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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(平成24年9月28日開催)議事録

日時

平成24年9月28日(金)10時00分から16時50分まで

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、山本清独立行政法人評価分科会長代理、田渕雪子委員、森泉陽子委員、縣公一郎、浅羽隆史、荒張健、岡本義朗、河野正男、河村小百合、柴忠義、鈴木豊、瀬川浩司、園田智昭、宮本幸始の各臨時委員
(総務省)
渡会修官房審議官、北川修評価監視官、竹中一人調査官、平野誠調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する各府省ヒアリング(文部科学省、財務省及び経済産業省)
  2. その他(報告事項等)

配付資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  それでは、時間になりましたので、ただいまから、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開催いたします。
 本日は、昨日に引き続きまして、今年度の見直し対象の法人27法人のうち、文部科学省所管5法人、財務省所管3法人及び経済産業省所管3法人の見直し当初案に関するヒアリングを行います。
 それでは、文部科学省所管5法人につきましてヒアリングを行います。本日は、文部科学省森本大臣官房審議官をはじめ、御担当の皆様にお越しいただいております。
 それでは、日本学術振興会の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明いただきたいというふうに思います。
 時間の関係もございますので、5分程度での御説明をお願いいたします。
【森本審議官】  それでは、資料1−2に基づきまして、日本学術振興会について、見直し当初案の御説明を申し上げます。
 まず、2ページ目から始まりますが、これが概要ということで、これは法人共通横断的な課題として設定いただいているものでございます。
 3ページ目からが見直し当初案ということ、それから4、5が総論、それ以降が事業の具体的な見直し、こういう構成になっております。
 3ページ目からが見直し当初案ということ、それから4、5が総論、それ以降が事業の具体的な見直し、こういう構成になっております。
 まず3ページ目を御覧いただきますと、左側に今回の見直しの背景について三つの枠をお示し申し上げております。2つの独法の見直しの基本方針のほか、科学技術基本計画につきましては、昨年の8月に閣議決定がなされております。ここで新しい今後の5年間の計画が明示されておりますので、これは国全体のものではございますけれども、その中で振興会についてもこういうものを反映していくということでございます。
 その中段のところでございますが、この見直しの基本方針の中では、大学連携型の成果目標達成法人という新たな類型ができましたので、振興会はここに分類されております。すなわち、大学を中心として学術研究に対する助成、あるいは研究者の養成、そして学術国際交流の事業、こういったことを従来から行ってきたわけでございますが、今後とも更にそれを効果的、効率的に行っていくということでございます。
 そのページの右側にございますが、振興会が担うべき役割として、目的、業務の範囲、こういったものがまとめられております。
 その右下に、日本学術振興会の将来ビジョン検討会報告というものがございますけれども、これは第3期の中期目標の策定に向けて、振興会におきまして、今後、学術の振興あるいは大学の教育研究をいかに向上させて強化させていくべきかということについて、学会、産業界の代表者の方にお集まりいただきまして御意見を頂いてまとめたものでございます。
 座長は、元東大総長の吉川先生にお願いいたしました。報告の中では、関係機関ともっと連携を強化したり、役割分担をして学術研究の振興を一層大学と連携しながらやっていくなどしていこうという御提言を頂いたところでございます。
 次のページでございますが、これを踏まえまして、事業を具体的にどう見直していくかということが4ページ目にまとめてございます。効率的、効果的に事業を展開するということはもちろんですけれども、3番目の大学との連携を強化というところ、これが先ほどの閣議決定にもございましたとおり、振興会の今後の方向性ということでは非常に重要というように思っております。
 その下に世界レベルの多様な知の創造、強固な国際協働ネットワークの構築、次世代の人材育成と大学の教育研究機能の向上、こういったことを柱といたしまして、このグローバル化時代に世界的な知の競争が起こっておりますので、これに太刀打ちするような、そういう強い研究力の強化を図っていく、そういうことを振興会としても担っていくということでございます。
 それから、次の5ページ目でございますが、学術研究の助成の見直しについて具体的にどうするかということでございます。
 現状と第3期の比較で、矢印の右側でございますけれども、科研費を始めとしてこういう助成は、金額的にはおかげさまで伸ばしていただいているのですが、これをもっと効果的にするために、審査システムの改善、あるいは全研究種目の基金化、これは使い勝手をもっと良くして年度の繰り越しのような煩雑な手続を避けるということでございます。
 研究種目の見直し、これは学術動向の進展に伴って種目をどんどん見直ししていくということでございます。重複等の排除、これは他機関、他省庁のシステムと整合性を図っていくということでございます。
 次に、研究者養成事業の見直し、6ページ目でございます。これも右下にございますとおり、科学技術基本計画において研究者の養成、特に若手の重要性というものがうたわれております。こういう目標に踏まえて、充実していくということとともに、ポスドクを中心として特別研究員制度というものがございます。この人たちが幅広い視野と深い教養、そして専門性を身に付けるために、研究室の移動の義務付け、それから雇用上の位置付け、処遇の改善、こういうことを改善項目として挙げております。
 それから、グローバルCOEというプログラムが競争的資金としてあったのですけれども、これが順次廃止されていくということに伴いまして、特別研究員のグローバルCOE枠というものも廃止ということになります。
 それから7ページ目、今度は国際交流でございます。この右下にございます海外の同種のパートナー機関とのネットワークを形成して、そして国際的な頭脳循環に貢献していくということでございます。
 それから、統合・メニュー化というのは、いろいろな研究者の招致事業等がございますけれども、招聘するに当たってのメニューがいろいろ複雑になっておりましたので、これを統合化・メニュー化して分かりやすくしていくということでございます。
 それから、海外の研究連絡センター、これを各国に配置しておりますが、これの機能強化ということで、情報収集の能力、そして日本からの情報発信、こういったものを強化して、国際共同プロジェクトなんかを共同で進めていく、こういう体制を強化していきたいと考えております。
 それから8ページ目でございます。学術の振興に関する調査及び研究の見直し、これも右下でございますが、新たな研究分野の創出というのが真ん中にございます。これは融合的な研究あるいは新分野の開拓、そういう意味で、審査システムの不断の見直しをしていかなければいけないというように考えておりますし、それから、シンポジウムの開催などを支援して、特定の分野について、より幅広い研究者の人たちに参加していただくということをやっていきたいと考えております。
 それから、調査分析機能の強化、これは具体的なデータに基づいて科学的根拠に基づく政策形成、こういうことに貢献するということでございます。これによって学術の動向をしっかり把握し、そしてそれに機動的に対応していくということを考えております。
 9ページ目は、業務運営の効率化でございます。一般管理費、人件費、いずれも△が並んでおりますとおり、順調に削減が進められております。随意契約についても見直しが行われております。
 10ページでございますが、第2期の中期目標期間中に行われた見直しをまとめております。不要資産の国庫納付、事業所等の見直し、二つの事務所の集約化、合理化を図っております。人件費・管理運営費は適正化ということでございます。
 それから最後の11、12ページにつきましては、事務・事業の見直しの基本方針への対応状況ということで、全て実施済みということになっております。御指摘していただいた件については、もう全て実行に移されているということでございます。
 簡単でございましたが、以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、委員の方からの御質問がございましたら、どなたからでもお願いします。
 柴委員、どうぞ。
【柴臨時委員】  柴でございます。
 既に一度お伺いしたのですけれども、科研費の中の新学術領域研究について、これだけ振興会ではなくて文部科学省が実際に主体的に動いているということで、それについて、7月23日にお答えいただいているのですが、その中でこれを審議会で今、その種目についての改善について検討しているというお話があって、それが終わるまでは文部科学省で行うということなのですが、具体的な改善の中身と、それから、いつ頃を目安として、具体的に振興会のほうに移すということについては、どういうふうにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
【岡本室長補佐】  お答えいたします。
 まず、新学術領域研究の改善の状況でございますけれども、これは7月に審議会の研究費部会というところで取りまとめをしていただきまして、20年に作ったもので、ちょうど5年間終わったところですので改善をしております。
 一つは、できるだけ優秀な方に新学術領域研究の研究をしていただきたいということで、科研費の中に重複制限のルールというものがございますけれども、これをちょっと緩めて、細かい話になりますけれども、これまでは基盤研究Sというところの研究代表者の方は計画研究の代表者になれないというルールを設けておりましたけれども、非常に優秀な方はやはりグループ研究のほうでも頑張っていただきたいということで、そこの重複は認めるという、これが1点ございます。
 それともう1点は、若い方を育てるというのは新学術領域の非常に大きな目標の一つでございますので、この領域ごとに公募研究という、比較的若い人がそのグループに入って行う研究がございますが、これも新学術領域全体でお一人1課題ということだったのですけれども、これを2課題までできるようにする、こういう改善を行っているということでございます。ですから、この改善を行った上で、25年度、新学術領域の二巡目に入っていくということでございます。
 それと、振興会への移管の関係でございますけれども、今、文部科学省が行っている種目というのは、一番大きいのは、この新学術領域というものになるのですけれども、実はそれ以外に小さいものとして、研究成果公開促進費というものがございます。これは四つの区分がございまして、既に三つは振興会のほうで行っていただいているのですけれども、一つまだ文部科学省で行っているものがございまして、こちらについては、今回、25年度の概算要求において振興会のほうに移管をするという要求を出させていただいております。既に研究成果公開促進費については、振興会のほうにかなりしっかりとした審査体制ができておりますので、こちらのほうに移せるものを移そうということがまずございます。
 新学術領域研究ですけれども、これは前回のヒアリングの際にもちょっと申し上げさせていただきましたけれども、現在、振興会が行っている審査とは、やり方がかなり異なっておりまして、いわゆる審査体制もそうですけれども、事務組織も新たに作っていく必要があるというようなところが事情としてございます。振興会の場合、非常に効率的に業務を行っていくということで、人を増やしていく、そういうところはなかなか難しいようなところもございますので、まずは制度といたしましては、今回、新たな改善をした上で25年度を始めていきますので、その定着の状況を見つつ、かつ学振のほうがその審査また評価をしっかりとできる体制ができるように、その辺をやはり見つつ移していくということになろうかと思います。
 ですから、いつというところはまだ明示することはできませんけれども、もともと振興会への科研費の移管については、将来的には全ての種目を移管していくということで進めているものでございますので、振興会のほうの体制整備、またその種目の定着状況を見て移管をしていくということになろうかと思っています。
【阿曽沼分科会長】  ほかによろしいですか。
 森泉委員、どうぞ。
【森泉委員】  森泉でございます。
 御説明ありがとうございました。私からは、1点、御質問させていただきます。
 助成事業の評価についてですが、評価は全てに実施するというのは、やはり時間や人件費の関係で非常に難しいと思いますが。しかし、現在のように種目で評価の有無を区別するのではなくて、ランダムとまではいかないまでも、ある程度大きな額については、もう少し対象件数を増やしたほうがいいのではないかと思います。
 それで、お聞きしたいのは、現在の評価対象は全体の何%ぐらいで、今後それをどのくらいまで拡充なさるおつもりかということです。
 若手研究とかは額が小さいので、それほど問題ではないと思います。私が特に申し上げたいのは、金額的なものは自動的に合うようにされているわけですけれども、研究内容の進捗状況と、それから当初の計画との間に齟齬が多少出るのは仕方がないことですが、どのくらいの齟齬があるかとか、そういうことも評価として検討なさっているのだというふうに思いますが、その辺についてもお聞きしたいと思います。
【岡本室長補佐】  まず1点目でございます。どれぐらいの割合のものを振興会自身が評価しているかということですけれども、平成23年度全体の採択件数は7万1,000件ほどございまして、そのうち600件ほど、これが振興会自身が評価を行っているということになります。特別推進研究、基盤研究等々、現在、4種目でございますけれども、それを振興会自身が評価をしているということになります。
 それと、まずそもそもの話として、委員御指摘のとおり、科研費はこれだけの数があるのに、実際に評価しているのがこれぐらいの割合ということで、全体で1%ぐらいになっております。我々自身も評価の充実は非常に重要だと考えておりまして、実は平成19年にも、研究費部会というところで、この評価の充実をどうしていくべきかということについて議論してございます。そのときもやはり問題意識として、大型種目だけで本当にいいのか、やはり不十分ではないかというような指摘もいただいております。そのときに、では、まずは何ができるのかというようなことで始めているところが一つございまして、小さい種目も含めて、振興会自身が評価をすることは難しいけれども、自ら研究者の方に自己評価をしていただこうと、もちろんこれは自己評価ですので、第三者の目で見たものではございませんけれども、自己評価をしていただいて、その状況を我々のほうに提出していただき、それを国立情報学研究所の科研費のいろいろな成果を公開しているデータベースがございますので、その中で公開をしていく。それは誰でも見られる状態ですので、どういうふうな進捗がされているかというところをまずそれで見られるようにしているというのがございます。
 それと、ちょっと観点がずれるかもしれませんが、評価そのものを充実するというところも重要だと思っておりまして、評価をするというのは、これは研究者の方々にお願いをして評価をしてございます。ですから、非常に研究者の負担になるところもございますので、従来は、中間、事後ということで評価をしていたものを、事後というのが具体的にどういうところに役立っていくのかというところがございますので、それを一つにして、まさに研究の進捗状況をしっかり見ていこうということで、研究進捗評価ということで、これも変えているところでございます。それを大型の種目についてやっている。その評価結果をどう次にいかしていくかというところも重要ですので、その評価結果については、次に科研費に応募いただくときに、しっかり書類に書いていただいて、審査の中でもどういうことが過去に行われているのか、そしてさらにどういうふうに研究を進めていこうとするのか、そういうところを見ていただくようにしているというのがございます。
 それと、これは特別推進研究だけですけれども、追跡評価というのも新たな評価として行っております。これは研究期間が終了した後、5年間という期間を置いた後に評価するものでございまして、科研費の成果というのはなかなかすぐに見えにくいところがございますので、それぐらいの間を置いたときに、どれぐらいの成果とか、いろいろな波及効果とか、人材育成にどれぐらい効果があったとか、そういうところも含めて評価をしているというものでございます。この点については、その当時、やはり不足しているだろうということで、そういう問題意識を持って、そういう改善を平成20年度から行っているというのが現状としてございます。
 それで、更にどれぐらいこれを広げていくかというところになるのですけれども、現在、振興会がまだ進めていないところの部分で大きなもの、やっていないところで次に大きなものということで、基盤研究のAという種目がございます。この基盤研究Aですけれども、全体で2,000件ぐらい件数がございます。評価を実際に行っていただくのは、これは委員会を設けての先生方ですので、先生方の御負担という問題、それと、先ほどの新学術領域の移管のときにもちょっと触れさせていただきましたけれども、やはり評価を支えていくスタッフといいますか、体制、この辺りをどうしていくかというところが、同じ問題としてございます。ですから、どこまで広げていくかとか、そういうところを今すぐにこういう計画ですということを申し上げることはできませんけれども、やはり評価をどうしていくかというのは、これはずっと続く議論というか、重要な課題ですので、できるところからやっておりますし、さらに進めていきたいというのはずっと問題意識として持っているということでございます。
【森泉委員】  自己評価というのは、やはり自己評価であるので、なかなか難しいと思うのです。そこで、事後評価に関しても、事前の採択の評価みたいに、一段、二段というような形で行うということは、かなりコストがかかるということですか。
【岡本室長補佐】  おっしゃるとおりです。はい、そういうことです。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ、浅羽委員。
【浅羽臨時委員】  私からは、学術の国際交流に関しまして、2点、質問をさせていただきたいと思います。
 当たり前ですけれども、学術の国際交流は極めて重要だと認識しております。その点におきまして、これまで若干重複感のあったと私から見えた海外の研究者招聘事業につきまして、事業の統合・メニュー化というのは、方向性として私もそれは賛成とする方向で思っております。
 ただ一方で、こういったものは使い勝手が悪くなるということになってしまいますと、もともと大切な事業をやるということですので、それはやはり良くないと思います。ただ、使い勝手が良いか悪いか、あるいはそれにうまくいい人が応募してくれるかといったようなことは、実際にはやってみないと分からないというところだと思います。ちょっとした文言の書き方一つで変わったりするというのはよくあると思います。
 ですので、ここではこのように事業の統合・メニュー化というふうにうたっているのですけれども、メジャーな方向としてはそれでいいと思うのですが、ときに、もし使い勝手が良くなさそうだ、想定していた人たちに余り利用されていないというような場合には、中期目標期間中であっても、マイナーチェンジであればどんどんしていくべきではないかと思っています。当然その際の見方としては、そうした統合・メニュー化した際の効果ですね、それが中期目標期間の後ではなくて、途中ででもやるべきようなものであるというふうに、この点に関しては考えておりますけれども、それについてのお考えを伺いたいのが1点。
 もう1点ですけれども、海外研究連絡センターについて、必要な体制の充実を図るというふうにうたわれているのですけれども、かなり限られた資源の中で具体的に何をやられようと考えていらっしゃるのか。
 この2点を教えてください。よろしくお願いします。
【玉井国際交流官補佐】  文部科学省で国際事業を担当しております、国際交流官付の方から回答させていただきます。
 招聘事業を例に挙げられましたけれども、中期目標期間中のマイナーチェンジについては、もちろん第二期中期目標期間中にも事業の廃止あるいは統合というものを行ってきておりますので、期間中は硬直的な運用になるということではありません。また、研究者の方々のニーズですとか、あるいは外国の協定機関との関係もありますので、研究者の方々のニーズにつきましては、学術システム研究センターの方に意見を聞くなどしておりますし、相手国機関との調整を経た上で行いますので、直ちにですとか、ころころ変えるという形にはならないと思いますけれども、お尋ねのあったような目標期間中でも振興会の事業の目的に沿う形の中で見直しは行っていくことになるかと思います。
 2点目の海外研究連絡センターですけれども、おっしゃるとおり、限られた拠点、限られたメンバーで何ができるかということなのですけれども、この事業の見直しの中でも報告のありました将来ビジョン検討会の中で、現在拠点は9か国10センターあるのですけれども、その活動あるいは調査対象範囲を広げるなど、それをできるだけ既存の体制の中で取り組むということで、平成25年度概算要求においても、調査関係の経費を充実させるなど、そうした形で取り組んでいくことにしております。
 以上です。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。
 宮本委員、どうぞ。
【宮本臨時委員】  宮本でございます。
 学術システム研究センターの関連でお伺いいたしますけれども、審査の公平性とか透明性を高めるという意味で、このシステムを工夫されているというふうに出ておりますが、その中で審査委員の選考あるいは審査結果の検証・分析を事後に行って、それをフィードバッグしていくというふうにうたわれておりまして、これは非常に良いことだと思うんです。その具体的な、そのことが本当に機能しているかどうかについては、それそのものの情報公開は余りなされていないように思われるのですが、そのまま全てが公開できるものではないというのは理解できますけれども、それが機能しているかどうかということについて、国民にも伝わるような何らかの工夫というのはないものかどうか、その辺をちょっとお尋ねしたいと思います。
【森本審議官】  研究成果をどういうふうに国民に発信していくかという非常に重要な課題だと思っています。それで、それを単に公開するだけではなく、それを分析して統計的な解析をするということができると、いろいろな意味で分野別の動向とか、あるいは研究者がどういうふうにステップアップしていくのかとか、そういうことが見えてくるということで、こういうことを積極的にやっていきたいというように考えております。これはもちろんシステム的に非常にコストと時間が掛かるのですけれども、いろいろな工夫を凝らすことによってこういうことをやっていきたいと。それが今、政策のための科学ということもございますけれども、そういったものにつながるように、科研費が非常に基礎研究のブロードな幅広い分野をカバーしておりますので、そういうことを心掛けることによって、それで日本の学術の全体像というものが示されていくのではないかというふうに思っております。
【宮本臨時委員】  今言われたこともそうなのだと思うのですけれども、質問の意図としては、審査をされる先生方を多段階のシステムを作っておられるわけですよね。そのシステムが本当にうまく機能しているどうかということについては、これは自己評価をされているというふうに聞いてはいるのですが、その自己評価そのものが本当になされ、うまく機能しているかどうかということについての何らかの公開というものがなくてもいいのかなと、そういう意味の質問でございます。
【永田課長補佐】  すみません、補足させていただきます。
 審査員の選考に当たりましては、振興会のデータベースの中から多くの審査員の方を選んでいるという形になってございます。さらには、その審査員の方が評価された結果について、適正なコメント等をしていただいた方については、表彰して有意義な意見をいただいたという形で公表してございます。どういった方が選ばれたかということについても公表させていただいておりまして、そういった形でシステムセンターが行っている審査業務について、どういった方が選ばれて、コメントをされているのかというのは、国民に対してというのはなかなか分かりづらい面があるかもしれないのですが、学識経験者の中では、適正な方が選ばれて審査が行われているというのは、そういった面を見ていただいて評価していただけるのではないかなというふうに考えてございます。
【宮本臨時委員】  おっしゃるとおりで、やっておられるような気はいたしますが、明言されている自己評価をしているというふうにうたわれていて、やっているとだけ書いてあるというところで、もう少しそのことがうまく機能しているかどうかを開示する工夫はないものかなと、そういうことですので、御検討いただければと思います。ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 問題意識というものの共有化というのはある程度できているのかなというふうに思いますけれども、自己評価はなかなか難しいですね。これはもう本当に永久的な課題であるのかもしれませんが、ローコストオペレーションを自己評価をしていくために、評価のテーブルは一体誰が作るのか、その評価のテーブルはどうやって評価するのか、その中でスクリーニングはどう行っていくのか、その中で抽出すべき項目又は研究者は何なのか、きっと長い経験の中で培ってきた経験というものがあるのだろうと思いますが、このアルゴリズムを作るというのが大変だと思いますけれども、やることが目的化しないようにするためにはどうしたらいいか。そうすると、今、宮本委員がおっしゃったように、自己評価というものも評価をどう具体的に自ら評価をして公表していくか、そういう中からより良い自己評価の仕組みができていくのではないかなというふうに思います。
 それから、よく皆様の御回答の中で、「できることからやります」というものがありますが、これは当たり前のことでありまして、我々の分科会は、皆様の一般的な価値観、常識観、スピード観を超えて、大変である、困難であるという事柄を目標に掲げていただいて、それを克服していただくということが目的としていますから、そういう気概を持って不断の見直しをしていただきたいというふうに思っております。
 それでは、時間の都合もございますので、日本学術振興会につきましては、ここで一旦議論を打ち切らせていただきますけれども、御説明いただきました皆様には、御協力いただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえつつ、今後、主要な事務及び事業の見直しに関する審議を深めてまいります。時間の関係で十分に御質問ができなかった委員がおられるかもしれません。この場合は、後日、事務局を通じて照会いたしましたり、また、再度、ワーキング・グループでのヒアリングをお願いしたりということもあろうかと思いますが、その際には、ぜひ御対応のほどよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  続きまして、理化学研究所につきましても森本大臣官房審議官からの御説明をお願いいたします。
【森本審議官】  それでは、引き続きまして、13ページから、理化学研究所の見直し当初案について御説明申し上げます。
 理化学研究所は、御承知のとおり、科学技術に関する試験研究を総合的に行う機関ということで、科学技術全体の水準の向上、そして世界的に冠たる成果の創出、こういったことを目指しております。
 14ページ目にございますとおり、今回の見直しにおきましては、独創的なシーズを創出するという基礎研究から新しい発見をするということにとどまらず、それを科学技術イノベーションの創出につなげていく、これが第4期科学技術基本計画の中でうたわれている中心的な題目でございますので、そういうニーズ主導への転換というものを全体として見直しの方向性に掲げております。それによって研究分野を見直したり、あるいは組織の再編整理を進めたりするということでございます。
 15ページにございますとおり、この独法の見直しの基本方針と基本計画に書いてございますとおり、イノベーションの中では、グリーンとライフということがございますし、それから、独法の見直しの基本方針の中に、ニーズ主導への転換というのがうたわれております。
 16ページ目を御覧いただきますと、まず一つは、理研が特定の分野に限定せず、幅広く総合的に行う機関だという位置付けでありますので、重点的、機動的に研究開発を行う機能、これが非常に重要で、それをうまく活用して国の政策に沿った重要課題の解決に貢献すると、こういうことを中心に進めたいということでございます。
 特にイノベーションを通じて新たな価値の創造に結びつける取組ということで、グリーンイノベーションの中では特にエネルギーと資源、こういう分野に焦点を当てたい。それから、ライフイノベーションの中では、創薬とか、個別化医療、こういったものを重視していきたいということでございます。
 それに加えまして、連携ということが非常に大事でございますので、理研内外の機関との連携、研究者のネットワークを通じて幅広い融合的な研究を進めていくということでございます。
 17ページ目にございますとおり、具体的に三つのポイントを御紹介申し上げます。
 一つ目は、戦略的・重点的な推進体制による研究開発ということで、例えば、脳とか、発生・再生というような、そういう重要な分野について新たに推進体制を整備していく。
 それから二つ目が、世界最高水準の研究基盤ということで、科学インフラとしましては、放射光施設とか、X線自由電子レーザーなど、新たにオープンした、あるいは強化された機能が最大限に発揮されて、良い成果を生むようにしていきたいと。
 三つ目は、イノベーション創出に向けた戦略的・重点的な産学官連携と社会への成果の還元というものでございます。
 それから、b)のところにございますとおり、理研の特徴でございます独創性、創造性、こういう研究の芽をどんどん生み出していくとともに、課題達成の視点を重視して、研究者の持っているポテンシャルをいかに引き出し、それをイノベーションにつなげていくか、こういう連携の仕組みを改善していきたいということでございます。これは理研全所的な取組として、この連携を強化していきたいということでございます。
 c)のところでございますが、パラダイム転換をもたらすような創造的・挑戦的な基礎研究、すなわち、従来の延長線上で行くのではなくて、世の中ががらっと変わるような、こういうようなものに挑戦していきたいということでございます。そういう人材育成を含めて若手を活性化していくということ。
 それからd)のところにございますとおり、国際的な頭脳循環の重要性。
 それからe)のところのガバナンスと研究機能の強化、こういったことを見直しの基本に据えております。
 18ページ目にございますとおり、これをさらに具体化したものでございます。グリーンとライフにつきまして、エネルギー、環境というような分野で、革新的エネルギー利用、これは例えば省エネを徹底的に追求するというような高効率のエネルギーシステム、あるいは社会システムを変えるような環境資源の解決に取り組むというようなものでございます。
 ライフイノベーションの中では、革新的な予防法とか治療法を生み出すということで、疾患の制御とか、神経回路、発生・再生、細胞、こういう基礎から臨床に向けた種を育て、芽を引き上げ、そしてそれを具体的な成果として社会に還元していく、こういう道筋をつけていきたいというふうに考えております。
 それから19ページ目でございますが、これが先ほどのイノベーションにつなげるためのパラダイム転換をもたらすようなアイデアをどういうふうに育てていくかという仕組みを変えるというものでございます。今まで基幹研究所というものがございまして、ここがそういう基礎研究を一元的に担っておりました。今度は課題の設定とか目標の設定というのはトップダウンで決めるということ、それに対して、解決するための具体的な道筋をつけたり、あるいは提案をしたり、そういったものはボトムアップでどんどん出していく、そのボトムアップのアイデアをそれぞれの各センターから募って、そしてプロジェクトチーム方式でこういうものを成果に結実させていくという方式に切替えようということでございます。これによって理研全体の研究ポテンシャルをより有効に活用することができるのではないかということで、課題設定のトップダウンと、提案公募のボトムアップを適切に組み合わせていきたいということを考えてございます。
 次の20ページ目でございますが、この中で20ページと21ページに、これまでの第2期の期間中に見直しをしてきたものをまとめてございます。
 特に21ページ目にございますとおり、一般管理費あるいは人件費、こういったものが削減されているというのが見ていただけると思います。それから、随意契約も大幅に削減しております。
 最後の22ページにつきましては、第2期中期目標を抜粋させていただいております。
 簡単ですが、以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございます。
 ただいまの御説明、見直し当初案につきまして、御質問ございましたら、どなたからでもどうぞ。
 森泉委員、どうぞ。
【森泉委員】  御説明ありがとうございました。森泉でございます。
 理研に関しましては、非常に高い研究水準を保ち、新聞などで頻繁に、大げさに言えば、ほぼ毎日に近いほど研究成果が発表されている、また、最近、新元素の発見などありまして、非常にエキサイティングであるし、敬意を表しております。
 しかしながら、少しお聞きしたいことがありますので、3点ほど述べさせていただきたいと思います。
 まず、今回の見直し当初案で、今までのターゲットと少し変わって、イノベーションというものを全面的にお出しになったわけなのですが、今までの理研は、基礎的な研究で世界的な水準の研究成果を出しているのですばらしいことであると思っておりますが、イノベーションによる創出に向けて産学官連携というのは、果たして理研でうまくいくのかなという気がいたしました。
 それはなぜかというと、その辺の記述がホームページ等に余りないのですね。ホームページも見させていただきましたけれども、イノベーションの研究については書いてありますが、産学官連携については余り記述がなかったので、そこを御説明いただきたいということです。さらに、イノベーションに関してですが、グリーンイノベーションということに関して、エネルギー・資源の新しい研究というのは、産総研がどちらかいうと得意としている分野ではないかと思っています。私は同じ研究課題でやらないほうがいいとは思いませんし、研究というのは非常にコンペティティブな環境が必要ですので、それは重要なことなのですが、やはりこれもいろいろな資料とかホームページを見させていただきましたけれども、理研の特徴というのが分からないのですね。そういう状況であれば、果たして成果がどの程度出るかということです。したがいまして、エネルギー・資源というものをイノベーションで打ち出されたということに関して、産総研との違いをもう少し明確に、つまり、理研のスタンスというものをはっきりと出されたほうが良いと思いまして、そこをお聞きしたいということです。
 それから2点目は、ボトムアップということは非常に重要なことだと思うのです。従来、ボトムアップというのは基幹研究所から出てきたのかもしれませんが、今回もパラダイム転換が出てくるのはボトムアップであるというような御説明と理解したのですが、そのボトムアップの研究は重要だと思うのですが、どこに書いてあったかちょっと忘れましたが、ボトムアップに関しても、国からのミッションに適合しているかどうかをチェックするということでありました。そうしますと、ボトムアップとトップダウンの差が余り見えてこない。せいぜいプロジェクト横断型ぐらいかなということで、余り明確ではない。国のミッションからものすごく外れてしまって趣味的なものというのは、当然それは国のお金を使っているとしたらおかしいわけで、それはないとは思いますが。ボトムアップの概念をどのくらい国のミッションとすり合わせをするかということです。すり合わせを余りし過ぎてしまうと、トップダウンとの差が全然なくなってしまって、ただ予算が小さいとか、プロジェクト横断型であるというだけの特徴になって、余り成果は期待できないのではないかというのが第2点目です。
 第3点目は、新聞等で理研のお話をいろいろなことを聞くとすごく分かりやすいのですが、理研のホームページを見させていただいたところ、余り分かりやすくないのですね。社会還元などについて、もっと分かりやすくしていただきたいと思います。あのホームページはどういったタイプの人をターゲットにしているのかなということをちょっと考えました。抽象的なことが一杯書いてあるのですけれども、各プロジェクトリーダーのところとか、研究室もネットで訪問しましたが、やはり非常に抽象的で、何が成果として期待できるとかといったことが見えない。そうかと思うと、いきなり漫画で何とかというのがあったりして、そうすると、あのホームページというのはどういう人を対象に考えていらっしゃるか、もうちょっと分かりやすくしていただきたいということです。以上3点でございます。
【森本審議官】  それでは、最初の産学官連携なんですけれども、これはやはりイノベーションというのが、基礎研究をやめて応用研究にシフトするということではなくて、将来新しい種を生み出すために、本当に原理原則、あるいは法則といったところに立ち戻って、根本的に新しい方式を生み出すとか、そういうことに重点を置いていきたいということでございまして、今までの延長線上だと新興国の激しい追い上げもございますし、そういうところで勝負するということではなく、全く新たな原理で動くデバイスとか、あるいは植物の機能に着目したエネルギー生産とか、あるいは化学物質の創成とか、そういうことに重点を置いてきたということでございます。
 したがって、産学官連携というのが、もちろん出口としてそういったことを意識して基礎研究の成果をどんどん橋渡しをしていく、こういう機能をこれから強化していきたいという趣旨でございます。
【森泉委員】  そうしますと、産学官連携までの道のりはまだかなり遠いと。
【森本審議官】  これは長期的な課題もありますし、むしろ出来上がってからバトンタッチするというのではなくて、最初から入っていただくようなスタイルにだんだんと切りかえていきたいと。
【森泉委員】  そうなのですか。
【安藤課長】  ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。基礎研究振興課長の安藤でございます。
 産学連携の点で具体性がよく見えないというお話がありましたが、理研では、バトンゾーンという概念を立てまして、理研で生み出したシーズをうまく産業界のほうへの利用につなげるということを意識して、いろいろな事業を展開してきています。融合連携事業という形で、産業界から提案があったテーマ、これに産業界から人をチームリーダーとして出していただいて、理研の中で研究活動をして、理研がそのポテンシャルを持って支援をしていく、そういった形ですとか、あるいは、産学連携センターという形で、これはいろいろな社会課題に役立つようなテーマ、これは理研のほうで厳選いたしますけれども、理研の考えと企業との考え、これが合ったものを共同の研究センターという形で立てまして、これは産業界のお金で推進する形ですけれども、実際に産業界で使っていただかないといけませんので、ここは産業界の責任、これははっきりさせながら、理研としてはできる限りの支援をするという形で事業は展開しております。
【森泉委員】  それは今やっていらっしゃるのですか。
【安藤課長】  はい、今やっております。
【森本審議官】  それからあと、情報発信の必要性というのは御指摘のとおりでございまして、ホームページがもっと分かりやすくすべきだということで、それぞれ努力はしているんですけれども、専門用語が非常に分かりづらいとか、それをできるだけ比喩を使ったり、言い換えをしたり、そういったことの努力をしております。
 特にエディターなんかを雇ったり、科学ジャーナリストの方に御協力いただいたり、そういうような活動を展開しつつあります。これからも頑張っていきたい。
 それからもう一つ、二つ目の……。
【森泉委員】  グリーンエネルギーについてです。
【森本審議官】  産総研ですね。産総研との違いは、もちろん協力して連携をしていくという面もございますし、それから、やっぱり理研の強みはなんと言っても、材料だとか、物性だとか、そういったところの基礎的な知識がベースになって、それで全く異なることにチャレンジできる、こういうところを生かしていきたいと思っています。ただ、それが成果としては、当然デバイスであったり、コンピューターであったり、あるいは太陽光発電の装置だったりするのですけれども、そういうものが今のシリコンをどうするかということではなく、全く新しい材料だったり、あるいはスパコン「京」を使って、いわゆる創薬のためのシミュレーションをして、候補物質の探索をするだけでなく、それを構造解析、三次元的な組み合わせで予測をしていく、こういったものに転換していく、計算科学を駆使していく、こういうことも得意分野の一つでございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 宮本委員、どうぞ。
【宮本臨時委員】  宮本でございます。
 前、ワーキング・グループでもちょっとお尋ねしているんですが、知的財産のことについてですけれども、今もお話があったイノベーションだとか、あるいは創造から技術開発、イノベーションまでを理研と外部と連携しながらやると、そういう大きな目標達成のためには、知的財産についてどううまく仕組みを使っていくかというのは非常に重要な側面だと思います。しかし、その知的財産の保護とか、あるいは活用に関して、具体的に当初見直し案では余り強くは言われていないみたいに受け取れますのでちょっと質問なのですけれども、より理研におけるすばらしい成果が本当に国民から見て国益に還元されてきているということ実感をするためにも、知財戦略の高度化といいますか、あるいは実効性があるものにするという戦略について、個々の戦略あるいは戦術は余りオープンにすべきものではないでしょうが、もう少しその辺がはっきりしていく、あるいはそういう戦略を高めていく努力がなされていくとありがたいのかなと。
