会議資料・開催案内等

政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(7月20日開催)議事録


  1. 日時  平成19年7月20日(金)10時00分から12時00分

  2. 場所  中央合同庁舎第2号館 総務省第1特別会議室

  3. 出席者
            (分科会所属委員)
      金本良嗣政策評価分科会長、新村保子政策評価分科会長代理、寺尾美子委員、高木勇三臨時委員、田辺国昭臨時委員、谷藤悦史臨時委員、田中常雅専門委員、吉野直行専門委員
      (総務省行政評価局)
      関行政評価局長、新井官房審議官、若生総務課長、吉開政策評価官、横山評価監視官、吉田政策評価審議室長

     
  4. 議題
            1  自然再生の推進に関する政策評価の方向性について
      2  外国人が快適に観光できる環境の整備に関する評価計画について
      3  政策評価の機能の発揮に向けて
      4  規制の事前評価について

  5. 資料(PDF)
            資料1  自然再生の推進に関する政策評価 説明資料
      資料2  外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価 説明資料
      資料3  経済財政改革の基本方針2007(抄)
      資料4  行政機関が行う政策の評価に関する法律施行規則案

  6. 会議経過
    【金本分科会長】  ただいまから開会させていただきます。
     まず、事務局側に人事異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。熊谷行政評価局長の後任として関行政評価局長が着任されました。ここで、関局長より一言御挨拶をお願いいたします。
    【関行政評価局長】  今、御紹介をいただきました関でございます。
     どこかで見かけたことがあるなというふうにお思いの先生もいらっしゃると思いますけれども、私は、平成16年1月から17年夏まで審議官を務めておりまして、17年夏に関東管区行政評価局というところに、さいたま新都心にあるわけですけれども、異動になりまして、そちらで1年11カ月ほど過ごしておりました。この度、再びこちらに来ることになりました。
     この政策評価につきましては、経済財政諮問会議との連携で一つの仕組みができたということでございます。そういう大きな枠組みはできたわけですけれども、そこにどんな内容を盛り込んでいくかということは、これまた非常に難題だなと思っておりまして、事務局といたしまして、先生方の御議論を踏まえた上で的確な対応をしていく所存でございますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。
    【金本分科会長】  それでは、議事に入らせていただきます。
     議題は4つございますが、まず1の「自然再生の推進に関する政策評価の方向性について」、横山評価監視官に御説明をいただいた上で、質疑応答をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
    【横山評価監視官】  横山です。よろしくお願いします。
     それでは、資料1−1を御覧いただきますと、「自然再生推進政策の体系」について書いております。この政策の目的は、生物多様性の確保を通じて地球環境の保全に寄与することです。それから、基本理念としまして、地域の多様な主体が連携して、透明性を確保しつつ、自主的かつ積極的な取り組みを実施することです。それから三つ目のところで、科学的知見に基づいて実施することです。それから五つ目のところで、自然環境学習の場として活用されるよう配慮することとされております。
     次に、「自然再生事業の実施スキーム」を書いております。自然再生の対象となるものは、河川、湿原、干潟、里山、森林といったものであります。そして、この事業の主体は、自然再生協議会であります。そのメンバーとしては、地域住民、NPO、それから国と地方公共団体、さらに自然再生の専門家といった方々がメンバーになっております。このメンバーのどなたが発意をされても自然再生協議会を設立することができるという仕組みになっています。
     そして、この自然再生協議会が全体構想を作成します。全体構想というのは、目標とかそれぞれの構成メンバーの役割分担を書いたものです。その構想に基づいて、行政機関又は地方公共団体、NPOといった人たちが、それぞれ実施計画を作っていくということになっております。その上で、自然再生事業を実施するという仕組みになっております。
     現在の協議会の設置状況ですが、全国で18協議会が設置されています。このうち、全体構想を作成したのは15協議会です。このうち、個々の実施計画を作成したものは8協議会です。このうち、事業実施に至っているものが6協議会ということです。自然再生事業は、最終的な効果が発現するまでに長い年月を要するものでありますので、今回、政策の最終的な効果そのものをダイレクトに把握するには至りませんでした。
     次に、資料1−2を見ていただきますと、どういう観点で効果を把握しようとしたかについて書かせていただいています。左から2つ目に「設問」という項目があります。まず、「法の制定を契機として」とあります。この法律は、平成15年1月に施行されたものですが、この法律が、どのような形で社会に影響を与えたのか、法の制定を契機としてどのような効果があったかということをみたわけであります。
     それで、右側を見ていただきますと、自然再生推進法の制定によりまして、自然再生事業の増加、環境保全活動を行うNPO法人の増加、地域における自然環境学習への取組の増加など、多様な主体による自然再生への取組がみられ、法の制定による効果が発現しつつあります。
     具体的に、資料1−3の4ページを開いていただきますと、表1−(2)−4があります。法の施行が平成15年1月でありまして、この法の施行前と施行後を比較し、どのような形で協議会が増えたかといったことを書いております。下が法定協議会で、上が法定外協議会です。数としては法の施行によって伸びているのですけれども、後で問題点として述べる、法律のスキームに基づかない法定外協議会がほとんどであることがわかります。現在、法定外協議会は69となっていますが、法定協議会は18にとどまっています。
     また、次の5ページをめくっていただきますと、これは我々の意識等調査で把握したものですが、実際に法の制定に関連してどの程度の者が協議会に参加したのかといったことを調べたところ、約4割の者が法の制定を契機として協議会に参加しているということで、表の上の三つが法の制定に関連した契機の内容であります。
     次の6ページを開いていただきますと、今度は自然再生を行うNPO法人の数を調べたものであります。これについても、やはり法の施行を契機として、右肩上がりに自然再生活動に取り組むNPO法人の数が増えている状況がみられます。
     さらに、7ページを見ていただきますと、これは自然再生活動を行うNPO法人の新設数をフローベースで見たものでありまして、フローベースであっても年々増加しています。18年度は若干フローベースでは下がっているのですけれども、やはり法の施行を契機として、自然再生活動に取り組むNPO法人の数が増えているという状況がみられます。
     次の8ページを見ていただきますと、自然環境学習の実施状況ということで、やはり法の施行によりまして、自然環境学習の実施回数も増えているという状況です。
     次の9ページを見ていただきますと、こうした自然再生事業が地域づくりにも役立っている事例を書かせていただきました。
     事例1は、コウノトリ野生復帰推進連絡協議会の活動に伴う地域活性化への効果であります。3行目を見ていただきますと、「コウノトリ野生復帰の実現 コウノトリと共生する地域づくり」、これがこの協議会の目標になっています。この協議会では、コウノトリが水田でドジョウを食べる際、農薬が入っていた場合にコウノトリの健康がむしばまれるため、無農薬で安全な米を作っています。これを売りにしまして、コウノトリを育む農法で、コウノトリの郷米というものを売り出したところ、表を見ていただきますと、作付面積が年々増えております。さらに、コウノトリの郷公園の入園者数の推移を見ていただいても、こうした自然再生に取り組むことによって非常に関心が高まっているということで、入園者数も増えているという状況がみられます。
     資料1−2、横長のA3の紙に戻っていただきますと、1の(2)のところで、しかしながら、法定協議会においては、その設置・運営、事業の実施、国及び地方公共団体からの各種支援などの状況をみてみますと、法定としたことによる効果はほとんどみられないということであります。
     1)をみると、先ほど述べたように、法定協議会の全体の協議会に占める割合は26.5%にとどまっています。
     さらに、法定協議会におきましては、地域の多様な主体が連携して、科学的知見に基づき実施されているというメリットはあるのですけれども、一方、多様な主体が参加することによって、合意形成が困難になっている点がみられているということであります。
     それから、後で申し上げますが、国と地方公共団体の各種支援措置においても、法定協議会と法定外協議会で特段の差はみられませんでした。いずれの協議会においても国、地方公共団体が支援をしているという実態があります。
     一方、国は、全国73カ所の出先機関に相談窓口を置いています。しかしながら、自然環境保全活動に取り組んでいるNPO法人や地域住民の方に聞いても、これを知っているという人が、それぞれ29.2%、51.2%にとどまっている。法の周知が不十分なのではないかということであります。
     2番目としまして、設問で、「自然再生事業は、その担い手により効果的に推進されているか」という点から、自然再生協議会の運営状況についてみたものであります。
