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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(9月25日開催)議事録

日時

平成24年9月25日(火)13時30分から17時25分まで

場所

法曹会館 高砂の間(2階)

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、田渕雪子委員、縣公一郎、浅羽隆史、梅里良正、梶川融、河野正男、河村小百合、柴忠義、園田智昭、木佳子の各臨時委員
(総務省)
宮島守男行政評価局長、渡会修官房審議官、北川修評価監視官、竹中一人調査官、平野誠調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する各府省ヒアリング(厚生労働省、文部科学省、内閣府及び消費者庁)
  2. その他(報告事項等)

資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  それでは時間になりましたので、ただいまから政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会といたします。
 審議に入ります前に、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をお願いいたします。
【北川評価監視官】  前回、7月の分科会以降の人事異動について御紹介申し上げます。
 まず、行政評価局長でありました新井が内閣官房行政改革推進室長に転任いたしまして、その後任に関東管区行政評価局長でありました宮島が着任しております。
 続きまして、行政評価局の審議官でありました井波が人事・恩恵局次長に転任いたしまして、その後任に内閣府地域主権戦略室次長でありました渡会が着任しております。
 また、行政評価局の独立行政法人第一担当室の評価監視官でありました武藤でございますが、行政管理局管理官との併任でありましたが、併任が解除されまして、武藤は評価監視官を外れることになりました。後任には、以前、独立行政法人第一担当室の評価監視官でありました横山が再び着任いたしましたが、横山は引き続き内閣官房行政改革推進室の参事官を併任しており、そちらのほうを本務としておりますので、第1ワーキング、第2ワーキングについては、ここにおります調査官の竹中が担当させていただくことにしてございます。なお、竹中でございますが、8月に独立行政法人第一担当室の調査官でありました萬谷が局内別の担当に異動いたしまして、後任として竹中が着任しております
 人事異動については、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  それでは、新任者を代表いたしまして、宮島行政評価局長より一言御挨拶をいただきます。
【宮島行政評価局長】  9月11日付で行政評価局長になりました宮島でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 2年前、行政評価局担当審議官として、皆様にお世話になっておりましたけれども、この1年間、出先機関の関東管区評価局に赴任しておりました。この独法評価というのは本省だけの仕事でありまして、この1年間の動きが全く空白になっておりますので、鋭意勉強を始めているところでございます。
 今年度につきましても、12月の「勧告の方向性」の取りまとめに向けて、いよいよ佳境の時期に入ってまいりますので、どうか引き続きよろしくお願い申し上げます。
 また、先ほど御紹介いたしました新しい体制につきましても、従前どおり、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 なお、局長は所用のため御退席をされます。ありがとうございました。
 それでは、審議に入りたいと思います。
 「中期目標期間終了時における平成24年度の事務・事業の見直し」については、本日と来週の4回に分けまして、今年度の見直し対象となっている27法人の見直し当初案に関する各府省のヒアリングを行ってまいります。
 本日は、厚生労働省所管の4法人、そして文部科学省所管1法人、内閣府所管1法人及び消費者庁所管の1法人の見直しの当初案に関するヒアリングを行います。
 なお、厚生労働省の所管4法人につきましては、前半に1法人、後半に3法人に分け、ヒアリングを行いたいと思います。
 それでは、厚生労働省所管の前半の1法人につきまして、ヒアリングを開始させていただきます。
 本日は、厚生労働省、小川職業安定局高齢・障害者雇用対策部長を始め、御担当の皆様にお越しいただいております。
 それでは、見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思っております。
 全体の時間の関係もございますので、5分程度ということでよろしくお願いいたします。
【小川部長】  厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部の小川でございます。これから高齢・障害・求職者雇用支援機構の組織・業務全般の見直し当初案について御説明申し上げます。
 お手元の資料の1−1−(1)の1ページを御覧ください。
 事務・事業の見直しということで、当機構は名前のとおり、高齢者、障害者、求職者の三つの対象がメインでございまして、それについての事業でございます。
 最初に、高年齢者に対する雇用支援業務についてでございますが、労働政策審議会の建議で、「今後の高年齢者雇用対策について」というものが出まして、これを基にして、高年齢者雇用安定法の改正が行われたという状況、また「高齢社会対策大綱」が閣議決定されたというような状況を踏まえまして、生涯現役社会の実現に向けた環境の整備に対応するために、業務の充実・強化を図ることとしております。
 中身でございますけれども、一つは年齢に関わりなく働ける企業の普及促進に向けた支援の強化ということで、例えば、企業診断システム等の実践的支援ツールの開発でございますとか、高年齢者雇用アドバイザーの相談スキルの向上のための研修とか、それから様々な給付金の活用を組み合わせて、効果的な相談・援助を充実させるというものでございます。
 もう一つの柱としては、生涯現役社会の実現に向けた気運の醸成ということで、生涯現役でいることについての意義・重要性についての周知活動ということで、シンポジウムの開催とか好事例の選定等を行っていくということでございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目に、障害者に係る雇用支援業務がございます。この分野につきましては、精神障害者、発達障害者等、新たな就労支援ニーズが出ているということもございますし、来年4月から法定雇用率が引き上げられることの対応が必要であると。また現在、まさに障害者雇用分科会におきまして、今後の制度についての見直しについて検討が行われているということなどを踏まえまして、業務の充実・強化を図ることとしております。
 一つは、地域障害者職業センターにおける発達障害者に対する体系的支援プログラムの全国実施ということで、従前は13カ所試行的にで行っていたものを全国的に展開していくということで、例えば、「ワークシステム・サポートプログラム」等、さまざまなツールを使って、発達障害者に対する支援の充実・強化を図っていくというものでございます。
 もう一つは、障害者職業能力開発校における訓練ノウハウの普及の取組の強化ということで、障害者職業能力開発校において、職業能力開発校の障害者向けの訓練コースを作っていくというための様々な研修でありますとか、それからその技法の開発等を行っていくということによって、職業能力開発校等での特別支援障害者受入れの促進に対する取組を強化するというものでございます。
 3点目が、障害者雇用納付金制度の適用対象事業主の拡大に向けた対応ということで、約2年前、平成22年7月に、今まで300人超企業が対象だったものが200人超企業に拡大になったわけでございますが、それが今後、27年4月から適用対象企業が200人から100人超に拡大されるということで、今まで2万1,000社だったものが4万5,000社に増えるということを踏まえまして、きちんと周知活動、啓発の協力要請などを行っていって、現行の収納率目標の水準を目指すということを考えております。
 最後に、注)でも付けておりますけれども、現在、様々な障害者雇用に関する制度についての見直しの検討を行っているところでございまして、その結論を踏まえまして、新たな業務についての必要な見直しを行っていくということになります。
 3点目が、職業能力開発業務ということでございまして、離職者の早期再就職のための職業訓練とか、高度技能者養成のための職業訓練、それから求職者支援制度に基づく訓練の認定等を行っていくということでございまして、最初の柱としては、産業構造の変化や技術革新等に対応した効果的な公共職業訓練の展開ということでございまして、既存の離職者訓練・在職者訓練につきましては、そのコースに、ちゃんとPDCAサイクルによって効果的な訓練の実施とか、それから訓練コースの見直しを行っていくということもございますし、また、その地域ニーズも踏まえながら、成長が見込まれる環境エネルギー分野等、新たな分野に関連したものづくりの訓練コースの開発に取り組んでいくということでございます。
 もう一つの高度技能者養成訓練につきましては、産業構造の変化とか技術革新に対応して訓練コースの見直しを進めていくということによって、効果的な人材の養成に取り組んでいくと。また、共同研究を通じた産学連携とか、大学等関係機関との連携強化を図っていくということでございます。
 それから、もう一つは指導員養成訓練の見直し等の実施ということでございまして、今までは、要するに、高校卒業後、4年間訓練をして、指導員にしていたというものでございましたけれども、それに代えて、ハイレベル訓練の創設とか、現在の職業訓練指導員を対象としたスキルアップ訓練の拡充ということとか、また産業構造の変化等に対応した訓練カリキュラムとか訓練技法の開発、普及の強化を行っていくということでございます。それから、後でも触れますけれども、職業能力開発総合大学校につきましては、相模原校の跡地の売却・処分を行っていくと。
 それから、3点目としては、求職者支援制度に基づく訓練認定業務の実施ということでございまして、新たな制度、求職者支援制度に基づく求職者支援訓練として認定すべき訓練を機構が認定するわけでございますので、それを適切に認定していくと。それから、アフターケアの相談とか、それから開始後の調査を実施していくと。
 最後の柱としては、民間教育訓練の教育訓練サービスの向上に向けた取組でございまして、民間教育訓練機関におけるスキルアップのための取組を検討していって、それを対象とした訓練教育サービスの向上を支援するということでございます。
 以上が業務の見直しでございまして、最後に、4ページ目が組織・運営の見直しということでございます。
 引き続き、効率的・効果的な組織・業務運営を図る観点から、管理部門の効率化とか、施設の集約化、不要資産の国庫納付、調達の見直し等に取り組んでいくということでございます。
 まず、法人統合に伴う管理部門の効率化でございますけれども、本部管理部門のスリム化ということで、昨年10月の統合時に20名のスリム化を実施したということでございまして、また今後3年以内に19名のスリム化に取り組んでいくということでございます。
 それから、あと1点は、旧高障機構、それから旧能開機構が、これまで培ってきた経験とかノウハウを結集して、業務の連携を深めていくということによってシナジー効果を発揮し、組織の活性化を図っていくということでございます。
 それから、地方組織の効率化につきましては、管理系システムの統合と合わせ、高齢・障害者雇用支援センターと職業訓練支援センターの管理事務処理の一元化を図っていくと。
 また、地方施設の集約化につきましては、各地方施設の利用者ニーズ、利便性、コスト等を勘案した上で、可能な限り高齢・障害者雇用支援センターの職業訓練支援センターへの移転等による施設の集約化を進めていくということでございます。
 3点目は、不要資産の国庫返納ということで、先ほど申し上げましたように、職業能力開発総合大学校につきましては、25年度以降に売却し、国庫納付すると。それから譲渡が完了した雇用促進住宅については国庫納付すると。それから富士見職員宿舎につきましては、隣接する富士見第2職員宿舎の現入居者退去後、速やかに、一体的に売却等の手続を行って国庫納付するということでございます。
 最後に、公共サービス改革法に基づく民間競争入札の導入によって、基幹ネットワークシステム保守・運用管理経費の節減ということで、当該システムにつきましての民間競争入札を行って、コストのカットを図っていくということでございます。
 非常に駆け足でありましたけれども、以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました高齢・障害・求職者雇用支援機構の見直しの当初案につきまして、御質問ございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。
【縣臨時委員】  どうも御説明ありがとうございました。私からは二つのブロックについて伺います。
 まず、第1ブロックについて5点ほど伺いますが、問題意識としては、今、承ったところで、本部の業務部門の人員削減について、見直し当初案に何ら具体的な削減予定の記載がないのはなぜだろうかという問題意識でございます。
 つきましては、5点伺います。
 まず、今後、将来的に業務量の縮小が予想される、例えば、住宅譲渡部門、これについては管理部門へ統合する体制縮小というのが可能ではないでしょうか。これが、まず第1点。
 2番目は、本来売却されているはずの、あるいは今後売却されるべきポリテクセンター等の地方施設の整理・集約ということが済んだ場合に、公共職業訓練部についても本部組織として縮小が可能ではないでしょうか。
 3番目、高齢者関係業務部門ですが、高齢者雇用安定法の改正に伴って、65歳以下の雇用については、今度、事業主側の業務となると理解できます。そうしますと、貴機構の高齢者部門の業務量を縮小する機会となるのではないでしょうか。
 4番目、本部業務は19名削減という具体的数字を頂いておりますが、これは自然減、退職不補充で行うという理解してよろしいでしょうか。そうであるとすれば、この手法をなぜ業務部門にお使いになれないのでしょうか。
 以上を総合しまして、5番目として、是非本部業務部門の人員削減数の数値目標及び目標時期を中期目標・計画に掲げていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 まず、以上5点、お願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【小川部長】  お答え申し上げます。
 まず、住宅についてでございますけれども、住宅につきましては、今年の8月末現在で全国に1,308住宅、12万4,082戸の住宅を所有して運営しているというところでございます。これにつきましては、御指摘のとおり、最終的には廃止・譲渡ということを行っていくということではございますけれども、まだ現在その途中でございまして、当然のことながら、その管理業務等も発生しておりますし、それから、今後、要するに取り壊して更地にして売ってしまって、それで初めて一件落着となるわけでございますので、すぐにそれを減らすという状況には、残念ながらなっていないというところでございます。
 それから、公共職業訓練関係でございますけれども、これにつきましても、確かに都道府県等と交渉して、希望があれば譲渡するというふうになっておりますけれども、これにつきましても、それが進んでいるというわけではございませんし、現在、建っているものについては当然運営しなければならないということもございますし、同時に、都道府県との交渉等も行っていかなければならないということもございますので、これにつきましても急に減らすというのは、なかなか困難な状況でございます。
 それから、障害者、高齢者につきましては、まず高齢者につきましては、今回の法改正におきまして、65歳までの継続雇用が義務化されたということでございますけれども、これにつきましては、年金の支給年齢の引上げに伴いまして、経過措置が付せられているということもございますので、なかなかすぐに65歳というふうにはならないという点と、それから、当然のことながら、かなり大きな改正でございますので、それについての周知・啓発等、さまざまな業務が同時に発生するということがございますので、なかなか、それについても難しいということでございます。
 ほかにも障害者につきましては、今後、納付金業務の拡大とか、それから法改正を見据えて、新たな業務の発生等があると。そういう中で、要するに、基本的には業務が、仕事があって職員が必要なわけでございますので、特に業務関係につきましては、そういう制度改正や法律改正に伴う業務量の新たな増加というのも考えられるという中で、計画的に何人減らすということについては、なかなか難しいというふうに今のところ考えております。
 以上です。
【縣臨時委員】  あと二つお答えいただいていないのですが。
【小川部長】  ですから、結局、要するに19名については基本的に自然減ですので、要するにトータルとしての削減が難しいということもございますので、業務面については、やはり難しいというふうになります。
【縣臨時委員】  では、住宅譲渡の点の見通しについて、中期目標に明確に打ち出していただきたいと思います。どのように譲渡が行われる見通しなのか、あるいは行おうとするお考えなのか、それによって人員をどのように変更する可能性があるのかということはお示しいただくべきだと思います。
 それから、ポリテクセンターについては後ほど伺いますけれども、それにも関わりますが、その見通しがどのようになるので、人員がどの程度必要であり、どう推移するべきであるかということについても明確に示していただきたいと思います。
【小川部長】  見通しが立った部分につきましては、恐らく書けると思いますけれども、どちらも相手がある話でございますので、どこまで、この計画に乗っかるかどうかということは、ちょっと考えさせていただければと思います。
【阿曽沼分科会長】  河村委員、どうぞ。
【河村臨時委員】  今のところの関連でお尋ねいたします。
 ポリテクセンターの移管が進んでいないことについて、相手方のある事情だから、とおっしゃるのですが、相手方に消極的なところが多いという理由は分析されていらっしゃいますでしょうか。やはり、掛かる手間とかコストとかに見合った、地元経済へのプラスというのが、なかなか見えないというところが、もしかしたらおありになるのではないかというような気もいたしますが、その辺り、相手方が消極的だから、消極的だからということで、その理由をきちんと分析してやっていただかないと動かない。このままずっと抱えっ放しということになりかねないという気がいたしますが、どのようにお考えでしょうか。
【志村課長】  能力開発課長の志村と申します。ポリテクセンターにつきましては、平成23年10月及び24年の3月に、2回ですけれども、都道府県に対し、移管の希望状況についてアンケート調査を行っております。現時点では移管を希望している都道府県はないといった状況でございます。
 そして、理由の分析ということでございますけれども、その理由といたしましては、国が責任を持って運営すべきである、新たな財政上の負担が想定されるため譲受けは困難などを理由として挙げていただいている状況でございます。
 今後でございますけれども、アンケート調査で検討中としている都道府県を中心に、またあらためて移管についての検討を要請したいと思います。まさに国の雇用対策としての訓練政策というのも、また考えるという立場でもあります。
 そして、一方で、このポリテクセンターでは、やはり訓練事業ということで施設内訓練を行っている、国の高度なものづくりの施設内訓練を行っていくというものの政策を考える立場、そしてあと実行部隊を抱える立場と、あと、やはり都道府県、訓練自体は都道府県の自治事務というようなことになっておりまして、都道府県の訓練校というのを、また運営しており、組織論に最終的には帰着してくる問題なのですけれども、この日本の産業情勢、雇用情勢の中で、地域にとって、やはりどういった訓練機会というのを確保していくというのが一番なのかという観点から、しっかりと検討を進めてまいりたい。そして、この閣議決定等で位置付けられたポリテク譲渡の方針に基づいて粛々とやっていくのですけれども、そういったような、お互いに地域における訓練を担う主体としての立場、責任ある立場をもって、しっかりと検討状況を聴取し、適宜、御報告等をさせていただきたいなというふうに考えております。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ、梅里委員。
【梅里臨時委員】  今のポリテクセンターについて、譲渡がなかなか進まないという話だったのですけど、でも、これは閣議決定で移管が決まっているわけですよね。これについて、具体的に見直し当初案の中に、どうしていくかというようなことが書かれていなかったように思うのですが、これはどういうことなのでしょうか。
【志村課長】  先ほど部長のほうからも申し上げた言葉の中にもございましたけれども、確かに移管を希望するものに対しては、そういう諸条件、移管に関する諸条件は示しながら、合意形成が成されたものについては移管を進めていくということでございます。
 しかし、移管を希望しないものにつきましては、やはり高度なものづくりの責任運営の観点から、国、独法として経営していくという必要があるのですけれども、そこら辺の途中関係、まだ相対の交渉の中での話でございます。確かに直接の交渉主体は都道府県ですけれども、関係市町村、いわゆるポリテクの学科存続とか訓練コースとかの存続というのは、都道府県だけではなくて、関係のもう少し小さいレベルの市町村においても非常に関心事項でございます。そういったようなことで、無用の混乱等を引き起こさないというような観点から、技術的に、なかなか明確に書けないという事情もございますけど、大きく分けて、その二つの理由から、書いてはございません。
【梅里臨時委員】  そうすると、移管が進まないものについては独法で引き続き運営していくというような意図の発言に聞こえたのですけれども。移管するということが決まっていて、そして移管がうまくいかないということであれば、現在の充足率等を見ても、これは廃止するというような考え方があってしかるべきではないかと思うのですけど、いかがでしょうか。
【志村課長】  そこのところは、実際の充足率からいうと、廃止すべきというふうには考えてはございません。需要はあるというふうに考えております。
 例えば、都道府県の担う同じ施設内訓練にしても、機構が担うものづくりにしても、詳細は、長々とここで申し上げるのは控えさせていただきますけれども、やはり高度なものづくりと地域の地場の産業も含めた、産業政策も含めたものづくりには重なりはございません。そして、定員充足についても一定量ございますし、就職実績についても8割、9割と、施設内訓練としては高いレベルを誇っております。そういったような中で、やはり地域の就職支援策のツール、政策支援としては、引き続き需要があるというふうに考えております。
