会議資料・開催案内等


―速報のため事後修正の可能性あり―

独立行政法人評価分科会(平成19年9月18日開催)議事要旨


  1.  日時 平成19年9月18日(火)13時30分から16時50分

  2.  場所 全国町村会館 ホールA

  3.  出席者
    (独立行政法人評価分科会所属委員)
    樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、森泉陽子独立行政法人評価分科会委員、縣公一郎、浅羽隆史、岡本義朗、河村小百合、黒田玲子、鈴木豊、玉井克哉の各臨時委員

    (総務省)
    関有一行政評価局長、白岩俊評価監視官、清水正博評価監視官、岩田博調査官、細川則明調査官

  4.  議題
    (1)    見直し当初案に関する府省ヒアリング(国土交通省)
    (2)    報告事項

  5.  配布資料(PDF)
    ○   見直し当初案<国土交通省所管6法人>
     

  6.  会議経過
    (1)  国土交通省から同省所管の独立行政法人に係る見直し当初案についての説明が行われ、その後質疑応答が行われた。質疑等の概要は以下のとおり。
     (鉄道建設・運輸施設整備支援機構について)
      ○  都市鉄道利便増進事業については、国土交通大臣が認定した3事業のうち2事業を機構で実施しているが、「民間でできることは民間に委ねる」という原則を踏まえると民間で実施すべきと考える。今後の事業見通しはどのようになっているか。
      ○  各年度の財務諸表をみると、「(鉄道)建設勘定の受託業務収入」と「受託業務費」が同額となっており、事業の受託が自己収入の確保に繋がっていないのではないか。
      ○  受託事業の規模が250億円程度となっており、機構法における「他の業務の遂行の支障のない範囲」を超えているのではないかと考えられるが、この業務に携わる職員は何人で、人件費はどのようになっているか。
      ○  鉄道助成業務について、補助対象となる鉄道の整備状況は国も把握するし、機構も補助金を執行するために把握をするが、結果として人員もコストも二重に要していることになるのではないか。一本化した方が効率的ではないか。
      ○  高度船舶技術開発業務について、見直し当初案が「検討中」とはどういうことか。当然、こうした公開審議の場に間に合わせるように検討すべきであった。本業務については、これまで利子補給や債務保証の廃止など当方の考えを示してきたが、それを踏まえた見直し当初案を早急に提出すべきである。
      ○  高度船舶技術開発の業務について、重点化を図るという回答ではよく分からない。利子補給、債務保証については廃止という当方の考えを踏まえ対応してほしい。
      ○  船舶共有建造業務は、近年、共有建造に対する審査を厳しくしており、資金力のない事業者に対する建造条件が厳しくなっているが、これは、資金力に乏しい事業者に対する財政的支援を行うという本来の政策目的と矛盾しているのではないか。弱小事業者を助けるということであれば、補助金を組み合わせるなどの方策も考えてほしい。また、諸外国の内航船舶に対する支援策はどのようになっているか。
      ○  特例業務における保有債券の運用については見直し当初案で触れられていないが、どのように整理しているのか。
      ○  鉄道建設業務の見直し当初案にある「ライフサイクルコストの削減」については、具体的に何を削減するのか明確にすべきである。
      ○  整備新幹線の建設の進ちょく状況等については、膨大な資金が投入されていることを踏まえ、国民に分かりやすく情報開示すべきではないか。
      ○  基礎的研究業務において機構が募集する研究については、すべて国土交通省関係の研究所で実施できる、又は、実施すべき研究であると考えるが、これらの研究所で実施しない理由は何か。
      ○  民鉄線建設に係る鉄道事業者からの期限前返済について、将来分の利息も徴収することになるのか。