     (1)「多様な主体の参加の確保」というところであります。基本方針では、地域の多様な主体が参加するよう努めることとされているのですけれども、実際に協議会の中では、地権者が脱退したことによって協議会が頓挫してしまった、中断してしまったという例もあります。
     (2)「有効な参加者の選定方法」というところであります。協議会の組織化に当たって、基本方針では、自然再生事業に関する活動に参加しようとする者に対しては、幅広く公平な参加の機会を確保することとされています。実際に、法定協議会の94.7%の17協議会では、参加者を公募しております。一方、法定外協議会は大部分が選考という形で、協議会側から人を選んで入ってもらっているということであります。こうした公募方法を採用することで、なかなか事業が進捗していない状況がみられているというものであります。
     2ページを見ていただきますと、(3)「協議会における合意形成方法」というものがあります。基本方針では、協議会の運営に際しては、自然再生事業の対象となる区域における自然再生に関する合意形成を基本とすることとしております。ここで「協議会における総意の下」ということが書かれておりまして、この総意について全員一致という解釈をとっています。全員一致方式、多数決、話し合いといった3つのカテゴリーの協議会で比較したところ、やはり全員一致方式では、事業が進捗していない。多数決の方が事業の進捗が早いといった事例がみられています。
     それから、(4)「法定協議会設置のメリット」というものであります。これは現地調査で調べたところでありますが、法定協議会の設置のメリットは、多様な主体の意見が聴取できること、これが法律で義務付けられていますので、まさにそのとおりのメリットであります。また、法に基づく協議会として位置付けられ、対外的な説明が容易になる。こういうものがメリットとされております。しかし、そのメリットがないとする者が13.4%ほどみられております。特に国、地方公共団体、これが法定協議会を構成するメンバーの中心になって事務局を構成しておりますが、こうした人たちに法定協議会のメリットがないとする者が、60機関のうち10機関、16.7%みられるというものです。
     次に、(5)「効果的な自然再生の目標の設定状況」ということで、先ほどのようにコウノトリ野生復帰の実現という形で、地域住民が合意しやすい、農業者も含めて合意しやすいような目標を設定しているものについては、事業が進捗したり、地域活性化に役立っている事例がみられるというものです。
     それから、(6)「自然環境専門家の効果的な活用状況」というものであります。基本方針では、構想や計画を作成するに当たっては、必要に応じて分科会や小委員会を通して自然環境専門家の協力を得ることとされています。しかしながら、こうした協議会をみてみますと、同じテーブルにこうした専門家を着かせているという例があって、こういう分科会などを設けていないという事例があります。分科会を設けているものと設けていないものを比較すると、やはり分科会を設けているものの方が事業が進捗している、そういった結果も出ています。そうした意味で、専門家を活用するには分科会を設置することが有効な手段なのではないかと考えております。
     それから、(7)「自然環境学習プログラムの整備状況」です。法を契機として、自然環境学習というものが進捗しているのですけれども、これを体系的なプログラムとして作成している協議会はないという実態でありました。
     次に、3ページであります。設問として、左側に「行政機関の施策は、総合的に推進されているか」というところであります。3番目として、「国、地方公共団体における各種支援の実施状況」であります。
     (1)「自然再生推進会議における連絡調整」というところです。この自然再生推進会議というのは、主務省である環境省、農林水産省、国土交通省のほか、文部科学省からなっております。この会議は、平成15年度からスタートしているのですけれども、4年間に2回しか開催されていないということで、極めて低調な状況になっております。
     それから、(2)「自然再生専門家会議における委員意見の反映状況」であります。この自然再生専門家会議というのは、自然再生の専門の学者の方々に集まっていただいて、その方々が、各協議会が作成した実施計画に助言をするという仕組みになっています。ただ、残念ながら、この専門家会議の運営状況をみますと、事務局が会議を開く前に、今回報告があった実施計画については助言をしないということを事前に定めてしまって、専門家会議の先生方の意見を単に聴くという形をとっています。通常の専門家会議の在り方としては、あまりみられないようなやり方をとっているというものです。
     それから(3)「地方ブロック会議の開催状況」についても低調であります。
     (4)として、全国73カ所に設置した相談窓口ネットワークの利用状況ですが、これについても、4年間で16件しか相談がないという状況です。
     (5)「効果的な財政上の措置」というものであります。これをみてみますと、協議会に対する運営費、また実際に事業をする際の補助金とか公共事業の箇所づけについては、法定協議会と法定外協議会の両者において特段差がないというものがみられました。
     それから、(6)「自然環境学習の推進状況」ですけれども、自然環境学習について国、地方公共団体の支援は15.9%しか行われていません。さらにいうと、プログラムといったものは未だできていない、そういう状況がみられたというものであります。
     この法律の附則に、5年を経過した後、施行状況について検討を加え、結果に基づき必要な措置を講ずることが規定されております。平成15年1月1日にこれが施行されましたので、平成20年1月1日から検討されるのではないかと考えております。今回の政策評価については、4月から取りまとめたものでありますが、そういう意味ではかなり速いスピードで取りまとめたもので、年内に問題点や意見をまとめまして、それを検討の作業に役立ててもらいたいと考えております。まとめて先生方にいろいろ御意見を伺いたいと考えております。
     説明は以上です。
    【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
     それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問とか御意見がございましたら、お願いいたします。
    【寺尾委員】  法定協議会と法定外協議会の違いを教えていただけたらと思います。
     それともう1点は、今、御報告になった横長の資料の3ページで、専門家会議が機能していないというお話でしたけれども、それはどうしてなのでしょうか。おわかりでしたら、教えていただけますか。
    【横山評価監視官】  まず、法定協議会と法定外協議会でありますが、法定協議会というのは、法律に基づくものということで、この法律のスキーム、資料1−1のスキームが適用されるものであります。
     1つは、自然再生協議会においては、多様な参加を求めることが義務付けられています。それから、参加者については、公平な機会の確保を与えることが基本方針に定められております。さらに、運営の仕方としては、総意の下で行うことが義務付けられております。その上で、手順としまして、まず全体構想というものを作り、それから実施計画を作って、事業を実施する、こういう手続が定められていまして、全体構想や実施計画を作る際に、主務大臣に報告するという仕組みになっています。こうした仕組みが適用されるのが法定協議会であります。
     それから、自然再生を目的として、こういう仕組みをとらなくてもよい、自由に行ってよいというのが法定外協議会というものであります。
     それから、2つ目の御質問でありますが、これは資料1−3の37ページに書いていますが、分かりやすく書いたのが、その次の38ページのフローチャートであります。法律の規定では、主務省の局長クラスの会議である、自然再生推進会議はこうした専門家の意見を求めることができるとされているのですけれども、それを事務方がブレークダウンしたのが表3−(2)−1であります。
     助言に当たっての主務大臣の手続ですけれども、各協議会が実施計画や全体構想を作った際に、それを主務大臣あてに送ってくるのですが、その送られたものを、事務局がまず助言の必要があるかどうかを判断してしまうわけです。それで、必要であるということであれば、助言(案)を作成して、意見を聴取しまして協議会に通知するということになります。けれども、今まで専門家会議を5回ほど開いているのですが、実際は、右側の矢印のとおり、助言を実施していません。本日の自然再生専門家会議では特に助言は必要ないと考えています、それでも先生方、御意見をどうぞというやり方をとっているというものです。自然再生専門家会議の先生からも、自分たちの意見が反映されていないのではないかという意見があります。
    【吉野専門委員】  2、3あるのですが、1つは、こういう政策の評価は非常に長期でないとわからない面があると思いますので、5年とか10年、ある程度継続的に評価をしていただきたいと思います。
     それから、先ほど御指摘の省庁を超えた会議というのは、日本の場合、なかなかうまくいかないところがあるようですけれども、うまくいっている事例などを参考にしながらやるというやり方があるかと思います。
     それから、地方もあまり進んでいないということですが、18の協議会の中にはうまく進んでいるところがあるかもしれませんから、それらの事例を参考にして、ほかのところがそこから学ぶということも必要じゃないかと思います。
    【横山評価監視官】  どうもありがとうございます。
     この政策評価については今年中に通知をしようと思っていますが、その後においても、毎年政策評価の国会報告というものがあります。これは大体毎年6月に行うのですけれども、その際、我々が各省に通知したことについて各省がきちんと行っているかどうかということをフォローアップしまして、その上で国会に報告するという仕組みをとっております。