【阿曽沼分科会長】  縣委員、どうぞ。
【縣臨時委員】  今の件ですが、例えば、ポリテクセンターに限らず、充足率が低調なポリテクセンター・カレッジであるとか、受講者が少ないポリテクセンターであるとか、それからそれらが同一府県内に複数存在している場合など、かなり効率が悪いという印象を持っています。したがいまして、上記のような施設については統合、あるいは廃止ということが必要だろうと思いますが、いかがでしょうか。
 それから、移管できないポリテクセンターについては、逆に言えばそこにはやはりニーズがないと判断できて、全て廃止する必要はなくても、一つの都道府県に一つ存在する必要はない。したがって、近郊において機能を統合して、幾つかの都道府県に対して一つのポリテクセンターが機能するという体制は十分考えられると思いますけれども、いかがでしょうか。
【志村課長】  いろいろ御指摘いただきましたけれども、結論から申し上げますと、やはり地域におけるポリテクを引き続き都道府県がいわゆる譲受けを希望しない場合でも、運営していくべき需要はあるというふうに考えております。先ほども申し上げましたけれども、高度なものづくりと、あと地場を通じたものづくりというようなことで、いわゆる定性的にもすみ分けはできておりますし、訓練量からいたしましても、やはり引受けしないからといって廃止してしまうと、そこの地域における訓練の機会が失われる。訓練の機会が失われるということは、求職者だけの問題ではございません。地域のそこの人材を欲している中小企業の人材ニーズが満たせなくなる。詳細は、時間限られていますので、申し上げませんけれども、そのように考えております。
【縣臨時委員】  おっしゃることはわかりますが、一つの都道府県に一つなければいけないという理由には全くならない。ある程度構造的に統合して、集約的に機能を果たしたほうが、ずっと効果があるかもしれません。ですから、この点について更に詳細なデータを出していただきたいと思います。あるいはシミュレーションしていただいたら良いと思うのです。現在の都道府県一つずつという体制を、例えばどのように統合したらどうなるかということを主務省でお考えいただけないでしょうか。そうしたデータを出していただきたいと思います。
【志村課長】  できる限り、委員の問題意識に沿ったような形の説明をさせていただければと思います。
 訓練を担当する者として、大きく二つ問題があるというふうに考えておりまして、いろいろな訓練をやると。ここは独法の担う施設内訓練のあり方が今問題になっていますけれども、私どもの担当としては、今、訓練自体が大体40万人近くの訓練量というようなことを見込んでやっていっています。でも、8割方は民間に委託している訓練。介護ですとか、情報ですとか、ITですとかですね。そういったような中で、いろいろな訓練をやっていっている。だから、そういった中で、常に問題を抱えるのは、それは施設内訓練であろうが、民間に委託している訓練であろうが、果たして、そこの提供されている訓練が就職につながっているかということを常に立証していかなければいけないということは考えております。ですから、そういったような話と、やはり今後、地域において、どういった種類の訓練とか、そういったものが質、量の点でどの程度必要になっていくかということを、できる限り明らかにしていかなければいけないということは、やはりおよそ行政を担う者の責任だというふうに考えております。
 どれだけその問題意識に沿えるか分かりませんけれども、精一杯、また事務局等と調整させていただいて、しっかりとした説明を行っていきたいというふうに考えております。
【阿曽沼分科会長】  梶川委員、その後、河村委員、続いて御質問ください。
【梶川臨時委員】  今、ポリテクセンターの必要性について、いろいろ教えていただいたのですけれども、この議論というのは、いろいろな場所で、ずっと長くされてきたと思うのですが、そういう議論を経て閣議決定がされているという部分もあって、その閣議決定の前提となった状況と、今現在、いろいろな状況の変化がおありになるのかどうか。そのニーズに新しいものとかですね。
 閣議決定のときも、いろいろな議論はあったのだと思うのですが、一応、移管というふうになられたという前提があるので、そのときまでされた議論と同じ議論だと、閣議決定との整合性をどう考えたらいいのかなという気もするものでございますから、閣議決定の前提と今の前提の顕著なる違いを教えていただければと思うのですが。
【志村課長】  その問題意識に答え切るかどうか分かりませんけれども、やはり、特に閣議決定等が成された時期、この2年、3年前と比べますと、非常に全体的な状況は、その人材に対して求める要素が割と、いわゆる成長分野の訓練をしっかりやってほしい、あるいはグローバル対応の訓練を行ってほしい、人材の仕上がり度をもう少し高いものにしてほしいという要望が強まっているようには思います。
 例えば、いわゆる高度な人材の仕上がり像に関しましては、専門学校等を中心に、文部科学省の生涯学習局は中核人材ということで7分野打ち出しております。それには、介護みたいな割とドメスティックなやつもありますが、いわゆるICTだとか、クラウドだとか、あるいはゲームだとか、組み込みコンピュータだとか、そんなような人材の仕上がり像を出して、そして、ただ文部科学省、専門学校だけのリソースでは、やはり足りない。
【阿曽沼分科会長】  すいません。時間が余りないので、簡潔にお願いします。
【志村課長】  すみません。
【阿曽沼分科会長】  いわゆる譲渡といったような条件と今の条件で、前提条件において何が変わっているのか、それを質問しているわけですから、それについて的確にお答えください。
【志村課長】  譲渡に当たり、都道府県が、考慮する材料として、基礎的な事情ということだと思います。政策サイドの話を大分し過ぎてしまって、失礼いたしました。
 ただ、もう少し内部の管理運営という面で、自治体が判断するので変わってきているという点があるとすれば、やはり引き続き、さらにですね。
【阿曽沼分科会長】  もし、今、短時間で的確にお答えできないようであれば、文書で後ほど質問に対してお答えいただければと思います。
【志村課長】  いずれにしても自治体の経営が訓練にかける予算が厳しくなっているということは、一言申し上げさせていただきます。
【阿曽沼分科会長】  分かりました。
 河村委員、お願いします。
【河村臨時委員】  今の点で、ちょっと意見を申し上げさせていただきたいのですが。閣議決定が平成20年12月末でございますね。もうかれこれ平成24年です。4年間、何をしていらっしゃったのかなというふうに思います。
 希望する地方公共団体のほうから手が挙がらない。挙がらないのに対して、行政の責任でとおっしゃいました。一歩引いてみたときに、私は国からの押しつけであるように感じます。日本全国47都道府県津々浦々、各都道府県も訓練の施設を持っている。高度なものづくりはここが分担する。だけど、その高度なものづくりに対するニーズというのは地域ごとに違うのではありませんか。だからアンケートをお取りになっても答えが出てこない。少し濃淡はあるかもしれませんね。もうきっぱり「やる気はありません」というところと、「うん、ちょっと考えています。何とも言えません」というところとあるかもしれませんね。そこを47都道府県全国一律で、行政の責任とおっしゃって、国の価値観で全部一律に押しつけられているような感じがして、私にはなりません。地方の判断というのはないのですか。国の政策だから。これだけ財政が厳しい状況にあるときに、こんな調子で、仕事をずっとずるずるずるずる続けていたら、いつまでたっても歳出の効率化なんていうのはできないと思います。
 ですから、こちらからの意見として申し上げますが、先ほどもほかの委員から指摘があったように、一定の期限を区切って、次期中期目標の期間中に、きちんと譲渡の話がまとまらない都道府県に、このポリテクセンターとかについては、基本的にニーズがないもの、それからそれに見合う財源だって確保も大変なのですから、廃止するというぐらいのことを、次期の中期目標に盛り込んでいただきたいというふうに思います。
 以上、コメントです。
【阿曽沼分科会長】  何かございますか。
【志村課長】  譲渡を希望しない。都道府県が譲渡を希望しないものは、その地域において訓練のニーズがないということは、そういうことではないというふうに考えていることだけを、再度、説明させていただきます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 では、最後に梅里委員、どうぞ。
【梅里臨時委員】  それでは、地方施設のほうについて、伺いたいと思います。
 高齢・障害者雇用支援センターと職業訓練支援センター、これについては管理事務の処理体制は一元化するというようなことで、見直し当初案のほうに掲げられておりますけれども、これに伴って、地方施設の人員等がどのようにしていくのか。削減していくのかというような具体的な目標というものが見られなかったように思うのですが、これについてはいかがでしょうか。
【小川部長】  現在でも、高齢・障害者雇用支援センターでは、常勤職員が少ない中で、管理業務を行う常勤職員というのは実はいなくて、非常勤職員が管理部門の、例えば、経理とか何かをやっているという状況でございますので、これについての人員減については触れられなかったということでございます。
【阿曽沼分科会長】  よろしいですか。
【梅里臨時委員】  では、関連して、今の高齢・障害者雇用支援センターと職業訓練支援センター以外の地方施設、こういったものについての統合とか集約化についての御予定はいかがでしょうか。
【小川部長】  これにつきましては、ここにも書かせていただきましたように、要するに利用者ニーズとか利便性を勘案して、できるものから統合をやっていきたいというふうに考えております。要するに、早い話が、ばらばらにあるわけでございまして、例えば、事業主に対してサービスを提供するような高齢・障害者雇用支援センターですと、これはある程度、人口の稠密なところに置かないと、みんな困ってしまうと。一方、職業訓練支援センターは、土地の関係もありますので、結構中心地から離れたところにあるところもあると。もちろん、中心地に近いところなどでは、そこに統合した場合でも、余り利便性が低下しないだろうと判断できるところについては統合を進めていくと。例えばで恐縮でございますけれども、岩手県の場合、訓練施設は花巻にあります。そうすると、メインは盛岡ですから、そうすると盛岡の人に花巻まで来てくれというのは無理な話でございますので、そういうところはなかなか難しいですよねと。ただ、香川の高松などは、割と近くにありますので、そういうところから進めていこうと考えております。
【梅里臨時委員】  それは具体的に資料としてお示しいただけますか。どの分については統合が可能というふうに考えているというようなことですね。
 それから、今、お話しいただいたように、統合ができないというふうに考えているものについては、後ほどで結構ですので、その理由を併せて御提出ください。
【小川部長】  では、とりあえずできるものとしては、先ほど申し上げました高松と、青森と、それから福島でございます。この3カ所につきましてはセンターが近いということもございますので、まず、その先行的にやっていこうと思っております。
【梅里臨時委員】  あと、できないところの理由もお知らせいただけますでしょうか。後ほど資料で結構でございます。
【小川部長】  分かりました。
【阿曽沼分科会長】  よろしいですか。
 この分科会での回答というのは、具体的かつ合理的に、前向きな回答を求めているわけで、お聞きしていると非常に御回答が冗長的であるということと、4年間たって、明らかにしていかなければならないという回答が、この時期に及んであるということを大変悲しく思いますね。できないということを前提にスキームを考えると、もっともらしい理由が一杯つきます。しかし、できるということを前提にスキームを考えると、汗をかいた状況が見えて、知恵が出てきます。そういった具体的な汗をかいた検討、もしくは行動、アクションの中身が我々に見えてこない。だから厳しい御質問が飛んだのであろうというふうに思います。
 皆様方から、各地方自治体の状況についてアンケート調査を行ったというお話がありました。現地・現物・現場主義で皆さんが足を運んで、長時間掛けて、いろいろな状況を判断するための話し合いというものが、どれだけ行われてきたのでしょうか。交渉経緯、具体的な交渉内容、克服すべき課題が何なのか、そして、その克服すべき課題で、どのように対応を組織として行っていくのか。それは今、梅里委員がおっしゃったような、資料が欲しいということにもつながりますけれども、まずは、ここをきちんとお示しいただくことにより、委員としての、委員会としての理解が深まるのではないかと思います。
 それから、ポリテクセンターに関して、「ニーズがあると考えています。」という御回答がありました。その考えている根拠のインジケーターって何ですか。その数値って何ですか。判断をして、考えている根拠には、必ずきちんとしたエビデンスがあるはずです。そのエビデンスを示さないで、ニーズがあると考えているという回答ばかりであれば、やはり我々は納得できないということでありますので、もう少し議論をワーキングにおいて深めていっていただきたい。
 それから、行政区割りが人の移動と生活と一致しないのは明らかでありますから、そういったことを観点に考えていくと、やはりいろいろな知恵が生まれてくるのではないかと思います。委員の先生方の御質問と皆様方の回答をお聞きして、分科会長として、そのように思っておりますので、是非、より具体的かつ合理的で前向きな回答を頂きたいと思っております。
 よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。
【小川部長】  先ほど分科会長からの御指摘も踏まえつつ、当然のことながら、組織の不断な合理化・見直しについては当たり前のことでございますので、引き続き努力していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【阿曽沼分科会長】  よろしくお願いいたします。
 それでは、時間の都合もございますので、高齢・障害・求職者雇用支援機構につきましては、ここで一旦、議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中、御協力を賜りまして、本当にありがとうございます。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、十分に御質問ができなかった委員もおられると思いますので、その場合、後日、事務局から通じて照会をいたしましたり、先ほど言いましたように、必要に応じてワーキング・グループでの再度のヒアリングをお願いしたりということがございますので、その際には、御対応、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
【小川部長】  どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  続きまして、文部科学省所管1法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行いたいと思います。本日は、文部科学省、小松高等教育局私学部長を初め、御担当の皆様にお越しをいただいております。
 それでは、日本私立学校振興・共済事業団の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただき、その後、質疑応答を行いたいと思います。
 全体の時間の関係もございますので、5分程度ということでございますが、よろしくお願いいたします。
【小松部長】  失礼いたします。文部科学省の私学部でございます。お時間が大変限られておりますので、すぐ説明に入らせていただきます。
 お手元に見直し当初案の資料があるかと思いますが、これを中心に5分程度でさせていただきます。
 ページ1は、基本的な構えが書いてございますけれども、今回の中期目標期間の終了に伴いまして、今後の事務事業の在り方につきましては、そこにございます、それぞれの事業運営の課題に対応した見直しなり取組を進めていきたいというふうに考えておりますが、主な事業については、後ほど少し申し上げたいと思います。
 いずれにいたしましても、これらの業務の遂行の状況に応じた人員配置など、実情に即した形で体制を何とか確保していきたいということでございます。
 私学事業団のこうした助成等の業務の運営でございますけれども、これは私立学校への貸付事業に係る貸付金の金利、利息等の利益収支差額を財源といたしまして、国からの運営費交付金というものを受けずに、人件費を含めまして、全ての事務・事業の実施に係る経費を賄っております。
 この貸付の原資は、例えば、共済の労使の掛金等、運営経費は、要は私学の負担による部分が非常に大きいというのが特色でございます。
 そして、こうした形で処理いたしました後、利益が計上されました場合には、これを財源として、私学事業団法の規定がございますので、それに基づいて、私学教職員の研修事業に対する助成金の交付、それから共済の長期勘定への繰入れを行うというような形で、私立学校に利益を還元するような、循環型パッケージ事業という言い方をしていますが、そういう業務運営を行っておりまして、今後とも安定的に、こうした運営ができるように、運営の効率化についても努力していきたいという構えでございます。
 それから二つ目に、中期目標の達成状況。これはページ的には2ページから5ページの辺りに数値等が書かれてございますので、これを御参照いただきながら、簡単に申し上げます。
 ただし、2ページ目の一番頭のところを御覧いただきたいと思いますが、私学事業団本来は、私学団体の拠出により設立された、これは昭和20年代ですが、財団法人私学振興会が母体でございまして、学校教育において私学の果たす役割の大きさに鑑みて、法令等に基づく私学の自主性の尊重の下に、教育条件の向上とか経営の安定、あるいは共済制度の運営をする特殊法人ということで、二つの特殊法人を統合して設立されておりますが、このうち助成業務については独立行政法人の管理運営手法を取り入れているというのが、本法人の位置付けでございます。
 そして、現在の第2期中期目標期間につきまして、まず一般管理費等につきましては、一般管理費総費用の削減、人件費の削減のいずれも中期目標を達成して、さらにプラスアルファ達成しているということで、効率的な業務を行っているというふうに捉えられると思っております。
 それから、それは数字で見ていただきまして、6ページ目から12ページ目までに、業務が箇条書的に記させていただいておりますけれども、主立ったところというので、ちょっと絞って、三つほど言及させていただきます。
 一つが補助事業でございます。私立大学等経常費補助金ですが、これは昭和50年に議員立法で成立いたしました私学振興助成法に基づき行っております私学の自主性尊重という制度上の要請から、私学事業団が配分、交付を行っているという仕組みでやってきておりますけれども、今期の中期目標、中期計画について申しますと、その配分方法の見直し等について、例えば、定員超過による傾斜配分の強化といったようなことを実施してまいりまして、着実に実施しております。
 詳細は資料の後ろの方、17ページとか、そういうところにありますので、また御覧ください。
 それで、我が国の大学高等教育、特に学部段階の8割は私大で担っているということがありますので、その財政基盤の確立というものは非常に大きな政策課題になっておりますので、今年の6月、大学改革実行プランというものを文部科学大臣が発表いたしまして、この中でのポイントは、基盤的経費の充実と一層明確なメリハリある配分ということでございます。そこで、今後のことにつきましては、これを踏まえて、配分方針の工夫や改善等、補助効果を高めていくというのが基本方針ということになります。
 それから、もう一つ言及させていただきたいのは貸付事業でございますが、これは資料のページでは7から8ページのところを御参照いただきながら、私学振興助成法に基づいて、これは私学振興のために実施している貸付でございますが、先ほど申し上げましたように、事業団の運営は、これをもって行われております。これの運用をもって行われておりますので、継続的・安定的な実施を図るということは非常に重要だということで、慎重かつ着実な運用を行うというのが基本でございます。
 今期の中期目標、中期計画につきましては、貸付審査基準の見直しやリスク管理の機能の強化ということを着実に実施してきたというふうに捉えております。
 今後のことにつきましては、各学校法人に対する各種の調査や融資相談会といったようなものを通じまして、借入希望の的確な把握をすること。そして、私学のニーズに応じた資金の提供を図るように、事業や貸付条件を常に見直していくように努めたいということでございます。
 学校法人、教育改革とか管理運営体制の強化ということが一つの課題になっておりますので、こうした点について、資金提供のニーズにもこたえていく必要があるというふうに考えております。
 それともう一つは、耐震改築ですね。大震災や、その後のいろいろな震災予測等によりまして、耐震化の促進は喫緊の課題でございますので、それを進める上で、融資促進の充実・強化ということも必要かと思っております。ただ、その場合に、与信の審査とか、リスク管理機能をしっかりしていくことは大きな課題だと思います。
 最後になりますが、1点だけ申し上げます。
 資料でいいますと、12ページのところに掲げてございます経営支援・情報提供事業でございますけれども、最近の私学の状況という経営環境を考えますと、経営支援や情報提供事業というのは、次の中期計画の期間において、ますます重要性が高まると考えておりますので、その充実に取り組んでいきたいという考え方でございます。今期も中期目標計画では、こうした事業については着実に実施をしてきたということですが、先ほど挙げました大学改革実行プランでは、早期の経営判断の促進とか、大学ポートレートの確立といったようなことが打ち上げられている中で、私学事業団の役割が重要だということが、中教審、その他から提言されておりますので、これをきちんとやっていきたいというふうに考えております。
 以上、事業をちょっと三つに絞って説明させていただきましたが、私学経営をめぐる状況が非常に変化をして、複雑化もしておりますので、それへの支援方策も、高度化・専門化といったようなさまざまな要請がございます。こういった中で、事業の効率化に努めながら、事業団の機能、役割をきちんと果たしていくというふうにしていきたいということでございます。
 以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 御説明いただきました見直し当初案について御質問がございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。
