会議資料・開催案内等

政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(6月27日開催)議事録


  1. 日時  平成19年6月27日(水)10時00分から11時00分

  2. 場所  中央合同庁舎第2号館 総務省第1会議室

  3. 出席者
            (分科会所属委員)
      金本良嗣政策評価分科会長、新村保子政策評価分科会長代理、高木勇三臨時委員、田辺国昭臨時委員、谷藤悦史臨時委員、田中常雅専門委員、吉野直行専門委員
      (総務省行政評価局)
      熊谷行政評価局長、新井官房審議官、若生総務課長、吉開政策評価官、吉田政策評価審議室長

     
  4. 議題
            1  政策評価機能の発揮に向けて

  5. 資料
            資料  経済財政改革の基本方針2007(抄)(PDF)

  6. 会議経過
    【金本分科会長】  それでは、皆様おそろいですので、始めさせていただきます。
     議題として「政策評価の機能の発揮に向けて」ということになっております。
     それでは、まず吉開政策評価官から御説明いただいて、御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
    【吉開政策評価官】  おはようございます。よろしくお願いいたします。
     私からの説明はなるべく手短にしたいと思います。まず、お手元に資料ということで、経済財政改革の基本方針2007(抄)をお配りしてあります。政策評価の機能を一層発揮させるための方策ということで、これまで政独委、それから政策評価分科会で御議論いただきまして、それを踏まえて去る5月9日の経済財政諮問会議において菅大臣から御報告を行っております。
     その報告を踏まえまして、6月19日に経済財政改革の基本方針2007、今年からタイトルが変わりましたが、これが閣議決定されまして、その中に、御覧いただきますように経済財政諮問会議と総務省・各府省の政策評価に関する連携を強化するということが盛り込まれたわけでございます。
     お配りした資料にありますとおり、総務大臣は、政独委の調査審議を踏まえて、毎年末、経済財政諮問会議に重要対象分野の選定等について意見を述べるということになったわけであります。今後、政策評価分科会、それから政独委におきまして、各府省の評価の実施状況を御審議いただいて、さらに重要対象分野の選定等について具体的な御審議をお願いするということになるわけでございます。
     今後のスケジュールといたしましては、本日の分科会、それから7月20日にもお時間をいただいておりますので、この分科会で今後の進め方について御議論いただきました上で、概算要求に向けて出されてきた各府省の評価書を実際に検討していただいて、評価の実施状況を踏まえた重要対象分野の候補選定を行っていただくということを考えております。
     このような、実際に評価書を見た上での検討作業ということを行うためには機動性が必要であると考えられますので、分科会の下に少人数のワーキンググループを設置してはどうかと、事務方としては考えております。この点につきましても分科会で御議論いただければと思っております。
     次に、重要対象分野の選定につきまして、現時点におきます事務方としての考え方を御説明申し上げたいと思います。
     まず、重要対象分野というのは最終的には経済財政諮問会議から提示されますので、その点を考えますと、対象分野というのは経済財政諮問会議の審議に資するものであるという必要があると考えております。言いかえますと、安倍政権が掲げる政策を効果的・効率的に推進していくために政策評価をどのように活用していくかという観点から選定すべきではないかと考えております。
     このため、選定の単位といたしましては、安倍総理の施政方針演説、それから所信表明演説に掲げられた政策を基本といたしまして、必要に応じて骨太等の閣議決定に掲げられたものも含めていくということにするのが適当ではないかと考えております。
     直近の施政方針演説では、「美しい国、日本」という大きな柱の下に、「成長力強化」「再チャレンジ」「魅力ある地方」というふうに柱が並んでおりまして、さらに「成長力強化」でいいますと、その下に「進路と戦略」「イノベーション25」「生産性加速プログラム」という形で項目が並んでおります。「成長力強化」のレベルですとか、「進路と戦略」のレベル、どういうレベルのものを対象分野として選定するかという論点は別途あるかと思いますけれども、いずれにしましてもこれらの政策は府省横断的なものとなっているものが多いと考えております。
     府省横断的な重要政策を取り上げるとしますと、その場合の評価の視点が幾つか考えられます。
     一つは達成目標が明確に示されていないものがあるのではないかということでございます。それから、目標と政策手段との関係が不明確ではないかという視点も考えられます。つまり、府省横断的な上位の政策に対しまして、各施策がどのように貢献しているのか、あるいは貢献していくと想定されているのかという脈絡が明らかではない場合があると考えられます。
