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政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会(平成24年10月1日開催)議事録

日時

平成24年10月1日(月)13時30分から15時45分まで

場所

法曹会館 高砂の間(2階)

出席者

(独立行政法人評価分科会所属委員)
阿曽沼元博独立行政法人評価分科会長、田渕雪子委員、浅羽隆史、河野正男、柴忠義、園田智昭、宮内忍、山谷清志の各臨時委員
(総務省)
渡会修官房審議官、北川修評価監視官、竹中一人調査官

議題

  1. 見直し当初案に関する各府省ヒアリング(総務省及び農林水産省)
  2. その他(報告事項等)

配付資料

会議経過

【阿曽沼分科会長】  それでは、時間になりましたので、ただいまから、政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を開会いたします。
 本日は、先週に引き続きまして、今年度の見直し対象法人27法人のうち、総務省所管1法人、及び農水省所管の3法人の見直し当初案に関するヒアリングを行いたいと思います。
 それでは、総務省所管1法人につきまして、ヒアリングを始めさせていただきます。本日は、総務省の田家大臣官房審議官を始め、御担当の方々の御出席をいただいております。
 それでは、見直し当初案の主要なポイントにつきまして、御説明をいただきたいと思います。5分程度でよろしくお願いします。
【田家審議官】  総務省の田家でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元にございます資料1−1、見直し当初案につきまして説明をさせていただきます。
 最初に、統計センターの概要、役割、それから第2中期期目標期間の取組につきまして、補足的に説明をさせていただきます。
 1ページ目の概要につきましては資料のとおりでございますので、説明を省かせていただきます。
 2ページ目の役割につきまして、補足的に説明をさせていただきます。この図は、上半分が政府の統計調査部門、下半分が統計センターの役割を図示したものでございます。統計センターは国勢調査、経済センサス、労働力調査など、国の基幹的な統計調査の製表をコア業務としております。一般に製表とは、この統計作成の流れ図の三つ目の調査票から統計結果を算出する実務という、これを指す言葉でございます。しかしながら、センターのやっております業務というのは、この三つ目の業務だけではなく、左側二つの箱の下側にある製表の企画・設計、それから二つ目の箱の都道府県で行う調査票の検査等の地方統計事務への助言と、そして、最後の右端の箱にあります政府統計共同利用システムによります統計調査結果の公表などを含めまして、実際上、政府の調査部門の指示を日常的に受けながら、調査部門と一体となって業務を行っております。
 三つ目の製表の箱に入っております調査票の受付・入力、分類符号の格付といった業務に、かつては多くの職員を従事させておりましたが、3ページの第2期中期目標期間の取組、実績に書かせていただきましたように、ICTを活用した業務刷新や、これらの業務の民間委託の推進等によりまして業務の効率化・高度化を進め、大幅なスリム化を図ってきたところでございます。
 今時の独立行政法人制度改革におきまして、今後とも一層の効率化を進めていくことによって、国の責任と判断の元で国と密接に連携をし、確実・正確に実施されるべき業務を担う法人としての行政執行法人の位置付けが与えられるとされたところでございまして、そうした位置付けを基にした関連法案が国会に提出されているところでございます。
 次に、4ページ目から5ページ目にかけてでございますが、組織・業務の見直しの基本方針について御説明をいたします。まず、統計を取り巻く状況についての現状認識について述べさせていただきます。統計調査を巡りましては、以前からプライバシー意識の高まり、それからオートロックマンション、単身世帯の増加など、生活様式の変化に伴いまして調査環境の悪化ということが指摘をされてきたところでございますが、今後、より一層の悪化が懸念をされるというふうに考えております。
 一方で、ICT技術高度情報利用社会の発展に伴いまして、統計調査から得られる情報を速やかに、しかも大規模、多量に、あるいは多様なニーズに合わせて利用したいというニーズが高まっていると考えております。
 にもかかわらず、国や地方公共団体は共に行財政事情が非常に厳しいということで、統計の作成・提供のための予算及び人員には大きな制約が掛かっているというふうに考えております。これが現状だと考えております。
 こうしたことから、今後、公的統計が社会の情報基盤としての統計として役割を十分に果たすことができるように、統計センターにも国民からの信頼を確保し得る統計の作成、それから提供により大きな役割を払ってもらうということが必要だというふうに認識をしております。
 以下、こうした現状認識の基で取り組む次期中期目標期間の組織・業務の見直しの基本的な考え方、方向について申し上げます。
 第一に、統計センターの中核的な使命ともいえる国の基幹的な統計調査の製表業務につきまして、正確、確実に、しかもICTの活用や民間委託の一層の推進等による思い切ったスリム化を行いまして、コストを削減しつつ、これを実施することであります。
 次に、引き続き調査票の記入不備等への対応につきまして、製表段階で可能な限りこれを補っていく技術的対応や、実地調査段階における都道府県の調査票検査への支援といった対応を強化するとともに、引き続き政府統計共同利用システムによる情報提供の充実等に取り組むことであります。
 さらに、次期中期目標期間において本格化いたしますビジネスレジスターの作成や、公的データの提供拡大の要請へのシステム面での適切な対応を図ること。それから、新たな統計調査の製表という新規課題にも着実に取り組むということであります。
 最後に、国民から信頼を得る上で何よりも基本と考えております情報セキュリティ対策の徹底に万全を期することであります。
 以上のようなことを基本的な考え方、方向として検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。ただいまの御説明に関しまして御質問がございましたら、どなたからでも結構でございます。御発言をお願いいたします。河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  御説明ありがとうございました。河野でございます。世の中が複雑になるにつれて様々な統計が作成されて、それへの様々な利用があり、それに伴い当センターにも高い期待が寄せられているというふうに考えております。
 しかしながら、先ほど審議官のほうから、にもかかわらずという御発言がありましたが、財政事情が許さぬというようなことで、当センターに対しても思い切った合理化をすることが要請されているということでございます。この要請に基づきまして、合理化、スリム化の行程、計画が検討されていると思いますが、この具体的な内容について、例えば策定の時期や計画期間、あるいは目標、こういうことについて御説明いただきたいというのが1点でございます。
 もう1点ございます。当センターのやるべき業務として、今御説明いただいた当初案についての2ページに、三つ業務が掲げられております。これらの業務に加えて、いろいろな新しい要請があるだろうと思いますが、スリム化・合理化の中でこういう業務を遂行する体制の確立が求められていると思いますが、これについて、つまり内容について御説明いただければと思います。
 とりあえず2点でございます。
【田家審議官】  最初の御質問は、効率化についての計画を具体的にどういうふうに作っていくのかというものかと思います。
 説明の中で申し上げましたように、今時の独立行政法人制度改革において、統計センターは行政執行法人というふうに位置付けをされたと申し上げました。このことは内閣官房のほうともかなり議論いたしまして、実は、民間委託可能な業務の中で、これについては民間委託をすべき業務だというふうになったものは、もう全て民間委託をしていくということでスリム化を図って、行政執行型の業務に集中・純化していくということで行政執行法人という位置付けが与えられたということでございます。
 したがいまして、組織のスリム化・合理化というのはまさに次期中期目標期間における大きなテーマだと考えておるところでございます。今後、どういう製表を行わないといけないかという具体的な製表の予定などを勘案しながら、具体的なスリム化・合理化の計画を、まさに次期中期目標期間において策定というか、次期中期計画において策定をしていこうと考えておるところでございます。
【河野臨時委員】  ただいま、策定をしていきたいという御説明がありましたが、目下のところ、具体的にこういうことを考えていますとかということは、特にないということですか。今のお話ですと、行政執行法人になるので、民間に移すものは民間に移してして、残ったものはきちんとやりますという御説明に聞こえましたが。
【田家審議官】  定性的なものとしては、2ページの製表のところの人員を大幅に合理化していこうというふうに考えております。今でも調査票の、特に分類符号の格付のところにかなりの人員を割いている。実はまだ350人ぐらい人員を割いていると。これを極力合理化していくというふうなことを考えておるところでございます。
 これが第2点目の御質問にも絡んでくるのかなと私は思いましたが、ここの製表部門の合理化を行って、その余力でもって、政府の統計事務の支援とか、あるいは政府統計共同利用システムを利用した提供、あるいは公共データの提供要請への対応、こういったことに振り向けていきたいと考えているところでございます。
【河野臨時委員】  引き続き今の関連で質問させていただきます。
【阿曽沼分科会長】  どうぞ。
【河野臨時委員】  今、民間委託というお話がございました。この点について、製表業務関連で質問させていただきたいと思います。
 民間委託は欠かせないということで、行政執行法人への移行が予定されている中、そこでもできるだけ民間に委託するということなのですが、この民間委託につきまして、製表業務の民間委託の具体的な、こういうふうなときは民間委託しますよという基準とか目標というのがあれば、お教えいただければと思います。
 それからもう1点ですが、民間委託について毎年度の年度計画により実施内容を定めて計画的に実施している、つまり年度計画で実施しているということでありますが、中期目標、あるいは中期計画の中でそういうことをきちんとうたうということはできないのでしょうか。
【田家審議官】  まず、基本的な考え方といたしまして、私どもは民間委託可能な業務についてコストの分析を、やはりやらなければならないと思っているのです。実はオートコーディング等の機械化処理も進んできておりますので、機械化処理のほうがコストは安いというふうなことになれば、これは民間委託する必要もないし、あるいは、期間業務職員の人を任用して、その人たちを日常的に指導しながら業務を遂行していくという方式も、実は並行的にやっているところでございまして、そちらのほうがむしろ経費が安いということになれば、そちらのほうで行くということもあり得ると思っています。
