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政策評価・独立行政法人評価委員会 政策評価分科会(11月8日開催)議事録


  1. 日時  平成19年11月8日(木)10時00分から11時45分

  2. 場所  中央合同庁舎第2号館 総務省第1会議室

  3. 出席者
            (分科会所属委員)
      金本良嗣政策評価分科会長、寺尾美子委員、上田孝行臨時委員、佐藤主光臨時委員、立花宏臨時委員、田中常雅臨時委員、田辺国昭臨時委員、谷藤悦史臨時委員、永瀬伸子臨時委員、木村陽子専門委員
      (総務省行政評価局)
      関行政評価局長、若生総務課長、吉開政策評価官、松本(敦)評価監視官、吉田政策評価審議室長
     
  4. 議題
            1. 政策評価の重要対象分野の選定等について

  5. 資料(PDF)
            資料1  経済財政改革の基本方針2007(抄)

  6. 【金本分科会長】  時間になりましたので、ただいまから開会させていただきたいと思います。
     今日の議題は、政策評価の重要対象分野の選定等についてということでございます。前回、10月19日の政策評価分科会での議論を踏まえまして、その後、ワーキング・グループを開催して議論をしていただきました。今日は政策評価・独立行政法人評価委員会として総務大臣に対して行う答申の内容について、これらの検討を踏まえて整理をしていきたいということでございます。
      それでは、吉開評価官から御説明をお願いいたします。
    【吉開政策評価官】  おはようございます。よろしくお願いいたします。
     それでは、御説明を申し上げます。
     今、分科会長からお話しいただきましたとおり、前回、10月19日の政策評価分科会の審議で、各委員からたくさんの御意見を頂戴いたしました。それを踏まえまして、10月31日のワーキング・グループでさらに御議論いただいたところでございます。
     答申は総論部分と各論部分に分けた上で、重要対象分野を示す各論部分につきましては、どういう状況認識のもとで、どのようなねらいを持った評価を行わせるのかということを簡潔に記載したいと考えております。したがいまして各論部分自体はコンパクトなものになります。19日の分科会で頂戴いたしました各論に係る評価の視点につきましては、その御指摘のすべてを反映できない形になろうかと思いますが、その点を御理解いただければと思います。
     各府省が実際に評価を行うに当たりましては、各論部分の記述以上に詳しい評価設計を行う必要があると考えております。このため、今後、当方の意図するねらいですとか視点をより詳細に各府省に伝えまして、各府省における評価の基本設計に反映していただくということになると考えております。各委員から頂戴しました御意見等につきましては、その過程で示していくということを検討してまいりたいと思います。その際は引き続きワーキング・グループで御議論いただくということも考えておりますけれども、御関心のあるテーマに応じまして、適宜ほかの委員の方々にも御参加いただくことも考えていきたいと思います。それから、ワーキングにおける議論の過程につきましては、引き続きこの分科会にも適宜御報告をしてまいりたいと考えております。
     それでは、まず答申の総論関係につきまして、前回の政策評価分科会での審議を踏まえて盛り込もうと考えている事柄を中心に御説明申し上げます。
     まず、政策評価の重要対象分野の選定等の目的について、経済財政改革の基本方針2007、骨太の方針の文言に合わせて記述するようにいたしたいと考えております。
     それから政策評価の重要対象分野の選定の考え方について、政策の重要性に関する説明といたしまして、前回の御説明の中では3つ、「政策のプライオリティ」、それから「政策の継続性」、それから「政策の総合性」ということで御説明しておりましたけれども、この3者の関係が不明確であるという御指摘を頂戴いたしましたので、「政策の総合性」として御説明した部分を「政策のプライオリティ」の中に吸収いたしまして、その中で「政府を挙げた取組が求められている政策課題」と記述することといたしたいと考えております。
     それから評価を行うことの意義について、2つの点を考えております。1つは、政策の着実な推進や不断の見直し・改善に結び付けることができるものであるかどうかでございます。2つ目は、政策の効果的・効率的な実施、つまり、「選択と集中」にいかすことができるものであるかどうかでございます。そのほか、考慮すべき要素といたしまして、国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)の徹底といった点も追加したいと考えております。
     それから重要対象分野に関する評価のねらい・視点について、3つの評価のねらい・視点を設定したいと考えております。1つは、目標の達成状況に関する情報を定期的にフィードバックすることにより政策の推進状況を明らかにし、その際、目標の達成状況が低調なものについて、その原因分析を行い、政策の見直し・改善を進めていくもの。2つ目は、継続的に実施されてきた政策について、効果の検証を行うとともに、問題点の把握とその原因分析を行うものでございますけれども、前回のワーキング・グループで費用と効果の視点を入れるべきであるという御指摘を頂戴いたしましたので、「費用に見合った効果が得られているかどうかなどの検証を行う」という視点を入れたいと考えております。3つ目は、新たな展開を行う政策について、事後の検証が可能となるよう、達成しようとする目標、上位の政策における位置付け、当該施策の実施により上位の目的の達成に至る政策脈絡などを明らかにするものを考えております。
     それから今後の在り方について、政策目標やその達成状況を把握するための指標等が明らかにされていることが重要であるという認識に基づきまして、その旨の記述を行いたいと考えております。
     総論関係は以上でございまして、次に各論関係については、前回の政策評価分科会で御説明した内容を踏まえてさらに詳しく記述したいと考えております。
     まず少子化社会対策については、「少子化社会対策」という言葉と「少子化対策」という言葉と両方あるわけでございますが、法律で少子化社会対策基本法とございますので、そのタイトルに合わせまして、「少子化対策」ではなく「少子化社会対策」という用語を用いることにしたいと考えております。
     それから、少子化社会対策の全体について評価を求めるわけではないということを明確にするために、少子化社会対策に関連する、ワーク・ライフ・バランス、育児休業制度、子育て支援サービスというふうに整理したいと考えております。
     いわゆるワーク・ライフ・バランスにつきましては、これまでの施策の効果についての検証を求めるとともに、今後策定予定のワーク・ライフ・バランス憲章等に基づく新たな施策について、目標達成に向けた取組をあらかじめ明らかにしていただいた上で、事後検証をしてくださいというふうに内閣府と厚生労働省に対して求めることにしております。
     それから育児休業制度につきましては、育児休業取得率の上昇に伴って女性の継続就業率の向上があるはずなのですが、それが見られないということで、その掘り下げた原因分析及び今後の施策の在り方に資する評価の実施を厚生労働省に対して求めることとしております。
     それから子育て支援サービスにつきましては、例えば大都市地域で待機児童が多いといった課題が見られますことから、これまでの取組の効果の検証及び今後の施策の在り方に資する評価の実施を文部科学省と厚生労働省に対して求めることとしております。
     それから若年者雇用対策につきましては、フリーターですとかニートへの対策を中心としまして、各種施策の効果の検証、それからより効率的・効果的な施策の見極めなどによりまして、今後の施策の在り方に資する評価の実施を文部科学省、厚生労働省、経済産業省に対して求めることとしております。
     それから農地政策につきましては、19日の分科会におきましても、委員の中から経済財政諮問会議で議論されていることとの関係をどのように考えるのかという御指摘をいただきました。既に、去る11月1日の経済財政諮問会議の議論を経まして、6日でございますが、農林水産省が新たな農地政策の展開方向というものを取りまとめております。今後はこの農地政策の展開方向という文書に沿いまして、農地の有効利用を促進するための諸施策が講じられていくことになります。このような新たな政策につきまして、目標達成に向けた取組をあらかじめ明らかにしていただいた上で、事後の検証をしていただくことを農林水産省に対して求めることとしております。
     私からの説明は以上でございます。
    【金本分科会長】  どうもありがとうございました。
     それでは、どういうことでも結構でございますので、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
