具体的かつ客観的なエビデンスが示されないと透明性が確保できないということもあろうかと思います。なかなか難しい問題ではございますけれども、今の御提言を、委員の方々、事務局の方々が深く受けとめていきたいと思っております。
 何か、追加の御報告ありますか。では、よろしくお願いします。
【武藤評価監視官】  先ほど、河村先生から御質問のあった点につきまして、累積欠損の額ですけれども、砂糖年度という年度を使っていますが、21砂糖年度が659億円、22砂糖年度が334億円、23砂糖年度が200億円で、徐々に減らしてきてはいるという趨勢にございます。
 もう一つの御質問の借入先でございますが、これは民間金融機関でございます。二つの金融機関でございまして、これは財務諸表にも載っておりますので、言っても構わないと思いますが、信金中央金庫と百十四銀行、それぞれ、約半分ずつぐらいで短期借入をしているという状況にございます。金利は、実際何%で借りているかというのは、ちょっと今は分かりませんが、それぞれ、相対で契約しているものと思います。
【阿曽沼分科会長】  河村委員、どうぞ。
【河村臨時委員】  ご回答ありがとうございます。そうすると信金中金と百十四銀行ということで2行から借りているということなのですけれども、ちょっと具体的にどういう金利でということが分かりませんけれども、この2行からどういう条件でお金を貸してもらっているかわからないですけれども、ここで書かれているように、一般競争入札の導入によって、借入金利の低減の余地というのがどの程度あるでしょうかね、という気がするのですね。それは競争入札をガチガチやれば、銀行の側も悲鳴を上げてという話もいろいろ聞きますし、下がるかもしれませんけれど、それだけが一つのこちらの対案というような形で、それで、累積欠損を解消できるような手段に果たしてなるのかなという感じがいたします。
 だからやはり、もっと別の、踏み込んだ欠損金の対策、解消のための対策を、考えていくことも場合によっては必要なのではないかなと思いました。
【河野臨時委員】  よろしいですか。今の御意見を踏まえて、またワーキングで検討をしていきたいと思います。民間金融機関からの借入を減らすということだけでは不十分だという御指摘でございましたので、検討させていただきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  はい。ありがとうございました。それでは梅里委員、どうぞ。
【梅里臨時委員】  ちょっと確認なのですけれども、法人の統合の可能性というのは、どこでどういう形でフォローしていくかということです。何回か出ている話なのですけれども、この分科会では、ワーキングに分かれているので、府省を縦割りで見がちだというところで、横の関係が、なかなか目が届きにくいという面が前からあったわけですけれども、今回も、見直し法人ということで、中期目標の終了のものをピックアップしているので、府省内でも、法人全体を通じて類似した機能を持っているかどうかというチェックはかかりにくいという、そういう要素はあるのですけれど、その辺について、全体的に今必要な法人であるのか、それが統合の可能性はないのかというようなことは、どこでどういう形で確認をしているのか、あるいはこの分科会は、それにどういうふうに関与すべきなのかということについて、ちょっと確認をしたいと思うのですが。
【武藤評価監視官】  統合につきましては、資料1−2の表の右端に書いてあります、平成24年の基本方針というところで、個別に、既に、閣議決定という形で、どの法人をどういうふうにするというのが決まっております。今回の資料にちょっとお付けしておりませんが、閣議決定としてございますので、それを契機にフォローアップをしていくということになると思います。現在、独立行政法人通則法の改正法案が国会提出されているという状況で、個別法というのは次期、来年の通常国会に出していくということを念頭に、作業が現在進められているところでございます。お答えになっていますか。
【梅里臨時委員】  はい。ということは、この分科会では、それにのっとって進むので、あまりそこは意識しなくて大丈夫だということですよね。
【武藤評価監視官】  そうですね。政府方針としては、この基本方針が、現在のものと認識しております。
【梅里臨時委員】  で、一定程度の時期に、何らかの形で、再度、また見直すことになるだろうという考え方でよろしいでしょうか。
【武藤評価監視官】  それは当然、そういう形になってございます。
【梅里臨時委員】  ありがとうございます。
【阿曽沼分科会長】  各ワーキンググループの議論の中でも、当然過去に法人の統合をしたり、本省・庁に事務・事業が戻ったりとか、いろいろな結果が出ているわけです。それはきちんとフォローしていくべきということで、議論をこの分科会でも行ってきております。その中で、例えば他の府省の状況を勘案し参考にしながら、いろいろと御質問いただき、視点を変えていただくなど、各ワーキングの中で議論していただくことが引き続き重要ではないかと思います。その意味で過去の事例を踏まえながら、もしくは、必要に応じて事務局で御確認をいただきながら、議論を深めていっていただきたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。大変重要な御指摘、御意見が出てきたと思いますので今後のワーキングにおけるいろんな御報告を踏まえて、いろいろ御討議をいただきたいと思います。
 それではただいまの報告につきまして、大体よろしいでしょうか。
 それでは次に、第3、第4、第5ワーキンググループの担当する見直し法人につきまして、引き続き事務局のほうから御報告をいただきます。
【北川評価監視官】  第3ワーキング、第4ワーキング、第5ワーキングの状況の御説明でございますが、三つのワーキング、それぞれ、各法人について、主務省・法人からもヒアリングいたしまして、その場でも、こちら側の問題意識を示し、追加での情報提供を求めるなどして、引き続き、論点についてやり取り、精査をしておるところでございます。
 10ページ以降でございますが、主な議論、論点ということで、論点はこれに尽きるものではございませんが、特に主要なものの御紹介でございます。まず10ページ、日本学術振興会でございますが、この法人はもとより、科研費を配るというのが最も主要な業務でございまして、併せて、若手研究者の養成、学術国際交流等々をやっておるということでございます。議論でいきますと、1点目として、学術研究の助成でございますが、文部科学省本省においても一部やっておられて、振興会のほうでも多くを担っていただいているわけですけれども、この点について、文部科学省のやるもの、振興会のやるものについて、どういうふうにすみ分けているのか、更に一層の一元化、統合ということを考えていくべきではないのかということ、そして、大くくり化も進めまして、この助成業務の効率化と、受ける側の利便性の向上というのを図っていくべきではないかという論点であります。
 2点目としては、学術システム研究センターでございます。これは振興会に置かれる、大学等の第一線の研究者の方を集めまして、科研費の審査採択や、国際交流、若手研究者の養成等々、振興会の業務を広くチェックし、提言や評価をするという機関でございますが、その学術システム研究センターが実際にどのようなチェック、審査・評価をしているのか、その模様を情報開示していくべきではないかということでございます。
 それから3点目、学術国際交流事業でございますが、これは、これまでの事務・事業見直しの基本方針でも、廃止縮減を含め、整理合理化の方向でということでございますが、今も展開されていますプログラムを見ましても、非常に数多くのプログラムを展開されており、重複的に見えるものもあれば、必要性について精査する必要があるのではないかというものも見受けられ、国際交流の各事業の一層の整理合理化を図っていけないか、精査していただいているところでございます。
 次に、理化学研究所とJAXAがございますが、どちらも研究開発型の法人になるということもありまして、この2法人についての議論はある程度パラレルになっております。まず理研の1点目でございますが、科学技術政策全体の中における理研の位置付けや成果の還元について、明確かつ具体的な目標、定量的なものを設定していくべきではないかということでございます。現在の目標を見ましても、国策とどういう関係付けをもって、何をいつまでに、どこまで目指すのかが国民から見て分かりにくいのではないか、そこを明確にするべきではないかということです。
 2点目は、保有特許の有効活用を一層進めるべきではないかということでございます。3点目は、理研、JAXAに共通する内容でございますが、各地に研究所や事務所、設備を展開しておりますけれども、管理部門の統廃合や現施設の共同利用の促進等を推進すべきとしているところでございます。