     それから、全体の進捗状況の把握ですとか、主要な施策・事務事業についての掘り下げた分析を行うことも必要ではないかという視点もあるかと思います。
     そのほか、評価の戦略的実施ですとか、必要に応じて費用と効果の分析を行うべきではないか、政策の特性、それから評価の視点、ねらいに応じた評価方法の適切な選択ということも挙げられるのではないかと思います。
     また、各府省から意見を聴く機会を設けるべきではないかとも考えております。
     最後に、府省横断的な政策を取り上げるという前提で考えますと、そういったものについての評価を効果的・効率的に行うための工夫としましては、一つは関係府省がそれぞれ自己評価を行って、総務省が取りまとめの段階で工夫して、わかりやすく取りまとめるとか、総合調整官庁による評価というのもあり得るのかなと考えております。また、総務省と各府省が共同して評価を行うといったことが考えられるのではないかと考えております。
     今回の取り組みの眼目は、一つは、各府省の自己評価の枠を超えて、広い視野から個々の重要政策について全体としての進捗状況を把握するということがあると思います。もう一つは、総務省が各府省とは異なる視点から、重要政策に関連する個別の施策の意味を問い直してみるということにあるのではないかと考えておりますが、ただ、重要政策と言われているものの中身を見ますと、多数の個別の政策が重要政策の傘のもとに寄せ集められているというような状況になっておりまして、このような構造なものですから、重要政策についての評価をうまく実施していくということはなかなか難しい課題であると考えております。したがいまして、先生方のお知恵を拝借しながら進めていきたいと考えております。
     この分科会におきまして、自由な御議論をお願いしたいと思います。
     私の説明は以上でございます。
    【金本分科会長】  ということで、あまり具体的な方針はないということでありますので、これから御議論いただくということかと思いますが、何でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。
     重要政策については、大抵の場合、既に本部のようなものが置かれ、推進のための計画が策定されており、その評価をすることになっていて、一応やっているわけですよね。そういうものについて、これから新しく何をやるのか、各府省がやっているやつをおかしいというというスタンスでいくのかどうするのかというところが非常に悩ましい。ある意味で重要政策分野というのを決めてそれを評価しますというと、最初からどん詰まりになっているという感じがあります。だからちょっと視点を変えて見ないと、どういうアプローチをするかというところを考えないと、評価が有効に使えるということにならないんじゃないかなという感じがします。
     吉野委員、どうぞ。
    【吉野専門委員】  あまり私の専門の分野ではないのですが、各省庁がやっている政策の連携がどうかというのは見られるのではないかと思います。さまざまな政策をいろいろな省庁でやっていると思うのですが、おそらく縦割りになっていると思いますから、その連携はうまくいってないと思うんです。だからまずそこを一つやっていただき、指摘するといいのではないかと思います。
     2番目は、短期的には難しいと思うのですが、各省庁がやった政策の評価をきちんとしておきますと、この次の例えば5年間に、こういう政策はやるべきでなかった、こういう政策は効いていたんだということができるのではないかと思いまして、もう少しフォワードルッキングで、短期的というよりは長期的に、各省庁がなかなかできないような、自分のところでは言えないような評価をキチンとしていただいて、それを将来にうまく反映させていただくということがいいのではないかと思ったんです。
     それからあとは、評価のときの短期的な効果と、もちろん中長期的な効果という両方を見ていただかないといけないと思いました。
    【谷藤臨時委員】  質問ですが、重要な政策分野を決定する最終的な主体というのは、経済財政諮問会議ということになるわけでしょうか。総務大臣から、こちらの方はこういうものにしたいということを具申し、最終的な判断は、経済財政諮問会議ということになるわけですか。
    【吉開政策評価官】  基本方針2007の(4)の2)を御覧いただきますと、経済財政諮問会議は重要対象分野等を提示する、ということになっておりますので、最終的に決定して提示する主体は経済財政諮問会議でございます。
    【谷藤臨時委員】  重要政策の分野が決定され、政策評価を実施したといたしましょう。そうしましたときに、政策評価のスケジュールは、単年度ごとに経済財政諮問会議に報告することになるわけでしょうか。
    【吉開政策評価官】  基本的には各省の政策評価は年度単位でやっておりますので、年度単位で総務省が取りまとめるなりして、経済財政諮問会議のほうに報告をするということになると思います。