    【上田臨時委員】  上田です。前回より加えていただいたのですけれども、前回はこの会議の要領が分からなかったので、ちょっと委員の方々の非常に積極的な発言の中で気後れしちゃったのか、何もしゃべれなくなってしまったのですが、今回、いろいろ資料を見せていただいて、勉強させていただいたので、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
     この政策評価のまず基本的なところとして、私は、先ほど御説明いただいた答申の内容というのはクリアにこの位置付けというのはまとめられているので、非常にいいなと思っているのですが、気になっているというか、この政策評価の問題、今回の重点分野だけに限らず、後ほど議論になるのかもしれませんが、先ほど挙げたものは、割合マスコミ的にも、あるいは政治的にも、皆さんが注目しやすい、ある意味ではみんなが関心を持ちやすいものになっていると思うのです。どうしても農地の問題なんかも、いろいろな政党間で政策の違いを出すためのある種の非常にいいターゲットになっていて、そこで政策の評価をする前の前提の目標とか、意義とか、そういったものが、実は行政の場面でいろいろな行政のいろいろな施策を進めていって評価をしていくというところとは別のところで、別のスピードで、そういった政策の目標とか意義というものが、はっきり言えば政党間あるいは政治のレベルでいろいろ非常に速いスピードで揺れ動くような時代になったような気がします。そうすると、例えば3年とか4年、あるいは1年単位でも、こういった行政の中でやられている施策の評価を、こういう行政の総務省が中心になってやられるこういったシステムの中で評価していくというサイクルのスピードと、実はやっていたら、政治の場面で非常に速いスピードで、いろいろな政局絡みも含めて、こういった重点分野とか、政策の目標とすべきものが当初のものと随分変わってしまったりする可能性がないかと。つまり、試合をやっている途中で得点の方式とかルールが変わってしまうようなもので、そうなったら自分たちが今まで点数を稼いでいた、ゲームで一生懸命頑張ってプレーしたのは何だったのかというようなところが出てこないかという心配があります。
     そういう意味で、ここの政策評価というのは、これは多分、総務省あるいは総務大臣の役割、権限がどこからスタートしているのか、あるいは、いわゆる政府という部分の中に、政治的な部分での機能と、政権がどう変わろうが行政として継続的に果たさなきゃいけない役割というのがどこなのかという線引き、あるいは役割分担という議論に多分なるのだろうと思うのです。そういう意味で、今回は経済財政諮問会議との関係があるので、おそらく私がそんな危惧するような、政治的なところで政策の目標がころころ変わってしまうとか、急激に変わってしまうという場面とは少し離れているのかもしれませんけれども、将来的にはそういうものを果たしてここのこういう総務省でやられている政策評価で受けとめなきゃいけないのか、あるいは私たちはここからですということでクリアな線引きをしなきゃいけないという場面が出てくるのかなと、これが、この答申に対してどうこうというわけじゃないですけれども、将来的に出てくる問題であろうし、こういう答申をした後に、今度逆にこの答申に対するレスポンスとして、あるいはいろいろな国会、要するに議会からの議論のレスポンスとしてそういうものが出てくるのかなと。今、それに対する想定の回答なり、模範回答なりを用意するという場面ではないかもしれませんが、多分それは頭に置いておかなきゃいけないだろうと。
     それと、どちらかというと、私は金本分科会長といつも一緒に仕事をするのは公共事業系の評価のいろいろな具体的な手法について、あるいは数字をどうつくっていくかというようなことについての議論が多いんですが、今回の中ではあまりその部分は全体を、どうも政策もこういう評価指標でやるべきだということはまだ踏み込んでいないし、KPI、キー・パフォーマンス・インディケーターという考え方も、これも政策分野やどの分野を評価するかによって当然変えていかなきゃいけない。ただ、その数量化をするときに、これは我々専門家の仕事なのかもしれません。割合、公共事業系のものというのは随分、理論的にも長い歴史があるし、世界的にもいろいろトライされていて、物理的な指標でうまく表現できるものが随分ある。しかしそれ以外の施策というのは、なかなか我々も考えても、どういうインディケーター、どういう数量化の方法を使えばいいのかというのは悩ましいし、多分、それを各府省に頑張って考えてくださいと言っても、なかなか良いものは出てこない可能性があるだろうと。そうすると、そういうものをどこまでやるべきか、どういう指標まではとりあえず限界があるけれども、やれるということを、逆に説明責任と同時に、これは議会に対しても、国民に対しても、理解してもらうという、私は国民に対しても理解責任を負わせるべきであろうと、極端なことを言うことがあるのですが、やっぱりその辺もあわせて、これはもうこういう限界があるし、こういう複雑なものであっても、ここから先は簡単に分かりやすくというのも、徹底してもなかなか理解しづらいところもあるので、そこはやっぱり専門家をある程度信頼してくださいというふうなところを何か設けておかないと、すべてが国民に説明できる、アカウンタビリティをすべて行政が負うということは根本的に限界がありますので、その辺について、これも答申の中に盛り込む話ではないのかもしれませんが、そういうことは多分どこかで頭に置いておかなきゃいけないのかなという気がいたします。
     以上です。
    【金本分科会長】  どうもありがとうございました。非常に一般的な注意事項かと思いますが、今後、これをどういうふうにやっていくかというところは、これからまた御議論いただくということで、基本的には評価というのは誰が悪かったという採点をするわけではないですし、短期的に設定された目標に対してどういうふうにできているかといったことだけではないはずでありまして、こういう今、短期的にも取り上げられている問題を扱うのですが、政策評価から出てくる情報というのは、今後の高度な意思決定に役に立つものであるべきだということなのだろうかと思います。そういう視点でこれからの評価設計をしていく必要があるのかなと伺いました。
     木村委員どうぞ。
    【木村専門委員】  非常に分かりやすく御説明いただいて、ありがとうございます。その上で1つ質問ですけれども、先ほど、重要対象分野に関する評価のねらい・視点について、目標の達成状況に関する情報を定期的にフィードバックすることにより政策の進捗状況を明らかにし、その際、目標の達成状況が低調なものについて、その原因分析を行い、政策の見直し・改善を進めていくものという御説明がありましたが、政策を担っている各府省が見直し・改善を実施することになると思うのですけれども、ここのところで評価を行って原因分析までして、それから各府省がそれを受けとめて実際にその改善を進めていくというのは、義務とか何かを課していくのですか。どこで本当に改善が進められるかということを担保できるのだろうかということなのですけれども。
    【吉開政策評価官】  それは政策評価法の中に、政策の評価を行った場合は政策に反映させろということがそもそも書いてありますので、そこが基本原理として働いてくるのだろうと思います。
    【木村専門委員】  そうしたら、本当に見直し・改善が進められていないものについては、進めてくださいと言う権限もこちらは持っているということですか。法律で書いてあっても、本当にするかどうかはまた別問題ですよね。
    【吉開政策評価官】  この政策評価の世界で我々がそこまで、評価の結果、見直し・改善が進んでいないじゃないかということまで指摘する権限は、厳密に言うとありません。
    【木村専門委員】  ないんですか。
    【吉開政策評価官】  はい。
    【木村専門委員】  そこをどう詰めるかといった議論は要らないのでしょうか。
    【吉開政策評価官】  そもそも政策評価制度自体が、各府省が自分の政策を評価して、自分の政策に反映させるという基本構造になっておりますので、そこは各府省の責任においてやられるはずであるという前提に立っております。
    【関行政評価局長】  ただ、世の中の常識に照らしても、これじゃちょっといただけないのではないかというような話があれば、それは事実上ということだと思うのですけれども、この政策評価・独立行政法人評価委員会からコメントするなり、そういうことはあり得ると思います。
    【金本分科会長】  意見を言うことはできるかもしれませんけれども、命令することはできないということではないでしょうか。
    【木村専門委員】  意見は言えるのね。
    【金本分科会長】  谷藤委員、どうぞ。
    【谷藤臨時委員】  細かいことになります。答申の内容ですが、政策評価の重要対象分野の選定の考え方について、「政策の重要性」として、プライオリティと継続性を説明されておりますね。それから評価の意義について、政策の見直し・改善に結び付けるということ、次は選択と集中、さらに3つ目として、国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)をきちっと明示した方がよろしいのではないかと私は思います。国民に対する行政の説明責任が図られるかといった点も考慮したという説明でしたが、いかにも付け足しのような感じがします。それを、明確に位置付けることは可能ではないでしょうか。