 まず、民間委託可能な業務というもの、これにつきましてそうした検討をしながら、経費を掛けないでやっていくということで、これを毎年度、毎年度検討しながら決めていくというふうなことが必要だろうと思っております。
 というのは、経常3調査の場合は毎年度やることは決まっているわけですけれども、それ以外の周期調査につきましては、製表を実施する直前の年にならないと、どういう業務、製表業務をやるのかというのが決まらないというところがございますので、あらかじめ中期目標期間に定めてしまうというのでしょうか、そういう目標を定めてしまうということができないという面もあるわけですね。
 ですから、基本的な考え方としては、私は今申し上げたような考え方で、毎年度、毎年度よくよく検討しながらそういうのを作っていくというふうなやり方でいきたいと考えているところでございます。
【河野臨時委員】  大筋は理解できるのですが、国の指定業務や一定の決まった指定統計については毎年同じようなことをやるのではないかと予想しています。そういう業務がかなりの割合を占めているというふうに考えますが、そういう中でも毎年度、毎年度検討しないと民間委託するかしないかというのは、なかなか決めにくいということですか。
【田家審議官】  大きな方向性としては、民間委託がかなり可能であり、進められると思ってはいるのですけれども、個々の具体的な業務を本当に民間委託するかどうかというのは、やはり毎年度、毎年度検討して決定していかないといけないと考えております。
【河野臨時委員】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。宮内委員、どうぞ。
【宮内臨時委員】  宮内でございます。
 中期目標で受託が指示されていない受託製表業務が有償で行われるということになっておりますが、この業務は、いわゆる行政執行型の業務に該当するのか、それともこれには該当しないという整理をなさっておられるのか、いずれのお考えになるのでしょうか。
【田家審議官】  受託製表業務はまさに、総務省以外の他省庁の調査部門と一体となって、調査を企画したり製表業務をやりますけれども、そして発表したりするというふうな業務でございますので、これにつきましても行政執行型の業務であると認識をしておるところでございます。
【宮内臨時委員】  もしそのような整理であれば、国勢調査等の製表業務を圧迫しない範囲内において民間委託等も活用し、積極的に多用するというそちら側の考え方というのがおありになるのでしょうか。
【田家審議官】  受託製表業務の中の製表業務というのがもしあれば、それは製表業務の中で民間委託は可能なのだろうと思いますけれども、私どもが言っているのは、従来型の私どもがやってきた製表業務の中の符号格付とかそういう業務を、民間委託等を進めることによって人材リソースを生み出して、それでもって受託製表を可能な限りやっていこうと、こういうことでございます。
 ですから、受託製表をやるときに製表の企画とか発表とかは当然含まれてきます。そこで、私どもが重視しないといけないのは、民間委託が進められる部分は、受託製表する調査でも、それは民間委託が進むのだろうと思うのですが、やはり製表の企画とか都道府県の支援とか、こういったところを重視して、それによって統計の精度を確保していくというのが課題なのだろうなと思っております。
【宮内臨時委員】  今の件については、既に有償の部分については民間委託をしていないというふうに御回答いただいているところなのですが、これについて民間委託できない何らかの支障、隘路といったようなものがおありになるのでしょうか。
【奥田調査官】  基本的に、各省、地方公共団体も含めて、受託製表を受けている部分につきましては、単純な格付作業であるとか集計作業であるとか、データの入力とか、そういった部分ではなくて、いわゆる製表の企画的なところ、どういうふうに審査をしていったら良いのか、そういった部分の、いわゆる行政執行型コア業務というところを主に受注しておりますので、単純なデータのエントリーであるとかそういったものであれば、各府省のほうで外注してやっていただければいいと思うのですけれども、コア業務のほうは主にセンターのほうで受託しておりますので、そういった面からして受託製表を受けている部分については、センターのほうからもう1度外注するということは今までやってきてなかったということでございます。
【宮内臨時委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。河野臨時委員。
【河野臨時委員】  符号格付等の合理化ということとオートコーディングということが考えられているのですが、これに関連して、幾つか質問させていただきたいと思います。
 オートコーディング等の導入により余った資源を受託製表とか、あるいは指定の製表のほうに振り向けるというお話でございますが、自己収入の拡大ということが求められている中、これについて、どういうような体制で拡大していくということを考えておられるのかというのが1点です。
 それから、オートコーディングそのものなのですが、オートコーディングの研究のスケジュールといいますか、計画、あるいは進捗というようなことについて御説明いただければと思います。
 もう一つ、格付率について。前提として正解率というのもある中、格付率については目標設定がされているようですが、資料で見る限りでは正解率については特に目標値がないように思います。正解率については、特に目標を掲げるというようなことはお考えでないのか。
 以上の三つについてお答えいただければと思います。
【田家審議官】  まず、自己収入の拡大にどういうふうに取り組むのかということでございますが、私どもはあくまでも自己収入の拡大を目標にして業務を行うということはしておりません。
 ですが、政府全体として、公共データを社会のために活用してもらうのだという、こういう基本的な方針というのが電子行政オープンデータ戦略の中で方向性が決められております。これは私どもとしても非常に良いことだ、これに積極的に私どもも対応していかないといけないと思っております。
 まさに今、オープンデータ戦略を進めていくための課題の整理、そして手数料を含むいろいろな必要なルール、こういったものを検討しているというところでございますので、私どもとしては、その検討結果を踏まえてやっていくと。そうすれば自己収入が拡大していくことになるのかなというふうに考えておるところでございます。
 それからオートコーディングにつきましては、もうこれは研究段階から実用段階に入っておりまして、一部の製表作業の実務においてオートコーディングを使用しているという状況でございます。
 そして、御指摘のございました正解率というものを中期目標とかで目標としていないというふうなことではございますが、個々の調査の製表業務においては、実は正解率が幾らというふうなことでやっておるところでございますので、御指摘を踏まえて個々の調査において、正解率も目標にしながら今後はやっていくということで、対応してまいりたいと考えておるところでございます。
【河野臨時委員】  はい。ありがとうございました。是非お願いします。
【阿曽沼分科会長】  宮内委員、どうぞ。
【宮内臨時委員】  先ほどの業務のロケーションで、製表業務のところにマンパワーが非常に多く投入されているという御説明が最初にあったかと思います。これとの関係で、恐らく年によって業務の繁閑、忙しいときと暇なときというのがあろうかと思います。余力があるときには受託製表業務を実施していくというふうに考えておられるのかと思いますが、この件に関しては、ここで働く方々の労働制度として変形労働時間制度というようなものがもう既に導入しておられるのでしょうか。
【奥田調査官】  御存知のように、統計調査で大きなものは、例えば国勢調査は5年に1回であったり、ほかの調査も5年周期で行っているところでございまして、業務の閑繁があり、国勢調査の次の年にかなり人数が掛かっておったりというところは、御存知のとおりかと思います。そういった中で、これまでの対応としても民間委託であったり、非常勤の職員の導入というところで、その業務の閑繁に対応してきたところでございますので、正規職員を多くしたり少なくしたりというところではなくて、これまでも考えていた民間委託できる業務のところに非常勤職員を充ててということでカバーしてまいりましたので、今後もそういった方向で、コア業務のほうは職員を充てていって、非常勤的な、民間委託できるところについて民間に出す、ICT化を活用する、また、非常勤を雇ったり派遣を雇ったりする形で対応していくということを考えてございます。常勤職員が増えたり減ったりするということではなくて、常勤職員については当然、スリム化ということですので、年々定員削減という形で対応していくというふうに考えてございます。
【宮内臨時委員】  ということは、まだ常勤職員の方々の中の勤務時間の融通をかけるということは、今のところは考えておられないということでしょうか。
【奥田調査官】  そうですね。常勤職員のほうを、極論すれば、多いときには、超過勤務は当然出てきますけれども、業務が少ないときに週3日勤務であったりというようなことで対応というのは考えておりません。
【宮内臨時委員】  分かりました。
 それから、先ほどのオートコーディングシステムのほかにデータエディティングシステムをされておりますけれども、これの実用化に向けた研究開発についての工程表というか、中期目標期間においてどのように取り組もうとしておられるのか、その辺のところをお話しいただければと思います。
【田家審議官】  データエディティングのほうは実はまだ実用化がされていないということで、研究開発段階にあるということでございます。
 これも具体的な調査項目ごとに研究開発をして、実際に実用化するときにまた目標を立てていくというふうなことなのかなと思っているのですが、まだちょっと実用という段階に入っておりませんので、研究開発段階においては、それぞれの調査、統計調査、調査項目ごとに研究開発していると。その進捗状況について適切に管理をするという観点から、こういう段階に来ているとかそういうことを、目標を設定し、ある場合には公表していくとか、そういうことが必要かなと思っております。
【宮内臨時委員】  研究過程における補完率向上であるとか実用化のめどに関して、定量的な目標設定の検討というのは、まだ進んでおられないということでしょうか。
【田家審議官】  まだそこまで行っておりません。
【宮内臨時委員】  はい。分かりました。
【阿曽沼分科会長】  ほかによろしゅうございますか。
【田渕委員】  資料1−1で、1点確認をさせていただきたいのですけれども、業務運営の効率化で人員の削減についてということで、6.6%削減するという目標達成に向けて着実に削減を実施、と記されています。資料1−2の3ページで、職員数の時系列が載っているのですが、ここを見ると毎年マイナス2.2%から3%、約10人ずつ減っているに過ぎないのですが、この6.6%削減するという目標達成に向けて着実に削減を実施という、この着実というのはどういうところをもって着実と記されているのか。