 縣委員、よろしくお願いいたします。
【縣臨時委員】  どうも御説明ありがとうございました。
 文部科学省が大学改革実行プランというのをお出しになったというのは、日本の今後の高等教育の方向、それから具体的にどういう展開をするのかということを考える上で非常に重要でございます。社会的には非常に注目されていると思いますので、ぜひ、そこを綿密にお考えになって、実行していただきたいというふうに心から望んでおります。
 その上で、この事業団について、例えば、補助事業の場合、補助金を削減するということで、私学の経営改善を促すというやり方を御説明いただきました。それを踏まえた上で、実行プランの中では、定員充足状況に応じて減額をしていくということが書かれています。それをもって、具体的にどのように経営の改善につなげていくというお考えでいらっしゃいましょうか。少し具体的にお話していただけないでしょうか。
【小松部長】  その前に、私の聞き違えかもしれませんが、補助金についてはですね、削減をもって何かをするとか、増額をもって何かをするということを、今、ここで申し上げているつもりではございません。
【縣臨時委員】  只今ご説明のあった部長の話ではなくて、前のワーキング・グループでのヒアリングで、課長方から伺ったときに、それが一つのツールといいますか、方式であるということを受け止めて。
【小松部長】  分かりました。それは削減ということではなくて、配分のメリハリを、今の御質問のお答えになると思いますが、配分のメリハリをつけていくということです。最初の私学助成というのは、昔の私学助成の考え方は、教員、学生等、これは基盤的経費ですので単価ではじきますけれども、それは基本的には一律にやっていただくということなのですけれども、経営努力に応じて、それの傾斜配分をするということを強めてきております。一つは、定員充足状況ということでございますけれども、定員と教員の関係というのは、社会的な約束として、これだけの人をこれだけの質で教育をするということがございますので、それを著しく学生数が上回ることも、それから著しく下回って支持を得られないということも問題がございますので、これらについては別にいけないとは申しませんが、特に補助をするというのは、助成金の額も限られている中で非常に厳しゅうございますので、ここはメリハリをつけさせていただくと。しかし、そのほかに、例えば教育研究経費を学納金で見たときの比率とか、あるいは各教員の方々がもらっていらっしゃる給与のレベルとか、そういったものについては、一定の基準を設けまして、リーズナブルに行われているというものについては満額が出るように、しかし、その単価に比して、リーズナブルでないと思われるものについては、別に法律違反ではありませんけれども、特に補助をすると、特に国として推奨するということにはなりませんので、その分については減額をさせていただくと、それが先ほどの削減というふうにおっしゃっていた趣旨だと思いますけれども、そういったメリハリを事業団においてつけていただくと。これらについては、外部の有識者の委員会で、その方針を決めていただいて、そして、それを見せた上で、各私学、学校法人の運営のリーダーシップを発揮していただくときのツールにしていただくというのが考え方でございます。
【縣臨時委員】  そうしますと、財団や御省の方針とされては、そういう会計的なところを取り上げて、それに財政的なインセンティブというのをかけていくということですが、内容的には、やはりそうしますと、各学校が、その上で、どのようなことについて自分で可能なのかという判断をしろという、そういう御方針ですか。
【小松部長】  はい。基本的には運営責任、機動的にどう運営をするかということは、各学校法人の責任において運営をしていただくわけでございますので、その基盤的経費の一部を、国としては、公教育の重要性に鑑みて支援をいたしますが、その中で、国民から強制的に頂いているお金の配分ということになりますので、そのリーズナブルな形で行われているものについては、その分だけ満額行くと。それが、なかなかそういう理解を得にくいようだなということになれば、その単価の配分は減らすということでございます。
 もう少しだけ申し上げますと、私学助成は一般補助と特別補助に分かれております。今申し上げておりますのは、大体、過半を占めます一般補助の話でございますが、このほかに、メリハリの付け方としては、例えば、グローバル化に対応しようとか、成長戦略を掲げようとか、そういう政府としての政策重点がございます。これらについて、中身はあくまでも自らの工夫でございますけれども、例えば、留学生を増やして、こういうふうに取り組みたいといったときに、その単価の増をするというような政策経費的な意味での特別補助と、それから今申し上げたような機動的な運営を自分の判断でどうするかということについてシグナルを送るという、その二つの組合せでいたします。そのときの配分基準等は私学の自主性ということでありますので、外部の目を入れた上で私学事業団が決めていくと、こういう仕組みでございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。梅里委員、どうぞ。
【梅里臨時委員】  私のほうから、貸付事業で2点ほど伺います。
 事業団のほうの財政の骨格といいますか、貸付事業も重要であるという御説明があったのですけれども、十分注意をして運用されていると思うのですけれども、貸倒れといいますか、これについては注意をしていかなければいけないということだと思うのですけれども、これに関連して、学校法人のほうからの申請のときに、学校法人の運営の場合、基本的には、比較的単純なところがあるので、学生数が確保されているかどうかというのは、恐らく基本になると思うのですけど、これの見込みというのでしょうか、これについて、多分、事業団のほうでは十分に審査をしていかなければいけないということになろうかと思いますが、この学校法人のほうから出してくる学生数の見込み、これの妥当性というのでしょうか、これを事業団のほうでは、どのように審査をしていくのかというようなこと、あるいはその根拠となるような数値を、これとこれとこれは出しなさいというような形で求めているのかどうかというのが1点。
 それから、もう1点は、比較的使途をはっきり限定しないような経費融資ですか、こういったものを拡大していくというような話も伺っているのですけれども、この場合、やはり貸倒れのリスクですね。こういったものが拡大しはしないのかどうかと、この辺について、少しお考えをお聞かせいただければと思います。
【小松部長】  ありがとうございます。
 まず、御質問、貸付のいわば審査の点だと思いますけれども、私どものほうの、ちょっと今までの御説明の中で、学生数というイメージが先行したかもしれませんが、学生数の見込みは、もちろん、一番重要な指標の一つでございますが、それとともに、資金繰り表に基づいて、償還計画、それから消費収支の計画を出していただき、それに積算根拠を併せて提出していただいて、それを審査すると。それから、金融庁のいわゆる検査マニュアルに準じる形で信用格付を使うと。これらを組み合わせまして信用リスクというのを把握すると。
 その上で、まず、これは必ずしもリスクだけではなくて、公教育ということがありますので、事業の妥当性、それからもちろん資金計画の妥当性、あと償還計画の確実性ですね。それから担保を取りますので、担保物件と保証人、それと学生数等の見込みで、その中のワンオブゼムとして学生数がある。こういう形でいたしております。これがまず1点です。
 それで、拡大していくかという話ですが、拡大するかどうかはともかくとして、資金需要に応える上で、例えば、国庫補助とか、そういったものが、欧米諸国のように、もっときちんとできれば、それはそっちのほうが良いという意見もたくさんあるのですけれども、御承知のような国の財政状況の中で、どうやって工夫していくかということになりますと、資金調達は貸付による部分もかなりあるであろうと。私どもの立場としては、国庫補助の充実は必要だという立場をいつも取っておりますが、そういう一本調子ではなくて、いろいろな形をしなければいけないだろうという意味において、必要に応じて、その貸付というのをやっていかなければいけない。これにつきましては、今申し上げたような枠組みを基本にして、間違いのないようにやっていくということが必要だと思っております。
 いずれにいたしましても、これが貸倒れるということになりますと、というか、それが大きな話になりますと、先ほど申し上げましたように、運営費交付金、これが入っていないのは、いわゆる収支差補助でたまたま入っていないのではなくて、入る仕組みにしておりませんので、立ち所に事業団自身が安定的運営をできなくなりますので、そこは慎重に、きちんとしたことでやる必要があると思っていますし、私どももその方向で臨みたいというふうに考えます。
【梅里臨時委員】  ちょっと追加でよろしいですか。
 どうもありがとうございました。学生数以外に、いろいろな様子を見ていることがよく分かりました。
 学生数のところだけについて言うと、受験生に対する人気度みたいなものがあるわけですから、卒業後の就業率だとか、一定の資格を取得できるような分野においては、その合格率であるとか、いろいろなもの。あるいは、これから少子化の影響が出てくる可能性がありますので、その場合の学生の確保、どのように確保しようとしているかとか、このような資料なども併せて審査の対象にしていくというようなことであるとよろしいかなというように感じましたので。
【阿曽沼分科会長】  ほかに御質問はありますか。河村委員、どうぞ。
【河村臨時委員】  今の関係で、貸付事業についてお尋ねします。
 教育という大変大事なお仕事に対して、しかも学校の校舎であるとか、長期間の設備投資に対する貸付というところで、難しい御判断されながらのお仕事だということは重々よく分かるのですが、これから先を見たときに、もう抗いがたいこの国のトレンドとして少子化というものがあると。もちろん、それは教育をなさる側としても、どんな分野の教育をするかとか、それから世界的な経済の変化に対応できるような教育の仕方をするとかにより、工夫でもちろんカバーできるところもありますし、あとは学校の立地にもよるようなところがあろうかとは思います。ただ、やはり抗いがたいトレンドとしては、少子化ということがあるということと、あと、やはりいろいろな観点で、きちんと資金繰りとかを判定していらっしゃるということを伺って、もう本当、このとおりだと思うのですけれども、やはり学校法人のキャッシュフローのことを考えると、一番重要な部分というのは、梅里委員も言われたように、重要なことは、将来的に安定的に学生さんがいて、入ってくれて、授業料を払ってくれてということだと思うのです。そこが、これから先どうかというときに、やはり今までとは異なり、大分状況が厳しくなってくるかなと思うのです。それは何も、各学校法人の努力が足りないとか、文部科学省の発破のかけ方が足りないとか、そういう意味ではなくて、この国全体的な経済的なトレンドとして、非常に成長することは厳しい。そういう中で、これから先どうかというようなことをお考えになられたときに、先ほど実際に、もう返済が難しくなってしまったような法人に対して、どう対応するかというような辺りの御説明もあって、例えば、据置期間の伸長を図る。要するに、これは、元本返済を一定期間免除するということですよね。それから、充当順序の変更を行うというのは、要するに、抵当権の順位を下げるというような形ということで、もう、こうなってしまったら、こういうふうにしなければいけないのかもしれませんけれども、こういうような事例に今後ならないようにするためにはどうするべきか。審査基準を厳しくするというのもあろうかとは思うのですけど、一つお尋ねしたいのは、ちょっと学校法人に対して厳しいようですけれども、例えば、この案件一つ、設備投資が出てきたと。微妙だけど、やってもいい気もするけど、ちょっと厳しそうなものがあるなといったときに、例えば、今であれば、元本返済というのは、普通に元金均等返済の条件でお貸しになられているというふうに伺ったのですけど、例えば、その期間が10年ぐらいなら、まだ先読めるかなと思うのですけど、20年後、30年後の学生数、経済状況はちょっと読み切れないところがありますよね。そういうときの不測の変化とかにも対応できるといったようにする意味で、例えば、条件等は10年単位で決めるような形にするという工夫も一つできますし、あとは、ちょっと法人側に厳しいかもしれませんけれども、元金均等返済とおっしゃったのを、もうちょっと期近なところに前倒しで返済していただくような厳し目の条件でお貸しになる。それで耐えられる資金計画になるかどうかというような工夫をなさることによって、本当にきちんと貸したお金が返ってくるかということも考えられると思います。もともと交付金も入らない、運営費交付金も入らない形でやっていらっしゃるというふうに先ほどお伺いしましたので、この事業団が、そのまま存続していけるかどうかにも関わってくることだと思います。これから本当に、日本経済が厳しい状況に入っていくと思いますけど、そういう外部環境の変化がある中で、ちょっと厳しいかもしれませんけど、そういう形で金融のやり方というようなものを変えるような検討されてもいいのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
【小松部長】  いろいろなリスクの立場から御提言いただいてありがとうございます。
 それで、これもちょっとバランスの問題になると思うのですけれども、まず実情から申しますと、貸付のかなりの部分は施設の更新になるのですね。そうしますと、施設設備投資の償還期間については、基本的には相当な額にならざるを得ないということがあります。
 それで、その場合、ほかの公共的なものでもそうなのですけれども、資金計画の立てやすさからすると、いわゆる元金均等償還が非常にやりやすいというか先行きが見えやすいので、その形にして、それがうまくもつかどうかを与信できっちり見るというのが基本だとは思っています。これは実情に照らすとそうなるということです。
 ただ、もしかすると御説明していなかったかもしれませんが、償還能力、確かに差がありますので、貸倒れリスクを回避するという観点からは、幾つかの、例えば、償還期間とか、そういったものがあったほうがいいということもありますので、先ほど申しましたように、メインのところは原則として20年でやっていますけど、個別に審査をしますので、今で申しますと15年、あるいは10年、あるいは6年といったようなものを設けております。先ほど申しましたように、基本は20年でというのは施設設備の更新ということが念頭にありますけれども、そういった形で貸付を行う場合もあると。
 それで、先に早くいただいてしまうということもあり得るかもしれませんが、それは今、行っていないのですけど、基本的には、例えば、6年とか10年ということになりますと、均等割りにしたとしても、毎年毎年返すお金が高くなりますので、そういう意味では、そうした効果が、今、御指摘のような効果が得られますので、基本的には、そういう形で差を幾つか設けて対応すると。ただ、やはり与信というか、審査に一番係ることかと思っております。そういう体制で全体を回したいというのが私どもの考えでございます。
【阿曽沼分科会長】  大体よろしいでしょうか。では、河村委員、手短に、どうぞお願いします。
【河村臨時委員】  もう一つ、別の観点のところで、お尋ねしたいのですが。最初の御説明のところで、循環型パッケージという御説明があったのですけれども、この事業団の中でのお金の繰り回しというか、循環するような形になっているということで、利息収支差額というのが出た場合に、経費を払って、それでも利益が残った場合には、教職員の研修事業への助成金ということでやっていらしたということで、循環しているというふうに伺っています。この制度をお作りになったときには、そういう判断で良かったのかもしれません。確かにもちろん教育というのは先生があってできることであって、先生がいらっしゃらなければできなかったことで、ただ、この制度をお作りになられたのは、昭和29年だと伺っているのですけど、その当時の研修事業、福利厚生等の必要性は今と比較してどうなのでしょうか。端から見ると、すごく平たい言い方をしてしまうと、うまくたまたま制度が回って、利益が出たときに、子どもに還元しないで先生に還元しているのかなというふうに見えなくもない。そういう御判断が当時はあったのかもしれませんけれども、今の段階で、果たして、そういうふうにするのが良いのかどうかというのを、もう一度、御検討いただいてもいいのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
【小松部長】  これは多分、情勢がどんどん動いていくと思いますので、それに沿った形で受けとめたいと思います。
 最初にちょっと申し上げましたように、私学振興財団というものができていくとき、これはほかの独法とは違いまして、とにかく何もありませんでしたから、私学団体が拠出をして、何とかやっていくと。公教育であるけれども、その待遇とかからしてみますと、国公立と比較して余りにも劣った待遇では人材も得られないと。学校教育法等で定められたやり方で、教育自体は、どんな教育しても日本は自由ですけれども、かなりの制約を持ったものの中でやるという中で、どうやって、先生にしても最低限の処遇をきちんと保つかということは、その当時から今に至るも、ある意味では大問題でございます。それが昔は恩給財団があったのですけど、これは国の制度に合わせていたのですが、それをすべて統合していくというときに、余りに待遇がひどかったので、その分を私学振興財団のほうから支援するということを条件にして、やっと成立したという経緯がございます。
 その後、ずっと、おっしゃるように発展はしたのですけども、それでも払い切れないので、今回のというか、何年も前になりますが、共済と統合したときに、1回、その分を、昭和29年以前の恩給時代のもの以外は全部チャラにするというようなことをした上で、さらに今やっていると、こういうふうな長い経緯があります。そうした共済的なものというのは大体100年単位とかで計算をして、みんなで納得していくものですので、ちょっと、その当時は良かったけれども、今はというふうになかなかならないというのがあります。
 ただ、今おっしゃったように、もうそういう意味で言うと、昭和29年以前の方たちに払っているものですから、人間には寿命というものもあって、いろいろ、そこを払わなくなっていくというのは、今後の見通しになってまいります。
 そのときに、今でも不足した分しか払っていませんから、その分を、なおある程度補?していくのか、それとも、どこかで整理をして、今おっしゃったように、例えば、助成事業に回していくのか、これはおっしゃるとおり、将来において、今のその仕組みが一定の仕切りの段階を迎えた時点で相談をするということはあるのかなというふうに思います。
【阿曽沼分科会長】  よろしいですね。
【河村臨時委員】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  時間の都合もございますので、日本私立学校振興・共済事業団については、ここで一旦議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日は、御説明いただきまして、いろいろありがとうございました。
【小松部長】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。引き続き御協力のほど、お願いをいたします。
 本日は、時間の関係で十分な御質問ができなかった委員がおられるかもしれませんので、その場合は、後日、事務局からのお問い合わせ、またはワーキングの開催等がございますが、引き続き御協力をお願いしたいと思います。
 文部科学省の方々には、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
【小松部長】  どうもありがとうございました。失礼します。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  では、続きまして、内閣府所管1法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行いたいと思います。
 本日は、内閣府、河合北方対策本部審議官を始め、御担当の方々にお越しをいただいております。
 それでは、見直し当初案の主要なポイントにつきまして、時間の関係もございますので5分程度で御説明をお願いいたします。
【河合審議官】  内閣府北方対策本部審議会の河合と申します。よろしくお願いいたします。
 配布されております。1枚紙の当初案、資料3−1と資料3−2の説明資料に基づきまして、簡単に説明いたしたいと存じます。
 まず、今回の独立行政法人北方領土問題対策協会につきましては、中期目標期間が間もなく終了いたしますので、その後の新たな中期目標策定に向けて、今、鋭意、検討、努力しているところでございます。
 特に、その事務・事業の見直しに係る具体的措置につきまして、現段階における状況でございますけれども、まず一つ目の国民世論の啓発、これにつきましては、参考資料のほうの1ページ、2ページ、2枚にわたって補足説明させておりますが、御案内のとおり、戦後67年たちましたが、なお北方領土問題というのは日ロ間の重要な外交課題となっていて、解決ができていないと。そうした中、元島民の方々の高齢化、元島民の方々も、平均年齢が78歳超えるというような、かなり高い年齢になっているという中で、この島民の方々とともに、返還要求運動のあくまで中核となっていただく島民の後継者の育成ということに力を入れております。また、これは国民全体、国全体として取り組むべき課題であると認識しておりまして、そうした意味では、運動の裾野を広げていくという必要がございます。後ほど説明いたしますが。そのためにも、次代を担う若い人たちの関心を高め、正しい理解を持っていただくと、そのための青少年、あるいは青少年の方々に対する教育に携わる人たちといったような方々への啓発事業を引き続き重点としていくという必要があると考えております。
 補足の資料の方の(1)のところ、国民世論の啓発というところで、そうした趣旨が書いてありますけれども、引き続き、こうした啓発事業を行うとともに、その効果をきちんと把握するというためのアンケート等、いろいろな手法を用いまして、そうした効果を把握していくということでありますし、これからの新しい方針、中期目標の中では、このポイントとありますけれども、新たな、より裾野の広いということで、若い人たち、個人、あるいはいろいろな関係団体に加えて、民間企業、非常に協力的な民間企業もございますので、そうしたところともよく協力した新たな啓発活動もやってまいりたいということでございます。
 それから、先ほど申しましたが、効果を把握した上で、有効な広報、啓発に努めていくという意味での指標を活用していきたいと考えております。
 2ページ目でございますけれども、先ほど申しました、これからの世代を担う若い方々、青少年の方々に対しての啓発、あるいはそういう人たちに教育という形で、いろいろな形での指導、教育ができる教員の皆様方、教育者の皆様方に対しての、いろいろな啓発をやっていくということも重要と考えております。こうしたものを引き続き、その効果を把握しながら進展を図っていきたいと考えております。
