会議資料・開催案内等


―速報のため事後修正の可能性あり―

独立行政法人評価分科会(平成19年9月19日開催)議事要旨


  1.  日時 平成19年9月19日(水)13時30分から16時00分

  2.  場所 全国町村会館 ホールA

  3.  出席者
    (独立行政法人評価分科会所属委員)
    富田俊基独立行政法人評価分科会長、樫谷隆夫独立行政法人評価分科会長代理、阿曽沼元博、稲継裕昭、井上光昭、梅里良正、岡本義朗、梶川融、河村小百合、黒田玲子、櫻井通晴、田渕雪子の各臨時委員

    (総務省)
    関有一行政評価局長、若生俊彦行政評価局総務課長、白岩俊評価監視官、清水正博評価監視官、岩田博調査官、細川則明調査官

  4.  議題
    (1)   見直し当初案に関する府省ヒアリング(厚生労働省、内閣府)
    (2) 報告事項

  5.  配布資料(PDF)
    資料1  見直し当初案<厚生労働省所管3法人>
    労働者健康福祉機構(説明資料、本文12
    国立病院機構(説明資料本文
    医薬品医療機器総合機構(説明資料参考資料本文
    資料2  見直し当初案<内閣府所管1法人>
    沖縄科学技術研究基盤整備機構(説明資料本文

  6.  会議経過
    (1)  厚生労働省から同省所管の独立行政法人に係る見直し当初案についての説明が行われ、その後質疑応答が行われた。質疑等の概要は以下のとおり。
    (独立行政法人労働者健康福祉機構について)

    ○ 労災病院については、診療における労災患者比率が減少し一般病院化していることやほとんどの労災被災者が労災病院以外の医療機関で診療を受けている実態を踏まえると、労災診療における役割を終えたのではないか。

    ○ 労災疾病に関する研究の実施及びその成果の均てん化(全国に広める)というミッションのために、今の病院数が必要なのか疑問である。

    ○ 労災疾病に関する医療提供、研究成果を均てん化するための機構の役割は、30数か所の病院施設を運営することではなく、一般の医療機関との連携を進め、労災疾病に関する知見の移転、情報提供等を推進することではないか。

    ○ 労災病院の存在意義として、目的意識を有する人材や組織の存在の必要性を挙げているが、やはり、その存在意義と今の病院数が必要であるとする関連が分からない。実際のところ、地域における一般医療の提供のために必要とされているのではないか。

    ○ 30数か所の病院が必要な根拠として、アクセシビリティと労災疾病に関する専門性を挙げているが、すべての病院が同一の専門性を有しているわけではなく、アクセシビリティの利点とは矛盾している。

    ○ 労災病院を30数か所に設置して運営する今のやり方に対して、1か所に機能を集中する方法もあるのではないか。

    ○ これまでに7病院を再編してきた際に、現存の病院はなぜ必要と判断されたのか。機構が病院を直営する合理性は何か。公平性はあるか。例えば、国立病院や公的医療機関と連携して医療を提供する方向性も考えられるのではないか。

    ○ 今回の見直しでは、国立病院と労災病院と併せて検討すべきである。

    ○ 産業保健推進センターについては、現在47か所に設置されているが、業務実績からみても、もっと集約した上で業務の質を維持しつつ実施できるのではないか。

    ○ 研究テーマについては、実態に応じて選択と集中をしつつ実施しなければならない。

    ○ 例えばがん医療は均てん化を進め、地域拠点を整備する方向で進めてきている。労災疾病においても1つの方向性として検討できるのではないか。

    ○ 未払賃金立替払事業は、機構の他の事業とは趣旨が異なる事業であるが、他の業務に対する相乗効果等はあるか。

    ○ 縦割りの組織、独自の財源という制度の枠組みの中だけで結論を出していいのか。また、今の供給体制が最適だというには説得性に欠けるとの問題意識を持っており、引き続き議論が必要である。


    (独立行政法人国立病院機構について)