 民間委託するに際してコスト分析をして、より効率的なほうにというようなお話もあったかと思うのですけれども、民間委託だけが人員削減ではなくて、民間委託すると委託した業務を担当していた職員はどうなるのかといったところもありますし、その6.6%削減するという目標達成に向けてというところが、2.2%でなおかつ非常勤のほうが増えているのですね。先ほど、民間委託できるところは非常勤にというお話があったかと思うのですけれども、むしろ、最も広義の意味での人件費は増えているのではないかとここでは見られるのですが、その辺はどのように分析していらっしゃいますか。
【田家審議官】  6.6%の目標というのは、あくまでも統計センター全体の人員についての目標ということでございまして、そういうふうに、私は製表部門の合理化を一生懸命にやって、ほかの部門に回してきたというふうに申し上げたつもりでございますが、そういう意味での6.6%目標の達成に向けては、統計センター全体として着実な努力をしてきていると認識をしております。
【奥田調査官】  目標のほうは19年度前期の末の定員で893名に対して、そこからの6.6%減ということでございますので、毎年度6.6%減ということではなくて、5年間で6.6%減という形で、毎年10人強の削減で6.6%に達するかと思われます。毎年6.6%ということではございませんので、そこはちょっと数字を確認していただければと思います。
【田渕委員】  要するに、前期中期目標期間の最後からという観点ですね。
【奥田調査官】  そうです。ですので、約60名弱、59名の減ということで6.6%になるかと思うのですけれども、そちらの目標についてはもう達成という形で今、進めております。
【田渕委員】  これは非常勤を含めてのトータルでもですか。
【奥田調査官】  非常勤トータルということでは、人員ということではなくトータルのコストになるかと思うのですけれども、一般管理費、経常経費、こちらのほうで20%以上の減ということを前期末からは達成してございますので、トータルのコストとしては当然減ってきています。
 ただ、先ほどもありましたように、周期調査というのが5年周期で来ていますので、ある年、国勢調査で大きく跳ね上がる、また国勢調査がない年には下がるということで、その上下もございます。年々の比較というのは難しいところではございますが、第1期、第2期の中でのトータルコストということ、そういった5年間のタームで考えても効率化というのを進めてきているというところでございます。
【阿曽沼分科会長】  私のほうから一つ御質問をしますけど、ICTの活用と、それから効率化を図っていく上で、情報を扱う分野では分野ごとの用語とターミノロジーの整理、それからコーディング、タグ付け、そういったことが非常に重要になってくると思うのです。また、データセットをどうやって組んでいくか。これは製表という意味でも、定型的なものと非定型的なものがあり、非定型的なものは大変だというお話なのだろうと思いますけれども、経験から見てくれば、非定型も定型になってくるということになるわけで、そこにおけるミニマムデータセットの設定だとかそういったことというのは、いろいろと議論をされているのでしょうか。
【奥田調査官】  データの提供というところでいきますと、結果表という形で決まったもので公表させていただいている部分、また匿名データという形、個別データの形で、学術研究とか教育目的のところに提供させているところでございます。中間的なセルデータ的なものというのも、今後、当然、提供していかなければいけないと思っておりまして、分科会長がおっしゃったような形で、もう少し加工すれば最終的な自分の必要なデータに達するというようなセルデータ的なもの、いわば加工途中的なデータも、今後、提供できるのではないかということで、統計センターの提供部門のほうでもいろいろ研究をされているところでございます。
 統計法のほうの関係で一般的な統計は当然、提供できますけれども、個別データについては、どこまでが個別データかという部分との議論もございますので……。
【阿曽沼分科会長】  そういう質問ではなくて、データを扱う前提というのがありますね。それはやっぱり用語とターミノロジーをどうやって作っていくか、行動化をどうしていくか、データのタグ付けをどうしていくか、そしてミニマムデータセットをどう作っていくか、それでデータウェアハウスを作ることによって、いわゆる定型・非定型のデータの処理の効率化が上がると言われていますね。そういったいわゆる前提条件、情報システムの前提条件についての研究というのは、統計学的に、もしくは統計情報を扱う意味でどういう研究をされているのかということをちょっとお伺いしたかったのです。
【奥田調査官】  そういった面での研究というのは、まだ着手できてないというところですね。
【阿曽沼分科会長】  この点は、効率化だとかデータを扱う意味での非常に重要なテーマだと思うのですね。そういったことの前提の議論がない中で、例えば数値的にどうだこうだと言っても、本当の意味でのパフォーマンス管理というのはできてこない。例えば、作表業務の非定型的なものでいえば、究極はエンドユーザーコンピューティングですから、本当にデータを必要としている人がそのローデータをきちんと扱えるようにそれをオープンにしていけば、効率化というのは図れるわけですね。当然、そこにはセキュリティの問題だとかリスクとベネフィットというのがありますけれども、それはもう幾らでも議論ができることでありますので、そういった前提なしに効率化というものを議論していても、結局は結論が出てこないのではないかという気がいたします。
 情報というのはデータの側面とインフォメーションの側面とインテリジェンスの側面と、三つの側面があるわけですね。やっぱりデータのギャザリングとデータベース化の在り方、そしてそこから見えてくるものをどう評価して広く知らせるかということ、利用の効率を上げてその意味付けをどうしていくかというのはインテリジェンスの面。それは分析だとか皆さんの知見というものをそこに投影することなのですが、そういった情報を扱うそのものの根本の議論がないと、統計情報というものがより活用できないのではないかと思いますので、そういった研究もされていると思いますけれども、より深くそれをやることが、やはり効率化とかパフォーマンスというものの評価につながっていくのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【田家審議官】  今、分科会長のおっしゃったことを私なりに理解しますと、実は私どものほうでも分類符号を格付けするときの民間委託を進めるに当たって、確かにどっちに格付けをしたらいいのかみたいな曖昧な情報が増えていると。そういう中で、これはやはりこっちに格付けをしようというふうな研究を統計センターで日々やっておりまして、その結果に基づいて格付けもやっているというふうなことなのでございますけれども、確かにおっしゃるように、情報理論の根本からそこを考えてみるというようなことよりは、大体、今までやってきたこととの整合性とか、やってきたことを連続的にやっていくにはこうしたことでよかろうかというふうな研究だったのかなと私は思います。分科会長のおっしゃったことも貴重な御指摘だと思いますので、そこら辺の分析・研究ということにも力を入れていかなければいけないなと思いました。
【阿曽沼分科会長】  バック・トゥ・ザ・ベーシック、常に基本に戻る。情報を扱って統計を扱うための基本とは何なのだということ。常にベーシックに戻っていく。そういう中から新たな発見なり気付きが出てくるのではないかというふうに思いますので、委員のいろいろな御指摘の中で数値的な目標といったようなものがきちんと表せるものについては、是非また前向きに目標設定をしていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 すみません。ちょっと長く私もお話をし過ぎてしまいましたけれども、時間の都合もございますので、統計センターについては一旦ここで議論を打ち切らせていただきます。今後、御質問等をできなかった委員からの御質問もあろうかと思いますので、後日、事務局を通じて照会をしたり、あとはまたワーキングでのヒアリングをお願いしたりするかもしれませんけれども、御対応のほどよろしくお願いいたします。
 今日は、御多用中、本当にありがとうございました。
【田家審議官】  どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは続きまして、農林水産省の所管3法人の見直し当初案につきまして、ヒアリングを行いたいと思います。本日は農林水産省の雨宮大臣官房生産振興審議官を始め、御担当の方々に御出席をいただいております。
 それでは、農畜産業振興機構の見直し当初案につきまして、主要なポイントを御説明いただきたいと思います。5分程度でよろしくお願いいたします。
【雨宮審議官】  生産局担当審議官の雨宮と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速でございますけれども、お手元にお配りさせていただいておりますヒアリング資料の1ページ、2ページ、3ページに基づいて説明をさせていただきます。
 まず、現中期目標期間内における見直しについて、御説明をさせていただきたいと思います。機構におきましては、22年の事業仕分け及び事務・事業の見直しの基本方針、これに基づきまして、現中期目標期間内の23年3月に中期目標・中期計画を変更して見直しを実施しております。
 欄の左側に「事務及び事業の見直しに係る具体的措置」というのが、書いてございますけれども、畜産関係業務につきまして事業を整理・縮減しまして、保有資金の縮減を図っているところでございます。1ページの左の欄の中段にそのような記述をさせていただいております。
 2ページ目の野菜関係業務につきましては、国庫債務負担行為限度額の引上げなどによりまして保有資金を縮減しまして、捻出した資金を予算額に活用するとともに、国庫納付をしたところでございます。
 その下の砂糖関係業務でありますが、累々書いてございますように、砂糖勘定の収支改善に取り組んでいるところでございます。累積欠損の低減が図られているところでございます。
 3ページには、業務の効率化ということで、5か所ございました海外事務所につきましても、平成22年度中にすべて廃止をしたところでございます。
 このように、機構におきまして中期目標期間終了時の見直しの前に、事務・事業、組織の大幅な見直しを図ってございます。
 次に、次期の中期目標における事務・業務の見直しについて、御説明させていただきます。同じ資料に基づいて説明させていただきますけれども、まず、畜産関係、1ページの左の欄の下のほうに書いてございますように、補完対策につきましては、真に必要な事業について所要額を確保して実施するとともに、保有資金について、真に必要な限度まで縮減に努める一方、畜産経営安定対策等の安定的な実施、あるいは年度途中における緊急対策への機動的な対応のために、必要な水準を確保してまいりたいと考えているところでございます。
 また、公益法人に造成している基金につきましては、3年ごとに定期的な見直しを行って規模の適正化を図ってきたところでございますけれども、引き続き、真に必要な限度まで縮減をしてまいりたいと考えてございます。
 野菜関係業務、2ページでございます。上の段の最後に書いてございますように、契約野菜のリレー出荷に係る特例措置につきましては、実需者に対する重点的な働きかけなど、利用促進に向けた効果的な周知を行ってまいりたいと考えております。