     少子化社会対策に関連して、3つの基本軸、ワーク・ライフ・バランスから見ること、育児休業制度から見る、子育て支援サービスから見るという説明がありました。その一方で、若年者雇用対策については、ニートの職業的自立を促進する観点から、雇用機会の確保や職業訓練などの各種施策の効果を検証するという説明でしたが、これもいわば少子化社会対策と同じような形で、施策群として、群化できませんでしょうか。各種施策の効果を、例えば常用雇用対策にかかわるということで群化して、厚労省ばかりではなくて、経産省もかかわらすようにすることが良いのではないかという感じがします。この状況では、取り上げられるところがばらばらになり、評価が各府省にお任せということになってしまわないか。
    【吉田政策評価審議室長】  谷藤委員からありました2点のうちの最初の点につきましては、またちょっと相談させていただいた上で考えたいと思います。
     2つ目の若年者雇用のパッケージの部分ですけれども、おっしゃるように、この若年者雇用対策というターゲットに入ってくる各府省の政策メニューというのは相当な数になると思います。それで、これを、評価作業を実際に具体化させていく段階でどの対象を取り上げるかということについては、引き続いて評価の基本設計を提示していく段階で、各府省との間で相談しながら固定しなければいけないと思っています。そうしたものを、委員がおっしゃるように何かカテゴライズできないか、ここまでの検討経緯の中でも、例えば雇用をして継続就業につなげるための政策ツールであるとか、あるいはいろいろスキルアップとか、教育、訓練、職業訓練的なことを目指す政策ツールとか、カテゴリーの切り口としてはあり得るのですけれども、それらが既存のフレームの中ではあらかじめかちっと整理をされていないものですから、いわばそのカテゴリーをこちらで作ってしまうと、そういう政策としてのユニットをこちらが作ってしまうかのような構造になってしまうので、包括的にとりあえず置いておいて、あとは個別メニューを評価対象として選定していく中で対応していこうかと思います。実際にいろいろその評価情報が出てきたものをどういうふうに整理をしたり、報告していくのかという段階では、おっしゃるような切り口とか、その類型、カテゴライズができるかどうかというのも考えながら整理していった方が、その評価情報を出すときには分かりやすいという点はあるかなと考えています。
    【金本分科会長】  よろしゅうございますか。
    【谷藤臨時委員】  はい、ありがとうございました。
    【金本分科会長】  アカウンタビリティを政策評価の重要対象分野の選定の考え方として明確に位置付けるかどうかというのは、これはちゃんと議論したわけではないんですが、大体のワーキング・グループの方々の印象は、アカウンタビリティは政策評価全体にかかわることでありますが、経済財政諮問会議との関係において、アカウンタビリティの点で特筆すべきものがあるかというふうな説明を求められたときに、特出しはしませんでしたという、そんな感じのことかなと思います。これはどっちかというと趣味の問題かもしれませんが、経済財政諮問会議は、過去のことをどうこうというよりは、これからのことを考えるところなので、そちらをちょっと重要視しているという、そんな感じかと思います。
     何か吉開政策評価官からございますでしょうか。
    【吉開政策評価官】  今、分科会長からお話がありましたように、ワーキング・グループの中で特にこの3分野5項目と申しましょうか、これについて特にアカウンタビリティの観点から重要であるという議論はなかったように記憶しておりますので、明確に位置付けさせるのはまたちょっと分科会長とも御相談してまいりたいと思います。
    【金本分科会長】  どうぞ。
    【寺尾委員】  質問ですが、先ほど、行政の説明責任の徹底といった点も考慮したという御説明がありましたけれども、アカウンタビリティの徹底を考慮するというのはどういう意味なのかを教えていただけますか。
    【吉開政策評価官】  政策評価法の中に、政府の有するその諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにするということが書いてありますので、そこを徹底するという言葉に言い直したわけでございます。
    【寺尾委員】  お尋ねした趣旨は、これは重要対象分野を選定するときにどうやって選定するかということで、選ぶときに説明責任を徹底するという、何ていうのかしら、大きなすごく抽象的なゴールがあるわけですが、そのゴールとの関係で望ましいものということで選んだという趣旨だと思うのですけれども、徹底という言葉が使われると・・・・・・、同じなのかな、ただ、そのことがよく分からなかったんです。どういうふうによく分からないかというと、説明するのが難しい分野だからちゃんと評価をするとか、説明責任を果たすというのはどういうことかということを考えた上で、もうちょっとブレークダウンして考えないと、言葉だけが先に、政策評価というとアカウンタビリティという流行の言葉を入れておくと何となく落ち着きがいいかなという感じで入っているとなると、あまりよくないのではないか。そして、その徹底という言い方がとてもあいまいさを含んでいて、だから説明責任を果たすというのはどういうことかということをもう少し考えた上で、もう少しお考えをまとめられた方がいいのかもしれないという気がしました。これは今のちょっとやりとりを通じての感想なんですが。
    【吉開政策評価官】  重要対象分野の選定の考え方として、確かに説明責任の点を述べるのはちょっと据わりが悪いような気もいたしますので、ちょっと検討していきたいと思います。
    【寺尾委員】  今、御説明を伺って、また思いついたことなのでちょっと付け足しますと、行政が説明責任を果たさなければいけないのはなぜか、何のために説明責任があるのか、私はその辺はそんなにちゃんと議論をフォローしているわけじゃないです。思いつきで言っているだけですけれども、例えば行政が説明をするということによって、国民が選べるということにつながりますよね。つまり、限られたお金を、今、この目的を達するためにAという施策に使っています、あるいはAというサービスなり財なりを提供することに使っています、でもこれをBというものに使えばこうなります、Cというものに同じお金を使えばこうなりますと、とりあえず今、Aを選んでやっているけれども、これのコストパフォーマンスというか、これはどれだけどういうことを達成していますということを説明し、それとともに、それにはこういう限界とこういういいところがありますと言えば、国民は選べるわけですよね。ほかのものも提示すれば。そういうことが例えば説明責任が政府にあるということの意味だとすれば、そういう観点から重要対象分野を選んだとか、そういうふうに考えていくのがいいのではないかと思います。
    【金本分科会長】  説明責任はどういう意味かということはかなり延々と議論がございまして、今の寺尾委員の言われたような解釈を行政はしがちですが、違うのだというのを田辺委員のような行政学者が言っているという話なのですが、何か田辺委員、ありますか。
    【田辺臨時委員】  寺尾委員がおっしゃるように若干据わりが悪いことは確かで、今回の選定に関して「国民に対する行政の説明責任の徹底」という言葉が悪いというのはそのとおりのような気がするんですけれども、アカウンタビリティの徹底ということが出てまいりましたのは、この取り上げられている3つの、特に少子化社会対策と、若年者雇用対策というのは、下にかなり多くの事業とか施策がぶら下がっている、いわゆるパッケージものになっているわけです。そのパッケージの中で本当に少子化に役に立っているかどうかよく分からないけれども、とりあえず基本計画みたいなものがあって、そこに検証されていないのにパッケージがずっと入り込んでいるというようなものが多々あるのではないか、そういうものを、評価を行うことによって、改善できるかとか、それから選択と集中にいかすことができるかという観点から見て、もう一回、これは役に立っていますよ、もしくは役に立っていないかもしれないので、当初の考えはこうだったけれども、やめた方がいいというような判断というのを明らかにして、それを、アカウンタビリティという言葉で、とりあえず説明してくださいという観点で入れたということなのだろうと私は理解しております。
     ただ一般論は、アカウンタビリティというのは説明すればいいんだろうということではなくて、説明できないことはしちゃいけないというのがアカウンタビリティの本当の意味だと思いますので、ちょっとこれは、言葉で言えればそれで済むのかというような捉え方をされているところは若干、アカウンタビリティの今の政府の使い方か分かりませんけれども、行政府の使い方自体が間違っているなという感じは個人的には思っているということでございます。