     また、このテーマについても、ある時期に効果が上がっているのかどうかということについて、また、大々的にみる機会もあろうかと思いますので、おっしゃるとおり、具体的な効果が発現した段階でみるというのも、非常によいやり方ではないかと思っております。
     それから2つ目の御意見ですが、おっしゃるとおり、省庁を超えて行っているもの、今回は主務省が3省あって、それぞれきちんと連携がとれているかどうかというのもあるのですけれども、地方については、例えば釧路湿原が自然再生の中でモデルケースになっています。委員がおっしゃったように、うまくいっている事例を取り上げて、自然再生に取り組んでいる方の参考に資するようなものを作るべきではないかといった出口も考えております。
    【田中専門委員】  自然再生協議会の運営や事業実施についての財源確保はどのようにしているのでしょうか。
    【横山評価監視官】  基本的には、協議会には、国や地方公共団体が入っていますので、国や地方公共団体の財政措置があるものが多いというものです。実際に、協議会の運営費とか事前調査については、それぞれ9割、4割の協議会に、国の補助が出ています。
     ただ、中にはNPO法人が主体的に動いているものもあります。例えばNPO法人の中でも、広葉樹を植えるという事業をやっているところがあり、NPO法人の財源でやっているというものもあります。その事業には、環境省が一部補助をしているというものもありまして、そういう意味では、大部分は国や県のお金で出ているのですけれども、そういった地域の方々が独自でやっている部分もあります。
     それから、コウノトリの郷の米作りについては、それはまさに農家の方が御自分で、自主的に農薬を使わないで米をつくっているというものであります。
    【田中専門委員】  資料1−3の5ページを見ると、法の制定に関連しているものも関連しないものも、協議会への参加の契機というものが「公共事業の実施に当たって」ということなのですね。この辺はやはり特性としてちゃんと分析したほうがよいのではないかと考えます。
    【横山評価監視官】  ありがとうございます。
    【高木臨時委員】  自然再生推進法なるものを私はほとんど理解していなかったのですけれども、御説明を伺うと、どうも理念とか方向性を示しただけの法だと言えるようでして、政策といった意味でもかなり上位のところに位置するような内容のものだけだと思うのです。具体的な施策などがイメージできないようなものだというふうにも言えるのですけれども、こういうものを行政評価局の政策評価のテーマとして取り上げることがもともと適当だったのかなという感じを改めて覚えるのです。
     私は、以前から申し上げていますように、取り上げるという意思決定をされる段階の前に、プレリミナリーと申しますか、パイロットと申しますか、そういうスタディーをやって、評価の結果として大体こんなふうな結論が得られるのではないかなということがある程度図られたところでテーマとして取り上げる。もちろん、評価の作業をやっていく中で、当初のもくろみが大きく変わることは当然ながらあるということですが、それなりの具体的なものがイメージできるというところで取り上げるのが適当だと思うのですけれども、これはそもそもどんなイメージで取り上げることになったのですか。
    【吉田政策評価審議室長】  総務課の審議室でございます。行政評価局が行う統一性・総合性確保評価のテーマ検討を束ねているポジションにございます。
     このテーマ自体は、平成16年4月に定められた行政評価等プログラムに掲載されておりますので、このテーマに取り組むことについての検討は、平成15年度中に行われているはずです。その際の経緯について、つまびらかに承知しているわけではございませんが、平成14年4月に評価法がスタートして、その枠組みの中で総務省行政評価局が複数の府省にまたがる政策をターゲットとして、統一性確保、総合性確保という評価を行うという機能が与えられたわけです。
     そうしたときに、この仕組みの設計思想としまして、複数府省にまたがるものといっても、実態的にまたがっているというだけではなくて、一定の法律とか閣議決定とか目指すべき方向性、そういうものに照らして評価が可能なものを対象とすべきであるということで、いわば技がかかるターゲットが絞られていたというふうに聞いております。
     そうしたターゲットが限られたものの中で何を取り上げればよいかということで、この法律のように、複数の府省が共管関係になっているようなものをテーマ選びの際のふるいとしてまずかけて、そして残ったものの中から何を取り上げようか。そのようなアプローチでテーマを検討したと承知しております。
     そういう意味では、誤解を恐れずに申し上げれば、まず技がかかる、複数の府省の共管の政策であること。しかも、それが世の中で結構関心を集めていること。そういうものを取り上げながら、評価としての付加価値をどのように付けていけるのか、ということを並行して考えていったのではないかと思っております。
     高木委員がおっしゃるように、本来はその設計段階で、どういう評価設計をして、どういう物の見方をすることによって何が言えるのかということがきちんとできているのがベストでしょうが、察するに、我々も統一性確保、総合性確保という評価にアプローチをし始めて、それほど時間的なものもなかったし、経験の蓄積もなかったので、それほどかっちりと、出口までの見通しをつけて挑んでいなかったのではないかというふうにも思います。
     高木委員の御指摘の趣旨を踏まえまして、今後のテーマ検討をしていくときの反省材料として、今後に結びつけていきたい、かように考えたいと思います。
    【金本分科会長】  最初の1、2年ですとそういうことも言えるのですが、そんなことも言っていられない状況ですので、かなりの人件費をかけてやっていることですから、ちょっと評価の評価をやって、どのようにやっていくかということを真剣に考えるべき時期かなという気はしております。
    【田辺臨時委員】  若干、ディフェンドではないのですけれども、この自然再生推進法の中で、いろいろなアクターというのでしょうか、主体を取り込む形で、かつ、そんなに行政の側が事業というので直接執行することなく、まとめて合意形成をして何らかの事業を地域において展開していこうという発想は、かなり多くのほかの政策にもみられるものなのだろうと思います。
     例えば、景観法みたいなものもありますし、こういうスキームというのでしょうか、それが非常に広がっていますので、それのパイロット的な意味も持っていて、この自然再生推進法が持つ問題点は、恐らくほかのこういう、面倒くさい言葉を使うとイネーブリングという言葉なのだろうと思うのですけれども、要するに行政主体が全部事業をやるのじゃなくて、ほかの主体を活性化させて、その中で事業を展開していくという手法なのだと思うのですが、それの持つ問題点を出していくというところはほかにもかなり波及しますので、この勧告というのでしょうか、この評価をどう行って、それをどう生かしていくかというのは結構広がりがあるのではないかと個人的には考えております。
     ただ、当初、この政策評価をやるときに、協議会の設置も大して数はなかったと思いますし、全体構想、実施計画ができ上がっているところはほとんどありませんでしたので、そこでどうやってやるのだろうなという問題点が、要するに見直しの時期に来るまで何も事業がなされていないという最悪の事態はあり得て、そこでなぜうまくいかないのかというクエスチョンになるかもしれないということは、この自然再生推進法をテーマに選んだときには当初考えていたところなのだと思います。
     そこから先ですけれども、この問題点ははっきりしていまして、別にこんな法律がなくたって動いているじゃないかということですよね。だったら、なくてもよいじゃないかという結論が出てくるかというと、なかなかそれは言いづらいので、使いやすいものにしていきましょうということなのだろうと思っております。
     ただ、そのときに幾つか問題がありまして、ここで出てくるところは、全体構想、実施計画というある種の合意形成をすることが1つと、その後で具体的にどういう事業を進めていくのかというところなのだろうと思います。具体的な事業の展開というのは数が少なくて、そこを現在の段階で見ることができないので、合意形成のところ、要するに計画レベルで何が進んでいるのか、進んでいないのかというところに着目しているのだということは理解できるのです。
     そこから何が言いたいかということですけれども、1つは、合意形成に時間がかかっていることはそんなに悪いことなのかなというのが今一つわからないのです。つまり、時間をかけて事業の段階に至ったならば、むしろインプリメンテーション自体はすごく楽になるかもしれないので、そこのところは、合意形成に時間がかかるというだけで単純にマイナス評価をしてよいのかなというのが1点であります。
     それから2点目は、専門家というものなのでありますけれども、要するに3ページのところの国の自然再生専門家会議等々が使われていないということですが、簡単にいうと、中央レベルの専門家なんか別に必要ない、地域レベルで専門家が活かせればよいではないかと思っているのだったら、それはそれで全然構わないことなのではないのかなと私自身は思うのですね。
     それから3番目は、この法定のところでは、できるだけ多くの参加と公平な参加の機会の確保、それから総意の形成ということを3つ謳っていて、この理念は、簡単にいうならば事業を実施するため、もしくは合意形成をするための桎梏になっている。理念としては高らかにうたっているけれども、実際にはこんなものが動くわけがないじゃないかということをいうのかなというところがありまして、その高らかな理念と実際に動くところのスキームにずれがあるのだったら、それはフィードバックしていけばよいのだろうと思います。
     ただ、出てきた問題点はかなりクリアだと思うのですけれども、それを次の勧告というのでしょうか、これをどう是正するのかというときは、なかなかバランスのとれた勧告をしないと難しいのではないかという気がしておりますので、もう少しそこら辺を踏み込んだ形で評価というのでしょうか、今後の詰めを行っていただければと思っております。