 具体的には、理研でつくられている知的財産というのは非常に大きなものがあると思うのですが、それが単なる特許としての収支という問題に矮小化はせずに、とはいうものの、特許で得られる収益がこれぐらいのレベルで理研の知財としてはバランスがとれていると言えるのかというと、ちょっと違うのかなというふうに素人的に思ったりもしますし、そういう意味でいうと、要は、知的財産も特許化するだけがポイントではないでしょうが、どういう分野にどういう、例えば出願国において、日本だけでいばっていても仕方がないわけで、理研の成果は日本に関しては逆に自由に使っていただいてもいいのかもしれませんが、どういう国に対してどういう出願をして、そこに対してはどういう、例えば群特許といいますか、全体のどの分野をどういう形で押さえておくことが、結局日本にも一定のものが戻ってくる、あるいは協力していただく企業からもそれを魅力として感じていただけるというような、何かそういう意味での知的財産戦略の高度化というものが、ホームページなり、あるいは公開されているものからは余りよく見えてこない気もするものですから、その辺、是非意気込みを持って進めていただかないと、研究者が良いものを作った、だけど、みんながどこかで使っているようですというだけでは、誰もが使えるものについては、その後の企業家もなかなかそこへは食いついてこないと思いますし、そういう辺りの高度化の検討をお願いしたいなというふうに思います。
【安藤課長】  今の点ですけれども、現行の中期目標でも知財戦略の実践ということで、社会貢献ということが書かれてございます。また、実施料収入の拡大に努めるという、そんなことも書かれています。
 理研のほうでは、知財戦略を23年度に作っております。それで、その中では、企業に使っていただかないといけないので、企業にとって魅力的な特許にしていくという発想で出願を考えていくとか、あるいは、これは効率化の観点ですけれども、余り実施が見込めないようなものは権利を放棄していくというような、こんなところはきちんと体制を今作って進めているところでございます。御指摘のところはもっともなところですので、こういったところはきちんと中期目標の中にも書くべきところだと思っております。
【宮本臨時委員】  よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございませんか。
 柴委員、どうぞ。
【柴臨時委員】  2点。一つは、理研のいろいろな施設が共用されて使われているということはあると思うのですけれども、たくさんの施設があるので共用されていない部分もあると思います。そういう部分の共用化に向けた外部のニーズ、そういうものをどこかで把握されているかどうかということです。自己収入を得るのには非常に重要な問題だと思うので、その点を一つお伺いしたい。
 それからもう1点は、先ほど、イノベーションという話が出たのですが、研究所を作って施設と人が入ると、なかなか固定的になって、世の中の動きとか、そういうものの中で大きく転換していくのに、非常に対応しにくくなることが多いと思います。その辺について、何らかの基本的な姿勢というか、人も含め、あるいは機械とか施設も含めて、それを大幅にスクラップ・アンド・ビルドしていくような、そういう体制というのは何らか議論されているかどうかお伺いしたいと思います。
【森本審議官】  施設の共用につきましては、特に大型の施設で、例えばスパコン「京」であるとか、SPring−8であるとか、こういったものについては、いわゆる理研が自分で使う部分というのはもちろんあるのですけれども、それ以外に幅広い大学とか研究機関のためのアカデミアの利用、それから産業界の利用、それぞれ分けまして、それで利用料金を設定したり、あるいは利用の公募の手続を明らかにしたりして、できるだけ幅広く利用されるように心掛けております。
 それで、もちろんそれ以外に共用ナビというワンストップの総合窓口を置いておりまして、そこでいろいろな相談に応じて、より利用していただけるようなユーザーの開拓、そして使い方の支援、そういったこともサービスとして提供しております。
 それから、ニーズの把握につきましても、どういうニーズがあるかというのを、25年度予算の中にも少しそういう施策を新たに打ち出したいということで要求をしているところでございます。
 それから、新陳代謝といいますか、スクラップ・アンド・ビルド、これは理研の場合、特にドラスティックといいますか、プロジェクトは有期でございますので、5年とか10年、そういった一定の期間の間に頑張って成果を上げて、それが終わると、そこのチームは解散するというようなことが伝統的な理研の手法でございます。
 そういう意味で、センターが一度できたりすると、それがずっと続くということではなく、非常に新陳代謝が激しいといいますか、外国人の研究者も入ってきますし、ほかの大学との人材交流といいますか、そういったものも盛んに行われております。
 そういうことの後、評価の結果を踏まえて、それを反映して、チームの編成を見直しにつなげていくということを実践しております。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 浅羽委員、どうぞ。
【浅羽臨時委員】  私は、管理部門について1点教えていただきたいと思っております。
 先日、事務局を通じましていただいた御回答の中で、会計と人事について、もうシステムの一元化ができているというような話を伺いました。この点につきまして、このシステムの導入によって特に人員配置について、どれぐらいの効率化がなされたのか、あるいは次の中期目標期間中にどれぐらいの効率化が図られるのかといったようなことを教えていただきたい。同時に、会計や人事のデータベース等のシステムだと伺っているのですけれども、それを本所で一元管理しているというふうに理解しているのですが、だとすると、各支所等に関しましては、もうそうした関係の専門の事務職員の方等は既にいない、又は、今後なくしていく方向だというような理解でよろしいのでしょうか。
【安藤課長】  会計のシステムと、人事は勤怠管理のシステムを導入しています。会計システムはかなり前に導入されたと思いますけれども、勤怠システムのほうはまだ最近立ち上がってきたもので、本格的に運用が今年度からだったと思います。それぞれ管理部門の効率化というところでは効果があったと思っておりますけれども、理研の業務運営の中で、いろいろな新規事業も出てきておりますので、今、個別にこのシステムの導入がどのぐらい削減の効果があったかというところは、今ちょっとデータはございません。
 今後につきましても、いろいろなシステムの導入を考えている、検討中のものもございますので、それによる効率化、これは図らないといけないと思いますが、その面と、また、理研のこれからのまさに将来の事業の展開で必要なリソースというところも、両方考えて、どのぐらい効率化できるかということを考えていかないといけないと思っていますけれども、今この時点でどのぐらいできるかというところについては、ちょっと申し上げられない状況でございます。
【浅羽臨時委員】  追加で。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【浅羽臨時委員】  今の点につきまして、どこまでかというのはちょっと置いておくとしましても、今お話しされたような内容に関しまして、少しでもいいので、具体的な中身を見直しの当初案に触れていただければ、より良いのではないかなという印象を持っています。
 といいますのも、過去の実績につきまして、結構ここまで管理の効率化をやってきましたというような説明等はすごくあって、それ自体すごく良い方向だなと思うのですけれども、今後の見直しの当初案のところで、管理部門のところがやや薄いのかなと、もちろんメインの業務ではないので、そこがそんなに一杯書かれるのはおかしいですけれども、ただ、研究等を支える面では、とても重要な足腰の部分でもあろうと思いますので、是非そういうことがあるのであれば、できるだけ具体的な目標等を掲げていただいて、それもスケジュール感も持っていていただけるとより良いのではないかなと考えております。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 今の点について申しますと、システムというのは、実は定性的、定量的な目標がないと、これはただのコストになってしまいますね。しかし、定量的、定性的な目標があれば、それは一部投資になっていく、そういった観点で、実は見込みのないシステムの導入なんていうのは、通常あり得ませんから、その辺はやっぱりきちんと精査をしながら目標を立てていくということに邁進していただきたいというふうに思っています。
 それから、森本審議官からのお話もございまして、産学官の連携ということがあります。特にライフイノベーションなんかで言えば、臨床的視点と産業的な視点、両方をあいまっていくことが、このライフイノベーションにとっての非常に重要なポイントであります。グリーンイノベーションもそうかもしれません。前臨床から臨床研究、治験、そして成就までのプロセスの中で、ともすると主務省の思いがボトルネックになることがございますね。
 例えば厚生労働省は、これから早期探索の5病院、5組織、臨床研究の中核、全部で15の臨床の現場というものが、臨床研究から上市まで切れ目のないシームレスな研究をやっており、待ったなしであります。ですから、その中における理研の位置付けというのがどうなっていくのかというのは、もう今既に具体論がないと、これは世界の競争に遅れていくのだろうというふうに思います。
 そういう意味では、アカデミアも個人と個人のつながりから、一部、組織と組織のつながりということも非常に重要でありますから、そういう視点で具体的な目標をイメージしていただく、それがやはり国民が望んでいることなのではないかなというふうに思いますので、目標の中でより具体的に書けるものはどんどん書いていただくということが必要なのではないかと思います。
【森本審議官】  1点よろしゅうございますか。
【阿曽沼分科会長】  はい。
【森本審議官】  今の点は非常に大事だと思っておりまして、特に医療イノベーション推進室という内閣官房の組織がございまして、ここが厚生労働省、経済産業省、文部科学省を一気通貫で創薬がスムーズに行えるような、基礎研究のシーズがイノベーションにつながるような、そういう仕組みを今作ろうとしております。特に医薬基盤研究所が本部になりまして、そこの仲介受け渡しをするということで、理研は先ほど申し上げた「京」のスパコンを活用して解析、分子のミクロレベルの構造を解析して、それから創薬につなげていくということとか、あと、ゲノムの解析については、これは非常に得意分野でございますので、そういったところで貢献していきたいということで、各府省・各機関とも連携をしていきたいと思っております。
【阿曽沼分科会長】  ゲノムで基礎研究は非常に重要ですけれども、それをいわゆるバイオマーカーとして本当に使い物にするためには臨床の現場ですよね。ですから、そういう意味での組織間の一体感、そういったものを具体的な明示がやはり望まれているのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、時間の都合もございますので、理化学研究所については、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日、御説明いただきました皆様方には、御多用中、御協力いただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえて、今後、主要な事務及び事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。
 今日御欠席の委員もいらっしゃいますし、まだまだ十分な御質問はできなかった委員もおられるかもしれませんので、その場合は、後日、事務局を通して照会をいたしましたり、また、新たなワーキングの開催の御協力をお願いしたりすることもあろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。御説明の方は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは、次に、宇宙航空研究開発機構について、柳研究開発局宇宙開発利用課長から御説明いただきます。
 時間の関係もございますので、5分程度でよろしくお願いいたします。
【柳課長】  文部科学省宇宙開発利用課長でございます。本日、審議官を予定していましたところ、急に出張がございまして、私、代行で御説明させていただきます。
 まず、宇宙航空開発研究開発機構、通称JAXA、こちらの資料の1ページ目を開けていただけますでしょうか。
 こちらに法人の目的が書いてございますけれども、まず一番に御説明すべきことは、宇宙に関しましては、宇宙基本法附則に基づきまして、本年7月に新たな体制が作られてございます。その御説明を法人の目的の下の欄に記載させていただいております。新たな体制における主な変更点を申し上げますと、宇宙航空研究開発機構について、政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的な実施機関と位置付けまして、それぞれ、従来は文部科学省、そして総務省が主務大臣だったところに、内閣府、経済産業省が新たに主務大臣に加わるとともに、政府全体として活用を図るという観点で、その必要性に応じまして、政令で主務大臣を追加できるというスキームを作ってございます。
 また、右側に書いてございますように、JAXAの中期目標につきましても、法律に新たな規定がございまして、宇宙基本計画に基づいて設定していくということになってございます。この宇宙基本計画につきましては、宇宙基本法に基づきまして、宇宙戦略本部、こちらは全閣僚が構成員となっているものでございます。その場で定められます宇宙基本計画に基づいてJAXAの中期目標を定めるということを言われております。
 この中期目標につきましては、現在、内閣府に宇宙に関する司令塔として新たな部局ができました。事務組織としましては、宇宙戦略室、そして有識者の組織としては宇宙政策委員会でございます。こちらで8月末からこの宇宙基本計画に関しまして検討がスタートしてございます。年内に内閣府としての検討を終え、年度内には新たな宇宙基本計画が策定されると、このような段取りと聞いてございます。
 具体的なJAXAの見直しについてでございますが、左下の四角、事務・事業の見直しでございます。こちらにつきまして、今御説明したような点で、現在の内閣府の検討、そしてそれを踏まえまして、文部科学省におきましても、どのような宇宙、JAXAへの取組をしていくのか検討してございます。その結論によって、今後のそれぞれの事業の進め方に強く影響してくるものと思っておりまして、ここに書かせていただいていますのは、これまでの議論の中で言われているものだけにとどまりますので、最終的には宇宙基本計画の検討によって中身を確定していくことになろうかと思っております。
 まず、衛星による宇宙利用でございますけれども、既に衛星運用の民間への移管の推進と書かせていただいてございます。既に宇宙の大きなポイントでありますロケットにつきましては、H−IIA、我が国の主軸のロケットでございますが、これにつきましては、平成19年の13号機から三菱重工に対しまして民間移管したということでやっておりまして、それから、その次のもうちょっと大きなH−IIBにつきましては、ちょうど今週水曜日に対外的に公表させていただいておりますけれども、次の打ち上げ、来年度行うことになろうかと思いますが、4号機から、H−IIBについてもH−IIAと同じように三菱重工に打ち上げ輸送サービスをやっていただくということで発表させていただいたところでございます。
 ロケットだけではなく、衛星につきましても民間の力をうまく使っていくということで、ALOSという衛星があったので、その運用の最後のところで民間の力を活用するということを始めておりますけれども、それを今後拡大していくということを考えております。
 そして、衛星自体につきましては、海外と協力した効果的、効率的な地球観測を果たしていくということを考えております。
 その次の宇宙科学・宇宙探査でございますが、こちらにつきましては、学術分野でもございますので、国際的にも連携を強め、また、宇宙探査につきましては、なるべく遠くへ行くという、フロンティアを開拓するということがございますけれども、これは国際協力で進めていくという視点を強く持っております。
 また、宇宙ステーションにつきましては、宇宙での実験につきまして、民間による有償利用、この点もさらに進めていきたいと、このように思っております。
 また、航空科学技術につきましては、先ほど申し上げました宇宙の基本計画の範疇ではございませんので、こちらにつきましては、昨年夏に科学技術基本法に基づく科学技術基本計画ができておりますけれども、それを踏まえました航空科学技術の推進方策に基づきまして、環境・安全分野に重点化をして進めていくこととしております。
 また、右側の組織の見直しでございますけれども、一番上に書かせていただいたのは、今後、先ほど申し上げたように政令追加によっていろいろな場面で政府全体がJAXAを使っていくことがあろうかと思います。そういったものにも柔軟に対応できるようにしてまいるという視点。
 そして、2番目に書かせていただきましたのは、事業に影響を及ぼす問題の発生を防ぐということで、今年冒頭には三菱電機による不正請求等ございました。このような中で、ガバナンスの問題、そしてリスク管理、こういったところにも力を入れていきたいと思っております。
 また、事業所の見直し等につきましては、5ページにまとめてございますけれども、このような取組をさせていただいているところでございます。
 3.につきましては、今後とも合理化、効率化を図っていきたいと、このように思っている次第でございます。
 説明は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問ございましたら、委員の方から、どなたからでも結構です。
 宮本委員、どうぞ。
【宮本臨時委員】  御説明ありがとうございました。宮本でございます。ちょっと質問をさせていただきます。
 御説明ありましたように、JAXA法改正で新たに決まる宇宙基本計画に基づいて計画を定めるということですので、今示されている見直し当初案というのは、それを踏まえながら軌道修正をしていくということでよろしいのでしょうか。
【柳課長】  おっしゃるとおりです。ここに今書かせていただきましたのは、次期基本計画とは別に、これまで言われていることを踏まえるとこんなことがあるということで、最終的には宇宙基本計画が定められるものをもってして全体それに従って規定することとなります。
【宮本臨時委員】  その場合には、当然これまでの基本計画へのフォロー状況の評価と、それから、新たに定まる基本計画を踏まえての役割を明確にして、具体的な目標設定にしていくというようなことでよろしいでしょうか。
【柳課長】  基本的にそのように考えております。
 また、具体的にこれまでの基本計画との関係につきましては、先ほど申し上げた内閣府の宇宙政策委員会におきまして、フォローアップということで御審議いただいているところでございます。
【宮本臨時委員】  よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かございますか。
 柴委員、どうぞ。
【柴臨時委員】  見直し当初案には、運用について民間に移管するということがあったのですけれども、実際の衛星の打ち上げとか、あるいは研究開発について、民間への移管について、今どのような形で考えておられるのか、あるいは、そういうことがはっきりしないと、なかなか民間移管というのも難しいし、民間も考えるのは難しいと思うんですけれども、その辺についてお聞かせいただければ。
【柳課長】  我々、基本的にJAXAの役割というのは、研究開発法人でございますので、あくまで自分たちで作って終わりではなくて、それをどう社会に適応していくかという視点から行くと、実利用への結節点としての役割を果たすと思っておりまして、そのために実際にある一定の段階まで行ったものはきちんと民間に渡していくという考え方を基本としております。
 先ほど申し上げたように、ロケットに関しましては、我が国の基幹ロケットH−IIA、H−IIBにつきましては、三菱重工との関係で、技術移転契約を結びまして、またJAXAが打ち上げるものにつきましては、基本協定の中で、今後H−IIA、H−IIBは、その技術を移管した先である三菱重工で打ち上げていく。これによって、実際三菱重工も自分たちで営業活動をやっておりますので、幅広い我が国のロケットによる受注が拡大していくと良いなということで、また、実際に衛星受注に関して、政府としてはパッケージ型インフラの推進というものもやっておりますので、そういったものを合わせて、衛星、それからロケットともに、日本のものが使われていくということを期待しております。
 衛星に関しましては若干遅れておりましたけれども、先ほど申し上げましたのは、ALOS(陸域観測技術衛星)というものがあって、去年、実は震災のときに映像がかなり公開されまして、よく報道されましたけれども、こういったものにつきましては、定常化してきた段階で観測の画像を取っていくのですが、実際にどこをどういうふうに撮影していくのかという、その運用計画の部分で、完成そのものはJAXAがやっておりますけれども、どういったところをどういうふうに撮影していくのかという運用計画を立案し、実際に画像を取って、それを販売していくということを民間に出しておりまして、それによって経費も、例えば1億円弱程度削減されたという状況にございます。今後はそういった衛星も含めて一層拡大していきたいと思っております。
 以上です。
【柴臨時委員】  もう1点よろしいでしょうか。
【阿曽沼分科会長】  はい、どうぞ。
【柴臨時委員】  航空技術についてなのですが、前に二、三十年先を見据えた研究開発を行っていると聞いていたのですが、そういうミッションの具体的なものについて、どのようなことをお考えになっているのかということと、20年、30年後ということですけれども、今お話になったような逐次民間に移管するようなことが可能なのかどうかということを一つお伺いしたいということでございます。
 それからもう一つは、航空技術について、安全と環境、先ほどちょっとお話がありましたけれども、安全と環境に関連するものに重点を進めるということなのですが、22年度の研究テーマ、予算と余り今回は変わらないものになっているというふうに見てとれるのですが、その辺について具体的にどのように変わるのかというお話をお伺いできれば。
【柳課長】  まず1点目の民間との関係でございます。航空に関しましても、先ほど申し上げたちょうど航空科学技術の推進方策、これを文部科学省内審議会、科学技術・学術審議会の下の委員会で、本年8月に定めたところでございます。JAXAにおきましては、それを具体的にどう落としていくのかということでロードマップ検討委員会をJAXAの中に置いておりますけれども、民間企業の方々にも入っていただいて、そこはどういう技術が必要かというディスカッションをしながらやっていただいております。
 基本的に航空技術に関しては、平成15年のJAXAへの統合前には、国立試験研究機関としての航空宇宙技術研究所、いわゆるNALと言われていた時代です、そのころから基本的には民間に技術を移転していくというのが使命でございますので、例えば、最近目覚ましいものはなかなかないのですけれども、例えば最近の中で行くと、三菱のリージョナルジェットの尾翼部分に使われていくとか、このあたりにつきましては共同研究という形でやっているので、JAXAだけで作ったものをポンと特許権を移転したという形ではないのですが、共に開発したものです。
 また、過去の技術移転した成果ですと、例えば有名なところで、エアバスのV2500というエンジンにつきましては、ちょっと古い話ですけれども、かなり多く使われてきました。航空分野につきましても、基本的にはそれは民間で使っていくという視点を持って、今、推進方策研究の課題作りも行っております。
 御指摘の2番目の点でございますけれども、予算につきましても、その意味で推進方策を本年定めましたので、来年度要求につきましては、これまで行ってきたもの、25年要求からかなり中身としては変わった要求をさせていただいていると思っていまして、環境分野、安全分野に特化しつつあります。
 以上です。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。
 森泉委員、どうぞ。
【森泉委員】  森泉でございます。
 契約についてお尋ねしたいと思うのですが、今年の1月に三菱電機による過大請求が判明いたしました。同様に、実は平成10年もNECによる国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」に関して、やはり過大請求が判明いたしました。
 それに対して、たしかヒアリングのときだったと思いますが、過去のNECの過大請求の後に再発防止策として幾つかの施策を考えて講じてきたということで、四つほどありました。これらを読ませていただくと、当然のことが書いてあり、これらの防止策を講じたにもかかわらず、14年たったらまた似たようなことが生じてしまったということです。そこで、二つ御質問をしたいと思います。一つは、JAXAのほうにも管理上の問題があったのではないかという点です。それから、NECの過大請求のときの再発防止策が効かなくてまた起こってしまったので、今後の原因究明を待ってと書いてありますが、今の段階で何かもう少し具体的にどのようなこと考えていらっしゃるかお聞かせいただけたらと思います。
【柳課長】  今御指摘いただいたように、結果としてNECの後にいろいろな方策をとってきましたけれども、今回また三菱電機でこのようなことがあったことは非常に残念だと思っております。
 まず、NECのときに具体的にとった措置として大きく2点ございまして、1点は、それまでは上限付き概算払いという契約をやっていまして、要するに、幾ら掛かるか、研究開発にはよく分からない側面があるので、一応幾らが上限なのだけれども、概算払いをして、行った後にそれを精算しますというやり方をしていたのですが、それを確定契約という形で見積もりを最初に出させたときに、その見積もりでかなり詰める。後でいろいろな理由を付けて増やしていかないように、企業側でその中に収めるという努力をしているという意味で、確定契約という形をJAXAは採るようにしてきました。
 それから、それまで当然不正額があったら不正分は請求していたのですが、NECの事案を踏まえて、ペナルティーを科すという考え方。例えば、100万円不正分があったとすると、本来の100万円を返してもらうのとは別に100万円ということで、2倍返しということでペナルティー部分を科す、それがNECの後採られておりました。
 それに対して、今回こういったことが起こった中で何ができるのか。実際、JAXAにおきましても、公認会計士とかいろいろ専門家と御相談しまして、これまでも確定契約に変えた後もどうやっているかとか、実際に現場の状況を把握するような検査制度を作ってチェックしていたのですが、結果的にこういうことがあったということで、今、議論としてあるのは、抜き打ち的な検査の仕方というのもあるのではないか。そのような議論をしております。
 ただ、これをやろうとしますと、民間との契約の中でそういう権限を付与するという契約上の担保が必要かと思っています。要するに、今までだと実際にいつ行くかというのがわかる上でやっていましたけれども、行くべき部署とか、実施すべきもの、そういったものを隠すような形で抜き打ち的な検査をすることによって、より精度を高めていくというのも一つあるのではないかという思い。
 あともう1点は、先ほどのペナルティーも、2倍ということではなくて3倍、例えば先ほどのもので行くと、100万円の不正があったとすると、そこに合わせてプラス200万払っていただく、だから、トータル300万になって、3倍返しと言っているのですが、そうすべきだということで、実はこれは事案発覚以降の契約については、この3倍返しのペナルティーの増加ということをさせていただいております。
 今回一番問題になりましたのは、NEC事案の場合には、実際、裏帳簿というのがあって、こういうふうな上限付き概算払いの中で、本来こうだったものに対してこの部分を上乗せしよう、という裏帳簿があった。今回の場合には何をやったかというと、作業にかかわった人工の付け替えというのをやっていて、それが何も帳簿とかがない中でやられているので、実際どれだけのことをやったのかというのがなかなか分るものがなくて、それを実際の作業と、その前に担当部局がどれだけの人員が必要かという申請をやっています。そのあたりの照らし合わせをやって不正額の確定というものを今やっていて、証拠書類がないゆえにかなりの時間が掛かっているという状況がございます。
 それともう1点は、今回一番問題になっていますのは、情報収集衛星、内閣官房の衛星センターで所管している情報収集衛星でございまして、これは非常に国家機密に関わるということと、先端的なことをやっている、具体的な中身は我々も知らされていないのですが、そういった点があって、ここにつきましては、まだ上限付き概算払いという契約方式を採っております。その意味では、我々、NECがあった中で契約方式を確定契約に変えてきた。併せて、確定契約でも同じような問題がないのかというのは、我々、今、精査をしているところでございます。
 以上です。 
【森泉委員】  ありがとうございました。
 NECにしても、多分三菱電機にしても、今後、参入不可ということにはできないわけです。特許の問題とか、いろいろ今おっしゃったような問題がありますから。今後、JAXAに参加する、例えば三菱電機がロケットについて参加することはできないとか、そういう措置はできないのですね。一切というわけではないのですけれども、ある程度期限を決めてということも……。
【柳課長】  それは不正額が確定したりとか、今回あった事態の全体像を確定した上で、今、実は期限が決まらない状態で入札停止になっておりますけれども、具体的に全体像が明確になったところで、いついつという期限を決めて、それは入札停止処分という形になっていきます。
【森泉委員】  そうですか。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 浅羽委員、どうぞ。
【浅羽臨時委員】  管理部門の効率化について1点教えてください。
 事務局を通じまして、システムの一元化を図っているというような御回答を頂きました。勤怠管理、物品調達、さらには経理、会計といったようなシステムを順次入れて、本省で一元管理してきていると、かなりいろいろと拠点は多うございますので、そうしたものを一元管理して効率化を図っているというようなことを伺っております。
 ただ、こういったようなものについては、単にシステムを入れたというだけではお話にならないと思いますので、具体的にどれぐらいそれによる効果が得られたのか、あるいは、順次入れているというようなことを伺っていますので、ある時点でというふうにぴたりとは行かないかもしれませんけれども、次期中期目標期間において、現在と比べて、例えば人員の適正配置でこれぐらいの人が別の部門に行けるのかとか、そういうようなことは出していただけるようなものなのでしょうか。
【柳課長】  おっしゃるように、これまで三つの法人が一緒になったということで、それぞれ管理部門が別々にあったというものを、我々としても一緒にしていくということで、今、全機構統一的な会計システムだとかを整備をして一元化してきたというところです。今ちょっと数字的にそれがどういった効果が、要するに、金額にすると幾らとか、そのあたりがちょっとデータを持っていないもので、それはまた確認をしてお話をさせていただきたいと思います。
 これまでも既に今の中期目標期間の中で、それはシステムを整備してきたけれども、今後もやるべきものがあれば、そこは何か明示していきたいとは思っておりますけれども、これまでにかなりやってきたというところで、一応成果はこの中期目標期間のものとして整理をしていく、とりあえずやるべき、今思っていたことは、ほぼ終わりに近い状態まで来ていると聞いております。ちょっと具体的な数字についてはまた後ほど資料を出させていただければと思います。
【浅羽臨時委員】  よろしくお願いします。是非費用対効果、両方がある程度、もちろん厳密に細かく何円までというのでなくてもいいのですけれども、人員配置上、これぐらいの余裕ができたというようなことでも一向に構わないと思いますので、そうした費用対効果が分かるようなものを何らかのものをお答えいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【柳課長】  はい、承知しました。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 一つ、これは御質問でありますけれども、政令によって主務大臣、いろいろな省庁を追加できるということになりました。内閣府がワンストップでまず受けてということでありますが、風通しが良くなって国としての総合力がアップする反面、ステークホルダーが多くなるということで、意思決定のプロセスというのは本当にどうなっていくのか、もしくは組織の評価というものはきちんとできていくのか、この新体制に向けてのそういったいろいろな課題というのも当然あろうかと思いますが、それについて今後どういうふうにお考えになられるのか。今日お答えいただかなくても、また文書でも良いですけれども、そういうことについても、お考えでありますよね。いかがでございましょうか。
【柳課長】  先ほどの政令追加という考え方ですけれども、これまで独法になる前の宇宙開発事業団の時代も実は気象衛星を開発していたときは、現在でも総務省は入っていますけれども、気象衛星は当時運輸省で、運輸省もその意味では共管になっていたりとか、大きなプロジェクトを抱えてやっていくときに、やはり主務大臣として経営サイドにもアクセスすることが必要であろうと。
 具体的には、我々JAXAについて、今後どういう使われ方をしていくのかというのは、まさに宇宙基本計画、今、議論されているところでございますので、ただ、背景となっておりますのは、例えば宇宙基本法ですと、安全保障を非常に心配されている方たちが議員立法で宇宙基本法を作ってきたということで、そういった方面の新しいものが入ってくる、ないしは、他省庁、例えば環境分野で環境省が、今、「いぶき」という温室効果ガスを見る衛星の1号機を上げていますけれども、これを本格化していく、シリーズ化していくということで、ずっとJAXAを使ってやっていくということになると、それなりの関与が必要なのだろうという、そういった考え方に基づいて、今現在の業務としては定常的にこれがあるわけではないけれども、そのそれぞれの行政のニーズから大きな資金を入れて、実際にJAXAを使っていくというときに、政令で主務大臣として関与できるスキームをつくっておく。
 この制度自体の関与としては、基本的には事業所管部分だけですので、管理運営、法人の管理運営としては、相変わらず主務省たる文科省が取りまとめていく、その中でそれぞれの省庁がやっていく事業としてJAXAの中にどういう影響を与えていくのか、そのあたりは個別の案件に応じて我々は議論していく。主務大臣が増えれば増えるだけ評価についても複雑になっていくというのは我々認識しておりますけれども、それは現在でも、例えば情報収集衛星というのは関連しておりますけれども、必ずしも内閣官房については、今、共管にはなっていないということで、入る、入らないの判断というのは、やはりJAXAが抱えているプロジェクトの大きさと、政府としてのコントロールの仕方についてのそれぞれの省庁の判断と調整をしていく中で、そこは独立行政法人という立場を考えると、JAXAに過度の負担にならないようにしていくべきものと思っております。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 時間の都合がございますので、ここで一旦議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえつつ、今後の主要な事務及び事業の見直しに関する審議を深めてまいります。引き続き御協力をお願いしたいと思います。
 時間の関係で、十分な質問ができなかった委員もおられるかと思いますので、その場合は、後日、事務局を通じて照会いたしましたり、また、再度ワーキングの開催等で御協力をいただいたりすることがございますけれども、その点、よろしくお願いいたします。
 本日は、御多用中、御出席いただきましてありがとうございました。
 御説明の方には退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。
【文部科学省(柳課長)】  どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  次に、日本スポーツ振興センターについて、山脇大臣官房審議官から御説明をいただきます。5分程度でよろしくお願いいたします。
【山脇審議官】  官房審議官の山脇でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、日本スポーツ振興センターの見直し当初案につきまして、冒頭、御説明を申し上げます。資料の2ページを御覧いただきたいと思います。
 日本スポーツ振興センターの業務の概要でございますが、大きく言いまして四つの柱がございます。一つ目がスポーツ施設の運営業務、二つ目が国際競技力向上のための研究・支援業務、三つ目がスポーツ振興投票等の関連の助成業務、四つ目が災害共済給付等に関する業務の四つの柱に分かれるかと思っております。それぞれにつきまして御説明を申し上げます。
 まず一つ目のスポーツ施設の運営業務でございますが、3ページ目及び4ページを御覧いただきたいと思います。
 センターでは、国立競技場、国立代々木競技場などの施設を有しているわけですけれども、これらの施設を効率的に運用していくということが一つの大きな業務になっております。このうちのメインの国立競技場に関しましては、4ページに書いておりますが、2019年のラグビーワールドカップの日本開催、あるいは2020年のオリンピック、パラリンピック招致を目指しておりますメインの会場として使われるというようなことも載っておりますので、それを目指した整備充実が今後の課題という形になっております。
 このほかナショナルトレーニングセンターあるいは国立スポーツ科学センターを使った競技力の向上ということを目指して、更なる効率的な運営を推進していきたいと思っております。
 これに関しましては、平成24年1月の閣議決定におきまして、具体的な効率化策を策定しろという指示が出ておりました。これを踏まえまして、文部科学省では、独立行政法人評価委員会の下にワーキング・グループをつくりまして、そこで効率化策をまとめたところでございます。その内容を踏まえて、今後、具体的な効率化策を進めていきたいと考えております。
 2本目の柱が、国際競技力向上のための研究支援業務、5ページ目から6ページ目でございます。
 この業務は、スポーツ医・科学でありますとか、スポーツ情報等の各分野の研究、その成果を支援していくというものでございます。
 先般のロンドンオリンピックでは、ご存じのとおり、金メダルランキングでは11位ということでありましたが、メダルの獲得総数は38ということで過去最高を獲得した。そのような成果は、これらのスポーツ医・科学研究、スポーツ情報などを活用した、我々はマルチサポートと呼んでおりますが、現地のマルチサポートハウスなども含めた支援の成果ではないかというふうな声が、先週、団体からも上がっております。今後もそのような機能を強化していくということが課題かと思っております。
 3番目でございます。スポーツ振興投票等を財源にしたスポーツ助成に関する業務でございます。
 これに関しては大きく二つありまして、スポーツ振興投票(toto)の収益を財源としたもの。それから、スポーツ振興基金の運用益を活用した助成業務というようなことを進めているものでございます。
 8ページ目に、見直しの方向性を書いておりますが、スポーツ振興投票制度につきましては、助成財源を確保するということで、売上げの一層の向上というものに努めて財源を確保していきたいというふうに考えております。
 それに関連しましては、現在、国会、超党派のスポーツ議連のほうで、スポーツ振興投票制度の見直しの検討が進められていると聞いておりますので、それらの要求を見ながらセンターの業務をしっかりしていく必要があるだろうというようなことも考えております。
 また、この助成事業に関しましては、今年に入りまして、スポーツ団体に対する助成の中で不適切な使用の行為があったというようなこともありまして、それに対する対応策、当然、補助金の返還などもしておりますが、それを踏まえたしっかりとした助成業務の遂行が必要であろうということで、その具体策を今検討しているところでもございます。
 それらの背景も踏まえながら、スポーツ振興助成について運営の効率化を進める、あるいは公正な事業の進め方を行う。事業成果を的確に把握して、それをフィードバックしていくというような取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
 最後、4番目でございますが、9ページから10ページ目でございますけれども、災害共済給付業務・学校安全支援業務、学校における児童・生徒の災害に対して、災害共済給付機能を行う。それらの情報を踏まえた学校安全に関する調査研究を進めていくというものでございます。
 災害共済給付業務は非常に重要な業務でありますが、効率的な遂行に今後も努めていくとともに、学校における事故の情報などをもとに、今後の事故防止の対策に活用できるような取り組みを今後も充実していきたいというふうに考えております。
 以上、4本柱ですが、そのほか12ページ以降に組織の見直し、今までに事務・事業の見直しの基本方針を踏まえて、食の安全に関する事業の見直しを進めてまいりましたが、今後も必要な組織の見直し、海外事務所のあり方も含めて検討していきたいというふうに考えているところでございます。
 冒頭、簡単ではございますけれども、以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明で何か御質問ございましたら、どなたからでも結構でございます。
 浅羽委員、どうぞ。
【浅羽臨時委員】  山脇審議官、御説明どうもありがとうございました。
 私からは、スポーツ振興助成業務について質問をさせていただきたいと思います。
 スポーツ振興助成業務につきましては、かつて取り分けtotoのほうのスポーツ振興投票等業務に関しましては、財源が乏しい時期に関しては、おそらくは申請に対してなかなか応じ切れない。あるいは、応じるにしても金額が非常に小さくならざるを得ないといったようなことがあったと記憶しておりますので、その点について、公平性というものにかなり重きを置いた配分のルール等を整備されてきたというふうに認識しております。