    【金本分科会長】  評価をする意義があるものは何かというところでアカウンタビリティをきちっとやってもらうという意味のあるものは、今、田辺委員が言われたみたいに中に入っているのかなということではあります。ただ、私が考えたのは、経済財政諮問会議の役割から見て、そこを特出しするものではないのだろうなという印象を持ったというところですが。
    【関行政評価局長】  「二つの点を考慮した」と言って「何々も考慮した」と言うと、これは3つの点を考慮したということにならないかなという感じがしました。説明としてはあまりよくないような気もします。選ばれたものについて、国民に対する行政責任を徹底していくということでやっていってくれというのが、ちょっとフェーズが違うような感じも個人的には今いたしました。
    【寺尾委員】  私がちょっとこだわりましたのは、あと日本語の問題ですが、行政の説明責任の徹底という、「徹底」というのが動詞で「責任」が目的になるのか分かりませんが、「説明責任」という言葉に「徹底」という動詞を付けるのがいいのかというのが私は分からなかったのです。それで、日本語で責任を果たす、でも例えば先ほどの田辺委員の御説明だと、私もそういう部分もあるのかなと思ってなるほどと思ったのですが、例えば学生に何で私の成績はこうなんですかと聞かれたとき、教師の説明責任でこのごろ説明しているのですけれども、そうすると自分がやっている行為を再点検するわけですよね。相手に分かるように説明することによって、また考える機会が与えられるわけで、再吟味する、そういうところに意味があるという御説明というか、そういう自分の経験に引き付けて田辺委員のお話を伺ったのですけれども、もう一度見直してみる、行政の中にいる人間じゃなくて、外にいる人に分かるように説明しようとすることによって、第三者の目から自分をもう一回見て、見直してみるというところで自分が気がつくところもあるのだろうという話としても私は何か受け取ったのですが、例えば国民に対する行政の責任責務を果たす上で意義深いとか、その意味がある分野とかというのだと、先ほどのパッケージ云々というので分かりやすいような気がするのですけれども、「徹底」と言われると何かちょっとごまかされた気もするので、それは私のただの感想ですが、でも私がひっかかったのはこの動詞の部分です。
    【金本分科会長】  確かに若干違和感のある表現ではありますね。ちょっと今、どういう表現にするといいのかというのは分かりませんが、すんなりいくように直した方がいいのかなという気はいたします。
     「説明責任」というものが入ってきたのは、政策評価の1つの大きな目的の柱になっていて、これを全然考えていないとまずいかなといった点があろうかと思いますので、どこかに入れておいた方がいいのかなという気がいたします。ただ、検討のプロセスでこれを正面から取り上げて議論したということがないものですから、少し検討をお願いしたいと思います。
     そのほか、何かございますでしょうか。田中委員から。
    【田中臨時委員】  答申についておおよその流れというような、まとめ方というのはまとまってきて結構だと思うんですけれども、私がちょっと1つだけひっかかっているところがあって、ちょっと頭の整理がついていないので、逆に皆さんの御意見を伺いたいなというところです。ワーク・ライフ・バランスについて、「働き方を変える、日本を変える行動指針」に基づく新たな施策については、事後の検証が可能となるよう目標の達成に向けた取組をあらかじめ明らかにした上で、適切なタイミングで効果の発現状況についての評価を行うべきであるという御説明でしたが、ワーク・ライフ・バランスの評価の仕方というのはなかなか難しいだろうなと思っているのです。私も少しこの行動指針にタッチしているので、どうしたものだろうと実は考えているところなので、そんなふうに言い切っちゃっていいのだろうかなということを1つ感じています。例えば育児休業であるとか、子育て支援サービスについても、その要素として挙げられるファクターになる可能性もあります。それから労働時間だとか、有給の消化率とか、就業率といったものが数値目標として挙げられるというような話も出ているように思うのですが、果たしてそれがどういうふうに直結するのだろう、そしてそこの問題について、例えばそれは企業目標なのかといったときに、いや、社会全体の目標ですといったときに、どんな施策がそこにあるのだろうというのを感じます。大企業の労使関係の問題だけでその話をするのであれば、それは適切なお話になると思いますけれども、中小企業であったり、個人経営のものがあったりというようなことであると、なかなか労使間で解決する話ではなくて、産業構造であるとか、いろいろなことに影響がある問題なので、むしろその表現というのは若年者雇用対策のように、例えば各種施策の効果を検証して、効率的・効果的な施策を見極めるなど、今後の在り方の検討に資する評価を行うべきであるといったような、ワーク・ライフ・バランスそのものについての検証をちゃんとすべきではないかなと、その程度しか言えないのではないかなというのが私が今、思っているところなので、どうかなと皆さんの御意見をお聴きしたいところです。
    【金本分科会長】  今日、御欠席の八丁地委員からもこれに関連する御意見があると伺っておりますが、ちょっと事務局から御説明いただけますでしょうか。
    【吉田政策評価審議室長】  田中委員から御指摘があったような点についても、ワーキングでもいろいろ吟味をしてまいったのですけれども、今の段階で承知している範囲で申し上げますと、ワーク・ライフ・バランスの検証、行動指針のようなものの策定が片側で議論されておるようでございます。おっしゃるように、ワーク・ライフ・バランスとして何か社会全体の在りようのようなものについて、究極の目標というか、その目指すべきものというのが何か掲げられるとは思うのですけれども、そこに向けてどういうふうに世の中が動いていくかと考えたときに、そういう社会をつくるためには、例えば国民も関係者だし、いろいろな企業、経営サイドとか、労働者自身、それから国の役割、地方公共団体の役割、そういういろいろな担い手というものが登場するのだと思います。
     それで、今ここで我々が政策評価という道具を使って明らかにしなければいけない事柄というものは、そういう一定の社会の大きな目標とか課題のようなものに対応するために、国の行政が打っている手だて、その手だての有効性というか効果、こういったものをどういうふうにうまく検証できるのかという点なのだと思います。国が何かをやれば、すぐ大きな社会的な目標が達成されるかというと、必ずしもそうではないわけですけれども、それはちょっと講学的な説明になって申し訳ないんですけれども、政策評価の世界では、その目標を達成しようとしたときの外部要因ということで、ほかのいろいろ社会、経済、そのものの変化が最終的に到達しようとする目標に与える影響のようなものは、当然その評価をやるときには考慮する要因ということになっております。
     ですから、目標の達成に向けた取組をあらかじめ明らかにした上でと言ったときの「取組」は、国として、国が政策としてどういうことをやるのか、それが目標には相当程度、影響力という意味では、ほかのいろいろな要素が入ってくる分、直接的にどれぐらい効いてくるのかというもののウエートは小さいとは思うのですけれども、国が一定の法令なりを整備したり、あるいは予算、税金を使って仕事をする以上は、それがどういう世の中の変化に影響を与えたのかということ自体は、それこそ説明をしていただかなければいけない。それがいわば、効果の発現状況ということになるのかなと、そういうふうに考えております。
    【金本分科会長】  イメージ的にこんな話なのかなと今、お聴きしていたのですが、若年者雇用対策については各種施策のメニューがわりと既にはっきりしていると、それが効果があるかどうかということを検証して、新しく組み直す必要があれば組み直せというふうな筋書きになると思うのですが、ワーク・ライフ・バランスについてはそこまでいっていないという感じのところがあって、目標として掲げるべきかどうかというところは若干私もよく分からないのですが、どうも掲げそうだということがあって、そうすると、何をやればそこに達成できて、どうこうというところをまず考えてよねという意味なのかなという感じです。
    【田中臨時委員】  一番産業側で心配しているのは、働き過ぎとか時短ということの尺度がすべての解決策になるというような捉えられ方とか、規制でいいのだろうかというところだと思うので、それはとても大事な話なので、過酷な労働条件とか働き過ぎとかということは抑制しなきゃいけないとは思うのですけれども、八丁地委員から伺っている御意見と同じように、それだけでワーク・ライフ・バランスが解決するというのは少しおかしいのではないかなと。それからまた、中小企業なり個店なりは、働き過ぎ、どうしてそうなっているのかという原因を解決しなければ解消されないというようなことも含めて、あまり短絡的な評価をして成果を見るということではないようなところを少し設けていただきたいなと思います。