    【谷藤臨時委員】  それは予算の効率化等ということに反映させるということの考えなんですか。そうしますと大変なスケジュールでこなしていかなければいけないと思います。一つの傘のもとにたくさんの個別政策分野が連なっているわけです。そうすると、重点化でも、その中からまた個別政策の選定作業をしていかなければいけないということになりますけども。
    【吉開政策評価官】  まず、重点政策というのを選んで、その重点政策の中の個別政策を全部評価するのか、その中から選び出して評価するのか、その辺はまたいろいろやり方があると思いますので、それについても御議論をいただければと思っております。
    【谷藤臨時委員】  わかりました。
    【金本分科会長】  報告のタイミングは評価法上の1年に1回というやつを必ずしもやる必要はないのかなと思いますが、適切なタイミングで経済財政諮問会議に中間的な報告をするというのは当然あり得る話だと思います。
    【吉田政策評価審議室長】  谷藤委員が今おっしゃられた、各省が要請を受けて評価を行っていくスケジュールとの関係なんですが、毎年末に、骨太2007にあるように、選定の意見を述べて、経済財政諮問会議からそういう分野提示が出てまいります。各省が評価法の土俵の上にのっけて、評価の対象を決めたり、やっていくための実施計画というものをつくる仕組みになっておりまして、通常これは年度末に翌年度の実施計画というものをつくる仕組みになっております。ですから、提示されたものを受けとめて評価の土俵にのっけていこうと思ったときに、普通のスケジュールでいけば実施計画にのせて、それで一番早くて翌年度の概算要求に間に合う8月末ぐらいまでに評価結果が出て、ですから、提示があった翌年の概算要求に反映させるべく当該政策については何か見直しの結果が出てくるというのが一番端的なケースなのかもしれません。
     ただ、ここで御議論いただく際には、そもそも要請を出す段階で評価の切り口とかタイミングとかといったものも含めて要請というのは出し得るんだと思いますので、本当に、今まさに年末の予算編成過程で反映しなければいけないような事柄について、それこそ何か緊急に対応しなければいけないようなものがあったときにどうするのかというのは、ある種この仕組みの限界事例のようなものとして考えなければいけないケースかも知れません。ですから、そういう意味では、タイミングを含めて、何か画一的に型にはまって、こういうふうにカレンダーが流れていくであろうということを予め限定的に考える必要もなくて、いろいろ幅があるということだと思います。
    【田辺臨時委員】  あまり考え方がまとまっていないんですけども幾つかございまして、私は重要対象分野の選定の単位としては、総理の施政方針演説や所信表明演説に挙げられた政策を基本として選定すべきではないかという点、それから経済財政諮問会議の議論等も見て選定するという点は、原則としてはそうだと思うんですけども、なかなかこれは難しいところがあるのではないのかなと思っています。どういうことかというと、例えば、基本方針2007というのは、2008年度に執行する予算について基本方針を固めているわけです。そうなると12月に意見具申したとしても、2008年度の段階でまだ執行されていない可能性があるので、執行してパパパッとやって8月の段階まででまとめろといっても、非常に中間的になってしまって、インパクトというんでしょうか、社会経済に対してどういう効果があったのかというのを見ようとするならば、間違いなく未成熟な報告、評価しかできない可能性があるということです。
     そうなると、何が言いたいかというと答えはすごく単純でありまして、時間差攻撃でいろいろな玉を出しておかないと危ないのではないのかなということであります。つまり、2007年で強調されているかもしれないけれども、2007年度に今の段階で執行されているもの、つまりその意味では小泉政権が昔言って挙げたものかもしれませんけれども、その種のものに関してはある程度取り上げていかないと、意見具申した後にまとめろと、毎年動くかというと、そういうものも入れておかないと動かないのではないのかなというのは1点です。
     その点ではもう少しバラエティーを増やして、リスク分散ではないですけど時期的に分散させて効果が出るもの、あったもの、それから進行管理みたいな形で見ていくもの、次の計画の策定に合わせてタイミングよく、ここが問題になったんじゃないですかというのを出すという幾つかのパターンとレパートリーを組み合わせるという必要があるのではないのかなと思っているというのが1点目です。
     要するにこの前の年度でバーンと打ち上げて、それが翌年度にどういう形になっていったのかというと、アンブレラの中で個々のやつはどのくらい効いているのかということなんですけども、おそらく効果自体はまだ発揮されていないと思いますので、どこまで各府省が取り組んで進行したのかという進行管理の評価になってしまうと思うんです。
     それも一つのやり方だとは思うのですが、それだけに限定する必要はないと思うので、もう少しレパートリーを広くとって、リスク分散も図ってやらないと、危ないとは言いませんけれども、効果が全体として出ないで毎年続いてしまうような感じになってしまうんじゃないのかなというのが、今ちょっと考えたことでございます。
