農林水産省から同省所管の独立行政法人に係る見直し当初案についての説明が行われ、その後質疑応答が行われた。質疑等の概要は以下のとおり。
(緑資源機構について)
○ 水源林造成事業は、既にその採算性を維持するのは困難であり、スキームとして無理があると考える。新規事業採択を凍結し、新たな仕組みを考えるべきではないか。実施中の事業についても投入資金の回収が見込めないものについては、事業を中止し、精算した上で、経過措置法人に移管すべきではないか。
また、当事業については、「コスト縮減を検討」とのことであるが、具体的にどのようなことを念頭に置き、どの程度のコスト縮減が図られると考えているのか。
○ 緑資源幹線林道整備事業については、地元の視点も踏まえ、ゼロ・ベースで見直すべきではないか。
○ 特定中山間保全整備事業については、新規事業採択は実施しないとのことであるが、残事業についても、ゼロ・ベースで見直し、検証すべきではないか。
○ 農用地総合整備事業も同様に現在の残事業で事業を終了させるとのことであるが、今後なお600億円弱の事業費を見込む残事業についてもゼロ・ベースで見直すべきではないか。
○ 個々の農家からの強い要請など事業に対する地元の期待度は高いとのことであるが、要請といってもどのようなものなのか不明である。
○ 各事業について、期中評価等を実施しているとのことだが、国庫補助で事業が実施されると地元からみた評価はどうしても甘くなる傾向がある。いずれにしても、組織を廃止する以上、事業は継続というのではなくこの機会を捉えて全ての事業についてゼロ・ベースで検証すべきではないか。
○ 特定中山間保全整備事業や農用地総合整備事業については期中評価等の再評価をしているので、見直しは必要ないとのことだが、現時点での事業の必要性を明らかにする責任があると考える。
○ 水源林造成事業等について、森林総合研究所という研究法人へ引き継ぐ理由は何か。
○ 海外農業開発事業については、運営費交付金ではなく、農林水産省からの補助金、あるいはJICAからの受託という形で事業が実施されていることもあり、組織が廃止される以上、形式論から言えば、現在実施中の事業の完了をもっていったん事業としては廃止するのが当然ではないか。
○ 海外農業開発事業については、機構のノウハウを活かすということで実施している事業だと思われるが、その事業を国際農林水産業研究センターにおいてどのように実施するのか。別法人がそのまま事業を継続して実施する理由を正面から説明すべきである。
○ 規模の大きな事業を移管することとなる受入れ先の森林総研の事業の効率的運営を損なわないように、森林総研全体の人・金の資源配分が適正になされる等の配慮が必要である。
○ 林道の整備については、元々国道等も含め、国全体の道路整備の中で必要性などが吟味された上で進められるべきものであり、整理されるべきものと考える。この段階で、地方に必要性の検証をゆだねることになれば、そうした全体の視点が失われ、地元の視点のみでどうしても道路を造るという方向に話が進みがちになってしまうのではないか。
○ 地方事務所・人員配置・保有資産は、組織が廃止される以上すべてゼロベースで見直すべきではないか。
○ (今後事業が終了することが決まっている)特定中山間整備事業や農用地整備事業に従事している職員の処遇についてどのように考えているのか。
○ 内部統制機能は全く機能していなかったと言わざるを得ないが、どうか。今の具体的な対応状況はどうなっているのか。
(農畜産業振興機構について)
○ 費用対効果の分析を実施しているとのことであるが、事業の費用対効果は実施されていても、その中で機構の役割がどうなっているかが明確にされていない。機構の任務・役割を明確にして、各事業において、機構が関与することによる効果を把握する必要があるのではないか。
○ 機構の任務として農家を支援するということであったが、畜産業振興事業については
i )最終生産者等に到達するまで、中間段階が多く、そこで多額の事務費を要しているもの
ii )実際に使用した額と予算額があまりにも乖離しているもの
iii )基金として関連法人に資金がプールされているだけでほとんど使用されていないもの
があり、農家の支援になっていないのではないか。これらの事業を精査して、各事業についてメリハリをつけて効率化すべきではないか。事務の重複が多々見受けられるため、整理する必要があり、また、整理しないと存在意義が問われると考えるがどうか。
○ 効率化を推進して事業費を削減したとのことであるが、保有する資金規模は増えている。機構の支出が減っても、それが機構に溜まるだけでは、国の財政支出削減につながらないのではないか。事業費の削減に併せて、不要となった費用は国庫に返還するスキームをつくるなど資金の規模も縮減すべきではないか。
○ 牛肉関税を使用して、国内の肉用子牛等対策を行うというのが調整資金の趣旨だと思われるが、調整資金から支出された補助金の返還金から毎年度多額の資金が乳業対策など食肉以外の畜産業振興対策が行われている畜産業振興資金に繰り入れられている現状は、会計処理上不明瞭と考えるがどうか。
○ 学校給食用牛乳供給事業については、本来の事業目的とは異なる普及啓発に多額の経費を要しているが、牛乳の効用については既に国民に十分に周知されているのではないか。
本事業によって牛乳の需要が喚起されているとは言い難く事業を廃止すべきではないか。
○ 普及啓発はどうしても必要との考えであるが、そうであればその観点で新しい事業を組めばよいのではないか。今の事業内容は「学校に給食として牛乳を供給する」という目的と直接結びついていないのではないか。
○ 情報収集提供業務については、(その提供されている情報をみると)組織定員の15%の職員を割き、海外に事務所まで設置して専門的に行う必要は認められない。予算、実施体制を抜本的に見直すべきではないか。各事業担当が附帯業務として実施する方が効率的かつ一体的に実施できるのではないか。継続的に情報収集分析するセクションが必要とのお考えであるが、今のままでよいか。もう少し効率化できないか。もう一度見直してほしい。
○ 輸入糸から調整金を徴収して養蚕農家に助成を行うスキームが破綻していることは明らかなため、機構は当該事業から撤退し、蚕糸業対策を抜本的に見直すべきではないか。
○ 人件費はいつまでにどの程度引き下げるのか。具体的なプランニングはどうなっているのか。
○ 必要とされている地方事務所3か所については、生産者に対する交付金の交付事務の大部分を農協に委託し、また、申請書の現地確認をする必要があっても、申請書全件を現地確認することは考えられないわけで、残す必要がないのではないか。
(農業者年金基金について)
○ 新年金、旧年金両者とも、業務の大部分を委託しているなど、基金がこれらの事業に関与することによりもたらされる付加価値、プラスアルファが何か全く分からない。これらの事業については、包括的民間委託や市場化テストの対象とすべきではないか。
○ 全体の職員数に比べて管理職比率が高すぎないか。また、給与水準も高すぎないか。
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