 次に、砂糖関係業務につきましては、砂糖関係業務の下のほうに書いてございますけれども、今後とも関係者と一体となった取組を継続しまして、引き続き累積債務の解消に努めるとともに、見直しの基本方針の指摘を踏まえた措置以外の累積欠損低減のための取組といたしまして、短期借入金の調達コスト削減についても取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、欄の右になりますけれども、運営の効率化・自律化の見直しについてでございます。1ページに戻っていただきまして、右側の欄にございますように、上のほうから、保有資産の見直しとしまして、利益剰余金のうち、返還可能な積立金につきましては通則法等の規定に基づき、現中期目標期間終了後に国に返還してまいります。
 随意契約につきましては、21年11月に契約審査委員会を設置しまして、契約に関しての点検・見直しを実施する体制を整備して、見直しを進めてきているところでございますけれども、1者応札の解消等、引き続き取引関係の見直しを徹底してまいりたいと思っているところでございます。
 その下、管理運営の適正化としまして、平成17年12月から機構が実施しております給与構造の見直し、これを着実に推進してまいりたいと思っております。職員の給与水準につきましては、平成24年度に国家公務員と同程度となる見込みでありますけれども、引き続きその水準を維持してまいりたいと考えております。
 事業審査・評価の見直しといたしまして、補助事業に関しましては機構内に外部の専門家、有識者からなる第三者委員会を設けております。その結果を業務運営に反映させる取組を、引き続き実施してまいりたいと考えております。
 機構におきましては、現中期目標期間内に大幅な事務・事業の見直し、組織の見直しを行ったところでございますけれども、引き続き、事務・事業が効率的、効果的に執行できるよう、努めてまいりたいと考えているところでございます。
 私のほうからは以上でございます。それぞれの分野の担当課長も来てございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問ございましたらどなたからでも結構でございます。宮内委員、どうぞ。
【宮内臨時委員】  補完対策に関連する問題で、見直し当初案において、真に必要な事業について所要額を確保して実施、とされておりますけれども、真に必要な事業であるか否かについての貴省の判断基準というのはいかがなものがおありなのでしょうかということと、併せて、BSEに関する輸入牛肉の規制については、食品安全委員会が緩和の方向性を示したところでもありまして、この方向性を踏まえた補完対策事業の今後についての、現時点においてで結構でございますが、貴省の見解をお伺いできればと思います。併せて、補完対策については今後においても不断の見直しの検討が必要と考えられると思われますが、貴省の見解をお示しいただければと思います。
【雨宮審議官】  私のほうから、総括的にお話をさせていただきます。
 現行の補完対策、見直しの方針などにも沿って、真に必要なものに縮減をしてきたというふうに考えてございますけれども、今後の畜産経営を巡る環境でありますとか、あるいはその事業、実績、あるいは効果というようなものも見据えまして、時宜に応じた事業内容の見直し等を行うことは必要であろうと考えてございます。
 一方、今申しましたように、事業仕分けなどを踏まえまして徹底した削減を実施しておりまして、所要額で21年度の698億円から、23年度は142億円というところまで縮減をさせていただいております。真に必要な補完対策の考え方ということでは、経営安定対策を講じて、その個々の経営の所得を確保するだけでは足りない部分というようなところ、あるいは、個々の農家単位では対応しきれないというようなところに、地域の生産基盤とか経営の安定とか、そういうものを支援していくという考え方で整理をさせていただいておりますけれども、既に現対策の所要額の半分はBSE対策の肉骨粉の処理事業でございます。なかなかこれ以上の縮減は厳しいなというような率直な感情を持ってございます。
 また、BSEの件につきましては、輸入規制に関しては食品安全委員会のほうで御検討いただいて、今、パブリックコメントが上がっている最中だと思いますけれども、これが厚生労働省のほうに答申をされて、更に輸入の制度としてどうかというのは厚生労働省のほうで判断をされる段取りになろうかと思います。
 また、BSE清浄国化というような手続きもございますけれども、そういったものもこれから手続きがなされていくわけでございまして、それが実現を仮にしまして、肉骨粉の利活用の道が開かれるということになれば、削減というものも可能かと思います。
 ただ、肉骨粉の利活用につきまして、リスク評価委員会の食品安全委員会の科学的な評価というものが、当然、必要になってまいります。その判断が必要でございますので、今の時点で縮減の可否でありますとか時期でありますとか額等については、予断はできないというふうに考えているところでございます。
 補足があれば担当のほうから。
【頼田調査官】  畜産部畜産企画課の頼田と申します。よろしくお願いいたします。
 補完対策の判断基準という御質問でございますけれども、必ずしも、今、審議官が申し上げたように、今の時点で固定的に、こういう基準でこれ以外はやりませんというようなものは持ち合わせてございませんが、ただ、これまでのその対策を絞り込んできた経緯から一つの考え方として申し上げられるとすれば、畜産特有の経営安定対策以外でそれを補完する対策としてやる視点が四つあると我々は思っております。
 まず一つ目は、皆様方御存じのように、畜産物の川上の生産現場から、川下の販売まで、途中に、例えば肉であればと畜場を通過することが必要。また、そのと畜場に回すためにはレンダリングが常にきちんと回っていることが必要。こういった周辺をきちんと運営していくことで畜産全体が回っていく。すなわち、経営の所得だけを確保するだけではなくて、サプライチェーン全体をしっかりと支援するというのが必要だという意味の補完。
 2点目は、やはり地域の生産あるいは経済基盤を維持するという観点から、畜産は中山間地域を中心にして、関連産業も含めて経済的にも非常に大きな意味を持ってございます。そういう意味では、畜産農家の戸数が減っていくことを少しでも食い止める、そういう意味で新規就農支援でありますとか、あるいはヘルパー組織の支援でありますとか、農家個々では無理な部分、きつい部分について支援することが補完として必要。
 三つ目は資金繰り対策でございます。畜産は施設整備、家畜導入、えさ代等々、非常に大きな資金の調達とその返還というのが必要になってきますが、畜産資金対策として、例えば償還困難な部分の借換えを低利で行ったり、あるいは悪性伝染病の発生に伴う畜産の経営の再建に必要な資金を調達したりする、こういった部分は畜産特有のものとして補完対策としている。
 あとはBSE対策、肉骨粉対策、あるいは個体識別システムの支援という意味での安全・安心への支援。こういった四つの観点で今の施策は成り立っておりまして、基本的にはこの視点がこれからも引き続き、補完対策としては必要となっていくかなというふうに考えてございます。
 以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  河野でございます。畜産関係でもう1点お聞きしたいと思います。
 肉用子牛生産者補給金についてでございます。この制度、牛肉の自由化に対処するために、国内の肉用牛生産の安定化を図るということを意図して、平成2年に作られ、平成3年度から実施されたというふうに伺っております。農林水産省の見解では、この制度は自由化前の農家の販売価格の水準を基本として運営されているとのことですが、これに関連して二つ質問があります。とりあえず一つ質問するので、お答えいただきたいと思います。
 制度創設からもう20年ぐらいたっておりますが、自由化前と後で、この制度を作ってどのように変化があったのか。制度運営の成果といいますか結果について、どうなっているのかをお聞かせ願えればと思います。
【頼田調査官】  まず一つ、何が変化したかということでございますが、輸入自由化の前と後では、当然のことながら、牛肉の輸入量が増加してございます。自由化前の平成2年の37万トン、これは部分肉ベースでございます。自由化後は、平成12年が最大で72万トンと、約2倍に輸入量が増えてございます。これは非常に、そういう意味では、輸入自由化前に想定した国内牛肉生産への影響という意味で、非常に大きかったのかなと。
 ただ一方で、肉質において外国産牛肉と競合する乳用種に関しましては、販売価格が低下しましたが、一方で黒毛和種に関しては、御存知のようにサシが入るという特性を利用して肉質向上による差別化に努めました。結果として販売価格が維持されたという、こういった効果があったかなと思っております。
【河野臨時委員】  この制度を導入した結果、輸入量は増えたけれども、総体的に見れば価格は20年前ぐらいのものが維持されているということなのでしょうか。
【頼田調査官】  輸入牛肉と競合する乳用種の部分は、その影響を受けて下がりました。ですが、逆に子牛の価格も引きずられて下がっておりますので、この補給金制度を発動して支えているという意味では、機能している。一方で黒毛は、幸いなことながら差別化がうまくいったということで維持できたと。
【河野臨時委員】  分かりました。
 そうすると、この20年たって制度を変更するというような、そういう状況にあるのかないのか。変更するとなると法改正が必要であろうかと思いますが、そういうことを考えるような状況にあるのかないのか。このまま制度を続けるというようにお考えなのですか。
【頼田調査官】  はい。今のところ、自由化に伴う影響に対処するための法律ということでございますので、そういった観点から、引き続きこの制度を続けていきたいと考えております。
【河野臨時委員】  20年たっても依然として有効に機能しているという、そういう理解ですね。
【頼田調査官】  はい。
【河野臨時委員】  この制度を補完する制度といいますか、肉用牛繁殖経営支援事業というのがございます。これは必ずしも補給金制度だけでは十分ではないということで実施されていますが、これはやはり、制度が十分ではないということを前提で作られているわけですよね。制度を補完するという趣旨で。
【頼田調査官】  そうですね。あくまで我々は補完というふうに申し上げてございますが、繰り返しになりますが、子牛補給金制度の法の趣旨というのは、輸入自由化前の農家販売価格の水準を維持するという観点でスタートいたしました。基本的に、所得確保という意味では生産コストとの関係でどうなのかということでございますが、繁殖経営安定対策という意味では所得確保という切り口でそれを補完していると。では、全体的に、子牛を生産する繁殖経営の所得確保対策、いわゆる所得補償対策がどういう切り口が必要かということについては、基本的に畜産全体の所得補償制度をどうするべきかというのを全体で議論してございますので、その中でどういう位置付けにしていくのかということを、今後、引き続き我々は議論していきたいと思っておりますが、今の時点では法律で支える部分、それから所得確保、経営安定対策として支える部分、両方とも経営安定対策ではあるのですけれども、自由化対策として作った法律の部分を補完しつつ、全体で今のところは経営安定対策として考えていると、そういうことでございます。