    【金本分科会長】  基本的に重要分野というのは、調整のメカニズムとか担当本部とかがあるんです。ですから目標がどうかとか、目標に従ってどうなっているかということを評価法上やるというのは進行管理を二重にやるということにすぎなくて、それはほとんど意味がないんだろうという気がしています。
     目標達成計画の達成状況について検討して、それなりの評価をするということになっていて、当然やるわけですが、それを評価法上の評価にするということにどれだけの意味があるかというと、ほとんど意味がないなという気がしているんです。基本的に現場の若い人の仕事を増やすだけ、余計な手間が増えるだけという感じだと思うんです。だから、その辺をどういうふうに切っていくかというところが一つ問題で、もう一つはほとんどの政策は、今回だけ、今年度だけということではなくて、過去のずっと積み重ねがあるんです。そういう政策分野については長いスパンがありますので、そういったものをやっていくということかなと思うんですが、どういう視点でやるかということについては、単にダブったことをやるということでないものは何なのかというところが問題かなという感じがします。
     省庁間でうまく調整できているかどうかについても、これは調整する仕組みが大抵できていまして、それがちゃんとできているかどうかをまた外から評価するというだけだとあまり有効ではなさそうだと。担当者はちゃんとやっているよという、そのための理屈を考える、それだけの話になりそうだという感じなんです。
     一つあり得るかなと思ったのは、規模が大きな政策について、費用対効果といったものを分析し、評価するだけの時間が各府省の現場になかなかないんです。そういったものについては少しマンパワーと資源をかけてやるとプラスになることはあるのかなと思いますが、これもやると嫌がるところがあったりして、そうするとデータがなかったり、それはなかなか大変かなという感じもあります。
    【新村委員】  あまり明確な考えはないんですけども、まだまとまっていないんですけども、重要対象分野をやろうと決めた段階でかなり一つ踏み切ったと思うんです。各省のマネジメントサイクルというような議論からは離れたと。そうなると当然こういうふうに施政方針演説だとか、時の内閣と密接なものをうまくやっているかというのをチェックしようという仕組みになるのかなと思っていたんですけども、そうしますと、今金本先生がおっしゃったように、たいがいの重点戦略というのは内閣府に本部ができているんです。ただ、その本部が一体何をやっているかというと、私の昔の記憶では本部というのは、ただ各省から来て、これは関連予算ですと言われた予算書をバチッとして、これは男女共同参画予算の一覧表ですというのがあるぐらいなんです。
    【新村委員】  だから、きちっとした評価を本部はしていないというのが私の理解なんです。そうすると、このレビューというのが一体本当に何をやっているのかというのを最初にチェックする必要があって、本部によってはやっているのかもしれないけれども、私の理解では多分各省がやった予算をバチッとやって、これが構造ですといって、並んでいる施策が関連施策ですと。関連施策にすると予算が取りやすいということもあるから、要するにあまり直接関連のないものをどんどん突っ込むわけです。
     そういう慣行がある中で、こういう評価をどうするかということを考えなくてはいけないと思うんですが、私はやっぱりやたらに重要政策のアンブレラの中に突っ込むという姿勢自体を変えていったほうがいいと思うものですから、やはり例えば重要対象分野の数を限って、各省にきちっと評価法上の評価をやれと義務づけて、本当にこれが大目標とどういう関係を持っているのかというのを自己評価させて、それで全体像が見えるようにしないと、例えば委員会が重要そうな施策を100以上にのぼるもののうちから10個選んで評価しましょうというと、全然これまでのシステムと変わらないんです。だから一度総ざらい的に全部きちっとやれといって、本部と重なってもいいと思うんですが、本部は私はマンパワーがないのでキチッとしたレビューができていないんじゃないかと思うんです。だからその役割を一つずつ取り上げて、一つずつとは言いませんけれども幾つか取り上げてやっていくということが、これまでの本部をつくってやっていますといった感じの体制が変わり得るのではないかという感じを持っております。
     そのときに、ただ本部といっても多分こういう重要政策というのは本当に各省の結構シニアな人が集まっているだけでマンパワーがないと思うので、そことの連携は必要であって、実際にだれが評価をするかということを考えると、施策の規模が100以上にのぼるような大きな政策については、総務省が総合性確保評価でやれるかといったらやれないと思うんです。やっぱり各省の自己評価を寄せ集めて、それを評価するという形でしかやり得ないのではないかという感じなんです。そして、だからそのときに評価法上のフォーマットできちっと出させて、それの相対的な重みというようなもの、大目標に対してどの程度貢献しているかというものを最終的に、どこまで書けるかわかりませんが評価する。それを総務省がまとめればよいのではないか。そのときにでき得るならば費用対効果という定量的な情報を出させることが必要で、それらが各施策に入ってくることによって、全体の鳥瞰図が見えるというようなイメージをかいているんですが。