 12ページ、JAXAでございますが、3点目は、理研と同じでございます。1点目は、国の政策の中で、JAXAの担うべき機能をより明確にし、そこから導かれる目標をより明確に設定していくべきということでございます。宇宙開発政策におきましては、内閣府設置法の改正もなされまして、宇宙政策の司令塔機能を一層強化していくために、内閣府に宇宙政策委員会が設置されることになりました。国策として宇宙開発を推進し、民間の視点をより一層活用して推進していく中で、JAXAは技術的に宇宙政策を中核として支えるものでございますが、そういった政策動向も踏まえて、より明確な中期目標を設定していくべきではないかということであります。
 2点目は、JAXAは宇宙開発のほかに航空技術の研究開発もやっておりますが、前回の勧告の方向性でも指摘しておりますように、航空技術分野については、民間でできるものは民間にと整理してございまして、今回もその進捗を精査しつつありますが、民間への技術移転を推し進め、重点分野以外については順次廃止していくべきではないかということで議論いただいています。
 続きまして、14ページですが、文部科学省のスポーツ分野と芸術文化分野における箱物と助成をやっている法人でございます。まず、日本スポーツ振興センターですが、代々木の体育館などの施設を保有しているわけですが、そこで一例として、ネーミングライツもありますが、施設管理のできる部分は民間委託を更に進めて、自己収入の拡大や業務の効率化を一層図っていくべきではないかという観点で精査しております。
 それから2点目として、スポーツ振興助成事業についてですが、これはtotoの収益の一定部分を、地域のスポーツ振興等に配分するという事業でございますが、これの審査・採択のプロセスの透明性の向上と、それから配り切りなりがちなところでございますので、その効果というのも適切にフォローして、PDCAサイクルを回していくべきということであります。
 3点目は、ちょっと細かい話ですけれども、国から移管されました登山研修所というのが1箇所ございますけれども、これの民間委託というのを進めるべきではないかという論点でございます。
 続きまして、日本芸術文化振興会でございますが、まず1点目として、伝統芸能伝承者の養成と舞台芸術の実演家の研修という人材養成事業でありますが、これをこの法人がやることの意味、効果というものを精査しているところでございます。民間ではどういうことをやっているのか、この研修の修了者がどれほどその後活躍しているのかということを見ながら、真に必要なものに限定していくべきではないかということでございます。2点目は、助成事業について、これも芸文振と文化庁と両方から助成金が出ておりまして、芸文振のほうが多くを担っているところでございますけれども、文化庁でも若干のことをやっておられる。その統合・一元化や、何らかの重複の整理を図るなどして、業務の効率化を推進していくべきではないかということでございます。3点目は、施設の管理運営ですが、新国立劇場と国立劇場おきなわについては、財団に委託してございますけれども、その費用の構造というものも精査いたしまして、国が直轄で管理運営しているほかの国立劇場等と比べてどうなのか、委託費を含め、運営の効率化を図るべきではないかということでございます。
 16ページ、第4ワーキングでございますが、ここは国土交通省ということで、インフラ系の特殊法人から移行した大きな法人が幾つか入っております。まず、鉄道建設・運輸施設整備支援機構でございます。16ページでございますが、ここにつきましては、1点目、鉄道運輸機構は合併法人でございまして、鉄道の建設の部分と内航海運の部分と両方ございます。この内航海運の部分でございますが、船舶を機構と業者で共有して建造するという業務と、それから内航海運の活性化融資業務、これは船舶の需給を調整するという暫定措置事業に関連して融資するものでございます。この内航海運の在り方について、政策的な検討が今進められているところでございまして、代替建造の促進、内航海運暫定措置事業の早期の解消を図っていく中で、機構がいかなる役割を果たしていくべきかということについて検討して、その姿を次期中期目標に明記すべきではないかということであります。2点目は、この法人、国鉄清算事業も継承しておりますけれども、この国鉄清算事業の東日本支社、西日本支社と、鉄道建設本部の支社がそれぞれ東京と大阪にございますので、そことの統合というのも検討すべきではないかということであります。3点目は、基礎的研究業務は、国で以後実施するということになりますが、国に戻すに当たっても、機構がこれまでやってきた第三者評価のノウハウを活用する仕組みを持っていくべきではないかということであります。
 それから17ページ、国際観光振興機構でございますが、まず1点目に、先ほどもございましたが、統合の話のある法人でございまして、今年の1月の「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」の閣議決定では、国際交流基金との統合あるいは連携強化ということについて、今年の夏までに結論を得るということになっております。それが今、議論されておるところでございまして、外務省、国土交通省の両政務官、両法人の長を入れました検討会議で検討されておるところでございます。そこの結論も見つつ、今後の姿というのを次期中期目標に反映していくべきということでありまして、ここはもう少し様子を見ているところでございます。それから2点目、海外事務所でございますが、さらに海外現地に資源をシフトしていくという観点で、効果的な人員配置とすべきではないかということであります。3点目に、ビジット・ジャパン案内所というのを指定して、支援するという業務の効果が明確ではないということで、整理の方向で見直すべきではないかということです。また、通訳案内士の試験の代行実施事務を担っておりますが、これも他の主体に移管していくべきではないかということであります。
 続きまして、水資源機構でございますが、まず1点目に、ダムの新築を以後行わないということでありまして、今後は既存のダム等の施設の維持管理が、機構の中心になっていくということです。その維持管理業務も、安定・利害調整といった部分に直結しない業務や単純定型業務について、民間委託の拡大を図るということでございますので、そういった状況を踏まえまして、維持管理業務を中心とした業務体制にしていき、その職員・人員体制も、それに沿ったものにしていくべきということであります。それから2点目に、機構は、総合技術センターを持っておりますが、ここは、水に関する実務型シンクタンクとして、調査研究をやっておりますが、これはほかにも水に関する研究機関がございますので、この法人としてやっていく必要性について検証すべきではないかということで議論しております。
 次のページ、空港周辺整備機構であります。これは伊丹と福岡の空港周辺の騒音等の対策をやっておりました法人ですけれども、伊丹の部分は、新関空会社に移管するということでございまして、福岡だけが残っているということで、人員のほうも大幅に減少しております。福岡のほうも、国管理空港の運営の民間委託等を進めていく流れの中で、福岡空港の運営の民間委託等もしていくということです。その際には、福岡空港周辺の騒音等の対策も、この独法ではなくて、新しい空港運営主体に移管するという方向性がありますので、新たな空港運営主体への移管までの間、粛々とスリム化というのを図っていくべきということを議論しております。
 続きまして、日本高速道路保有・債務返済機構でございますが、高速道路を東日本や西日本、中日本等の高速道路会社とこの機構とで上下分離して、高速道路を機構が保有し、それを高速道路会社に貸付けて、高速道路会社から貸付料を得て、機構のほうで債務を返済し、45年で債務を完済するという仕組みになってございます。確実に債務を完済するということが存在意義の法人でございます。この機構と各高速道路会社との間で、貸付料等の諸々の条件について協定というのを結んでおります。この協定をおおむね5年ごとに見直しをするということにしておりますけれども、昨今の経済情勢の変化、金利等の動向ですとか、あるいは高速道路会社の利益状況等々の変化ということを見据えますと、この協定の見直しというのを検討する基準も、より明確に定めるべきはないかということでございます。おおむね5年という見直しの期間も長いのでないかというような意見もいただいております。2点目に、貸付料の設定についてですが、機構の職員の構成が、高速道路会社からの出向の方と、国等からの出向の方で成り立っており、協定を結ぶ双方に、高速道路会社の方が入っているというようなこともありますので、利益相反というようなことが生じないような仕組みを導入していくべきではないかということでございます。現状では、国土交通省が、貸付料等々を認可するということでチェックはしているということですが、更に工夫を加えていけないかということで、その辺りを更に精査していきたいということでございます。
 次は第5ワーキングでございます。まず内閣府の北方領土問題対策協会でございます。規模からすると、非常に小ぶりなところでございますが、北方領土問題に対する国民への啓発等をやっておるというところでございます。北方領土についての国民、中でも若い人の関心、周知というのがなかなか近年上がらないということでありますので、若い層への働きかけというのを検討して、より効果的な啓発を行うべきではないかというようなこと等を議論していただいております。