    ○ 全国に146病院を持つ世界最大のチェーンホスピタルが、理事長1人、役員数人で運営されている状態で、各地域に根ざした病院経営を行うのは難しい。権限をブロックに移譲して、7,000億円の債務返済や将来の施設整備に係る7,000億円の財源確保についてもブロックごとに収支計画を策定して取り組むといった具体的な方策が必要ではないか。

    ○ 一方で、経営基盤が強化されると、地域医療における公民のバランスを欠くおそれがある。地域内でのイコールフッティングを念頭に置いて、バランスを取りつつ経営する必要がある。このような側面からも、地域サイドへの権限移譲の必要性についても慎重に検討すべきである。

    ○ ここ数年来、病院の改築や移転が多くみられ、そのための土地の取得等が進められているが、新しく病棟を建てること自体が目的化されているのではないか。中期計画における内容を時代に即したものとすべきである。

    ○ 従来より掲げている政策医療については今後も継続していくのか。目的と実態とが乖離していないか。地域から求められている医療を提供することこそが今後の政策医療となってくるのではないか。

    ○ 公的な医療を提供する行政目的を有しているとのことであるが、例えば、公費医療を国策として必要であるものと考えると、国立病院における公費医療の比率は、他の病院よりも高いか。関係する資料を提出してほしい。

    ○ 経営の効率化の内容として、各施設の収支を明らかにしていることを挙げていたが、経営効率化と説明責任(アカウンタビリティ)とは異なる。

    ○ 医療機関の再編成については、地元との協議調整を十分に行いつつ進めるべきである。

    ○ 常勤監事を置いていない理由として、現状では、本来業務との関係で適任となる人材がいないことを挙げていたが、これは監事の根幹的業務を理解していないのではないか。

    ○ 地域医療への貢献とは、各病院の医療提供能力の範囲で協力することだと思うが、146病院を運営する大きな組織であるがゆえ、地域医療体制が取りにくいのではないか。
     政策医療、とりわけナショナルセンターとの関係について、146の国立病院はどのように位置付けられるのか。

    ○ 地域の実態に即した医療を提供するため、地域医療計画へ積極的に参画するとなると、各地域でそのような運営を行った場合、独法としての一体性はどのように確保されるのか。

    ○ 機構全体としての存続意義と、個々の病院の地域における存続意義とを使い分けて、国立病院の存在意義や役割、責任を位置付けようとしているように聞こえる。

    ○ 個々の病院より機構全体として、どのように健全な経営を実現するか、組織の在り方について抜本的に議論することが必要である。現在の経営体制は、世界的企業としては脆弱であると考える。

    ○ 医療事故に関するリスク分析、EBM(根拠に基づいた医療)について言及しているが、日本医療機能評価機構との連携についてはどのように考えているか。


    (医薬品医療機器総合機構について)

    ○ 審査業務の必要性は国策として体制強化が決まっているため、重要論点は、ドラック・ラグが確実に解消されるのかということである。
     ドラック・ラグが2.5年発生している原因は既に分析しているとのことだが、これまでの説明では審査のどの過程がボトルネックなのか分からない。配置計画では、増加職員を治験相談に配属するとのことだが、ボトルネックを分析した上で236人の増員となっているか。

    ○ ドラック・ラグ2.5年の内訳は、申請までの段階で1.5年、申請後の審査等の段階で1年であり、1.5年の遅れは、企業の開発戦略や薬価制度の問題との説明だが、その点については職員の増員で改善できないのではないか。

    ○ 申請後の審査等の段階での1年の遅れは、審査基準の明確化により解消するとのことだが、体制強化しなくてもできるのではないか。

    ○ 治験相談の強化で本当に審査期間を短縮できるのか。ドラック・ラグの発生原因について、さらにブレイクダウンした原因が明らかにされていない。これだけ増員してドラック・ラグが解消されなければ問題である。

    ○ 審査過程の問題点は、クリティカルパスを作成して分析しているとのことだが、その内容の分かる資料を提出してほしい。

    ○ 236人の増員は新薬審査に関わるものということだが、医薬機器に関するデバイス・ラグの問題を含め、今後の医療の発展のためには、機構として何年後にどれぐらいの規模がどの程度必要か想定しているか。
     例えば、中期目標期間ではなく、10年単位で考えたときに、どれだけ増員が必要かを明らかにすることも重要ではないか。