     (国際観光振興機構について)
      ○  これまでビジットジャパンキャンペーン事務局との役割の重複を指摘してきたが、それを一本化する方向性を示したことについては評価できる。ただし、ビジットジャパンキャンペーン事務局を廃止するのではなく、これまでのビジットジャパンキャンペーンの実績や、今後、観光庁を設置して本省機能の強化を図ること等も考慮すると、機構を廃止する方法もあるのではないか。機構ではなくビジットジャパンキャンペーン事務局を廃止することとした理由は何か。
      ○  ビジットジャパンキャンペーン事務局と統合しても、単に二つの組織を足しただけになるのでは意味がない。統合によって組織が効率化・活性化するように、事業計画に盛り込むなどして取り組んでほしい。
      ○  海外事務所については、個々の事務所のパフォーマンスを示すデータが示されていないし、そのデータを取る方法論もないという状況で、各事務所の人員や経費の配分をどうして決められるのか。そのような状況を放置しておいて、見直し当初案で「海外事務所に可能な限り経営資源を配分する」としていることは理解しがたい。
      ○  見直し当初案で「海外宣伝事業に重点化する」としている以上、その結果を何らかの指標で測定できるようにすべきである。
      ○  海外事務所に国からの出向者を多数配置している理由は何か。国の出向者では、海外事務所勤務の経験によって得られるノウハウが機構に蓄積しない。ビジットジャパンキャンペーン事務局と一本化するに当たり、どのような組織形態が適切なのかを考慮した上で、それに応じた人材のマネジメントを考えていかなければならない。
      ○  国内受入体制整備支援事業については見直し当初案が示されていないのはなぜか。今後、機構の業務を海外宣伝事業へ重点化していく以上、他の事業については、当然、廃止又は縮小する方向で検討されるものと考えてよいか。特に、ビジットジャパン案内所指定・支援業務については、業界団体や自治体等において類似のサービスが提供されていることも踏まえて見直すべきではないか。
      ○  国際会議誘致事業については、これまでの誘致スキームでは十分な効果が上がっておらず、今後、新たに国を挙げて誘致施策を検討していく中で、機構の担当部署についても、それに合わせた形で体制の縮小なり効率化を行っていくべきではないか。
      ○  観光関連の資格認定に関する試験は業界団体等への委託により実施されているが、なぜ通訳案内士試験についてはこの独法でなければ実施できないのか。

     (水資源機構について)
      ○  水門談合事件により、機構のみならず、独法制度全体に対する国民の信頼を著しく損ねたことにかんがみ、信頼回復に向け、関連法人を含めた組織の解体、体制変更にも踏み込んだ検討を行うべきではないか。
      ○  同様の問題を起こした緑資源機構については、「このような組織を引き続き、重要な政策を担う機関として位置付けさせて存続させ、更正の機会を与えることは、国民の信頼を更に損なうものであると判断されるため、機構については、本年度限りで廃止することとする」旨の見直し当初案が出されており、まずは、このような議論なくして、事務・事業の見直しの議論はできないと考えるがどうか。
      ○  そもそも、ダム等の建設・管理については、機構のほか、国、地方公共団体等が建設・管理しているものがある。ダム等の建設・管理という機能に違いはないと考えるが、その実施主体については、国の水資源政策において、どのような基準でどのように整理されているのか。
     特に、建設事業については、機構発注の工事等により、国民の信頼を著しく損ねる事態を招いたことや事業開始から完成まで計画変更を繰り返し、何十年もかかっている事業が多々あること等にかんがみ、事業の必要性についても再度、十分精査する必要があるとともに、真に必要なものについては基本的に国の直轄事業とするなど、機構は事業から撤退すべきではないか。
      ○  管理業務についても、建設事業と同様の観点から、公共事業の担い手として、その適格性について疑問があり、他の実施主体に移管すべきではないか。そもそも、施設の建設と管理を同一主体が行う必要があるのか。洪水調節、渇水時の調節についても、関係県で協議会等を設置するなどにより、他の主体でも実施できないか。
      ○  仮に、機構が直轄管理する場合においても、洪水調節等の機構職員でしかできないと考えられる業務以外は民間等の他の主体が実施するなど、水の調整機能は施設管理機能とは別の観点から検討できるのではないか。例えば、組織のスリム化のため、洪水調節等の担当職員は常駐する必要がないのではないか。
      ○  利水者からの負担金の繰上償還については、将来の金利分を負担する等のペナルティがあるのか。
      ○  利水者との利害調整にあたり、国の河川局と機構との役割分担は具体的にどのようになっているのか。