 続きまして、国民生活センターでありますが、今年の基本方針で、平成25年度を目途に国に移管するという方向性が決まっておりまして、その中で、具体的にどのように移管していくのか、どういった機能をどう活かしていって、消費者庁の機能とどういうふうにうまく融合していくかということにつきましては、内閣府の副大臣のもとで検討会が行われていまして、8月に結論を出す予定ということであります。その状況を見つつ、右から左への移管ということにはならないように、真に必要な機能をスリム化して持っていくべきという議論をしております。また、PIO−NETの運営を、一層改善していくということで、やっております。
 続きまして、勤労者退職金共済機構でありますが、これにつきましては、退職金の未請求者がたくさんいるということでありまして、その未請求者を減らしていく取組を一層強化すべきであるということで、時効の援用というのも検討すべきではないかということであります。現在、時効は援用せずに、いつでも、未請求者が来たら、退職金を払っておるわけですけれども、そういったことも含めて検討すべきではないかということです。
 次は23ページの高齢・障害・求職者雇用支援機構でございます。これはご承知のように、高齢・障害者雇用支援機構に、昨年の10月、雇用・能力開発機構が統合してできた法人でございまして、障害者関係と高齢者関係と職業能力開発関係3系列で成り立っております。大きな陣営、組織体制を持っておりまして、地方におきましても、高齢者、障害者系列でも各県にあり、職業能力開発のほうでポリテクセンターが全国61箇所ありと、地方に厚いネットワークを持っているという状況であります。ここは高齢・障害者雇用支援機構と雇用・能力開発機構の合併によるシナジー、統合の効果というものを一層出していくべきだということでございまして、いかに融合させ、スリム化させていけるかということについて、またその地方のポリテクセンターの移管等の状況というのもなかなか芳しくないようでございますので、今後こういったことを促していくという議論でございます。
 続きまして、24ページと25ページの福祉医療機構でございます。これは、医療と社会福祉の分野における政策的金融を中核に、経営診断や福祉施設の方の退職手当等の業務を行っているところでございますが、主要な論点といたしましては、福祉医療貸付について、資金のニーズが、この分野、高くなってきているという中で、今後、この法人の民間金融機関の補完的役割ということを一層発揮していくべきではないかと。民間との協調融資をさらに推進する等々により、補完性という観点を重視していくべきではないかということでございます。
 最後のページ、26ページでございます。国立重度知的障害者総合施設のぞみの園でございます。群馬の高崎に1箇所ございますが、法人の在り方について、こういう重度の障害者の方について、終生保護という考えから、地域移行、自立促進という流れに変わってきている中、この施設も入所者を減らしてきております。今後どうしていくのかということで、そのビジョンを描いた上で、それに応じた組織人員を配置していくべきではないかということで、御議論いただいております。
 最後に、日本私立学校振興・共済事業団でございます。この法人は特殊法人ですが、私学に対する助成の事業と共済の事業と2本建てでありまして、その助成事業は独法型の管理をするということになっておりますので、政独委としてもチェックするということになっております。この助成事業、大きなところでは、私立大学への補助金でございますが、少子化等の影響によって、私学の経営状況というのが非常に厳しくなっていく中で、私学の経営改善を促すといった観点から、補助金の配分に当たってのメリハリ付けを一層厳しくしていくべきではないかと。また、私学の質的向上に向けた特別補助の充実を図るなど、大学改革、国の政策の重点の方向に促していくような、メリハリある配分を行うべきではないかといった御議論をいただいているところでございます。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  それでは、今の事務局の説明に加えまして、第3ワーキングの柴主査、第4ワーキングの山本主査、そして第5ワーキングの縣主査の御発言がございましたら、よろしくお願いいたします。
【柴臨時委員】  第3ワーキングの柴でございます。文科省は、資料1−1にございますように、6法人が今回対象になっておりますが、第3ワーキングでは、そのうちの5法人について議論を行いました。今、北川監視官から、かなり詳しくお話がありましたので、話に出てこなかったところだけ申し上げたいと思います。
 一つは、理化学研究所でございますが、理化学研究所の研究プロジェクト、あるいは研究テーマのスクラップアンドビルドが、どういう考え方で行われているのか、また、研究プロジェクト終了等により、そのプロジェクトに従事していた研究員のその後の進路が不明確であるということでございます。外から見ていると、一つの研究プロジェクトが終わると、それに類似したような新たなプロジェクトが設けられ、研究員は任期制研究員でございますので、そのまま新たなプロジェクトの研究員へ移行するような形になっているのではないかということが出ておりました。これについては、これからも議論していく必要があるだろうということでございます。
 それからJAXAにつきましては、先ほどお話ありましたが、航空技術の開発等について、かなり長期的なものを文部科学省ではターゲットにして行っているという話がございましたが、これは民間でもこの分野の研究をやっているのであれば、きっちりと役割分担を明確にして、JAXAが担うものと、それから民間が担うものを分けて、JAXAにしかできないものに限定してやるべきではないかということでございました。
 次に日本スポーツ振興センターにつきましては、先ほどちょっと出ました登山研修所について、本当に役割として、登山研修所が機能しているのか、あるいは登山だけに限定して研修を行っているのはなぜなのかというようなことについて議論がございました。それから先ほどのお話に無かったのですが、スポーツ振興のための各地方でのスポーツイベント等に助成事業を行っておりますが、約3,500件の申請があるのですが、この内の97%とほとんどが採択、助成されているということです。その辺のところに関して、どのような審査を行っているのか、あるいはその効果をどう検証しているのかということについて、文部科学省とも議論をしたところでございます。効果の検証については、文部科学省のほうから、なかなか難しいというお話だったのですが、これもやはり、きっちりとその効果を検証すべきではないかというお話が出ました。
 それから日本芸術文化振興会でございますが、特に歌舞伎について、いろいろな議論が出ました。歌舞伎について、この振興会が目的とするものとして、例えば若手の人を養成することがありますが、歌舞伎というのは特殊な世界の中で、一門以外で主役を養成するというのは非常に難しいような状況になっており、その辺について、本当に国費を投入する必要があるのかどうかということが議論になりました。あとは、先ほどお話が出ました、新国立劇場と国立劇場おきなわについての財団法人への委託でございますが、これは随意契約で行われており、委託費がかなり高止まりしているのではないかということで、これについて、やはりきっちりと見直しをしていく必要があるだろうということでございました。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  はい、ありがとうございました。次に山本主査どうぞ。
【山本臨時委員】  第4ワーキングでは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構については監視官から御報告もあったのですが、平成19年度の勧告の方向性を受けて、船舶共有建造等業務についての融資についてかなり見直されて、見直し後の未収金は増えてないということなのですが、いずれにいたしましても、巨額の繰越欠損金がまだ残っていますので、これが順調に解消されていくかどうかについては、継続してワーキングとしても見守っていきたいというふうに思っております。
 次に、国際観光振興機構については、海外事務所のほかの国際業務型法人との共用化つきましてはかなり今見直しがされていて、8月一杯には方向性が出るということなのですが、これについても報告を受けて、我々としても、意見があれば申し上げたいと思っております。一番の問題は、通訳案内士試験業務の受託事業なのですが、これはかなり業務収支の赤字が続いているというか、それもかなり方向性が悪くなっているものですから、これの抜本的な改革等がやはり必要ではないかというふうに思っております。