 ですので、データベースとか、あるいは申請の書類等もかなりオープンになっていますし、その点では相当程度の効果が発揮されていると認識しております。
 ただ一方で、そうした厳選されたものに対して助成されていたということですと、おおむねおかしなお金の使い方にはつながっていなかっただろうと思われますし、結構具体的な成果は上がっていると思っていますが、その後、toto BIGの成功、成功と言っていいのかどうかと思いますが、かなり財源の面で、かつてに比べれば余裕が出てきた中で、かなり申請者に対する不公平感というものが落とされる人が少なくなってきますし、満額出やすくなってくる環境の中で、その公平感は当然維持しなければいけないですけれども、それでも不公平感が少しずつなくなってきているだろうという中で、今度は厳選されたものとは必ずしも言えない可能性も出てきますので、見直しの当初案にありますように、成果を的確に把握するというところにより重きを置くべきだと私も考えております。従来の成果という点についていろいろ報告書等を拝見させていただきますと、まだ定量的なというようなところには行っていないと認識しています。例えば、実地調査等を幾つかやっていますけれども、そこでは活発に活動しているとか、そういうところにとどまっていると思います。ただ、今後は、不適切な事例は論外としましても、より良いお金の使い方ということを考える上では、アウトカムに対しての評価がどうしてもより重要に、今まで厳選された中でではなく、少し余裕のある中でやっていくと、そこがより問われてくると思います。
 具体的にどういうような方策が考えられるのか。アウトカムの評価というのは、どのような事務・事業でもすごく難しいものだと思っています。この点に関しまして、スポーツ振興助成業務でのアウトカム、改善を検討とありますけれども、具体的にどうされようと考えていらっしゃるのかお聞かせ願いたいと思います。
【山脇審議官】  ありがとうございます。
 御指摘の効果の検証の部分というのは、我々も非常に今後重要になってくるだろうと思います。委員御指摘のとおり、スポーツ振興くじを財源とした助成事業、最近、規模も非常に大きくなってきているということから、その助成の効果をどう評価していくのか、それを次の助成業務にどう生かしていくのかというのは非常に重要だというふうに思っております。
 また、今までの評価が、先生御指摘のアウトカム、定量的な評価が十分ではなかったというふうには我々も考えております。
 したがって、今後はそのような方向で定量的な評価を何らかの形で得られないかということを検討していきたいというふうに考えております。具体的にどうするかは個々の業務によって違うのですけれども、当然、アウトカムまで行きませんが、アウトプットとしては、助成による参加者数とか、地域に根ざしたスポーツがどの程度振興されたかという一つの指標としては、参加者とか、年齢層とかというような定量的な手法は可能かなと、あるいはその開催の回数とか、それは先生がおっしゃるアウトカムまで行かないかもしれませんけれども、できるだけいろいろな定量的な評価を入れた効果の検証というものを今後は進めていくべきだというふうにも考えておりますので、そのような方向で今後考えていきたいと思っております。
【浅羽臨時委員】  今、審議官がおっしゃったようなことを次期中期目標等で何か入れられないかなというふうに思っているのですけれども、いかがでしょうか。
【山脇審議官】  ええ、地域目標あるいは地域計画の中で、どこまで書き込めるかというようなところはいろいろ検討が必要かと思いますが、方向性としてはそういうことも我々も考えていきたいと、検討をしていきたいと考えております。
【浅羽臨時委員】  おそらく何らかのシステムが必要なのだろうなと思います。そんな大がかりではなく、申請した人がまたこういうふうになってというようなことでぐるぐる回れるようなシステムが何か整備できると良いなと思っているのですけれども、ちょっと今、具体案を全く持ち合わせていなくて申しわけないのですけれども、そういったようなことを合わせて中期目標等を検討していただきたいと思います。
【山脇審議官】  そうですね。そのような方向で検討を進めていきたいというふうに思っております。具体的なやり方について、いろいろ考えを巡らせているところでございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。
 柴委員、どうぞ。
【柴臨時委員】  外部収入の大切なものとして、今、ネーミングライツで2か所が行われていると思うのですけれども、以前に頂いた回答の中では、同業他社との問題があるとか、あるいは国立機関としての問題があるということで、ネーミングについて、なかなかネーミングライツで入れていくというのは難しいということだというお話なのですけれども、例えば、フットサルのコートとか、テニスコートとか、それから国立のスポーツ科学センターとか、そういうところに対してネーミングライツを検討していくというような余地があるのではないかなというふうに思うのですが、その辺についていかがでしょうか。
【山脇審議官】  ネーミングライツの導入につきましては、従来からも効率的な運営の一環として検討すべきということで、委員御指摘のとおり、今、ナショナルトレーニングセンターと西が丘サッカー場については導入しているのですが、その他の施設について可能かどうかということも検討してきてはおります。国立競技場とか代々木競技場に関しましては、国際的な競技大会を実施するというようなときには、クリーンなスタジアム、企業の名前などが付いていないスタジアムでやることが原則として求められるというようなことから、誘致に影響するのではないか。あるいは、冠スポンサーとか、協賛スポンサーがつくような大会の場合には、その場所で開催することを必ずしも望まれないという場合もあって、結局その競技大会が開催できないということにもなりかねない、そういう全体のプラスマイナスを考えながら検討すべきかなということを考えておりまして、そういう意味で、国立競技場とか代々木競技場などについては難しいのではないかと思っております。
 先生御指摘の国立スポーツ科学センターにつきましては、ここは先ほどのスポーツ医・科学研究でありますとか、スポーツ情報、医療など、研究を中心に行う機関でございますので、中立的な研究業務をするに当たって、そこに命名権を設定するのが適切かどうか、我々としてはそこは難しいのではないかなというふうに考えております。その中でも先ほどの西が丘サッカー場の部分についいては可能だろうということで導入したということでございます。
 そのほかフットサル場とかテニスコート、これにつきましては、必ずしも大規模な大会とか競技大会に使われているものではありませんので、どの程度の命名権としての価値があるのかというようなことはあろうかと思いますが、その可能性については今後も検討していきたいというふうに思っております。
【柴臨時委員】  関連して。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【柴臨時委員】  これは企業の名前で、例えば、ナショナルトレーニングセンターが味の素という形になっているわけですけれども、ユーザーとか、あるいは一般的なあれから行くと、味の素が名前で入っているということが、スポーツトレーニングセンターとしてもっともっとふさわしい名前のスポンサーがあったのかどうか。あるいは、どうやって決められたのか、値段だけで決めたのか、その辺のところはいかがなんでしょうか。
【山脇審議官】  すみません、私自身、ちょっと決めた経緯、詳細は存じておりません。失礼いたしました。
【柴臨時委員】  後で結構です。
【阿曽沼分科会長】  ほかにありますでしょうか。
 森泉委員、どうぞ。
【森泉委員】  御説明ありがとうございました。
 私は、国立登山研修所について、2点ほどお尋ねしたいと思います。
 登山研修所が登山の指導者を養成しているということなのですが、地方公共団体等でも似たような研修所を持っているところもあるということを聞いております。それにもかかわらず、独法がなぜやらなければいけないかという点について、もう少し御説明をいただきたいと思います。頂いた収支表を見ますと、大変コストパフォーマンスが悪くて、経常収支の比率が750%ぐらいになっているということです。このような状況のもとで、むしろ消防に戻すとか、消防のところに組み込んだりしたほうがいいのではないかと気がいたします。もしも独法で行っていくのであれば、説明責任があるのではないかという気がいたします。
 それからもう一つは、今までヒアリングでもお聞きしたときに、登山ブームが来ていて、事故が増えているというお話でした。そこで、では、それはどれぐらい増えているのですかというふうにお聞きしたときには、データがないから分からないということだったのです。しかし、そもそもこういうことを独法として行うということのベースには、きちんとした登山者の数の増加であるとか、それに対して登山研修所が存在してどのくらいの効果を持っているかということに関してのデータがなければ、こういう政策的な意図を持っている独立行政法人の登山研修所というのは、やはり説得力はないだろうという気がいたします。
 それで、最近、高齢者が気楽に行って事故を起こす傾向にありますが、その高齢者のところには、当然ながらこの研修で受けた指導者がいるとは限らないわけです。ですから、登山研修所で研修を受けた指導者という人たちと、それから実際に山を登っている人たちのギャップが大変大きくて、その間を埋めない限りは、やはり遭難事故というのは今後も起こってくるということだと思うのです。この間も中学生が危うく遭難事故に遭うところでしたけれども、学校の先生が連れていっているだけでした。もし登山人口が増えているというのであれば、登山研修所が裾野に至る部分の対策を講じない限りは、事故は減らないと思うのですけれども、その辺はどういうふうにお考えでいらっしゃるかお聞きしたいと思います。
【山脇審議官】  ありがとうございます。
 登山研修所についてでございますけれども、まずその機能とか位置付け、役割という点でございますが、御存じのとおり、登山研修所では、指導者の指導者に対する研修業務をするということで、それをここで培った研修を生かしてもらうという側面が一つと、それから、山岳の遭難の救助を行う機関の研修を行う。そこには、警察、消防、自衛隊、山岳協会などが参画した形での研修を推進するというようなことを中心に行っております。
 それについて、なぜ独法としてやらなければいけないのかということなのですけれども、地方だけでは、特に山岳救助の訓練などを、消防、警察、自衛隊が連携して行うような仕組みがありません。消防とか単独でも可能かもしれませんが、連携で研修を行い、協議をしていくというような仕組みがありませんので、そこは公的な機関としてこの研修所が担っている大きな部分かなというふうには思っております。
 特に山岳遭難救助の際には、各機関、消防、警察などの連携が非常に重要だということで、そこの点からすれば、各地方あるいは消防だけに任せた研修では不十分ではないかというふうに思っておるところでございます。
 したがって、内容的な面でやり方の効率化は必要かと思いますが、その機能は今後も維持していって、この研修所は果たすべき役割をしっかりと担わせていくということが重要ではないかというふうに思っております。
 もう一つ、件数のデータでありますとか、それから、効果がどの程度あったのかというような評価でございますが、件数データはございまして、簡単に申しますと、例えば平成14年の遭難発生件数は1,348件になっているのに対して、平成23年度では1,830件、遭難者数も14年で1,631人であったところが、2,200余名であったというような形で増えてきているというようなデータがございます。このあたりのデータを踏まえた対応は当然必要だと思っております。
 それから、効果について、これは定量的なデータはなかなかないというのが実情で、我々もちょっと工夫が必要かなと思っておりますが、できるだけアンケート調査とか、各機関のニーズ調査を踏まえた形でのフィードバックというものを進めていく必要があるだろうと思っています。
 最後に1点、先生がおっしゃいました指導者と実際に登山をする方たちとのギャップがあるという点については、御指摘のとおりかなと思います。この登山研修所では、調査研究、情報提供という業務もあわせてしておりますので、今後はそのような新たな登山者と申しますか、高齢者が増えているような状況を踏まえた情報提供事業とか、広報活動とか、そういうことにも配慮していくべきかなというふうに考えます。
【森泉委員】  この点に関連してよろしいですか。
【阿曽沼分科会長】  はい、どうぞ。
【森泉委員】  一生懸命おやりになっていることは分かるのですが、それに対して遭難件数は増えているわけです。先ほど、登る人も増えているからというお話があったのですが、その辺をきちんと押さえないと、私たちは遭難事故しか分かりませんから、遭難事故がすごく増えていて、あたかも効果がないような印象を受けるということなのです。先ほど申し上げたように、指導者は立派に技術を磨くけれども、それは事が起こったときに助けるための技術であって、予防にはなっていないということです。ですから、そこのギャップということです。
【山脇審議官】  遭難救助研修については助けるための研修ですが、指導者研修、指導者の指導者に対する研修は、事前に事故を防止するためのリーダーの役割、あるいはそれを伝達すべき役割を研修するということで、それは事前予防の研修でございます。
【森泉委員】  効果はちょっとよく見えないというところですね。
【山脇審議官】  効果の測り方とかというのを今後いろいろ検討はしていく必要があるだろうとは思っています。
【森泉委員】  それから、コストパフォーマンスが悪いので、その点も何らかの形で効率化を図っていただきたいというふうに思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 柴委員、どうぞ。
【柴臨時委員】  各競技場とかの施設の稼働日数については、今まで前期の中間目標から設定して数を決めているということで、実際にはそれを上回るだけの稼働が行われている、その点については非常にすばらしいことだと思うんですけれども、次の期に当たって、やはり法人としての努力目標、いわゆる前の期の稼働日数をベースにするのではなくて、それプラスアルファの努力目標を決めて稼働日数を作っていくというようなことを考えるべきではないかなというふうに思うのですが、次期の中期目標に対してどのように今お考えになっているのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思ったんですが。
【山脇審議官】  稼働日数など施設の運営の目標の設定ということですが、まだ具体的にこのような形でというのは固まってはおりません。御指摘のとおり、平均的な値を目標値で良いのかという御指摘もあろうかと思いますので、そこの設定の仕方をもう一度考えていきたいと思っております。ただ、今、平均といっても300日近くとか、非常に高いところにあるのもありますので、それ以上となると結構厳しいかなというところもあるので、それ以外の視点もあるかもしれませんし、利用者数とかちょっと分かりませんけれども、先ほどの登山研でも、いわゆる主催研修だけではなくて、各団体が独自で研修をするというような場合もありますから、そういうような全体で使用効率がどうなのかというような視点も含めて検討していきたいと考えているところでございます。
【阿曽沼分科会長】  よろしゅうございますでしょうか。
 ネーミングライツについては、決定プロセスについて、また資料でお示しいただくということでございます。
 それから、各委員からの御指摘、御質問を踏まえまして、より具体的な数値目標をお示しいただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、時間の都合もありますので、日本スポーツ振興センターについては、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 御説明いただきました皆様方には、御多用中、御協力をいただきましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえつつ、今後、主要な事務及び事業の議論を深めてまいりたいというふうに思っております。引き続き御協力のほどお願いいたします。
 時間の関係で十分な御質問ができなかった委員がおられるかもしれませんので、その場合は、後日、事務局を通じて照会いたしましたり、再度ワーキングでのヒアリングをお願いしたりすることもあろうかと思いますけれども、御対応のほどよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。皆様、御退席いただいて結構でございます。
【山脇審議官】  どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは、次に、日本芸術文化振興会につきまして、河村文化庁次長から御説明いただきます。5分程度の御説明でよろしくお願いいたします。
【河村次長】  文化庁次長の河村でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。資料は、皆様のお手元の47ページからかと存じます。
 日本芸術文化振興会は、芸術文化の振興の援助、芸術文化活動への援助、それから伝統芸能の公開、人材養成、調査研究、さらには、現代舞台芸術の公演、人材養成、調査研究を行うことを目的とする法人でございます。
 この法人と国の文化芸術振興政策との関係について、資料では49ページに掲載させていただきました。これについて御説明をし、その後、第2期中期目標期間を振り返り、かつどうような見直しを次の期に向けて行っていくかお話ししたいと存じます。
 国の文化芸術振興政策と日本芸術文化振興会の使命・課題でございますけれども、国の文化芸術振興政策、現在では基本法がございまして、ここでその基本的な考え方が示されております。文化芸術全般に対する支援ももちろんこの中で書かれているのですけれども、劇場、音楽堂等に関しましても、ここで国も自ら施設の整備を行い、また、様々な支援を行うということが規定されております。
 これを受けて、5年に1回ぐらいでございますけれども、基本方針が閣議決定されておりまして、その中でも劇場等の充実、それから芸術文化支援全般についての方針が定められております。合わせて先の通常国会で、劇場の活性化に関する法律というものが成立いたしました。これは我が国の劇場、音楽堂等の実情がいわば箱もの優先になってきて、ハードのものは整備されてきたけれども、中での事業が不十分のままであるという課題を踏まえまして、この事業の充実ということを目指した法律でございます。この中で特にここに引用しておりませんけれども、国も独立行政法人の設置する劇場を通じまして、国際水準の事業の展開や、伝統芸能の継承ということを行うべきことが改めて定められております。
 これを受けまして、日本芸術文化振興会としての芸術支援、それから、劇場運営による伝統芸能と芸術創造という使命を持ち活動してきたわけでございます。
 第2期中期目標期間を振り返りましたものが50ページの左側の表でございます。
 第1に、伝統芸能の公開、現代舞台芸術の公演については、伝統芸能に関しましては、古典、つまりもともと作られていた舞台芸術をそのままの姿で伝承するという考え方での公開、要は、舞台での公演を進めてまいりました。
 また、現代舞台芸術については、国際的に比肩し得る高い水準のオペラですとかバレエですとかを自主製作で公演するということで、これは公演を積み重ねていくことで伝統芸能も継承され、また芸術創造も行われていくということで着実な実施を行えたという振り返りでございます。
 また、環境整備という点では、計画的な施設整備等を行ってまいりました。
 三つ目に、伝統芸能の伝承者の養成、現代舞台芸術の実演家の研修、つまり、人材養成でございますが、伝統芸能については、例えば歌舞伎の音楽を継承していくなど、民間では養成が困難になっている部分の伝承を担当する。
 また、現代舞台芸術については、国際的に比肩し得る活躍ができる、言い換えれば、グローバルスタンダードの人材と申していいかもしれません。グローバル人材を育てるということでの人材養成を行ってまいりました。
 それから、調査研究、資料収集ということについては、上演資料、公演記録といったものをきっちりと積み重ねていく、また、伝統芸能については古文献の復刻などを行ってまいりました。
 最後に書かれております文化芸術活動に関する支援、芸術活動への助成でございますけれども、ここは効率的な助成を行うという観点で、PDCAサイクルをしっかり回していくということを目指し始めたということで、会計面での調査や、公演を実地に見に行く調査の件数をこの第2期の期間に大幅に伸ばしたということを記載しております。
 これらをもとに、次の期に対してどのような見直しを行うかということですけれども、平成22年に独法の事務・事業の見直しの基本方針という閣議決定がされておりますけれども、その中でこの日本芸術文化振興会は、制度の見直しとして、事業の充実をせよということを実は言われております。ただし、国の負担を増やさない形でのという修飾語が付いておりますので、国の負担を増やさない形で、しかし事業は充実せよと、こういうことでございますので、これは自己収入を一生懸命増やす努力、それから事業運営を効率的にしていく努力、これが求められているのだろうというふうに受け止めております。
 この観点での事務・事業の見直しでございますが、上から御覧いただきますと、公演事業の充実に係る見直しでございますけれども、これは公演内容の質を上げる。それから、解説を付けるといったようなことで、観客層を開拓していく。より多くの人に見ていただくための努力をしていくということでございます。それから、情報発信の充実。また、地方への公演ということについて、まだ薄いということがございますので、地方公演についても努力をし、また、芸術団体との連携をすることで、例えば新国立劇場でまだ自らの主催公演をしない部分については、オペラ劇場も貸し館をもっと積極的にしてもいいのではないか、こういうこともあろうかと存じます。こうした自己収入増の見直し努力。
 それから二つ目の安全かつ良好な観劇環境への見直しということに関しましては、安全性と利便性の両面からの施設整備の計画的整備をいたしたいということでございます。
 三つ目に、人材養成の部分、伝統芸能の伝承者養成、それから現代舞台芸術の実演家の研修充実についての見直しでは、伝統芸能につきましては、民間では困難な分野をよく実態を踏まえて位置付けていく。それから、現代舞台芸術については、先ほど申しましたグローバルなスタンダードの体系的な研修をするということに努めてまいりたいということでございます。
 調査研究等についての見直しは、成果を十分に発信していく広報の強化ということがまだ足りないのではないかということで、ホームページ等でその公演の一部を発信していくといったことも新たに取り組み始めたところでございます。
 それから、文化芸術活動に関する援助における審査・評価体制の充実についての見直しでございます。これは一番下に文化芸術の基本方針の一部を抜粋しておりますけれども、文化芸術への支援策をより有効に機能させるために、諸外国のアーツカウンシルに相当する新たな仕組みの導入ということが掲げられております。これは非常に簡単に申しますと、今までの審査のやり方というのが、その都度、その都度の審査委員をお願いしまして、その審査委員会がもちろん設置して回すのですけれども、事務局というのは、会議事務局、運営事務局という形で一般的な事務の人たちが取り組んでいた事務局プラス審査委員会。そこに専門的な芸術文化分野のバックグラウンドを持った人たちが、プログラムディレクターとか、プログラムオフィサーという形で運営側に入りまして、実際に助成をした実態調査をしながら、その成果をもとに審査の基準を更に改善する、また、その結果を芸術団体、芸術家側にフィードバックする、こういうようなより良いPDCAの仕組みを作っていくということを本格的に取り組んでいきたいということでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 今御説明いただきました見直し当初案につきまして、御質問がございましたら。
 柴委員、どうぞ。
【柴臨時委員】  河村次長からお話があったのですが、この間のワーキング・グループでのヒアリングも含めて私が感じるところは、事業の充実とか強化ということについては記載されているのですが、内容的には非常に現状維持的な内容になっていて、いわゆる事務あるいは事業の見直しについて具体的なことはなかなか読みとれないというか、我々に伝わってこないところがあるのです。次の当初案について、その辺についての具体的なお考えをお伺いしたいと思ったのですが。
【河村次長】  事務・事業の見直しと申し上げる前に、私どもに求められていることが、自己収入を上げる努力、それから効率的な事業運営。国費の投入をとにかくできるだけ抑制する。しかし、より良いものを充実して世に出していく、それから人材を継承していくということについては、やっぱりこれは損なってはいけないというふうに考えているわけでございます。
 ですので、より自己収入を得るための努力というのが一つの大きな求められている観点であり、実際に行わなければいけないことであろうと思っておりますので、観客層の開拓ということについても、例えば、伝統芸能の場合は、国立劇場は非常に面白いところだけをやるというやり方ではなくて、歌舞伎でも全幕全部通しで上演いたしますのが基本になっております。継承するということが基本ですので。ただ、一方、できるだけ収入も上げていかなければいけない、観客層を掘り起こさなければいけないということがありますので、例えば、忙しい社会人の人にある部分を御覧いただきながら解説をつけるというような試みですとか、初めて見る方のためにより分かりやすい解説をつけた、少し短く一幕で見ていただくとか、こういった努力が必要だろうということを言っておりまして、その取組をしていこうということがございます。
 それから、この表の中では最後に付けております文化芸術活動の支援活動の充実ということについては、より透明性が高く、かつ専門的に意味がある助成金にしていきたいということで、先ほど申し上げました専門的バックグラウンドを持った人たちが、分析とフィードバックを行う仕組みを新たに導入するということを、今、試行的に開始して、これを次の期で本格化させたいということでございます。例えば、それぞれの支援について、音楽、舞踊、伝統芸能、大衆芸能といったその分野ごとにディレクター、オフィサーという形で入れていくということでございます。
【柴臨時委員】  これはやっているかもしれませんが、例えば小学生、中学生とか、その辺に積極的に観賞の機会を与えるとか、そういうことによって、その分を国でサポートしてやらせるとか、そういうことも考えられると思うのです。そういうものを現在やっておられれば、それはそれで結構なことだと思うんですけれども、お考えを。
【河村次長】  現実に小中学生への観賞の機会を作ったり、実際に歌舞伎を演じてもらうような仕組みとか、そういったことも行っておりますが、さらに努力として次世代の鑑賞者を育てていくという意味で、そういった若い世代に働きかけをするべきだという御指摘は、私どもも受け止めたいと思います。
【松田室長】  回数の問題はあるかもしれませんが、例えば今でも子どもに分かりやすい内容の企画で、またそういう資料もつけた形で親子向けの公演の実施というものもやっておりましたり、あるいは、オペラなんかも高校生に親しんでもらえるような形で学校に働きかけをして来てもらうというようなこともやっています。
 ただ、先ほど来説明しておりますけれども、文部科学省のほうで評価委員の先生方にいろいろ評価していただいておりますが、おおむね計画どおりやっていただいている。ただ、その辺の評価は言っていただいているのですけれども、もっと頑張ってほしいというような応援メッセージを結構いただいておりますことから、今回は特にそこの部分の閣議決定も踏まえながら、事業の充実を進めていかなければいけないのではないかというのが一番の課題ではないかと思っております。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。
 浅羽委員、どうぞ。
【浅羽臨時委員】  私からは、伝統芸能の伝承者養成を歌舞伎に絞って4点お聞きしたいと思います。
 第1点ですけれども、現在のようにいわゆる主役級を梨園というのでしょうか、家制度のもとで養成して、そして主に、全てではないですけれども、脇を固める部分、それは役者としてもそうですけれども、鳴物や唄等も含めて脇を固めたり、あるいは馬の足もそうですけれども、そういったようなものを芸文振が交付金等を使って養成する、こういったようなスキームを今後ともずっとやっていくことが、歌舞伎という伝統芸能を振興普及していくに当たって最も望ましいやり方なのかどうか。異なるような方法を次期中期目標期間に検討するというようなことはないのかどうか、これが第1点。
 第2点目は、仮に現在のやり方をやっていくとして、もしくはこれがベストでなくベターであってもやっていくとして、現在の定員規模が適正なのかどうか。
 第3点目は、日本俳優協会との関係の整理です。日本俳優協会では、歌舞伎の継承と発展のために必要な人材育成と技芸の継承のための事業というものを掲げてあるのを拝見しまた。そこと芸文振との関係をどう整理されているのか、あるいは今後されるのか、これが3点目。
 4点目は、優れた伝承者を養成するということは私もとても大切だと思っていますし、歌舞伎自体、もっと普及してほしいと思っています。その際の一つの重要な要件として、舞踊者の裾野を広げる、そしてその広げた裾野から具体的な伝承者につなげていくといったような仕組みも大事なのではないかなと考えています。現状多くを歌舞伎役者の方の師弟の方に頼っている状態ですけれども、古くは玉三郎とか、あるいは最近ですと中村屋の鶴松ですか、こんなような形で幼いころから部屋子として入っていってなんていうことに多くを期待する時代では多分ないと思います。さすがにそういうような人が、鶴松のような例が一杯出るとは思えません。
 ただ一方で、歌舞伎舞踊をやるような教室は結構それなりにあると認識しています。ただ、そこからプロの歌舞伎役者にというルートが必ずしも確立されているようにも思えません。そうした際の仕掛けをやれるとしたら、芸文振があるのかなと考えております。何かそういうような方策でやっている、あるいは今後やろうと考えているなんていうことがないか、これが第4点目。
 以上四つ、お聞かせ願いたいと思っております。
【阿曽沼分科会長】  いかがですか。
【河村次長】  役割分担、今の国立劇場といいますか、芸文振で行う人材養成と、それから実際に民間ベースでできることとの役割分担を見直すべきではないかという、余地はないのかということかと存じますけれども、実際なかなか若手が育たない分野ということを、毎年毎年そこは見直しながら、ここの部分が薄くなるであろうというところについて、国立劇場といいますか、芸文振で養成をしていくという、その役割分担で考えられてきていると存じます。そこは逐次変わり得る部分というのはあろうかと思いますけれども、民間でできるところは民間、そうでないところを日本芸術文化振興会がお引き受けしているという分担が基本なのかなというふうに考えております。
【松田室長】  仮に国として伝統芸能の保存、特に歌舞伎ですと、重要無形文化財ということで、これは国の責務として日本芸術文化振興会のほうでやっていただいておりますが、これを仮に例えば民間でやっていただくというようなことになったときに、商業ベースに走ったときに、本当の保存、私ども文化庁が保存というふうに言っておりますのは、これは古典があるがままの姿で伝承していきたいということを考えておりますが、それが必ずしも守られていかないのではないかということから、今しばらく日本芸術文化振興会、国においてやっていく必要があるのではないかというふうにそこは考えております。
【阿曽沼分科会長】  今の浅羽委員の御質問は大変具体的な例を示しながらの御質問でございまして、これは歌舞伎に限ったことではきっとないのだろうというふうに思います。そういった今までの視点ではなくて、新たな視点でまたもう1回考えて見直すということも重要であると思いますので、これはまた御質問に関してはきちんとした御回答を文書等で頂ければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかにございますか。
 森泉委員、どうぞ。
【森泉委員】  森泉でございます。
 私は、助成業務の効率性について、一つ、二つお尋ねしたいと思います。
 私の理解するところですと、芸文振の助成事業というのは、芸文振の振興基金と、それから文化庁からの間接補助、すなわち芸文振が審査して、文化庁からの補助金を出すという役割を担っているということですね。それともう一つ文化庁が直接団体に交付している補助金があるということですね。これらの中で一番大きいのが、文化庁からの委託で、芸文振が審査をして補助金を出すという、この部分が飛び抜け大きな部分になると思うのです。
 それで、文化庁の審査をするだけであるならば、これは文化庁でやっているもう一つの補助金ですが、それと一体化したほうが効率性は高いだろうということを思います。
 ワーキング・グループでのヒアリングのときの御回答によると、芸文振がやっているのは、国民が芸術文化に親しむための幅広い活動を支援する。それに対して文化庁のほうは、トップレベルの芸術団体にするのだと、だから仕分け、両方別々の組織が必要であるということなのですが、例えばスポーツ分野では、同様の裾野の拡大とトップレベルの支援というのが独法に助成事業で一元化されております。
 そのように考えますと、文化庁が独自にやっているのは、先ほども申しましたように、本当に少ない額なので、むしろ芸文振で一本化したほうが効率性はずっと高いだろうというふうに思います。それで、実際は、21年以降は文化庁の補助金と、芸文振の助成金の申請先は芸文振に一本化したということでありますから、申し込みの事務が一元化されているのであるならば、業務も一元化するというほうが効率性の観点からいくとはるかにいいのではないかと思われます。文化庁の直接の補助金というのは、本当に額は少しですから、いかがでございますか。
【河村次長】  前回の勧告で言われました一元化というのは、既に実施をしておりますので、芸術文化振興基金によるものと、それから、芸術創造活動重点支援事業と言われておりましたもの、それらの統合一元化というものは行っております。まだ文化庁で独自に行っているものがあるではないかと。例えば……。
【森泉委員】  国際芸術交流支援事業でしたか。
【河村次長】  それありますとか、それから、人材育成面の……。
【森泉委員】  国際交流支援事業について申し上げているわけです。
【河村次長】  かなり事業として定着したものについては、今後また芸文振のほうにお願いをするということはあり得るかとは思うのですけれども、まだ事業として割と新しいものについては、様々な見直しをしていくとか、試行錯誤が必要な部分がありましたりする関係上、文化庁で直接に行っているものもあるというふうに、定着したものについては移していくという考え方で良いのではないかというふうに存じます。
【井上室長】  若干補足いたしますと、国際芸術支援交流事業、それから人材育成といった通常の芸術団体向けの支援事業に比べて、若干より政策的な意味合いがあるようなものについては、今現在、文化庁のほうで残しております。
 ただ、これらも全てこれでずっと永続的に固定するということではなくて、これまでもその時々の状況を見ながら芸文振にお願いしたりしてきている経緯がございますので、今後の状況に応じては、またその見直しということは当然文化庁としても考えているところでございます。
【森泉委員】  次期の中期目標に一元化ということはお考えになっていらっしゃらないのでしょうか。その時々ではなく、もう一元化してしまったほうが効率的ではないかと思うのですが。
【井上室長】  次期の中期計画では、今のところは考えておりませんが、先ほど次長から説明申し上げたように、今、芸文振では、いわゆる日本版アーツカウンシルの試行的導入という事業を行っておりまして、従来の審査体制をある意味では非常に大きな見直しをしているところでございます。これを徐々に昨年から、昨年は音楽と舞踊の分野に限って試行を始めたわけですが、今年度はさらにそれを演劇と大衆芸能、それから古典芸能の分野にまで広げて、さらに来年は芸文振で行っている基金事業にまで広げていこうというふうに考えております。
 ですので、まずは現在、この部分について審査体制を充実して、いわゆるPDCAサイクルの確立を目指してやっていこうという段階で、その後どうするかということは、また今後の検討課題だというふうに考えています。
【森泉委員】  では、一部に関しては一元化をしていくというふうに理解してよろしいですか。
【井上室長】  既に文化庁のトップレベルの芸術団体への支援事業については一元化をして、更に審査の充実を図っていこうとしているところでございます。
【阿曽沼分科会長】  宮本委員、どうぞ。
【宮本臨時委員】  最初の柴委員からの質問とも関連いたしますけれども、見直し案で事業の充実と、それから効率的な事業運営を図ると、言葉で御説明あったのですが、効率的な事業運営を図る、あるいはいわゆる合理化、改善を図っていくという面について、余り表記がされていないような感じがありまして、見直し案としてそこを明確に経費の節減といいますか、効率化に努めるというようなことは要らないのかどうか。
 例えば、新国立劇場と国立劇場おきなわとの運営の在り方について検討会が行われて、財団の形で運営するというのは追認された形になっていると思いますけれども、その中でもいろいろ改善点は指摘があると思います。そういうことについても、しっかり取り組むのだという姿勢、そういうものがあったほうが良いのかなと思います。
【河村次長】  見直しの中に全部書き切れておりませんけれども、そうした自己努力を進めていくということについては、御指摘のとおりかと存じます。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
 岡本委員、どうぞ。
【岡本臨時委員】  私は文部科学省の評価委員をやっておるんですが、芸術分野は担当しておりませんので発言させていただいてよろしいでしょうか。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【岡本臨時委員】  先ほどから何回か出ておるのですが、若干気になった件があります。諸外国のアーツカウンシルに相当する新たな仕組みを導入するという閣議決定の文書の理解なのですけれども、先ほど、次長の御説明も、後からの課長の御説明もそこに触れられておりましたが、例えば審査体制であるとか、評価体制、自己評価体制があるというところに限って導入されるというふうに説明されているように思うのです。試行的という部分がそうなのかもしれませんが。
 私自身は芸術分野の専門家ではありませんが、ただ、このアーツマネジメントの研究者なんかと意見交換をすると、むしろもう少し広く捉えたマネジメントに問題があるのではないかという指摘が結構あるように思います。私自身もヨーロッパのアーツカウンシルに相当するもので若干ヒアリングをしたこともあるのですけれども、日本との違いはやはりそこにあるのではないか。
 先ほど、柴委員等々からも、もう少し全体の見直しという発言が出ておりますので、そこの部分の導入をもう少し強く打ち出されるか、あるいは芸文振でそれをどう捉えていらっしゃるかというのを出されて、中期目標ないしは中期計画にもう少し出されていったほうが、アーツの部分に対する支援体制は充実するのではないかという印象、意見を私は持っておるのですけれども、もう少しこのアーツカウンシルに相当する新たな仕組みを導入するということを広く捉えられた説明があってもしかるべきかなということを質問させていただきたいということです。
【井上室長】  御指摘のように、単に審査とか、あと、事後評価に限らず、今回導入したプログラムディレクター、あるいはプログラムオフィサーというのは、広く公募して、大学の研究者、あるいは現場をよく知っているような現場責任者、あるいは芸術の評論家というふうな方ももちろんいらっしゃいますが、そういった幅広い分野から、いわば外部から人を入ってきていただいて、これまでは芸文振の事務職員と、それから審査員は外部からお願いしている方だけですが、日常的に外部からそういったスタッフが入って、基準作りとか、あるいは芸術団体の日常を調査するとかという役割を担っているわけです。その中で芸術団体との信頼関係を築いていくということも一つ重要な役割かなと思っています。
 ですので、日常的に個々の芸術団体がどういう活動をしているのか、あるいはどういった点に問題点があるのかといったことをプログラムディレクターあるいはプログラムオフィサーが調査をしていくというようなことも当然あると思います。
 そういったことを現実に動いてやりながら、試行的導入というのは必ずしもヨーロッパ、特にイギリスで行われているアーツカウンシルをそのまま日本に導入するのではなくて、日本の社会、日本の事情に合ったようなやり方があるだろうということで、状況を見ながらより良いものにしていこうということを考えているところでございます。
 次期中期目標、中期計画にどう位置付けるかということについては、芸文振のほうで御検討されているかと思いますが、文化庁としても十分に相談していきたいというふうに思っています。
【阿曽沼分科会長】  岡本委員、どうぞ。簡潔にお願いします。
【岡本臨時委員】  最後の点ですけれども、やはり文化庁の政策があると思うので、そこを中期目標等にある程度具体的に明記されるべきではないかという意見、これはあくまでも意見でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 時間の都合もございますので、ここで一旦議論を打ち切らせていただきますけれども、各委員からの御指摘、重要な御指摘も一杯あったように思います。文書でお答えいただく、もしくは中期計画の見直しの中に盛り込んでいただくことも結構あろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用の中、ありがとうございました。今後、当分科会といたしましては、本日の議論を踏まえて、また審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続き御対応のほどよろしくお願いいたします。
 時間の関係で十分な御質問ができなかった委員もあろうかと思いますので、今後、事務局を通じて照会いたしましたり、新たにまたワーキングでお伺いしたりするということもあろうかと思いますけれども、御対応のほどよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。
【河村次長】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  では、御退席いただいて結構でございます。