    【金本分科会長】  一つは評価法上の評価がちゃんとした評価かというと、そんなことは全くないんです。評価すればいいということになっていますので、何も中身についてはないんです。だから評価法上の評価をさせるということと、ちゃんとした評価をすることというと全く違いますので、それをちゃんとした評価にするにはどうするかということも考えなきゃいけない。
    【新村委員】  そうですね。
    【金本分科会長】  フォーマットというのは、またどうすればいいかということがあって、ほうっておくと紙が1枚余計に出てくるだけと、そんな感じになりますので、そこのやり方をどうするかというところが問題かなと思います。
    【新村委員】  ただ、私が思っているのは、今各省が各自、重要政策との関連だといって、一応去年から評価をしているわけですが、関連していますと言うだけなんです。そうではなくて、重要政策の大目標にこの施策がどういう貢献をしているんだということを自己評価させるというような、そういう意味では重要政策に関してどういう視点で何をどのように評価せよというのは、評価法で書いてあること以上に一つのガイドライン的にそろえないと比べられませんので、それは議論してつくっていく必要があるかと思いますが、私が思ったのは、各府省に、重要政策を構成するコンポーネント、全部の施策を統一的に評価させるということに意味があるのではないかという感じを持ちましたということです。
    【金本分科会長】  具体的にどうなるかというのは、本部ごとに点検・評価のための組織や委員会が置かれているということでお茶を濁される。だからこういったものがちゃんと評価を見ているということになっていて、そこに出さなければいけないということに一応なっているということですので、それを超える何かをやらないといけない。あと、統一的な評価というのは若干問題で、下に行くんです。評価のレベルが誰にでもできるものに落ちてしまうという問題点がある。この辺をどう考えるか。実際にいろいろな分野がありますので、ちゃんとした費用対効果なんかできないというところはごまんとあるわけです。それを我々はどうすればいいんだといって、下に基準が落ちてくるということがありますので、なかなか実際にやり始めると一筋縄ではいかないなという気がします。
     そのほか、いかがでしょうか。では、谷藤委員。
    【谷藤臨時委員】  田辺先生も御指摘になられましたけれども、一つは進行管理的なところで政策評価をやっていきますと、戦略の変更ということにはうまくつながっていくと思いますが、大変気になっていることがございます。過去の政策についての総合的な効果の評価がないままで、新しい政策が次々実行されてくることに対してすごく懸念を持っているんです。過去にやった政策は、何をもたらしたのかということが問われないまま、新しい政策に移行していくということがいっぱいある。その意味で、先ほど田辺委員もおっしゃいましたけども、過去の政策と言われるものが一体何だったのかということを、進行管理上の政策評価をやるものと同時にそういうものを蓄積していかないと、新しい政策の開発につながっていかないだろう。過去の重点政策と言われるようなものをじっくりと長期間にわたってやるということも必要ではないかと思います。
     経済財政諮問会議に貢献することは必要だと思いますけれども、そこばかりいくと進行管理上の評価だけに重点化され、過去の部分が何も評価されないままに進行してしまうんじゃないか。
     それから進行管理上の問題で述べますが、今新村委員がおっしゃったことにも少し関連するかもしれませんが、規模の大きな政策と言われる施策群の中に、例えば重複はないんだろうかということです。政策の間に、例えば資金の二重支給があったり、支援策に対する重複した資源支給みたいなものがないのかを検討する必要があるのではないだろうかと。例えば政策体系そのものを単純化していくということだとか、調整していくということは、本来本部がやるべきだろうと思うんですが、メタ評価としての総務省がそこに踏み込むべきなのではないだろうか。各省庁がやっている評価とは別な視座を提供するとしたら、そこにあるだろうと。各省庁がやったものをもう一度同じような手法でもってここでやったとしても、あまり意味はないんじゃないか。
    【金本分科会長】  なかなか実際具体的にどういうイメージになるかという出口を考えると、今のお話もよくわからないところがあって、何とか本部というのがちゃんとやっていない、ここに問題がありますと指摘しても、じゃ、何をするのかと。行政評価局の定員を割いて持っていくのかという議論になって終わりそうだなという感じがします。その辺をどういうふうにやるかというところが結構、意外に最初頭で考えているときはうまくいきそうなんですが、具体的なイメージをしばらく前から考えているんですが、なかなか大変だなという感じがあるんです。