 水資源機構につきましては、これから維持管理が中心になっていくということなのですが、維持管理が中心になっていけばいくほど、どこまでが完全に民間委託できるかどうかの考慮が必要になるのではないかと。いずれにしても、ノウハウなり、技術の根幹にかかわる問題、あるいは洪水調整とか利水等の利害相反等もあるものですから、そこら辺については、ヒアリングにおいても、なかなか難しいという意見もあったのですが、その切り分け等につきましても、我々としてさらに精査を進めていきたいと思っております。また、事業検証中のダム等にかかる施設があって、その検証の間の当該事業所における体制等については、一応ヒアリングでも確認したのですが、継続して、そういう事業検証中の職員の体制の在り方とか、あるいは本省との関係につきまして、さらにもう少し精査を進めてまいりたいと思っております。
 空港周辺整備機構については、北川監視官からの御報告のとおり、現在では福岡空港事業本部のみとなっていて、それも新たな空港運営主体に移管されるということですので、順調な移管になるかどうかについて、継続的に見守っていきたいと思っております。
 日本高速道路保有・債務返済機構につきましては、一番微妙な問題は、きちんと債務を返済していけるかということです。これについては、ヒアリングで、一応金利を4%でシミュレーションをやって、大丈夫だと言っているのですが、それについてさらに精査が必要だと考えております。あと、特定の財団法人から、別の法人でも御質問があったように、若干、2%を超える金利で借りて資金調達しているものがあるものですから、これについては、細部について、今資料要求をしておりますので、この結果を得て、さらにその債務管理、あるいは資金調達の方法について精査をしてまいりたいと思っております。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。続きまして縣主査、お願いいたします。
【縣臨時委員】  第5ワーキングでは、内閣府所管1法人、消費者庁所管1法人、厚生労働省所管4法人、及び文部科学省所管1法人を担当しております。これらのうち4法人に関しまして、ごく簡単に言及いたします。
 国民生活センターですが、これは元来、特殊法人であったものが、いわゆる移行独法として独立行政法人化されたものであります。来年度をめどに国に移管されるということでありますが、その移管先が、例えば内閣府本府であるのか、消費者庁であるのか、あるいはほかの組織であるのかということが、明確になっておりません。これによって業務運営も変わってくるであろうと考えられます。したがいまして、移管方針が決まった上で、業務規程と運営方法を抜本的に議論していただきたいと考えております。
 それから勤労者退職金共済機構でございますが、ここは退職金の未請求者への取組というのが、従来からの課題でございます。10年、20年といった、退職金の長期未請求者をなぜ放置しているのかという疑問や、未請求者1人当たりの金額や年齢構成などについて、実態を細かく把握した上で、対応を検討すべきであるという意見が出ております。退職金支給の可能性の低い方々が相当数いるのではないかと考えられますので、この点について実態を把握し、時効の援用なども視野に入れて、未請求者対策について、さらに検討を進めていきたいと考えております。
 それから、高齢・障害・求職者雇用支援機構でありますが、これは先ほど説明がありましたように、二つの独立行政法人を昨年の10月に統合しております。統合によるスケールメリットが本当に図られているのか、つまり業務内容の実質的融合が、本当に図られているのかということについて、ワーキング内ではかなりいろいろな議論が出ております。この点を、今後よく観察していきたいと思います。また、この法人は、地方施設が非常に多いというのが特徴でございます。ポリテクセンターの名前が出ておりますけれども、これまでも地方への移管が指摘されていますが、ほとんど進んでおりません。二つの組織の統合の結果、同一県内、同一市町村に、複数の地方施設が散在しているということが見られますので、一層の整理、合理化というものを検討していきたいと考えております。
 最後に、日本私立学校振興・共済事業団でございますが、国からの補助金を私立大学等に交付する補助事業では、私学に経営改善を促すためのシグナルを発する目的で、定員充足率といった指標による補助金の削減措置等を講じております。少子化等の影響により、今後私学の定員割れや収入の減少等が予想されますので、私学事業団として、どのような事業運営を行い、私立学校の経営基盤強化を図っていくのかということについて、さらに議論を重ねて観察していきたいと考えております。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは事務局からの報告、各主査からの御指摘を踏まえまして、17法人ございますが、御意見などございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。どうぞ、瀬川委員。
【瀬川臨時委員】  文部科学省所管の日本学術振興会について、ワーキングの議論を少しお伺いしたいのですが、現在、文部科学省が行っている科研費の事業を学術振興会に「一層の一元化」という記載がございますけれども、一方、文部科学省所管の科学技術振興機構、いわゆるJSTも同じように研究費の助成等の業務を行っております。こちらとの一元化はどういうふうに議論されているのでしょうか。
【阿曽沼分科会長】  回答は事務局から、よろしいですか。
【北川評価監視官】  まず、学術振興会のほうは、研究者の自由な発想に基づく研究の多様性の確保ということで、一方、JSTのほうは、上からの国策の研究、トップダウンでの研究成果を設定して成り立つものであるということで、そういうふうに見ております。こちらの学術研究の助成について、文部科学省のほうでは新学術領域研究として、異分野連携や、新領域形成、挑戦的研究などの推進というような、新領域というものを開拓していくようなものについて出しているということなので、特にワーキングでは、これと学術振興会の助成との関係について議論しているところです。
【瀬川臨時委員】  ちょっとよろしいですか。個別の細かい話を聞いているのではなくて、ワーキングの中で、「一層の一元化」を図るということについて、科学技術振興機構が所管するものについてはどのように扱うのか、あるいは、そのことに対する議論がなされているのか、なされていないのかという質問をしているのです。
【北川評価監視官】  すみません。学術振興会とJSTとの間の話は、あまり議論されてなかったように記憶しております。
【瀬川臨時委員】  お書きになっている第1項目の趣旨が、研究助成業務を集約して、効率化するというような発想で、この項目が出ているのであれば、当然、科学技術振興機構が扱っているものについても、同じ土俵に上げて議論されてもいいのではないかというのが、私の発言の趣旨です。
【阿曽沼分科会長】  何か、今の点について御意見ありますか。
【北川評価監視官】  今の御指摘を踏まえて、精査してまいります。
【阿曽沼分科会長】  柴主査、どうぞ。
【柴臨時委員】  ここに出ている問題は、同じ科研費で二つの法人で、文部科学省と、なぜやっているのかということで、文部科学省のほうでは、まだ領域が固まっていないものについて担当しています。最終的には、日本学術振興会のほうに全部持っていくということだと思うのですけれど、そういう答えを文部科学省のほうからいただきました。両方に分けている、科学研究費の中で分けている分野の中でですね。それからJSTとの問題については、これはおそらく、理化学研究所との問題もあると思うのですけれど、国策としての研究を、理化学研究所は一つの国の研究所として、お金を落としているということで、JSTのほうは、大学等にお金を落としているということだと思うのですけれど、学術振興会と、JSTの問題について、どうするかという問題については、まだ議論をしておりません。
【瀬川臨時委員】  そこはしっかり見ていただく必要があると思います。なぜかと言うと、実は科研費も科学技術振興機構の研究費も、配分先の多くは大学や国立研究機関です。それからトップダウンの戦略型の研究ということであっても、大抵の場合「提案公募型」で研究者のほうから、個別のテーマを戦略目標に合わせて提案をして、それを審査して採択をするという手順で、その手順自体はかなり似通っているのです。そこをしっかり見ていただいて、本来、効率的に業務運営するにはどうすればいいかというのを、是非御議論いただきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。これは、研究費を受ける側からしても、大変煩雑な作業というのは一杯あると思いますし、基本的にその使い勝手をよくして、研究の助成に資するということが、今非常に重要な論点として議論になっているのだろうと思います。大変重要な御指摘でございますので、今後更に御検討いただくということで、よろしくお願いいたします。