(説明者等退席)

【阿曽沼分科会長】  1時半からまた再開いたしたいと思います。私は少し退席をいたしまして、山本分科会長代理に議事進行をお願いいたしますので、よろしくお願いいたします。また経済産業省のときは戻ってまいります。よろしくお願いいたします。

( 休  憩 )

【山本分科会長代理】  皆さん、お揃いでございますので、それでは、ただいまから午後の審議を再開したいと思います。
 阿曽沼分科会長が所用により一時退席されましたので、これより先の審議につきましては、私、分科会長代理の山本が議事の進行をさせていただきます。
 なお、阿曽沼分科会長におかれましては、15時を目安にお戻りだと聞いておりますので、戻られましたら、また議事進行を分科会長にお戻ししたいと思っております。
 午後は、財務省所管の3法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行う予定でございます。本日は、財務省美並大臣官房審議官をはじめ御担当の皆様にお越しいただいております。
 それでは、3法人のうち最初に、造幣局の見直し当初案の主要なポイントにつきまして御説明をいただきまして、その後、質疑応答に入りたいと思います。
 全体の時間が財務省所管法人につきましては15時までとなっておりますので、できましたら5分程度で説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【美並審議官】  財務省で理財局を担当する審議官をしております美並でございます。委員の皆様方には平素から大変お世話になっておりまして、この場を借りて御礼申し上げます。
 理財局では、今の財務省所管3法人のうち、造幣局と国立印刷局を担当しておりますわけですけれども、具体的な説明に入る前に、この両法人の置かれている状況について簡単に私からお話しさせていただきたいと思います。
 皆様、御高承のとおり、独法の改革ということで一昨年の12月に事務・事業の見直しの基本方針が閣議決定されまして、本年になって1月に組織・制度の見直しの閣議決定がされ、この閣議決定を受けて先般の国会に独法通則法の改正の関連の法案が提出されたわけでございますが、造幣局、それから国立印刷局につきましては、今までの独法制度を改正する中で、国と密接な事務・事業を行っている法人として、中期目標ではなくて単年度ごとの目標を定めて確実に事務を執行する行政執行法人という位置付けにされたわけでございます。
 残念ながら、法案は先般の国会では通りませんでしたけれども、現在も継続審議ということになっておりまして、我々としては、政府全体としてもそうでしょうけれども、法案の成立を期するところでございまして、そういう意味におきましては、所管している官庁としては、造幣局、それから国立印刷局の今後の事業展開を考える上で、やはりどうしても行政執行法人としてどう在るべきかということに重点を置いて考えていかざるを得ないということをまず御理解賜りたいと思います。
 とはいうものの、もちろん法律が通らない現状においては、現行法のもとで中期目標期間を前提として今後の中期目標を考えていかなければいけないわけでございまして、それに当たりましては、閣議決定された事務・事業の見直しの方針を継続していくことを一義的に考えていきたいと考えているわけでございます。
 両法人の概要、見直しの方向性等につきましては、担当の勝俣企画官より具体的に説明させていただきますけれども、両法人とも国家に不可欠な通貨の製造事業を確実かつ安定的に実施することが最大の目標であるわけでございますけれども、その中において、例えば人件費を削減するとか、固定費を削減するとかというふうなコスト削減努力を継続的に実施しているところでございます。
 これに加えまして、保有資産についてかなり徹底的な見直しを行い、それらについては国庫納付という形で財政に貢献しているという点について是非とも御理解を賜りたいと思います。本日の御意見・御指導を賜って、さらに良い方向に持っていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、具体的な説明は企画官に譲りたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。 
【勝俣企画官】  失礼します。財務省理財局国庫企画官の勝俣でございます。
 それでは、私から、お手元の資料「独立行政法人造幣局の概要説明資料」、資料2−1−(1)ですが、表紙を入れて横6枚の資料でございます、この資料に基づきましてポイントをかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
 それでは、表紙をおめくりいただきたいと思います。
 「これまでの取組と今後の方向性」というタイトルがございます。造幣局のこれまでの取組、それから今後の方向性について、各事業、それから業務の見直し、保有資産の見直しというくくりで整理させていただいております。
 各事項につきましてこれまでの取組を踏まえまして、独法の事務・事業の見直しの基本方針を引き続き充実を図りつつ、右側の箱にございますような点を盛り込んで実施していきたいと考えてございます。
 さらに詳細につきまして、この概要の後ろに参考として「造幣局の主な業務実績と今後の業務方針」を添付させていただいております。今日は時間の関係もございますので、取組と今後の方向性の主なものにつきまして、この概要説明資料の次のページ以降で御説明させていただければと思います。
 1枚おめくりいただきたいと思います。
 「これまでの取組(1)」でございます。
 第2期中期目標期間におきましては、業務運営の効率化の推進によりまして財政貢献に努めたところでございます。下段に売上高、それから営業利益の推移、固定的な経費の推移、人員の推移をグラフ化してございますが、概要を申し上げますと、売上高につきましては、記念貨幣セットの販売増等を主因として増加する一方で、地金相場下落といった外的要因等によりまして原材料評価損の計上などにより、営業利益が第1期中期目標に比べて、今期、68%の減少、こういう状況になってございます。一方で、人員の削減、経費の削減に着実に取り組んだ結果、固定的な経費は前期に比して14%の削減を達成しているところでございます。
 こうした固定的経費の削減などによりまして、業務の効率化を図ってございます。その結果、現時点の見込みでございますが、今中期目標終了時に16億円程度の国庫納付を見込んでいるところでございます。
 次のページをお願いいたします。
 「これまでの取組(2)」といたしまして、保有資産の見直しでございます。こちらにつきましても、先ほど審議官からも説明がございましたが、積極的に取り組んでいるところでございます。内容を見ていただきますと、現物納付による国庫納付が4件、これは簿価ベースで10億円でございますが、それから宿舎敷地等の譲渡収入である金銭による国庫納付、これが10件・48億円となってございます。
 次のページをお願いできればと思います。
 主な「今後の方向性(1)」といたしまして、造幣局東京支局について御説明させていただければと思います。
 造幣局東京支局につきましては、現在、豊島区東池袋にございます。敷地は面積が約3.3ヘクタール、簿価で約192億円となってございます。この東京支局につきましては、地元自治体でございます豊島区の意向を踏まえて有効活用の可能性につきまして鋭意検討してきたところでございます。この結果、今般、貨幣製造等の製造拠点を地理的に複数有することによるリスク分散を維持しつつ、現在の敷地より規模を縮小しまして、相対的に地価の安い地域へ移転を行うこととしたところでございます。
 移転先につきましては、具体的には、さいたま市大宮区にございます三菱マテリアル敷地跡地を予定しておりまして、こちらのほうも地元自治体でございます埼玉県、それからさいたま市より造幣局の受入れを非常に歓迎されているところでございます。
 この東京支局の移転後ですが、現敷地につきまして国庫納付を行い、財政に貢献していく、このように考えてございます。
 駆け足で恐縮ですが、次のページをお願いいたします。
 「今後の方向性(2)」といたしまして、外国政府等からの貨幣の製造受注等を挙げさせていただいております。外国政府等からの貨幣の製造受注につきましては、平成15年の独法化に際しまして、造幣局法によりまして造幣局の事業として明記されてございますが、造幣局では偽造が発生した際の緊急改鋳に対応するため、製造設備に若干のすき間と申しますか、キャパが必要でございます。そのキャパを有効活用して海外貨幣の製造を行うことが可能となってございます。
 また、付加的な話でございますが、海外貨幣製造につきましては、国際協力的な観点からも非常に有意義なものと考えております。
 右を御覧いただきたいと存じますが、「効果」とございますけれども、偽造防止技術を含めた貨幣製造技術につきましては、技術練磨は欠かせません。これは、金属工芸品の製造も含めて新技術の耐久性、それから量産性を含めたいわゆるフィールド・テストというものが非常に重要になってございます。この観点から受注の機会を捉えて積極的に進めていきたい、このように考えております。
 また、造幣局では、独立採算で業務を運営しております。当然、収益を上げるよう事業を実施いたしますので、こうした業務も国庫納付を通じて財政貢献に資するものでございます。
 簡単ではございますが、造幣局の説明は以上でございます。
【山本分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました造幣局の見直し当初案につきまして御質問等ございましたら、どなたからでも御発言をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
 鈴木委員。
【鈴木臨時委員】  私どものワーキング・グループが担当でございますけれども、いつもいろいろ御質問とかそれに回答していただいたり、作業に協力していただいたりして、大変ありがとうございます。
 私から、二、三、最初に質問させていただきます。
 最初は、見直し当初案を頂いたわけですけれども、読ませていただきますと、これは事務・事業の基本方針のフォローアップ結果と全く同じ文章で書かれているということで、次期中期目標に対する記載がこれであるのかということについて、私ども政独委としては不適当であるのではないかとずっと思っております。それでずっと御質問していたのですけれども、その点については最初に御御摘をしておきたいと思います。
 それから、二つ目は、これもいろいろと資料を出していただいたわけですけれども、先ほどの言葉の中にもありましたけれども、造幣局は民間の企業とは違いますけれども、製造業ということになりますので、当然、そこでは製造コストといいますか、コスト意識を持って管理が行われているのかという観点で特に今年度は見させていただいているのですけれども、この二つ目は、特にそういうコストとか財務データについても提出を再三お願いしたわけですけれども、すぐには出てこないということもあり、そういうことについて私どもの理解がなかなか進まないということで、これは非常に困っているということでございます。
 当然、そうなりますと、そこできちっとコスト目標とかコスト指標というものを作っておやりになっているのかどうかと。マクロ的な削減率というようなことはあるでしょうけれども、本来、やはりコストカッティングといいますか、そういうもの等が必要なわけですけれども、そういうことが行われているように資料には見えないので、したがって、今後もこれについてはお願いしようと思っているのですが、そういう二つの問題があるということです。
 そして、三つ目はコストの削減ということで、先ほど「固定費」という言葉がありましたけれども、見させていただくと、変動費と固定費の算定の方法を示しておられるわけですけれども、もちろん変動費と固定費を分けるのは「準変動費」「準固定費」という言葉があるぐらいですから、これはなかなか難しいのです。しかし、まず一つは固定費・変動費、そういうものについての内容を、やはり製造コストといいますか、そういうものをできるだけ開示していただく。もちろん、開示を外に対してできないものであっても、少なくとも評価等ではしていただかなければならないのではないかということで、公表資料からはそれは読み取れませんので、そこでそういうことについてさらに本来示していただかなければならないのではないかというのが3点目です。
 そして、それに伴って4点目は、先ほど固定費についてとか、人件費は変動費に入っているのかもしれませんけれども、固定費の削減ということが特に重要だと。もちろんこれは当初からの目的ですから、それはそれであるのでしょうけれども、しかし、製造業であれば、変動費、固定費、両方の削減目標でなければならないわけです。それが残念ながら読み取れないので、これがどうなっているのか。
 そうなると重要なことは、変動費と固定費の分け方ということになるわけであって、これについても御質問しているわけですけれども、原価計算について厳格かつ正確に行われているのか。私どもにはそういうような情報が来ておりませんので、したがって個々の費目については、今はここではお話しいたしませんけれども、そういうことについての変動費、固定費、あるいは標準原価と実際原価の配賦計算だとか、製品別の原価計算、こういうものがきちんとなされていなければならないのではないかと思っているのですが、今のところ、そういう情報はありませんので、言うならば5点ということになりますので、そういうような問題意識を私どもは持っているということをお話ししたいと思います。
【山本分科会長代理】  問題意識と同時に質問が含まれて、原価計算システムはどうなっているかというような問いだと思いますが、担当の方、よろしく御回答をお願いいたします。
【鈴木臨時委員】  それで今日は時間がありませんので、細かいところは後でまた情報を入れていただいて結構ですから。
【山本分科会長代理】  ポイントだけお願いします。
【勝俣企画官】  よろしいですか。
 まず第1点目の今回の当初整理案がフォローアップの結果で、なかなか見直し案が書いていないのではないかという御指摘が、今、ございました。
 こちらにつきましては、8月下旬に財務省評価委員会に当初整理案を出させていただいて、その時点でどういうものを出したらいいのかということで総務省とも御相談しながら、やはり我々は、今、行政執行法人として整理されている中で、そういった考え方は事務・事業の見直し、そのフォローアップ結果、ここに集約されているということで、こちらを整理案として出させていただいているところでございます。御指摘のあったところについては、今日御提出させていただいて、概要説明資料、さらに参考資料で補足説明させていただいたところでございます。
【大津課長】  その点で若干申し上げますと、今まさに御説明させていただきましたとおり、若干コミュニケーションがあったのかもしれませんけれども、私どもといたしましては、まさに既に事務・事業の見直しで閣議決定されている事項を……。
【岡本臨時委員】  ちょっといいですか。そこはちょっと誤解なきようにお願いしたいと思います。美並審議官が冒頭おっしゃったように、閣議決定は、当然、踏まえなければいけない。ただ、こちらで言っているのは、閣議決定のフォローアップをお聞きしているのではなくて、今、法的に位置付けられた独立行政法人として法案が通る前の段階ですから、次にどういうふうに見直しをされるのですかということをお伺いしているのであって、フォローアップの結果をもう1回出してくださいと言っているわけではないので、そこは誤解なきようお願いします。
 ですから、美並審議官がおっしゃったように、当然、行政執行法人としての整理をされている案があったわけですから、それを前提に横に置かなければいけないのでしょうけれども、今この場で問われていることは、今の独立行政法人としての造幣局が今の法的ステータスのままで次にどうされるのですかということでありますから、そこは行政執行法人を踏まえてもそれは当然そうだと思いますけれども、次にどうするのですかということを書いていただかなければいけないのであって、前のものをこうしていますということを聞いているわけではないということを御理解いただきたいと思います。それは審議官、よろしいですよね。
【美並審議官】  ええ。それはまさにそこはそういう意味で言えば、時系列で言えば、当初は誤解していたのかもしれませんけれども、現状は誤解しておりませんので。
【岡本臨時委員】  よろしくお願いします。
【美並審議官】  したがって、今日の説明資料については今後の方向性を補足する形で出させていただいたということで御理解いただければと思います。
【岡本臨時委員】  よろしくお願いします。今後出していただく資料についても、今の趣旨を踏まえて、またこちらから要求するかもしれませんけれども、よろしくお願いします。
 それからもう1点ありまして、審議官がおっしゃったことで若干気になりましたのですけれども、22年の閣議決定に指摘されたことしか次の中期目標期間において見直しませんと言っていらっしゃるわけではないですよね。
【美並審議官】  まず、私の言ったことをもう一度敷衍して申し上げますと、基本的な考え方としては、現行、継続審議になっている法律が通ることを前提に、単年度の目標になる行政執行法人を志向しているというところが基本でございます。しかしながら、現行のもとでは、まさに委員おっしゃるように中期目標の見直しということになりますので、その際にはそれを踏まえてやっていきたいと考えております。
【岡本臨時委員】  したがいまして、私どもがこれから申し上げます質問に関しては、閣議決定に出された4項目で指摘されていること以外の部分についてもこういう見直しをしたらどうですかというふうに我々の意見を述べているわけであって、それに対しては資料要求に対しても真摯に御対応いただきたい。当然、それは行政執行法人になるであろうということを想定した上でも結構でございますので、それはそういう形でよろしくお願いしたいと思います。その辺は土俵を一緒にするという意味において確認をまずさせていただきたいと思います。
【美並審議官】  分かりました。
【山本分科会長代理】  岡本委員の発言は、当分科会としても基本的なそういうスタンスであると思っておりますが、鈴木委員の質問に対する御回答が途中だったような気がするものですから、お願いします。
【勝俣企画官】  鈴木委員の二つ目の御質問でございます。コストをもっと開示すべきではないかというお話だと思います。
 造幣局は、印刷局も含めまして、こちら両法人につきましては通貨の国の根幹的な機能に関わる業務を実施してございます。その業務については、国民生活とか経済の安定にとって不可欠なものでございます。したがって、確実かつ安定的に実施する必要がございます。そういう中で、両法人が管理している偽造防止技術は非常に重要で、その情報については相当、法人の中でも厳格に管理しているところでございます。
 そういう中であっても、先生がおっしゃっているコストの情報、これは民間企業以上には相当、情報開示を進めていると認識しております。それから、努力として、第1期中期目標終了時の評価委員会の御指摘も踏まえて、第1期中期目標から比べて第2期中期目標では更に情報を充実させているところでございます。そういう中で、偽造防止技術に影響を及ぼさない範囲内で情報開示は努力しているものと認識しております。
【山本分科会長代理】  なかなか回答はお互いにかみ合っていないですね。
【鈴木臨時委員】  私どもはそういうふうに外部情報から何も見えないので、まだ我々は理解できている状況ではありません。これはここで議論しても仕方がありません、ワーキング・グループでヒアリングさせていただくかもしれませんが、そのお願いをしておくということにとどめたいと思います。
【山本分科会長代理】  よろしくお願いいたします。
 では、ほかにどうぞ。
【岡本臨時委員】  では、1点だけ。研究開発の件でお伺いさせていただきたいと思いますが、これは昨年の閣議決定でも指摘があったかと理解していますし、今日出していただいている概要説明資料の四つ目にも書いていただいている部分だと思うのですけれども、それの「今後の方向性」のところに「引き続き、研究成果の評価を実施し」ということにも関連していると思いますが、ワーキング・グループで、私どもも何回か質問し、資料なども要求させていただいて幾つか出していただいているのですけれども、ちょっと認識させていただきますが、平成23年までの9年間に約80億円が研究開発に予算が投じられていると思います。これは結構大きな金額だと思うのです。
 他方で、研究成果の評価を実施されているのですかということをお伺いすると、どうも個々の研究についての評価は実施されていらっしゃらないようにお見受けしました。あえて言うと、ちょっと言葉が悪いですけれども、いわゆる“どんぶり”勘定的に研究開発の予算だということで投じられているように見受けられます。
 やはり、「研究成果の評価を実施」ということを今後の報告書に出されるのであれば、個々の研究開発についてどういう内容の成果が出たか、特にそれに投じた予算を個別に管理して評価をしていくような仕組みを作り上げていくべきなのではないかと思うのです。その点について今後どうお考えになっていらっしゃるかをまずお伺いさせてください。
【山本分科会長代理】  はい、どうぞお願いします。
【勝俣企画官】  まず、研究開発につきましてですけれども、これにつきましては、毎年度、法人のほうで研究開発評価委員会を開いてございまして、各研究課題を事前、中間、それからその事後の評価、こういったものを実施してございます。また、評価に基づく研究実施計画等の必要な見直しについては、研究実施部門へフィードバックいたしまして研究開発費の質の向上に努めているところでございます。
 今後も引き続き研究成果の評価を実施して効率的な研究開発の推進に努めていく必要があると思っています。
【岡本臨時委員】  そのような御回答のときに、個別の研究テーマごとに幾らの予算を投入されているのですかという御質問を、事務局を通して財務省にお流ししたところ、個々のテーマごとに予算は整理してはいないという回答をいただいたように聞いているし、我々の中でもそういう理解をしているのです。であれば、先ほどの質問につながりますが、言葉は悪いですけれども全てを“どんぶり”にするのではなくて、しっかり予算というお金の面においてもきちんと管理した上でどのような成果が出たかということを評価するべきではないか。研究開発独法はほかに一杯ありますけれども、そういう管理をしているのだと思うのですよ。やはり造幣局においても研究をするなと言っているわけではないわけであって、重要な研究だと思いますので、その成果が出るようにお金の面でもしっかり管理をされて、個々の研究者に対して研究成果をどう出しているのだということを問われるべきだろうと。それもあえて言うと、外に向かっても公表されるべきではないかと思うのです。いかがでしょうか。
【勝俣企画官】  言いわけがましいわけではございませんけれども、委員の御質問については、研究開発のお金についていい加減にやっていることはないと思います。
 しかし、その情報が正確にというのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、研究開発の偽造防止技術の非常に核となる、なかなか難しいところもございますので、どこまで金額も含めてお話しできるかは、ちょっと法人ともお話をさせて……。
【岡本臨時委員】  個々の研究内容の詳細について全部開示しろと言っているわけではありません。ただ、個々の研究内容についてどれほど成果が出るかについて第三者が評価できるような情報は開示してくださいということで申し上げているわけであって、どういう偽造技術を研究されて、研究の内容まで問うつもりはありませんので、その辺は誤解なきようにお願いします。少なくともどれぐらいのお金を使って、どういう方向性の研究をされていて、その研究の成果が何年かたって成果を出されているのか出されていないか個々に出してくださいと言っている、そういうことです。
【美並審議官】  すみません、若干、行き違いがあったようですけれども、今、岡本委員がおっしゃられた問題意識について、率直に申し上げまして事務局を通じて私どもに正確に伝わっておりませんでした。
 しかし、今おっしゃったことはもっともだと思いますので、先ほど企画官から申し上げた造幣局としての限界は当然ありますけれども、御趣旨に沿うように検討させていただきたいと思います。
【岡本臨時委員】  申しわけありません、こちらの言い方もうまく事務局を通して伝わっていないと、そういうことがあったのであればよろしくお願いいたします。
【勝俣企画官】  ちょっと1点よろしいですか。
【山本分科会長代理】  どうぞ。
【勝俣企画官】  今の委員の御質問で、日付は定かではないのですけれども、研究管理会議、24年2月開催における審議案件、審議結果、審議結果の反映状況を、個々の研究のテーマごと、それから審議結果、審議結果の反映状況というくくりで事務局に提出させていただいているようでございます。
【岡本臨時委員】  では、ちょっとそれを確認させてください。
【山本分科会長代理】  いずれにしても、今の研究のプロジェクト的な管理がどういうふうにされているかということですので、また後日でも改めて情報を得たいと思いますが、その他、ほかの委員から。
 どうぞ。
【瀬川臨時委員】  施設整備について幾つかお伺いしたいと思います。
 この法人、毎年、営業利益を出しておられて、それで施設整備にいろいろ使われているようなのですけれども、一つは、施設整備に関わる費用対効果について、どの程度きちんと評価されて進めておられるのかをお伺いしたいです。
 具体的に少し申し上げますと、例えば平成23年度の決算で施設整備については14億円だったのが、例えば平成24年度では予算案として65億円出てきています。その中で新溶解工場の新築であるとか圧印機の更新等ございます。もちろん必要性があるからこそそれをやられていると思うのですけれども、そこをきちんと評価された上でやられているのか。例えば、実際、今、貨幣についてはずっと年々、生産量も減っているかと思うのです。そういった中でどういう観点で施設整備を進められているのか、これについてお伺いします。
【大津課長】  それでは、お答え申し上げます。
 まさに先生がおっしゃっておられたとおりで、ただ、造幣局の場合、23年度ですと全体の施設整備14億円でございます。これにつきましては、中身ですけれども、超精密ナノ加工装置、これが1.3億円程度とか、圧搾機1億円程度といった最新設備の更新と、それからあと、それなりに大きな金額になっておりますけれども、広島支局の溶解工場の冷却水の送水設備の関係で1.9億円とか、こういうものが特徴的かと思うのですけれども、基本的にこれは印刷局にも、多分、当てはまる話ではあるのでしょうけれども、造幣局につきましては、国民生活のインフラたる貨幣、基本的にこれは偽造を防止しつつ安定供給をするということが最大の業務でございますので、そういう意味では最新の偽造防止技術を常にフォローしていくことで不断の製造設備の更新が必要になってまいると思いますし、あと、安定製造という観点から考えますと、設備の修理とかそういうことも不可欠であるということですので、完全に「費用対効果」という概念になじむかどうかという論点はあるかと思います。
【瀬川臨時委員】  伺っているのは一般論ではなくて、具体的にある期限を区切って計画を持ち、この年度はこういう形で整備をする、また、次年度は別の形で整備をするなど、それについて監督官庁であるところの財務省のほうできちんと目配りをしながらやられているのかどうか、これについてお伺いしたかったのですけれども。
【美並審議官】  そういう意味で言えば、決して不要不急のものをやっているわけではございません。ただ、今、課長が申し上げたのは、例えば民間で設備を更新するという場合には、例えば新たな機械を導入することによってどれだけのコストが減らせるかということが基本になろうと思いまして、それが委員のおっしゃる「費用対効果」という考え方だと思いますけれども、もちろん、造幣局の場合にそういう考え方を全否定するつもりはありませんけれども、どうしても我々としては偽造を防止するのが最大の目標だということでございますので、民間の製造技術の発達に伴って偽造防止の観点から最新の設備を導入しなければいけないというふうなところもあるというときには、今、冒頭に申し上げました「費用対効果」に全面的になじまない部分もあるということを申し上げたということでございます。
【瀬川臨時委員】  新溶解工場の新築は、これは偽造と別のところですよね。溶解工場ですから。当然、偽造防止はきちんとやっていただきたい。ただ、それ以外の部分、通常の工場としての費用対効果を考えるべき部分は独立にあるでしょう。そこのところをきちんと評価しているかということです。
【美並審議官】  そこは否定しません。
【山本分科会長代理】  今、効果の測り方の話なのですが、時間がかなり押し迫っておりますので、ほかに委員の方、御質問があるかと思いますが、ここで造幣局につきましては、一旦、議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日、御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 先ほど来議論がありますとおり、当分科会としてはあくまでも現行の独法通則法に基づいて今後主要な事務及び事業の見直しについての審議を深めてまいりたいと思っておりますので、引き続き御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
 また、今日は時間の関係で十分御質問ができなかった委員の方もおられるかと思います。それで後日、事務局を通じまして照会したり、あるいは、今、ワーキングで御検討いただいていますが、再度またヒアリングをお願いしたりすることになるかもしれませんので、その際はまた御対応のほどをよろしくお願いいたします。
 次に、国立印刷局につきまして御説明をいただきたいと思います。
【美並審議官】  全く同じメンバーで恐縮ですけれども御説明させていただきます。
【山本分科会長代理】  全体の話はもう既に美並審議官からいただいていますので。国立印刷局の見直しの当初案につきまして御説明をお願いいたします。
【勝俣企画官】  それでは、国立印刷局について御説明させていただきます。
 お手元の資料「独立行政法人国立印刷局の概要説明資料」、資料2−1−(2)、これも横6枚紙になってございますので、こちらをごらんいただければと思います。
 表紙をおめくりいただきまして、先ほどの造幣局と同じ様式でございますが、これまでの取組と今後の方向性、印刷局における事業につきまして、セキュリティ製品事業、情報製品事業、研究開発事業、病院事業と、それから業務運営の見直し、保有資産の見直しというくくりでこれまでの取組と今後の方向性を一覧表にまとめてございます。
 今後の取組につきましては、造幣局と同様、独法の事務・事業の見直しの基本方針を踏まえる必要があると考えてございまして、例えば日本銀行券などのセキュリティ製品事業につきましては、国家にとって不可欠な事業でございまして、国と一体として連携を密にして偽造防止技術の高度化などに取り組む必要がある、このように考えてございます。
 このほか、これまでの取組と今後の方向性の主なものにつきまして、次のページ以降で御説明させていただければと思います。
 ページをおめくりいただきまして「これまでの取組(1)」でございます。
 国立印刷局におきましても業務運営の効率化の推進による財政貢献に努めてございます。下段左側のグラフを御覧いただくと、売上高につきましては民間においても十分対応できる製品、例えば市販の白書類でございますけれども、こういった製品からの撤退などの業務の見直しによりまして、前期に比べまして約15%の減少というところになってございます。
 一方で、下段の真ん中、それから右のグラフに見られますように、総人員、固定的経費の削減などに着実に取り組んでおりまして、この結果、営業利益ベースで前中期目標期間の平均額と比較しまして7%の増加、こういう状況になっているところでございます。こうした業務運営の効率化によりまして、現時点での見込みでは、今中期目標期間終了時に122億円程度の国庫納付が見込まれているところでございます。
 次のページをおめくりいただきたいと思います。
 「これまでの取組(2)」として、こちらも保有資産の見直しの積極的な取組、財政貢献への寄与がございます。内訳を見ていただきますと、現物による国庫納付として大手町敷地、市ヶ谷センター、久我山運動場など合計8件、簿価ベースで999億円となってございます。また、金銭による国庫納付が合計で294億円となってございまして、現物納付と金銭納付の合計で1,000億円を超える財政貢献に努めているところでございます。
 続きましてもう1枚おめくりいただきまして、主な「今後の方向性(1)」として、東京病院の移譲に伴う財政貢献を挙げさせていただいてございます。東京病院につきましては、他の医療機関に移譲を行うこととして、具体的にはこの左上にあるスキームがございますけれども、土地を貸付方式として公募を行って病院施設を売却するため、現在、鋭意手続を進めているところでございます。新たな医療機関への病院の移譲によって病院施設の売却収入を国庫に納付するとともに、土地につきましても医療機関へ病院を移譲後、速やかに国へ現物納付を行うこととしております。
 東京病院につきましては、このように現東京病院が果たしている地域医療の機能を維持しつつ、国庫納付による財政貢献を図ってまいりたいと考えてございます。
 次のページをお願いいたします。
 「今後の方向性(2)」として、虎の門工場の取扱いについて御説明させていただきます。
 虎の門工場の印刷機能につきましては、滝野川工場へ移転することとしてございますが、今後、これを着実に推進していく必要があると考えてございます。直近の動きといたしましては、移転のための準備として、昨年7月でございますが移転先の滝野川工場におきまして増改築工事の着工に取りかかっているところでございます。本年6月でございますけれども、「虎ノ門二丁目地区再開発事業に係る協定書」、これが関係地権者間で締結されておりまして、再開発スケジュールとか再開発の内容が固まっているところでございます。