     過去のを地道にというやつは既にやっている話、本来やっているべき話です。今回は、それについていろいろな批判があるので、もう少し役割が目に見えるようなものをやったらどうかということだという気がしています。当然切った張ったをやる組織ではないし、やるものでもないので、過去の歴史等をちゃんと見て、キチンとした評価が次につながるというものをねらうということだと思うんです。中小企業の政策とか地方支援の政策って50年来続いている政策ですが、ボロボロなんです。金を投入してもうまくいっていない。そういう意味ではあまりに明白過ぎるということもあるんですが、そういうことをちゃんと評価するというのもまだ重要ではあると思います。
    【吉野専門委員】  関連なんですけど、例えば環境政策のように、これまで相当長い政策を随分やられているわけですから、それの評価というのはぜひどこかでやっていただきたいと思うんです。それをしていたことが、過去のこういう政策はこれくらいの効果があり、そうするとそれがうまく来年度の短期的な予算に反映されればいいのではないかと思いますし、今金本先生がおっしゃったように、中小企業の政策でも、農業の政策でも、すごく長い間続いている政策については、長期的なしっかりした政策評価が必要であるような気がします。
    【金本分科会長】  重要政策のうち、例えば少子化については行政評価局がしばらく前に評価をしているんです。それ以上のものがどうやればできるかといったことも一つの問題になります。
    【田中専門委員】  各省庁でやっている評価というのはかなり数値目標がはっきりしていますが、少子化対策では、例えば保育所を幾つつくったというところで留まっています。そこから先の少子化対策という大目標は何なのかというのがやはり明確ではないというのが一番の問題だと思います。それは、政策評価の問題ではなくて、政治や政策そのものの問題なのかもしれないのですが、ただ、ここの間を埋めることも政策評価の役割だと思います。例えば保育所の数が増えたことが、少子化の目標、例えば出生率が上がるということであったり、生活、働く環境がよくなることであったり、女性の働く割合が増えるということであったりと、幾つかある中には矛盾する目標に対しても、それぞれどういう効果があったかというような評価はできると思うのですけれど、そういった評価はしていません。なぜしていないかというと、少子化対策というような大目標の具体的な目標がはっきりしていないからできないでいます。ただ、もしそうだとしても、こういう評価ができますというような下からの示唆というんですか、上の政策に対してのヒントを与えられるようなことはできると思います。ここは明らかに抜けているような気がするので、重要対象分野の評価の視点等としても幾つか挙げられていますが、その辺が何とかできないかなと感じています。
    【金本分科会長】  今のイメージは少しつかめないところがあるんですが、今各省が評価しているのはインプット段階で、それが国民の生活にアウトカムとしてどう反映しているかというところがないという整理でいいのか、もうちょっと違うものなんでしょうか。
    【田中専門委員】  例えば、少子化対策をどうしようと国が思っているのか。何のための戦略を打ち立てようとしているのかががよくわからないのです。出生率が下がって子供が少なくなるのが問題だと言っているわけで。働きと生活のバランスがとれていないからということや、それから女性の社会進出がもう少し環境が整ってもいいんじゃないかなど、幾つかの課題がありますが、少子化対策全体の目標がはっきりしていないような気がするんです。例えば外国人労働者を入れるという問題もそうだし、少なくなった労働力に対してどう産業界は応えるかというようなこともあるだろうし、そういったことを一連で考えて、どういうふうに国が将来をイメージしていくのかというのがないので、その前の段階の評価でとまっているような気がするんです。
    【金本分科会長】  それはあるかもしれません。それを実務家レベルの評価でできるかというところがあって、イメージ的には政党のマニフェストにある話かなというイメージなんですが。
    【田中専門委員】  いや、ですから政策をどれにするかという話でなくてもいいんですが、いろいろな視点で政策を評価したらどうかと思います。例えば今各省庁でやっているのは全国一律の評価です。明らかに場所単位、自治体単位で、出生率の違いだとか環境の違いがはっきり出ているわけですから、その要因をもう少し浮き彫りにさせてもいいような気がするのです。それから、労働力を確保するためにどういうふうに考えていくのか。生活を重視するというような目標があって、少し産業のペースが落ちてもいいと考えるのか、そうではなくて、産業の成長力のペースを加速するという目標があって、少子化対策をしろと言っているのかというようなことも、明らかにちゃんとした議論がなされていないと思います。少子化対策については国の全体的な目標がない状態なんです。
    【金本分科会長】  何か感じとして、議論しても結論が出そうにないような、だからやらないという感じもありますが。
    【田中専門委員】  でも、そうなるとやっぱり評価はできないことが多いわけです。少なくとも部分評価しかできていない。全体評価はできてないです。