    【横山評価監視官】  どうもありがとうございます。
     確かに問題点は明らかになったのですけれども、この出口をどうするか、どうすれば主務省の施策の改善に資するかというところは、今回は方向性なので、そこまで決める必要はないのですが、実はその部分が一番悩んでいたところでありまして、大変参考になる御意見をいただきましたので、その方向で検討を深めていきたいと思っております。
    【金本分科会長】  1つは、監察ではありませんので、言わなくてもよいということはあるのだと思うのですね。勧告をする必要は必ずしもない。
     2つ目は、評価作業のマネジメントが若干気になっていて、その姿が我々の側に見えてこない。調査を始めると、何人かかかって、その人件費でずっとやって、何か出してくるという感じでやっているのではないかと思うのですが、あまり出そうにないものは早く畳んで、短いもので終わりにして、もっとできそうなものにするとか、どういう人材がそういう調査に必要で、どういうふうに集めているかといった姿がわかってこないところが若干気になっていて、これは、私はそんなに突っ込む調査かなという気がしていて、突っ込む意味があまりなければ、早目に畳んでしまえということを思います。
     もう1つは、どうも自然再生専門家会議で助言をさせる、義務付けをするとか、あるいは専門家のワーキンググループをつくるとかいうことに、かなり疑問をもっていて、この委員会もそうですが、政府の審議会で義務付けられていることがうまく機能しているかというと、そんなことは全然ないわけですね。必要に応じて助言をもらうというのは、ある意味ではよいスキームで、助言機能というのは、助言を使いたいという人がいないと意味がないのですね。助言を義務付けるのは馬鹿げているというのが基本だと思うのですね。そういうところをもう少し視野を広げて、バランスをとった議論をしてほしいなという気がいたします。
     そのほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
     それでは、次のテーマが「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する評価計画について」の御説明です。再度、横山評価監視官からお願いいたします。
    【横山評価監視官】  資料2の「外国人が快適に観光できる環境の整備に関する政策評価」であります。A3の横長の資料を御覧いただきたいと思います。カラー刷りで、「「外国人が快適に観光できる環境の整備」の脈絡図」というものであります。
     これは計画ということで、まさにこれからスタートするものでありまして、来月以降本省調査をしたいと考えております。そして、今年の12月から来年3月にかけて地方局所を使って調査を行いまして、来年秋ごろに取りまとめを行いたい。そういうスケジュールで考えております。
     対象とするものが政策群でありまして、「外国人が快適に観光できる環境の整備のための政策」というものであります。
     観光についての政策は、一番左側の外客来訪促進法の制定から、最近の観光立国推進基本法という形で政策が展開されているという状況にあります。それで、ちょうど真ん中の緑色で書いた部分でありますが、2004年度予算から政策群になっております。国土交通省、総務省、外務省、法務省、農林水産省、経済産業省ということで、6つの省庁から成る政策の塊でありまして、これについて調査をしたい、政策評価をしたいと考えております。
     次のページへA3の紙をめくっていただきますと、政策目標というものがあります。政策目標は、訪日外国人旅行者数を2010年までに倍増させて1,000万人にするというものであります。その倍増というのは、平成13年に約500万人であったということですけれども、これは小泉総理の施政方針演説の中で、訪日外国人の数を倍増するといったことがうたわれました。その目標を2010年にしまして、ちょうどその倍の1,000万人にするというものであります。
     それで、この政策群でありますが、ラージ1とラージ2、予算措置と規制改革等の2つに分かれております。
     予算措置のところは、予算が46億円ということで、国土交通省のVJC、ビジット・ジャパン・キャンペーンという日本の観光の魅力について情報発信する事業であります。そのほか、外務省の在外公館において観光誘致のためにPRを行っていく。次が規制改革でありますが、出入国管理を円滑に行うことによって訪日外国人に便宜を図るというものであります。
     2つ目として、魅力ある観光地づくりといった政策も行っていく。その2つ目としまして、規制改革、制度改革ということでありますが、これはビザの免除をする。統計などを見ますと、ビザを免除した国については、その月から入国数が増えるという統計もございます。そういった意味で、ビザ発給の免除がある程度効果があるのではないかと考えております。
     それから、景観であります。日本の都市を訪れる外国人について、後でちょっと統計を御紹介しますが、電柱など、外国人から見ると少しいかがかといったものもあります。
     それから、通訳案内士でありますが、これについては、例えば国土交通省の総合評価を見ますと、東京、大阪などに集中しているなど地域的な偏りがあったり、言語が英語に偏っているなど、そういった状況も見られているところであります。
     次のページ、A3の紙でありますが、これを見ていただきますと、何を調べようかというのが、真ん中より下の「個別施策の評価(分析)」であります。その真ん中より右側のところに「評価の主な指標等」があります。この指標、○と◎を書いたものについて我々で調べていこうと思っております。○のところについては、既存の統計や調査がありますので、そういったものを活用する。◎の部分については、我々で統計調査を実施していこうと思っております。
     ◎のところを御説明しますと、宿泊施設についてアンケート調査を行って、外国人を積極的に受け入れているかどうかといったことを調べてみようと思います。それから、次の◎ですけれども、外国人旅行者に対して割引措置を適用する宿泊施設、公共交通機関がどのぐらいあるのかということを調べてみようと思います。それから、英語や韓国語、中国語など、こうした多言語表示が行われている案内所や宿泊施設、公共交通機関がどのぐらいあるのかも調べてみたいと思います。それから、下から2つ目でありますが、宿泊施設にアンケート調査を行って、どれだけ地域から仕入れや雇用を行っているのかを調べていきたいと思います。
     既存の統計で主だったものを紹介しますと、次のページ、白黒でありますが、A3横長の紙があります。「訪日外国人旅行者数及び出国日本人旅行者数の推移」というものであります。左隅を見ていただきたいのですけれども、訪日外国人旅行者数について、昭和39年から平成18年までデータをとっています。平成17年は672万人ということで、右側の備考欄を見ていただきますと、その年の目標は700万人でした。平成18年、最新のデータでは733万人来ています。その年の目標が750万人ということで、これを50万人、少しずつ増やしていけば1,000万人に到達するということですが、若干、目標の伸びよりも達成度の伸びが少ないのではないかといったところがございます。
     それから、右側のグラフですけれども、訪日外国人旅行者数と出国日本人旅行者数、それぞれをインバウンド、アウトバウンドともいいますが、そうした格差がかなり広がっている状況が見られます。訪日外国人旅行者数は出国日本人旅行者数と比べるとかなり少ないという図が右側であります。
     次のページともう1枚のA3を飛ばしていただいて、「VJC対象国のアジア各国・地域への訪問者数(平成12〜17年)」というものがあります。この統計は何かといいますと、ビジット・ジャパン・キャンペーンの対象国が、左側に韓国、台湾、中国、1番下にオーストラリアがありますが、このビジット・ジャパン・キャンペーンの対象としている国がアジアのどの国に一番多く来るのかというものを示した統計です。一番多く来る国については、構成比のところでねずみ色のマーカーを引いています。
     韓国について見ますと、韓国の出国者数の3割から4割がアジアでは中国に来ています。台湾もやはり中国です。中国は香港に来ています。香港は中国に、タイとシンガポールについてはマレーシアに来ています。アメリカ、カナダについては中国に来ています。イギリス、フランス、ドイツについては主にタイに来ている。そして、オーストラリアについてはマレーシアに来ている。
     こういう状況でありまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンということで、ぜひ日本に来てください、そうしたキャンペーンをしている国・地域であっても、アジアの中ではなかなか日本に来る割合が少ない状況が現れています。
     それから、次のページをめくっていただきますと、今までは観光統計というものがありませんでしたが、昨年初めて、国土交通省が統計を試行的にとったものがあります。それまでは都道府県でばらばらに統計が行われていまして、それぞれの比較ができない状況だったのですけれども、国土交通省が一括して、平成18年6月から8月の状況について調べたものが、この統計です。
     訪日外国人を延べ宿泊数で見たものでありますが、これは47都道府県の中でも上位6都道府県に集中しておりまして、特に東京都が34.9%、北海道が11.1%。この2つを合わせると、半分近くが2つのところに集まっています。都道府県別の宿泊数に占める訪日外国人の割合が0から2%とか、そういうところが非常に多い。まだ日本の観光客に占める訪日外国人の割合は少ない、そういったことがわかった統計であります。
     次の統計は、次のページ、A4の横でありますが、これは実際に日本に来た外国人に、訪日前と訪日後の日本の印象について尋ねたものであります。肯定的なイメージと否定的なイメージが日本に来てどう変わったのだろうかという統計であります。