 それから、同じく啓発の中で、この補足資料2ページ目の(3)のところでありますけれども、情報の提供ということで、特にこれは、この委員会の第5ワーキンググループの中でも、いろいろと御意見をいただいたところでございますけれども、特に若年層へ働きかけをするためには、そういう人たちに合った手法での広報をやるべきではないかと。より食いつきといいますか、より関心を持っていただくような工夫をするべきではないかという御指摘もありましたので、そのところにございますように、インターネット、YouTubeなどの動画でありますとか、街角ビジョン、渋谷ですとか、いろいろなところにある大きな街角のビジョンですとか、あるいは鉄道の中でのトレインビジョンですとか、いろいろな手法ございますので、そうしたものの活用についても検討してまいりたいと思っておるわけでございます。それが啓発でございます。
 次に、融資事業につきましては、いわゆる北方地域に漁業権を持っていた方、あるいは元島民の方に対しまして、昭和36年に議員立法でできました特別措置法というのがございまして、そうしたものに基づいて特別の融資制度を持っております。これにつきましては、そうした元島民の方、元漁業権者が置かれた、歴史的にも社会的にも大変難しい困難な立場、あるいは地位にあるということに鑑みまして、特別な措置を講じているところでございます。
 これにつきましても、第5ワーキンググループにおきましては、ニーズを的確に把握すると、適宜に融資メニューを見直すといったような改善といいますか、検討が必要だという御指摘をいただいておりますので、そうした御議論も踏まえまして、より、この制度が効果を発揮できますよう、いろいろと事業結果の把握、検証、あるいはそれらを踏まえた融資メニューの見直し、運用の見直しといったようなことも検討するということを盛り込んでまいりたいと考えております。
 それから、三つ目の四島交流事業でございます。
 これは20年前、日ソの首脳会談がありまして、それらを踏まえて、現在、いわゆるビザなし交流ということで、相互理解の促進と、領土問題を解決して平和条約を結ぶということで、日ソの間では首脳間で合意しておるわけですが、その間に、お互いに理解を深めましょうと。そのためには、お互いの法的立場を乱さないということを前提としたビザなしの相互の交流をやりますよということを20年前に決めまして、20年間実施してまいりましたと。これによって、相当な目的といいますか、こうした事業による相互理解は進展していると思っておりますが、いろいろと20年もたってまいりましたので、こうしたものにつきましては、いろいろな参加した方々、あるいは関係団体の方々、あるいはいろいろと学者の方々等々、いろいろな御意見がありますので、そうしたものを踏まえまして、今後の在り方については、体制の整備ですとか、交流手法、あるいはその内容、あるいはその成果の活用等について、関係する外務省とも相談しながら、ここは検討してまいりたいというふうに考えておりまして、そうしたものを踏まえた新たな事業の展開を推進してまいりたいというふうに考えております。
 これが事業の関係でございますが、あと組織の在り方等につきましては、この北方領土問題というのは極めて政策的・政治的高度なテーマであり、そうした政府の方針と、あるいは各地方公共団体でありますとか、各返還運動に携わっていただいている各般の団体、労働組合ですとか、婦人団体ですとか、いわゆる経済団体ですとか、いろいろな団体と連携をとり、かつ情報を共有していくという一つのセンターみたいな役割を果たしておりますので、引き続き、この現在の独立行政法人という形態は維持いたしたいと考えております。
 それから、その運営の今後のあり方でございますが、現在の中期目標におきましては、一般管理経費については7%、業務経費については1%の削減、効率化ということを目標にしております。引き続き、この効率化の目標を維持してまいりたいというふうに考えております。
 あと、その他のところでございますが、これは内閣府の独立行政法人の評価委員会が夏に開かれまして、そうした中でも、いろいろと御意見が出されまして、そのうちの一つとして、特にロシア語に堪能な人たちを、もちろん組織を拡大するとか増大するということではなしに、質的な向上といいますか、改善を図るという意味で、そうした職員を何らかの形で採用する、携わっていただくとか、現在いる職員の方に、そういう能力を、スキルを持ってもらうというようなことも必要なのではないかという御指摘がございましたので、そうしたものも含めて目標としていきたいというふうに考えております。
 簡単ではございますが、現在の状況は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問などがございましたら、どなたからでも御発言お願いします。
 縣委員、どうぞ。
【縣臨時委員】  御説明ありがとうございました。
 私からは啓発事業について、2点伺います。
 一つは、政治的理由によって、2011年度には前年に比べて倍額以上の交付金が支給されていると思いますが、これによって展開された事業がいかなる効果を持っていたかという点を、どのように分析されておられますか。これをお示しいただきたいと思います。
 それからもう一つは、今、御説明の中に、ICTを使って、特に若年層に啓発事業というのを展開するということを具体的にお示しいただいて、大変良かったと思います。その上で、さらに年齢別、性別、地域別にアンケートされていて、いろいろな違いというのを認識されておられると思いますけれども、対象の区別を取った上での、さらなる具体的な啓発事業の展開というのは、どういう展望を持ってらっしゃるか、これを具体的にお示しいただきたいと思いま。
【河合審議官】  分かりました。
 今、御指摘ございましたとおり、日ロの関係といいますか、もっと具体的に申し上げれば、2年前に当時のメドベージェフ大統領が、我が国の領土であるところの国後に初めて行ったというようなこともあり、大変、与党等々からも、こうした領土問題について、国民の人たちに、もっとよく理解してもらわなければいけないのではないかと。特に戦後六十数年たったということもあって、少しこの問題に対して希薄になっていないかという問題提起があり、そのために財政上の措置ということで、大幅な広報予算の増ということをいただいたわけでございます。
 それを踏まえまして、これは政府、内閣府として直接行う広報もそうですし、この独立行政法人北対協を使ってやる広報もそうですが、それぞれが一定の分担をしまして、我々としては、地方のメディアでありますとか、テレビ番組とか、新聞ですとか、そうしたものを中心とした全国的な広報を主として行い、その各地方地方の実情に合った、各都道府県等とも協力した、各地域におけるイベントですとか広報活動というようなものをやってまいったと。それで、今年で2年目になるわけでございます。
 初めてということもあって、いろいろと、そのイベントの展開等については、もう少し突っ込んだ議論はできないかとか、少しやり方が甘いのではないかという御指摘をいただいた部分も確かにございますが、全体として、相当数の動員と。人数が来れば良いというものではないのですが、多くの方々に関与していただきましたし、その模様も、例えば、各地域における、いろいろなメディアによって報道されるということもございました。また、そうしたときに行った、いろいろなアンケート等によっても、大分理解が深まったというような回答をいただいておりまして、そこは相当の効果も出てきた、広報を行った効果はあるのかなと思います。
 もちろん、だからといって、同様の、同じようなことを毎年やっていけばいいというものではないわけでございます。そうした意味で、2問目の御質問とも関係してきますが、いろいろと若い人たち、あるいは仕事を持っている人たち、いろいろな方々によって、特に接する媒体というのも異なりますし、例えば、同じ領土問題といっても、ある程度、年数、経歴を積んだ方と本当に若い方とでは、持っている知識も経験も関心も違いますので、そうしたものをよく踏まえるための、例えば、試験的なアンケートを県民大会というのをやったりするときに、ちょっと取らせていただいて、それらも分析して、属性というのですか、そうした物事の分析も行っておるところでございまして、そうしたものに応じた媒体の使い方。同じ媒体だとしても、例えば、同じテレビであっても、使う、流す時間をどうするとか、同じイベントを行うにしても、どういうカリキュラムといいますか、プログラムをするかとか、あるいは研修会みたいなものを、シンポジウムみたいなものをやるにしても、どういう内容で、どういうふうなものをやるかといったものは、その訴求対象といいますか、そうしたものを、それぞれに応じて具体的に考えていくべきものだと考えておりますし、そうした方向でやっていきたいと思っております。
【縣臨時委員】  お考えはよく分かりました。
 それで、先ほど明確に、独立行政法人として現行法の中であれば存続されるということをおっしゃりましたので、次期の中期目標・計画について二つお願いがあります。
 一つは、ここに明確に書かれておられますけれども、啓発事業の効果をどのように測定するのかということについて指標化を図られるということですから、これを、是非明確な指標としてお示しいただきたいと思います。
 今、仰せのとおり、アウトプットとしての活動については、私たちも御報告を受けて、分かっておりますけれども、それが実際、インパクト、アウトカムとして、どういう効果を持ったのかというのは、私どもも分かりにくいわけでございますから、御法人とされて、それを明確に御自分でお示しになる指標を作っていただきたいと思います。
 それから、属性別の施策につきましても、これは目標に少なくともある程度の具体性を持って書き込んでいただいて、法人の側で、さらに具体的な計画を立てていただきたいと思いますので、そこは明示していただくようにお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。
 梅里委員、どうぞ。
【梅里臨時委員】  北方領土の問題なのですけど、私も普通に東京で暮らしていて、一年二年、ほとんど目にすることがないのですね、この問題について。先ほどの説明にあったYouTubeとかインターネットを用いるというのは一つの方向ではあると思うのですけど、これもあくまで広報ではないのですよね。その情報を求めてくる、アクセスしてくる人には情報提供するけれども、そもそも、そういうものについて関心を持っていない、あるいは知らない人にとってみれば、YouTubeで流してようが何しようが、全く情報の提供、何もならないのですね。アクセス数がどれだけ上がるかということもある。
 ある意味で、例えば、テレビに広告をするとか、そういったようなことについて、ちょっと私の感覚としては、逆に余り世論を煽動ではないのですけど、高まり過ぎては困るというような、そういう配慮があって、本当の意味での活動ができないでいるのではないかというような印象ですね。単なる印象というか感覚、があるようにも思うのです。別にここでお答えいただこうということで話をしているのではないのですけどね。本当の意味で、やはり事実は事実として、きちんと日本国民に知らせていく、教育をしていくということは、そういった意味で、やはり必要なのかなと。そういう手段については、別途、やはりお考えをいただきたいなという思いがあります。
 それは前置きですけど、もう一点、融資のことについて、やはり後継者、元島民が高齢化して後継者をと言うのだけれども、第3世代の人たちを引きつなぐということ、その人たちの活動ではないですよね。やはり日本国民の活動にしていかなければいけないので、第3世代の人に対して融資事業をしたり何とかかんとかしたりということが、本当に北方領土の問題の解決につながっていくことなのかどうか。
 これ、対ロシアに対してでも、それをやっている、被害があるから、そういうことをやっているのだというようなことを言っても、それは日本国が勝手にやっていることで、何ら関係ないでしょう。第3世代の人を、どうして関係してくるのですかというような、これに対して、例えば、就学、学費を出したり、あるいは免許の取得に対しての融資をしたり、こういったことが本当に、その事業の目的にかなったことなのかどうかということに対しては、少し疑問に思わざるを得ないというふうに思うのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
【河合審議官】  まず、今の御質問に答える前に、前半の部分について、ちょっとコメントさせていただきますと、確かに外交交渉を相手と行う場合は、きちんと冷静な立場に立ってやっていかなくければいけないと思いますが、国内向けに我々が広報・啓発しているというのは、相手が悪いのだとか、不法だとかいうことをのみ強調しているのではなくて、歴史的な経緯ですとか、国際法、法と正義に照らして、やはりこれはこういう日本の主張には理由がありますよと、こういう歴史をたどってきたのですよと、大げさに言えば、我々の繁栄というのは、そうしたいろいろな戦後の、いろいろな地域、例えば、沖縄でもそうでしたし、北方領土もそうですし、いろいろな歴史があってなされてきている。そういう点を、特に若い人を中心に御理解いただきたいと思ってやっておりますし、方法につきましても、いろいろと、もちろんよく見ていただけるよう、関心ない人にも接していただけるような手法を不断に検討してまいりたいと思っております。
 今の融資の話でございますが、まさにこの融資自体が、制度ができたのが昭和36年で、これは議員立法でできましたと。いろいろな経緯があって、漁業権を持っていた方が、一切こういうところでの漁業権が、昭和25年に漁業法が改正されて、ほかの地域では漁業権の回復といいますか、保持されていたのに、この人たちは漁業権を奪われたままになっていたという。
 それから、元住民の方、島民の方について言えば、8月25日ぐらいになって、いきなりロシアがサハリンのほうから入ってきて、9月3日、あるいは5日まで掛かって占拠されたと。しかも、その後、大変厳しい状況があって、ロシア側の行動によって犠牲になった方もいますし、あるいは昭和23年、あるいは24年まで、その島に置かれた挙げ句に、サハリン経由で強制的に退去を命じられた、追放されたというような中で、ほかの方々といいますか、比べて、大変厳しい思いであったという特殊な地位にございます。
 もちろん、その方々が、そういう歴史的な経緯、あるいは社会的な状況から見て、当然でもありますが、そういう方々が、その返還運動の歴史的に見ても、現在の状況で言うと中心になっているという面もあります。ただ、そういうことで、その方々の生活の支援という意味での国としてできる最大限のサポートということで、この融資制度というのがあるのだと思っております。いわゆる戦後補償とはちょっと異なりますけれども、そういう歴史、あるいは実態、あるいはそういう地位にあったという、立場にあったということに照らしての国側の措置というふうに理解しておりまして、そういう意味で、2世、3世の方といっても、生計を維持している1代限りの方ということで限定を付しておりますし、そこはいろいろと御議論があるというのは、よく承知しておりますが、そういう、こうした今ある制度につきましては、そうした法の目的に照らしても、引き続き必要かなと思っております。
 ただ、こちらのほうにも書かせていただきましたが、今後の運用ですとか、あるいはこの制度の利用状況といいますか、状況等々については、よくいろいろと実態を更に調査といいますか、検討した上で、今後どうしていくかという点は、ちょっと検討していくべき課題かなとは思っております。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。大体よろしいでしょうか。
 縣委員がおっしゃったように、いろいろなプロモーションそのものにおける効果はどうするかという問題、なかなか難しいと思いますが、基本的に、こういったプロモーションの効果というのは、具体的には認識によって人々にどういう行動変容が起こったか、そういうことをきちんと把握することが、やはり非常に重要な効果であるとする。やることで行動変容が全く起こらなければ、これは効果がなかったということですから、そういう厳しい指標によって御評価いただくということだと思いますし、梅里委員の意見にもあったように、領土問題は今大変注目されていて、国民から見た公平感といったようなものも、これから議論になってくるのではないかというようなこともあって、今後、御議論いただくことではないかなというふうに思います。
 それでは、時間の都合がございますので、北方領土問題対策協会については、ここで一旦議論を打ち切りたいと思います。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多忙中、御協力いただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 時間の関係で十分に質問ができなかった委員、おられるかもしれませんが、その場合は、後日、事務局からのお問い合わせ、照会、必要に応じてワーキングでの再度のヒアリングをお願いすることもあろうかと思いますので、その際には、御対応、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。それでは内閣府の方々には御退席いただいて結構でございます。
【河合審議官】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  それでは、5分間ほど休憩をさせていただいた後に再開をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

( 休   憩 )

【阿曽沼分科会長】  それでは、再開をいたしたいと思います。
 消費者庁所管1法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行いたいと思います。
 本日は、消費者庁、松田次長始め、御担当の皆様にお越しをいただきました。
 それでは、国民生活センターの見直し当初案の主要ポイントにつきまして、全体の時間の関係もございますので、5分程度での御説明をお願いいたします。よろしく、どうぞ。
【松田次長】  消費者庁次長、松田でございます。よろしくお願いいたします。
 説明は担当課長からさせますけれども、この国民生活センターにつきましては、来年度の概算要求におきまして、平成26年1月を目途に、国の特別の機関、消費者庁に置く特別の機関ということで、国に移管するという概算要求をしているという特別の事情がありますので、冒頭、お断りさせていただきます。もちろん、当然、独法である限りは、来年当初からきちんとやるということで考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、説明を課長に譲ります。
【村松課長】  地方協力課長、村松でございます。私のほうから見直し当初案につきまして御説明申し上げます。
 資料のほうは、資料4−1と4−2でございますが、4−1のほうを御覧いただければと思います。
 まず1ページ目でございますけれども、現在の中期目標の昨年度までの達成状況でございますが、一般管理費につきましては、毎年度、前年度比3%の削減を達成しております。業務経費につきましても、毎年度1%削減を達成しているところでございます。
 人件費につきましては、ラスパイレス指数でございますが、22年度には100.1に減少しましたけれども、23年度には100.4に上昇しております。この理由でございますけれども、国家公務員に比べまして低い給与でありました職員が、消費者庁への出向ですとか中途退職によりまして、指数算定の対象外になったという影響で若干上がっているところでございます。それから非常勤職員の給与が大幅に増加しているということから、今年7月の検証結果におきましては、松原大臣から最広義人件費を削減する旨、指示があったところでございます。
 また、保有資産の有効活用につきましては、昨年度末に相模原の事務所の研修施設につきまして、利用廃止しておりまして、以後、研修につきましては、外部施設を活用しております。
 続きまして、見直しの当初案でございます。
 広報事業につきましては、こちらは従前、相談等を分析しまして、広く記者発表、ホームページを使って注意喚起を行っておりますけれども、来期におきましても、この機能を着実に実施するということを考えております。あわせまして、国への移行を踏まえまして、事業の役割分担などにつきまして整理しまして、業務の効率化を図る予定でございます。
 次に、情報管理事業でございますが、こちらはPIO−NETの運用管理をしております。現行のシステムは、平成27年3月にリース期間が切れますので、それに合わせましてシステムの刷新を行う予定でございまして、その中で課題となっておりますデータ登録期間の入力期間の短縮ですとか、ランニングコストの削減等を行っていくということにしたいと思っております。
 続きまして、3ページを御覧ください。相談事業でございます。
 まず、※にございますように、利用者からの直接相談につきましては、昨年3月に廃止しております。来期におきましては、各地の消費生活センターの相談員からの経由相談を充実するということと、それから利用者に不便をかけないように、土日祝日相談や平日バックアップ相談を引き続き実施することとしております。
 次に、商品テスト事業でございます。二つの事業をしております。一つが相談解決のためのテストで、もう一つは被害拡大防止のための注意喚起情報を速やかに提供するためのテストでございます。いずれも消費者問題の解決・防止に重要な機能でございますので、来期におきましても引き続き実施するということとともに、NITEなど外部の検査機関を積極活用しまして、さらなるコストの削減を行う予定でございます。
 4ページを御覧ください。研修事業でございます。
 こちら、消費者問題が高度化・多様化しておりまして、相談員の方々のさらなる研鑽が必要でございますので、来期におきましても、相談員を対象にしました研修などを積極実施することとしております。また、インターネットの活用や国への移行を踏まえました役割分担の整理を通じまして、コストの削減を図っていく予定でございます。
 次に、6番、紛争解決手続事業でございますが、国民生活センターでは、平成21年4月からADRを行っておりまして、昨年度は扱った件数の約6割で和解が成立しております。来期におきましても、引き続きADRを実施するとともに、類似事案の防止や解決に資するため、終了した事案の積極的な公開を行っていくこととしております。
 事業の最後の企画調整事業でございますが、こちらは国センの企画立案などの機能でございます。国への移行を踏まえまして、業務の効率化を進めていくこととしております。
 続きまして、5ページからでございますが、組織運営に関する見直しの当初案でございます。
 まず、不要資産の国庫返納でございますが、品川駅前にございます東京事務所につきましては、品川税務署との合築でございますので、税務署が移転することを前提としまして、25年度中に国庫返納することを予定しております。