    【吉開政策評価官】  八丁地臨時委員から伺っている御意見の御趣旨は、評価をどういうふうに設計するかということよりも、企業の経済活動にマイナスの影響を及ぼすような政策運営、法制度改正は望ましくないということで、どちらかといいますと政策の立案といいますか、政策の設計の話をされているような気がいたしますので、政策立案に当たって考慮すべき要素というのと、評価の設計に当たって考慮すべき要素というのはまた違ってくると思いますので、そこはちょっと峻別して考えなければいけないのかなと思っております。私どもとしてもワーク・ライフ・バランスが長時間労働の抑制とか、そういうことだけで達成できるかと、そういうことを考えているわけではなくて、ワーク・ライフ・バランスとして考えられる、これから考えられる政策パッケージがどういう脈絡で効果を発現していくのかと、そういうことを評価の成果の中で明らかにしていただきたいということを考えておりますので、そこは御理解いただければと思います。
    【金本分科会長】  先ほどの御説明だけでは、何か目標を決めてどうこうやると、それで目標が達成されているかどうかを見ると、それで終わりというふうに感じてしまうのだと思うのです。言い方としては、その発現状況について検証をし、今後の対策の在り方に資する評価を行うべきであるというふうな、何かそういう言い方にするというのは、全く同じではちょっとまずいのだと思いますが、1つの処理の仕方かなと思いますが。
    【寺尾委員】  今の点に関連してなんですが、これは私も、今御指摘がある点についても似たような感想を持つのですけれども、提案ですけれども、少子化社会対策の3つの項目のうち、ワーク・ライフ・バランスを最後にしたらどうかとまず思います。私は、改めて皆さんの御意見を伺っていて思ったのですが、少子化社会対策というか、少子化対策という政策の切り口はどうなのかなということをすごく感じているのです。
     どうしてかというと、ちょっと我田引水的な話になりますが、日本では女性が自分たちが生きたいように生きたいということを権利として主張せず、子どもを生まないことによって日本の社会を変えているのです。それで、年金が大変だ、何とかが大変だといって政治家たちも1.57以来、すごいショックを受けて、目の色が変わってきて、男の人たちから見ると、それは少子化問題ですけれども、女の人たちから見ると、人間らしく生きる社会になってほしいという話なのです。
     そうすると、政策として子どもが生まれれば良くなるというか、子どもがたくさん生まれればいいというのは、そういうゴールの設定の仕方ってどうなのでしょうか。日本人が本当に生きたい人生が生きられているのかという話だと思うのです。そうすると、やっぱり一人一人の選択を重視してあげるべきなので、例えば育児サービス、子育て支援サービスがないから働けない、あるいは欲しいと言っている人にそれが足りないのだったら、それも提供すべきなのです。行政として当たり前ですけれども。なので、そういう分かりやすいところを先に挙げるべきだと私は思います。あまり大演説をしてもしようがないので、提案としては、育児休業、子育て支援サービスを先にして、ワーク・ライフ・バランスを最後にする方がいいと思います。
    【吉開政策評価官】  まずこの順番なのですけれども、これは私どもが恣意的に順序付けているわけではなくて、内閣府、厚労省で今後の少子化社会対策の柱の1番目としてワーク・ライフ・バランスを据えるということになるものですから、その順番で御説明したということでございます。
     それから事後の検証の話ですけれども、先ほど御説明したものの中で、これから新しく行う政策についてというのがワーク・ライフ・バランスと農地政策でございまして、将来、見込んだ効果が発現されるかどうかということについて、同じような構造であらかじめロジックモデルを明らかにした上で、適切なタイミングで見込んだ効果が発現しているかどうかということを評価すべきであるという構造になっているということでございます。
    【寺尾委員】  今度は組織的、手続的な話なのかもしれませんけれども、内閣府がそういう順番で挙げていると、それに拘束されるんですか。
    【吉開政策評価官】  評価を行うのはそれぞれの政策を所管する府省でありますので、その責任府省が挙げているプライオリティで評価をしてくださいというのが基本的な構造かと思います。
    【寺尾委員】  他府省にまたがっていることで、今、重要になっていることをやろうというところに意義があるのだとすれば、別の考え方もあり得るのではないでしょうか。
    【金本分科会長】  立花委員にいってよろしいですか。じゃ、すいませんが。
    【立花臨時委員】  私もこの分野はそれほど詳しくないのですが、お話を伺っていると、寺尾委員の御意見も私ももっともだと思いますし、何か私は前回出たときもちょっと思ったのですが、何かあらかじめ路線が引かれていて、ここで何を言っても、それはこういうことです、ああいうことですということで、あまり考えるなという印象があって、私も2回目から正直言うと出る気があまりしていないんですが、政策評価をなぜやるのかというと、確かにアカウンタビリティの問題ももちろんありますし、それから総務省の方に伺うと、実は中央省庁改革のときの1つの大きな政策評価を導入するねらいとして、いわゆる調整機能の強化ということも私はあったと思うのです。そういうことから言えば、まさに経済財政諮問会議というか、厚生労働省はこうかもしれないけれども、我々はこうだということを出して何ら恥ずかしくない、理由があれば、全然私はいいと思いますし、今、寺尾委員の言った御意見ももっともだと思いますし、それから、あと田中委員が言われた点、あるいは八丁地委員が言われた企業活動にマイナスだとかどうかという、それは判断に入る部分でしょうけれども、こういった問題提起はきちっと受けとめていただかないと、我々は何のために発言しているのかなというのは、正直言うとそんな感じがします。非常に率直なことを申し上げましたことをお許しください。
    【吉開政策評価官】  順番につきましては柔軟に考えていきたいと思います。また御相談をしたいと思います。
    【金本分科会長】  木村委員、お願いします。
    【木村専門委員】  今、いろいろなところでワーク・ライフ・バランスという言葉を聞きますけれども、育児休業制度、子育て支援サービスというのは割合ピンポイントで何を評価するかというのは絞れると思うのですけれども、ワーク・ライフ・バランスというのはかなり包括的な概念じゃないかという気がいたしまして、これらの包含関係というのはどうなっているのでしょうか。そこのところがよく分からないので。
    【吉開政策評価官】  包含関係ということで言いますと、ワーク・ライフ・バランスの中に育児休業というのは入ってくるという整理もあると。
    【木村専門委員】  子育て支援サービスも入り得るんじゃないですか。
    【吉開政策評価官】  そういう整理もあるということには聞いておりますけれども、ただ、ワーク・ライフ・バランスというのが、先ほど申しましたように柱として大きく位置付けられているものですから、包含関係はあるにしても、これを1つ取り出して1つの項目として立てたいと考えております。
    【木村専門委員】  そういうお考えもあると思うのですけれども、漠とした印象を申し上げれば、やはり包含関係がすっきりしないというのはどうしても否めないのではないですか。もう一工夫要るのではないかなという気がいたしますけれども。
    【吉開政策評価官】  ワーク・ライフ・バランスの中に育児休業は入っていると、それから子育て支援サービスも入るという整理もあるということなのですけれども、その中でも育児休業と子育て支援サービスというのは柱が明確に立っているということでありますので、これは取り出して評価をしてもらうと。ワーク・ライフ・バランスというパッケージ全体についてもその2つを含む可能性がありますが、それも含めて全体として、柱としての大きなパッケージですので、その全体としての効果の発現状況をチェックしてもらうと、こういう考え方であります。包含関係がすっきりしないと言われると、それはそうなのかもしれませんが、パッケージ全体として見る場合と、その中の大きな明確な柱として評価をすると、そういう二重の観点というとちょっと適切ではないかもしれませんが、そういうやり方もあるということであります。
    【金本分科会長】  永瀬委員、どうぞ。
    【永瀬臨時委員】  私は、ワーク・ライフ・バランスはこの順番でいいのではないかなと思います。先ほど寺尾委員が、日本は女の人が好きなことをして社会を変えるのではなくて、子どもを生まないことによって社会を変えていっているとおっしゃいましたが、まったくそのとおりだと思います。私は、子どもを持たないという個人の選択を十分に尊重することが重要、これを大前提にしつつ、しかし社会全体として次世代が育成されない社会は、おおいに問題があり、子どもの持ちにくさを是正する必要があると思っております。外国人労働者を入れればそれで社会が持続可能か、といえばそうとは思えないですし、子どもが生まれないで社会が持続可能かといえば、これもとてもそうは思えません。それに独身者に対する意識調査では、子どもを持ちたいという希望は、高いという結果が出ています。それにもかかわらずなぜ子どもを持てなくなっているかを考えるのは大事なことと思っております。ですので少子化の問題を緩和する方策を考えることが重要と思います。