【河野臨時委員】  もう1点あります。
 補給金制度が20年たってそのまままだ維持するということで、繁殖経営支援制度があるわけですが、所得補償という話になると、20年もたっている制度で、その間に経済の状況が変わる中で所得補償をしていくとなると、繁殖支援制度というのはどんどん拡大するというおそれ、心配があるのですが、この点はいかがですか。
【頼田調査官】  現時点での法律の部分は、あくまでもその法の趣旨がございまして、繰り返しになりますが、自由化前の販売価格を補償する、販売価格の水準を維持して子牛の再生産を確保するという、そういう趣旨で運営されてございます。では、自由化前の水準をどのよう見るかというと、自由化の前7年間の平均価格を基本にしていますので、その部分でどんどん補給金制度の法律部分が肥大化していくというのは基本的にないですね。ただ、それとは別に、所得をどう確保するかということになると、むしろ生産コストが今どうなっているのかというところに着目して経営安定対策を打っていく必要があるという意味で、繁殖経営安定対策というのを、それに対して補完的に措置しているということになります。
 ですから、繰り返しになりますが、全体として、どうなのだという議論については、畜産の所得補償制度全体の議論の中で改めて今後とも引き続ききちんと検討していきたいというふうに考えてございます。
【河野臨時委員】  分かりました。
【頼田調査官】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何か。
【宮内臨時委員】  野菜関係のことについて、ちょっとお伺いしたいと思います。
 契約野菜のリレー出荷に関する特例措置について、見直し当初案においては実需者に対する重点的な働きかけ等、利用促進に向けた効果的周知を行うということになっておられますが、これまでの見解において、6次産業化法の施行からわずか1年経過したところであり、まずは実需者に対する重点的な働きかけを強化するというふうにいわれておりますが、具体的な周知の対象、手法について、どのようなことが考えられているのか。また、実施した周知方策の効果の検証をどのように行っておられるのかというのが、まず1点。
 それから併せてもう一つ、真にニーズがあるのであれば、猛暑の影響等の要因があったとしても、事業開始当初から多くの利用があってしかるべきではないか。また、真に必要な事業であれば、あらかじめ事業の実施件数や効果についての具体的な目標を設定しておくことが当然であろうかと思われますが、その辺についてはどのようにお考えになっておられるのかということでございます。
【菱沼課長】  野菜関係でございます。
 6次産業化法といいますのが農林水産省の一つの柱というようなことでございまして、この法律は、22年の秋に成立したというようなことです。その後、23年3月に施行ということで、我々としては、22年秋から成立しておりますので、こういった法律の特例措置というのが非常に大事だということで、生産者の方々に普及啓発させていただきました。しかしながら、猛暑ということで、22年、一昨年でございますが、野菜の生産がなかなか不安定というようなことで、こういった定時・定量の契約取引というのがなかなか進まないといったような状況でございました。
 そういった中で、23年度になりましてから、なんとか実需者の方々、さらには生産者の方々にパンフレットを配付したりして普及啓発しておりましたが、23年になってから、東日本大震災や原発事故がございまして、まさに風評被害で野菜の価格が下落するということで、野菜の安定的な契約取引というのが難しくなってきているということで、なかなか進んでいなかったということです。
 しかしながら、やっと現時点で2事例ほど、なんとか成立しているということでございまして、今後、我々としては、生産者の方々だけではなくて、これは契約取引でありますので、生産者と実需者、さらには真ん中にいらっしゃる中間事業者の流通の方々、このような方々でネットワークを組織させていただいて、そのような方々に普及啓発していくと。具体的には、実需者の方々が約400者いらっしゃいますが、こういった方々へのパンフレットの配付だとかをしてネットワークを作りながら、裾野を広げていきたいと考えております。
 で、真のニーズということでございまして、こういったことが必要であればどんどん出てくるのではないかとありましたが、やはり本当に、我々では想定がつかないといいますか、22年の猛暑と東日本大震災、風評被害があったので、契約取引をこれから進めていこうということで、もう1度ねじを巻いて頑張っていきたいと思っています。
 以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  砂糖勘定の欠損について、3点ほど質問させていただきたいと思います。
 平成23年度に累積欠損対策として、国費が329億円投入されておりますが、それ以外に調整金の引上げ並びに交付金の引下げなどによって欠損金が大幅に減少しているということは高く評価しております。
 特に調整金と交付金の改定により、単年度の収支が黒字化したということでございます。現時点で砂糖勘定の累積欠損の対応、あるいは削減計画が、今後どういうふうになっていくのか、お聞かせ願いたいというのが1点。
 それから、欠損対策の一環として、24年度に借入金について、指名入札から一般入札制度へ切替えております。これも評価できるところであります。入札の変更により、そちらからいただいた資料では、短期金利が0.001%ぐらい下がっていると思います。この効果について、これからあと半年ありますが、どれぐらいあるのか。仮に1年として350億円短期借入れというと、3,500万円ぐらいですかね。借入金だんだん減っていくという話になるとまた違うのかも分かりませんが、検証されているのか。
 それから3番目でございますが、23年度の砂糖勘定において単年度で収支が黒字化しているということを考えますと、調整金の引上げと、それから交付金の引下げというのが大きく効いているのではないかというふう思います。行政も含めて3者の話合いというようなことが行われたのかと思いますが、この調整金並びに交付金の上げ下げをもう少し弾力的にできるようなことは考えられないかというのが三つ目の質問であります。以上、三つでございます。
【阿曽沼分科会長】  すみません。時間が大分過ぎてしまっておりますので、今、簡潔にお答えできるものがあれば簡潔にお答えいただきますし、そうでなければ文書でまた御回答いただければと思いますけど、どうぞ。
【青山課長】  砂糖を担当しております、地域作物課長の青山でございます。
 まず、調整金の収支の関係でございますけれども、23年度末で352億円の累積欠損金でございますが、砂糖年度は10月から9月で仕切っておりますけれども、この24年の9月末の見込みで200億円ぐらいまで減少する見込みでございます。この大きな要因は、昨年23年産のサトウキビの史上最悪といわれます不作でございまして、通常年では140万トン程度取れるところが100万トン程度でございました。それが大きく影響いたしておりまして、先ほど委員がおっしゃった投入された国費の329億円のほかに、113億円の収支改善効果と、それから今年度にもわたってまた収支改善が図られておりますのは、そういう点でございます。
 それから今後の計画でございますけれども、この不作によりまして急激に収支改善しましたけれども、収支改善の一方で、現地におけます農家なり製糖工場の大幅な赤字なり農家の収入減というのがございますので、そういった対策を今一般会計で図っているところでございまして、私どもとして収支改善というところは喜ばしい結果だと我々も思っているのですけれども、それによって産地が成り立たないということが、なかなか心配なことでございます。
 2点目としまして、借入金利の見直しのところでございます。これは、入札をしなかったならということなのですけれども、そこの検証というのはなかなか難しいわけでございますが、委員御指摘のとおり、効果としては数百万円の単位でございまして、こちらは22年の秋に見直しました収支改善のための取組のほうは100億円とか数十億円の単位で皆さんの御協力をいただいておりますけれども、両者を比較すると金利の見直しの効果というのはそれほど大きくないと我々も判断をしております。
 それから、今後に向かっての更なる調整率の引上げですとか交付金単価の引下げというのは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、サトウキビの大不作がございまして現地は疲弊しておりますので、今の時点でそれをまた継続して、更にということになりますと、業界の負担増はなかなか難しいかなと考えております。
 以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  では最後に一つだけ、河野委員どうぞ。
【河野臨時委員】  ありがとうございます。
 保有資金について、できるだけ減らす方針が採られています。今後、保有資金がどんどん減っていくということになっていきますが、これについてどういうふうにお考えなのか。もう時間がありませんので、簡単にお答え願います。
【頼田調査官】  はい。端的に申しますと、毎年1,500億円ぐらいの支出がある中で、大体、牛肉の関税収入が800億円程度なのですね。そのうちから、600億円から500億円程度を牛関交付金としてALICに、当該年度、入れていただいていますので、差引きでいくと、だいたい1,000億円弱ぐらいが常に保有資金から出ないと、全体の財源が確保できない。ということは、毎年毎年そのペースで減っていく。ここ2年ぐらいで相当縮小していくだろうと思っていますが、将来的にそのときの財源をどうするかというのは、またそのときの財務当局と御相談するしかないなと考えているというのが、今のお答えです。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。保有資金の問題ですとか、また、管理職、理事の方々の役割の分担だとか、いろいろまだ質問したいことがいっぱいあろうかと思いますが、これはまた文書でというふうに思います。
 畜産の補給金制度について20年間機能しているのだとおっしゃって、20年前にこの仕組みを作られた先達と卓見に敬意を表するわけでありますが、これが旧来のステークホルダーだけのためのものではなくて、視点とか観点とかとおっしゃいましたけれども、新たな視点、新たな観点というものが本当に付け加える必要がないのか。そういった観点で一度また見直していただくということも必要かと思いますし、各委員の方々の御指摘を踏まえて、再度、御検討いただくということを望みたいと思います。よろしくお願いいたします。
 時間が大変長くなって申しわけございませんでしたが、時間の都合もありますので、農畜産業振興機構についてはここで一旦議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆さんにおかれましては、御多用中、ありがとうございました。先ほど言いましたように、まだまだ質問等一杯あるようでございますので、事務局を通してまた御質問するなり、もしくはワーキングで再度御説明いただくということもあろうかと思いますけれども、その節は御対応のほど、よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは、お待たせいたしました。農業者年金基金について、佐々木経営局審議官から御説明いただきます。5分程度の御説明で、よろしくお願いいたします。