     (空港周辺整備機構について)
      ○  移転補償事業については、30年以上事業を実施してもなお、4割程度しか進ちょくしていない状況であり、当該事業についてどれほどの必要性があるのか。30年ということであれば、ワンライフサイクルが経過しており、機構の事業としては、次期中期目標期間中に廃止してはどうかと考える。例えば、補償を受けたい方は期間内に申し出るということにし、事業終了としてはどうか。
      ○  民家防音工事については、各方面からの指摘や国土交通省における方針等を踏まえ、工事積算方法の簡略化といった程度の見直しのみならず、「機能回復工事」と「再更新工事」の事業内容について抜本的に見直すべきではないのか。
      ○  大阪及び福岡空港周辺の民家防音事業費が他の空港の同事業より大幅に割高になっているという新聞報道は事実か。
      ○  移転補償事業及び民家防音事業に係る対象範囲が、広すぎではないかと感じられる。これら事業が、機構の政策目的の進ちょくを阻害していることも考えられることから、制度の見直しが必要ではないか。
      ○  指定日以降の所有権移転であっても移転補償を行うのはどうか。事業が継続されるように運用していると考えられることから見直すべきではないか。
      ○  機構として、空港周辺地域を最終的にどうしたいのか、どこに重点を置いてどのように事業を進めていくのか方針が分からない。個々の事業ごとに進めているのであれば、いつまでも事業を続けなければならず、事業の整理につながらないのではないか。
      ○  緑地造成事業について、第3種地域を緑地にしなければならないと法律上定まっているとのことだが、工場等を移転させてまで緑地にする必要性がわ分からない。
      ○  代替地造成事業について、当面造成事業を行う予定もなく、定員・予算についても措置しないということであれば、今後も実施していく必要がないのではないのか。
      ○  再開発整備事業を、なぜ機構が実施しなければならないのか。事業の実施方法については、貸付で行っているということだが、売却でも構わないのではないか。国有地の貸付について、使用条件が緩和されたということだが、今後どのように考えているのか。
      ○  見直し当初案にある空港周辺環境対策の見直し、及び大阪国際空港の騒音対策区域の見直しについて、現時点における具体的なスケジュール、見直し内容はどのようになっているのか示してほしい。
      ○  機構が事業を開始してから30年以上経過していることから、機構による事業実施の終期を明確にすることを検討し、併せて、国又は地元自治体の業務移管や関連する他の法人との統合を検討すべきではないか。

     (海上災害防止センターについて)
      ○  センターを民営化できない理由として、油等の防除措置の業務は、利潤性が低く会社経営としては成り立たないこと、大規模な油等の流出事故等に迅速かつ効果的に対応できないこと、及び強制徴収権の規定が民間にはなじまないことを挙げているが、センターは国からの財政支援を受けておらず、かつ、全体としては収益を上げていること、特殊な資機材の配備や24時間・365日体制の保持は海上保安庁長官からの指示(1号業務)だけでなく、船舶所有者からの委託に基づく業務(2号業務)により備えるものであり、また、資機材については、組織形態とは無関係に船舶所有者からの手数料で配備しているものであること、さらに、強制徴収権については、法人設立以降ほとんど発動実績がなく、国による対応が可能と考えられることからも、民営化が不可能との理由にはならないのではないか。
      ○  1号業務とセットで強制徴収権があるということだが、強制徴収権が必要ないと言っているのではない。センターが代行して行う必要はないということであり、海上保安庁が実施すればよいのではないか。センターの業務自体、業界の自己保険で行うべきものであって、仮に手厚い補償をしようとするのであれば国が予算措置を行い、民間団体で設立された防止センターに国費を投入したらよいのではないか。
      ○  防除措置について国としてできる限りのことは行うべきとのことだが、説得力がない。もともと強制徴収権は国の業務であって、海上保安庁長官が1号業務として指示をするのであれば、わざわざ代行させる必要はないのではないか。普通のタンカーの場合は、強制徴収ではなく国からの費用交付が法律上定められているとのことだが、民間団体に費用を交付すればよいのではないか。
      ○  見直し当初案の中で、諸外国における海上災害対策の実施状況として、韓国では公的機関が実施しているとされているが、韓国以外では、民間の団体が実施しているという理解でよいか。韓国以外の国では、どのような機関が対応しているのか示してほしい。