     それを見ますと、「日本の人々が親切で礼儀正しい」というのが、訪日前では33.2%だったのですけれども、実際に来てみると39.3%ということで、6.1ポイント印象がよくなっています。交通機関についても6.0ポイント、実際に来てみるとよいという結果があらわれています。ただ、肯定的なイメージの下のほうでありますが、「都市の景観が美しい」はマイナス4.8ポイントということで、やはり電柱などが影響しているのかなというところであります。それから、「文化と歴史が素晴らしい」についてもマイナス4.8ポイントです。それから、言語障壁については、これはわずかな差ですが、やはり言葉が通じないというのが1.8ポイント上昇していることが現れています。
     それから、2枚めくっていただきまして、内閣府の世論調査があります。「自由時間と観光に関する世論調査(平成15年8月調査)」、内閣府大臣官房政府広報室によるものでありますが、実際に海外からの観光客が増えることをどう思うかということが2つ目の箱に書いてあります。「大幅に増えて欲しい」が18.4%、「多少増えて欲しい」が29.8%で、「増えて欲しい」が総数では48.2%になっています。一方で、「あまり増えて欲しくない」と「全く増えて欲しくない」を合わせると32.4%ということで、消極的な人たちもかなり多いのではないかということであります。
     なぜ「あまり増えて欲しくない」「全く増えて欲しくない」と答えたかということについて見てみますと、下から2つ目の箱ですけれども、「外国人観光客を装った犯罪者が入国し、犯罪の増加につながることが心配だから」というのが90.2%で、既存の統計からもこういう意識があらわれているところであります。
     我々の政策評価としては、それぞれの政策のプロセスについても検証していきたいと思っておりますし、訪日外国人1,000万人ということが2010年の目標になっているのですけれども、その2年前の2008年に取りまとめを考えておりまして、施策に役立てていただきたいと考えております。また、1,000万人来ればそれでよいのかということもある意味で考えなければいけない問題でありますので、実際にそれが地域の活性化につながっているのかどうかという点にも注目していきたいと思います。
     説明は以上です。
    【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
     それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問や御意見をお願いいたします。
     観光予算が40数億と、いっぱい付いて何かバブル的な状況だという話もないわけではないのですが、この予算が有効に使われているかどうかということについては、あまり問題意識はないのでしょうか。
    【横山評価監視官】  そういった点も調べたいと思います。ビジット・ジャパン・キャンペーンを含む政策群ということで40億以上の予算がついていますが、実際にキャンペーンを行った国の旅行者がそれで来ているのかどうかという点も調べていきたいと考えております。
    【吉野専門委員】  いろいろアンケートがあると思うのですけれども、日本の魅力がどこにあるのかとか、そういうところはここから出てくるのでしょうか。旅行者が、例えばタイに行こうか、日本に来ようか、そういうところから旅行者の数は決まると思うのですけれども、そこの根本を見直さなければ、そんなに増えないのではないかと思うのです。
     それから、今の金本分科会長の御質問に関係するのですが、観光客が日本に来たことによってどれぐらい経済効果が増えているか。ホテルとか、そういう効果もぜひ見ていただきたいと思います。
     さらには、アンケート調査も、もう少し項目をいろいろ充実して、継続的にやっていただくとその変化がわかると思います。
     以上です。
    【横山評価監視官】  ありがとうございます。
     御指摘を踏まえまして、できるだけ取り入れる方向で進めていきたいと思っております。
    【谷藤臨時委員】  外国人が快適に観光できる政策群と言われるようなものは、各省庁が政策群として全て認識し、明らかになっているのですか。
    【横山評価監視官】  はい、明らかになっています。
    【谷藤臨時委員】  各都道府県分もそうですか。地方調査をやるということは、各都道府県が政策群として位置付けられていることについても認識されておりますか。
    【横山評価監視官】  補助事業ということで、例えば観光ルネサンス事業というものがあります。これは2,500万円以上の民間主体の事業に対する補助でありまして、4割を国土交通省が補助するという事業になっております。こうしたものは政策群として位置付けられていまして、その実施主体についても、どう効果が発現しているかということを調べてみたいと思っております。
    【谷藤臨時委員】  もう1つございます。ここに直接的にかかわる政策群と、例えば景観の問題など、やや間接的にかかわってくる政策ですね。その政策群の振り分けをしていかないと、一方では何もかも全部取り込んでしまったり、逆に、ある群だけを取り上げてしまって、全く意味のない政策評価になってしまうということにもなると思うのです。直接的にかかわるもの、間接的にかかわるものという政策群の振り分け作業が必要ではないかなという感じがするのです。
    【横山評価監視官】  おっしゃるとおりだと思います。
     そういった意味で、まず直接とらえようとする分野は政策群ですけれども、そこからどこまでを視野に入れていくかというのが今悩んでいるところでありまして、そういう点で、適切な規模というか、そういったものをこれから詰めていきたいと思います。
    【金本分科会長】  これはどうしても霞が関の視点から評価をする傾向があって、観光というのは、それではあまり意味がないと思うのですね。実際の市町村の現場のことを見ていただきたいなと思っています。
     京都は景観法によって条例をつくって、かなり大胆なことをやっていますが、みんながみんなそう思っているかどうかは知りませんが、京都に外から観光客を呼び込むというのは当然非常に大きな政策課題だということですけれども、霞ヶ関や地方政府の観光行政をやっている人たちがそこにどれだけ貢献するかというと、あまり意味がなさそうだな。それよりは、パリとかフィレンツェとか、そういう外国の匹敵する観光地と比較したときに、景観上あまりに惨めではないか。お寺とかいろいろありますが、景観が壊されつつあるというところが一番大きな問題だ。そういうところで景観保護政策をやっているということですね。
     そちらは間接的だからおいておこうかというのは実は逆であって、観光ということで今短期にやっている政策というのは、そんなに大きな効果はないと思ったほうがよいのではないかという感じがしているのですね。そういったものをどういうふうに政策評価で扱っていくかは大きな課題かなというところがあります。
    【横山評価監視官】  実際に現地調査もしてみますので、金本分科会長のおっしゃった視点を踏まえて調査をしたいと思います。
    【金本分科会長】  現地調査に行くときに、だれに聞くかというのが問題ですね。県に聞いてもだめなんですね。少なくとも市町村までおりなければいけないのと、それから市の担当者に聞いてもあまり意味がない。お寺もいろいろあって様々ですが、いろいろな人たちに聞かないといけないということがあるのだと思います。
    【新村委員】  これまで皆様がおっしゃったことに同感ですけれども、こういうことをするときに最初に問題になるのは、さっき吉野委員が言われたマーケットリサーチだと思うのですね。来る人が一体日本に何を求めているのか、来てしまった方がどうだったという調査はあるのですけれども、要するに何を求めて来るのかということで、私は、電信柱があるから日本に来ない人はいないのじゃないかと個人的には思っているわけですね。
     そして、例えば最近のアニメの中心地であるという魅力を感じ、日本に来る人は一体どのぐらいいて、それではその人たちにはどういう対応をするのかとか、それから、日本の古都を見たいという人はどのぐらいいてということが、ワールドワイドの調査ができるかどうかというのは極めて難しいのですけれども、そういうことに関して予断なく、こちら側が勝手に思った受け入れ体制をつくっても、ずれているのじゃないかという視点はないのかなと思いました。
     政策を、今来ているのは京都に多いから京都の景観をという話よりも、日本が一体今何で世界の関心を引けるかということを考えないと、どんどん増やしていく形にはなっていかないのではないかという視点で、この政策自体の大もとのところ、そこを問うようなことが少しできたらよいなと思っております。
    【高木臨時委員】  新村委員のおっしゃる意見をまさに私も申し上げたいと思っていたのですけれども、これはまさしく、日本という国を1つの企業と考えてのビジネスだと思うのですね。
     ビジネスをやる場合に、マーケティングをやらずして、ビジネス主体の思い込みでやれば、ほとんどの場合失敗するわけですけれども、一体マーケティングをどの程度されているのか。いただいたペーパーを見ますと、政策の当初段階でマーケティングをされていなかったのではないかという疑問を覚えるのです。
     そもそも、ビジネスというふうにとらえた場合に、マーケティングをして、そこで日本という商材をどうやったら売れるだろうかという仮説を出して、それで施策を展開していくという流れになっていくべきですけれども、そういったところはどうだったのかということを、把握はこれからだと思うのですが、その辺の把握は絶対的に必要な話ではないかと思います。
    【寺尾委員】  訪日前と訪日後の日本の印象を比べた資料が出ていて、おもしろく拝見したのですが、こうやってアンケート調査をしておられるわけですね。このアンケートにまさに各委員から御指摘の問題が出ていると思うのですけれども、あなたはなぜ日本に来たのか、何があなたをして日本に来させたのかということをやはり聞くべきですね。それとの関係で、がっかりしたか、がっかりしないかということを聞くべきですし、それから、日本にこういうものがあると思わないで来てみたけれども、こういうものがよかった、帰ってみやげ話でこういうことを話そうと思う、こういうところで日本はおもしろいところがあるよという何か新しい発見があったら、それもそのときにあわせて聞ける話ですね。皆さんのお話に出た「思いこみ」ということが、このアンケート調査のとり方、質問の仕方の中に出ているような気がいたしました。