     ワーク・ライフ・バランスとは何か、その内容は非常に漠然としているという指摘がありましたが、この点は同意します。また生産性や利益面への視点なしに、ただワーク・ライフ・バランスといわれても困るという企業側の考え方があるのも分かります。しかし人生が80年、90年と長くなっている中で、現役時代、ただただワークして、あるときぷっつり退職させられるという人生でうまくやっていけるのかというと、やっていけないだろうと思います。また、私自信の子育て経験からですが、PTAに行きますと、お父さんは少数ですし、小さくなっているのですが、お父さんが1人か2人いることが、PTAの雰囲気を変えるのでその参加はとても貴重です。このように男性が子どもとの生活に参加し発言するようになると、例えばPTAの議論も社会に対する目がより開かれ幅広になると思います。つまり、男性が企業に行っていて、昼間は地域に男性がいないということが大きい問題をもたらしているのです。一昔前は自営業のおじさんが地域の核になってくれていたのですけれども、自営業が廃業していますので、男性が地域にかかわれるよう企業での働き方を変えないと本当に困るのです。
     つまり、ワーク・ライフ・バランスというのは単に短時間であることを目指すものではないと思います。それは、生涯にわたる仕事及び家庭での生産性の向上を意味するもので、仕事面はもちろんのこと、子どもを育てることや、地域にかかわることや、社会的な活動をすることや、企業以外の仲間を持って例えば生活を良くするようなことにかかわれる仲間を持つというような、そんなことを含めた生活を可能としつつ、かつ職業能力を高めて仕事を続けることだと思います。単に労働時間が短くなればいいのではなくて、お父さんが学校に来られるような仕組みを増やすとか、そういうことを含めたものであるべきなんじゃないかと思っています。ですので、内閣府と厚労省だけでいいのかなと、例えば文科省も入ってくれてもいいんじゃないかなとか、そんなことを思ったりもいたします。
     次に育児休業制度についても話してもよろしいですか。育児休業制度が目指しているのは女性の就業継続の増加だという御説明でしたが、確かに92年に育児休業制度が入ったときには女性の就業継続の増加が目標だったと思いますが、現在の目標は、1つは就業継続の増加かもしれませんけれども、2つ目は子どもをケアする時期に仕事から一時的に退くことによる機会費用を社会的に担うということも目的にあると思っております。現在の日本の育児休業は、出産する者が、ある企業で受けた訓練投資を無駄にせずに、子育てのために一定の休みをとりつつ就業継続ができることを保障する制度になっています。しかし、少子化社会における育児休業制度の目標は3つぐらいあると思います。1つは今述べた、出産前に勤務していた企業で就業継続を可能とし生産性の維持をはかる機能です。2番目の機能としては、ケア期にいったん退職し出産に対して大きい機会費用を個人的に担う人に対して、社会的に給与の一部を金銭保障するという機能です。これは育児休業給付という形で少額出されている形で現在実施されています。3番目の機能は、いったん退職した者の生産性向上という機能です。女性がかなり長い時間の就業人生を持つようになったので、ある特定企業の、その企業での熟練の継続を可能とするだけではなくて、ほかのところに転職することも含めた生産性の維持と向上という視点も必要です。この3つの視点から育児休業を議論しないと、いつまでも制度が非常に狭い範囲の目的しかもたないものとなります。
     諸外国に目を転じても、親休暇の制度は、同じ企業での就業継続を支援するだけじゃなくて、ケア期の経済を社会的に保障するものに変わりつつあります。例えば雇用保険から、あるいは税金から、ケア期の所得を実施するような方向に、イギリスにしろ、フランスにしろ、カナダにしろ、政策が変化しているのです。3番目の機能は具体的には出産離職者への訓練機会の提供です。雇用保険財源ですから訓練を考えてもいいと思うのです。
     以上のように、今回の政策評価分野は、私自身が問題意識を持っている課題がいろいろ入っており、良かったと思っています。しかし、育児休業制度を就業継続支援の制度として捉えて評価するだけでは狭いと思います。例えば、育児休業給付について、ケアによる休業の機会費用を社会が補填する、といった視点も入れないと、狭い評価になってしまうのではないかなと思います。
     それから3番目の子育て支援サービスですけれども、これは潜在的な利用者の視点というものも入れてほしいと思います。使いたい人が使えるかどうかという視点だけでなく、今まだ子どもを持っていないけれども、持つだろう人々が、子どもをもったら入れそうと思える、また望むような保育を選べるよう、選択肢が提供されている、という視点を入れるべきなんじゃないかなと思います。
     以上です。
    【金本分科会長】  継続就業というのが同じ会社に勤めることを指すのかどうかと。
    【永瀬臨時委員】  今の育児休業制度というのはそうです。
    【金本分科会長】  育児休業制度なのですが、答申で使おうとしている「継続就業」という言葉はどうなのかとか、要するに、これは各府省にまずやってもらうと、それでこういうことをちゃんと検証、評価してよねというのをこれから後の作業で言っていくのですが、あまり細かいことを答申にいろいろ書かない方がよいと思うのです。それで、今おっしゃったことのかなりの部分は、先程の御説明の言葉でもできるのかなという気がするのですが、その辺について何か事務局でありますでしょうか。
    【吉開政策評価官】  継続就業という言葉について、今、お話がありましたけれども、これについては、同じ企業に勤め続けることに加えて別の会社に勤めるということもあるわけですから、それも含めた概念として考えております。
    【永瀬臨時委員】  例えば、今後の女性の継続就業の増加を図る施策という御説明でしたけれども、「今後の女性の継続就業の増加、子育ての機会費用の緩和を図る施策」とかですね。
    【金本分科会長】  ちょっとバランスがどうかなと、今、ぱっと見て、機会費用の減少というのが何か唐突かなという感じがするのですが、何かいろいろ今後の評価のときにやってもらうというのはいいんですが、今の段階ではこれまで使われてきたターミノロジーの中にいかにこちらの視点をはめ込むようにするかという感じではないでしょうか。
    【永瀬臨時委員】  現在の施策は非正社員には視点が実質的には行っていないと思うんです。でも非正社員を含めない限り、この政策は意味が薄いと思います。もちろん続ける一部の人の生産性の向上にはなるけれども、女性の半数を占める非正社員の機会の拡大や機会費用の補填、生涯の生産性の向上をもたらすものにはならない。非正社員が同一企業での継続ができるとは限りません。もともと企業は短期の勤務を想定している可能性が高い。しかしケアの機会費用は、おおいにあるものです。
    【金本分科会長】  それはおっしゃるとおりだと思うのですが、それを非正社員のものを含めて検討しろと突っ込むのか、あるいは継続就業という大きなねらいで出しておいて、それが非正社員も含めたらうまくいっていないだろうと、そういう突っ込み方をするのかといった選択になるかと思います。
    【吉開政策評価官】  分科会長からもお話がありましたように、答申についてはなるべく広く読めるようにしたいと考えております。継続就業という意味の中に、おっしゃったような非正社員の観点も含めているつもりでありまして、冒頭にも申しましたように、今後、詳細の評価設計というのをやっていただくわけですけれども、その中で非正社員についてどう考えるのかとか、そういう観点も含めて詰めていくということを考えております。
    【金本分科会長】  上田委員。
    【上田臨時委員】  最初に申し上げたような政策の目標とか意義というのは、政治の場面で最終的に、そこがあるからこそ、国民が自分たちで政策、何が重要かというのを選べるし、反映できるというのが、教科書的に言えばそういう構造だろうと思うのです。そこでここで総務省の立場として評価を求めているときに、各府省が担当する政策の上位目標のところとか、割合上位のところで今回は選定がされていると思うのです。
     ところが今、ずっと議論を聞いていると、各府省が一番上位にある目標を達成するための、中位、下位の、階層的に見たときに具体的に細かく細かく下位のものになっていった目標と手段があると、そこでその構成自体が妥当かどうかという議論を、それも行政評価に含めるのかどうかという問題だろうと思うのです。