【佐々木審議官】  農林水産省経営局審議官の佐々木と申します。よろしくお願いいたします。お手元に農業者年金基金のヒアリング資料をお配りしてあるかと思います。
 表紙を開けていただきまして、1ページ目に見直し当初案の概要を記しておりますので、これのポイントをかいつまんで御説明させていただきます。
 農業者年金は、そもそも農業者の方々の老後の生活の安定と、それから農地が典型例でありますけれども、農業経営の資源をまとめて次の世代に円滑に引き継いでいくという、そういう農業者の確保の二つを目的とした年金でございまして、そもそもは昭和45年に制度が始まり、その実施運営主体は特殊法人としてスタートしたわけでありますけれども、平成15年に独立行政法人に移行して今日に至っておるということでございます。
 現行の中期目標におきましては、業務運営コストの抑制でありますとか、特に組織運営の合理化ということで、北海道、さらに九州の事務所を廃止するなどによりまして、合理化なり人員の削減ということに取り組んできたという経過がありまして、これらを踏まえまして次の25年度からの中期目標をいかに考えるかということで検討を進めておるところでございます。
 この1ページ目の表の、まず、左側のほうでございますけれども、業務及び事業の見直しに関する具体的措置ということで3点掲げさせていただいております。1点目は、加入推進活動の強化ということでございます。現在の農業者年金は任意加入となっているわけでありますけれども、これまでの直近の実績の5割増し程度の加入者を獲得していこうということを目標に据えて、様々な説明、PR等の活動を行ってきております。冒頭も少し申し上げましたように、この農業者年金の目的は、政策年金たるゆえんは、若い農業者の方々に経営の資源を一括して引き継いでいく、そういう動機付けの一つの政策であるということでございますので、そういう若い農業者の方々の加入推進を取りわけどうやって重点的に推進していけるかということを踏まえて、目標の設定を考えてまいりたいと思っております。
 それから、農業者年金の実際の加入受付でありますとか、あるいは様々な裁定の手続き、更には、政策年金としての要件を満たしているかどうかという農地関係の様々な情報の精査といった取組は、加入者の数が膨大になっておりますので、現地で実施していただく機関に業務を委託しておるわけでございます。
 具体的な委託の機関といたしましては、委託先といたしまして市町村の農業委員会と、それから農協に行っておるわけでありますけれども、その委託費につきまして、これまでも様々な場で農業者年金への加入推進の新しい目標に沿ってきちんと加入促進が図られる、そういうインセンティブを喚起できるようなものにしていくべきだというふうな御指摘も頂戴しておりましたので、現在、一部の経費につきまして、加入者等々の数字に応じまして格差を付けた積算で委託費をお払いしておりますけれども、これを更にインセンティブをより喚起するような、そういう配分方法に切り替えていけないかということを検討しているところでございます。
 それから2点目でございますけれども、考査指導の見直しということでございます。現在、業務受託機関に対しまして、年間百数十カ所を対象に年金基金の職員が出向きまして、制度の運営なりが適切に行われているかどうかということを考査し、必要な助言・指導を行っているわけでございます。
 これにつきまして、一昨年来の様々な業務のスリム化といった見直し論議の中で、都道府県に対する、都道府県が行う監査といったものを廃止するということの見返りで、この年金基金が行う考査指導を、更に充実していく必要があるというふうな御指摘も頂戴しているところでございまして、この定期的な考査指導を行う、そういう機関の数を増やしていこうという方向で、具体的にどの程度のレベルまで増やしていけるのか。さらには、何か課題が見つけられたようなところに対しては、スペシャルな考査指導を行うといった方法も導入することも含めまして、その充実・拡充強化といったものを検討してまいりたいと考えております。
 それから3点目でございますけれども、手続きの迅速化ということでございます。これもかねてよりいろいろな場で御指摘を頂戴しておりましたけれども、例えば農業者年金の加入申請が出てまいりました際に、その標準的な処理期間をどう設定しているかということで見ますと、60日間というふうな日数を設定しておるわけでございます。これは、システムの上で加入申請として上がってきたデータを電算処理する際に、業者に一括して委託してやってもらっているという体制がありまして、それの待ち時間等々もあるがゆえに、日数が掛かっているというところがございます。
 そこで、やはりこれらの申請してこられる方々の利便性を考慮いたしまして、迅速化していくために、昨年度から新たな電算処理のシステムを構築するべく、準備作業をやってきております。これが26年度からは実行に移していけるだろうと考えておりますので、それに応じて標準的な処理期間を大幅に短縮できるだろうと考えておりまして、それらをてこに、さらに利便性の確保に努めてまいりたいと考えております。
 それから、真ん中の欄の組織の見直しに関するところでございます。冒頭申し上げましたように、現行の中期計画で地方の出先は全て廃止をいたしまして、年金基金といたしましては相当な合理化に努めてきたところでございます。ただ今後、今二つ制度運営をやっておりますうち、改正前の古い年金制度に関しましては、受給者の方々の数が年々減少していくということが見込まれております。しかし、受給者の数が減った分、業務量がストレートに減っていくということでは必ずしもないわけでありまして、制度があれば岩盤的なところは当然あるわけでありますけれども、いずれにしても、そういう旧制度の受給者が減っていくという事実が厳然としてございます。
 また、農地の売買とか貸借といった、当座、経営を引き継いでいただく方の資力等々に限界がある場合に、その原資を供給したり、農地を購入する原資を供給したりするといった事業を行っているわけでありますけれども、これについては近年、新しく請け負ったものがございませんので、業務量はこれも大きく減少してきておるところでございます。
 他方では、先ほど申し上げました考査指導のほうは、一方でガバナンスの強化等々とあいまって拡充強化していく必要があるというふうに御指摘を受けておりますので、こういった人員の、あるいは能力のアップを図っていかなければいけないという部門もございます。
 これらをよくよく併せ考えまして、トータルとしての組織の在りようを検討してまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、昨今の情勢等踏まえまして、トータルとしては削減という方向で具体案を作ってまいりたいと考えております。
 それから、最後、右端の欄にあります、運営の効率化及び自律化の見直しに関してでございます。
 管理運営の適正化に関しましては、農業者年金基金は本年1月に閣議決定された基本方針におきまして、金融業務型の成果目標達成法人というふうに位置付けられておりますので、これを踏まえました適正なガバナンスを構築する必要がありますので、その強化策等々を推進していきたいと考えております。
 それから人件費につきましては、23年度におきましてラスパイレス指数が100を下回るところまで到達しておりますので、こういう状況を次の中期計画の期間中におきましても、しっかり維持していくということが肝要であろうと思っております。
 冒頭の御報告は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。
 時間が大変押しておりますので、質問者及び回答者はなるべく冗長にならずに、的確に議論が進められればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、御質問、委員の方からよろしくお願いいたします。
 では、河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  河野であります。
 業務委託について、3点ばかり質問させていただきます。その前に、最初に審議官のほうから、インセンティブの働くような配分方法ということで一つ御紹介ありましたが、加入者が目標に達してないという状況がございます。やはり、インセンティブが働くような配分方法を真剣に考えていただきたいと思います。これは質問というより、要望でございます。
 それでは質問の第1点目です。業務委託費の積算に当たって、地方公務員の時間当たり、平均給与2,016円を積算の単価と使用されているようですが、なぜ地方公務員なのかというのが一つ目であります。例えば国家公務員とか、あるいは場合によっては、業務が単純であれば臨時職員の単価を用いるというのもあろうかと思いますが、この根拠について教えていただきたいと思います。
 また、この2,016円が、事務局から妥当かどうかと問い合わせましたところ、委託業務は年金・農地等に関する法律知識や農業者への理解が必要であるため、単価は妥当というような御回答をいただいております。それを前提に考えますと、それほど高い能力のある人が、農業者年金基金の前段階で作業をきちんとしているのであれば、農業者年金基金側ではもっと合理化して、組織体制の見直しができるのではないかというのが、第2点目の質問であります。
 それから第3点目の質問でございますが、農協と農業委員会の委託金の状況を見ますと、かなり金額に差がございます。この金額の差はどういうところにあるのか。農協と農業委員会では業務内容が若干違っているふうに聞いております。とすれば、それぞれ単価といいますか、農協と農業委員会で配布の単価というのは変えられるのではないかと思われるのですが、この点はいかがでしょうか。
【佐々木審議官】  はい。最初に私のほうからお答え申し上げます。
 まず、重ねての御要請を頂戴いたしましたので、しっかりと受け止めまして、インセンティブが働くような配分方法を真剣に検討させていただきます。
 それから質問の1点目でございますけれども、委託費の単価は、御指摘にありましたように、地方公共団体の、恐らく19年当時の単価を用いて、その後5年間に適用していく委託費の積算に用いているということでございます。
 これは、いみじくも御紹介いただきましたように、農地制度等々に現地の方々も精通している必要があるということで、地方公共団体が日常的に行っておりますような業務と同等の確認作業なりチェックなりを、そういう知見を用いて行っていただいているということに見合って、かつ、また、地方公共団体の現場に近いところで同じように作業していただいているということで、地方公共団体の公務員の賃金単価を適用させていただいております。
 ただ、これにつきましては、この後25年度からの積算を行うに当たりましては、適用する単価は最新時点のもので見るとどうなのかというチェックは、当然必要であろうと思っております。
 いずれにしても、25年度からの5年間を見通した業務がきちんと行われていくような、そういう単価なり考え方をしっかり構築してまいりたいと思っております。