【岡本臨時委員】  私、文部科学省の独立行政法人評価委員会の、理化学研究所の作業部会の主査をやっているのですね。そういう意味では、発言権がないのかもしれませんが、理化学研究所についてどういうことをお考えになっていらっしゃるのか、11ページの1)に書かれている内容についてお聞きしたいと思います。理化学研究所の使命や位置付け、その他いろいろなものを、国民から分かりやすいものとなるよう、明確かつ具体的な目標を次期中期目標に設定すべきではないかというところなのですけれども、主務省の評価委員会側では、こういう問題意識と同じ問題意識に立って、議論をしております。しかし、これは理化学研究所だけではなくて、いわゆるこういう研究機関における目標設定の在り方は現場とも議論しておりますが、非常に悩ましい問題であって、他方、明確かつ具体的な目標を設定すべきだという議論は、そのとおりだと思うのですが、なかなか一刀両断に、こうすべきだという方向には、むしろ私はならないのではないかなと、最近思うようになりまして、あるべき姿が見えないのですね。他方、私も政独委のメンバーとして、今ここで議論しておりますので、政独委としてこういうふうに出されるということであれば、皆さん、ワーキングの中でどのような議論で、こういう記述をなされたかというのは、むしろ、主務省側にも、私は還元していきたいと思うし、あるべき目標設定があるのであれば、むしろ、良い方向に持っていかなければならないと思います。
 これだとすると、例えば論文の数だとかいろいろな数で、あまり研究内容にそぐわないような目標設定を今までしがちだったものですから、その辺の御議論の過程、あるいはこういうことをあえて指摘されていらっしゃる背景を御説明いただければなというふうに思いました。
【阿曽沼分科会長】  それでは、柴主査のほうからお願いします。
【柴臨時委員】  実際に、理化学研究所における目標設定につきまして、理化学研究所でどのように研究テーマや中期長期計画のテーマが決められているかということについては、パンフレット等だけではなかなか分からないところがあるわけです。先日、ヒアリングでお聞きしたときには、ある程度我々には分かったのですけれども、やはりそういうものを、もっとオープンに知らせていくべきだろう考えてございます。
 それから、先ほどの議論でもそうなのですけれど、JSTは、去年、独法分科会で同じようなお話が出たのですけれども、各々が別々にやっていくと、理化学研究所も含めて、なかなか一つの日本の研究のテーマ、あるいは日本の国費を投入している研究を、どのような形で決めていくのかということについて、なかなか今一つの方向性というのがないのではないかなという気がします。ですから、JSTはJSTで出す、理化学研究所は理化学研究所の中で決めていくという形になっていますので、これをどこか、何かの形で、方向性をきちっと決めていくという、方向性も必要なのではないかなということでございます。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。大変大きな課題だと思います。助成を受けている友人の研究者に、この点について聞くと、いろいろなところから、いろいろな予算が来て、それぞれの書類を書くのだけはうまくなったよと苦笑しながら言っています。研究活動の中で事務処理やその確認チェックの時間がとれないと言っております。国が研究費を助成する上で、本当に成果に資するような形での助成を行い、その評価をする事はなかなか難しいとは思いますが、付帯的な事務作業や間接的作業を効率化する事が重要であろうと思います。各研究者の方々は、申請の段階で研究のエンドポイントを決め、その為のマイルストーンを決めて研究計画を策定し具体的に申請される訳です。しかし、その研究内容の目利きができる人たちが本当にいるのか、現実は、その申請者本人が一番目利きが効くというような矛盾もあろうと思います。大変重要なテーマでああろうかと思うと同時に、なかなかベストな方策の結論が見えない議論でもあります。ただ、我々のような評価委員会が、常にそういった問題提起をしながら議論を深めていく、また各主務省の方々と十分な意見交換をしていく、そうすることによって、少しでも整合性のとれた研究費の配分、そしてその評価の在り方が導き出されていくと良いと強く思います。ただ今の先生方の御指摘を踏まえて、さらなる御議論を各ワーキング、そして事務局が、各主務省との交渉の中で深めていってもらいたいと思います。
 ほかに、何かございますでしょうか。河野委員どうぞ。
【河野臨時委員】  18ページの水資源機構についての、1)です。水資源の開発利用ということで、当初法人が作られたのですが、現在役割がほぼ終わると言うとおかしいのですが、水資源にかなり余裕が見られるような状況になって、今後どうするかということで、維持管理という方向に向かっているわけですが、この1)のところです。業務にふさわしい体制に移行するということについて、先ほど主査から、どういうふうに維持管理をしていくかの内容によって随分異なるということが指摘されました。この役割、次の新しい役割というか、ある意味では組織をそのまま存続させるためにどうするかというような話になるのかと思いますが、ここの議論では、大幅な縮小の方向へ議論が大勢となっていくのか、あるいは、それなりに今の大きさを維持しながらやっていくのかという、そういうような議論はあったのでしょうか。
【山本臨時委員】  これは両面あります。要するに、維持管理というのは、法令的によく読むと分かるのですけれど、維持管理には実は更新が入ってくるわけですね。全く新規のやつはないというだけですから、だから新規にやるやつはもう出てこないので、いわゆる整備用の職員というのは当然減るはずだと。これは我々も分かっているわけです。問題は、更新がどれぐらいの頻度で来るのかということと、本当の意味での民営というのは、その業務がどれだけ民間委託できるか、この2点なのですね。
 これについては、今ちょっとボールを投げかけておりまして、機構としては、かなり非常に微妙なバランスの問題もあるので、民間委託にはすんなり主要な部分は出せませんという回答を得ています。ただ、そこら辺が、本当にそうなのかどうかということですね。
 それと、確かに、利害相反とか、調整の問題がありますから、そこについては、さらにワーキングで議論を深めていくということでございます。
【河野臨時委員】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。大体よろしゅうございますでしょうか。
 ここまで御指摘いただいて、新たに議論すべきこと、各委員の方々の中には、まだまだ御意見があったり、納得のいかない点もあるやに感じるような御発言もございました。事務・事業の見直しについての議論は、とりあえず、今日のところはこの辺で終了させていただきますけれども、各ワーキンググループにおかれましては、本日の議論を十分に踏まえて、引き続き御検討を深めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、事務局より報告がございます。よろしくお願いします。
【北川評価監視官】  はい。今後でございますが、例年どおりのスケジュールでございますと、各府省から、事務・事業の見直しの当初案を8月末、概算要求提出期限に合わせて出していただくということになります。その見直し当初案を、各ワーキンググループで見まして、分科会で各省からのヒアリングを行うということになります。9月中旬頃に、3日、4日程度を考えております。
 例年どおりですとそうでございますが、国会情勢が依然不透明でございまして、通常国会が9月8日までということでございますが、その中で、独法改革の法案の審議入りの見通しというのは、現時点でまだ立っておりません。そういう状況でありまして、何らかの事情により、独法制度改革法が成立しないという場合は、今やっているとおりに、粛々と見直しをしていくということでございます。今後、今国会あるいは次の国会において法案が成立いたしましたら、今年の中期の見直しの作業というのは、スケジュールを組み直し、延期していくということになります。そういった状況については、国会状況を引き続き注視しまして、逐次、御報告申し上げていきたいと思います。
 なお、毎年度の二次評価のほうは、法案と関係なしにございます。いずれにいたしましても、次回日程は9月中旬頃を目途ということとしておりまして、状況に応じまして、御相談しながら、調整させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。本件につきまして、何か御意見、御質問ございますでしょうか。
 独法改革及び周辺の行革の状況、国会審議によって、いろいろ変化をしてくるのだろうと思いますが、逐一、御報告をいただきながら、先生方の御意見を伺うということになろうかと思います。今日、ここで何か、再度、御確認なり御意見がございましたら、お受けしたいと思いますが、ございますでしょうか。
 法人格が今後変わっていくという方向感の中で、目標設定の在り方にどこまで言及できるのか、もしくは評価の在り方について、更にはそもそも二次評価の在り方等について、分科会におきましては、過去、いろんな議論があったわけであります。委員からの御指摘もございましたように、こういった議論が次のステップに活かされていくということが、毎回申し上げますけれども、必要でございますので、事務局の方々も含めて、各府省の方々と、更なる議論を深めていっていただきたいと思います。