 ページ右と下段を合わせて御覧いただきたいと思います。
 再開発事業終了までの流れでございますが、まず、矢印(1)でございますが、26年をめどに虎の門工場の印刷機能が滝野川工場に移転する予定でございます。これとともに、(1)’の矢印がございますけれども、本局が隣の共同通信会館に仮移転いたします。その後、虎の門工場、それから本局が解体されまして、(2)の矢印がございますけれども、27年から30年にかけて印刷局の跡地に病院棟、これは18階建てになろうかと思いますけれども、病院棟を建設して、病院棟ができた後に虎の門病院が移転いたします。
 次に、(3)の矢印でございますが、虎の門病院移転後に31年から34年にかけましてその病院跡地にオフィス棟を建設いたしまして、こちらが約34階建てを予定してございます。ここに共同通信会館と印刷局の本部機能が移転する予定でございます。
 最後に(4)になりますけれども、35年をめどに共同通信会館ビルを解体されまして、広場整備などを行いまして全体が完成する、このようなスケジュールが予定されてございます。
 それで、虎の門工場敷地につきましては、移転後のその跡地を含む再開発事業の進捗を踏まえて、今後、財政貢献の観点から国庫納付の検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 簡単ではございますけれども、以上で国立印刷局の御説明を終えさせていただきます。
【山本分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました国立印刷局の見直し当初案といいましょうか、概要説明ということなのですが、それにつきまして御質問等ございましたら、どなたからでも御発言をお願いしたいと思いますが、では、鈴木委員。
【鈴木臨時委員】  御説明ありがとうございました。
 私ども、この造幣局と印刷局を両方比較しながら見ているものですから、先ほどと同じところに大きな論点はございます。だから、担当でない方もいると思いますので、一応、先ほどの私どもの問題意識をもう一度簡単にだけお話ししますが、先ほど、造幣局の議論の際に若干の回答はいただきましたけれども、この見直し当初案について、ほとんどフォローアップと同じ状態で中期目標にきちんと記載すべきではないかと私どもは思っているものですから、したがって、これについては不適切ではないかというのが、私ども政独委としてはそういう意識を持っているという話をしたわけであります。
 ただ、今日、そういうさらに追加資料等もあってということであるとすれば、さらにそれらを、我々、検証したいと思いますので、先ほどもお話しいたしましたけれども、是非私どものワーキング・グループでヒアリングをさせていただきたいと思っておりますので、これは御協力をお願いしたいというのが1点です。
 それから2点目は、先ほどのコストの問題であります。先ほど、二つ目のいわゆるコストの開示ということですけれども、確かに偽造防止等でコストを細かく出せないということは分からなくもないけれども、しかし、それは余り合理的な理由にもならないのではないかと思います。印刷局と造幣局とを比較しましても形式が違いますし、内容が違うのだというお話もあるかもしれませんけれども、しかし、コストの示し方としてはそうは違わないわけであって、したがって、コストの開示をもう少し積極的に進める必要があるということが先ほどの2点目だったわけです。
 3点目は、削減ということについては、固定費の削減が強調されているように見えるけれども、そうではなくて、コスト全体をいわゆる製造業、民間の製造業と違いますけれども、コストの削減を全体として目指すということであれば変動費と固定費の両方ですよね、そういうものがきちんと意識されて、それがきちんと目標・指標が示されていなければならないのではないかということと、それと関連して変動費と固定費の区別が違ってしまいますと、これは当然、削減目標であるかないかという、そういう問題になります。これは先ほどもお話しいたしましたけれども、個々の費目については理解ができない部分もあって、何回か御質問しているわけですけれども、これについては、ここでは先ほど言いましたように次のワーキング・グループでのヒアリング等でまたお話を聞くといたしますが、少なくともいわゆる製品別の原価計算とか、いわゆる間接費・直接費の配賦が合理的になされているのか、先ほどの言葉ではなされていると、こういうお話ですけれども、私どもはそういうような印象を受けておりません。したがって、その点についてももう一度我々が確認しなければならないということで、ほとんど先ほどと同じことでありますから、これは先ほどと同じように今後の問題でも結構ですけれども、そういう問題意識を強く持っているということであります。
【美並審議官】  よろしいでしょうか。
【山本分科会長代理】  では、どうぞ。
【美並審議官】  担当が替わっている人もいらっしゃるかもしれないので、私から申し上げますけれども、本当に当初、若干の誤解、行き違いがあったようでして、それはもう払拭しておりますので、今おっしゃったワーキングでのヒアリングを含めて協力させていただきたいと思っております。
 その関係で、若干それも行き違いなのかもしれませんけれども、まさに今日おっしゃった問題意識が我々に正確に伝わっていない部分もあるようでございまして、宿題として頂いていると認識していないものもありますし、指摘された部分も若干違った伝わり方をしておりまして、例えば二つ目におっしゃったコストの開示の話につきましても、例えば両法人について積極的な対外的な開示をやっているかどうかということについては、我々としては民間と横並びでできるだけ努力しているということだと思いますけれども、お話を聞いておりますと、委員の皆様方がまさに法人として経費削減努力をきちんとやっているかどうかを見るためにこういうふうな資料を見たいのだというふうなお話のように受け止めましたので、それであれば、また個別に言っていただければ、もちろんそこでどうしても出せないものは当然ありますけれども、その問題意識に沿った形でどういうことができるかという観点からさせていただきたいと思います。情報開示をこの法人が通常の法人以下にやっているということはないということを我々は回答したつもりだったのですけれども、本当に出したいものが出ていないのかどうかということについて言えば、何を見たいからこういうのは見せてもらえないかという形で問題意識が伝わっていなかったので、その点、御了解いただきたいのと、謝りたいということでございます。
 それから、固定費と変動費の話でございますけれども、どうして従来の固定費を中期目標の目標にしているかということについて申し上げますと、結局のところ、これは印刷局、それから先ほどのテーマであった造幣局も共通でございますけれども、変動費として区分しておりますものについては、原材料費が大半になっているわけでございます。この原材料費ということについて言えば、もともと通貨の製造で政府の指示でやっているわけでございますから、この数量などは政府が決めることでございますし、数量が一定と仮定しても、結局は品質、要は偽造防止に尽きるわけですけれども、クオリティー維持という観点からなかなかこれを法人段階で原材料費を削減するのは難しい。それから、区分の問題で言えば、これはまた議論があるのかもしれませんけれども、国庫納付も変動費に区分しております。そういうふうな観点から、従来の考え方としては変動費について中期の期間の定量的な目標はなかなか難しいのではないかという観点から固定費について定めているというわけでございます。とはいうものの、目標として定めていないからコスト削減努力をしていないということではないわけですけれども、経費削減努力はしているけれども、中期的な目標にはなじみにくいのではないかという観点から、採っていないということでございます。
 ただし、おっしゃったように、どういう区分で固定費と変動費を区分する考え方が正しいのかどうか、ほかの法人に照らしてどうかということにつきましては、いろいろとこれは議論があるテーマだと思いますので、またこれもできる範囲で御紹介させていただいて御議論いただく必要があるのかなと考えております。
 いずれにせよ、言いわけがましく聞こえるかもしれませんけれども、若干誤解があったようでございまして、今後、協力させていただきたいということを申し上げたいと思います。
【山本分科会長代理】  よろしくお願いいたします。
 いずれにしてもまだワーキングで御議論いただけるかと思いますが、確かにここの変動費の定義自身はいろいろな議論があるかと思いますので、また後ほどお願いしたいと思います。
 ほかの委員。
【瀬川臨時委員】  では、よろしいですか。
【山本分科会長代理】  どうぞ。
【瀬川臨時委員】  施設整備についてお伺いします。
 こちらの法人も年間100億円前後の設備投資を行っておられるようなのですけれども、幾つか具体的な事例を挙げて、特に大きいところで質問させていただきます。平成23年度に39億円をかけて官報システムの全面更新をやっておられます。その前回の更新は平成10年度に40億円、ほぼ同じような金額をかけてやられていて、今回、その保守の期限が切れるということで全面更新ということなのですけれども、当然、これだけの金額のものになりますと、数年かけてやはり機種選定等もやりつつ、業者の選定もやっているのだろうと思います。ただし、今回少し気になるところあります。当初計画の予算が30億円だったところが、保守費が膨らんだということで39.7億円ということになっています。それから、保守費にも5年間で17.3億円というのがありまして、これはきちんと評価をされてやった結果なのかどうなのかを少し御説明いただければと思います。
【山本分科会長代理】  お願いいたします。
【勝俣企画官】  数字のところを、今、確認しますけれども、まずきちんとやっているかどうかにつきましては、施設・設備につきましては委員会を設けて、中で収支なり今後のことをちゃんと議論して、印刷局の場合には1億円以上についてはそういった中の委員会にかけて議論した上で予算計上して実行していますので、委員の御指摘のようなことはないと思います。
【瀬川臨時委員】  別に問題があると言っているわけではなくて、どういうシステムでやっているのかを伺っています。例えば委員会、これは国の機関であれば、どんなものでも調達の委員会をつくるのは当たり前ですけれども、そうではなくて、印刷局の中で具体的に何年ぐらい前からどういう委員会をつくって、どういう選定をやって、費用対効果等も考えてやられているのかをお伺いしたかったのです。
【勝俣企画官】  すみません、ちょっと今すぐ数字が出てきませんので、また改めて御説明させていただきたいと思います。
【瀬川臨時委員】  後ほどで結構です。
【美並審議官】  問題意識は先ほどと同じだと分かりますので、どういうふうな仕組みで設備投資、施設整備について審査をしているのか、それから、今おっしゃった特に個別のことについて、なぜこういうことになったのかということについて、ちょっと持ち帰らせていただいて回答させていただければと思います。
【山本分科会長代理】  よろしくお願いいたします。特に30億円が40億円になったとかということですので。
 ほかの方、御質問はないですか。
 岡本委員。
【岡本臨時委員】  それでは、印刷局が提供されている具体的な製品というのか、サービスについて確認させていただきたいのですが、例えばの例ということでお伺いさせていただきたいのですが、必要なものに限定されているという大きな流れの中で、国会用製品というもので一番典型的なのは、国会に提出される法律案だと思うのですけれども、この今のご時世と言ってしまったほうがいいのでしょうか、これは一般論というふうにお聞きいただきたいのですけれども、やはりそこで言われているのは機密性、迅速性、正確性、あるいは確実性ということを考慮されているということだと思うのです。法律案を国会の審議のために提供する、これは非常に重要なことだと私も思いますが、紙で提供することが果たしてどうなのかなという疑問はやはり持ってしまうのです。
 やはり国会の先生方が法律案を審議するときに、これをひっくり返して見ているよりも、やはりタブレット端末など電子データで見やすく提供して、国会の審議のときにすごくうまく見られるような形にして提供されるというやり方のほうが国会の審議に資するように素人には思えます。
 そのデータを提供してはいけないと言っているのではない、むしろ提供してほしいのですが、提供のあり方を紙ベース、こんな大きな資料を机の横に先生方が置いて審議をされるのは、いかにも非効率のように思うのです。ましてや、そのために印刷局の皆様が迅速性を重視して徹夜みたいな形で多分作られていらっしゃるのだと思うのです。これはおそらく印刷局に言っても仕方のない話で、発注者側に言ってくれということなのかもしれませんが、やはり印刷局が持っていらっしゃるデータ、ノウハウというものを世の中に提示しても、やはりサービスの出し方もむしろ提案されていって変えていかれたほうが良いのではないかと。委員会資料室でこんな積み上げられて、実際に見られませんよね、国会審議のときに。
【美並審議官】  よろしいでしょうか。まさに委員御指摘のとおりのところはございます。それで、例えば官報がございますけれども、官報なども印刷局では電子化に取り組んでございまして、各省庁に電子的にやる協力依頼とか、それを一生懸命やっているわけでございますけれども、やはり先ほど委員もありましたけれども、印刷局自身の判断だけで全部済むところがないのです。
【岡本臨時委員】  それは分かっているつもりです。
【美並審議官】  印刷局としてそういう努力もしているということを。
【岡本臨時委員】  ええ、それは官報・公報についてはやっていらっしゃるのは十分知っておるのですが、やはり実際は法律案で審議されることが非常に重要な局面であって、そこにデータを提供しなければいけない義務だと思いますが、その提供の仕方は、現場の方のほうがこういう審議の仕方にはこういうやり方だと提案されるのは普通、民間企業がやっているわけです。その民間企業のやり方自体を取り入れてサービスを変えていこうということは、別に印刷局であってもできるのだろうと思います。当然、判断は最終的には印刷局だけではできないとは思います。でも、そういう努力をしていくと、いろいろないいサービスの提供の仕方がもっとできてくるのではないのかなと。
【美並審議官】  官報等であれば、それは行政府だけの問題なのですけれども、やはり法案の話になりますと、そこは行政府と立法府の問題がございますので、それを行政府のほうから、これは印刷局だけの問題ではなくて、行政府と立法府の関係で言えば行政府の側からすれば、民間の方から見ればどうしてこんな無駄なことをしているのだと思うことは法案以外にも多々ございます。例えばよく言われている国会の待機などもそのとおりでございます。これについては、なかなかやはり行政府と立法府は一定の緊張関係がございますので、問題を提起することも含めて、できないとまでは申し上げませんけれども、多々難しい問題があるという点についてだけ御理解いただきたいと思います。
【岡本臨時委員】  そこは分かりました。
【山本分科会長代理】  これはいずれにしても国会事務局とか国会の関係等も協議しなければいけないことだとは思いますが、今は問題提起だということで受け止めさせていただきたいと思いますが、ほかにございますか。
 では、鈴木委員。
【鈴木臨時委員】  先ほどこの4ページで東京病院のことの、今、進んでいるという話なのですけれども、先ほど聞き漏らしたかどうかなのですが、具体的な日程等のスケジュールはある程度もう見込みは立っているのでしょうか。それが一つと、それから二つ目は、移譲する際の移譲の手続はどういう形で行うのでしょうか。移譲ということは、要するにこれは譲渡するということですよね。そして貸付けですものね。だから、そこに条件があるのだと思うのだけれども、その辺はどういう手続ですか。
【大津課長】  移譲につきましては、これは閣議決定でご承知のとおり現行中期目標期間終了までに取り組む、これがまさに具体的に言いますと来年の3月末でございますので、今まさにその3月末までに移譲ができるように鋭意手続を進めているところでございます。移譲のやり方ですけれども、当然でございますけれども、透明性の確保に最大の主眼を置いておりますので、入札を使ってやるということを、今、考えているところでございます。
【鈴木臨時委員】  まだやっていないけれども、これからやるということですか。
【大津課長】  はい。
【鈴木臨時委員】  もう一つよろしいですか。
【山本分科会長代理】  はい、どうぞ。
【鈴木臨時委員】  今の経常収支比率を年度でしょうか、目標といいますか指標に置いておられると思うのですが、経常収支比率が先ほどのお話にもありましたけれども、売上金額というよりはコストが回収されるわけですから、マイナスになることは今まであったのでしょうか。ということは、我々が言いたいのは、収支比率を一定の目標にするということはどうなのかなと思うのですが、一般の企業と違うので、これはどうでしょうか。
【勝俣企画官】  まずマイナスがあったかどうかという御質問については、マイナスになったことはございません。
【鈴木臨時委員】  ないのですか。
【勝俣企画官】  はい。
【鈴木臨時委員】  そうですね、政令上、金額を決めるのは、そのコストを回収するということですからね。そうすると、この経常収支比率で収支相償となるようにやることにおいて指標として適切かなという問題意識を持っているということです。
【山本分科会長代理】  では、それはそういうふうに今後また議論を深めていくことになるかと思います。
 ほかはよろしいですか。
 それでは、時間もちょうど予定していた時間になりましたので、国立印刷局につきましての議論はとりあえずここで一旦打ち切らせていただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたとおり、当分科会といたしましては、あくまでも現行の独法通則法に基づきまして主要な事務及び事業の見直しに関する審議を今後深めてまいりたいと思っておりますので、引き続き御協力のほどをお願いいたします。また、今日は途中で時間等の関係で質問できなかった方、あるいは御欠席の委員もおられますので、後日、事務局等を通じましてまた資料をお願いしたり、あるいはワーキングにおいて更なる議論を進めていくことがあるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 二つの法人の見直しにつきまして、美並審議官をはじめ御列席いただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、説明者の皆様方につきましてはこれで御退席いただいて結構でございます。
【美並審議官】  どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【山本分科会長代理】  それでは、ただいまから日本万国博覧会記念機構につきまして、山岸理財局国有財産業務課長から御説明を見直し当初案につきましてお願いしたいと思います。時間の関係もございますものですから、5分程度を目安にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【山岸課長】  皆様、お疲れのところ恐縮でございます。理財局国有財産業務課の山岸でございます。
 日本万国博覧会機構の万博機構につきましては、平成26年の3月末を目途に廃止の方向で、現在、関係者、大阪府等と協議中、作業中でございますので、お手元の資料に基づいて御説明と、それからちょっと今後のことについて、まだ正式に決まっていない部分について資料なしでの御説明をさせていただければと思っております。
 まず、万博機構の見直しの当初案につきましては、お手元の資料2−1−(3)でございます。大変小さ目の字で恐縮でございますけれども、法人の概要につきましては1枚目の表で簡潔に説明させていただきます。
 なお、資料、最初の2枚については同じものが資料2−2−(2)、事務局で御用意されたものにも付いております。あえて言うと、資料2−1−(3)のほうには後で御理解いただきやすいように地図がつけてございますので、それを傍らに置きながら御説明を聞いていただければと思っております。
 まず、万博機構の沿革でございますけれども、昭和46年に認可法人の日本万国博覧会記念協会として設立されました。平成13年の特殊法人等整理合理化計画に基づきまして平成15年10月に独法に移行し、現在に至っております。
 組織体制は、大阪の吹田市に所在する万博公園内に本社組織を構え、支社等はございません。
 また、役職員数は本年4月1日現在で常勤職員が48名と、小規模な組織となっております。
 次に法人の目的、業務範囲でございますけれども、まず日本万国博覧会の跡地を一体として保有し、これを緑に包まれた文化公園として整備し、適切に運営すること。また、博覧会の剰余金を基に設立された万博基金を平成23年度末で188億円保有しておりますけれども、この基金を適切に管理運用し、その運用益のうち毎年2億円程度を万博の成功を記念するにふさわしい文化的活動や国際相互理解の促進に資する活動などに必要な資金に充てるための助成金として交付する業務を実施しております。
 引き続きまして、中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しの当初整理案につきまして御説明させていただきます。まさに2ページ目でございます。資料2−2で言うと8ページでございます。
 最初に「組織の見直し基本方針」でございますが、平成24年1月20日の閣議決定、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針におきまして、万博機構は大阪府との財産関係の整理に関する協議が整うことを前提に法人を廃止するとされたところでございます。そういうことで、これに基づきまして、私ども、大阪府と鋭意協議をしてきておりまして、冒頭申し上げましたとおり、私どもも法律、それから大阪府のほうも条例を出したりということもありますので、まだはっきりと細部までお示しできる段階ではなく、今まさにその詰めの作業中でございますが、まさにおおむねの方向感が出てきたところでございます。
 次に、2の「事務・事業の見直し」でございますけれども、平成22年12月7日の閣議決定、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針におきまして、法人の事務・事業別に講ずべき措置とされたものに対する内容を記載したものでございます。
 まず、公園事業でございますけれども、これまで機構の財産関係の整理等について大阪府と再三述べますとおり協議してまいったわけでございますが、先ほど概要のところで申し述べましたとおり、(3)の図面を御覧いただきたいと思っておりますが、万博公園全体で約260ヘクタールの土地を国53対府47という出資割合に基づきまして、ちょっと白黒で恐縮ですが、真ん中に「自然公園」部分とございますけれども、この部分、自然公園部分約半分の130ヘクタール強でございますが、これを国の所有とすると。そして、それ以外の部分、周辺部分ですが、これを大阪府の所有として、公園事業としてはそれを一括で大阪府が引き続き公園として運営していく。やはり府民等にとって、非常に貴重な緑も含んだ公園でございますので、引き続き大阪府が公園を管理していくということになります。
 では、国有地部分はどうするのかということでございますが、国有地となる自然公園部分については、府に対して、私どもが国有地を自治体等に貸すときの一般ルール、通達に基づきまして、3分の1を無償貸付け、それから3分の2を有償貸付けとするということで、一定の合意に至ったところでございます。
 機構の財産関係の整理等について府と協議が整ったというのは、そういう意味で、大きい部分でそういう方向で、府もしかるべくそういうことの条例ないしはいろいろの手続等についてこれから私どもと、今、詰めを当局とやっているところでございます。
 このことを踏まえまして、平成26年3月末に機構を廃止することを視野に、国・大阪府等において財産関係の整理等に関する実務的な協議を進めるということを先般の行革実行本部のフォローアップの中でも、これはきちんと公表させていただいたところでございます。
 次に、基金事業でございますが、万博の基金は万博博覧会の結果生じた剰余金を基に設立されたものでありまして、基金事業は基金の運用益の利益を利用して、国際的な文化交流活動等への助成や公園事業の補助を行ってきたものであります。この経緯を踏まえまして、引き続き同様の事業を行うことが適当であると考えたところでございまして、地元経済界において万博の理念を継承する事業として引き受けるとの意向があるため、基金事業は地元経済界、地元地方公共団体が中心となって用意する公益認定法人が承継することで大阪府と合意しているところでございます。
 次に、公園事業勘定の中に投資有価証券がございますが、公園事業勘定の投資有価証券につきましては、機構廃止の際、国と大阪府が出資見合い分、つまり53対47でそれぞれ承継する、つまり、国の部分はある意味返してもらうといいますか、国庫に納めていただくということで大阪府と合意しております。
 次に、右側の「資産・運営等の見直し」でございますけれども、人件費の見直しにつきましては、平成23年度のラスパイレス指数は前年を下回ったのですが、まだ依然、100を超えている状況にあることから、今後の取組として勤勉手当の見直しや定期昇給の抑制に係る労使協議を引き続き行っていくこととしております。
 法人の見直しにつきましては、先ほど、公園事業の措置内容等と同様でございます。ちなみに、今いる常勤職員の方については、やはり大阪府としても引き続きそのノウハウのある、今、公園を管理している人たちの力は必要でございますので、大阪府で十人ですが、人を受けていただく。そして、基金事業のほうもこれはノウハウがございますので、これは先ほど申し上げた公益認定法人のほうで、これも数名でございますけれども受けていただく方向で、細かいことについては、今、鋭意詰めているところでございます。
 簡単ではございますけれども、私からの説明は以上でございます。
【山本分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました日本万国博覧会記念機構の見直しの当初案につきまして御質問等ございましたら、どなたからでも御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょう。
 では、鈴木委員。
【鈴木臨時委員】  いろいろ質問とか資料を提供していただきまして、私どもワーキング・グループに協力していただきまして、大変ありがとうございます。
 もうスケジュール的に進んでいるものとは思いますけれども、一応、確認のために、二、三、お聞きさせていただきたいのですが、9月中旬に資産評価ですか、不動産鑑定士の資産評価がその目途でやっているということだったのですが、現在、どういう状況になっているでしょうか。
【山岸課長】  先ほど申し上げた貸付料のところ、これは当然プロといいますか、第三者の鑑定が必要でございますので、まさに不動産鑑定士、公募で選んだ2者で、これは近畿財務局において公募いたしまして、現状まさにその2者からの鑑定価額が出てきました。ただ、その2者の分を例えば足して2で割って出すのかとか何とかも含めて、今、近畿財務局で最終的な中での検証と決裁を行うべく手続中の段階でございます。
 したがって、今、貸付料は幾らになりましたというのを申し上げにくいのですが、大阪府からしてみても、今もある意味無償であるものを有償部分が出てくるわけでございますので、そういった意味で言うと、公園を守るためにも、ある程度の経費は必要、かつ公園の収益はこれから頑張ってまたいろいろなもので盛り上げていくということでございますけれども、一定の今の収入からしてみても、賃料が余りに高いと、ではこういうスキームで進むかどうか大丈夫かという懸念もあるものですから、大阪府に新たな財政負担が生じない範囲、つまり、逆に言うと、今のあるこの公園から上がっている歳入、それからさらに少し一部拡充しようとしているのですが、そういったものも見込んだときにこれだけの賃料であれば大丈夫だというようなことを、府議会等でもそこの一番関心が高いそうでございますので、算定し詰めているという状況でございます。
【鈴木臨時委員】  分かりました。
 そうすると、地代も含めて貸付けの条件として、賃貸借契約を結ぶのでしょうけれども、そこについての何か特別な条件とか条項などがつくような可能性は今のところあるのでしょうか、ないのでしょうか。
【山岸課長】  我々、この万国公園に限らず、一般に自治体に公園に貸すときは、そういう契約をするわけでございますので、勝手にそれを何か転売してしまったとか、あるいは公園になじまないものを作ったということでは困りますので、公園関係の法なり、あるいは条例の趣旨に基づいてお使いください、そうであるがゆえにこういう賃料なのですよという制約がつきます。
【鈴木臨時委員】  分かりました。
【山本分科会長代理】  ほかの委員の方。
 どうぞ。
【岡本臨時委員】  これもあくまでも確認の話ですが、基金についても先ほどおっしゃったように、大阪府で地元財界を中心につくられた公益認定法人との協議が、今、進んでいるということですか。
【山岸課長】  これは実体論として大体ここが良いというのは、例えば大阪の財界、あるいは大阪府庁もある程度イメージがあるところですが、法律的には、ではあそこが良いだろうということで何か勝手に決めるわけにはいかないので、手続としては法律ですけれども、大阪府と協議してとか、あるいは大阪府等の推薦を得てしかるべき者を決めるという手続をとらなければなりません。したがって、そういった意味では、内々にこういうところでということをイメージしながら、ここだったらやっていただけるよなということをイメージしながら作業を進めておりますけれども、今の時点で実はこういうところでこうですというのは、現段階では申し上げられない段階でございます。
 ただ、この基金自体、昭和45年の万博自体、もともとは大阪の財界を中心に、国のお金は一銭も入らずに財界を中心にお金を集めて、それで運営を始めたわけでございますので、この万博のその後々の成果については大阪府だけではなくて財界も非常に高い関心を持っております。そういった意味で言うと、今、内々に考えているところにおいてウエルカムで、しっかりと基金を継承して今の基金の事業を承継していただけるものということは確認できております。
【岡本臨時委員】  そうしますと、承継された後はどういう形にしてくれというようなことは国側からは余りもう言えないということになるのですか。
【山岸課長】  かといって何かお金の運用が変なことになっても困りますので、その基金の運営の仕方、例えば今もそうですが、その基金の上がりのうち、しかるべきものはこうしなさいみたいなものは、今、独法として基金の運営基準があるのですけれども、新しい公益法人も、ほぼその運用基準を自らの内規としてなるべく承継する方向と承知しておりますので、そういった意味で言うと、運営の在り方は今の在り方が継承されるものと認識しております。
【岡本臨時委員】  分かりました。ありがとうございました。
 今後、どういうふうに進捗するかという点はまた照会するかもしれません。御協力はお願いいたします。
【山本分科会長代理】  ほかの委員の方、ございませんか。
 どうぞ、鈴木委員。
【鈴木臨時委員】  先ほど、基金の運用の中に「特殊債」と「社債」というのがあるのですけれども、これは「特殊債」とはどういうものなのですか。
【山本分科会長代理】  時間がかかるようでしたら、後でもよろしゅうございますが。
【山岸課長】  ボリュームはたしか大きくありません。ただ、今、明細を持っておりませんので、また事務局を通じて回答させていただきます。
【山本分科会長代理】  ありがとうございました。
 ほかはございませんか。
 なければ、ちょっと私の非常に個人的な関心なのかもしれませんが、この公園の中に、地図を見ていますと、ホテルであるとか住宅展示場のようなものがございますね。これは現在も使用料をお取りになっているということになるのですか。
【山岸課長】  はい。取っております。
【山本分科会長代理】  それは同じ、やはり基準で、それも同じような考え方でまた承継されているのですか。
【山岸課長】  まさに大阪府が今後運営するときにどう考えるかだと思っておりますが、おそらくほぼ同じふうに取っていくと聞いております。
【山本分科会長代理】  そうですか。承知いたしました。
 ほか、ございますか。
 なければ、この法人はかなり方向性も決まっておりますので、またいろいろ御議論はあるかと思いますが、とりあえず今日のところは日本万国博覧会記念機構について一旦議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 本日御説明いただきました皆様におかれましては、御多用中御協力を賜りましてありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえまして、今後、主要の事務及び事業の見直しに関します審議を深めてまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
【山岸課長】  ありがとうございます。御指導を踏まえまして、引き続き着実に進めてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
【山本分科会長代理】  本日、御欠席の委員もおられますし、時間の関係上、質問ができなかった委員もおられるかもしれませんので、後ほどまた事務局を通じまして、先ほど鈴木委員からのような御質問等をまた照会させていただいたり、ワーキングでまた追加的なヒアリングを行ったりすることもあるかもしれませんので、その節はまたよろしくお願いしたいと思います。
【山岸課長】  承知いたしました。
【山本分科会長代理】  それでは、今後ともよろしくお願いいたします。
 では、財務省の皆様方には御退席いただきまして結構でございますので、よろしくお願いいたします。
【山岸課長】  ありがとうございました。