 それから、2点目の年金基金との業務の重複感といいますか資質の重複感ということにつきましては、現地で様々な台帳であるとか登記簿であるとか、それから世帯の実態等々に関するデータを、農地制度に照らしてどうかという御判断をしていただくという、まさに現場出先の御判断と、それらを、どちらかといえば年金制度全体、ほかの地域との整合性等とも含めてチェックをする年金基金ということで、そこに余り大きな資質についての格差ということを設けるのは、むしろ適当ではないのではないかなと思っております。
 また、受託機関としまして、農協と農業委員会の差についての御指摘が3点目としてございましたが、これは、農協のほうは早くから合併を繰り返してまいりまして、市町村より広い範囲を管轄しているというケースが一般的でございまして、対象者の数が農協のほうがはるかに多いということで、1機関当たりで見た委託費の金額に差があるというふうにお考えいただければ結構でございます。
 両機関とも、加入者の要件なり加入手続きの面というのを現地で実査していただいているということでございまして、いろいろな、1時間当たりとか一人当たりといった単価そのものについて差は設けてございませんけれども、そういう広がりの差があるということでございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかに御質問。どうぞ。
【山谷臨時委員】  山谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 若干、初歩的な質問になろうかと思いますが、政策年金ということでございますので、基本的なところをちょっと御質問させていただきたいと思います。3点ございます。
 まず1点目ですが、そもそも、この政策年金制度の対象になる可能性がある、そういう方々、あるいは世帯ですね、これどのぐらいいらっしゃるのかという実数を把握されているかどうかというのを教えていただきたい。これを1点目ですね。
 それから二つ目です。年間の新規加入の目標を出されておりますが、この具体的な目標のターゲットについて、どういう形で積算されているか。例えば、新規就農者で何人とか、あるいは未加入者がこのぐらいいるから、そのうちから何%とかですね。そんな感じでやられているのかどうかということを教えていただきたい。これが2点目です。
 最後の3点目でございますけれども、資料にもございますけれども、「若い農業者の加入推進等にポイントをおいた目標の設置について検討する」と、こういうふうにございますけれども、実際、ではどういうふうなことを今現在お考えいただいているのかという、ここの辺りを教えていただきたい。
 以上でございます。
【佐々木審議官】  御質問いただいた、御指摘いただいた3点、相互に関連するところもあるかもしれませんので、若干、包括してのお答えになる部分もあるかもしれませんが、そこはあらかじめ御容赦ください。
 まず1点目でございますけれども、この政策年金たるゆえんの農業者年金の加入対象となる可能性のある人のリストはどういうふうに把握しているのかというふうな御質問でございます。
 特に保険料の国が政策的な支援をしているまさに政策年金たるゆえんの方々の典型的なイメージを申し上げますと、40歳未満で、農業に専ら従事しているような人たちで、経営を営んでおられる方々というふうなイメージに相なります。現地におきましては、例えば、受託機関となっております農協、農業委員会それぞれいろいろなデータを保有しておりますけれども、農協の場合でいいますとまさに農協の組合員として農業経営活動上いろいろなお付き合いがある方のリストは、当然、その母数となり得るものだろうと思っております。あとは、農地の継承とかの手続きをやっておるのが農業委員会でございますので、AさんならAさんが農地をどこにどういうぐらいの量を持っていて、それを何かがあったときに誰に引き継いでいくのかといった辺りを管理している農地基本台帳というものがございます。この農地基本台帳を備えている世帯といいますか農業者の方も、政策支援の対象となり得る可能性を秘めた方々の、やや広めにとらえた母数であるというふうに考えております。
 それから、参考までに申し上げますと、私どもは5年ごとに農林業センサスで農業に従事されている方々の実数を把握しておりますけれども、専ら農業に従事しておられる方々で、一定の年齢以下の方々の数といったものも横目に見ておりますので、そういった方。さらには、政策支援の対象者となっていただく方は、市町村長の認定を受けた認定農業者という制度がございますけれども、この認定を受けておられる方々であることが必要でございます。その外縁部にいる方々も対象になるのですけれども、メインターゲットはそういう方々でありまして、その認定農業者の方々も、今、全国では25万経営ほどおられるといったことなどなど、そういったデータの中から適時適切な機会にお声を掛けたい方々にお声をお掛けして加入推進をやっていくということを、更に徹底していかないといけないなと思っております。
 それから、現在掲げております新規加入のターゲット、年間6,000人という数字がございまして、これの積算はどうなっているのかというお尋ねでございます。これは、誠に申しわけないお話ながら、事細かな積み上げの積算という形には相なっておりませんで、今の目標を掲げる直前3年間の加入実績が年間4,000人前後でございましたので、言葉を選ばずに申し上げますと、運動論的な意味合いも兼ねまして、その5割増しの水準を当面のターゲットにしていこうということで、いわばつかみ的に設定されておった目標でございます。
 というふうな点は、次期の中期目標を検討する際には反省して見直さなければいけない点だろうと考えておりますので、1点目の御質問へのお答えで申し上げたような様々な対象可能性のある方の母数なり、そういった方々の動きといったものを念頭におき、あるいは、これまで加入してこられた方々の中にそういった方々はどれぐらいの割合を占めていたのかといったこともよくよく検証しながら、新しい目標を検討してまいりたいと考えております。
【阿曽沼分科会長】  ほかに何かありますでしょうか。
【佐々木審議官】  ちょっとすみません。補足を。
【平形課長】  経営政策課長です。3点目の質問のところで、若い農業者の加入に向けたポイントとして、具体的にどういうことを考えられているかという御質問もあったかと思うのですが、これに関しましては、先ほども審議官のほうから申し上げましたとおり、マクロとしては、大体39歳以下の基幹的農業従事者というのは、大体、10万人弱ぐらいいらっしゃいます。その中の若い農業者の方に政策支援は集中すべきだということもございまして、委託費の中でも、この特に若い農業者の方の加入に尽くされた委託機関に関しては、例えば手数料についても一般の方を入れられたよりも多めに積むとか、そういった格差をある程度付けるべきではないだろうかというふうに今考えて、検討しているところでございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかにございますか。
【宮内臨時委員】  業務処理期間の見直しに関する点で、大幅に期間を見直して、60日から30日間にしましたということなのですが、システムの導入を行って、これ多分、御自分のところで処理を行うということになったと思いますので、この30日間というのが、そもそも60日から30日というと、半分でいかにもすごそうに聞こえるのだけれども、内部でやっていて30日も掛けなければならないという理由がどこにあるのだろうかという疑問がございまして、これの積算をどのようにされているのか、お教えいただければと思います。
【佐々木審議官】  ポイントを申し上げますと、現在の標準処理期間は、まず、受付を行う農協、農業委員会でその書類のチェックを行うのに必要な日数。それから、それが年金のほうに送付をされてまいりまして、そこでチェックをする日数。さらには、申請書類に記載されたデータを業者に委託してパンチングによって入力をしていただき、その入力したデータに誤りがないかどうかを点検する日数等々を合算いたしまして、計算をいたしております。
 それに加えまして、申請書類に不備がありました場合などを想定いたしまして、そういった現地での作業をもう1度見つめ直していただくような予備的な日数も加味した日数になっております。
 現行のシステムが古いために入力の作業を業者に外注しているわけですけれども、月1回という定例的な対応でやっておりましたために、最大の待ち日数がある場合には30日掛かってしまうということでございまして、全体の平均像で、待ち時間だけで30日掛かっているということではございません。最大で30日というふうなことで、それ以外も含めて60日ということでございました。
 これを、今、システムはまだ、残念ながら出来上がっておりませんで、構築中でございまして、26年度から運用を開始できるという計画で、3年間で整備作業を、現在、行っております。それが整えば、お話にありましたように、年金基金の職員が入力作業等々も自賄いで行い、外注による時間的なロスも減らせるということで、そこが大幅に圧縮できることになりますので、60日間を30日間にすると。
 ただ、30日間というのは、全てのものがそれだけ掛かっているということではなくて、申請書類等が上がってきたものが、修正するべき点等がなければ、当然、それよりも短い日数で実際の処理はなされているということでございますので、極力、標準処理期間として設定しているものに甘えることなく、迅速にやるように、年金基金の職員の方々のマインドもそういうふうに切り替えてといいますか、より徹底していただきたいなと思っております。
【阿曽沼分科会長】  ほかにありますか。よろしゅうございますか。
 今、標準という言葉をお使いになりましたね。
【佐々木審議官】  はい。
【阿曽沼分科会長】  標準という言葉を使った説明というのは不適切ですね。標準というのが、総体的、客観的に判断をして、ワークフロー、そして処理能力、これを勘案して作るものが標準であって、今のお話は現状処理時間ですね。ですから、60日が30日になった。ワークフローの分析をしてBPRがあって、なおかつ機能の変革をしたのか。それで本当に30日が適切かどうかというのは、客観的に評価をしていただかないと、なかなか納得いかないものだというふうに思いますから、そこはやはり気を付けて御判断をいただきたいと。これは決して標準の処理時間ではありません。世の中の標準という言葉に誤解を与えてしまうのではないかというふうに思いますので、そんなことも勘案しながら、新たにまた見直しを再度していただくということが必要なのではないかと思います。
【佐々木審議官】  かしこまりました。
【阿曽沼分科会長】  時間の都合もございますので、農業者年金基金につきましてはここで一旦議論を打ち切らせていただきますけれども、御説明いただきました皆様方には、御多用中、本当にありがとうございました。
 本日の議論を踏まえつつ、事務・事業の見直し、審議を深めてまいりたいと思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。
【佐々木審議官】  はい。
【阿曽沼分科会長】  また新たな質問、または新たなワーキングの開催等々でお願いすることもあろうかと思いますが、その節は対応をよろしくお願いをいたします。本日はありがとうございました。
 御退席いただいて結構でございます。
【佐々木審議官】  どうもありがとうございました。