 今日は、活発な御議論、本当にありがとうございました。大体、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ここで、5分間程度の休憩をとりまして、17時10分をめどに再開をさせていただきたいと思います。冒頭申し上げましたとおり、役員の業績勘案率につきましては非公開とさせていただきますので、傍聴の方々は御退出いただきますよう、お願いいたします。

( 休  憩 )


【阿曽沼分科会長】  それでは再開をいたしたいと思います。役員の業績勘案率についてでございますが、まず、事務局から説明をいただきます。よろしくお願いします。
【平野調査官】  役員退職金に係る業績勘案率について、御説明いたします。業績勘案率資料2−1を御覧ください。1ページ目の総括表でございますが、今回御審議いただく退職役員は、文部科学省評価委員会から0.9で通知されました、日本原子力研究開発機構の2人と、内閣府評価委員会から1.0で通知されてきました、沖縄科学技術研究基盤整備機構の3人の役員でございます。いずれの法人も、減算要因となるようなトラブル・不祥事案件等があり、担当ワーキンググループにおいて3回から4回の審議を経て、本日の分科会にかけることになりましたので、2法人の各ワーキンググループにおける審議結果について、御説明いたします。
 まず、日本原子力研究開発機構についてですが、この法人については第3ワーキンググループで御審議いただいたものですが、この機構自体は、原子力の研究開発を行っていた特殊法人の日本原子力研究所と、核燃料サイクルを確立するための技術開発を行っていた特殊法人の核燃料サイクル開発機構が、平成17年10月に統合し、新たに、原子力研究開発を総合的に実施する独法としてスタートしたものでございます。
 1人目の退職役員は、平成17年10月から副理事長として機構業務を掌理するとともに敦賀本部長として高速増殖炉もんじゅを担当し、それから平成19年1月から理事長となった方で、平成22年8月16日に退任されています。もう一人の副理事長の方は、平成19年1月から副理事長として機構業務を掌理するとともに、敦賀本部長としてもんじゅなどを担当しておられた方でございます。両人の勘案率については、文部科学省評価委員会からは0.9で通知されてきております。当初、文部科学省評価委員会から1.0で提示がありまして、一度ワーキンググループで審議し、トラブルがあって運転再開できなかったにもかかわらず、1.0というのは説明がつかないだろうということで、意見を述べる旨、伝えたところ、文部科学省評価委員会で再度審議し、今回0.9で正式に通知が来たものでございます。
 今回、勘案率の検討に際して論点となった、役員在任中に発生したトラブルは3件ありました。1件目は、平成20年3月にナトリウム検出器、これは614個あるのですけれども、そのうちの一つが誤警報を発したというものでございます。誤警報の原因は、当該機器の取付け不良によるもので、あとは、通報漏れ等もございました。取付け不良であったため、他の検出器の再点検、約4,300個の諸々の検出器の再点検をしたため、性能試験の再開が2カ月遅れております。
 二件目は、平成20年9月に発覚いたしました原子炉補助建物の屋上に設置されている屋外排気ダクトの腐食孔でございます。これは、塗装作業中に縦1センチ、横2センチぐらいの孔が発見されたもので、原因としては前回の塗装時にさびの除去が不完全であったということと、定期的に肉厚点検することになっていましたけれども、当該箇所の点検漏れがあったということでございます。腐食孔の補修工事等を行ったため、プラント確認試験等が、更に10か月遅れるということになりました。
 三件目のトラブルとしましては、平成22年5月に性能試験を再開したものの、同年8月26日に炉内中継装置が落下して、運転停止したということでございます。理事長は、事故発生前の8月16日に退任しております。原因は、中継装置を吊り上げる機械のねじが緩んでいたため炉内中継装置が落ちたということでございます。これにつきましては、トラブル発生後、速やかに通報すべきものを、1時間半を要したということで、問題になっております。
 次に、法人業績ですが、もんじゅにおいて数々のトラブルがありましたけれども、退職役員の在任中の法人業績を見ますと、A評定が大半で、S評定も少なからずあるという状況でございます。この機構全体の業務といたしましては、高速増殖炉のサイクル技術という業務とか、あとは核融合研究開発とか、高レベル放射能排出物処分技術の開発とか、量子ビーム応用研究とか、かなり諸々の業務をやっておりまして、このもんじゅに関しましては、その予算としては、全体の12.3%で、職員数としても、全体の6%ということでございます。
 ワーキングでは、もんじゅについていろいろなトラブルがあって、性能試験を進めるという目標を達成できなかったということで、法人業務は良好とは言えず、減算すべきかどうかということで議論になりました。結論としては、もんじゅ以外の主要業務におきましては、かなりの好成績を上げているものもあることから、主要業務の一部において良好でない業務があるものの、一方で目標以上の成果を上げている業務もあることから、法人業績において0.1減算するほどのものではないということになりました。
 なお、過去、業績不振で減算した例としましては、これまで何回か審議のありました住宅金融支援機構で、中心業務である証券化支援業務の実績が計画を大きく下回るという、50%以下だったというようなことで、減算しているとか、万博機構の例とか、いろいろありまして、こういう他法人の例等を考慮しても、本件について、0.1減算するほどではないということになりました。
 次に、個人業績でございますけれども、個人業績については、この理事長、副理事長が、それぞれ、もんじゅ担当ということで、そこにおいてトラブルが発生し、中期目標期間内において運転再開をできなかったことから、職責に関して減算要因があると考えられ、減算の程度については、不祥事が続発、複数の箇所で発生、関係者が多数、他の要因が加わっている(国会の付帯決議等がある)ことにより、0.1減算している例が過去にあることから、本件についても0.1減算としました。
 このほか、フローチャートによる業績勘案率の算定方法ができる前ですけれども、JAXAにおいてロケットの打ち上げが失敗したり、液化天然ガスのロケットエンジンの開発プロジェクトが遅れたり、月探査衛星の計画の遅延、中止、このように業績が不振であったことにから、0.1減算した事例があります。
 以上のように0.1減算ということから、文部科学省評価委員会から通知されてきた業績勘案率の0.9と一致しますので、第3ワーキングとしては、意見なしということになっております。
 続きまして、第5ワーキングで議論されました沖縄科学技術研究基盤整備機構の退職役員の業績勘案率について御説明いたします。この機構自体は、沖縄振興政策の目玉とされました沖縄に世界最高水準の自然科学系の大学院大学を設立するための準備等を行う独法として、平成17年9月に設立され、昨年11月に、予定どおり大学院大学を設置し、解散しております。解散に伴い、役員3人に退職金が支払われるということになったわけでございます。退職役員のうち、理事長はノーベル賞受賞者のイギリスの研究者の方で、機構設置以来、理事長を務められております。理事は、平成19年9月から理事として、理事長を補佐されている方で、米国人の方です。それから監事は、平成21年9月から、いろいろトラブルが発生しているということで、常勤の監事として就任されています。
 内閣府評価委員会から通知された業績勘案率は、3人とも1.0となっております。予定どおり、大学院大学を設置し、業績勘案率1.0で問題がなさそうですが、この機構については、退職役員在任中に複数の事務的な問題が発生しており、前任の理事の方のときに、契約の非公開の問題で、業績勘案率を0.9にした経緯等がございます。
 法人業績についてでございますけれども、基本的には法人業績については、計画どおり大学院大学を設置したということと、後で述べますような事務的な不祥事等がありますけれど、法人業績自体に悪化を招くようなものではなく、過去の例では、同種の問題については、法人業績の減算要因とされていないということから、法人業績においては、特に減算要因はありません。
 あと、個人業績でございますけれども、在任中に事務上の不祥事等が3件ございました。一つは、契約についての情報公開、契約についての情報が公開されなかったという事案、次に、施設整備に関する予算超過があったということで、これは平成18年度から21年度にかけて整備した、実験研究施設の工事に関して、当初の138億円の予算が確保されていたが、執行額が、その額よりも超過していたという事案、それから三つ目に、予定価格の積算方法について、会計検査院からの指摘があったということでございます。これは単純に、警備業務の委託について、予定価格の算定方法を誤ったという事案です。このほか、理事長の旅費に関する報道、パワハラ等の問題が新聞とか国会で問題になりましたけれども、これらについては、事実関係を調べたところ、事実ではなかったということで、特に減算要因とはなっておりません。