    ○ 増員だけではなく、業務の在り方を相対的にみた上でビジネスプロセスや申請書の簡素化の議論を行っているか。

    ○ 業務改善については、平成18年度に民間のコンサルティング会社に分析させて業務・体制の見直しを行ったとのことだが、民間会社に分析させることが目的化し、指摘されたことが具体的なアクションプランに結びつかないため、目標設定ができず、後で評価もできないということもある。
     独立行政法人の中でも非常に稀有な体制強化に関する議論をしなければならないからこそ、組織力を高めていった結果、アウトカムやプロセスがどう変わったかの説明責任が生じてくるため、そういった部分の評価が必要ではないか。

    ○ 国際的な連携、組織のクオリティや客観性を高めるため、ISOの取得等により国際的に認められるような組織力強化が必要ではないか。

    ○ 職員を236人増員するとのことだが、海外へ職員を派遣し、従来の審査のやり方を見直すなどの職員育成プランも必要ではないか。

    ○ アメリカのFDAと比べるとそもそもの社会保険制度等の環境も異なるが、ドラック・ラグの解消に向けて努力してほしい。


    (2) 内閣府から同府所管の独立行政法人に係る見直し当初案についての説明が行われ、その後質疑応答が行われた。質疑等の概要は以下のとおり。
    (沖縄科学技術研究基盤整備機構について)

    ○ 構想を含め、ソフト面を中心に大学院大学の設置準備が進んでいるかはっきりしない。さらに、内閣府の独立行政法人として大学院大学を設置するメリットがはっきりしない。大学院大学設置後の所管はどうなるのか。なぜ、内閣府の所管で準備を行っているのか。内閣府としてどう考えているのか。

    ○ 設置形態に関する議論は合理化について議論する前に、まさに内閣府で行われるべきであって、その議論によって決められたことを施行するのが独法である。それを組織形態の見直しと書かれてしまうと、いまさらそのようなことが議論されているのかということで、国民は不安に感じるのではないか。

    ○ 理事長の学業的な業績は認めるが、独立行政法人制度において独法を運営する理事長として(評価に責任をもって対応するという面も含め)的確な人選を行っていると考えているか。

    ○ 先行的研究を進めるために今の組織でとのことであるが、基本的に本省で目標を立てて独立行政法人が実施する仕組みだが、どのような研究をどの程度まで進めるかなどについて独法に自主性があるようにみえる。どちらに先導的な役割の責任があるかとすれば制度的には内閣府であり、研究内容などについて中期目標を与えて独法が実施について責任を負って進める枠組みの中で、今の組織体制でマネジメントし続けるつもりか。

    ○ 進ちょく状況が検証可能な工程表を作成するとのことであるが、それが中期目標、中期計画につながっていくので、より具体的に作成してほしい。

    ○ 開学後の収支計画は立てているか。

    ○ 平成20年度までに開学に向けた計画の基本的方向性について定めるとのことだが、すでに今年度、90億円近い予算が投入されている状況である。この状況を前提に、前倒しで具体案を説明しなければ投入している予算の必要性も疑われるのではないか。

    ○ 世界最高水準の大学院大学とのことだが、世界最高水準の達成を客観的に図るための基準は何か、3つ挙げてほしい。また、世界最高基準に近づくための研究者の選考基準は何か。世界最高基準としての研究を評価する基準は何か。目標にしている大学は世界のどこの大学か。客観的に説明できる資料を提出してほしい。

    ○ 組織としての使命が世界最高水準の大学院大学を設置することならば、それを達成するための具体的な戦略はあるか。

    ○ 独立行政法人制度では、評価が核になっており、当然明確な基準がないと評価できないので、主務省として明確な評価基準を機構に示しておくことが重要である。

    ○ 世界最高水準の実現性について検討し直すべきである。実現が難しいのであれば、根本的に見直すことも必要ではないか。


    (3) 事務局から、今後の分科会の日程等についての報告があった。


以上
(文責:総務省行政評価局独立行政法人第一担当室)


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