    【谷藤臨時委員】  法の目的の中に、国民相互の理解の促進という部分と、経済効果と言われる部分の二つの目的が書かれてあります。つまり、経済効果というものを探っていって政策評価をする部分と、国民相互の理解とか友好関係を促進していくというものを探っていって政策評価をする部分があると、全く視点が違ってくることにならざるを得ないと思うのです。
     例えば相互理解であるというと、市町村レベルでさまざまな姉妹都市を提携した交流事業をやっている。相互理解のいろいろな試みが現実にあるわけです。そういうものをどう評価するかということをこの中に組み入れていくことも考えられることになりますね。経済効果に視点を置くと、それらははずすという視点もあるのだろう。
     この二つの視点をどうやって組み込んでいくかは、大変難しいと感じます。
    【金本分科会長】  あとは、国の政策としてやっている話と、それとは全く別に地方で取り組んでいる話があって、地方で取り組んでいる話について、もう少しいろいろ調べられたほうがよいかなと思います。
     例えば、北海道には最近アジアの南の国からたくさん来ているということですが、あれは漫然とやっていたわけではなくて、私もどこかで聞いた話で、それほど今証拠を持っているわけではないのですが、台湾の夜中11時過ぎはテレビコマーシャルがほぼ無料で流せるという時間帯があって、そこに北海道が、北海道の雪の景色といったものをがんがん流したらしい。北海道の雪のイメージ戦略を非常に安いコストでやって、それが大きなきっかけだという話があるのですね。
     そういういろいろな努力が、こういう40何億円と使うものと別にやっているということがありまして、観光というのは日本に来るというわけじゃなくて、日本のどこかに行くということですから、そういった視点を入れる必要があるのかなという気がいたします。
    【横山評価監視官】  どうもありがとうございます。
    【金本分科会長】  そのほかに何かございますか。
     あと2つほど残っております。続きまして、「政策評価の機能の発揮に向けて」と「規制の事前評価について」、両方をあわせて吉開政策評価官から御説明をいただいて、御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
    【吉開政策評価官】  私からは、資料3及び資料4に基づきまして御説明申し上げます。
     前回、6月27日の政策評価分科会におきましては、評価の重要な対象分野の選定につきまして、事務方としての考え方を御説明した上で、委員の方々に御議論をいただいたところであります。
     まず、前回の御議論を踏まえますと、政府全体として重要政策の推進につながるように選定すべきではないか、それから、政策評価の有効性が問われていることに対してどのように応えていくべきかといった御意見がありました。さらに、対象となる政策についての評価の実施時期に留意すべきであるという論点がありました。
     次に、関係府省・関係施策が多岐にわたるような政策につきましては、政府全体としての具体的な大目標とか、その達成に向けた各府省レベルの中小目標を設定すべきではないかという点、それから、視点・ねらいとして、複数の視点を用意しておくべきではないかという点について御意見がありました。
     さらに、評価の視点といたしまして、3つの視点、政策展開の時間軸に着目した視点、それから、政策展開の広がりに着目した視点、それから政策展開の変化に着目した視点、これらの3つの視点を適宜組み合わせてはどうかという論点もあるのではないかと思います。
     また、各府省横断的な政策につきまして、全体の進捗状況を明らかにすることが必要であるという点、それから、内閣に置かれている本部等が行う評価やフォローアップ、モニタリングに対して、いかに政策評価として付加価値を付けていくかという点について御意見がありました。
     これらの論点の中でも、最後に申し上げました政策評価としてどのような付加価値を付けていくかという点が一番困難な点であろうかと思います。
     そこで、府省横断的な政策などにつきまして、総務大臣が経済財政諮問会議に対して意見を述べるわけでございますが、その際にどういう意見を述べることが可能なのかを考える必要があります。基本的には現在進行形で政策は動いているわけでございます。かつ、関係の審議会等が今後の方向性を打ち出しているわけでございますので、そういった中で、審議会が検討している方向性を確認しながら、私どもといたしましては、第三者的な立場から政策展開の隘路と考えられるような点を見出すことは可能であると思いますし、必要であると思います。そういった隘路を解消するために政策評価のツールを使っていけないかということを評価の立場から提案していくことが、いわば付加価値なのではないかと考えております。
     ただ、その際に問題となりますのは、内閣に置かれる本部等が、例えば年内までに中期的な方針を策定するというタイトなスケジュールで進んでいる場合もございます。そのような中で、実際に政策を所管している府省に対して、どのような評価をしてほしいというふうに私どもから述べることができるのかといった点が十分な検討を要する論点ではないかと考えております。
     今後、当政策評価分科会の中にワーキンググループを設置していただいて、具体的な対象分野の検討をお願いすることになるかと思います。その際、どのような対象を取り上げるかということ。それから、個別具体の重要対象分野についてどのような意見を述べていくことができるのか。それから、一番重要な点かと思いますが、どのような付加価値を付けていくことができるのかという点につきまして、前回に引き続き御議論をいただければと思います。
     それから、時間の関係もございますので、次の資料4でございますが、これに基づきまして、引き続き規制の事前評価につきまして簡単に御報告を申し上げたいと思います。
     5月28日の政策評価分科会で規制の事前評価につきまして進捗状況を御報告したところでございますけれども、その際に申し上げましたとおり、規制の事前評価を各府省に義務付けるための評価法施行令の改正、それから政策評価に関する基本方針の一部変更につきましては、3月30日に閣議決定をいたしました。規制の事前評価の対象から除外するものとして、政令の中では3つほど挙げておりまして、租税、裁判手続、それから補助金交付の申請手続でございましたが、これらの例示を具体化するために、総務省令の策定作業をこれまで行ってきたところであります。これにつきましては、去る7月6日からパブリックコメント手続を開始しております。それが終了し次第、総務省令を制定したいと思っております。
     それから、規制の事前評価の実施に関するガイドラインにつきましては、規制の政策評価に関する研究会で御議論いただいているところであり、総務省令のスケジュールと合わせて、各府省による申し合わせを経て決定したいと考えております。
     また、規制の政策評価に関する研究会において、今後、各府省が実際に規制の事前評価を行うに当たって参考となるような具体的な分析手法とか事例といったものを盛り込んだ最終報告書を、9月中下旬を目途に取りまとめて公表していく予定でございます。
     私からの説明は以上でございます。
    【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
     それでは、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
    【新村委員】  感想みたいなものですけれども、大きな政策については、ものすごく幅の広い政策全体を見ること、つまり、これ全部を大きな重要政策として評価するという話になりますと、全体の数値目標を立てるというような話になってしまいがちでありますし、それに対して個々の施策がどのように貢献しているかというところをやろうとすると、ものすごく膨大な、日本社会全部を分析するような話になってしまうという感じを持っております。
     私は、これを例えば総務省がやるというのはほとんど無理ではないかと思いまして、最終目標との関係を明らかにした中間目標を立てて、それの政策評価を行う。そして、そのときに、それが最終目標に対してどういう位置付けにあるかということを明確にした上で、それがどのようにうまくいっているか。もし、それがフィージブルで、中間目標をさらにブレークダウンしてもよいのですけれども、要するに大きな政策体系の中での位置付けを明確にして、もうちょっと限定的になさったほうがよいのではないかなという感じを持ちました。
     とにかく、日本社会全部を分析するというのは、ちょっと手に余るのではないだろうか。しかも、それを定量的にやろうとするならば無理ではないか。そして、恐らくそれは内閣に置かれる本部等で定性的にここが足りないとか、そういう議論をなさって、レビューをしているはずでありますから、その中でその一部分について中間目標、要するに段階を経て、全体との関係を明確にした形で、どれを取り上げるかという形をやるしかないのかなという感じを持ちました。
     これは、総務省がおやりになるという前提の下、自分で分析をするという前提の下ではそういう感じを持ちました。
     以上です。
    【吉開政策評価官】  新村委員がおっしゃるように、総務省が日本社会全体を分析するとか、個々の施策を全部分析して、大目標との関係はどうかということを分析しろと言われると、それは局員全員を動員してもできない話であります。
     私どもとしては、行政評価局がすべてを引き受けてやるというのではなくて、あくまでも経済財政諮問会議から意見を言っていただく、そのための材料を提供することを我々がやろうとしているわけでありまして、すべてを我々が引き受けるということは想定していないつもりであります。