     先ほどいろいろな、例えばこういうワーク・ライフ・バランスという言葉が大目標であったときに、その中の子育て支援、育児休業制度というのがあったと、そうすると、それに対してもさらに下位の目標がいっぱいあるし、手段がくっついてくると、その構造自体がそもそも論理的におかしいもの、例えば我々工学部でやるような環境の物質をどうするなんていったら、これは化け学的に、物理的に、こういうやり方をやってもあまり効果はありませんよというようなことが割合客観的事実として証明できるし、そういうものをやっているわけです。こういった社会政策的なものについて、その構造が本当に妥当かどうかと、ここにまず議論があるし、仮にその構造があったとしても、下位の目標や中位の目標、手段の中で何にウエートを置くかというところも、これもなかなか立場によって違うのだろうと思うのです。そこのところが妥当かどうかということまでが、そういうものまで含めて政策評価の対象にするのかどうかというと、私は今回の総務省でやられている範囲からは少し、もう超えちゃっているかなという気がするのです。各府省が自分たちの府省の目標としている大目標に向かって、具体的には個別的な下位の目標、実施プランを持っているときに、その構造やそのウエート自体が妥当かどうかということについて、重要対象分野の選定として、おまえのところの構造や政策の捉え方が実は妥当じゃないよということまで意見として出して、その上で評価をやりなさいと言うべき立場かというと、私はそうではないような気がします。その部分については、こういう評価が出てきて、これを繰り返していく中で、経済財政諮問会議の場所なり、場合によっては議会の場で、各府省がやっているこういう政策の構造、上位から下位に至るまでのいろいろな構造やウエートの付け方自体がおかしいというのは、それはここで出てきた評価の結果が当然フィードバックされて、そういう議論のときの基礎的なまずスタートの材料にはなるにしても、そういうことを議論する、あるいはそういう指摘をすること自体は、権限の逸脱と言うときつい言い方かもしれませんが、ちょっと過剰にここでの政策評価に対する責任とか、権限範囲を超えていないかなという、ちょっと私はそれを危惧するところです。
     以上です。
    【金本分科会長】  基本的には各府省が自主的に評価をしていただくというところから進めざるを得ませんので、向こう側の言葉がベースになるというところですが、答申にはそれをなるべく一般的に書いて、そういった目標自体とかロジカルな構造自体まで突っ込めるようにしておくといった戦略かなと思います。そういう視点から御意見をお願いできればと思います。
    【佐藤臨時委員】  今の話と関連するのですが、この間のワーキング・グループで農地政策と、それからワーク・ライフ・バランスについて、これらはいずれも、いわゆる今やっている政策ではなくて、趣旨は、これから新しい施策について事後的な検証をすることをある意味で求めていくという何か仕組みを中に入れていきましょうということだと思うんです。それでそのとき、この間のワーキング・グループで議論になったときに、評価をするというときに、いわゆる新しい政策ですから、何も政策のない状態と比較してもしようがないわけで、今の政策と比べて、あるいは、この間のワーキング・グループで、例えば別の政策だってあるじゃないか、代替的な政策だってあるじゃないか、それと比べてどういう効果があったのかという議論をするべきだという話が出て、そのとき、確かに今の規制の事前評価のところでも、規制の事前評価のガイドラインとかとして、いわゆる代替的な政策手段と比較することとか、既存の政策と比べた増分効果を見ることとか、そういう文言は確かにあるのですが、それはある意味でこういう政策評価を求めるときに当然府省が行うものと理解して進めていっていいのか、あるいは、例えばこういう政策評価をしてくださいねと書いたときに、当然そういう、今の政策、あるいはほかのあり得る政策との比較という視点があって当然と思うのか、あるいは逆にそういうことを念を押しておかないと、またいつものように例えばお手盛り的になっちゃうのか、そのあたりは大丈夫なのでしょうかという確認なのですが。
    【吉田政策評価審議室長】  一言で申し上げれば、既存の枠組みがあるものは、あえて答申に書かなくても、当然その評価の作業としてやられるということで結構でございます。ですから今おっしゃるような規制の事前評価の枠組みでいけば、そういう代替案、ベースラインとの比較をするという作業は当然やられるという前提になりますし、上田委員から少しお話のあった上位、中位、下位の大きな体系構造との関係で言えば、目的と手段の対応関係を明らかにして評価をしろということが既に政策評価の基本方針、ガイドラインの中ではまっておりますので、仮に省として完結したミッションの下で仕事をする場合でも、それが政府全体のより上位の目的との関係については、一応そのストーリーを、きちっと対応関係を説明するということは、当然対応されるべきことにもなっているということでございます。
    【金本分科会長】  代替案の評価というところは意外にもめるところでありまして、一般論としては、今、言われたところなのですが、そこで具体的に何を代替案にすべきか、代替案を幾つにすべきかといったふうなことを議論し始めると難しくなるといったところではないかと思います。
     ワーク・ライフ・バランスと農地について、何でちょっと違和感があるのかなと思ったのは、発現状況についての評価を行うべきであるという御説明にあった「発現状況についての評価」という言葉遣いです。どういうふうにすればいいのかは難しいのですが、すべて「評価を行うべきである」という、大体全部ですかね、この締めになっていると思います。この締めの中にバラエティーが少しあるのかなという感じがします。
    【吉開政策評価官】  ワーク・ライフ・バランスと農地につきまして、発現状況についての評価を行うべきであると御説明しましたのは、効果の発現が見込まれた時点で評価を行うべきであると、要するに新しい政策なものですから、将来のある程度の時点で、何年後か分かりませんが、効果が発現するだろうと、それは一遍に発現するわけじゃなくて段階的に発現していくのだとは思いますが、いずれにせよ、将来の時点で発現するであろうと、そういうふうに見込まれていると、その時点で評価をしてくださいという趣旨でございます。それですと、自分たちでは評価の発現が10年後であると見込んでいると、じゃあ、10年先に評価をすればいいのかということになってしまってはいけないものですから、途中段階でも、進捗状況を明らかにした上で、ある程度の時点で総合評価をやってもらうと、そういうようなイメージです。
    【金本分科会長】  ちょっとそのイメージが出ないのかなという感じがするんですが。
    【佐藤臨時委員】  今の御指摘と関連するのですけれども、例えば、各論の3つの分野の前に、総論の重要対象分野に関する評価のねらい・視点があって、当然そうだと僕は思うんですけれども、当然そういう少子化社会対策であれ、若年者雇用であれ、農地政策であれ、それらを評価するときには総論の評価のねらい・視点というのは当然含まれるのですよね。というのは、ちょっと気になったのは、「評価を行うべきである」、評価をするだけでおしまいだと話にならなくて、例えば途中経過を見せるのだというのは、例えば総論の評価のねらい・視点の説明にあった、目標の達成状況に関する情報を定期的にフィードバックするという御説明とかかわってきますし、あと評価するだけじゃ本当は意味がなくて、うまくいきませんでしたねというんじゃ、ああ、そうですかですから、うまくいかないなら原因分析を行うことだし、継続的に見直していくことだしということになるので、総論と個別の政策との関係なんですけれども、何かもうちょっと総論の評価のねらい・視点などに基づいて、具体的に少子化社会対策とか若年者雇用とか農地政策を見ていくんですよという何か、表現があった方がいいのかなと思ったんですが。
    【金本分科会長】  私も今、考えていて、発現状況を評価するわけではなくて、評価するのは施策なんだと思うんです。だから発現状況を踏まえて施策を評価するといった組み立てになるのかなということです。
    【吉開政策評価官】  そこは引き続き検討させていただきたいと思います。
    【金本分科会長】  永瀬委員。
    【永瀬臨時委員】  育児休業に相変わらずこだわっているのですけれども、先ほど、育児休業制度については、制度利用者は増加しているものの、制度が目指している女性の就業継続の増加には必ずしもつながっていないという御説明がありましたが、「制度が目指している」という意味は何なのでしょうか。今の制度が目指しているのは同一企業に勤め続ける人の増加であり、それに関して言えば、若干の増加はしているという点で効果があると思うんです。でも、制度利用者の出産者に占める割合は、まだあまりに低いのです。出産前に仕事を持っている女性は多数いるのに、この制度の恩恵を受ける人の割合があまりに低い、微増にとどまっていること、そのものが大きな問題なのです。ですけれども、狭い意味での「制度が目指している女性の就業継続の増加」にはつながっているという反論、評価はあり得るのではないか、制度はつまり同じ企業で勤める人のことをもう少し増やそうとしているという制度なのだとしたら、いやいや、そういう人が何%増えましたとなる。実際、権利のある人に占める育児休業取得者は大きく増えています。ただ権利のある人がきわめて限定されているのが問題なのです。少子化対策としては、一般の女性のこの制度に対するアクセスを改善する、という視点を入れるようにしないと、効果が薄いと思うんですけれども。