 ワーキングでは、こういう減算要因がありながら1.0で通知されているので、これらの減算要因をカバーするほどの加算要因がないと、なかなか1.0にはならないのではないかということで、理事長及び理事について、在任中に発生したこういう減算要因を払拭するほどの加算要因があるかどうかというのが、大きな論点になりました。
 減算要因についてワーキングでは、減算要因となった事項は、事務処理上のミスが大半で、その改善も図られていること、過去の政独委の事例から見ても、こういう会計検査院の指摘とか、予算超過とか、契約についての非公開、これらは0.1減算するほどではないのではないかというふうな意見がありました。このほか、これらの事案はあくまで事務処理上のミスで、理事長とか理事は、外国から来られた方で、むしろ優秀な研究者を集めるということがメインで、むしろこういう事務処理のミスは、まさに事務局の不手際というか、そういう外国人の方をきっちりとサポートできなかった事務局のミスではないかという意見もありました。一方、過去において、契約非公開で、当時の担当理事の業績勘案率を0.1減算しているということと、複数の減算要因があることとを重く見るべきではないかという意見等もございました。
 こういう減算要因がある中で、加算要因としては、この理事長とか理事が、高い知名度や個人的なネットワークを活用して、特に主任研究者について、外国人29名を含む、45名まで拡充したという事実があります。計画では、外国人比率50%だったのですけれど、最終的には64%を達成したということでございます。いろいろ問題があるかと思うのですけれども、沖縄という地に外国人を含む優秀な研究者を45名ほど集めて、開学まで持ち込んだということは、この理事長、理事のリーダーシップによるもので、この点については加算要因として考えてよいのではないかという議論がワーキングではありました。
 一方で、そもそも法人の目標が、優秀な研究者等を沖縄に集めて、大学院大学を開学させることにあって、理事長は、ただ単に目標を達成したに過ぎないので、特段の加算要因ではないという議論等もワーキングではございました。
 こういう減算要因、加算要因についての諸々の考え方をワーキングで審議した結果、最終的には理事長及び理事については、個人の職責に関する減算要因と加算要因が認められるものの、いずれも0.1の加算、減算に至るまでのものとはいえず、過去の例を踏まえ、総合的に判断すると、業績勘案率は1.0とすることが妥当と考えられるという結論に至りました。したがって、内閣府評価委員会から通知された勘案率1.0については、「意見なし」としたいということでございます。ただし、ワーキングでは特段の加算要因とはならないのではないかとか、過去減算している例もあるので、そこは重く見るべきではないかという議論もあったということを踏まえ、「意見なし」に、意見案にありますように付言することとしたいということになっております。
 それから、監事につきましては、いわゆる、従前は、非常勤監事だったのですけれど、平成21年度に発覚した予算執行問題に関し、この方は21年度の途中から監事になられて、管理運営体制の改善に向けた取組とか、その後も事務の効率化等について、監事としての職責を果たされており、特段のプラスマイナスもなく、通知された1.0について、「意見なし」ということになっております。
 先ほど申した付言でございますけれども、「当委員会の審議において、理事長及び理事の個人業績については、在任中に発生した減算要因を払拭するほどの加算要因があるとまでいえないのではないかとの見解があったことを踏まえ、公表の際には加算要因について、国民への説明責任を十分に果たすように申し添える」という形で、付言するという、ワーキングでの案になっております。
 事務局からの説明は、以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  はい。ありがとうございました。いろいろ御議論をいただいた結果ということでございますが、本件につきまして、何か御意見、御質問ございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。いかがでございましょうか。はい、河村委員どうぞ。
【河村臨時委員】  沖縄科学技術研究基盤整備機構について、ちょっと意見を言わせていただきたいと思います。私自身、この担当の第5ワーキングに所属しておりまして、ワーキングの中でもいろいろ意見を言わせていただいて、その内容は、すべて今、平野調査官が御説明下さっています。最終的な結論にも、ワーキングの御判断があって判断していただいている部分もあろうかと思いますが、分科会全体の場でも、是非、ほかの先生方にも御判断いただければと思いまして、問題提起のような形で言わせていただければと思います。
 この沖縄機構の理事長と理事について、減算要因の話と、加算要因の話と、論点が二つあり、そのマイナスのほう、減算要因については、先ほど平野調査官が御説明を下さいましたが、私の個人的な意見としては、この政独委で、同じ職責にあった理事の方の、過去の業績勘案率を判断するときに、同じ不祥事が原因でマイナス0.1としている以上は、やはり私は、それは自己否定につながるというか、同じ方針を貫くというか、一貫性を持つべきなのではないかなと考えます。
 もう一方、加算要因のほうなのですけれども、ワーキングのほうでもいろいろ議論がありまして、最終的に1.0にするにしても、加算要因プラス0.1で、減算がマイナス0.1で、差し引き1.0で良いという話だったのですが、大分、何回もいろいろな議論があったことがあって、その絶対値の幅が減ったというか、プラス0.1ではなくて、プラス0.1にはいかないと。また、マイナス0.1ではなくて、マイナス0.1にはいかない、そういうような形で、今も御説明のあったような結論になりました。個人業績として加算要因をつけて良いかというのも、正直に言って、これは私も疑問に感じているところがあります。
 これだけの研究者の方をお集めになられて、しかも途中では、本当にここの大学院大学が設立できるのかというような、厳しい見方もあった中で、よく設立にこぎ着けたなというか、もちろん理事長や理事のリーダーシップがおありになった部分というのもあるのだろうと思うのですね。しかし、それだけで、これだけの人が本当に集まったのかなと、ほかの要因もあったのではないのかなというふうに思います。
 一つ、参考になる要因として、事務局で、内閣府のほうにも御照会いただいて、こちらでの研究者の方の報酬のこととかもお尋ねさせていただきました。それについて、事務局経由で内閣府からいただいたお答えによりますと、この沖縄の機構の主任研究者という方ですと、平均、年に1,200万円ぐらいの報酬だということだそうです。主任研究者というのはどういう立場ですかということをお尋ねすると、事務局からは、大学でいえば教授とか、それから教授だけではなくて、准教授の立場、両方あり得るというようなお話でした。この機構、国内、日本人の研究者の方もおられるようですし、海外からもたくさん連れてこられたようで、両方の、日本の国内の研究者の方の報酬の水準と、海外の方などと比べないといけないと思いますが、これも事務局経由にお尋ねしたところ、ちょっと私立の大学のほうは分からないそうなのですが、国立大学について回答がありました。私は理系の人間ではないので、どこの分野、どこの大学ということを正確には知りませんけれども、やはり自然科学系ですと、世の中の一般認識では、国立大学の中でも、東大であるとか、京大であるとか、名大とかがトップクラスの水準だと思います。そういったところの教授クラスの先生方の報酬というのは、東大で1,160万円、京大で1,071万円、名古屋大学で1,080万円だそうです。それから、内閣府の側が、比較の対象としている、奈良先端科学技術大学院大学では1,076万円ということで、国内の大学の教授クラスで、これぐらいなのに対して、この沖縄機構の主任研究者が、教授、准教授のクラスで1,200万円ぐらいというのは結構悪くない水準だったのではないかなと思います。
 では、海外と比較するとどうかということですが、これは内閣府にデータを請求していただいて、内閣府がお答えくださって、ドル・ベースのお答えが返ってきていて、大学によって大分差もあるということだそうです。ハーバード大学あたりが一番良くて、教授クラスだと19万8,400ドルだそうです。これは為替レートにもよりますので、為替レートで換算すると、足元の1ドル80円ぐらいの水準だと、1,600万円ぐらいになります。この機構が研究者をリクルートしているであろう、平成22年ぐらいの為替レートで、1ドル88円ぐらいで換算すると1,746万円になります。ちなみにハーバードの准教授のクラスだと、今の段階だと979万円で、平成22年の為替レートだと1,063 万円になります。これは一番高い大学になります。中位ぐらいの大学ということで、内閣府がお示しいただいた、ボストン大学あたりの例で見ると、教授クラスが、今1,229万円ぐらいで、平成22年ですと1,335万円ぐらいになり、准教授のクラスは、平成22年の為替レートだと1,105万円で、今は1,017万円になります。このように比較すると、報酬なんかの面でも、それだけの、内閣府の目玉の政策というお話もありましたので、結構遜色ない水準が用意されたということもあったのではないのかなと思います。