    【金本分科会長】  その辺のイメージをどのように持つかということはあるのですが、では誰がやるのかというところで、各府省との関係は、既にある関係に加えてというのは実質的にはないのだと思うのですね。各府省にやれと言っても形をつくるだけだと思いますので、やるという心構えでないと、これは全く動かない。こちら側でできることは何かということを考えないと動かないという気はいたします。
    【吉野専門委員】  様々な施策を含む政策については、恐らくこういうものの中に、重複とか、もっとうまくやれば府省横断的に1つでできるところがあるのではないかと思うのです。そういうところを見ていただいて、それでどれくらい実施コストが削減できるかということを指摘していただければすばらしいと思います。
     それから、こういう官がやろうとしている政策、施策でも、本来であれば民に任せられるところがあるのであれば、そこも指摘していただくと、さらに政策コストが削減できるような気がするのです。
     ですから、もし全体を見てくださるのであれば、なかなか各府省だけではできないところを指摘していただきたいと思います。
    【金本分科会長】  この作業の前提は、どういう分野についてどういうふうにやれば付加価値が出るかというのを見ていただいているということかと思いますので、網羅的にやるということではなくて、こういった分野でこういう方向でやっていけば付加価値が出るのではないかといった御議論をしていただく、そんな感じだと思います。
     ある意味で、政策評価と政策分析というのは意思決定者のために行うというところがないとほとんど意味がなくて、アメリカのこういうものの教科書には必ずクライアントというものがあって、そのためにやるというところから出発するのですね。この経済財政諮問会議との関係は、クライアントができた、あるいはできるかもしれない、そういうことであって、そうすると、クライアント側のニーズは何かというのがもう1つ、こちら側でできることは何かということと併せてあるという気がします。それは、こちらで推測してやるということもありますし、ある程度、こんなことだろうといろいろ議論するということをやるのだろうと思います。
     そういったことを前提に議論をお願いしたいということですが、20年ぐらい前にアメリカの会計検査院(GAO)へ調査に行ったことがあるのですが、GAOは日本と随分違いますけれども、基本的にクライアントをうまく探すというのが一番重要なポイントで、その当時、ジョブ・スターツ・コミッティーというのがあって、何を調査・検討するかということを決めるトップのマネジメント、委員長以下トップが入った会議があって、それが一番重要な会議だということを聞きました。そこをしっかりやっておかないと、分析しても使う人がいなければ意味がないということだと思います。
     その、何をやるかを決めるときには、GAOの場合、議会の附属機関ですから、議員のスタッフあるいは委員会の委員長、副委員長、主にスタッフたちですが、そういう人たちとかなり議論をして、どういうニーズがあるかを詰めてからやるということのようです。実際にやるとすると、そういうことがないと意味がないかなという気はいたします。
    【新村委員】  今の金本分科会長の御意見はよくわかる。経済財政諮問会議がクライアントになりそうであるというお話があって、今の議員さんとの懇談会みたいな話に対応するものは経済財政諮問会議との意見交換だということですか。
    【金本分科会長】  今のこの部分はそうですね。
     ほかにもこれまで粛々とやっている作業があって、そちらのほうは誰に向けてやるかということを考えるのは当然あると思いますけれども。
    【吉開政策評価官】  今、分科会長がおっしゃった点につきまして、重要対象分野の選定の単位としては、基本的には施政方針演説に掲げられているような政策を基本として選定すべきであると考えておりますが、経済財政諮問会議の議論の動向等を注視し、いかにクライアントとしての経済財政諮問会議のニーズを我々として斟酌していくのかということも考えておくことが重要かなと思います。
    【金本分科会長】  もちろん、彼らが出してほしい結論を無理やり出すというふうなことはあり得ない話で、基本的に、完全に客観的というのがあるかどうかはあれですが、客観的、中立的な評価分析をして、それを役立てていただくということであろうと思います。そういうものがないと、その後実際に使おうと思ったら、おかしいのではないかと言われて使えないということになりますので。
    【谷藤臨時委員】  それにしても、具体的な政策効果と言われるものを評価することは、時間的なスケジュールから考えてもなかなか難しいと考えます。
     そうしますと、先ほど吉野委員がおっしゃったような形で、つまり、進行管理型の評価になっていかざるを得ない。それは、政策の重複の部分とか、その重複に伴うコスト増の問題を指摘するような進行管理上の評価をして経済財政諮問会議に答申していくという方向性も考えられるのではないかと思うのですが、いかがですか。
    【吉開政策評価官】  年末に経済財政諮問会議から重要対象分野という提示があったとして、それに基づいて各府省が評価をやって、その結果がいつ出てくるかというのは、各府省の計画の定め方によっても違うと思いますし、そこはおっしゃるように、アウトプットといいますか、結果が出てくるのには時間がかかると思いますけれども、1つは、前回確か田辺委員がおっしゃったと思うのですけれども、経済財政諮問会議としてはこの分野に着目しているのだよというアナウンスメント効果と申しましょうか、経済財政諮問会議としてこの分野はしっかり見ているのだよということを宣言する効果が1つあるのかなと思います。
     それから、今、進行管理型とおっしゃいましたけれども、視点は1つに限定せずに、幾つか選択肢を置くとよいのではないかということで、進行管理型と申しましょうか、目標管理型の評価というものも、1つの選択肢としては考えているところでございます。
    【金本分科会長】  進行管理型は、各府省にやれと言えばかなりの部分が出てくる話で、わざわざこちらでやる部分がどの程度残るかというのは疑問ではありますが、そういうものも1つだとは思います。
     それから、その昔のGAOの調査を思い出しているのですが、もう1つはどういうスパンの仕事をやるかというところがあって、その当時のGAOのスタンスは、3カ月とかという仕事はやらない。自分たちの資源からいって、それは意味がない。1年から2年といった時間をかけて、ある程度しっかりした分析をして出すものしかやらない。それで、それにはまるものを受けてくる。そういう感じだったのですね。
     そういう意味では、経済財政諮問会議という一種のクライアントがいたときに、どういうスパンのどういう仕事ならばできるのかというところは見定めておく必要があるのかなという気がします。必ずしも半年でやることだけが意味があるわけではなくて、もう少し長いスパンの調査に意味があるケースもかなりあるのだと思います。
     もう1つ付け加えますと、探してみると、その手の効果の分析というのは、各府省においてある程度はやっている分野もあるわけですね。ただ、それにはある意味でバイアスがあるかもしれない。自分たちに都合の悪いオプションは排除しているとか、いろいろな手法とか、どこまで入れ込むかについてもいろいろな選択をしている面がありますので、そういうものをレビューするというのも1つあるのかなとは思います。
    【吉野専門委員】  その場合、各府省が出してきた評価は、その基となった評価のデータとか分析手法まで出すことになっているのですか。そうだとするとよいのですけれども、ただ結果だけが出てくるとすると、そこはブラックボックスになってしまうので、こちらから見えにくいのではないかと思うのです。
    【金本分科会長】  出させる権限はありますよね。
    【吉開政策評価官】  そもそも、政策評価法とか基本方針の中で、評価に使ったバックデータは事後検証が可能なように公開しろというふうになっておりますので、本来は各府省がきちんと出すべきものであると思っております。
    【吉野専門委員】  そうだとしますと、今、金本分科会長がおっしゃったように、そういうものを出していただいて、それに対するレビューというのはすごくよいと思いますね。
    【新村委員】  質問ですけれども、政策評価の付加価値というところで、ちょっと私、誤解があったのかしら。これは総務省がおやりになると最初は思っていたのですが、これを各府省に、今回重要対象分野としてある分野が選ばれました、それの対応をする部局に対して、こういうことをやってくださいというふうに要請するようなものなんですか。それをデータと一緒にもらってレビューするということなのか、それとも評価局がおやりになるのかというのがちょっと混乱してきたのです。
    【吉開政策評価官】  ある重要政策を取り上げるといたしますと、政独委の御議論を経て、総務大臣から経済財政諮問会議に対して、この政策を取り上げてはどうでしょうかという意見具申をまずするわけですね。それを経済財政諮問会議が了としたならば、経済財政諮問会議から、今年の重要対象分野は何々であるという提示がされて、その際には、どういう視点で評価をするかということも併せて提示するわけです。そして、その分野と視点に基づいて各府省がそれぞれ評価をしてまいりますので、それを私どもとして取りまとめて、時点がいつになるかというのはありますけれども、経済財政諮問会議にまた御報告するという流れを想定しております。
    【新村委員】  そうすると、こちらから、今度重要対象分野になったので、こういうところをやってください。掘り下げてやってくださいとか、そういうふうに言うわけですか。
    【吉開政策評価官】  そのようなことを経済財政諮問会議から提示していただくことを想定しております。
    【新村委員】  細かいところまでですか。例えば、ある政策の下にある特定の事務事業について、掘り下げた分析をやってくださいといったことまで言うのですか。