(説明者等退席)

【山本分科会長代理】  事務的な連絡ですが、阿曽沼分科会長が戻りますまで、少し休憩を取ります。

( 休  憩 )

【阿曽沼分科会長】  それでは、予定の時間より少し早いですが、再開いたしたいと思います。
 続きまして、経済産業省所管3法人の見直し当初案につきましてヒアリングを行いたいと思います。
 本日は、経済産業省川上大臣官房審議官をはじめ、御担当の方々にお越しいただいております。
 御説明をお願いいたしますが、時間の関係もございますので、5分程度の御説明ということで、よろしくお願いいたします。
【川上審議官】  経済産業省大臣官房審議官の川上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私からは、まずNEDOにつきまして御説明いたします。お手元の資料3−1−(1)というパワーポイントの資料と、資料3−2は縦長のワードの資料でございますが、NEDOにつきましては1ページから5ページまでの部分が該当いたします。御参照いただければと思います。基本的にはパワーポイント3−1−(1)に基づきまして御説明させていただきたいと思います。
 まず、パワーポイントの左側、「NEDOの現状に関する基本認識」でございますが、最も上の部分、「NEDOのミッション」でございます。NEDOのミッションにつきましては、政府が行う、産業技術政策などの具体的な実施機関といたしまして、基礎研究から実用化・実証まで一貫した技術開発マネジメントの効率的・効果的な実施を通じまして、具体的成果を出すことでございます。言い換えますと、NEDOは政府から交付された技術開発プロジェクトの関係予算、これは交付金という形で交付されますけれども、個々のプロジェクト別に区分されておりまして、国の政策そのものということでございますが、これを国内企業の事業部の単位でありますとか、各大学、研究をつかさどる独立行政法人などの個別の研究者といった方々を最適に組み合わせいたしまして、きめ細かく、適切に評価管理し、実用化に向けて最大限効果的にプロジェクトを実施することが、その役割になります。
 次に、左側の中段、「これまでの取り組み」について御説明申し上げます。NEDOはこれまでエネルギー分野を含みます産業技術分野全般のいわゆるナショナルプロジェクトを中心にいたしまして、外部有識者を活用した案件形成や事業評価などの技術開発マネジメントを実施してきております。加えて、昨今は海外との協力が大変重要であるという認識の下に、各国の政府、自治体、国際機関などとのMOUの締結などを通じまして、海外にも展開しておりまして、我が国の優れた技術を発展させるとともに、実証事業などを通じて事業の海外展開、市場開拓を積極的に支援してきております。さらに、これは研究開発以外の業務でございますけれども、国の委託を受けて、京都議定書の目標達成のためのクレジット取得をしてきております。また、NEDOは平成22年12月に閣議決定されました独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針などを踏まえまして、様々な取組を行ってまいりました。例えば、200億円以上の予算がございました省エネ設備導入補助金などを廃止いたしましたし、石炭関連業務などのJOGMECへの移管も決定いたしました。白金台の研修センターなどの不要資産の国庫納付、職員数の削減などを行ってまいりました。昨年10月からの新体制におきましては、元日立製作所社長の古川一夫氏が初の民間出身の理事長として就任をしております。
 次に、左側の下でございます。「NEDOを取り巻く最近の状況」につきまして御説明申し上げます。私どもは外部環境が最近大きく変化していると考えております。具体的には二つの点でございますが、円高やリーマンショックによる影響、新興国との競争の激化などによりまして我が国の産業の国際競争力の低下が進んでおり、イノベーションの推進による競争力強化が強く求められております。また、東日本大震災などを受けての各種政策の見直しも求められております。パワーポイントの資料では、これを一くくりに「東日本大震災等に伴う産業技術政策・エネルギー政策の見直し」と書いてしまっており、恐縮でございますが、詳しく申し上げると、今申し上げたような変化に伴う要請が強まっております。本年7月31日に日本再生戦略が閣議決定されましたけれども、この中で基礎研究から実用化までのイノベーションの強化、具体的にはグリーン・イノベーションとライフ・イノベーションの推進を中心とするイノベーションの強化が求められております。また、第4期科学技術基本計画においてもライフ・イノベーション、グリーン・イノベーションを重点分野として推進することとされております。さらに、この9月15日に革新的エネルギー・環境戦略が決定されましたけれども、省エネルギー、再生可能エネルギーなど、グリーン・エネルギーの強化について緊急の対応がまとめられているところであります。
 環境変化の二つ目は、昨年秋から今年1月にかけて行われました一連の独法改革の結果として、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針が1月20日に閣議決定され、このうち、NEDOについては研究開発型の成果目標達成法人とされたことであります。
 以上のようなミッション、これまでの取り組み、そして最近の状況の変化を踏まえまして、「組織・業務全般の見直しの方向性」につきましては、パワーポイント資料の右側のように考えております。具体的に御説明いたしますけれども、まずは基本的方針といたしまして、「世界最先端の技術開発マネジメント機関へ」と掲げております。平成26年4月からと予定されております新制度のもとで、NEDOを含めた国立研究開発行政法人は、研究開発面における国際水準に即した目標設定、評価を行うこととされております。したがいまして、NEDOにつきましても世界に通用する世界最先端の技術マネジメント機関を目指すべきと考えております。より具体的に申し上げますと、ここで資料3−2の3ページを御参照いただきたいと思いますが、その一番下のポイントといたしまして、このパラグラフだけ読みますけれども、「先進各国のファンディング・エージェンシー等との一層密接な連携・協業により、それらのノウハウ・経験を十分取得するとともに、自らの組織・人員体制の不断の見直しを行い、実用化の更なる推進等に向けたプロジェクト管理・評価体制を構築する」ことと考えております。
 今申し上げた基本的方向のもとでの具体的な検討事項でございますが、パワーポイント右側の下に5点記述しております。一つ目は「メリハリの効いたプロジェクト管理」ということでございます。この数年間、ナショナルプロジェクトはグリーンとライフを中心に、本数を絞るとともに骨太化、分野の重点化を進めてきておりますけれども、この動きを引き続き進めまして、技術開発を一層効率的・効果的に実施すべきと考えております。また、一層の実用化推進のため、現在も実施しているプロジェクトの中間評価あるいは追跡評価をこれまで以上に重視いたしまして、実績を十分踏まえた参加企業の選定、年度途中での機動的・柔軟な予算配分など、メリハリの効いたプロジェクト管理を目指すべきであるとの趣旨でございます。
 2点目は「情報発信・PR等の推進」でございます。NEDOの最近の事業成果例といたしまして、エネファームでありますとか有機ELのプロジェクトなど様々な成果を生んでおりますが、その情報の発信先がまだ産業界の一部にとどまっていないかという問題意識でございます。こういった成功事例を1件でも多く抽出いたしまして、これを国民に広くアピールする、また、産業界に対しましても経営者層に対してアピールしていくということを行うべきだと考えております。
 3点目は「国際共同事業の推進」でございます。これにつきましては、例えば最先端の国際共同研究に対しまして、NEDOと外国機関が共同でファンディングするような試みを増やしていかなければいけないのではないかという問題意識でございます。数年前からフランスの機関と先進的な取組を開始しておりますけれども、これにとどまらず、NEDOのカウンターパートとなる外国のファンディング・エージェンシーなどとの連携を一層強化して、これに係るノウハウへ我が国企業のグローバルな事業展開を一層推進していく必要があると考えております。
 4点目は、ベンチャー企業などの振興でございます。日本経済が停滞している中で、新規性・機動性のあるベンチャーにつきまして、技術・経営両面のサポートを強化いたしまして、事業化・実用化を推進していくことが重要ではないかと考えております。
 最後5点目は「人材の流動化促進、育成」でございます。NEDOには今でも200人を超える優秀な民間出身の人材がおりますけれども、優秀な人材を年度途中で採用するといった人事政策にまでは至っていない現状がございます。NEDO職員を民間等へ派遣し、能力アップを図ることも重要だと考えております。人材の流動化をより促進していくことが必要だと考えている次第でございます。また、こういった人の流動化の前提として、いわゆる技術開発をマネジメントする人材が職として成り立つような社会システムが必要だと考えております。これも、そのノウハウを有するNEDOが主導いたしまして、具体的なカリキュラムづくりなどに着手していくべきではないかと考えている次第でございます。
 私からの説明は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。ただいま御説明いただきました新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDOの見直し当初案につきまして、これから御質問を委員から受けますが、質問もきっと大変多いと思いますので、御回答はなるべく冗長にならずに的確に、簡潔にお答えいただきたいと思っております。
 それでは、委員の方からの御質問をよろしくお願いいたします。
 鈴木委員、どうぞ。
【鈴木臨時委員】  私どものワーキング・グループに対して、いろいろな質問に対する対応とか、あるいは資料要求に御協力いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、最初に二、三御質問したいと思うのですけれども、今お話しいただいた見直し当初案において、私どもがこれを読ませていただいたところ、明確ではないのではないかと思っておりますのは、確かにエネルギー分野を始めとする産業技術分野全般に対して進めていくのだということなのですけれども、もともとの法人のミッションは、今もそうだと思うのですが、新エネルギーの技術開発・研究だということだと思っているわけなのです。そういう意味において、この見直し案を見ておりますと、少し抽象的で、そういう取組が薄れているのではないかと感じているわけです。そこで、今後は原点に立ち返って、総力を結集して新エネルギー分野に特化して行うべきではないかと私どもとしては考えているのですが、これに対しての御見解をお聞きしたいと思います。と申しますのも、頂いた資料等を見ておりますと、太陽光発電システムについては、当初約5割の世界シェアを占めていたけれども、今は1割にも満たないと。そして、それについては1,700億円の国費が投入されているけれども、ほかの国と比べて社会還元とかそういう成果が見えているようには我々は感じないということで、そういうことも含めて今後の展開が重要なのではないかと思っているのですけれども、これに関しての主務省としての見解をお伺いしたいということであります。
【川上審議官】  お答えを申し上げます。新エネルギーに分野を絞るべきではないかという御指摘がございましたが、私ども主務省の考え方としてはそのようには考えておりません。先ほど申しましたように、現在、喫緊の政策課題として考えておりますのは、日本の国の産業競争力が諸外国に比較して低下してきているのではないかという私どもの危機意識がございます。これを挽回しなければいけないわけでございますが、それにつきましては新エネルギーはもちろんでございますけれども、それだけではなく、産業技術全般について研究開発、イノベーションを進め、事業の競争力を増していくという取組が国家として必要であると考えております。
【瀬川臨時委員】  ただいまの御回答について、少し関連する話をさせていただきます。
 もちろん、日本の産業振興は非常に重要なミッションだと私も考えておりますけれども、例えば先ほど一例として出てきた太陽光発電については、1,700億円の国費が投じられているけれども、世界的にはなかなか厳しい状況ですね。例えば日本はかつて太陽光発電の世界シェアで5割以上を占めていた時代もあったけれども、今はもう1割を切るくらいのところまで落ちてきている。ここのところについてのきちんとした総括がないと、産業を振興すると言われても、なかなか受け入れがたい面があるかと思うのです。その辺の戦略、どう転換していくとお考えなのでしょうか。
【川上審議官】  お答え申し上げます。まず、太陽電池につきましては、NEDOの事業として、御指摘がございますように、これまで1,735億円を投入してきてございます。この成果でございますけれども、数字で申し上げますと、これを利用した製品の累積の売上高は1兆2,800億円を超えております。また、将来の売上予測ということになりますと15兆円を超えるのではないかと私どもは考えております。それ以上のことを申し上げた上で申し上げますと、今の御質問に対するお答えは、むしろNEDOというよりは国として反省すべき点があるのではないかということだと考えております。技術的には私どもの技術開発、NEDOの事業成果も含めまして、太陽電池の技術は世界最先端のレベルにあると思っております。問題は市場でございまして、それは国内市場が停滞したというのが一つの問題ではなかったかと思っております。再生可能エネルギーの導入促進が国会での立法も含めまして進みましたので、フィットも含めまして、これから我が国国内の市場が大きく拡大していくと私どもは期待しております。そのようなことが事業環境の整備も含めまして政策的な対応が必要であると考えております。
【瀬川臨時委員】  私がお伺いしたかったのは国際戦略についてです。むしろ国内はこれから当然市場も拡大しますし、順調に進むでしょう。ところが、やはり日本の企業の観点からするとどうしても海外との競争になかなか勝ててこなかった。やはり問題は国際戦略ということだと思うのです。その辺りについて、これからの見直しに向けてNEDOとして国際戦略をどう考えておられるのか、お聞かせいただけますでしょうか。
【川上審議官】  説明の中でも少し申し上げましたけれども、海外での実証事業を手がけております。これを拡大していくことによって、その海外市場を開拓することが大事だと思っております。
【藤原課長】  1点だけ補足させていただきます。太陽光発電施設、風力発電施設、その他いろいろな製品技術を開発して海外展開していくことも非常に重要でございますけれども、委員御承知のとおり、最近、新エネ・省エネ含めて、エネルギーマネジメントを海外に展開するような取組にNEDOは相当力を入れております。スマートコミュニティー事業でございますけれども。つい最近も幹部がフランスに飛んでおりまして、NEDOと同様の機関でございますADEMEというフランスの環境・エネルギー管理庁がございますけれども、まさに先方の機関から様々な支援策も取りつけながら、日本の技術の展開、NEDOはこのような取組を諸外国と180くらいMOUを結んでやっておりますけれども、まさに海外展開、技術展開のところに相当力を入れさせていただいている。そして標準化等を目指していることは是非御理解をいただければと思います。
【瀬川臨時委員】  ありがとうございます。拝見した業務全般の見直しの方向性の中に、余りそういったことは書かれていなかったもので、あえて質問させていただきました。
 それに関連して、業務全般の見直しの方向性の冒頭に書かれている文言が、これもやはり少し分かりにくい点がありますのでお答えいただければと思います。世界に通用する、「世界最先端の資金配分機能を有する技術開発マネジメント機関」と書いてあります。世界に通用すると冒頭に書かれているのですけれども、逆に言うとこれまでは通用してこなかったのかとも受け取られかねないですし、それから「世界最先端の」という言葉が、「資金配分機能」にかかるのか、「技術開発マネジメント」にかかるのか分からない。もちろん後者だとは思うのですけれども、その上で、そうするとマネジメントの世界最先端とは何でしょうか。つまり、世界最先端であるかないかということよりも、やはりきちんとマネジメントができているかということが大事で、世界の最先端もそうでないものもないのではないかと。世界最先端と言うのであれば、技術開発が世界最先端になるように、むしろNEDOとして万全のサポートをするという形であればよく分かるのですけれども、頂いた資料を拝見すると、マネジメントが世界最先端であるかのような形になっているのです。このところについてはどうお考えでしょうか。
【川上審議官】  お答え申し上げます。まず、事実から申し上げますと、文言についてどちらかという御質問の回答から申し上げますと、世界最先端というのは技術開発マネジメント機関にかかると。資金配分ではないということでございます。
 それで、こういうふうに私どもが考えております前提として、まず世界の研究開発マネジメント機関としてどのようなものがあるかということをごく簡単に御説明申し上げますと、例えばフランスでは先ほど名前が出てまいりましたADEME、環境・エネルギー管理庁でありますとか、アメリカではARPA−Eというのがございます、これはエネルギー省の1部局でございまして、エネルギー先端研究計画局。同様の機関がイギリス、フィンランドなどにもございますし、身近な例で言えば韓国などにもあるわけでございます。また、EUという広がりで言えば、研究・イノベーション総局というのも一つのマネジメント機関であると私どもは考えております。
 どうして最先端の技術開発ではなくてマネジメントなのかということでございますが、冒頭に御説明申し上げましたように、NEDOのミッションは国の交付金、ここで何をやるぞ、どういう最先端技術の開発をやるぞというのを国の指示を受けて、それを最適に、効率的に実施するというマネジメントを行う機関であるというのがミッションであると考えておりますがゆえに、技術開発マネジメント機関と記述した次第でございます。
 さらに申し上げますと、研究開発のマネジメントというのは、ひな形とか万能解があるわけではございませんので、個々、1個1個の作り込みが必要になってまいります。そういうマネジメントのノウハウというものは完璧なものはなくて、試行錯誤で作り上げていくという性格がどうしても伴いますけれども、そういったようなことを先進各国の同様の機関と交流を深めることによって、今までもやってきておりますけれども、それで第3期も十分かというと、もっと拡大していって、よりノウハウを蓄積し、日本の研究開発マネジメントのレベル自体を上げていくことが必要であると考えている次第でございます。
【瀬川臨時委員】  より良いマネジメント機関を目指すということはよろしいかと思うのですが、問題は諸外国のそういった機関に比べて、具体的に今までどういうところが欠けていて、これから一体何をやろうとしているのか。その具体的なことをやはり次の目標に書いていただかないと理解できないかなと思います。
【藤原課長】  お答え申し上げます。具体例でございますけれども、審議官からも話をさせていただきましたARPA−Eでございますが、これは例えば大きな特徴としましてベンチャーキャピタル業界と大変密接な関係を持っております。ARPA−Eが採択した事業実施主体、これは実はベンチャーが3割も占めておりまして、そこにベンチャーキャピタル、これは採択されますとベンチャーキャピタルからリスクマネーがある意味自動的に支給されるといった特徴を持っております。それから、DARPA、国防高等研究計画局でございますけれども、これは国防に最終的に資するような技術開発でございますけれども、裾野は広くて、ITでありますとか材料、バイオエネルギー等々、いろいろな技術分野を対象にやっている機関でございますけれども、これの最大の特徴はマネジャーに相当な裁量権を与えているところでございます。後ほど御説明しますNEDOの課題というところにも書かせていただきましたけれども、DARPAは優秀なマネジャーを産業界からどんどん引き抜いて採用していると。マネジャーを毎年、実は25%ずつ交代させることを組織の目標にしているということでございます。こういったところは、NEDOの課題にも後のほうで書かせていただきましたけれども、やはりまだそこまで至っていないということだと思っております。
 もう1点だけ、NIHという国立の衛生機関がございます。釈迦に説法で、関係の委員の方もいらっしゃいますけれども、こちらはむしろピアレビューの仕組みがすばらしいと聞いております。何段階にも分かれておりまして、そこにやはり多くの外国人を入れているところが相当大きな特徴でございます。また、これはNIHだけではないのですけれども、アメリカの場合、アワードですね。最初に予算を投入するというよりは、ある課題解決を設定して、それを解決した人に事後的に資金を投入する。そういったものも一種のコンテスト型といいますか、アワード型といいますか、こういったプロジェクトも相当採択しているということで、まだまだこういった組織マネジメント、仕組みの面で、これはNEDOだけではないのですが、私どもの政府の中で検討が進んでいない、あるいは仕組みが採用されていないものがたくさんあると思っておりまして、こういったところを全てまねするわけではございませんけれども、いろいろ検討、勉強していきたいと考えてございます。
【岡本臨時委員】  今の課長のお話と、先ほどの審議官のお話を合わせますと、ちょっと乱暴な言い方をしますと、NEDOは十分仕事をやってきたのだけれども、それをうまく活用できないのは政府が悪いとおっしゃったように聞こえました。それで、課長は今から経済産業省はどう変えていくのだということをおっしゃったと思いますが、将来に向かって経済産業省はしっかりやっていくという理解で良いですか。先ほど審議官がおっしゃったのは、自分たちが悪いのだとおっしゃったように聞こえたものですから、どのように自分たちの悪いところを変えていらっしゃるかというのが今の課長のお答えと理解しましたが。
【川上審議官】  まず、私の発言が誤解を与えたとすれば大変申しわけないと思っています。NEDOのやっていることが完璧だとは全然思っていない。
【岡本臨時委員】  いや、完璧とは言っていない。むしろ問題は国側にあるのだとおっしゃったように思いますが。
【川上審議官】  国側にもあると。それは国側にも変えていかなければいけない点はあると考えていると……。
【岡本臨時委員】  私はこれは非常に重要な仕事をされていらっしゃる部局だし、法人だと思っているのです。そういう御認識で、今、問題があるということであればそれを具体的に変えていっていただかないと、我々は評価委員としてはなかなか納得できないところがあります。具体的に国側もNEDOもどう変えていかれるのですかということを検討することが見直しだと思いますので。
【川上審議官】  まず、国側でございますけれども、基本認識は、何度も申し上げますけれども、相対的に我が国の産業競争力が落ちていると。それを回復する必要があると思っております。このために、先ほど申し上げましたけれども、先般閣議決定をいたしました方針に沿いまして、グリーン・イノベーションあるいはライフ・イノベーションといったところに注力していくという方針を立てているわけでございまして、これに沿って施策を展開していくことが私ども、国側としてしていかなければいけないと考えております。
 NEDOの側でございますけれども、これは繰り返しになりますから詳しく申し上げませんが、先ほど御説明申し上げましたように、これまでの取組を踏まえ、最近の状況の変化を考えながら、より良い機関となっていただくよう、第3期には今までに加えてこのようなことをやっていただきたい、目指していくべきであるというのが私どもの考えでございます。
【岡本臨時委員】  個々のエネルギー政策については私は全くの門外漢なので、意見だけお伺いしたいのですけれども、もともと新エネルギーという名前がついていて、出発点はそこにあったのだと思うのです。それは間違いなく事実としてあったと。その後、いろいろな環境変化があって、統合とかなされて今の形になってきたのだと思うのですが、今、エネルギー政策の中で、かつてないほどと言っては誤解があるかもしれませんけれども、再生可能エネルギー、新エネルギーという重要性が素人にも伝わってきている時期だと思うのです。こういう名前をいまだに冠しておられる法人がそこでやるべきときには、やはり新エネルギーについて何か具体的なものを掲げた上でのエネルギー全般への転換ではないかと思うのですけれども。ですから、お願いしたいことは、新エネルギーについてやらないとおっしゃっているわけでは全くないのだけれども、もう少し具体的に何をやっていくか、何について資金配分をファンディング・エージェンシーでやっていかれるかをもっと出していかれることが必要ではないのかなという、これはあくまでも印象ですのでそう受け止めて、回答は結構でございますので、そう思っているということです。
【川上審議官】  回答ということではなくて、1点だけ補足的に申し上げますと、冒頭申し上げましたように、何をやるかということは交付金の中で国が指定して出しております。したがって、エネルギーに関するプロジェクトは非常に数多く、そこでNEDOに対してやりなさいという指示を出しているということでございます。
【藤原課長】  少し数字で御説明させていただきますけれども、平成24年度の予算の中では9割以上が、これは広い意味でグリーンでございます、これは新成長戦略の要請も受けまして、私ども、グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーションにNEDOは相当重点化しているわけでございますけれども、グリーンに9割以上の予算を割いていることは御理解いただければと思っております。
【阿曽沼分科会長】  荒張委員、どうぞ。
【荒張臨時委員】  見直しの方向性の基本方針の一つ目に「メリハリの効いたプロジェクト管理」が挙げられております。「中間評価・追跡評価を通じた、参加企業の選定や機動的・柔軟な予算配分等のメリハリの効いたプロジェクト管理」ということを挙げられているのですけれども、この辺、具体的にはどういった問題意識を持っていて、見直しのイメージとしてどういったことを活動として行って、その結果どういった成果が出てくると考えられているのか、是非具体的な説明をいただけませんでしょうか。
【川上審議官】  メリハリを効かすということの中で私どもが一番重要視しておりますことの一つが、きちんと評価するということでございます。NEDOの場合は、もちろんプロジェクトを開始する前の事前評価に加えまして、中間的な評価あるいは事後の評価、そしてプロジェクト終了後、しばらくたった後の追跡調査・評価といったようなことを、きめ細かく行うようにしてきております。その結果といたしまして、例えば中間評価で縮小する、あるいは逆に加速すると。資金投入をもっと増やすといったことを行うでありますとか、あるいは追跡調査の結果として事業化あるいは製品化がどの程度つながっているか、そして、実は企業別にどの企業は、こういう言い方をすると何でございますが、成績が良くて、成績が悪いかといったことなどもきちんとフォローいたしまして、どういうプロジェクトフォーメーションをするのが最適かといったことを行っていくというのが最も重要なことの一つだと考えています。
【荒張臨時委員】  なるほど。それに関連するかどうかということなのですけれども、特に中間評価といったところで、実際のお金の出方というのでしょうか、その辺がより効率的になっていくということも当然考えられるという理解でよろしいのでしょうか。
【藤原課長】  御指摘のとおりでございます。
【荒張臨時委員】  なるほど。
【藤原課長】  中間評価をいたしまして、5段階で評価させていただきまして、優良なプロジェクトにつきましては、このたび明文規定もつくらせていただきましたけれども、開発促進制度という形、加速化する形で予算を追加投入していくことを実際にやっております。
 それから、今申し上げましたように、難しいプロジェクトにつきましては、体制を見直す、あるいは資金を縮小していくといったことをメリハリの効いた形で今でもやっているのですが、これをさらにどういった形で企業別に、あるいは分野別に分析して、さらに加速化していくかということを検討しているところでございます。 
【荒張臨時委員】  直結はしないかもしれないのですけれども、やはりプロジェクトごとに進捗がどうしても変わってくるかと思いますし、もっと良いプロジェクトにどんどん資金を充てていくことになると、事業自体の交付金の執行も促進されてくるのかなということを考えますと、現在の交付金債務が非常に残っている、この辺につながってくるような気がしているのですが、こういったところにも成果が現れてくるという理解でよろしいでしょうか。
【川上審議官】  先生御指摘のとおりでございまして、交付金債務というのはきちんとフォローすべき指標の一つであると思っております。御指摘のように、現時点では交付金債務は非常に高いと思っております。これは事情を申し上げれば、実は中期計画5年目の今は4年目に当たりまして、ちょうど交付金債務が一番多くなる時期に当たるということでございまして、これを5年、最終年度にどのように、もちろんきちんとマネジメントしながら目標を達成していくことの中で、交付金債務残を減らしていくかということは大きなポイントだと考えております。
【藤原課長】  具体的に細かい話をさせていただきますけれども、今の交付金債務残高は535億円でございます。これは平成23年度末の数字でございますけれども、この中で、これは一言で言えば事業の実施の遅れにまさに起因しているわけでございますが、昨年度の第3次補正予算、これは年末に決定されましたので執行はまだこの時点で行われていないものが98億円あったわけですけれども、これを含めて震災関係で遅れている部分があります。これは具体例としては研究に必要な材料とか機械の納入が震災で遅れてしまったとかそういう形なのですが、これが全部含めますと144億円くらいございます。それからもう一つは、先ほど海外の事情を申し上げましたけれども、NEDOは海外研究実証プロジェクトをたくさんやっているものですから、その中で相手国側の都合が不可避的に効いてきているようなケース、タイの洪水でございますとか、ニューメキシコの積雪でございますとか、そのほか中国、インドネシア、モンゴル等々、幾つかのケースで、外国の事業が事情でなかなか行われていないものが97億円でございます。そうは言っても535億円のうちの半分くらいは通常の事業の遅れに起因する部分でございますけれども、これはいずれにしましても、今、委員御指摘の加速度予算、先ほどの予算の実施加速化なども含めて、何とか年末までに、これは目標が110億円くらいなのですけれども、それを何とか下回るように最大限努力をさせていただいているところでございます。
【荒張臨時委員】  くれぐれも予算消化が目的にならないようにだけは気をつけていただいて。
【藤原課長】  本来やるべき予算の執行でございます。遅れているということで御理解いただければと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。
 岡本委員、どうぞ。
【岡本臨時委員】  話題を変えさせてください。先ほどの1枚紙の最後に書いてある、見直しの方向性の「人材の流動化促進、育成」というところなのですが、こういうファンディング・エージェンシーにおいても人材の流動化を進めるということは良い方向性なのですか。その理由を教えてください。