    【吉開政策評価官】  今、永瀬委員から御指摘がありましたように、同一企業で見ると確かに増えているというような数字があったと思いますけれども、ここでは制度全体として、同一企業に限らず、出産後の継続就業という観点で、そういうものを育児休業制度は目指しているとは理解しております。
    【永瀬臨時委員】  そこについては、全員の人が出産後の継続就業は望んでいませんよね。自分で子どものケアをしたい女性もいますよね。女性の就業が一般的になった今、制度が女性の継続勤務のみを目指しているが、それだけで良いのかは私は疑問があります。生涯的に見た生産性を向上する仕組みという視点は非常に大事とは思いますし、出産の機会費用を緩和するという視点も重要と思います。出産前に勤務していた企業をやめない人を増やすことが目的、という目線は、狭すぎると思います。ただ長期の視点で見れば、就業継続した方が生産性は上がるし、生涯的にはいいだろうということで、そういうことを目指す制度であるべきなのだろうとは思いますが、現在の制度の狭さを改善する必要があると思います。
    【金本分科会長】  まず向こう側が言っていることについて、おかしいじゃないか、検証しろという立て方ができると引き込めるというので、まずそういう立て方をなるべくした方がいいと思います。
    【関行政評価局長】  「制度が目指している」という説明をしないという方法があるのかもしれません。
    【永瀬臨時委員】  そうするとベターになるような気はします。
    【吉開政策評価官】  御指摘の点はまた検討はしますけれども、解決すべき社会的問題に対して、現に打たれている政策がうまく機能していない場合、我々が直接政策立案する立場にあれば、そういう社会問題に対してこういう手を打ちましょうと、答えを用意して打ち出せばいいんですけれども、政策評価という道具をいったん間に介在させた場合は、今後、広い意味でその女性の継続就業の増加を図る手だてをどのように考えていけばいいのか検討するための判断材料として、仮に今の育児休業制度というのが元々正規雇用職員のことしかターゲットに置いていない、その上で、効果があるとかないとかという情報が仮に出てくれば、そのことを今後の広い意味の女性の継続就業の増加を図る施策の在り方の検討材料とできる、十分その在り方の検討に資する情報は出ているということになるんじゃないかと考えているわけです。
    【永瀬臨時委員】  では「女性の継続就業」はいいとしましょう。それにしても男性のことは何も言及がない、それでいいのでしょうか。何で育児休業制度について女性の利用と女性の継続就業だけを検討対象とするのか、おかしいのではないかと思いますけれども。
    【寺尾委員】  実は男性が育児休業を取ると、2倍取れるようにしているところすらあるのです。そういうことも考えたらどうかぐらいのことを言えるような政策評価をしてほしいです。
    【金本分科会長】  厚労省側はどういう言葉遣いをしているんですか。
    【吉開政策評価官】  もちろん政策目的として、男性も育児休業をとって、それはまさにワーク・ライフ・バランスにつながるのかもしれませんけれども、男性の育休の取得率の増加ということを政策目標として掲げられていることは確かですけれども、この政策評価を各府省にやってもらうという中でどこに重点を置いてやってもらうかということで、男性の育休の取得率が増えていませんねと、それについて原因分析をしてくださいねという、それはあり得ると思いますけれども、それはどこに重点を置くかという判断の問題で、厚労省自身が問題意識として持っている継続就業の増加率が伸びていないという点に着目をして、それについて評価を重点的にやってくださいというのが今回の取組といいますか、指摘の目的ではないかと考えております。
    【永瀬臨時委員】  女性の就業継続が増えないというのは、男性がとらないということの裏返しだとも思うんです。
    【吉開政策評価官】  そういう裏返しの原因分析が出てくる可能性は、それはあると思います。
    【永瀬臨時委員】  それでしたら、実際に「男性の」というふうに男性のという言葉を入れてもよろしいのではないですか。男性の利用ですね。だから、「女性の継続就業の増加、男性の利用の増加には必ずしもつながっていない」という視点はいかがでしょうか。
    【吉開政策評価官】  今おっしゃったような視点も確かにあると思います。男性の育休の取得というものは。ただ、女性の継続就業が伸びない理由として、男性の育休取得が伸びないからというのも確かにあると思いますがそのほかにも要因があると思いますので、そういったほかの要因も含めて分析ができるように広い視点を設定したいと考えていると御理解いただければと思います。評価の詳細設計の段階で、男性の育休取得が伸びていないことが原因じゃないかというふうに指摘していくことはもちろんできると思いますので、次の段階の話かなと我々は思っております。
    【金本分科会長】  どうぞ。
    【木村専門委員】  私も寺尾委員と永瀬委員の御意見に賛成です。女性に特に絞る必要もないのではないでしょうか。「利用者」の継続就業の増加を図る施策ということでまとめていいのではないかと思います。
     2番目の点ですけれども、若年者雇用対策について、本当に確認だけの質問ですが、まず若年者という場合に何歳ぐらいまでを念頭に置いておられるかです。今、調べてみると、意外と35歳以上の人のフリーターとかの問題もありまして、その人が若いときにどういうことをしてきたかということをかなり調べて、それを若年者雇用の問題に絡めるのか、何歳ぐらいの幅で若年者とこの分析では絞られるのかということが第1点です。
     第2点では、ほかの重要対象分野の御説明とは少し変わっているなと思いますのは、各種施策の効果を検証し、より効率的・効果的な施策を見極めるなどという御説明がありましたが、これは大げさに言えば政策提言ぐらいのことをするのかなと、ほかのこういう案もありますよというようなことを言うことを求めているのか、これは本当に見極めることまでこちらが要求しているんですかという、その質問だけです。
    【吉開政策評価官】  まず女性の継続就業ということにつきましては、どのように整理できるかちょっと検討をしてみたいと思います。
     それから若年者につきましては、定義上、15歳から34歳ということになっておりますので、そこを中心に考えております。
     それから、より効率的・効果的な施策を見極めるという意味は、若年者雇用対策はいろいろな施策がパッケージになっているわけでございますので、若年者雇用という傘のもとにいろいろな施策があると、その中で実際に効果があるもの、効率的に働くものがどれかということを各府省に見極めていただきたいと、こういう趣旨であります。
    【木村専門委員】  それでは検証した上で、実際にその中で効果があるものはどういうものかということを見極めてほしいということなんですか。
    【吉開政策評価官】  実際に政策を行う立場からして、今、100なら100パッケージがあって、その中で実際に効くのが50ぐらいあるので、50に絞るべきだと自分たちが認識をしてほしい、そういう形で自分たちの政策の見直しをやってくださいと、こういう意味であります。
    【金本分科会長】  各府省には評価をきちんとやってもらわないと困るというのが、多分、国民の立場だと思いますので、とりあえずプレッシャーはかけなきゃいけないということかと思います。
     あと、多分、皆様方には歯がゆいところがたくさんあるかと思いますが、霞が関の中で、しかもこの評価というところでやっているわけで、意思決定そのままという場面ではないという、それが前提で、ただ、より良い意思決定に役立つようにどういうふうにしていくかと、そういうことを考えているということかと思います。経済財政諮問会議から何かを言うというのはわりとそういうことから縛られずに言えるんですが、ここから出していくというところで、そういうものを前面に出すことはできないというところがあると、そんな感じのところを御理解いただければと思います。
     そのほか、何かございますでしょうか。いろいろ御指摘をいただきましたので、これを整理させていただいて、あとは政策評価・独立行政法人評価委員会、本委員会にお出しして、そちらで了解を得られれば、答申すると、そんな感じになります。途中で細かい調整の御相談を申し上げるかと思いますけれども、最終的なところは私にお任せいただければと思います。
     それでは、ここで終了させていただきます。次回日程等について事務局からお願いします。
    【吉開政策評価官】  日程につきましてですが、次回、政策評価・独立行政法人評価委員会が来週の月曜日、11月12日の10時から11時まで、この庁舎の8階の第1特別会議室で開催予定でございます。それから諮問会議の日程につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まだ未定でございますので、決まり次第また御連絡を申し上げたいと思います。
     以上です。
    【金本分科会長】  それでは、ありがとうございました。


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