 ですから、これだけ優秀な研究者の方を集められて、無事に設立にこぎ着けられて、本当に良かったと思いますけれども、個人業績で、プラス0.1を付けるところまでいくのかなというふうに思います。私自身としては、今までのこの業績勘案率の審議をいろいろ伺ってきていて、個人業績でプラス0.1を付けるというのは、例えば国立病院機構のケースであるとか、もう本当に卓越した業績があるということが、衆目一致するようなぐらいのときにしか、なかなか付かなかったというのが実際なのではないかなという気がいたしまして、そういう例からも勘案すると、本当に、加算要因というふうにして良いのかなと思います。
 今回の審議の経過については、もちろんワーキングでも、何度も議論のやり取りがあり、それで事務局の方も間に入って下さって、内閣府とのやり取りもあり、でも、最初に御説明のあった、日本原子力研究開発機構のように、主務省のほうが結論を変えてくることはないわけですよね。でも、それならそれで、別に良いのではないかと思います。この業績勘案率の制度上、政独委に、主務省評価委員会は意見を聞かなければいけないということになっていますけれど、別に、政独委の言うことに100%従わなければいけないわけでもなく、逆に言えば、政独委の側として、主務省評価委員会の結論に合わせる必要もないわけで、過去にも合わなかった事例がいくつかあったというふうに、平野調査官から伺っておりますし、ごく最近でも、前回の分科会で議論をした住宅金融支援機構の業績勘案率について、0.9が付いている役員もあったにもかかわらず、4人に対して、「審議を深められたし」という意見を出したところ、主務省評価委員会で審議を深められた結果、実際に主務省で公表されているので、私も拝見しましたけれど、結論は変わらなかったという事例があるわけです。
 ですから、今回の事例についても、何か、特段の、考慮しなければいけないことがあるのであれば、私は個人的には、今のようなやり方でいくと、政独委としてフローチャートまで作って、客観的にやろうということで今までやってきたのに、今までとは判断が少し違うような気もします。それはやはり、先々、他府省の目から御覧になって、他法人の目から御覧になられて、本当に遜色ない、1.0では申しわけないぐらいの業績を残しながら、減算要因があって0.9になられた役員の方が何人もいらしたのを見てきているのですけれども、やはり他府省の目から見てどうなのかということがあると思いますので、そういったあたりは、今回のような形の結論で良いのかどうかということは、これは問題提起でございます。もちろん、これは個人的な意見ですので、分科会全体の御判断にもちろん従います。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。研究者の人材獲得、確保は、大変難しい問題でもございますね。個々人の研究者の志もありますし、肩書、研究に資する報酬以外の研究費等の獲得環境の整備等々いろいろあります。それから優秀な人材の獲得においても、理事長がどこまで、環境整備する為にリーダーシップを取られたのかという点に関しても、いろいろな判断がおありになるのだろうと思います。ただ、今、河村委員の言われた、二次評価において、他の府省での同様の法人での評価との整合性を考えるときに、客観かつ合理的な評価であると御判断いただけるかどうか、その点での問題提起をいただきました。これについて、何か、御質問がおありになりますでしょうか。
 河村委員に御確認でございますが、そういうことの議論があったということを「ここに付記すること」ということで、この業績勘案率について、第5ワーキングとしては、この評価で良しとの御判断をいただいたと理解して良いということでございましょうか。どうぞ、縣主査。
【縣臨時委員】  冒頭に、平野調査官からありましたように、ワーキングでは、確か3回議論しました。その3回のうち2回については事務局を通じて内閣府の評価委員会からいろいろな資料や意見を提出いただき、審議しました。私の経験では、間接的ではあるものの、これだけ集中的に、相互に意見交換をしたという経験は初めてでありました。意見案は、ワーキングで合意した内容であります。しかも、その内閣府の評価委員会に説明責任を求めるという表現は、今まで、私の記憶では、付記したことがないと思いますので、これ自体が、内閣府及び内閣府評価委員会に対する強いメッセージだと認識しております。この点を考慮いただいて、意見案をお認めいただきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  分かりました。説明責任がどう果たされていくのかということの、フォローアップということも、きっと必要だろうと思いますので、その辺についても情報を収集いただいて、まずはワーキングの方々の御判断もいただきながら、検討をしていただく機会を持っていただくことも必要なのかなと思います。今の御提言を分科会として受け止めて、今後の評価に資するような形で、また意見交換が出来ていければと思いますので、事務局のほうも、その心積もりで、今の御指摘を聞いていただきたいと思います。
 ほかに、何かございますでしょうか。はい、河野委員どうぞ。
【河野臨時委員】  内容についてではなく形式なのですが、これまで、資料や説明において、減算要因から始まって、次に加算要因を取り上げるというような感があります。ワーキングでの議論のときは、そういう議論のやり方のほうがやりやすいかもしれませんが、文章化するときには、まずは加算要因を検討し、それから減算要因があって、加算要因を上回る減算要因はないのかの検討をすべきではないかと思います。これまでの分科会での議論では、何か減点主義みたいに、最初に、1.0から引き、それで次に、足すものはあるのかというような考えが色濃く出ているのではないかと思います。やはり評価する際には、プラス要因を評価し、それからマイナス要因を引いて、結果を判断するというような方向の形式にしておいたほうが、形式が内容を決めるということもありますので、良いのではないかと思います。これは意見であります。そのようにせよ、ということではありません。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。大変、ごもっともな御指摘だと思います。この御意見も踏まえて、今後の検討に資していただきたいと思います。
 それでは今までの議論を踏まえまして、いろいろ御意見ございましたけれども、特に、沖縄の件につきましては、付言がついておりますので、ここについての主務省の対処の内容について、また御報告をいただくということも含めて、事後の処理につきましては、私、分科会長に御一任いただくということで、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)


【阿曽沼分科会長】  では、そのように取り扱わせていただきます。
 それでは業績勘案率について、事務局から、また何か、御報告がありますか。
【平野調査官】  先ほどの河村委員のほうからも、コメントがありましたけれども、今年の5月に分科会で審議し、意見ありとした住宅金融支援機構の前理事長等の勘案率について、6月に国土交通省と財務省の各評価委員会で、再審議が行われましたので、その結果について、簡単にコメントさせていただきます。住宅金融支援機構につきましては、財務省、国土交通省評価委員会から通知された、理事長代理のものを0.9という案につきまして、個人業績における二つの減算要因があることについて、それから、副理事長及び担当理事の1.0について、証券化支援業務の平成21年度までの業績不振について、それぞれ審議を深めるよう、意見を政独委として述べたところですけれども、各省評価委員会で再審議した結果は、個人及び法人の減算要因を考慮して、再度勘案率を算定したようでございますけれども、最終的には原案のままとなったということでございました。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。河村委員からも御指摘のあった点、今の補足で御説明いただきました。
 何か、ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。少し予定より時間が延びてしまいまして、申し訳ございませんでした。
 それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了させていただきます。本日は御多用のところ、御出席をいただきまして、ありがとうございました。



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