【川上審議官】  ファンディング・エージェンシーの職員に求められる資質ということになりますけれども、やはり最新の技術動向をきちんと知っている、そして、それに関わっている研究者、研究機関の動向あるいはその評価も含めまして、人的なネットワークを有していることが非常に重要になってまいります。そういったようなことを考えますと、一定数の職員は中途で採用して、ある一定の期間在籍していただいて、マネジメントをしっかりしていただいて、そういう成果を挙げた上で、また例えば民間に行くとか、自身で研究機関に行かれるとか、そういったような形でキャリアパスを積んでいただくというのが、NEDOのパフォーマンスを最大化するという意味では、最も望ましいのではないかと考えております。
【岡本臨時委員】  そうすると、イメージ的なマネジメントの高度化というのは、組織にノウハウが蓄積されるほうがいいのではないかというイメージからすると、そういう専門家が定着されるほうがいいと思っていたのですが、そうでもないということですね。
【川上審議官】  それはベストミックスをどこに求めるかというのがマネジメントの一番ポイントになると。
【岡本臨時委員】  入りも出も結局は動いていく、フローで流れていく中で、審議官が今おっしゃったように、必ずしも全部出るわけではなく定着する、それを何か目標値みたいなものを今後掲げられますか。人材のベストミックスというのでしょうか。
【川上審議官】  非常に難しい点でございますけれども、考えてみたいと思っています。
【岡本臨時委員】  何かそういう良い形をぜひ提示していただきたいという意味合いも込めて申し上げたいと思います。
 それから、ちょっと気になるのですけれども、民間出向の受入れを抑制されているのですか。
【川上審議官】  受け入れるほう。抑制をしてございます。この2年間で約100名減っております。
【岡本臨時委員】  それは任期付き任用に転換されていらっしゃるのでしょうか。
【藤原課長】  任期付き任用はまた別の意味でございまして、これは元プロパーの方が相当多くて、今、そういった形になってございます。企業に帰るというイメージではございません。
【岡本臨時委員】  分かりました。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
 いろいろ的確なお答えもいただいたようでございますけれども、先ほど岡本委員がおっしゃったように、経済産業省全体として産業競争力が落ち込んでいる、これは国家としてもここをやっぱり後押ししなければいけない、国家として重要なポイントであるというお話があった。その一方で、先ほど鈴木委員と岡本委員からも御指摘がありましたけれども、1,735億円を投入した太陽光発電がなぜ今のこういう状況なのかというお話の中で、国として反省すべきこともあるというお話がございました。国に働きかけて提言をして、プロジェクトを動かしていくということも主務省の重要な役割であるということが言えると思いますし、産業競争力を強化するために果たすべき役割の中におけるNEDOというのは、One of themですか、それともallですかと。全体施策の中でのこういった役割そのものがなかなか見えにくいところもやっぱりあるのではないかなと。当然、国としてのビジョンがあって、主務省としてのミッションがあって、そして独法としてのアクションがきちんと組まれていくということが非常に重要であります。また、一方で藤原課長からはARPA−Eの役割についてのいろいろなお話がございました。今までの反省を踏まえて、そういった情報収集をし、良いところを取り込んでいこうという姿勢は高く評価できると思いますが、その中で、例えば産総研の目的、業務の向上の方向性と似通った部分の書き込みがあったり、またファンディングということで言えば、産業革新機構をどうやって使っていくのかということもこれから国にとっても非常に重要なポイントだと思います。欧米に学ぶべきものがもしあるとすれば、そういったことを踏まえて再度目的もしくは当初案の中で具体的に書き込めるものがあれば、是非書き込んでいただきたいと思っております。お答えいただいた回答は、大変具体的な数字なり、具体的なお話が大分ございましたので、是非それを組み込むという取組をしていただきたいと思っております。
 委員のほう、よろしゅうございますか。
 それでは、時間の都合もございますので、新エネルギー・産業技術総合開発機構につきましては、これで一旦議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 御説明いただきました皆様方には、御多用中、御協力を賜りまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論などを踏まえつつ、今後主要な事務及び事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思っています。引き続き御協力をお願いいたしたいと思います。
 時間の都合で、または欠席の委員の中からも御質問があろうかと思いますので、そういう場合は、後日、事務局を通じて照会いたしましたり、再度ワーキングでのヒアリングをお願いしたりすることもあろうかと思いますけれども、その際には御対応をよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。
【川上審議官】  どうもありがとうございました。
【藤原課長】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  御退席いただいて結構でございます。

( 説明者等入替え )

【阿曽沼分科会長】  続きまして、情報処理推進機構について、三又商務情報政策局情報政策課長から御説明いただきます。5分程度でよろしくお願いいたします。
【三又課長】  商務情報政策局の三又でございます。
 お手元に、パワーポイントの資料と、ワードのとじ込まれた資料の中に文章が書いてございますが、パワーポイントの資料3−1−(2)を御覧いただきながら説明させていただきたいと思います。
 まず、情報処理推進機構IPA、今や社会基盤となっているITについて、技術的な側面、人的な側面から基準の策定や基準に基づく評価の仕組みを提供して、情報処理の高度化あるいはITの質の向上を推進して、広く経済社会活動の安全・信頼・安定を支える基盤を構築していくことをミッションとして設立した組織でございます。
 第2期、平成20年度から平成24年度までの期間においては、お手元、「4つの視点」と書いてございますが、こういった視点に力点を置きまして、情報社会システムの安寧と健全な発展を実現することを目指して取り組んでまいりました。具体的には下の点線の四角の箱が四つございますけれども、左のほうからまいりますと、「ITの安全性向上に向けた情報セキュリティ対策の強化」、「情報システムの信頼性向上に向けたソフトウェアエンジニアリングの推進」、「IT人材育成の戦略的推進」、そして、一番右は性質が違いますが「業務運営の効率化」という四つを中心にやってまいりました。左側の三つが具体的な業務と対応してまいりますけれども、セキュリティ対策につきましては、従来からウイルスや不正アクセスについての注意喚起や緊急対策情報の公表などを行っておりますし、また、ソフトウェアの脆弱性という、もともとソフトウェアに存在している危険を伴うような部分についての対策情報を収集したデータベースの公開とか、ソフトウェアがバージョンアップするときのチェックツールなどの公開を行っております。また、IT製品の、例えばコピーとファックスが複合された機器など、日本はたくさん輸出をしておりますけれども、こういったもののセキュリティ機能についての国際的な相互認証協定に基づく日本唯一の認証機関として、IPAがなってございます。そういったことを実証してきております。
 それから、特に昨年、三菱重工、防衛産業の企業のサイバー攻撃の被害があったのですけれども、こういったものを契機にいたしまして、特にサイバー攻撃の手口が非常に高度化・巧妙化しております、こういったものに対する対策として、産業界で個別の企業ごとではなくて、企業間で連携できるところは連携して、情報を共有して対策を講じていこうということで、その情報のハブの役割をIPAが果たしております。
 それから2番目の箱のところは、ソフトウェアエンジニアリングの信頼性向上ということなのですが、社会的にクリティカルな役割を果たすようなものを含めた情報システムについての信頼性を高める、ソフトウェアの品質についての説明力を向上するということで、ソフトウェアの開発手法や管理手法、信頼性向上の手法について、普及活動を展開したり、また、極めて共通基盤的な、例えば日本語の漢字の文字についていろいろなフォントなどがございますけれども、こういったものを無償で共通的に使えるようなフォントをIPAで整備して無償公開するというようなことをやったり、それからプログラミング言語についても、日本初のプログラミング言語として国際規格を取得したものの国際規格化にも貢献をするなど、そういったことをしております。
 三つ目の人材育成のところは、社会人として誰もが備えておくべきような基礎知識についてのITパスポート試験を創設いたしまして、また、もうちょっとプロフェッショナルな部分についてはスキルの標準を公表しております。そのスキル標準について、より最近の複雑化・高度化してきたITの使い方に対応した、企業がそういう人材を評価したり採用したりするときに使いやすいような共通キャリア・スキルフレームワークを出してございます。また、先ほど重要なセキュリティの分野についても、人材も非常に重要でございますので、特に若手の中でそういう非常に長けた人材を発掘することにも取り組んでおりまして、例えばセキュリティ・キャンプと呼ばれるようなもので、中学・高校・専門学校生・大学生などを集中的に磨くような取組をやってございます。
 最近の状況ということで、次の箱でございますが、左側の二つは、特に足元のIPAに対するニーズでございますけれども、(1)にございますように、様々な社会的な課題、経済成長そのものを支える基盤としてもITは非常に重要ですし、またエネルギー問題とか高齢化の問題とか様々な社会的課題に対して、今やインターネットあるいはデジタルテクノロジーを使って大量のデータを収集・分析・処理をすることでそういった課題を解決していく、あるいは新しい経済を牽引するような新しい産業を生み出すということが非常に重要な役割が期待されてきております。それに対する、今既にやっている業務を御説明しました、そういう業務の延長線上で、こういった課題に答えていくことが強く求められてきております。
 二つ目のところに日本再生戦略がございます。今申し上げたことも踏まえて、具体的に、今年7月に定められた日本再生戦略の中でも、特にITのセキュリティ評価に配慮した利活用の促進、セキュリティ強化にも配慮して、ただITを利活用促進すること、それから強固な情報基盤の確立といったことが位置付けられておりまして、こういったところをIPAとして受け止めていく必要があるということです。
 他方、右側にございますように、この二、三年の間に、事務・事業の見直しの基本方針あるいは制度及び組織の見直しの基本方針に基づきまして、様々な業務の整理、重点化であるとか、それからもちろん人件費改革とか、自己収入を増加していく取組みとか、契約の健全化とか、そういったことについても取組をしてきているところでございます。
 これについては、特に今年の春に閣議決定をされました制度及び組織の見直しの基本方針の中で、統合の方向が打ち出されてございます。産業技術総合研究所及び経済産業研究所と統合する。ターゲットデートとしては平成26年4月から新しい組織としてスタートすることを念頭に置いた形での閣議決定がなされてございます。今、申し上げたような背景の下に、次の中期目標、中期計画の中での大きな柱として、事業の重点化、それから組織・業務の見直しについて下のところにまとめてございます。事業の重点化につきましては大きく二つの柱。一つは社会基盤としてのITの安全性・信頼性の向上。二つ目の柱といたしまして、高度IT人材の育成ということで社会基盤の形成、イノベーションのためのIT人材の育成を掲げてございます。
 一つ目の柱の中で、情報セキュリティ対策については、さらに新たな脅威、攻撃する側も非常に高度化しております、それに迅速に対応するということで強化してまいりたいと考えておりますし、2番目に社会全体を支える情報処理システムの信頼性向上に向けた取組を推進していくこと、それからITの使われ方は今や完全にグローバル化しております、そういうことを踏まえて、国際的な制度の協調とか、国際的に整合性のあるような形のもの、あるいは様々な主体で持たれている情報が統合されて、社会全体として有機的に活用されていくようなことを踏まえた標準的な技術基盤を形成していくという役割を3番目の柱としてございます。それらに取り組んでいくということでございまして、最後、右側のところの組織・業務の見直しでございますが、先ほど御説明いたしました他の2法人との統合の問題については続いて取り組んでいくということと、それからその他業務全般に関する見直しといたしましては、5項目掲げております。このうち最初の4項目は従来の中期目標の中にも掲げられていたものでございますが、更にIPAの役割の重要性というか、特にITが全ての国民あるいは全ての組織になくてはならないものになってきたということで、全ての人がある意味でプレーヤーであるということを踏まえて、広報戦略も強化して、よりIPAの事業の成果が幅広く国民に浸透していくことにも意識的に取り組んでいきたいと思っている次第でございます。
 以上、簡単でございますが、次期の中期目標に向けた考え方の当初案のポイントの御説明でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、質問を委員の方からお願いいたします。
【鈴木臨時委員】  私どものワーキング・グループに対して、質問の御回答とか資料の請求に対しまして御協力いただきまして、ありがとうございました。
 見直し当初案を見せていただいて、今も御説明いただいたわけですけれども、私どもとしては見ておりますと、平成20年度と平成24年度の見直し案とは、ちょっと形式が変わっただけで中身はそれほど変わっていないのではないかということで、要するにもっと具体的に、それではどういうふうに見直そうという努力をなさろうとしているのかというところが、この資料からはなかなか分かりづらいと感じています。何回か御質問等、あるいは資料要求をしたと思うのですけれども、回答等を頂いたところもありますが、回答を頂いていないものもありますので、まだこちらは理解ができていないという状況です。まず一つは、具体的な目標とか水準が示されていないと私どもは感じているのですけれども、それについてはどうかということが1点と、もう1点は、やはりそうなってきますと、もともと頂いた資料等を見せていただきますと、確かにIPAと関わるようなセキュリティ対策は、防衛省とか警察庁、総務省、経済産業省ですか、そういう各省庁の所管で行われているわけですけれども、そこでIPAがどういう独法のミッションとして行おうとしているのかということ、すなわちそれは必要性ということになるのですけれども、それについて具体的な内容等からこの次の中期目標期間についてそれを理解しよう、認識しようというところで、私どもはそれを感じられないものですから、それは当然統合との問題もあるのですけれども、その辺の方向性等についてもう少し具体的に御説明いただきたいと思うのですが。
【江口課長】  それでは、情報処理振興課長の江口でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、1点目の中身がさほど変わっていないのではないかという御指摘でございます。もちろん、第2期の中期計画期間とこれからの中期計画、5年を想定するものかと思いますけれども、その中で大きな社会的な環境の変化があるかという点を見た場合に、やはりこれまでもセキュリティですとか重要インフラをはじめとするシステムの信頼性の向上ということで取り組んでおり、その点につきまして大きな変更はないと。セキュリティ等々につきましては、ますます脅威が高度化している、複雑化するということがありますので、それに適切に対応していくのが重要である点などは付け加わってきているということでございますけれども、そういう点については、そもそものシステムの信頼性等々を向上させていく、社会システム全体を向上させていくという観点においては、大きな環境変化と、大きなといいますか、基本たるものは大きく変わりないという認識にございます。そのような観点から、事業につきましては、従来、これまでもその時代に応じまして民間でできるものは民間で実施していただくということで、既に一部の事業については廃止する等々を行っておりますけれども、IPAでなければできないような事業、民間ということではなく中立的な機関、国に準ずる機関という形として実施すべき事項に特化して実施してきたところでございまして、第3期におきましてもそのような観点から事業を進めていきたいというものでございます。
 また、今回、特に広報戦略の強化については、新たに組織・業務の見直しという中に記載をさせていただいております。この点につきましては、特にIPAの成果、様々な情報発信等々をしていますけれども、その成果がどのように活用できたのか、ガイドラインですとか対策のツール等々を提供しておりますけれども、不幸にも民間企業が攻撃されるとか、さらには一般のユーザーが被害を受ける、さらには政府機関も含めて様々な攻撃を受けるということも起きてきております。被害、情報漏えい等の一部被害も報道されているところでございます。きちんとIPAの成果を活用していただければそのような中でも防げたというものも中にはあるというのも現状でございます。そのような観点から、この成果の活用、リーチをしていくという点については更に強化してやっていくべき事項ということで、今回、このような形で掲げさせていただいたものでございます。
 また、2点目といたしまして、他の機関等々でも様々な取組がございます。そういう意味では、経済産業省として、産業界、さらには個人も対象とした情報セキュリティ等々の対策を行ってきているところでございます。そのような観点からは、そのような対象の方々からの情報の提供というようなもの、さらには、最新の技術の動向の調査を踏まえて、様々な情報発信等々をしていくことをミッションの一つということでやらせていただいているところでございます。
 もちろん、警察ですとか、その他総務省、防衛省等々、セキュリティについて言えば実施をしているところがございますけれども、これは一つの機関に全ての情報が集まるということではございません。例えば防衛省の情報について、我々が直接この中で集めていくことはできませんけれども、それぞれが収集した情報を相互に交換していく、協議していく、連携していくというのが非常に重要であるという観点から、それぞれの役割に応じたものということで収集した情報、さらには対策の情報、新しい技術の情報等々につきまして情報交換を実施していくのが重要だということで取り組みを進めさせていただきたいと考えているところでございます。
 そのような観点から関係省庁とも議論させていただいているところでございます。
【鈴木臨時委員】  お話としてはわかるのですけれども、私どもとしては、要するに業務目標等あるいは水準だとか、具体的な手法だとか、そういうものをある程度示していただかなければなかなか理解できませんという意味でお話をしているのですが、これはほかにも関係することがございますから、これ以上のことは結構です。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かありますでしょうか。
【瀬川臨時委員】  今のお話とも少し関連するのですけれども、やはり具体的な点を分かりやすく説明していただくというのは非常に大事だと思います。これまでの第2期における取組の中で、左から順番に、安全性向上、信頼性向上と二つあるのですけれども、これは今後の業務の見直しの方向性のところにまとめてありますが、いずれも(1)の中に安全性、信頼性という形でまとまっているわけでして、これは別に消えているわけではありませんよね。
 それから、IT人材育成の戦略的推進というのは、第2項目にやはり高度IT人材の育成というのがそのまま残っていて、あと、業務の効率化についても、そのまま真下に見直しということで書いてあるわけですから、項目としてはどこが変わっているのか分かりにくい。具体的にどこを重点化しているのか、もう少し簡潔にお答えいただけますか。
【江口課長】  そういう意味では、先ほども申し上げましたとおり、やるべき事項につきましては、そもそもIPAはシステムの安全性とか信頼性の向上をミッションにしておりますので、この項目自体についての変更はもちろんございません。その中で様々な対応をしていかないといけないという点については、中身については具体的なやるべき事項・事業についても大筋の方向としては大きな変更はございませんけれども、個別の事業ベースについて言うと一部見直していかないといけない部分はあるという認識でございます。
【瀬川臨時委員】  そうすると、重点化というのは個別の事業を重点化して見直していくという意味で捉えたらよろしいですか。
【江口課長】  基本的にはそのようにお考えいただいて結構かと思います。具体的にどのようなことをやるかにつきましては、本日お配りさせていただいている文書ベースの資料に記載しておりますけれども、そのような点について重点項目化してやっていくと理解いただければと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかに御質問ございますか。
 岡本委員、どうぞ。
【岡本臨時委員】  今のお話に関連いたしますが、経済産業省の政策として、現状、この第2期におけるIPAの掲げておられた基本の方向性、先ほどから出てきます信頼性ないしは安全性の向上に対しては十分役目を果たしていて、それは基本的に変える必要はないと認識されていらっしゃるのですね。
【江口課長】  はい。
【岡本臨時委員】  他方、我々がちょっと聞くと、IPAなんて必要ないのではないかという議論も聞こえてくるのです。これはどうしてでしょう。IPAの存在価値はどこにあるのでしょうかということを、単刀直入に申し上げると、そういうことは必要なのではないかということを言う人たちもいらっしゃる。産業界において、あるいはこのIT業界において。そこは経済産業省のお耳に入っていますか。
【江口課長】  そのような御指摘があると、私自身、直接面と向かってそのようなことを言われたことは残念ながらないです。
【岡本臨時委員】  ちょっと話は変わりますが、例えばIT人材の育成はIPAがやるべきことなのでしょうか。
【江口課長】  そのような意味でいきますと、IT人材の育成といっても、例えば教育をそのままやっているかどうかということについては、教育を自らやっているわけではございません。そのような中で、例えば先ほども御紹介させていただきましたとおり、IT人材に求められるスキル、そもそもIT人材といいましても、プログラムを書くとか、ユーザーとして使っていく、さらに組み込み系のシステム開発をする、様々な職種の方々がいらっしゃいます。そのような方々に求められるスキルはどのようなものなのか、最先端の技術はどのようなものを習得しておくべきなのかということについて整理をして、ガイドとして提供していくという作業をさせていただいているところでございます。その点につきましては、必要かと理解しております。
【岡本臨時委員】  大変失礼な言い方なのかもしれませんが、手取り足取り人材育成しなければいけない業界には思えないのですけれども。
【江口課長】  全ての教育をしているという意味、まだやっていないという意味では、手取り足取りまでやっているかどうかというのはあれですけれども、このIT業界の、特にベンダー、ユーザーもそうですけれども、大企業ばかりではございません。ITを使うという観点から、中小企業も多くあります。どこまで、手取り足取りやる必要がないと言われているかにつきましてはちょっと意見が食い違うところがあるかもしれませんけれども、我々は最後のところまで手取り足取り教育ということではなくて、そのような事業者の方々に使ってもらえるものとして提供するという意味で、その点までは必要ではないかと考えているところでございます。
【岡本臨時委員】  申し上げたいことは、IPAとしてやるべきことはもっとあるのではないかということです。先ほど課長がいろいろな情報を集め、経済産業省ないしはIPAだけで全部集められるわけではなくて、ハブとかおっしゃったように聞こえましたけれども、こういうセキュリティ対策はもちろん重要だし、信頼性向上ももちろん重要だと思っています。そのときにIPAとして日本国のためにやるべきことはこういうもろもろのことをやるのではなくて、本当に必要なセキュリティ対策をやったということを言えれば、なるほど、IPAがあることによってこれだけ被害が少なくなったというようなことをもっと打ち出されて、そういう方向を示すことによって、IPAの存在をもっと広めていくべきだと思うのです。
 他方で、逆にいろいろなことをやっていらっしゃるのだけれども、どれが成果なのかよく分からない。確かに環境の変化においては、IPAを取り巻く環境のところに書いてあるようなこと、ITの重要性はそのとおりだと思うけれども、IPAがこのままだとすれば、そこに貢献できるようには思えないのです。従来からやっていらっしゃることを、組み替えられて次の5年間をやっていこうと。それはだってIPAのやっている基本的な方向性はそのとおりだから。だけど、基本的な方向性においてIPAがすばらしいねということを説得力を持って出さないと、我々のところには伝わってこない。そういうものを経済産業省でもし考えられていらっしゃるのだとすると、IPAはこんなにすばらしい成果を出しているということをもっと訴えなければいけないし、それをこの環境変化にもおいて、次はこういうふうに展開していくということをもっと訴えなければいけないにもかかわらず、同じようなことをもう1回やりますというのであれば、これは説得力がないかなと。
 他方で、いろいろなIT関係のプレーヤーを見ると、いろいろなところにいらっしゃる。これは全部分かりませんね、確かに経済産業省が所管されているところだけでは無理なのかもしれないけれども、IT全体の所管省庁の一つとして、やはり推進力を持ってやっていくべきだろうと私も思います。そのときに、何かIPAの使い方が違うのではないかなと思います。これはあくまでも意見なので、政策的にはそう思わないと言ったらそのとおりだと思いますので、単に意見だと聞いていただきたいのですが、IPAが存在し続けるのであれば、IPAがもっと特化してやるべきことはいっぱいあると思いますが、そこにもっと旗を掲げて、5年間の目標を出されて、しっかりやっていくという説得力のある、あるいはアピール力のあるペーパーを出されたほうがはるかに見直しの方向性に沿っているように私は思います。
【三又課長】  貴重な御意見をありがとうございます。今おっしゃった御指摘の根本のところはエールを送っていただいているというか、むしろ非常に期待していただいていることから来た御指摘だと受け止めさせていただいて、我々あるいはIPA自身がまだ至らないところが今の先生の御意見からすればあると思いますけれども、努力してまいりたいと思います。十分踏まえて対応してまいりたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。
【岡本臨時委員】  では、もう1点。私はどうかなと思っているのですけれども、IPAが産総研と経産研と統合すると。IT業界の振興においてどういう理由がありますか。これは決められたものだからということなのかもしれませんけれども、おっしゃっていることと組織の見直しの方向性がどうも一致しない。産総研と統合して研究機関になられるのですか。あるいは経産研と統合して何をシナジーとして出されるつもりなのか。これはむしろ政府の決めたことなので、経済産業省は立場上もっと説明しなければいけないのですよね。だから、そういうことが全然見えない中で、また次も同じようにやります、そのうちの一つがこの統合ですと言われても、これはちょっと納得できないだろうという気持ちになってしまいます。
【平井課長】  ここは原局のほうからなかなか答えにくいでしょうから、少なくとも一つだけ申し上げますと、これは決められたことでございます。そこだけは申し上げます。その上で、どのようなシナジーを出そうかということについての御説明を。
【江口課長】  どうシナジーを出すのかと。昨年の様々な議論の中でも研究機関との統合はなかなかなじまないのではないかという話で我々も主張させていただいていたところですが、結論としてこのような形になりました。そのような観点から見た場合に、まさしくどのようなシナジーが出せるのだろうか、例えばそのことも考えていきますと、やはり、例えばセキュリティについて言いますと、最近の攻撃の状況なんかを分析したり、さらに将来的なものを予測したりした上で、どのような技術開発が重要なのかということなどにつなげて、実際の研究も今後は同じ機関として実施できるとかいうような点などについても一つのシナジーとして発揮できるのではないかというようなことを考えています。また、経済産業研究所とのシナジーについても、別のようなものもあると認識しておりまして、その辺については現在、対外的にも御理解いただけるような、シナジーを満たせるような体制作り等々を含めて、並行して検討させていただいているところで御説明させていただければと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかによろしゅうございますか。鈴木委員、どうぞ。
【鈴木臨時委員】  一つだけ。時間になってしまったので、かなり認識が違うということがあるように思いますし、まだこちらで頂いた情報等、あるいはまだこれから頂く情報もあると思いますので、今後、我々もワーキング・グループでさらに検討いたしますので、その際、またヒアリング等でお願いしたいと思いますので、それはよろしくお願いしたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。昭和40年代後半に前身の組織ができたときに、世の中では何が言われていたかというと、昔は自動車、これからITだといって、通商産業省が大きなミッションを持ってやりました。そのときの環境と今は全く違いますよね。そういった全く違う世界観の中で、何年間も同じようなミッションを抱えてやっていますというのはどうも納得がいかないということです。決められたこと、それは仕方がないのかもしれませんが、シナジーが本当に発揮できるような組織論が議論できるのか。これは大変大きな疑問です。しかも官庁からの出向者や民間からの出向者に加え、非常勤職員の組合せ業務が行われているが、ここで本当に良い人材が集まりますか。世界におけるセキュリティのハーモナイゼーションを考えていくときに、発言力を持った組織に本当にできるのですかと。これは組織論の問題だと思います。こういった根本的な議論、決められたのだけれども、主務省としてどう組織論を考えていくのか。これは本当に汗を流して、客観的、合理的に皆さんが理解できるような回答を出すべきだと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
 それでは、時間の都合もありますので、情報処理推進機構については、これで一旦議論を打ち切らせていただきます。
 本日は御説明いただきました皆さんにおかれましては、御多用中、御協力いただきまして、ありがとうございました。
 先ほど鈴木主査からもございましたが、またワーキング・グループでの再度のヒアリングをお願いするのだろうと思いますので、その際には御対応を何とぞよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