 次に、事務所等の見直しでございますが、相模原事務所については、研修施設の利用は廃止しておりますので、現在は商品テスト部が利用しております。その在り方につきましては、国への移行を踏まえまして、今後検討したいということとしております。
 続きまして、3番、取引関係の見直しでございます。
 引き続き、随意契約につきましては、原則として一般競争入札に移行するということとともに、一者応札となりました契約については、随時、改善を行いたいと思っております。
 また、契約に関する情報の公開や官民競争入札の導入につきましても、引き続き積極的に行っていく予定でございます。
 なお、これらの見直しにつきましては、平成21年11月に設置しました契約監視委員会を通じて行っていくところでございます。
 6ページでございます。
 人件費・管理運営の適正化でございますが、来期におきましても、総人件費を毎年度1%以上削減いたします。また、現在、国民生活センターでは借上宿舎制度がございますけれども、松原大臣の検証結果によりまして、これを廃止しまして、住居手当等に変更することとしておりますが、その場合でも、ラスパイレス指数につきましては100となるよう、人件費を削減いたします。
 また、最広義人件費につきましても、松原大臣の検証結果によりまして、平成21年度の水準まで削減することといたします。
 来期の中期目標の期間につきましては、国への移行の関係から、3年間を期間とすることとしておりますけれども、業務運営コストにつきましては、3年間で一般管理費は9%以上、事業費につきましても3%以上削減することとしております。
 自己収入の拡大につきましては、出版物でございます『くらしの豆知識』の販売ですとか研修の受講料につきまして、受益者負担の観点から、適正かどうかにつきまして引き続き検討を行いまして、必要に応じて見直すこととしております。
 それから、事業の審査、評価につきましては、まだ国民生活センターでは外部評価の仕組みが導入されておりませんけれども、導入につきまして検討を行うことといたします。
 最後に、組織の見直しにつきましては、国への移行の結論を踏まえまして、適切に準備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございますので、御審議よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言を願います。
 縣委員、どうぞ。
【縣臨時委員】  御説明ありがとうございました。
 次長、まさに仰せのとおりで、この前のヒアリングのときと比べまして、消費者庁に統合されるという方針が決められたということで、それを前提にお話しさせていただきますと、その上で、統合される前に、ぜひBPRを徹底していただいて、組織のスリム化というのを図っていただきたいと思います。現時点で、どういう組織の体制をとられるというおつもりかということを、ある程度、お示しいただきたいということが第1点です。
 それから、第2点は、仰せのとおりで、品川の不動産は国庫納付されるということである一方、相模原の施設はあって、そこでは研修はしていないという状況がある中で、具体的に事務所をどのように設置される御方針かということについて明確にお示しいただけないでしょうか。今、二つお願いいたします。
【村松課長】  よろしいでしょうか。お答え申し上げます。
 まず、1点目の件でございますけれども、先ほど次長のほうから話しましたように、本年8月22日に内閣府のほうで行われておりました検討会の報告が出まして、それを踏まえまして、8月28日に大臣決定ということで、それを踏まえまして予算要求を行っていくということになってございまして、25年度の定員要求につきましても、それを踏まえまして行っているところでございます。
 その中で、4月1日現在で国民生活センターの常勤役職員の数は126名でございますけれども、来年度の定員要求では、新たな国民生活センターでございますけれども、105名ということで、要は、国への移行に伴いまして、総務ですとか経理部門のバックオフィスの効率化が図れますので、その部分、人員の効率化を図ろうということを考えているところでございます。
 それから、もう1点の事務所の関係でございますけれども、先ほど東京事務所については25年度ということで申し上げたのですけれども、現状を申し上げますと、品川税務署自体の移転が延びている状況でございまして、この点、ちょっと不透明ということになっているところでございます。
 その一方で、8月の報告書では、消費者庁、それから国民生活センター、消費者委員会、三つの組織の在り方について検討されたわけなのですけれども、消費者庁自体も、現在、民間を間借りしている状況でございまして、例えば、今後の見直しということの中で、消費者庁と国民生活センターが距離的に近いところにあったほうが連携とかでつながりやすいのではないかということと、費用対効果も考えまして、消費者庁、それから消費者委員会、それから国民生活センターの三者につきまして、例えば、霞が関エリアで至近又は同一の庁舎で移転できるかどうかというところも含めまして、検討をしているところでございます。
【縣臨時委員】  ありがとうございました。
 私どもも消費者庁の中の特別な機関という表現を聞いておりましたので、特別な管理部門が残るのではないかという推測がありました。しかしながら、今伺いますと、ある程度のスリム化ということでございますので、いずれにせよ統合される前に明確な組織像というのを公表していただきたいというふうに思います。
 それから、今伺いますと、商品テストの機能が相模原に残るとすれば、やはり二つの箇所ということでしょうか。その点、完全に統合するという判断が可能かどうかということについて、御検討いただけないでしょうか。それは無理なことでしょうか。
【松田次長】  もし相模原のほうに寄せるべきであるとすれば、それはやはり相談の実際の実務、あるいは研修も、実際、もう今、全国の相談員さんの研修を、品川駅から至近のところで、ほとんどはそこでやっておりまして、なかなか相模原まで来ていただくというのは、地方の相談員さんの研修としては、非常に今やつらいことになっております。しかも宿泊施設を廃止しておりますので、そういった中で研修も無理。
 そういった中で、他方、テスト部につきましては、大きな燃焼実験室ですとか、大物が結構ございます。そういった中で、研修の施設の宿泊等につきましては廃止をいたしたのですけれども、テスト部のさまざまな実験施設等々はやはり相模原に置くべきだろうと。
 他方、相談、研修、それからADR等のいわゆる内部部局に近いような仕事をしていらっしゃるからこそ、今回、国への移管という方向で、今、要求をしているわけですけれども、そういった事務は、むしろ、今、課長が申し上げましたように、より消費者庁に近いところにあったほうがベターだという考え方のもとに、相模原に全部が引っ越すという、そういうことに、なかなかならないのではないかと思っております。
 もともと相模原の話は、首都機能移転の昭和63年でしたか、その関係で本部をむしろ相模原にして、支部を置くという二十数年前の話ですので、それはそれとして、仕様がないのですけれども、機能的に、今、全体を相模原というのは、なかなか考えにくいのではないかというふうに考えております。
【縣臨時委員】  わかりました。では、幾つかオプションを比較されて、その最適な判断をされるのだという根拠を世の中にお示しになったほうが良いのではないかと思います。幾つかモデルを立ててシミュレーションしてみた結果、今おっしゃったのが一番合理的なのだということが、皆が納得すれば良いわけですから、それをやはりオプションと比較して示していただいたほうが良いのではないかと思います。これは後日、資料で出していただければと思います。
【松田次長】  承りました。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。
 河村委員、どうぞ。
【河村臨時委員】  情報管理事業、PIO−NETのところで御質問させていただきます。
 先ほどの御説明では、システムのリース期限切れがあって、平成27年3月末にシステムの刷新をするというふうに伺ったのですけれども、それまでの段階では、どういうふうにお取り組みになるおつもりかということの記載がないもので、お尋ねさせていただきます。
 これまで、いろいろ実情等、数字伺ったり、資料見せていただいたりしていますけれども、相談を受け付けてから入力されるまでの日数というのが非常に掛かっていると。平成23年度の実績では、平均32.4日も掛かると。どうしてこんなに掛かるのかなというのが最初からの私たちの問題意識なのです。やはり、ここできちんと商品に何か問題があるということの情報を寄せられる端緒から、実際に、このセンターとして認識する、国として認識するまでに1か月以上も掛かってしまうのであれば、場合によっては、その商品によって国民が危険にさらされる期間も長くなるわけですし、ここをもっと短縮できないかというふうに本当に思うのですけど、そういった辺り、是非とも次期中期計画に、システムのどうのということよりも、運用の面で検討していただきたいと思います。もちろん地方公共団体でやられるお仕事なのでしょうけれど、そういうところを、もう少しうまくいくように工夫されることができるんではないかというふうに思いますが、そういうところを、是非次期中期目標に書いていただきたいというふうに思います。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【村松課長】  ありがとうございます。
 委員の御指摘のとおり、入力期間の短縮というところが大きな課題でございます。この点につきましては、ぜひ今後、実現に向けて取り組んでいきたいと思っておりますけれども、具体的には、PIO−NETの刷新につきましては、去年から検討会を開催しまして、7月に中間報告を取りまとめたところでございます。その中で、刷新に向けて、入力の業務改善も含めて行っていくということで、例えばということで、その遅延の大きな一つの要素になっております都道府県によるチェックですとか、あと決裁手続に時間が掛かるというところ、業務フローの改善でございますけれども、そういうところを見直していくという形でまとめておりまして、現在、各都道府県、市町村に対しまして、その中身を説明して、いろいろ意見を交換しているところでございます。そういうことを通じまして、是非、早期の実現を図っていきたいと考えているところでございますので、その点、来期におきましては、しっかり対応していきたいと思っております。
【河村臨時委員】  中期目標とまででなくても、中期計画とかに、そういったあたりを書き込まれるというお考えはおありになりますか。
【村松課長】  はい。その点も、是非検討していきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  梅里委員、どうぞ。
【梅里臨時委員】  私のほうから、商品テストのことについて、ちょっと伺いたいと思います。
 先ほどの説明で、外部の検査機関を積極的に活用していくという方向性が打ち出され、これは非常に良い方向かなというふうに承りましたが、国民生活センターそのものでも、引き続き商品テストは相模原のほうで実施をしていくのですよね。この場合に、どういう商品をテストするのかという、そのテーマの選定はどのようにされているのですか。
【村松課長】  お答え申し上げます。
 先ほど御説明しましたとおり、国民生活センターが行っているテストには二つございますけれども、そのうちのテストII、注意喚起のためのテストのほうかと思うのですけれども、そのテストIIにつきましての具体的な案件の選定基準でございますけれども、テストIの結果ですとか、PIO−NETの情報を基にしまして、被害の重大性、例えば、深刻な事故ですとか、特に子どもの事故ですとか、そういう点ですとか、拡大の可能性、多数性ですとか、急増性ですとか、それから新規性といったところを総合的に勘案しまして、部内で協議をして、それから役員会での審議を経まして選定しているというルールとなっております。
【梅里臨時委員】  そうすると、これは、内部の研究員か検査員が、その検査を実施するというということですか。
【村松課長】  内部の職員が、その検査を実施いたします。
【梅里臨時委員】  職員が行うということになると、その重大性から選ばれたテーマに、必ずしも精通した方でない場合もあり得ますよね。そのテーマによってですけれども、科学が得意であるとか、物理的なものが得意であるとか、そういう専門技術の適用できないようなテーマにおいて一番被害が大きいというふうになった場合にはどうされるわけですか。
 ということは、逆に、そのテーマの選定が、内部の職員が対応できるもの、あるいは、現在、センターのほうが持っている設備で対応できるものという基準で選ばれる可能性が高くて、本当に重大なものかなというふうには選びにくいというか、選んでも対応できないということが起こるのではないかと思うのですが。テーマの選定について私が言いたいのは、一番それに適した外部機関に委託をするというのが最も効率的な方法ではないかということです。だから、本当に、この生活センターの中で、この商品テストを続けていくことが必要なのかどうか。むしろ外部機関でやっている商品テストの結果を、それが方法論的に妥当なものであるか、その検証の仕方が妥当であるかとか、利益相反の問題がないかとか、そういったことを生活センターのほうがきちんと検証して、そういう外部機関がやっている検査結果を適正なものであるというお墨つきをつけて情報として流していくと。そういう機能に徹するというほうが、はるかに理にかなっているように思うのですけれども、その辺についてはいかがですか。
【松田次長】  御指摘は一つのお考え方。確かに国センの20名余の体制で、全ての事柄についてベストなテーマを選んで、しかも、きちんとしたプロダクトを出してと、そういうことが本当にあり得るのだろうかという御質問の趣旨かと存じます。建前はそうなっておりますけれども、これも新しい情報で申しわけございません。私ども、この8月に消費者安全法の改正をいたしまして、消費者庁発足のときからの懸案でございました、消費者事故に関する事故究明、事故原因の調査をする事故調査委員会を立ち上げ、10月1日、来週立ち上がることになっておるのですけれども、これで基本的には製品系、食品系、それから施設系その他、この三つのジャンルで、いろいろな被害拡大のおそれですとか、そういったことを、どういったことがまずいのかといったようなことを自ら調査する。あるいは評価をする。そのときのやり方においては、外部機関を使う。国センは、むしろ手近なところでちょっとお願いするとか、そういったことにもお願いもするし、本来、自分たちで、こういうのをやりたいのだけれどもというような考えを、この調査委員会のほうでもんでいただいて、そういったことも良いではないかというような外部評価を、今まで内部でやっているのではないかということであれば、調査委員会のほうのオーソライズを得て、そういうこともやるだろうと。それから、調査委員会の依頼を受けて、外部機関の一つとして調査を、分析とか、そういうこともやるだろうというような役割分担のもとに、結局、いろいろな形で外部機関を活用する。大学の研究施設とか、そういうことを活用することを我々も予定しておりますが、そういった中で、当然、テスト部のマンパワーというのは非常に大事だと思っておりますので、そういった位置付けで、消費者庁と一体となって、この事故調査の観点からの分析体制の中核を成すものと、引き続き中核を成すものという位置付けでやってもらえると思っております。
【梅里臨時委員】  引き続き、よろしいですか。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【梅里臨時委員】  内部のそういう検査に対する卓越した技術とか知識を持っている職員は、これも非常に貴重なのですけれども、私が言っているのは、その方たちにテストを引き続きやってもらうのではなくて、商品テストをやっている情報の信憑性とか方法論をきちんと検証してもらうような役割ということはあり得るのではないかと思うのです。情報として、そういったものがきちんと使えるものなのかどうかというのは、これは素人ではとても判断がつきませんのでね。その民間の検査機関がやっている、外部機関がやっている、あるいは場合によってはメーカーがそのテストをしている、そういったようなものについても検証して、正しい情報だというようなことを判断できる、そういうような非常に貴重な人材になりますので、そういう活動をしていただくと。それで、そういう情報を国センの中で、情報を一元的に管理して流していくと、そういうやり方があり得るのではないかと。必ずしも実務的にテストをすることが、そのテストをするということを国センがやっていく必要はないのではないかということを言っているのです。というのは、件数的にも対応するテスト件数にも限りがありますし、それから、先ほど言ったように、設備的な制約もありますし、先ほど来言っている場所の問題もあるわけですから、情報として一元化するということであれば、本部との統合というのも全然問題がないわけですので、そういう方向性について、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
【松田次長】  検討いたしますけれども、今、説明、もう既に累々やっておると思いますけれども、テストIのほうで、地方から、いわゆる相談支援のために、地方でもって、テストが今ほとんど省略されて、もう数少なくなっております。そういったものを引き受けている。これについて数をもっと倍増しろということで、今回、ノルマアップいたしました。そういう、現時点でテストをする材料が一つ、テストIのグループであると。その施設なり研究、分析体制をテストIIのほうにも活用するということで、完全に先生おっしゃるように評価に徹するみたいな形でやるよりも、むしろそのリソースをテストIIでも一定程度活用するというほうが、むしろ合理的ではないのかなと考えております。
 いずれにしても、いろいろな検討は、体制の検討は、今申し上げましたように10月から別な調査委員会が立ち上がるので、さらに検討いたしますけれども、そういった事情も考慮いただければと思っております。
【梅里臨時委員】  もし、内部でやるのであれば、それらが外部の機関では検査ができない、あるいは内部でやったほうが効率的だというようなことをお示しいただければ、引き続き、これは内部でやったほうが良いのかなという意見も出てくるのだろうと思うので、その辺のところを、ちょっと御説明いただけるとよろしいかと思います。
 後ほどでも結構ですけれども、これは内部で引き続きやったほうが効率的だというようなことをお示しいただけるような資料をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かございますか。大体よろしゅうございますか。
 今、梅里委員がおっしゃったこと、テストメニューの項目って一杯あると思いますし、今までのケースの中で、大体のゾーン分けが、その中には想定できないものもあるかもしれませんが、その中におけるテストのスキル、質、そういったものはちゃんとリスト化されているのだろうと当然思われますけれども、その中で、本来、消費者庁になる国民生活センターがやるべきことというのは何なのだ、これはどうしてやるのだというようなことが客観的・合理的に説明できるような資料があると、より良いのではないかなというふうに思います。
 それから、PIO−NETの問題ですけれども、32.4日という日数が掛かっていますが、情報システムとしては、非常識な時間ですよね。これはコンピュータの問題というよりも、きっと仕組みの問題だろうというふうに思いますが、決裁、手続というのが、一体何のために必要なのか。いわゆるデータというのは、そこに出てきたファクトですね。受けたものはファクトである。それが正しく受けとめられたかどうかというチェックは必要だったとしても、データギャザリングの基本というのは、発生源においてオンタイムで処理し、そこに入ってきたデータをスクリーニングしていく。そこはちゃんとしたチェックが必要だというふうには思いますけれども、やはり情報を扱うという観念からすれば非常識な数字です。例えば、毎日2,000人も3,000人も来るような大学病院が、患者さんの種々雑多ないろいろな症状を見ながら、オンタイムでデータを入力しているのは当たり前でありますよね。そういう状況の情報システムの姿がある中で、やはりこのPIO−NETのこのスキームというのは非常に理解しがたいと、こういうことでありますので、より具体的に、どういうシステムが作れれば、少なくとも1日以内に対応できるような仕組みがつくれるのか、それはなぜできないのかということを、やはりこれは明らかにしていただく。これは国民生活センターの評価が始まって以来、ずっと議論されていることですよね。ずっと議論されていることだと思いますので、そこは真剣にお考えになっていただきたいというふうに思っております。
 時間の都合もございますので、御説明いただきまして、本当にありがとうございました。ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様には、御多用中、御協力いただきまして、本当にありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。
 本日、時間の関係で十分な御質問ができなかった委員がおられると思いますので、その場合は、後日、事務局から照会をいたしましたり、またはワーキング・グループで再度ヒアリングをお願いしたりすることもあろうかと思いますけれども、その際には、御対応、よろしくお願いいたします。
 きょうは本当にありがとうございました。
 消費者庁の皆様方には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは、続きまして、厚生労働省所管の4法人のうち、後半の3法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行いたいと思います。
 本日は、厚生労働省、山越大臣官房審議官を初め、御担当の皆様にお越しをいただいております。
 それでは、勤労者退職金共済機構の見直し当初案の主要なポイントについて御説明いただきたいと思います。時間の都合もございますので、5分程度で、よろしくお願いいたします。
【山越審議官】  厚生労働省の山越でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、勤労者退職金共済機構について、御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、Iの事務事業の見直し当初案のポイントでございます。
 勤労者退職金共済機構は、中小企業の退職金共済事業と、それから勤労者の財産形成促進事業、二つの事業を実施しております。
 それで、最初に中小企業退職金共済事業でございますけれども、一つ目の柱が、1にございますように、確実な退職金支給のための取組ということでございます。
 実は、この中小企業退職金共済事業には二つのカテゴリーがございまして、一般の中小企業退職金共済事業と、後で御説明いたします特定業種の退職金共済事業がございますけれども、まず、一般の中小企業退職金共済事業について、御説明をいたしたいと思います。