    【金本分科会長】  必然的にそういうふうになることが多いかなと思いますが、議論して、そういった大戦略が具体的な姿で描けるかというと、我々が言っても意味がないのかなと。個人的な意見は言えますけども、政府全体としての意見にならないものについて、ちょっとどうにもしようがないなと。
    【田中専門委員】  例えば出生率の上昇に対し、どの施策が一番効果的であったかという因果関係を浮き彫りにし、検証するようなことはできると思うのです。
    【金本分科会長】  それは私が最初に言っている効果のところですね。これをどこまで、因果関係を含めて、実際の証拠からつかめるかというところはできることかなと思います。ただ、実際上かなり難しくて、行政評価局の人的資源がそれに向いているかというのがまたなかなか難しいところです。
    【田中専門委員】  どこかでそういう全体の目標に対してどういう効果があったのかというのは、大きなテーマについては必要だと思います。それが全体目標の部分であっても構わないと思いますが、個々の目標に対してどういう効果があったのかというのはやっぱり全体的に見る必要があるのかなと。
    【金本分科会長】  ちょっと皆さんにイメージを持っていただくために言うと、例えば、地球温暖化対策って非常にそういう面で簡単なんです。温室効果ガスの削減にどの程度の効果があったかということで一律的に定量的評価が可能なんです。聞くところによると最近では財務省も補助金等々を要求すると、1万円でCO2何トンぐらいの効果があるんだというデータを出させると言っていますが、そういったことはできるんだと思います。
     実際にはなかなかそういう効果の推計って難しいことが多くて、やられていないところのほうが多いのかなという気がします。そういったことは一つのやることとしてあるのかなという気がします。私のイメージは、政策分野というのもいいんですが、何かやらなければいけないと思いますが、評価が有益に貢献できる舞台というのはもう少し横断的なものではないだろうか。効果をどういうふうに見ていくかというところが一つだろうという気がいたします。
    【田辺臨時委員】  別に相変わらず、時間がたっても意見がまとまって頭の中がクリアになるというわけではないんですけども、一つはやっぱりこれは経済財政諮問会議というところで出てきますので、その効果が発揮できるところは2つありまして、一つは要するに評価でここをやりますよという、要するにいろいろ世の中に施策があって見たいところはあるんだけども、経済財政諮問会議が政権全体として、政府全体としてここに着目しますという宣言をすること自体の意味があるのではないかと思うんです。
     2番目の効果というのは、評価結果が出てきて、これは実質的な意味なのかもしれませんけれども、こういうところに問題があったから次はこうしてくださいという形でつなげるという部分だと思うのですけれども、おそらく金本分科会長の評価論はすごくまじめで、結果として何かプラスアルファのところがあるかということなんだと思うんですけれども、ただ、入り口のところの効果というのも結構あるのではないのかなと個人的には思っています。
     要するにいろいろな施策が現にやられているわけですから、これで一応どの組織というか、どの基本計画みたいなものを持っているところでも、改定前には評価しますということが入っていますから、それ自体はどこもやっているということにはなるんですけども、ただ、経済財政諮問会議のところで、あなたのはチェックします、これは重要だと思いますということで、若干びびらせるというわけではないですけども、ほかに比べて、あっ、何かやらなければなと。それは別に既存のルートで現に行われているものなのではあるのですけども、並びではなくて、やはりもう少し頑張ってよというメッセージ的な、エールを送るような側面があって、そのような側面から評価することも効果的ではないか。また、どうサポートするかという形の対応はあり得るのではないかと思っています。それは簡単に言うならば、現にやられているものはあるわけですから、それにスポットライトを当てて、おそらくこっちが積極的に出るというよりも、むしろチェックに近いような形で評価という名前のところの作業というのをやる。それで、ある種キチッと取りまとめて出すというようなところというのが全くないわけではないのかなと思っております。ただ、それだけだと結構むなしいので、もう少し実際に何ができるのかというのはキチッと考えないといけないと思っているところです。
     ただ、もう少し面倒くさいというか、細かい話を言っていきますと、重要対象分野の選定や評価の視点は、これはやっぱり一つに限定せずに幾つか選択肢を置くとよいのではないかと思うんです。特に、選定のところでもいろいろなやり方があると思いますし、大きな玉で全部横断的に見るというのもあるかもしれませんけれども、比較的小さな玉だけれどもキチッとやっておいて後につなげるみたいなものもあるかもしれませんし、それから評価の視点でも、例えば新村委員がおっしゃったような全体の大目標にどのように影響しているのか、これは関係あるのかというのは、ある意味ではロジックのところの話なので、ロジカルフレームの評価みたいなものをやって全体との関連をチェックすると、これ自体はガッチャンコやっている際にはあまりキチッとやっていないのかもしれませんけれども、かなり初期の段階で、これって本当にどこまで関係あるんですかということを問い続ければ減らしていけないこともないやり方になりますし、それから2番目は、動き出したという後で、進行管理的な評価でインプリメンテーションがどこまでいっているのというところをチェックするというようなやり方もありますし、3番目は社会的なインパクトが具体的にどうあったのというところをキチッと見るというところと、それから最後は費用対効果の検証で、コストとそれから実際にインパクトがあって、その便益というのもきちっと見るというところなんだろうと思いますけれども、何が言いたいかというと、一つに限定せずに評価の熟度によって幾つかやっぱり種をまいておいたほうがよく、いろいろなやり方で報告すべきなのではないのかなと思います。