( 説明者等入替え )

【阿曽沼分科会長】  それでは続きまして、石油天然ガス・金属鉱物資源機構につきまして、安藤資源エネルギー庁資源・燃料部長から御説明いただきます。5分間程度でよろしくお願いいたします。
【安藤部長】  資源エネルギー庁、安藤と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、手短に石油天然ガス・金属鉱物資源機構、これは私ども、JOGMECと呼んでおりますので、JOGMECという略称で御説明申し上げたいと思います。大きく分けまして、上にございますが、開発支援という業務と、資源備蓄、それとウエートとしては小さいのですけれども、鉱害防止支援といった三つの大きな業務を行わせていただいております。
 開発支援は、御案内のとおり、石油天然ガス、まさに名称にございますように、金属鉱物資源を含みまして、いわゆる資源の探査、開発業務を行っていると。正確に申し上げますと、民間事業者が主体として行うそういった開発業務を、側面から支援させていただくということでございます。様々な形でのリスクマネー供給ということで、出資、融資、債務保証といったような業務を行わせていただいております。また、それを前提といたしまして、様々な資源国との間での関係強化、技術開発関係、さらに資源開発の現場が海洋ということもございまして、海洋調査等々行っております。
 資源備蓄と申しますのは、いわゆる石油を中心といたします中東危機を想定するような資源、石油の備蓄業務の実際運営を行っておりますのがJOGMECでございます。併せまして、近年重要になってきておりますのが、いわゆるレアアース、レアメタルといったような希少金属でございまして、こういったようなものにつきましても備蓄業務を順次拡大させていただいているということでございます。
 鉱害防止支援につきましては、国内の休廃止鉱山等々におけます様々な近辺の鉱害について、自治体と協力させていただきながら防止を行っているという業務でございます。
 「JOGMECを取り巻く最近の状況」ということで、原発停止、災害対策の重要性ということで、東日本大震災に発生した事象がJOGMECにも大変大きな使命を更に与えているというのが私どもの認識でございます。ここにございますとおり、御案内のとおり、原発停止下におけます資源・燃料高、化石燃料の高騰によりまして、日本全体の経常収支が非常に構造的に厳しい状況になってきております。これまでの量の確保に加えまして、いわば調達コストの低廉化を図っていくということから、御案内かもしれませんが、シェールガスというものが今注目されておりますけれども、北米におけます価格体系のかなり安いシェールガスをいかに早く、いかに効率的にこれから日本が確保していくのか。そういう意味におきますJOGMECの役割が重要になってきているという認識でございます。
 それと、やや毛色が違いますが、再生可能エネルギーの重要性は御案内のとおりでございますけれども、その中に地熱というものがございます。これは現実問題、10年以上、実際の開発が滞っていたわけでございますけれども、いわゆるベース電源ということで、天候に左右されない唯一の再生可能エネルギーといえると思っております。これを、これから自然公園の中で、規制緩和を行っていただいて、開発業務に入っていくわけでございますけれども、最初に申し上げました様々な化石燃料の探査、開発行為と非常に親和性のある事業でございまして、後ほど申し上げますが、地熱の業務を、既にお聞きになられたNEDOから今回、移管をするということで、法改正を行わせていただいて、地熱の開発業務をJOGMECで一貫して行わせていただこうという体系にさせていただいております。
 災害対策ということで、御案内のとおり、東日本の場合にはガソリン供給を含めまして、被災地の皆さん方に大変御迷惑をお掛けしたわけでございますけれども、これを教訓といたしまして、様々な石油関係のサプライチェーンの維持・強化、あるいは備蓄の放出の弾力化といったことの法改正を行わせていただきました。これも現実の実際の業務の遂行に当たってJOGMECの役割が一段と強化されたという認識でございます。
 方向性ということでございますけれども、今、申し上げた点とかなり重複しますけれども、とりわけ資源確保戦略ということで、この6月に新たな見直しをさせていただきまして、今申し上げましたような量の確保に加えた低廉化した資源開発を行っていこうという点。それと、非常に掘りやすい部分の石油・ガスがだんだん減ってきているというのが現状でございまして、ある種、これまで未開拓の領域でありましたロシアを中心としたエリアとか、あるいは北極圏、アフリカといったようなところ、様々な新しいフロンティアがございます、こういったところをどう取り組んでいくのかというところ。それと、ユーザー企業を含めたということで、レアアース、レアメタルを中心といたしまして、いわゆる製造業に開発業務に積極的に参加していただこうということでございます。こういったものを側面から支援させていただきたいと思っております。こと、新しい体系のもとでサプライチェーンの強化策を講ずるに当たりまして、JOGMECが様々な支援を行わせていただくということでございます。合わせまして、LPGというものがございまして、これは日本の世帯の半分がプロパンガスを使わせていただいています、これも中東依存の非常に高いガスでございまして、ここにございますように、国家備蓄体制のいよいよ最終的な段階に入ってまいります。これを是非完成させたいということでございます。
 それと、先ほど申し上げました地熱に加えまして、石炭の海外における開発業務もこれまでNEDOが行ってきておりましたが、これも親和性があるということで、JOGMECに今回法改正の一環として業務を移管いたしました。それから海洋ということで、一言申し上げますと、いわゆるメタンハイドレートという日本の近海にあります、これはいわゆる天然ガスでございます、それと海底熱水鉱床、コバルトリッチクラストという有用金属資源が海底に相当量あることがわかっております。これをどう経済性を持った形で引き揚げられるのかどうか。現在、海洋基本計画の見直しが今年行われることになっておりまして、こういった中で商業化に向けての技術開発をより一層強めていく必要があるといった課題等でございます。合わせまして、横断的な意味でのリスク管理能力強化あるいは業務運営の効率化につきましては第2期と同様、あるいはそれ以上にしっかりとやっていくということで考えさせていただいております。
 とりあえず、説明は以上で終了させていただきます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。今、御説明いただきましたJOGMECの見直し当初案につきまして、御質問ございましたら、委員の方からどうぞお願いいたします。
 鈴木主査、どうぞ。
【鈴木臨時委員】  私どもワーキング・グループに対して、いろいろな資料とか協力をいただきまして、ありがとうございました。
 いろいろと資料等を見せていただいているのですけれども、確かにリスクマネー供給業務、そして地質構造調査、これは非常に重要な業務であることは私どもも分かっていますし、また、リスクマネーだということも分かっておりますけれども、やはりそのプロジェクトによって成功することが本来目的であろうと思うのです。したがって、成功しているのかどうかということについてのやはり評価とか、あるいは目標指標ですね、そういうものをきちんと設定していただいて、それを積極的に情報開示していただくことが重要ではないかと思っているわけですけれども、必ずしもいただいた資料等から成功あるいは失敗事例とかそういうものについての評価、あるいは目標や指標の実施状況・成果が情報開示で、全部出さなければいけないということではないですけれども、評価委員会とか、少なくとも私どもについてはお見せいただきたいと思っているのですけれども、そういう点についてどうかということが一つです。当然、成功か失敗かと、別に失敗することがいけないということではないのですけれども、そこできちんと重要なことは評価しなくてはいけないということで、業務方法書の第4条第2項には、きちんと機構が公正かつ透明な業務運営を確保しなくてはいけないと言っているわけです。したがって、そこにはきちんとリスクマネーの供給についての合理性あるいは透明性について、まず出すときの措置と、そしてその結果としての評価がどうなのか。主務省の評価委員会等の中身を見せていただいたり、あるいは別に業務評価委員会というものもあるようですけれども、そういうものの資料を見せていただいたりしているわけですけれども、そこがきちんと評価がなされているのかどうか。これはまだ私どもは完全に理解していない、認識できない状況にあるということで、この2点について、お聞きしたいのですが。
【安藤部長】  よろしゅうございますか。ありがとうございます。大変大事な御指摘だと思います。今日、くどくど申し上げる御時間もございませんので、後ほどさらに今の御指摘をいただきまして、必要な資料については追加でぜひ御提出させていただきたいと思います。
 総論的に申し上げますと、御指摘はごもっともと申しましょうか、おっしゃるとおりだと思っております。ただ、一つ、二つ申し上げますと、成功事例はまだ良いのかもしれませんけれども、失敗事例についてはものによるかもしれませんが、御案内のとおり、各国ともどういった資源を狙っているのか等々については非常に高度な政治判断あるいは国際商品市況に与える影響等々、これはものによると思いますけれども、非常に機微に触れる情報がございます。こういったものをどこまで出せるかどうかというのは、案件のそれぞれの特性に応じてということだと思いますけれども、今おっしゃったような意味で、一体どういう案件があって、どういう成果を生んだのかどうかということについては、可能な限り開示していく必要があると思っております。
 それと、評価の案件ごとのお話の前に、どういう基準でもって案件の採択をしているかということにつきましては、別途ホームページを含めまして公開をさせていただいているお話がございます。そういったものに基づいて、個別案件事例といたしましても、今おっしゃったようなことを背景としたような形で、可能なものについてはできるだけ出していきたいと思っております。
 今申し上げました案件の採択の基準等々含めまして御提出できるものについては追加でお示しさせていただきたいと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かありますでしょうか。
 岡本委員、どうぞ。
【岡本臨時委員】  今の関連で、是非お願いしたいと思っていますのは、これは全く意見ですが、今の現行のJOGMECの中期目標にこういう記述があるのです。国民に対して提供するサービスの質の向上という項目の中に、石油天然ガス開発支援という項目があって、そのサブ項目として首脳閣僚資源外交の支援強化、機構トップによる資源外交強化という表題が書いてある項目があって、その中の具体的な記述としまして、主要国営石油会社等との定期的トップ会談を実施し、協力枠組みを構築すると書いてあって、その次に具体的協力事業の実施に努めるというようなことが書いてあって、定量目標が書いてあると。我々の意見は、確かに首脳外交、閣僚外交に協力するということを否定しているわけではないですが、それは外交当局にやってもらえればいい話であって、JOGMECがやるべきことは、それを通じていかに資源の探鉱・開発を成功するかということなので、具体的に言えば、できれば中期目標にそこまで書いてくださいということを申し上げている。それはおそらく難しい問題が一杯おありになると思いますが、なぜJOGMECが必要なのかということを、国民が見た場合に、首脳外交に協力することであると誰も思わないわけです。それはやはり石油を掘っていただいて、鉱物を掘っていただいて、成功して、日本のそういう資源の確保に努めることが必要だからこそ、JOGMECがあると。であるならば、難しいことはよく分かりますが、そこを具体的に書かないと、周りを一生懸命かいてもらって、一番かゆいところはかいていないという状況にならないように、次期中期目標において、あるいは次期中期計画においては。それは定量目標を書けと言っているのではなくて、どういう活動をJOGMECがやっていらっしゃるかということを主張するためにおいても、そこは是非書いていただきたいという意見です。
【安藤部長】  よろしゅうございますか。大変ありがとうございます。
 まず、おっしゃる御趣旨はよくわかりますが、一つだけ申し上げたいのは、各国がどういう資源外交を現実に行っているのかということで申し上げると、例えば中国は、国と企業がいわば一体になった形で行っているということでございます。それと、メジャーという存在が各国ございます。これは政府とは別の組織でございますけれども、御案内のとおり、様々な歴史的な背景がございまして、いわゆるエクソン、シェル、BPといった会社、御案内のとおり、日本の探査会社、探鉱会社、資源会社と比べますと、単純に、どういう指標をとって規模を比較するのかによりますけれども、大体2桁から3桁くらい、様々な意味で、投資金額、利益等々が異なる大変なジャイアントがいるわけでございます。こういったところとどういう形で現実の資源競争の獲得の中で戦っていかなければいけないのか。こういった点を考えますと、もちろん首脳外交、それぞれ閣僚外交は大事でございますけれども、JOGMECが相手国のそれぞれ政治の中心の人たちから見て、もちろん国によりまして、あるいは資源の種類によりますけれども、かなり強力な母体として認識されているという現実は、これまでの歴史の積み重ねでございます。したがって、そういう面におきまして、外交でちゃらちゃらしていろということで行っているわけではございませんけれども、相手国から要求されるものは、やはり資源探査に係る技術であると。それと権益を交換しましょうといったような話がいろいろあるわけでございます。こういったものについては是非御理解いただきたいと思います。
 その上で、今、先生がおっしゃったような中期目標の中に、周辺ではなくて真ん中をかけというのはおっしゃるとおりだと思いますので、今おっしゃったみたいに定量的に書けるかどうか、精査をさせていただきたいと思いますけれども、国民の皆さんに一体どういう活動を本当にやっているのかということについて御理解を極力いただくために、分かりやすい実際の活動については、極力第3期の目標の中には書く必要があると思わせていただきました。
【岡本臨時委員】  是非よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。
 瀬川委員、どうぞ。
【瀬川臨時委員】  先ほど、NEDOから地熱の事業について移管をされるということを伺いました。一つお伺いしたいのは、いくら掘る事業とはいえ、やはり地熱というのは最終的に発電事業までつなげるというところが非常に大事なところなので、まだ移管されたばかりで体制は整っていないかとは思うのですが、次期の中期目標に向けて、具体的に発電事業につなげるような道筋をどういうふうに考えておられるのか、簡潔にお願いします。
【安藤部長】  まさにおっしゃるとおり、これまで10年以上封印されていたもの、まず規制緩和を今回環境省と一緒に行いまして、自然公園の中におきまして、第二種、第三種特別地域というのがございます。ここに垂直で掘っていくことを個別の案件ごとに認めようではないかという御議論になっております。既に予備軍といたしまして有望な地域が5カ所ございます。ただ、先生、御案内かと思いますけれども、発電事業は大体構想をして立地拠点を決めてから運転開始まで約10年も掛かります。そのうち、いわゆる環境アセスメントの議論に4年近く掛かります。御案内のとおり、今、一連の火力等々の見直し議論の中に、アセスメントの短縮化という御議論がございまして、これは細野環境大臣も大変御理解いただいているわけでございますが、今、そこに地熱の業務を加えて、地熱のアセスメントも加えて、これをおおむね半減に短縮しようではないかという御議論がございます。こういったことを含めて、できるだけ時間軸を短くしていきたいと思っております。
 そういう中で、さらにもう一つ申し上げることは、非常に難しいのは地元の御理解を得ることです。特に温泉、自然環境の皆さん方を含めた地元の御理解がございます。これを今鋭意、私どもと環境省で一緒にやりながら、これはJOGMECに任せるというよりも私どもが出ていかないとできませんので、今、そういう段階でございます。
 結論があるようでないようで申しわけないのですけれども、まず有望地域が五、六カ所ございますので、これについては何とか次の中期計画の中で、発電まで行くのはなかなか難しいかもしれませんけれども、かなりの進展のところにはぜひ持っていきたいと思っております。
【瀬川臨時委員】  今の話を伺っていると、おそらく環境省も含めて経済産業省のかなり強力なサポートがないと、JOGMEC単体としてはなかなか難しいということですか。
【安藤部長】  おっしゃるとおりであります。
【瀬川臨時委員】  JOGMECの中のほかの大きな事業に比べて、やはり地熱はまだまだ小さいかと思いますので、埋没しないように、是非よろしくお願いします。
【安藤部長】  大変大事なお話で、今、重要な前さばき部分は政府が直接出ていって、地元の皆さん方と膝詰めで御理解を得るようにやっている。それと、発電事業そのものはJOGMECはやりません。これは電力会社等々含めて、プロにやらせますので、探査、探鉱の部分、地熱の開発の部分をJOGMECが責任を持ってやるということでやらせていただきたいと思っております。
【阿曽沼分科会長】  ほかに御質問はございませんか。
 鈴木主査、どうぞ。
【鈴木臨時委員】  備蓄事業について一つお聞きしたいのですけれども、今、一般競争入札を導入して、条件の緩和といいますか、門戸を広げていこうということなのですけれども、実際に業務を実施可能な事業者というのはどれくらいいるかということは既に調査していらっしゃると思うので、それを教えていただきたいと思います。また、そういう門戸開放をして、今現在、入札を行っているわけですね。それによってどういう効果が出てきているのか、教えていただきたいと思います。
【浦田企画官】  国家石油備蓄の管理委託に関する御質問でございますけれども、入札参加資格を有する企業の数は、従来26社、25社程度と考えておりました。これについては、入札参加要件を見直すということで作業をしておりまして、この結果、37社程度に増加する見込みでございます。
【鈴木臨時委員】  そういう効果が出てきたということですか。
 そのときに、今、総合評価でやっておられるわけですけれども、価格点と技術点は2対1ですよね。1対1でも良いのですけれども、という形ですよね。その三十何社が増えてくるということは、技術はもちろん大事だ、リスクもありますし、それは分かるのだけれども、広げるためには1対2より価格点のウェイトを上げるなど、競争が入りやすい形というのは考えられないのでしょうか。
【青木課長補佐】  今のところ、入札参加要件を緩和するに当たって、入札しようとする者の条件として、石油貯蔵施設をある一定以上のものを持ち、石油受払施設、バースですけれども、そういったものも一定の規模以上のものを持っていて、3年間以上経験している者に条件をしていたのですけれども、それを更に緩和して、先ほど申し上げたように十数社が参加するようにしておりまして、大量の危険物を扱うということで、とりあえずはぎりぎりの緩和要件としてそういうものを認めたと考えております。
【鈴木臨時委員】  分かりました。更に検討して、また御質問するかもしれません。
【安藤部長】  今おっしゃったのは、技術面というか物理的な能力と、価格のウエートの問題。今、私どもが申し上げたのは物理的な能力面についての条件の垣根を下げたということで申し上げましたけれども、今おっしゃったのは、価格の要素をもっと高めて判断しろという御趣旨だと思います。
【鈴木臨時委員】  総合評価ですので、技術点のところで評価していくと、やはり経験者とか、ある一定の規模のところが有利になってしまうのではないかなと。そうすると今までと変わらないのではないかなと危惧がありますので。
【安藤部長】  ありがとうございます。御指摘いただいて、今後、検討させていただきたいと思います。ただ、今申し上げましたように、いざというときに相当迅速に危険物の出荷等々行う必要がございますので、そこの技術の重要性は是非御理解を賜れればと思います。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 資源開発プロジェクトの成功率等々、評価はなかなか難しいですね。新しいエネルギーとして期待されているシェールガス、環太平洋の地層の中で、どうやって探索をしていくのか。ただ、全てのエネルギーに関しては先達のアウトカムが見えてきているわけでありますから、当然イコールフッティングをしていくためのそれなりの条件付けはあろうかと思いますけれども、イコールフッティングした上でのベンチマークについては、常にできるものは明らかにしていくという努力を是非していっていただきたいと思います。
 それから、委員のいろいろな御指摘を踏まえて、是非当初案の見直しをいただくということをお願いしたいと思います。
 それでは、時間の都合もありますので、JOGMECについてはここで一旦議論を打ち切らせていただきたいと思います。
 御説明いただきました皆さんにおかれましては、御多用中、御協力いただきまして、ありがとうございました。
 当分科会といたしましては、本日の議論なども踏まえて、今後主要な事務及び事業の見直しについて審議を深めてまいりたいと思います。
 時間の関係で十分な質問ができなかった委員もおられると思いますので、後日、事務局を通じて照会をしましたり、また、必要に応じてはワーキング・グループの再度のヒアリングをお願いしたりすることになろうかと思いますが、その際には御対応をよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。
【安藤部長】  貴重な御指摘をありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  御退席いただいて結構でございます。

( 説明者等退席 )

【阿曽沼分科会長】  以上で、本日予定の見直し当初案に関する府省からのヒアリングを終了いたします。長時間、委員の皆様方には大変ありがとうございました。
 最後に事務局からの報告事項がございますので、説明をお願いいたします。
【北川評価監視官】  次回のヒアリングでございますが、来週月曜日13時30分から15時30分を予定しております。1回目の会場の法曹会館2階の高砂の間でございます。総務省と農林水産省、計4法人のヒアリングでございます。よろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 以上をもちまして、分科会終了とさせていただきます。
 本日は、御多用の中、御出席を賜りまして、ありがとうございました。
 

了 

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