 この制度は、共済制度の加入企業を労働者の方が退職したときに、退職者本人が機構に退職金を請求していただきまして、それに基づきまして退職金をお支払いする仕組みでございますけれども、未請求の退職金が存在しているという問題がございます。このため、現在の第2期の中期目標期間では、新たな未請求の退職金の発生防止ということが一つと、もう一つは、これまでに累積してきた未請求の退職金の縮減対策を実施してまいりました。
 前者について申し上げれば、退職後3回、3か月、2年、5年経過時に請求の勧奨を行うということを行ってまいりました。それから、過去に生じた5年以上経過している未請求の退職金につきましても、ある程度、時間を掛けまして、その方々の全数に対する住所の調査を実施いたしまして、住所が判明した方については勧奨をしてきたという取組を行っておりますけれども、ただ、残念ながら、まだ未請求の退職金が存在している状況でございます。
 そこで資料1−1−(2)の1ページ目の箱のところでございますが、退職金はお支払いすることが基本でございますので、それを前提として、次の目標期間。「今後は」というところでございますけれども、新たな未請求の退職金の発生防止に重点的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。具体的には、そこにございますように、被共済者退職届によって退職時の住所の把握を徹底する。それを踏まえまして、退職後3か月及びその後の一定期間経過後の請求勧奨を着実に行っていくということを、まずやりたいと思っております。
 それから、退職後、既に5年以上たっている人については、今申しましたように、調査が一巡しておりますので、効果的に対策を講じていきたいということでありまして、既に住所が把握できていて、かつ請求が見込まれる人を中心にいたしまして勧奨するというようなことをしていきたいというふうに考えております。
 2ページ目でございます。2ページ目が、特定業種の退職金共済事業。建設業、清酒製造業、林業の退職金共済事業でございます。
 この特定業種につきましても、これまで同じように取組を進めてきたわけでございますけれども、特定業種の場合は期間雇用者が対象でございます。したがいまして、少し最初の中小企業の共済事業と仕組みが違いまして、手帳に証紙を貼るという形で実施をしておるわけでございます。手帳に証紙を貼っていきまして、その手帳を更新するという仕組みでやっておりますけれども、長期間手帳の更新がなされていないというケースが存在しているということが課題となってきたわけでございます。そこで、これまでの第2期の中期目標期間では、各年度の当初において、過去3年間、その手帳の更新がない方について現況調査を実施いたしまして、その方々に退職金の請求を勧奨しているということでございます。
 この特定業種につきましては、今後の取組といたしましては、被共済者の情報を十分整備をいたしまして、引退者に確実に退職金を支給できるような対策を強化するということをしていきたいというふうに考えておりまして、具体的には、新規加入時、それから手帳の更新時に住所把握を徹底するということを、まず行いたいと思っております。
 それから、現在行っております、過去3年間、共済手帳の更新がない被共済者への勧奨に加えまして、その後一定期間経過しても、まだ未更新である方についても再度勧奨することを検討してまいりたいというふうに考えております。また、このために必要なコンピュータのシステムの整備を行ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、次のページにまいりまして、2のところでございますけれども、効果的な加入促進対策の実施ということでございます。
 この加入促進につきましては、今後は一般の中退共につきましては、中小企業の多い大都市などでの対策を強化してまいりたいというふうに考えております。また、このほか、中小企業と関係の深い地域の金融機関との連携強化をあわせて行いたいということでございます。
 それから、特退共事業につきましては、関係行政機関などとの連携を強化して、加入促進を行うことを進めてまいりたいということでございます。
 それから、次の3でございますけれども、財務内容の改善に向けた取組ということでございます。
 これは実際の運用利回りが予定運用利回りを下回った時期が続いたということがございまして、一般の中退共、それから林業の特退共で、そこにございますような累積欠損金が生じているということでございます。これにつきましては、平成17年度に機構が累積欠損金解消計画を策定いたしまして、これに従って、この累損の解消を進めておりますけれども、リーマン・ショック後におきましては、解消ペースがやや遅れている状況にあるということでございますけれども、今後、さらに安全かつ効率的な資産運用を行って、着実に累積欠損金を解消していきたいと考えているところでございます。
 もう1枚、おめくりをいただきまして、最後のページでございますけれども、もう一つの事業であります勤労者財産形成促進事業についてでございます。
 財形制度は貯蓄と融資、二つの制度からなっておりまして、貯蓄につきましては、給与天引きの制度でございますし、それから融資につきましては持家についての融資を行っております。
 ◎の一つ目でございますけれども、ここについては中小企業に対する制度の周知ということが課題でございますので、情報提供の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、2点目の融資についてでございますけれども、この融資につきましては、かつて累積欠損金がございましたけれども、今年度中に解消される見込みになっております。これを踏まえまして、そこにございますように、運営費交付金を、来年度、平成25年度から廃止するということを予定しておるところでございます。
 最後に、組織・運営の見直しでございますけれども、ここにつきましては、コールセンターの充実、あるいは電子化による業務の効率化でありますとかセキュリティの向上、(3)といたしまして、業務運営の効率化による経費削減、それから4点目といたしまして、BCP(事業継続計画)ということでございまして、災害時の事業継続性の強化を進めていきたいというふうに考えております。
 説明は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明いただきました見直し当初案につきまして、御質問などございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。
 梶川委員、どうぞ。
【梶川臨時委員】  この共済の未請求、また手帳の未更新の問題というのは、ずっと御苦労されている問題だと思うのですけれども、また退職金に係ることなので、非常に慎重に扱われなければいけないという御見解も十分に分かります。
 その上で、本当に、ある要件を超えられた人々、例えば、本当に金額が少額であるとか、本当に何十年もたたれているとか、御高齢で御存命かどうか、非常に確度が低いと。何かやはり特定な要件で、実際に少し行政サービスコストを効率化されてもよろしいのではないでしょうか。トータルでいえば、これは閉鎖系の中で社会貢献されている退職金のファンドでございますから、資金がどこかに流れてしまうということではないので、社会的に見ても、ある一定の権利を行使されない方について、何か形を整理されてもよろしいのではないかなというふうに私見としては思ってしまいます。ちょっと、その辺、問題はあるとは思うのですが、クリアされながら、時効の援用というのはなかなか難しいという御意見だとは思うのですけれども、取りに来られればお渡しするという、何かその辺を残しておかれれば、さらなる未請求への努力をされることを少し、一定層以上の場合控えられて、そのコストを、より新しい方へ向けていくというようなことも考えられるのではないかと思うのですけれども、その辺、どうでございましょうか。
【山越審議官】  今の梶川先生の御指摘は、かなり長期間にわたって未請求である人も残っているので、そこを効率化すべきではないかという御指摘だというふうに考えますけれども、過去5年間の第2期の中期計画で、そういった長期未請求者の把握が十分でないということがありましたので、全数調査もやって、そこに重点を置いて把握に取り組んできたという経過でございますが、一応、一巡いたしましたので、そこはできれば効率化も考えていきたいと思っております。むしろ、できるだけ新しい未請求者と申しますか、把握できていない人が出ないような予防対策に重点を置いて、より効率化をやっていきたいと思っています。
 具体的には、もう5年以上たってしまっている人につきましては、1ページの一番下に書いてあるところでございますけれども、これ、過去に調査をやって、既に住所が把握できていて、かつまた、その請求がある程度見込まれるものを、例えば、対象にするとか、絞り込みを行って、できるだけ効果的に、無駄のないように取組を検討していきたいと思っております。
 それで、時効の問題も検討課題なのかもしれませんけれども、先生もおっしゃいましたように、掛金に基づく退職金でございますし、それから過去に国会でも、時効は援用しないという答弁がなされたこと、そういった経過もございますので、この点はちょっと慎重に検討していかなければいけない課題かなというふうに思っております。
 以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かございますでしょうか。
 縣委員、どうぞ。
【縣臨時委員】  建退共の長期未更新者の情報については、この前伺った限りでは、非常に現代のICTとの関連でいうと、それを活用されていない状況のように思っております。それは非常に遺憾だと思いますので、是非、この機に、恐らく総務省行政管理局が言われた最適化等で情報化が進んでいると推察されるのですが、にもかかわらず、そういうところに適合されていないのはなぜか。今後、それをどのようにICT化されるおつもりかというところを明確にお示しいただけないでしょうか。
【木原課長】  担当の勤労者生活課長でございます。
 建退共の関係のデータにつきましては、御指摘のとおりデータとしての整備が不十分な点もございます。今回の見直し当初案におきましても、特定業種の関係で、効率的な勧奨を実施できるようシステムを整備するということを検討として打ち出しております。建退共の長期間の未更新者につきましても、こういった効率的な勧奨を実施するために必要なデータの整備、それが可能なシステムの整備というふうなことを進めてまいりたいと考えております。そういう方向で機構と調整を進めていきたいというふうに考えております。
【縣臨時委員】  分かりました。
 ですから、現在のハードウェアを使うのか、更新、新たに導入するのか、どういうソフトウェアでやるのかといったことを、ぜひ明示していただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  よろしいですか。
【山越審議官】  今、先生がおっしゃりましたように、建退共の長期未更新者の問題。建退共の場合ですと、御説明をしているかもしれませんけれども、日雇いの方とか期間雇用の方ですので、またどの時点でやめたということが必ずしも明確にならないという面もありまして、なかなか概念として、請求可能なものというものを、データとして、どうやって捉まえるかというのも非常に難しい面があるというのが一つあるわけでございますけれども、おっしゃるように、いろいろな属性が分からないと、対策というのも、なかなか講じられないというふうに考えておりますので、長期未更新者のデータがきちんと分析できるように、システムの面を検討いたしまして、何らかの形でシステムを改修なり構築するなりして、その情報が取れるようにしていきたいと思います。
 ただ、どういう属性で取っていったら良いのかというのは、例えば、どのくらい期間、請求されていないのかとか、年齢とか、いろいろな要素があると思うのですけれども、どの要素を採ることが解消に向けて一番効率的かというのは少し考えていかなければいけないというふうに思っていますので、具体的に、どのようなデータを取るかということは、ちょっと検討させていただきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かありますでしょうか。
 河村委員、どうぞ。
【河村臨時委員】  二つ意見を言わせていただければと思います。
 一つ目は、今まで議論になったところで、この退職金の支払い方とかデータの整理のところなのですけれども、最初、時効云々の話がありましたけれども、実際に未請求の方があると。それで、御存命であれば年齢は把握できているけれども、なかなか申し上げにくいけれども、相当な年齢に達してらっしゃる方について、本当に御存命かどうかわからない。そういう資金が一杯たまっていると。それは退職金という性格であることから、厚生労働省のお立場で時効云々ということはおっしゃりにくいのも、すごくよく分かりますし、万が一裁判にでもなればと、もしかしたらお考えになるのかなとは思います。しかし、国の制度としての運営で、これは掛金ということで閉じているから、結局、そこのファンドから誰かに払われるものだから、別に実際に掛けた方が亡くなっているかどうかというのが分からなくても、放っておいていいものなのかなということを私は思います。それこそ、こういう問題は、マイナンバーとか、きちんとできれば、本当に一発で解決するような話なのかもしれません。でも、今は本当に、長年ずっと運用してこられた制度を、いろいろな形で改修されながら、最初は恐らくきっと紙ベースで事務処理されていたものを、システムを導入されてやってらっしゃると思うのですけれども、やはり時代に合った形でということを、運営を考えていかれたほうが良いのではないか。いまだに御存命かどうか分からないような方のお金までお預かりした形で、ずっと引っ張っているとか、それから先ほど御質問があったような、長期未更新者の方を把握できないままで、そのまま放置されているとか、よその国が聞いたらびっくりしますよ。はっきり言って、先進国の政策運営のシステムではないと思いますよ。やはり、そういった意味で、きちんとやっていただくのが良いんではないか。そういう未請求の方の分のお金がたまって、結局、それを管理するための行政コストだって掛かるわけですから、やはり一定の、何かいろいろな事前の周知とか、一定の期間を、周知期間を置くとかということによって、きっちりさせることは、私は必要なんじゃないかと思います。
 これが1点目で、もう1点は欠損金のところなのです。先ほど中退共のところと林退共のところで、欠損金の解消計画が予定どおりに行っていないというような話で、リーマン・ショック等のお話がありました。もちろん、市場の影響はあると思うのですが、長い目で、5年、10年、20年ということで御覧になる場合、こういう市況の大きな変動というのはあることを前提にお考えいただくのが正しいと思います。リーマン・ショックがあったから遅れが生じているというせいにはできるものでは、私はないと思います。
 そもそも、この欠損金の解消の計画をするときに、どういう制度になっているかというと、予定利回りよりも、たまたまその年の市況が良くて、利回りが稼げた年には付加の退職金をお配りするというシステムになっているというふうに伺っています。でも、予定運用利回りを下回ったときには、その分、皆さんへの退職金のところから切るかといったら、そういう仕組みにはなっていないと。やはり対称的な制度になっていないわけで、長い目で見たとき、相場の良いとき、悪いとき、両方あると思うのですけど、良いときには退職金に上乗せして、悪いときは、特に減額しないということになると、やはり解消計画が遅れるのが当然の制度設計になっているのではないのかなと。
 実際に、その退職金をもらわれる方に、できるだけ多く差し上げたいというような、そういう御配慮があるのだろうなとは思うのですけど、そういうことを言っている限り、結局、今のシステムでは、多分、この欠損金、全然解消しないのではないかなというふうに思います。そういった辺りの見直しをお考えいただくことはできないでしょうか。
 以上です。
【山越審議官】  この退職金共済制度の運用利回りとか、具体的に言えば退職金額につきましては、5年ごとに、いわゆる財政再計算をすることになっておりまして、これは国のほうでやるわけでございますけれども、ちょうど今年がその年に当たっております。したがいまして、今年度、24年度におきまして、政府におきまして、財政再計算を行うということにしておりますけれども、具体的には、厚生労働省の中に三者構成の審議会がございますので、この財政再計算に基づく退職金額などの問題につきまして、この三者構成の審議会で御議論いただくということを予定しております。その中で、まずはよく厚生労働省の審議会の委員の方々の御意見を聞いた上で検討を進めていきたいというふうに考えております。
 もう一つ、累積欠損の解消計画は、これは機構のほうで作っておるわけでございますけれども、これを踏まえてという話になるということだと思いますので、まずは財政再計算の検討を厚生労働省で進めていくということで行っていきたいということでございます。
【河村臨時委員】  御質問は、もちろん財政再計算のこともあるのですけれども、私の質問の趣旨は、今の制度ですと、どういう予定利率を置こうとも、実際の相場によって上回るとき、下回るとき、あると思うんですね。予定利率の何か相場の見通しが誰かにできて、良い予定利回りの見通しを置くことができれば外れなくて済むというものではないと思うのです。良いときもあれば悪いときもある。そういう前提でお考えになられたほうが良い。
 現在のこのスキームというのが、予定利回りに対して、うまく運用ができて、稼げたときには付加退職金を払う仕組みになっていて、他方、悪いときには削減する仕組みにはなっていないから、やはりこれではなかなか欠損金は解消できないのではないですかという御質問なのですが、その点はいかがでしょうか。
【山越審議官】  今おっしゃっているのは、予定運用利回りを見直して、退職金額を、例えば下げるということをおっしゃっているのですか。
【河村臨時委員】  違います。予定運用利回りも問題ですけれども、何らかの予定の利回りがあったときに、相場というのは、金融の世界では、ある程度の見通しをみんな置きますよね。政府も置きますけど、結果的に、良いときと悪いときと両方あると私は思います。だから、そういうことが、中期的に5年、10年だったら、良いときと悪いときの両方来ることを前提に制度を組んでおかないと、このようにたまたま予定よりも利回りが稼げたときには、全部退職金の給付の形で差し上げてしまうと。予定より下がる年ももちろんありますよね。でも、そのときには退職金のほうは調整しないということになると、そこはやはり結果的に欠損は解消されないのではないのですか。そういう仕組みになっていないので、そういうルールというのは、再度、御検討されても良いのではないですかという御質問なのですが。
【木原課長】  予定運用利回りの在り方ですとか、それから、まさに今、御指摘のございました付加退職金のあり方、利益が生じたときに、それをどう配分するのかといったような問題、そういったことにつきましても、結局は制度の在り方として、どうあるべきかという基本的な問題でございますので、この財政再計算についての議論の中で審議会の公労使の委員の方々の御意見、御議論をお聞かせいただいて、行政として検討していく必要があるというふうに思っております。
 今おっしゃったような問題意識、良いときには付加退職金として支給するという決まりがある、そうではないときには減らすというのがない、そういう中で、累損の解消をどう進めていくのかというのを、まさにこの制度の問題、制度の運用の問題に関わるものであり、審議会での御議論をいただきたいというふうに我々も考えております。
【河村臨時委員】  予定利回りの見直しも5年に一遍ということで、ちょうどその見直しのタイミングというふうにおっしゃったのですが、そのインターバルについても、この制度だけじゃなくて、日本の年金とかも、みんな5年に一遍だと、それは横並びということは承知をしているのですけど、この御時世で5年に一遍で本当に大丈夫ですか。今年お決めになって、それが5年間通用するとは私にはとても思えないというか、もう少し機動的に予定利回りというのを御検討されるというような、そういうようなスキームをお考えいただいても良いのではないかなというふうに思います。
【木原課長】  よろしいでしょうか。法律の中では、少なくとも5年ごとに掛金及び退職金の額について検討するというふうになっておりまして、過去におきましても5年以内に見直しの検討を行ったこともございますし、そこは5年ということにこだわるわけでなく、必要に応じて検討していきたいというふうに考えております。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かございますでしょうか。
 累積欠損金の解消計画そのものが、平成17年10月の策定以降、きちんとした見直しができていないという事実を踏まえて、いろいろな御質問があったと思いますが、厚生労働省の審議会で委員の先生方の御意見を聞くということも当然重要でありますが、独法の評価委員会の分科会での意見というものも尊重していただいて、付加の退職金の在り方、予定運用利回りの考え方、それから累積欠損金の解消計画、これは三位一体の議論だというふうに思いますが、その辺も踏まえて、きちんとした御計画を立てていただくということが必要なのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、時間の都合もございますので、勤労者退職金共済機構につきましては、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中、御協力をいただきまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、主要な事務・事業の見直しに関する審議をこれからも深めてまいりますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 時間の関係で、十分な御質問ができなかった委員もおられるかというふうに思いますので、その場合、後日、事務局より御照会をさせていただいたり、もしくは、必要に応じてワーキングを開かせていただいたりということをお願いすることもございますけれども、その節はよろしくお願いをいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは、次に、福祉医療機構について御説明をいただきたいと思いますが、本日は村木社会・援護局長から御説明をお願いしたいと思います。
 全体の時間の関係もございますので、5分程度での御説明でよろしくお願いいたします。
【村木局長】  よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料の1−1−(3)というのがございます。これに沿って、御説明をさせていただきたいと存じます。