     (都市再生機構について)
      ○  都市再生事業は、地方公共団体や民間でも実施されており、機構が実施しなければならない理由が理解できない。機構のミッションと地方公共団体や民間との役割分担はどのようになっているのか。また、土地区画整備事業について、先般、採算モデルを提示されたが、どのように収益を確保しているのか分からない。収益が出る構造が分かるように示してほしい。また、市街地開発事業の採算モデルについてもどのような資金で、どのように回収し収益を上げているのか教えてほしい。
      ○  機構のミッションについて、豊洲の都市再生事業の例を挙げて説明されたが、事業の実施主体である江東区との役割分担はどうなっているのか。江東区などでは都市開発等の経験者が少なく、大規模なプロジェクトを実施できるだけの体制がないのは説明を受けて分かった。しかし、東京都ではその体制があるとの説明があったにもかかわらず、なぜ、豊洲の再開発は東京都が行わず機構が実施しているのか。プロジェクトごとに個別に機構と東京都が話し合いながらいずれにおいて実施するか判断しているとのことだが、役割分担があいまいなので明確にしてほしい。
      ○  関係者間の意見調整や利害調整が必要となる既成市街地における大規模な都市開発事業や、密集市街地等の権利関係がふくそうした地域の調整等、民間事業者では実施困難なものについて機構が事業を実施しているとの説明であったが、依頼があれば何でもやるのか。民間事業者では実施困難なものとはどのようなものを指すのか。
      ○  機構は、地方公共団体からの要請に基づき支援を行うということでよいのか。機構のパンフレットで、都市再生事業の中に機構施行というものがあるが、これは支援に当たるのか、それとも機構が自ら主体的に実施しているものなのか。
      ○  機構は、第一義的には、国の政策に基づいて事業を実施しているとの理解でよいか。採算性とある程度の規模があれば機構が行うとのことだが、それでは民間が行う事業と何ら変わらないのではないか。民間が行う都市再生事業との違いを明確に示してほしい。
      ○  機構は、様々な都市再生事業の実績があり、ノウハウも蓄積されていることやある程度の収益もあげていることから、民営化を考えてはどうか。なぜ、独法でなければならないのか。
      ○  賃貸住宅事業は、そもそも中堅所得層を対象に住宅供給をするのが機構のミッションであったが、ファミリー世帯や高齢者、子育て世代などの住宅弱者への供給へとシフトした場合、それで利益が上がるのか。
      ○  賃貸住宅事業のミッションがファミリー世帯や高齢者、子育て世代などの住宅弱者への供給へとシフトしてきているとのことであるが、対象となる世帯の割合はどの程度か。機構は住宅弱者のための住宅の供給に特化するというのも1つのやり方で、民間と同程度の家賃で供給しているものについては売却し民間に任せてしまうべきである。引き続き独法の事業として行っていくのが適切なのか、ミッションによっては、今後の検討の方向性に影響が出ると考えるがどうか。
      ○  賃貸住宅事業は当初の目的と離れてきており、機構のミッションと公営住宅が担うべき役割とが混在してきていると考えられる。国の新たな住宅政策について整理する中で、公営住宅とのすみ分けを検討すべきである。
      ○  公営住宅の数は増えておらず、また、セーフティネットが破綻しているという前提で住宅セーフティネット法が制定され、情報提供や住宅供給の努力義務があるということは分かったが、最終的には、国民の80%が持ち家を保有するという現状のもとに、中堅所得層をターゲットにこれからも事業を継続するというのであれば、機構のミッションとしては問題があると考える。
      ○  賃貸住宅の管理業務について、関連会社等に委託している具体的な理由、民間に委託した場合とのコストの違い等について説明してほしい。また、民間委託を推進するための数値目標を示してほしい。
      ○  賃貸住宅の管理業務を関連会社に委託することで、本当にコストが安く質のよい管理ができているのか。住宅の管理においては、どの程度のサービスが求められており、それはどの機関が担うことにより安いコストで実施できるのか検証してほしい。

    (2)  事務局から、今後の分科会の日程等についての報告があった。

以上
(文責:総務省行政評価局独立行政法人第一担当室)


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