(説明者等入替え)

【阿曽沼分科会長】  それでは、次に農林漁業信用基金について、高橋大臣官房参事官から御説明をいただきます。時間の都合もございますので、5分程度でよろしくお願いいたします。
【高橋参事官】  農林水産省の高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、早速ですが、お手元の、右肩資料2−1−(3)、農林漁業信用基金、簡潔に、まず冒頭、説明させていただきます。
 表紙の裏側ですけれども、1ページ目、見直し当初案の内容一覧表ということで、左から2番目の欄ですが、事務・事業。御案内のとおり、農林漁業関係の信用保証業務と、それからその下の二つ、農業・漁業の災害補償団体に対する融資業務を行っております。この5本が主たる業務で、勘定目の五つに分かれております。
 その右側の具体的措置。事業の効率化ということで、二つ目の段落ですが、「このため」のところに、「中期目標期間の最終年度までに勘定毎の単年度ごとの業務収支を黒字化させる」と。これは、現行の中期目標と同じ目標でございます。収支を、少なくとも均衡させるということを目標に、その下に・が8個も書いてございますが、事業の効率化から、一番下の「民でできることは民で」という考えを踏まえた検討。こういったことを盛り込んでまいりたいと考えております。
 それから、この欄の一番下ですが、災害補償の融資業務については、民間金融機関からの融資の道もあるということは、共済関係団体に周知をしているところであります。
 それから、その右の2番のところですが、特殊会社化の検討ということです。本年1月の閣議決定によりまして、特殊会社化について検討、また、金融庁検査を導入という方向が出されておりますので、現在、必要な検討を進めております。
 それからその右ですけれども、資産の有効活用については、職員宿舎が二つございますが、これを年内に廃止計画を作って、確実に廃止という考えでございます。
 経費支出の抑制については、現在もラスパイレス指数が100を下回っておりますが、引き続き、そのように措置してまいりたいと考えております。
 次に、2ページを飛ばしまして3ページ目をごらんいただければと思います。3ページ目の下の段に、現行の中期目標の達成状況を何点か書いてございます。この欄の○で書いてあるところの一番上の○、事業の効率化。これは事業費総額での目標を掲げておりますが、東日本大震災の影響で結果的に3.1%の増となっておりますが、この東日本大震災の影響を除くと、45.8%の減ということです。
 それから二つ目の○低利預託原資貸付業務というのをやっておりましたが、それを農業と漁業については廃止するということで、所定の政府出資金は23年9月までに返還しております。
 三つ目の○ですが、業務運営体制。農業と漁業の災害補償部門の統合というのを実施いたしております。
 その次の次、人件費ラスパイレスについてですが、先ほどちょっと申し上げましたが、96.2という状況になっております。
 こういったところが中期目標の主たる達成状況であります。
 説明の最後ですが、13ページ、14ページに、前回の勧告の方向性における主な指摘事項への対応状況ということで整理をいたしております。この左側の欄の立て方は、現行の業務目標の項目に沿って書いてあります。1番目の業務運営の効率化の部分で右に4項目書いてございますが、これは先ほど中期目標の達成状況で触れた内容が主たる中身になっております。
 二つ目の、国民に対して提供するサービス・情報の開示等については、セグメント情報ということで、勘定ごとのよりブレークダウンした内容について、ホームページでの公開を行っているところです。
 3番目の財務内容の関係、これが14ページにかけて4点書いてありますが、保険料等の改訂については、農漁業については20年、林業については19年に改訂をしております。引受審査については、大口案件はすべて基金協会からの事前協議を実施しております。モラルハザード対策として、農業・漁業で部分保証の導入、あるいは林業における100%保証の見直し。四つ目、次の14ページですが、代位弁済率・事故率については、目標に対してはそれを満たすような形で推移をしているということでございます。
 ここに書いてある保険料の設定以下、今申し上げた代位弁済率までの4項目、こういったことを今回の新しい見直しの方向ということで、最初の資料にも盛り込んでいるところでございます。
 大変簡単ではございますが、主たる点、説明は以上でございます。
【阿曽沼分科会長】  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、委員からの御質問どうぞ。山谷委員、どうぞ。
【山谷臨時委員】  山谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 二つございまして、一つは非常に基本的なことでございますが、見直し当初案において「中期目標期間最終年度までに勘定毎の単年度の業務収支を黒字化させることを目指す」とあります。で、そういうことを目指すのであれば、現在と同等以上のより具体的な効率化の目標設定が必要になるのではないかというふうに思いますけれども、このことについてどういうふうにお考えであるかということを教えていただきたい。これが1点目でございます。
 それから2点目ですが、ちょっとこっちは細かなお話になりますが、標準処理期間、非常に業績がいいといいますか、全体の7割近くが100%達成し、残りの3割についても90%以上達成している状況にあるのですが、もう少し制度利用者の利便性をさらに向上させるために、こういった実績を踏まえて更なる標準処理期間の短縮、あるいは達成率の目標値を引き上げる、こういうことをお考えいただく必要があるのではないかと思いますが、これについてどう、現在のところお考えであるかということを教えていただきたい。お願いいたします。
【村井課長】  農林水産省金融調整課長でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、1点目でございます。中期目標において最終年度までに黒字化ということで、これ目標を立てておりまして、今後、それ以上のと申しますか、達成状況を踏まえてどうこれから考えていくかということかと思います。事業の効率化につきましての数値目標につきましては、これまで保険金支払いあるいは代位弁済の圧縮のため、保険金支払い率、あるいは代位弁済率、それから回収率、こういったものについて数値目標を設定してまいりました。これとともに、保険金なり代位弁済等の事業費、一般管理費、人件費、これらの削減目標数値等を設定してきていると、こういう形になっております。
 保険金支払率、あるいは回収率等につきましては、近年で申しますとリーマン・ショックの後の経済情勢といいますか、そういったものの影響をどう見るのか。さらには、東日本大震災がございました。こういった予期せぬ経済情勢なり災害の発生に伴う影響、こういったものも見ていかなければいけませんし、さらに金融円滑化法の適用、今年度が最終年度といわれておりますけれども、これが切れた後に一体どういった影響が出てくるのかと、こういった外部要因が大きく影響してくることが考えられますので、その点について慎重に見ていかなければいけないと思います。
 一方、これまでの保険金の支払率あるいは回収率の実績も踏まえて、当然、これまでの実績を踏まえて次の期間どうするかというような要素もございますので、そういった双方の要因を踏まえながら、現在設定している水準より更に意欲的な数値の設定が可能かについて、引き続き検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、2点目でございます。標準処理期間についての御指摘がございましたけれども、標準処理期間につきましても、事務処理の迅速化による利便性の向上という観点から、引受保険金、代位弁済金の支払い等の項目について、業務ごとに設定をした標準処理期間内に案件の80%以上を処理するということで、目標が出来ています。今、委員のほうから御指摘があったような状況にあるわけでございますけれども、次期中期計画においてこの点どうするかにつきましては、一方で事務コストの増加を招かないように留意をしなければいけないというところについては、十分考慮しなければまいりませんが、更なる利便性向上という観点から、この処理割合の引上げが可能かどうかについては、引き続き検討していきたいと考えております。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。河野委員、どうぞ。
【河野臨時委員】  河野でございます。見直し当初案について御説明いただいた1ページに幾つか・がありますが、その中の上から、適切な保険料率・保証料率、あるいはモラルハザード対策、求償権の管理・回収等についてお聞きしたいと思います。
 この法人につきましては、農業信用保険、林業信用保証、漁業信用保険、三つの勘定があるわけですが、資料を見ますと、林業と漁業については赤字になっております。それから農業については、21、22年度は黒字ですが、20年度は赤字となっています。この赤字対策に当たり、その根幹と考えられる保険料率と保証料率の適切な運営が大事と考えております。これについて事務局から問い合わせたところ、エンドユーザーである農林漁業者の資金調達の円滑化を図ることが目的であることから、事故率・回収率のデータに基づき算定された理論上の保険料率・保証料率より低位な水準に設定しているという、御回答をいただいております。
 この考え方でいえば、理論値から更に低い値に、政策値かもしれませんが、料率を決めているということでいうと、なかなか収支の改善が難しいのではないかというふうに考えられます。こういう理論値より低い値で運営して黒字化できるというのであれば、その理由をお教えいただきたいというのが1点目でございます。
 それからモラルハザード対策として、平成19年度から農業・漁業については部分保証をしています。この結果どういう効果があったのか、お聞かせ願えればと思います。
 最後になりましたけれども、求償権の管理・回収を強化するということでありますが、これは具体的にはどういうような対応をお考えになっているのか。
 以上、3点でございます。
【村井課長】  まず1点目、御質問のございました保険料率、あるいは保証料率の設定の考え方というところでございます。農林漁業信用基金の行っておりますいわゆる信用保証保険業務につきましては、今、委員のほうから御指摘ございましたように、農林漁業者が経営を発展させていくためには円滑な資金供給が求められるということになるわけでございます。その際、特に民間金融機関からの資金供給を円滑に行っていく上で、この信用基金の果たしている役割というのは、大変重要な役割であるというふうに我々は認識をしております。そういった観点から、特に農林漁業の場合には、その産業の特性と申しますか、自然条件にも大変左右されやすい、また現実問題として非常に収益率が低いといいますか、そういった現状にある中で、これらの農林漁業者に対してどういうふうに資金供給を円滑に行っていくかというような観点から申しますと、やはり政策的に一定程度の支援をしながら、保険料率をできるだけ、農林漁業者がこの制度を活用しやすいような形での一定の政策的な配慮というのが、これからも必要であるというふうに考えておるところでございます。
 ただ、当然のことながら、今、国の財政状況は御案内のような状況でございますので、できるだけそういった財政コストも負担が軽くなるように、そういった方向で努力はしなければいけないと考えておるところでございます。
 そういった中で、料率につきましては農業・漁業については20年度、林業については19年度に現在の料率設定としておるところでございますけれども、その後におきましても、各部門において年一、二回のペースで、直近の事故率を踏まえたシミュレーションを行っているというような形で、引き続き検討は行っております。
 その結果、今のところは料率改訂が必要となるまでの実際の事故率との乖離と申しますか、そういった状況にはないということで、今申しましたように、農業・漁業について20年度に設定した水準、林業については19年度に設定した水準で制度を運営させていただいているというところでございます。
 今後も東日本大震災等々の影響、こういったものを考慮していかなければいけないわけでございますけれども、引き続き保険収支、あるいは保証収支の状況を見ながら、料率改訂についての必要性についても、次期中期目標の期間においても引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、モラルハザード対策の関係で御指摘がございましたけれども、先ほども申しましたように、モラルハザード対策としての部分保証を農業部門等において導入しておりますけれども、これにつきましては、確かに部分保証によって一定の成果は上がってきているというふうに我々も認識しておりますので、引き続き、この点については継続して取組を進めてまいりたいと考えております。
 それから、求償権管理対策。特に林業部門においてということになろうかと思いますけれども、この点につきましては、いわゆるサービサー、債権回収業者の活用も、法的措置に伴う案件、あるいは遠隔地等の案件について、現在、取り組んでおるところでございまして、こういった取組も一定の効果を上げているというふうに認識をしております。
 一方で、これらの活用は費用が掛かることもあることから、費用対効果、こういったものも勘案しなければいけないと思っておりますけれども、こういった要素を踏まえながら、求償権の回収額はできるだけ最大化するような形で取組を進めていきたいと考えておるところでございます。
【河野臨時委員】  ありがとうございました。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。どうぞ、宮内委員。
【宮内臨時委員】  宮内でございます。よろしくお願いいたします。
 農林水産省の見直し当初案と財務省の見直し当初案とがありまして、その間でちょっと不整合がございまして、どのようにお考えなのかをお伺いしたいと思います。
 法人のガバナンスの問題で、人件費と経費の増加を招かないよう留意しつつ、内部統制の機能強化など多様な手法によるガバナンスの強化について、財務省の見直し当初案には記載がございますが、農林水産省の見直し当初案には記載がございません。金融業務を行う法人として、内部統制機能の強化など多様な手法によるガバナンスの強化は重要であろうかと思われますので、その辺のガバナンスの強化に関する取組は行われるものと考えてよろしいものなのかどうか、御確認をさせていただければと思います。
【高橋参事官】  特殊会社化の検討というのが一つ、今、現実問題として、担当のほうで取り組んでいる、実は一番大きな作業になっております。それで、当省のほうの捉え方として、ここでそのことが明示的に書いてない理由として、ガバナンスの強化というのがまさに独法改革の閣議決定に至る中でポイントとして議論をされまして、その際の議論がまさに、今の信用基金のこういう部分においてガバナンスが足りてないから、ここをこう改善しろというアプローチではなくて、およそ金融業務をやる、そういう事業主体である以上、会社法のガバナンスが最強・最善である、したがってそちらに向けて検討するようにという議論でこういう閣議決定というものになっておりますので、当省としては、ガバナンスの強化ということの次に取り組むべきことというのは、特殊会社化の検討に尽きるということで、特段、特記をしていないということでございます。
 なお、現行の中期目標においても内部監査の充実・強化というようなことは書いておりますので、そういったことをベースに、またどうしていくかということはあろうかと思いますが、御指摘のガバナンスの強化が明示されていない違いの理由というのは、当省としてはそういうふうな理解でございます。
【阿曽沼分科会長】  ほかに。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。先ほどの、実は年金基金でも御指摘をしましたのであえてちょっと御指摘をしておきますけれど、最初の質問の中で標準処理時間という言葉を使われました。これ標準ではないですよね。今の現行の処理時間ですよね。客観的、総体的にきちんとベンチマークができて、世の中のあたかも標準のような表現というのはいかがなものかというふうに思います。やはりBPRがあって、人的な処理手順があり、そしてICTの使い方があって、その中で現行をより良くしていくということであります。標準という言葉をお使いになるということはいかがなものかなというふうにちょっと思いますので、今後、御検討いただきたいと思います。
 時間の都合もありますので、農林漁業信用基金につきましては、ここで一旦議論を打ち切らせていただきます。御説明いただきました皆様方には、大変ありがとうございました。当分科会といたしましても、本日の議論を踏まえて、また事務・事業の見直しに関する審議を深めてまいりたいと思います。御質問の足らなかった委員もあろうかと思いますので、その場合は事務局を通して再度のお問い合わせ、もしくはワーキングでのお問い合わせということがあろうかと思いますけれども、そのときには何とぞ御対応のほど、よろしくお願いをいたします。
 本日は御多用中、ありがとうございました。皆様方には御退席していただいて結構でございます。
【高橋参事官】  どうもありがとうございました。

(説明者等退席)

【阿曽沼分科会長】  少し予定の時間を過ぎてしまいましたけれども、本日の予定の見直し当初案に関するヒアリング、終了いたしたいと思います。
 事務局から何かありますか。
【北川評価監視官】  次回の分科会でございますが、10月下旬か11月上旬に1度、ヒアリングを受けましての各ワーキングでの検討状況についての中間的な報告の場を予定してございます。それと、年度評価の検討状況の御報告ということでございます。
 以上です。
【阿曽沼分科会長】  はい。ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会を終了いたします。本日は御多用の中、御出席賜りましてありがとうございました。
 

了 

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