 最初に、簡単に福祉医療機構の政策金融としての役割について御説明をさせていただきたいと思います。恐縮ですが、最後の9ページを、最初に御覧をいただきたいと思います。
 福祉医療機構でございますが、貸付事業を始めとする、福祉・医療に関する10の事業を実施して、地域の福祉・医療の民間活動を、総合的・多面的に支援をしているところでございます。
 福祉・医療の経営者を取り巻く環境を見ますと、もともと収入自体が介護報酬ですとか診療報酬という公定価格により経営されているため、非常に収益性が低いということがございます。それから、小規模零細のものもかなり多く、1法人で1事業所のようなものがたくさんあるということで、財政基盤が非常に脆弱でございます。また、人員配置等の規制に加えて、人材確保が困難であるといったような問題も抱えております。
 その一方で、今回の東日本大震災への対応ですとか、それから社会政策的な面でいうと、介護基盤の緊急整備ですとか、それから、今回、法律も通りましたが、子育て支援など、ここは相当ニーズが増えているという分野でもございます。こうしたことから、国民に対して安心できる、充実した福祉・医療サービスを提供するということで、政策金融を始めとして、経営のノウハウ、情報提供など、多面的な支援を行っている福祉医療機構の役割は、大変、今、むしろ大きくなっているというふうに思っているところでございます。
 それでは、具体的なところで、資料の1ページにお戻りをいただきたいと思います。制度及び組織の見直しの基本方針でございます。今年1月の基本方針で、福祉医療機構につきましては、中期目標行政法人とすること、それから金融業務については、金融庁検査の導入と高度なガバナンスの仕組みを措置した金融業務型のガバナンスを適用することなどが示されております。この方針に基づきまして、本年度におきましては、金融庁検査の準備室を新設して、金融業務型のガバナンス適用への準備を実施しているところでございます。
 来年度以降につきましては、基本方針を踏まえまして、金融庁と調整の上、金融庁検査を福祉医療貸付について導入いたします。また、監査機能やリスク管理機能を強化しまして、ガバナンスのさらなる高度化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、具体的な業務について、一つずつ、ごく簡単に御説明申し上げたいと思います。
 2ページを御覧いただきたいと思います。福祉貸付事業でございます。福祉貸付につきましては、先ほど申し上げたとおり、介護基盤緊急整備や保育所の整備など、国の政策に見合う形で貸付けを行っております。また、審査期間の短縮や申請書類の簡素化、東日本大震災への積極的な取組を実施したところでございます。
 右側のほうに見直しの方向性が書いてございますが、平成24年7月に閣議決定をされました日本再生戦略において、医療・福祉分野はライフということで、重点3分野の一つとして位置付けられておりまして、財政投融資資金を積極的に活用するということがうたわれております。このことを踏まえて、融資対象の重点的な拡大を図っていくこと、それから東日本大震災への対応など、政策的な優先度に応じた融資の展開を進めてまいりたいと考えております。また、融資に当たっては、民間との協調融資の充実、融資相談の強化によって審査処理日数の維持を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、3ページを御覧いただきたいと思います。医療貸付の関係でございます。これも福祉貸付と同様に、政策に適合した医療貸付事業の展開、審査期間の短縮、申請書類の簡素化、東日本大震災への取組を実施しているところでございます。また、今後の見直しの方向性についても、福祉貸付と同様に、日本再生戦略への対応、それから東日本大震災への対応など、政策的な優先度に応じた融資の展開、融資相談の強化を図っていくことにしているところでございます。
 続きまして、4ページを御覧いただきたいと思います。福祉医療経営指導事業でございます。左側にありますとおり、民間と競合する業務というものについては調査をして、これについては廃止をして、機構の独自性を発揮したテーマに重点化してセミナーを行っております。また、23年度からは、民間金融機関に対するニーズ調査を実施しまして、ノウハウ普及のためのプログラムを策定したところでございます。この事業につきましては、引き続き、今後も重点化したセミナーを実施するとともに、セミナーやブロック会議において、福祉医療経営指導のノウハウの普及を図ること、また特に東日本大震災などの災害で経営が厳しい状況になっている施設がかなりございますので、ここへの経営指導、支援をしっかりやってまいりたいと考えているところでございます。
 次の事業でございます。そのページの下半分でございますが、福祉保健医療情報サービス事業、いわゆるWAMNETでございます。これは国と重複する部分や民間と競合する部分は廃止をしたところでございます。この事業については、今後は基幹的な情報に重点を置いて、情報提供していきたいと考えているところでございます。
 続きまして、5ページを御覧いただきたいと思います。上が社会福祉振興助成事業でございます。助成の対象でございますが、国として行うべきものに限定をいたしまして、これに重点化をした募集を行っております。また、外部有識者からなる委員会で審査、評価を行っているところでございます。この事業につきましては、引き続き、国が示す政策的に必要なテーマに重点を置いて、助成をしてまいりたいと考えているところでございます。
 5ページの下でございますが、退職手当共済事業でございます。こちらにつきましては、利用者サービスの向上、事務処理の効率化、組織のスリム化、コスト削減等を実施したところでございます。この事業につきましては、引き続き事務処理の効率化を図っていきたいと考えております。
 続きまして、6ページを御覧いただきたいと思います。心身障害者扶養保険事業でございます。給付を確実に行うために、毎年度、外部有識者からなる財務状況検討会におきまして事業の財政状況を検証し、公表しております。また、各種のコスト削減に努めているところでございます。この事業につきましては、今後も引き続き財政状況の検証をきちんとするということとあわせて、これは国の役割でございますが、国のほうで5年ごとに保険料の水準等について見直しを行っていただくということになっているところでございます。
 次に、6ページの下の段を御覧いただきたいと思います。年金担保貸付事業と労災年金担保貸付事業の関係でございます。この事業につきましては、平成22年度において、国が事業廃止に向けた工程表を策定して、既に今後の対応方針を公表したところでございます。この事業につきましては、この方針に基づいて対応していくとともに、事業実施中につきましては、引き続き、必要な資金の貸付けをしっかり行い、無理のない返済となるよう配慮をした審査等を行ってまいりたいと考えております。
 次に、7ページを御覧いただきたいと思います。承継年金住宅融資等債権管理回収業務でございます。これにつきましては、順次、組織のスリム化を行ってきているところでございます。今後、不良債権等、早期処理方策を策定、実施することで、業務を縮小してまいります。
 以上、駆け足でございますが、福祉医療機構の見直しの当初案についての説明は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明いただきました福祉医療機構の見直し当初案につきまして、御質問がございましたら、どなたからでも御発言をお願いいたします。
 梅里委員、どうぞ。
【梅里臨時委員】  御説明、どうもありがとうございました。
 ちょっと質問させていただきたいのですけれども、この福祉医療機構については、随分古くから、病院、医療機関等の経営を支えるという意味で機能を果たしてこられたということは十分に認識しているのですけれども、引き続き現在において、この事業を継続していく必要性というのは、やはり低金利での融資とか、そういったことが可能だという、そういう意味合いとして考えてよろしいでしょうか。
【友藤課長】  お答えいたします。
 私は福祉基盤課長の友藤でございます。やはり先ほどお話ありましたとおり、最初の役割のところでも、局長から御説明させていただきましたが、非常に介護、診療報酬というのは公定価格で低収益ということがございます。そういうこともございまして、また小規模零細で財政基盤が脆弱ということがございますので、福祉医療機構により低利で安定的に長期にわたって貸し付けるということが非常に重要かというふうに認識しております。
【梅里臨時委員】  それで、御説明の中で、民間金融機関との協調融資を拡大するというような話があったのですけれども、その協調融資をしていくことの意味合いというのでしょうか、これは融資を受ける医療機関側にとってメリットになるのか、それともデメリットなのか。その協調融資を拡大していくというのは、民間金融機関を支援しているのか。その辺のところについてのお考えはいかがですか。
【友藤課長】  事業主の方から一番望ましいのは、低利でなるべく借りられるということでございますので、私どもといいますか、福祉医療機構で全部お貸しできればよろしいのですが、なかなかそれだけでは増大するニーズ全てに対応するのは困難ということがございます。国の財政事情も厳しいということがございますので、そこは民間の力を活用させていただくということで、民間にとっても、メリットは、一つは、まず福祉関係でございますと、協調融資することによりまして、担保を拠出するといった場合に、所轄庁の許可が必要なくなると、そこが免除になるといったメリットがございます。それから、併せまして、民間企業にとりまして、融資相談ですとか審査が非常にスムーズに進むということがございます。私どもが聞いておる範囲では、結果的に、協調融資をしますと貸付利率が下がるという事例もあるというふうに承知しておりますので、事業主の方にとっては非常にメリットがあるというふうに、私ども思っております。
【梅里臨時委員】  それは民間の金融機関からの金利も低率で借りられるようになると。
【友藤課長】  はい。全部ということではございませんが。
【梅里臨時委員】  もちろん。協調の場合のほうが幾らか下がるというようなこと。
【友藤課長】  はい。下がるということはあるという。
【梅里臨時委員】  そういうメリットがあるということですね。
【友藤課長】  はい。そう聞いております。
【梅里臨時委員】  分かりました。ありがとうございます。
 それで、今、そういう意味で、協調融資した場合に、民間の金融機関と福祉医療機構のほうで、どのくらいの金利差があるかという、協調融資の案件ごとに、どのくらいの差があるのかと。要するに、民間のほうは、どのぐらいの利率で貸しているのかというようなデータは、協調融資の際にデータとして取られているのですか。
【友藤課長】  いえ、そういったデータは取れておりませんで、私ども、あくまでも機構で最初に借入申込書をいただきますので、その際に協調融資機関の予定額ですとか、償還期間ですとか、据置予定期間ですとか、予定利率とか、そういったものはございます。
 その最後どうなったかというものについては特段ございませんが、調べている範囲では、民間のほうの平均利率が1.81%という形になっております。福祉医療機構の平均金利は0.93%という形になってございます。
【梅里臨時委員】  ありがとうございます。だんだん分かってまいりました。
 それで、協調融資の場合に、医療貸付と福祉貸付とで協調貸付の割合が結構開きがあるような数字を見たんですけれども、この辺は何か理由があるのか。福祉貸付のほうで伸びていかないのか、余り力を入れていないのかよく分かりませんが、どうなのでしょうか。
【友藤課長】  そこは、確かに資料でもお出しをさせていただいたんですが、医療貸付55.8%と、福祉貸付につきましては19.8%ということで、協調融資の割合が、確かに福祉貸付のほうが低くなってございます。これは社会福祉施設のほうが、一般に医療貸付の対象であります病院と比べましても、事業規模がすごく小規模であるということがございます。そういうこともございまして、1件当たりの借入額が医療貸付事業に比べますとかなり低いという形になってございます。
 例えば、医療ですと、23年度の審査実績でございますが、病院ですと37億円が平均値になりますけれども、福祉ですと、例えば、保育所などは2.5億円という形で小規模でありまして、ロットが低いということが、まず一つございます。
 それから、低収益構造ということもございますし、経営基盤が医療機関に比べれば脆弱だということもございまして、民間金融機関にとっては、ちょっと魅力が乏しいところもあるのかなというふうに考えておるところでございまして、そういったこともございまして、ちょっと協調融資が伸び悩んでいるというところがあろうかと思っております。
 ただ、いずれにしても、国だけでは、なかなかできないということも確かでございますので、協調融資機関を一層増加できるように、そういった金融機関を増やすことで協調融資の割合を高めてまいりたいというふうに考えております。
【梅里臨時委員】  恐らく、これからだんだんニーズが高まる領域ですよね。1件当たりの金額は小さいので、とりあえずは福祉医療機構で単独で対応できているということの、その割合が高いということなのかもしれませんね。だんだん件数が増えていくということで、これから対応をお考えいただけるというふうに理解をさせていただくと。
【友藤課長】  はい。さようでございます。
【梅里臨時委員】  はい。どうもありがとうございます。
【阿曽沼分科会長】  河村委員、どうぞ。
【河村臨時委員】  今の関連でお尋ねさせていただければと思います。
 局長が最初に御説明くださいましたように、この日本再生戦略でも明確にうたわれているように、やはり日本経済を取り巻く状況を考えると、今までのような外需依存はとても無理でということで、医療・福祉分野、貴重な成長の機会ということで捉えてくださっていて、協調融資制度の充実ということで、既にもう取組の方向性が示されていて、大変これで結構なことではないか、是非この方向でお願いしたいというふうに思います。
 その中で、ちょっと幾つか、やや技術的なことをお尋ねしていきますけれども、協調融資と言っていますけれども、金融の世界で協調融資、シンジケートローンというと、普通、アレンジャーがいて、参加する金融機関、全部横並びでアレンジして、1本の同じ条件で貸すのですけど、今の御説明を聞いていると、そうではないですね。恐らくやっていらっしゃるのは併せ貸しですね。条件は民間と別なわけですものね。
【友藤課長】  そうです。
【河村臨時委員】  ですから、併せ貸しと言うほうが、もしかしたら実態に近いのかなと思いますが、是非、そういうのを進めていただければと思いますが。
 その場合に、今、例えば、福祉医療機構が出ていかれるとして、福祉の分野と医療の分野と両方あると思うのですが、融資するときの、その金額的なシェアというか、例えば、1件ですね。1億円なら1億円の案件があったときに、どのぐらいの割合で、民間との分担というのをされているか。そこをちょっとお聞かせいただきたいのですが。
【友藤課長】  大体、ざっくりとしたお話を申し上げますと、まず、やはり福祉医療機構のほうが低利で長期にわたって貸付けを行えるということで、目一杯、枠までは福祉医療機構のほうで借りられると。それで足りない部分ですね。自己資金で賄えない部分につきまして、民間金融機関のほうからお借りされるという形になってございます。
 貸付けの割合を見ますと、23年度で機構は大体40%。これは、福祉貸付のほうでございますが、43%が福祉医療機構と、民間の借入れが4.2%といったような形になってございます。
【河村臨時委員】  足して100になるときを御説明いただきたいのです。1億円借りるとしたときに、民間対機構でどれぐらいの割合で貸されますかということが、もし分かれば、ざっくりで良いのですけど。もしお分かりにならなければ、後日でも。
【友藤課長】  はい。また後日、資料でお出しをさせていただきます。
【河村臨時委員】  何を申し上げたいかというと、やはり政策金融ということでありますので、今のお話ですと、基本的に機構のほうで設けられている1件ごとの枠があると。もちろん、担保とかもおありになるのかもしれませんけど、そこの枠全額使い切ってということなのですが、やはり政策金融の在り方としては、民間の、できれば補完であるべきということを思います。それは別に民間に儲けさせるためというわけではなくて、実際に利用される社会福祉法人とか病院の側からしても、1件で使い切らないという意味でも、やはり全体の中で、どれぐらいの機構のほうが出ることにするかということに、ある程度、ちょっと目安を作られても良いのではないかと。
 日本は別に福祉医療機構だけではないのですけど、割と政策金融に対する枠のはめ方が緩いところがあります。ドイツなんかだと、もっと抑制的にやっていまして、絶対政策金融は半分を超えることはないとか、そういうやり方をして、民間にも十分リスクもとらせてということでやっている国もありますので、そのほうが、別に民間金融機関にということだけではなくて、実際に融資を受ける病院であるとか社会福祉法人のほうからしても、1件のところで何か枠を使い切られてしまうことなく、もう少したくさんの相手先に対してメリットを分かち合っていただくというようなこともできるかと思いますので、そういった形で、ぜひ民間の力をうまく取り込みながら、なおかつ成長につなげていけるような形での仕組みというのをお考えいただけると、なおありがたいかなというふうに思います。
【友藤課長】  そこにつきましては、全体の枠の問題もございますので。確かに委員御指摘のとおり、機構が持っています全体の枠が足りないと、たくさんの応募者がいらっしゃるという場合であれば、お話しのとおり、少しそういった形で機構のほうが抑制的にさせていただいて、民間のほうに少し多目に出していただくということも、当然、あり得るかと思います。枠の全体の問題もございますけれども、その辺も踏まえまして、少し御指摘の点は考えていきたいというふうに思っております。
【阿曽沼分科会長】  梶川委員、どうぞ。
【梶川臨時委員】  御質問というより、むしろお願いに近いのかもしれないのですけれども、こちらにお書きになっている、非営利で公共性が高くて公定価格で営まれている事業であると。特に、多分、福祉の分野、老人、高齢者向け、これから非常に施設が拡充されなければいけないということで、非常に事業自身もこれからの事業ではあるので、民間の金融が難しいだろうと。こういった点、全てよく分かるのですが、ある意味では、公定価格で営まれている事業で公的金融を行われるということになりますと、そこをつなぐ、いわゆる事業ガバナンスというか、マネジメント力を、借り手に対してやはり規律をかけていただくという役割は、とても大きくなられるのではないかなと。そういう意味で、ここに経営の支援事業をですね、金融機関に向けてノウハウをお出しになられるということもあったのですが、もちろん、当初、お借り入れになるときの事業計画と、相手先に御指導するのもお願いしたいところなのですけれども、その後の事業経営に対する規律性みたいなものについても、適切な貸し手責任として継続的に御指導いただける仕組みを、ぜひ御構築いただければなという、まさに成長戦略の社会インフラを担うという観点で考えますと、これ全体の介護保険料とかの絡みにもなられると思うのですけれども、国民が納得いくということもありますし、その辺、多分、これから金融情報をいろいろ蓄積され、金融機関なんかにもお出しになると思うのですが、事業体のほうも、そういう意識をなるべくつけていただけるような。
 なかなか、非営利活動での経営管理は、難しいと思います。営利活動のほうがはるかに容易で、とにかく儲からないと潰れるよという話はガバナンスが効きやすいのですが、非営利はよほど意識を持っていただくということは大変だと思うので、この機構の役割として非常に大きなものになられるのではないかなという気がいたしますので。
 医療のほうは大分、多分、歴史的に経緯があって、医療の経営改革というのは、いろいろな意味で進まれているところだと思うのですが、特に福祉分野でぜひ、1事業1施設みたいな、非常に小規模組織が多かっただけに、皆さんがガイドしていただくところはすごく多くあるのではないかなと思うので、質問というよりお願いということです。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 直接金融手段を持っていない、いわゆる医療機関の中で、間接金融をどれだけ有利に借りるかというのは非常に重要な点でありますよね。昔は鶏が先か卵が先かというので、まず市中の銀行の融資を確保してきてくださいと、そうしたら貸しますよ、みたいな議論があって、審査というものの独自性、独立性というものが、民間金融機関との中で、新たな視点での審査の在り方というのは、きっとこれから、まだまだいろいろな課題をお持ちになっているのだろうと思いますけれども、是非お願いします。
 民間医療機関そのものが非営利でありながら事業税30%取られるという、非常に不可思議な非営利企業体でありますから、そういう中での低金利で長期という二つのキーワード、これをどうやって、本当に健全経営に生かしていけるのか。プロジェクトファイナンス的な意味合いというのは非常に強いのだろうと思いますが、梶川委員がおっしゃったように、貸付先の健全経営を支援していく。本当に支援できるかという問題がありますね。それからモニタリングをどうしていくか。そういう意味では、何か民間医療の経営者のボードメンバーをつくるなり、いろいろな客観性を持った取組をしていただきたいというふうに思いますし、そういった活動を進めていただきたいなというふうに思っております。
 各御質問がありましたけれども、その辺の中で、また何か追加でこういった活動についての具体的な資料等がございましたら、また頂ければ幸いでございます。
 よろしゅうございますか。
 それでは、時間の都合もございますので、福祉医療機構については、これで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆さんにおかれましては、御多用のところ、本当にありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。引き続き御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、時間の関係で、十分な御質問ができなかった委員がおられるかと思いますが、その場合、後日、事務局を通じて照会をいたしましたり、再度、ワーキンググループでのヒアリングをお願いしたりというようなこともございますけれども、その際には、御対応、よろしくお願いいたします。
 御説明の皆さん方には、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
【村木局長】  ありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  国立重度知的障害者総合施設のぞみの園について、岡田社会・援護局障害保健福祉部長から御説明をいただきたいと思います。
 全体の時間の関係もございますので、5分程度でよろしくお願いいたします。