     そういうふうにロジカルフレームだけチェックしていたとするならば、初期の段階しか見てないんじゃないの、インパクトはどうあったのと言われるのは当たり前ですし、それからおそらく費用対効果みたいなところになるとできる部分からやってしまいますので、全体を見ていないんじゃないのと言われる可能性もありますし、また進行管理のところだけ見ると、結局それって進行管理だけじゃない、最後どういうインパクトがあったのなんていうようなことを聞かれかねない、問われると思うので、そこはやはりもう少しいろいろな入れ方をしておいたほうがいいのかなというのが2点目です。
     それから3番目は、府省横断的な政策の効果的・効率的な評価に関してですけれども、いろいろなやり方があるのではないのかなと思っています。基本的にどこかがまとめなければというところなのではあるんですけど、分業してまとめるやり方もありますし、こちらのほうで拾ってくるというのもありますし、もう少しバリエーションを考えていったほうがいいのではないのかなということでございます。
     あまりまとまりのある意見ではございませんけれども、以上申し上げた次第です。
    【金本分科会長】  そのほか何かありますでしょうか。
    【谷藤臨時委員】  今回求められているのは、政権と、その政権が提示する政策との関連で、政策評価しろという視点だと思うんです。そうしますと結果的には内閣に置かれる本部との連携・協力を強化しろというメッセージだと思うんです。総務省のメタ評価そのものが、内閣との、本部との、連携性というものを高めるようなシステムを新たに構築していくべきだろうと思うんです。それは本部との資源の共有だとか、スタッフの共有をすることによって、さらに統一性、総合性評価と言われるようなものを実施していくというようなシステムづくりも考えていいのではないか。もし、関係府省庁による評価を単に取りまとめるのだったら、何か新しいことは生み出されないような感じがしております。以上です。
    【金本分科会長】  まだ、きょう結論を出すという話でもございませんので、いろいろなアイデアを個別に事務局にも提示していただければと思います。基本的に、今、谷藤委員のほうからありましたけども、政策評価の有効性が問われているんだと思います。本来もう少しちゃんとした有効性を発揮すべきなんですが、なかなかそういうわけにいっていないというところがすべての出発点かなという気がしていて、ここで我々が考えなければいけないのは、評価が有効に活用されるための方策は何か、どのようなやり方で評価をすれば、国民のためになるか、もっと大きな国民にとっての便益をもたらすかという視点だと思うんです。そういう視点に立っていろいろなアイデアをお出しいただければと思います。一つだけやるということでは多分ないんだと思いますが、今ある資源、これからワーキンググループ等に新しい人たちに入っていただくとか、これから入ってくるかもしれないという資源も含めて、どういうふうに組み立てればいいかということを、これから検討していただきたいと思います。
    【高木臨時委員】  最後に1点だけ。評価の効果といった意味では、新村委員とか田辺委員がおっしゃられたようなところ、すなわちこじつけみたいな形でいろいろ各省のほうで大きな政策に対しての予算というところから試算が出されるという、ここのところの整理というのが我々のほうの目標と考えてもよろしいんじゃないかなと思います。
     ちょっと意見として申し上げておきます。以上です。
    【金本分科会長】  ちょうど時間でございますので、このあたりにさせていただきたいと思いますが、次回について事務局のほうからお願いいたします。
    【吉開政策評価官】  本日は各先生方からさまざまな意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。今日の議論を整理いたしまして、事務局のほうでも検討いたしまして、次回に向けてまた資料をつくってまいりたいと思います。
     次回は7月20日金曜日に予定しておりますので、また資料につきまして御相談を申し上げたいと思います。
     どうもありがとうございました。
    【金本分科会長】  それでは本日の分科会を終了いたします。
     どうもありがとうございました。

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