    【吉開政策評価官】  そういうこともあり得るかなと思います。単に重要政策について評価をしなさいというだけでは、これまでと変わらない評価が出てくると思いますので、そうではなくて、重点対象分野として取り上げるからには、こういう点についてこういう視点でしっかり評価を出してきてくださいということを言わないと、意味がないのかなと思っております。
    【新村委員】  それに対して評価局はレビューをすると。客観性担保のような形で。
    【吉開政策評価官】  クライアントからの要請といいますか、要望に沿った評価がされているかどうかという視点でみていくことになると思います。
    【高木臨時委員】  ちょっと自分自身の整理も兼ねてということで、この問題について改めて整理しておきたいと思うのですけれども、少なくとも形式的には経済財政諮問会議が選定するというスキームが予定されていたと思いますので、経済財政諮問会議がどのような考え方で選定されたらよろしいのじゃないかというアドバイスの部分だというふうに形式的には考えるべきなのではないでしょうかという点。
     それからまた、経済財政諮問会議で実質的に重要対象分野の選定を取り仕切るというよりは、実質的には、行政評価局あるいはこの分科会において切り出していくというふうにも言えるのかという点があります。
     それから、重要対象分野の評価の視点については、これは結局、各府省が行う政策評価が適切に行われるための視点を提供するとともに、その評価結果について、この分科会、あるいは行政評価局、あるいは経済財政諮問会議がモニタリングを行うので、その実施あるいはモニタリングに関しての視点をまとめようという性格の部分ではないかと思うのですが、以上のところの認識で間違っている部分がありましたら、ちょっと教えていただきたいと思うのです。
    【吉開政策評価官】  まず経済財政諮問会議との関係でございますが、資料3を御覧いただきますと、これは閣議決定されました基本方針2007でございますけれども、あくまでも重要対象分野を提示する主体――「重要対象分野等」とございますのは、「等」の中には評価の視点が入っているわけですが、これを提示する主体は経済財政諮問会議であります。そういう意味では、総務大臣、それから総務大臣に意見を述べる政独委につきましては、形式的にはアドバイザーという立場と考えることができると思います。
     ただ、実際上、経済財政諮問会議で主体的に、非常に時間をとって重要対象分野についての議論をできるかというと、恐らくそういうことは難しいのではないかと思います。そういった意味でも、あるいはもう1つ、私どもが政策評価の所管をしているわけでございますので、そういった立場から具体的な分野について実質的な議論を行った上で経済財政諮問会議に対して意見を述べる、こういう位置付けでありますので、高木委員の御理解でよろしいかと思います。
     それから、視点につきましては、基本的に高木委員の御理解どおりでありますけれども、重要対象分野について評価を行うに当たって各府省が踏まえるべき視点でありますし、私どもがそれをチェックするに当たってのよりどころにもなるという意味で、高木委員の御理解どおりであると思います。
    【田辺臨時委員】  何となく頭のトレーニングの側面がありまして、各論に入ったときはまた議論が別なのだろうと思うのですけれども、これはやはり、分科会長からクライアントのことを考えなければいけないということを提起されましたが、恐らくそれなのだろうと思っております。
     どういうことかというと、今までですと各府省と総務省の間だけで行っていたものを、経済財政諮問会議というところを入れ込んで、新しく何ができるのかというところなのだろうと思っております。
     重要と考えられる評価の視点は、恐らく幾つかのものがあるのだろうと思っております。重要なことは、最終的に考えなければいけないのは、経済財政諮問会議の側が何らかの形で決定して、それを各府省に伝達するというか、指示するということをやるのだろうと思いますけれども、それに役立つような評価、それに資するような評価というものは一体何ができるのかということなのだろうと思います。
     考えますと、3つぐらいありそうなのかなという気はしております。1つは、経済財政諮問会議がこれは重要ですよといって政策を立てた。それが具体的に各府省でどう動いているのだという、ある種の進行管理に近いような評価であります。それを持ってきて、各府省のところで個別にはやっているのだろうと思いますけれども、全体としてどういう進行になっているのかという情報を取りまとめて、経済財政諮問会議にお伝えするという評価はあり得るのだろうなと思っております。
     それから、2番目のパターンとしてあり得るのは、経済財政諮問会議が今度はこういう新しいものを打ち出したいというときに、その打ち出すものは、基本計画等でスケジュールが大体決まっているようなものがあるのだと思うのですけれども、そのときに、単に進行管理がどうこうという問題ではなくて、次のやり方を見直すときに、この政策はあまり役立っていないからもうやめたらとか、ある種の絞り込みをしていく。効果を見て、それで絞り込みをしていくようなことは絶対にあるのだろうと思います。それに役立つような効果把握というのでしょうか、それをまとめて提示するという評価はあり得るのかなと思っております。
     3番目は、若干難しいところはあるのですけれども、これだけをやっていてよいのかなということがありまして、経済財政諮問会議に気付かせる。つまり、問題提起をして、それを各府省で何らかの新しい対策が必要だからといって打ち出すときに、プラスになるような材料を提供するようなことも必要なのだろうと思います。
     それで、1番初めに申し上げた進行管理とか絞り込みというのは、もとの計画とかフレームがはっきりしていますけれども、3番目のある種の問題提起みたいなところを全くやっていかないでよいのかというのは若干疑問でして、GAOと議会との関係の中でも、議会のネタになるような部分を事前の調査みたいな形でさせておくというところがクライアントとの関係で出てくるのだろうと思いますが、その作業をやっていかないといけないのではないのかなと思っております。
     1、2のところは、対象の選定が楽とは言いませんけれども、その中でどうやるのかということを考えていけばよいのだろうと思いますが、最後の問題提起みたいなところは、未来を見据えてでありますので、そこは、次の民間議員が出すペーパーがどういうことになりそうなのかということを考えながら、それに役立つような材料を考えていくのだろうなという気がしております。それが1点。
     それから2番目は、そのときにこの評価局が何をやるのかなということであります。経済財政諮問会議が各府省に伝えるという部分はあるのだろうとは思うのですけれども、それだけでよいのかなということであります。
     つまり、役割として、1つは各府省がやったものを取りまとめて、見やすい形で経済財政諮問会議に伝える役割というのは果たしてもよいのじゃないか。もしくは、それを果たさないと、ばらばらの情報がばらばらに出てくるだけですので、使いようのない情報を提供することになってしまうのではないか。
     2つ目は、経済財政諮問会議が評価局に、これをやってくれということを踏まえて統一性確保評価とか総合性確保評価の中で扱うようなものもあり得るのではないのかなと考えております。
     それから、役割の3番目としては、先ほど分科会長と吉野委員から意見もございましたけれども、各府省でやっているものを一定の切り分けをして、それにチェックをかけてレビューをして、その情報をまとめてお伝えするという役割もあるのかなと考えております。
     それを考えると、全く言いっ放しというのは、経済財政諮問会議がこれをやれというところだけではなくて、各府省が中心になってやったものでも構わないのですけれども、どういう形で情報としてまとめて形づくっていくのか。もしくは、そこに行政評価局がどういう形で寄与できるのか。チェック、レビューなんというのもその寄与のあり方だと思うのですけれども、それを考えていって、適切な対象の選定と、それから、それをどうやるのだというところの絞り込みというのかな、それを情報としてお伝えするというところを考えていったほうがよいのではないのかなと思っております。
     ちょっとまとまりのない話で、申し訳ございません。
    【金本分科会長】  各府省がやるものについてどういうふうにするかというのは、実際にやるとかなり難しいと思います。わかりやすく取りまとめることも簡単なことではありません。私はそんなによいものがすぐに出てくるわけではないのだと思いますが、ただ、全くやらないわけにもいかぬと思いますので、必ずそういう部分はあるのかなという気はいたします。
     なかなか具体にやるということにならないと議論も難しいかなという気がしますが、分野の選定に関しては、多分、霞が関の中にいる人が自分たちで考えても、よいネタは出てこないのかなという気がします。ですから、それを表でやるのはなかなか難しいのですが、イメージ的には、例えば規制改革関係でやっているのは、いろいろな民間の人たちから意見を聞いたりして、論点を作っていくといったプロセスがあるのだと思うのですが、そういうプロセスをどういった格好で入れていくかというところがかなり重要かなと思います。ワーキンググループをつくって、委員の人たちが意見を出すだけで、それほどよいネタになるかというと、若干厳しいかなという気がいたしますので、この辺も考えどころかなという気がいたします。
     そのほかに何かございますか。よろしゅうございますか。そろそろいい時間でございますので、とりあえずこんな形で今日は終わりにさせていただきたいと思います。次回以降の予定について、お願いいたします。
    【吉開政策評価官】  ありがとうございました。
     次回以降の日程につきましては、まだ決まっておりませんので、また御相談して、改めて御連絡を申し上げたいと思います。
    【金本分科会長】  それでは、どうもお疲れさまでございました。これで終了させていただきます。


ページトップへ戻る