【岡田部長】  障害保健福祉部長の岡田でございます。では、お手元の資料の5ページから、当初案の概要を書いていますので、それに基づいて御説明させていただきたいと思います。
 のぞみの園は、昭和46年に、当時、コロニーという構想で、知的障害者の方の「終の棲家」を確保するという形で、これはのぞみの園以外にも幾つかの施設があるのですが、そうした全国のコロニーという施設として作られたものでございます。基本は、知的障害者の方に施設に入ってもらうという思想で、昭和47年につくられたものでございます。
 それから、障害者施策が大分大きく変革しまして、むしろ、どんな障害の重い方も地域で生活してもらう方向に進んでいくべきだというようなことで、施策もそんな方向に変わってきておりまして、このコロニーにつきましても、全国から、かなり重い方が入られたという経緯がございますが、そういう方についても、できるだけ地域移行をしてもらうということで、平成15年に独立行政法人に移行した段階から地域移行を積極的に進めるというような取組を、ずっとしてきたところでございます。
 前の資料にございますが、当初、平成15年に500人の入所者がいましたが、今は320人弱ぐらいということで、相当施設、地域移行を進めてきたということでございますので、5ページの今後の当初案の最初の項目でございますが、これまでの取組を引き続いて行いまして、地域移行をできるだけ進めたいというふうに考えているところでございます。
 それに伴いまして、そうした施設の利用者の減少に伴いまして、人員削減による効率化を図るとともに、効率化によって利用者に対するサービスの質が低下することのないような人材の育成・確保を図っていくということを、基本的な大きな目標にしたいというように思っているところでございます。
 ただし、現状を申しますと、10年間かけて、180人ぐらい地域移行させたわけですが、やはり重い方が残っているということ、それから平均年齢も60歳になられておられるということで、高齢者になられているということもございまして、なかなか地域移行ができるような方が少なくなっているというような現状でございますので、これまでの10年とは違って、これからは、その地域移行の移行者の数というのは、やはりスピードはゆっくりにならざるを得ないのではないかなということで考えているところでございます。
 それが基本的な大きな施設の流れでございますが、それに合わせまして、国立の知的障害者の施設ということで、唯一の施設ということでございますので、障害者総合福祉法という形で、今回、障害者自立支援法を改正させていただきましたけれども、その中で知的障害者の一つのモデル的な事業、支援事業に取り組むというような形で、この施設の運営をお願いしたいというふうに思っています。
 それが1番で、あと詳細、モデル的な事業の具体的内容は、もうちょっと後で御説明しますが、2番目として、もう一つ、発達障害児が、現在、障害施策の中で非常に大きな問題になっております。実は、この施設は、定員減の中で少しやりくりしまして、児童精神科の医者であるとか、それから臨床心理士を雇うことによりまして、そうした診療所を設けまして、児童精神に係りますケアができる体制を、この10年の間に作ってもらっております。そうしたものを、今後より一層活用していただくということで、発達障害児・者の支援のニーズに的確に取り組むということで、特に就学後は特別支援学校ということで、学校で面倒見るというようなことで、ちょっと途切れるというケースがございますが、そういうのも、全体、就学前から就職まで一貫して見られるような体制を、この施設の一つのモデル的な事業として、新たな事業として取り組むということを考えてみたらどうかということで、2番目に書かせていただいております。
 次のページでございますが、障害者福祉、特に知的障害者の福祉の事業の中で、一つ、最近大きな問題だというふうに指摘されているのが、刑務所などの矯正施設を退所した方の中で知的障害のある方がかなりいて、その方が、すぐ犯罪を起こして、また戻ってしまうというような御指摘がございます。そういう流れで、そういった知的障害者、矯正施設を退所した知的障害者に対する支援をもう少し充実するというような必要性が指摘されておりますので、それについてモデル的な取組をお願いしたいというふうに思っております。
 それから、重い知的障害者の方を、この施設、のぞみの園は預かっております。昔、知的障害ということで、よくくくられていたのですが、発達障害に対する認識が非常に広がることによりまして、知的障害と発達障害を合わせ持っているというような形で認識が広く広がるようになりまして、その発達障害の一つの形態として行動障害、多動に動き回ってしまうとか、大きな声を上げてしまうとか、そういった行動障害などを有するというような方が、かなり施設の中にもいらっしゃっているという状況でございますので、そういう方々が地域で暮らすための支援、それから施設の中で暮らすための支援というものを、先ほどの児童精神科医の協力なども得ながら、そういった支援の開発をしていきたいというふうに思っております。
 それから、年齢がどんどん上がっておりますので、施設利用者の中で、やはり高齢化が進んでいるというようなことでございます。そういった高齢者に対するケアの在り方、それから地域で住まわれる知的障害の方も、やはり高齢化が進んでいるという状況でございますので、そういった方に対しての、高齢化した知的障害者に対する支援の在り方ということについても、こののぞみの園の医療との連携を持ったというような特性を生かして、のぞみの園でモデル的な支援の確立について、引き続き、のぞみの園でやっていただきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、4番目は、施設利用者の地域移行。先ほど最初に申しましたけど、10年間ずっとやってきましたけど、だんだん高齢化、それから身体機能などの低下すること、それから家族とか親族の同意を得ることが難しくなっていること、それから障害の重い方が残っているということもありまして、受入先がなかなか見つからないというようなことでございますが、地域生活への移行に向けて粘り強く取り組んでいきたいというふうに考えております。
 今まで申しました1から4までの政策課題、それから総合支援法による新たな支援、政策課題など、国の政策目標の実現に資する分野、それから民間では対応が難しい政治的な分野について、関係者とも連携をつけながら、さらに充実を図っていくということを、この施設の調査研究なり、それから人材の養成研修というような観点から図っていきたいということで考えているところでございます。
 以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問ございましたら、どなたからでも御発言をお願いします。
 縣委員、よろしくお願いします。
【縣臨時委員】  御説明ありがとうございました。
 2点伺いますが、一つは自立支援ですけれども、仰せのとおりの支援法改正で、それに基づきますと、どういう知的障害者の方々を今後支援されるというふうに、重点がどのように移るのか。おっしゃったモデル的なものというのは、それが全部ではございませんですよね。まず、どのような知的障害の方々を支援されるというふうに展開するのかということを教えていただけますか。
 それから、発達障害の方々の場合に、ここでは就学前から成人までの体制整備と書かれておりますけれども、これは具体的にどういうことを意味していて、今までとどのように違いがあるのかということでございます。
 次に、研究につきましては、ナショナルセンターという言葉をお使いで、そこの研究の中核になられるということですが、その際に、この施設が中核として果たすべき役割と、連携して大学等協力してくれる機関との役割分担はどのように違っていて、そこで中核として、どういう役割を果たされるというお考えか。それで、研究成果が上がった場合に、それを普及させていくことがナショナルセンターとしての非常に重要な役割だと思いますけれども、その場合に、どういう方法で普及させて、その普及について、どのように評価を与える。例えば、何か目標、指標というのをお出しになるか。この2点についてお願いします。
【岡田部長】  最初にちょっと申し上げましたけれども、そもそも、この法人、のぞみの園というのは、「終の棲家」ということで、ずっとそこで、もう亡くなられるということを前提にして、当初は開園しました。各県でコロニーがあったのですが、そこでは、なかなか受け入れられないような方を集めた形で、かなり重度の方を集めて開園したという経緯がございます。
 それは1971年ですので、40年以上前に、そういう形で始まったわけですが、その間に障害者施策は大きく変わって、できるだけ地域で障害者の方が生活するということで、ずっと取り組んできていますが、それが平成18年に障害者自立支援法ができて、そこで大きくサービスの基盤が拡充できるような形になりました。それによって、従来は施設に入って、重い方は施設に入って、軽い人は地域に移行するようなイメージでいたのですが、さらに、より重い人が地域で生活して、それをどう支えていくかという形で、自立支援法の施行によって大分広がったのかと思っています。
 今回、総合支援法でも、更にそれをもう少し、更に重い方にできるような在宅サービスの給付が新しく設けられるとかいうことで、更に重い方も、より地域に帰れるような体制を作っていこうということに大きく転換して、それを財政的にというか、自立支援法でいろいろな給付を行うことによって、財政的に支えているというようなことですが、そういう形に大きく変換して、ちょっと最近、更に加速しているというのが現状でございます。
 そういう意味で、施設に入られている方で、従来、地域におられた方が軽かったのですが、重いかということで施設に入られた方も、更に地域に入っていくというときに、例えば、先ほど言いましたように、知的障害だけじゃなくて行動障害を持っている。多動であるとか、時々奇声を発するとか、パニックを起こしてしまうとか、そういう人たちをどうケアするのかというところのノウハウというのを積み重ねていく必要があります。これは施設の側でもそうですけれども、在宅でホームヘルパーの派遣をやっている事業者とか、ヘルパーが、どこをやるとパニックになってしまうとかいうことを、いろいろノウハウとして積み重ねる必要がありますので、そういうのを、この施設は、まさにフィールドとして障害者、そういう方々がいますので、そこでいろいろな経験を積んで、いろいろなノウハウを蓄積していますので、それを、先ほど言いましたヘルパーの派遣をやっている事業者の方に対しての研修事業などをやっていまして、そういうのを通じて、モデルとして、そういう事業を確立して、それをノウハウとして人材育成に取り組んでいるというような状況でございます。それがモデル的な取組の一つでございます。
 それから、二つ目の就学前から就労までの一貫したということですが、児童の障害者、障害児への支援というのは、やはり学校があるということで、学校に入ったときには、その学校にいる間は、むしろ学校の仕事というのが、従来、そういうような分け方で捉えてきていたのですが、そこをもう少し、学校に通いながらも、この施設のサービスを受けてもらって、更にいろいろな訓練をしてもらうということを引き続きやっていきたいという意味でございます。
 従前は、学校に入学すると特別支援学校のほうに移って、その間は福祉のいろいろな施策の訓練をやめてしまうことがあるのですが、せっかく児童精神科医と、それから臨床心理士の方を雇う診療所的機能を持ったところがございますので、学校に入学した後も、ずっと継続的に、いろいろな訓練を受けていただいて、最終的には、就職するまで、いろいろな就労の支援まで一貫してやっていきたいというようなことでございます。
 そういう形で、ちょっとナショナルセンターという言葉がございましたけれども、入所施設は、どちらかというと、これは基本的には300床という入所施設ですが、今までちょっと申し上げたように、入所施設というのは、どうも障害者福祉施策としては、ちょっと言葉はあれですが、時代に即していない状況がございまして、むしろ、地域にどう移行していって、その地域生活を支えていくというような観点が大分強くなっていますので、ナショナルセンターという言葉は、我々としては余りどうかなという気持ちはあるのですが、重い人を預けて、そこでいろいろとやっていることによって、これは全国で、やはり全国の施設も同じような問題を抱えていますし、そういうものの模範になっていくだろうと思っています。
 大学とかの、いろいろな連携というのも、いろいろと模索していますが、むしろ学問的というよりも、現場のケアをどうやっていくかという、そういう実務的なもののノウハウを積み重ねていくという役割は大きいのかなというふうに感じているところでございます。
【縣臨時委員】  今伺いますと、ちょっと調査研究という言葉で醸されるノウハウの蓄積というのとニュアンスが違うように感じますけれども、そこは御趣旨が分かりましたので、それは明確に、次の目標の中で、言葉をどれになさるか分かりませんけれども、役割として的確な言葉で、詳しい内容を書き込んでいただきたいと思います。
【岡田部長】  はい。
【阿曽沼分科会長】  梅里委員、どうぞ。
【梅里臨時委員】  少し伺いたいのですけれども。地域移行という言葉が出てきているのですけど、これは在宅へ移行しているのか、それとも地域の関連施設、施設収容のような形での移行なのか、この辺はいかがなのですか。
【岡田部長】  この施設から移られている方は、在宅に移られる方もいらっしゃいますが、地域の入所施設に移られている方もいらっしゃいます。
【梅里臨時委員】  なかなか在宅での、難しいだろうと思うのですね。現実面として。先ほどホームヘルパーの方の教育とか在宅の支援ということが出ましたけど、現実には、むしろそれよりも、別の施設に移っていかれるというのが多いのではないかなと想像するのですけど。そうなりますと、のぞみの園を出たけど、別にほかの施設に入っているだけということで、患者さんというのか、入所者の方から見たら、居るところが変わるだけということで、余り状況変わらないのではないか。地域移行という方針を打ち出されたというのが、言ってみればノーマライゼーションの考え方かなと思うのですけど、現実には施設収容の場所が変わっただけということになっているのではないかと思いますけど、それはいかがですか。
【岡田部長】  御指摘の点ですが、地域移行ということは、やはりどうしても重い方は帰れないというようなこともありまして、これは平成18年に自立支援法を作ったときに、そのときに従来の施設体系を大きく変更しまして、日中活動する場と、それから夜寝る場ですね。日中、昼夜を分離しようということで、これは自立支援法の大きな特徴、大きな政策目標だったのです。ですから、昔は1日一つの施設で、朝から晩まで、ずっと決められたメニューをやっていたのですが、そこを昼間は昼間で別の活動にして、夜は入所施設ということでやって、昼間はそこで選べるような形にして、昼間と夜で別々に施設サービスを受けられるような形にするというような取組もしていまして、そういう意味では、地域移行というのは、我々としては、もう少し広く捉えています。
 現実には、確かに在宅では限界があり、帰れない方がいらっしゃいますので、その中で、その人に合った、どういう施設がいいのかということを、施設に入られている方、それから御家族の方と相談しながら、御家族のそばに、地域的にそばにいたほうがいいということもありますので、そういう形に移行していくというようなことを目指しているということでございます。
【梅里臨時委員】  そのような場合に、そういう施設の方を集めた、要するに、サービス提供者側の方に対する研修とか、今までのぞみの園のほうで蓄積されているノウハウとか、こういうものの提供とか、こういうのは定期的に実施をされておられるのでしょうか。
【黒沢室長】  養成研修のほうで、施設の指導的役割を担うような職員の方、こういった方を対象にした研修を毎年定期的に実施しております。来年以降は、特に強度行動障害と先ほど説明した分野を特に注目した形での研修を組んでいこうというふうに考えております。
【梅里臨時委員】  ありがとうございます。
 どうしても、やはり重度の方が残ってしまうということだろうと思うのですが、かなり平均年齢も上がっているというお話だったのですけど、重度の方の新規の受入れというのはないのですか。
【黒沢室長】  独法に移行して以降は、その従来の重度の知的障害者の受入れという形では行っておりません。独法移行後に受け入れたのは、先ほど言いました矯正施設から退所して、地域に戻るところがない人を地域に戻すための訓練のための入所は受け入れておりますけれども、従来の入所要件に該当する方は受け入れておりません。
【梅里臨時委員】  ということは、施設としてどこへ行くのかなと思います。その他の施設ではなかなか難しい重度の知的障害を持っておられている、あるいは別の障害を持たれている方の入所の施設という役割は、新規に受け入れられていないということであればもう持たないということなのか。ということになると、今、入所されている方が、お年を召されたり、亡くなられたりしたら、自然消滅的に役割を終えるという考え方で進んでおられるのか。そうすると、そういうケアのためのノウハウとか、そういったものは、そういう方がおられる間だけ蓄積したものを提供していくという、そういうお考えで進んでおられるのでしょうか。
【黒沢室長】  のぞみの園として、独法移行後、受入れはしておりませんけれども、当然のことながら、世の中に重度の知的障害者の方はおります。このような方は、のぞみの園ができた同じ時期に、全国にコロニーという重度の方が入られる施設が幾つかできたときには、そこに入られたのですけれども、もう、そこが一杯になれば、当然入れなくなるので、重度ではない一般の知的障害者施設に重度の方も入られて、その当時は運営費が措置費と言われましたけれども、重度の方を受け入れたら加算を付けるということで、その重度の知的障害者を受け入れるための加算を設けて、一般の施設に入られていたというのが実態だと思います。
【梅里臨時委員】  だから、国の施策として、そういう重度の方の受け入れは、今、お話しのような一般の施設に入っていただくという方向で、当該施設のようなもののいき方というのはなくしていくという、そういう方針と考えてよろしいのですか。
【岡田部長】  ちょっとまだ、10年、15年ぐらい先にどうするかというのは、その段階で、もうちょっと考えたいと思っていますが、現段階では、300人というのは、施設の規模として大きいのかなと思っています。むしろ、今、御指摘のように、確かに入所する施設というのはどうしても必要なところがあると思うのですが、それは可能であれば、できるだけ地域の御両親なり身近な場所で、もうちょっと規模の小さいような形であることのほうが望まれると思うのですが、そういう観点からいくと、300人というのは、まだ大きいかなと思っていますんで、10年とか15年たったときにどうするかというのは、またその段階で、もう一度、検討をする必要があると思いますが、現段階では、まだそういった取組をしていく必要があるのかなというふうに思っているところでございます。
【梅里臨時委員】  できるだけ今までのノウハウといいますか、ケアのノウハウを地域に還元していく、そういうところを積極的に進めていただければというように思いますので、よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  よろしいですか。
 9年間で入所者37%ぐらい減っているわけですね。何年先にどうなるのかという問題は、当然あろうかと思いますけれども、国の、こういった方たちの政策全体のマイルストーンというのがどうなっていくのかということにも影響されているのだろうと思いますけど、せっかく長年のノウハウ、経験を、教育研修プログラムの開発をしたりとか、もしくはカリキュラムをサポートして、いろいろな施設運営だとか、いろいろなノウハウをお持ちになっていらっしゃったりしていると思いますので、それを世の中に生かしていくというような仕組みを、これからぜひ具体的にお示しいただくのが良いのではないかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 大体よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、時間の都合もございますので、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日は、御説明いただきまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後、主要な事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいります。引き続き、御協力お願いしたいと思います。
 また、御質問が足りない委員もいらっしゃるかと思いますので、また事務局を通したお問い合わせ、それから再度のワーキングの開催等々でお願いすることもございますけれども、そのときはまた、是非御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日は、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

(説明者等退席)

【阿曽沼分科会長】  本日、予定の見直し当初案に関する各省からのヒアリングを終了いたしました。ありがとうございました。
 最後に、事務局からの御報告、お願いします。
【北川評価監視官】  御報告ですが、まず1点、独法制度改革のための独法通則法改正案の状況でございますが、5月に国会提出され、以降、実質審議入りすることなく、先の9月8日までの国会で、閉会間際に継続審議という議決がなされまして、次の国会に持ち越されました。次の国会、秋の臨時国会開会の具体的な日時は不明でございますが、開会されたとしても、衆議院内閣委員会では、ほかにも重要法案が幾つか立て込んでいる状況でありまして、直ちに独法改革の法案の審議に入れる状況かどうかというところは依然不透明でございます。
 いずれにいたしましても、新法が成立していない状況では、現行制度が現在のところ生きておりますので、現行制度に基づく、この見直しをしっかりやっていく必要があるという状況でございます。
 国会状況につきましては、引き続き注視しまして、動きがあれば、随時、御報告申し上げたいと思います。
 それから、次回の分科会でございますが、あさって木曜日の10時から12時半、総務省の入っている2号館の10階の第1会議室で開催されます。国土交通省所管の5法人のヒアリングということになっております。よろしくお願いいたします。
 以上です。
【阿曽沼分科会長】  それでは、以上をもちまして、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。御多用の中、御出席ありがとうございました。
 ありがとうございました。

了 
 

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政策評価・独立行政法人評価委員会
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